(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-04
(45)【発行日】2022-08-15
(54)【発明の名称】成膜装置、および、成膜製品の製造方法
(51)【国際特許分類】
C23C 24/04 20060101AFI20220805BHJP
B05D 1/02 20060101ALI20220805BHJP
B05D 3/00 20060101ALI20220805BHJP
B05D 7/24 20060101ALI20220805BHJP
【FI】
C23C24/04
B05D1/02 Z
B05D3/00 D
B05D7/24 301A
B05D7/24 303B
(21)【出願番号】P 2020194075
(22)【出願日】2020-11-24
【審査請求日】2022-04-18
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】501489971
【氏名又は名称】豊実精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100175134
【氏名又は名称】北 裕介
(72)【発明者】
【氏名】今泉 由紀雄
【審査官】池ノ谷 秀行
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-160163(JP,A)
【文献】特開2006-249490(JP,A)
【文献】特開2003-208901(JP,A)
【文献】特開2005-154803(JP,A)
【文献】特開2012-082509(JP,A)
【文献】特開2013-237024(JP,A)
【文献】特開2014-189845(JP,A)
【文献】特開2020-183564(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0030825(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 13/00 - 13/06
B05C 1/00 - 21/00
B05D 1/00 - 7/26
C23C 24/00 - 30/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
成膜チャンバの処理室内に所定の間隔をもって
配列され、エアロゾル化された微粒子を
吐出口から表面処理対象物に向けて吐出する複数個の吐出ノズルと、
前記各吐出ノズルの吐出
口と、前記表面処理対象物において表面処理される表面との相互間距離を、前記表面処理対象物の形状に応じて調整する相互間距離調整手段と、
を備え、
前記相互間距離調整手段は、前記複数個の吐出ノズルの配列方向に沿って移動可能なノズルヘッド機構
であり、
前記ノズルヘッド機構は、前記複数個の吐出ノズルの配列方向に対し略直交する方向に所定の間隔をもって複数列配置されるリニアモータ単軸ロボットにそれぞれ、複数個配置される
ことを特徴とする成膜装置。
【請求項2】
前記リニアモータ単軸ロボットは、前記複数個の吐出ノズルの配列方向であるX方向に延びており、
前記ノズルヘッド機構は、
シャフトガイド付電動シリンダと、
モータブラケットと、
ステッピングモータと、
減速機付ステッピングモータと、
を備え、
前記シャフトガイド付電動シリンダは、X方向に移動可能に、前記リニアモータ単軸ロボットに対して支持され、
前記シャフトガイド付電動シリンダのロッドは、前記ステッピングモータの出力軸に連結されるとともに、前記ステッピングモータの作動によって上下方向に昇降可能になっており、
前記モータブラケットは、前記ロッドの下端に対して連結されており、
前記減速機付ステッピングモータの出力軸がX方向及び上下方向それぞれに直交する方向を向いた状態で、前記減速機付ステッピングモータが前記モータブラケットに支持されており、
前記ノズルヘッド機構は、前記減速機付ステッピングモータの作動によって前記吐出ノズルの吐出口の向きを前記減速機付ステッピングモータの出力軸周りに回動可能に構成されている請求項1に記載の成膜装置。
【請求項3】
複数個の吐出ノズルが、成膜チャンバの処理室内に所定の間隔をもって
配列され、エアロゾル化された微粒子を
前記各吐出ノズルの吐出口から表面処理対象物に向けて吐出し、該表面処理対象物に対し表面処理を行い、
相互間距離調整手段が
、前記各吐出ノズルの吐出
口と、前記表面処理対象物において表面処理される表面との相互間距離を、前記表面処理対象物の形状に応じて調整することを含み、
前記相互間距離調整手段は、前記複数個の吐出ノズルの配列方向に沿って移動可能なノズルヘッド機構
であり、
前記ノズルヘッド機構は、前記複数個の吐出ノズルの配列方向に対し略直交する方向に所定の間隔をもって複数列配置されるリニアモータ単軸ロボットにそれぞれ、複数個配置される
ことを特徴とする成膜製品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾルデポジション法が適用された成膜装置、および、成膜製品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
成膜装置においては、例えば、特許文献1に示されるように、エアロゾルデポジション法(以下、AD法ともいう)を用いた成膜装置が提案されている。そのような成膜装置は、例えば、特許文献1の
図5に示されるように、後述するエアロゾル作製容器の内圧よりも低い内圧を有するチャンバと、チャンバ内に前後方向、および、左右方向に移動可能に配され、表面処理される被加工物(ワーク)としての基板が取り付けられるステージと、チャンバ内に2つの延長線が互いに交差するように配され上述の被加工物の表面に向けてエアロゾルを、それぞれ、噴射する2個のノズルと、2個のノズルにそれぞれ、エアロゾルを供給する2個のエアロゾル作製容器と、搬送ガスを2個のエアロゾル作製容器にそれぞれ供給する2個のガスボンベと、を含んで構成されている。
【0003】
斯かる構成において、例えば、2個のノズルからエアロゾルが基板の表面に向けて同時に噴射された場合、所定の膜厚の膜が基板の表面上に形成されることとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、表面処理される複数の被加工物がAD法により量産されることが要望されている。しかしながら、このような場合、上述のような成膜装置が用いられるとき、1枚の基板がステージ上に配置される構成においては、1枚の基板ごとにステージに対する着脱作業が必要とされるので表面処理される被加工物の量産性に欠け、かつ、被加工物の製造コスト、ならびに、成膜装置の製造コストが嵩むこととなる。
【0006】
以上の問題点を考慮し、本発明は、エアロゾルデポジション法が適用された成膜装置、および、成膜製品の製造方法であって、表面処理される被加工物の量産性を図ることにより、被加工物の製造コスト、ならびに、成膜装置の製造コストを低減できる成膜装置、および、成膜製品の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的を達成するために、本発明に係る成膜装置は、成膜チャンバの処理室内に所定の間隔をもって配置され、エアロゾル化された微粒子を表面処理対象物に向けて吐出する複数個の吐出ノズルと、複数個の吐出ノズルの配列方向に対し略直交する方向に沿った各吐出ノズルの吐出口面と表面処理対象物における表面処理される表面との相互間距離を表面処理対象物の形状に応じて調整する相互間距離調整手段と、を備えて構成される。
【0008】
相互間距離調整手段は、吐出ノズルの吐出口面の表面処理対象物における表面処理される表面に対する方向を変更可能に吐出ノズルを支持する吐出ノズル支持体と、吐出ノズルの吐出口面に向けて昇降可能に表面処理対象物を支持するZ軸ステージと、から形成されてもよい。また、相互間距離調整手段は、複数個の吐出ノズルの配列方向に沿って移動可能なノズルヘッド機構からなるものでもよい。ノズルヘッド機構は、複数個の吐出ノズルの配列方向に対し略直交する方向に所定の間隔をもって複数列配置されるリニアモータ単軸ロボットにそれぞれ、複数個配置されてもよい。
【0009】
さらに、少なくとも1つのZ軸ステージを複数個の吐出ノズルの配列方向に沿って移動可能に支持する少なくとも1つのXY軸ステージをさらに備えてもよい。
【0010】
本発明に係る成膜製品の製造方法は、複数個の吐出ノズルが、成膜チャンバの処理室内に所定の間隔をもって配置され、エアロゾル化された微粒子を表面処理対象物に向けて吐出し、表面処理対象物に対し表面処理を行い、相互間距離調整手段が、複数個の吐出ノズルの配列方向に対し略直交する方向に沿った各吐出ノズルの吐出口面と表面処理対象物における表面処理される表面との相互間距離を表面処理対象物の形状に応じて調整することを含む。
【0011】
相互間距離調整手段は、吐出ノズルの吐出口面の表面処理対象物における表面処理される表面に対する方向を変更可能に吐出ノズルを支持する吐出ノズル支持体と、吐出ノズルの吐出口面に向けて昇降可能に表面処理対象物を支持するZ軸ステージと、から形成されてもよい。また、相互間距離調整手段は、複数個の吐出ノズルの配列方向に沿って移動可能なノズルヘッド機構からなるものでもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る成膜装置、および、成膜製品の製造方法によれば、成膜チャンバの処理室内に所定の間隔をもって配置され、エアロゾル化された微粒子を表面処理対象物に向けて吐出する複数個の吐出ノズルと、複数個の吐出ノズルの配列方向に対し略直交する方向に沿った各吐出ノズルの吐出口面と表面処理対象物における表面処理される表面との相互間距離を表面処理対象物の形状に応じて調整する相互間距離調整手段とを備えるので表面処理される被加工物の量産性を図ることにより、被加工物の製造コスト、ならびに、成膜装置の製造コストを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明に係る成膜装置の一例の全体構成を概略的に示す構成図である。
【
図2】
図1に示される固定テーブル上に配置されたZステージおよび複数のワークを示す平面図である。
【
図3】本発明に係る成膜装置の他の一例の要部を概略的に示す構成図である。
【
図4】
図3に示される例において用いられるノズルヘッド機構の構成を示す図である。
【
図5】(A)および(B)は、それぞれ、成膜装置により表面処理されるワークの他の一例を示す断面図である。
【
図6】本発明に係る成膜装置のさらなる他の一例の要部を概略的に示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、本発明に係る成膜装置の一例の構成を概略的に示す。
【0015】
成膜装置は、成膜にあたりエアロゾルデポジション法を適用すべく、ガス(例えば、空気)と所定の材質を有する微粒子、例えば、セラミック原料粉末等とが混合され微粒子がエアロゾル化される複数のエアロゾル発生器22A、22B、および、22Cと、各エアロゾル発生器22A、22B、および、22Cにガス供給路20の分岐通路20a、20b、および、20cを介して所定の圧力を有するガス(例えば、空気)または不活性ガスを供給するガスボンベ18と、成膜製品となる後述する表面処理対象物(以下、ワークともいう)の表面に上述のエアロゾル化された微粒子により成膜が行われる成膜チャンバ10と、を主な要素として構成されている。
【0016】
各エアロゾル発生器22A、22B、および、22Cの入口には、分岐通路20a、20b、および、20cの一端が接続され、各エアロゾル発生器22A、22B、および、22Cの出口には、エアロゾル化された微粒子を供給するエアロゾル供給路26A、26B、および、26Cの一端が接続されている。エアロゾル供給路26A、26B、および、26Cの他端には、それぞれ、成膜チャンバ10内に配置される吐出ノズル32A、32B、および、32Cが接続されている。エアロゾル供給路26A、26B、26Cには、エアロゾル化された微粒子の流量を調整する流量制御弁24A、24B、および、24Cが設けられている。流量制御弁24A、24B、および、24Cは、それぞれ、図示が省略される制御ユニットからの制御信号Cvに基づいて制御される。
【0017】
成膜チャンバ10の筐体12内の処理室12A内には、筐体12の天井部分の3箇所に所定の間隔をもって
図1におけるX座標軸に沿って一列に配置される各支持軸28の下端に固定されたハウジング34内の球面軸受部30A、30B、30Cを介して支持される吐出ノズル32A、32B、および、32Cと、所定の基台40上に配置されているXY軸ステージと、ワーク58W1の一端を支持するワーク取付治具56Aを昇降可能に支持するとともに、ワーク取付治具56Aおよびワーク58W1を回動可能に支持する第1のZ軸ステージ48A(
図2参照)と、ワーク58W1の他端を支持するワーク取付治具56Bを昇降可能に支持するとともに、ワーク取付治具56Bおよびワーク58W1を回動可能に支持する第2のZ軸ステージ48B(
図2参照)とが主な要素として配置されている。なお、
図1において、X座標軸は、後述するロアステージ42の移動テーブルの移動方向に対し平行に設定され、Y座標軸は、X座標軸に対し直交し、後述するアッパステージ44Aの移動テーブルに連結される固定テーブル46Aの移動方向に対し平行に設定されている。Z座標軸は、X座標軸およびY座標軸に対し直交するように設定されている。
【0018】
吐出ノズル32A、32B、および、32Cは、それぞれ、筐体12の内側の天井部分から第1のZ軸ステージ48Aおよび第2のZ軸ステージ48Bに向かって所定距離、下方の所定位置に固定されている。X座標軸に沿って一列に配列される吐出ノズル32A、32B、および、32Cの吐出口面から表面処理されるワーク58W1の表面処理される表面までの距離Daは、ワーク58W1の形状に応じて所定の距離に設定される。ワーク58W1は、例えば、中心軸線上に沿って所定の長さを有する円柱状の金属製の物体とされる。吐出ノズル32A、32B、および、32Cの吐出口面は、それぞれ、例えば、
図2においてY座標軸に沿って最も離隔した一番端にある第1番目のワーク58W1の表面処理される表面の真上の位置に向き合っている。吐出ノズル32A、32B、および、32Cは、それぞれ、ハウジング34内の球面軸受部30A、30B、30Cを介して支持されているので吐出ノズル32A、32B、および、32Cの吐出口の向きは、
図1に示される真下の向きに限られることなく、例えば、
図1において二点鎖線で示されるように、Z座標軸X座標軸を含む平面内において、中心軸線に対し双方向に約45°範囲(揺動半角)、即ち、約90°範囲内で変更可能とされる。また、吐出ノズル32A、32B、および、32Cには、それぞれ、エアロゾル供給路26A、26B、26Cを介して所定の圧力のエアロゾル化された微粒子が供給される。
【0019】
XY軸ステージは、基台40に固定される固定テーブルおよび移動テーブルからなるロアステージ42と、ロアステージ42の移動テーブルに連結される固定テーブルを備えるアッパステージ44A、および、44Bと、アッパステージ44Aに対し移動可能に配される移動テーブルに連結される固定テーブル46Aと、アッパステージ44Bに対し移動可能に配される移動テーブルに連結される固定テーブル46Bと、を含んで構成されている。
【0020】
なお、ロアステージ42は、ボールネジを介して移動テーブルを駆動する駆動用モータ60を備えている。駆動用モータ60は、例えば、サーボモータまたはステッピングモータとされる。X座標軸に沿って互いに向き合って配置されるアッパステージ44Aおよび44Bは、それぞれ、ボールネジを介して移動テーブルを駆動する駆動用モータ62を備えている。駆動用モータ62は、例えば、サーボモータまたはステッピングモータとされる。駆動用モータ60および62は、それぞれ、図示が省略される制御ユニットからの制御信号Cd1およびCd2に基づいて制御される。
【0021】
さらに、アッパステージ44Aの固定テーブル46Aの中央部には、Z軸ステージ48AがX座標軸に沿って固定テーブル46A上で移動可能に設けられ、アッパステージ44Bの固定テーブル46Bの中央部には、Z軸ステージ48BがZ軸ステージ48Aに対し向き合ってX座標軸に沿って固定テーブル46B上で移動可能に設けられている。このようにZ軸ステージ48AおよびZ軸ステージ48Bが、互いに近接または離隔可能に設けられるので軸線方向の長さが異なるワーク58W1をZ軸ステージ48AおよびZ軸ステージ48B相互間に配置可能とされる。ワークが、例えば、
図1に示されるワーク58W1の軸線方向に沿った長さよりも長い場合、X座標軸に沿って固定テーブル46Bが、そのワークの一端を支持するように、
図1に二点鎖線で示されるように、固定テーブル46Aが
図1において左方向に移動される。
【0022】
Z軸ステージ48Aは、
図2に示されるように、Y座標軸に沿って所定の間隔をもってワーク昇降機構が互いに平行に3箇所に設けられている。各ワーク昇降機構は、ワーク昇降スライダ52Aと、ワーク昇降スライダ52Aを昇降させるボール/ねじ軸50Aと、ボール/ねじ軸50Aを回動させる駆動用モータ64とを含んで構成されている。
【0023】
各ワーク昇降スライダ52Aの連結端には、図示が省略される軸受を介して複数のねじ歯車からなるねじ歯車機構部(またはウォームギヤ)54Aにより回動されるワーク取付治具56Aが連結されている。ワーク取付治具56Aは、ワーク58W1の一方の端部が嵌合される孔部を有している。その孔部に嵌合されたワーク58W1の一方の端部は、ワーク取付治具56Aに設けられた六角穴付き止めねジによりワーク取付治具56Aに固定される。上述のねじ歯車機構部(またはウォームギヤ)54Aの入力軸には、駆動用モータ66の出力軸が結合されている。
【0024】
Z軸ステージ48Bは、
図2に示されるように、Y座標軸に沿って所定の間隔をもってワーク昇降機構が互いに平行に3箇所に設けられている。各ワーク昇降機構は、ワーク昇降スライダ52Bと、ワーク昇降スライダ52Bを昇降させるボール/ねじ軸50Bと、ボール/ねじ軸50Bを回動させる駆動用モータ64とを含んで構成されている。
【0025】
各ワーク昇降スライダ52Bの連結端には、軸受支持部54Bを介して回動されるワーク取付治具56Bが連結されている。ワーク取付治具56Bは、ワーク58W1の他方の端部が嵌合される孔部を有している。その孔部に嵌合されたワーク58W1の他方の端部は、ワーク取付治具56Bに設けられた六角穴付き止めねじによりワーク取付治具56Bに固定される。駆動用モータ64および66は、それぞれ、図示が省略される制御ユニットからの制御信号Cd3およびCd4に基づいて制御される。
従って、吐出ノズルの吐出口面と表面処理対象物における表面処理される表面との相互間距離を表面処理対象物の形状に応じて調整する相互間距離調整手段が、上述のハウジング34内の球面軸受部30A、30B、30Cと、ワーク取付治具56Aおよび56Bを含むZ軸ステージ48Aおよび48Bとから形成されることとなる。
【0026】
成膜チャンバ10の筐体12には、
図1に示されるように、吐出ノズル32A、32B、および、32Cの吐出方向の変更作業、または、ワーク58W1のワーク取付治具56Aおよび56Bに対する取付作業等のための作業用扉14が設けられている。作業用扉14は、筐体12の開口部12aの周縁に対しシール材14aにより密封されている。成膜チャンバ10の処理室12A内の圧力は、成膜チャンバ10に接続された真空ポンプ16により吸引されエアロゾル発生器22A、22B、および、22C内の圧力よりも低い所定の真空度まで減圧されている。
【0027】
斯かる構成において、先ず、吐出ノズル32A、32B、および、32Cの吐出口の向きがそれぞれ、Z座標軸方向に向けた状態で3本のワーク58W1がそれぞれワーク取付治具56Aおよび56Bに取り付けられた後、3本のワーク58W1が
図1に二点鎖線で示されるように、ワーク昇降機構により、吐出ノズル32A、32B、および、32Cの吐出口面から表面処理されるワーク58W1の表面処理される表面までの距離が距離Daに到達するまで上昇され停止される。次に、流量制御弁24A、24B、および、24Cが、それぞれ、制御ユニットからの制御信号Cvに基づいて駆動制御され、吐出ノズル32A、32B、および、32Cが、所定のタイミングでエアロゾル化された微粒子を1番目のワーク58W1に対し同時に噴射開始するとともに、制御ユニットからの制御信号Cd1に基づいて駆動用モータ60が制御され、ロアステージ42の移動テーブルが所定の移動速度でX座標軸に沿って所定の範囲内で移動せしめられる。その際、3本のワーク58W1は、所定の回転数で回動されている。続いて、1番目のワーク58W1の表面処理完了後、吐出ノズル32A、32B、および、32Cの真下の位置に、2番目のワーク58W1が到来するように、制御ユニットからの制御信号Cd2に基づいて駆動用モータ62が制御され、アッパステージ44Aの移動テーブルがY座標軸に沿って移動せしめられる。続いて、1番目のワーク58W1の表面処理と同様にロアステージ42の移動テーブルが所定の移動速度でX座標軸に沿って所定の範囲内で移動せしめられる。続いて、2番目のワーク58W1の表面処理完了後、吐出ノズル32A、32B、および、32Cの真下の位置に、3番目のワーク58W1が到来するように、制御ユニットからの制御信号Cd2に基づいて駆動用モータ62が制御され、アッパステージ44Aの移動テーブルがY座標軸に沿って移動せしめられる。そして、ロアステージ42の移動テーブルが所定の移動速度でX座標軸に沿って所定の範囲内で移動せしめられた後、3番目のワーク58W1の表面処理完了後、制御ユニットからの制御信号Cvに基づいて吐出ノズル32A、32B、および、32Cからのエアロゾル化された微粒子の噴射が停止される。これにより、3本のワーク58W1の表面処理が終了することとなる。従って、特許文献1に示されるような成膜装置と比較してエアロゾルデポジション法を用いて表面処理される被加工物の量産性が図られることにより、被加工物の製造コスト、ならびに、成膜装置の製造コストが低減されることとなる。
【0028】
上述の例においては、Z軸ステージ48Aおよび48Bのワーク昇降機構により、吐出ノズル32A、32B、および、32Cの吐出口面から表面処理されるワーク58W1の表面処理される表面までの距離が、所定距離Daに位置調整されるが、斯かる例に限られることなく、成膜装置が、例えば、
図3に示されるように、Z軸ステージ48Aおよび48Bに代えて、吐出ノズル32A、32B、32C、32D、および、32Eをそれぞれ、最下端に有し、ワーク58W2に対する吐出ノズル32A、32B、32C、32D、および、32Eの吐出口面の相対位置を調整できるノズルヘッド機構を複数個、備えるものでもよい。
【0029】
図3は、本発明に係る成膜装置の他の一例の要部を概略的に示す。
【0030】
なお、
図3において、
図1に示される例における構成要素と同一の構成要素について同一の符号を付して示し、その重複説明を省略する。
【0031】
成膜装置は、
図1に示される例と同様に、成膜にあたりエアロゾルデポジション法を適用すべく、ガス(例えば、空気)と所定の材質を有する微粒子、例えば、セラミック原料粉末等とが混合され微粒子がエアロゾル化される複数のエアロゾル発生器22A、22B、22C、22D、および、22Eと、各エアロゾル発生器22A、22B、22C、22D、および、22Eにガス供給路20の分岐通路20a、20b、20c、20d、および、20eを介して所定の圧力を有するガス(例えば、空気)または不活性ガスを供給するガスボンベ18と、表面処理対象物(以下、ワークともいう)の表面に上述のエアロゾル化された微粒子により成膜が行われる成膜チャンバ10と、を主な要素として構成されている。
【0032】
各エアロゾル発生器22A、22B、22C、22D、および、22Eの入口には、分岐通路20a、20b、20c、20d、および、20eの一端が接続され、各エアロゾル発生器22A、22B、22C、22D、および、22Eの出口には、エアロゾル化された微粒子を供給するエアロゾル供給路26A、26B、26C、26D、および、26Eの一端が接続されている。エアロゾル供給路26A、26B、26C、26D、および、26Eの他端には、それぞれ、後述する成膜チャンバ10内に配置される吐出ノズル32A、32B、32C、32D、および、32Eが接続されている。エアロゾル供給路26A、26B、26C、26D、および、26Eには、エアロゾル化された微粒子の流量を調整する流量制御弁24A、24B、24C、24D、および、24Eが設けられている。流量制御弁24A、24B、24C、24D、および、24Eは、それぞれ、図示が省略される制御ユニットからの制御信号Cvに基づいて制御される。
【0033】
成膜チャンバ10の筐体12内の処理室12A内には、筐体12の背面部分に支持されたフラットコア付リニアモータ(リニアモータ単軸ロボット)70と、フラットコア付リニアモータ70のコイルスライダ72A、72B、72C、72D、および、72Eにそれぞれ、支持される複数のノズルヘッド機構と、各ノズルヘッド機構のT型ジョイント88に接続される吐出ノズル32A、32B、32C、32D、および、32Eと、所定の基台上に配置されているXY軸ステージとが主な要素として配置されている。なお、
図3において、X座標軸は、ロアステージ42の移動テーブルの移動方向に対し平行に設定され、Y座標軸は、X座標軸に対し直交し、後述するアッパステージ44Cの移動テーブルに連結される固定テーブル46Cの移動方向に対し平行に設定されている。Z座標軸は、X座標軸およびY座標軸に対し直交するように設定されている。XY軸ステージは、基台に固定される固定テーブルおよび移動テーブルからなるロアステージ42と、ロアステージ42の移動テーブルに連結される固定テーブルを備えるアッパステージ44Cと、アッパステージ44Cに対し移動可能に配される移動テーブルに連結される固定テーブル46Cとを含んで構成されている。
固定テーブル46Cのワーク支持面には、図示が省略される治具を介して例えば、5個のワーク58W2が、X座標軸に沿って所定の間隔をもって一列に固定されている。
【0034】
フラットコア付リニアモータ(リニアモータ単軸ロボット)70は、例えば、ガイドレールの内側に固定子(マグネットプレート)(不図示)と、ガイドレールに移動可能に配される複数個のコイルスライダ72A、72B、72C、72D、および、72Eと、ガイドレールに設けられるリニアエンコーダスケール(磁気スケール)に対するコイルスライダ72A~72Eの位置をそれぞれ、電磁的に検出する複数の磁気ヘッドと、リニアモータを駆動制御する制御部(不図示)とを含んで構成されている。
【0035】
複数個のコイルスライダ72A、72B、72C、72D、および、72Eは、それぞれ、5個のワーク58W2に対応した所定の間隔をもって配され、X座標軸に沿って双方向に移動可能とされる。
【0036】
複数のノズルヘッド機構は、互いに同一の構成を有するのでコイルスライダ72Aに連結されるノズルヘッド機構について代表的に説明する。
【0037】
相互間距離調整手段としてのノズルヘッド機構は、コイルスライダ72Aの連結面72asに支持されたシャフトガイド付電動シリンダ76と、電動シリンダ76のロッド76Sの一端に結合された連結端部78に連結されたモータブラケット80に支持される減速機付ステッピングモータ82と、ステッピングモータ82の出力軸82Sに連結される揺動アーム84に支持される減速機付ステッピングモータ86と、ステッピングモータ86の出力軸に上端部が連結されるT型ジョイント88の下端部に接続される吐出ノズル32Aとを主な要素として構成されている。
【0038】
シャフトガイド付電動シリンダ76のロッド76Sは、ステッピングモータ74の出力軸に連結され、ステッピングモータ74が作動状態のとき、Z座標軸に沿ってモータブラケット80をワーク58W2に対し近接するように下降されるとともに、ワーク58W2に対し離隔するように上昇せしめられる。ステッピングモータ74、ステッピングモータ82、ステッピングモータ86は、それぞれ、図示が省略される制御ユニットからの制御信号Cd5、Cd6、およびCd7に基づいて制御される。
【0039】
揺動アーム84の連結端の回転軸線は、
図4においてステッピングモータ82の出力軸82Sの回転中心軸線Oyと同心上に配され、揺動アーム84の連結端は、所定の円周角の範囲で回転中心軸線Oyの回りに回動可能とされる。回転中心軸線Oyは、Y座標軸に略平行に設定されている。
【0040】
減速機付ステッピングモータ86の減速機を支持する揺動アーム84のモータ支持部は、回転中心軸線Oyに対し平行に形成されている。減速機付ステッピングモータ86の出力軸は、モータ支持部の貫通孔を介してZ座標軸に沿って下方に向けて突出しT型ジョイント88の上端部に連結されている。
【0041】
これにより、減速機付ステッピングモータ86が作動状態の場合、T型ジョイント88および吐出ノズル32Aが、所定の円周角の範囲で減速機付ステッピングモータ86の出力軸の回転中心軸線Ozの回りに回動可能とされる。
【0042】
従って、ステッピングモータ82が作動状態の場合、揺動アーム84がT型ジョイント88および吐出ノズル32Aを伴って回転中心軸線Oyの回りにX座標軸Z座標軸で形成される平面内で所定の円周角の範囲で回動可能とされるので吐出ノズル32Aが所定の角度範囲θ、例えば、180°内で揺動可能とされる。これにより、揺動する吐出ノズル32Aの吐出口面が描く軌跡は、回転中心軸線Oyの回りに曲率半径Rの円弧となる。従って、例えば、曲率半径Rを超える曲率半径を有する略U字状の溝を内側に備えるワークの溝の表面についても、吐出ノズル32Aを用いて表面処理が可能となる。
【0043】
斯かる構成において、先ず、吐出ノズル32A~32Eの吐出口の向きがそれぞれ、Z座標軸方向に向けた状態でワーク58W2がそれぞれ、治具(不図示)を介して固定テーブル46Cのワーク支持面に取り付けられた後、吐出ノズル32A~32Eの吐出口面から表面処理されるワーク58W2の表面処理される表面までの距離が距離Daに到達するまでシャフトガイド付電動シリンダ76のロッド76Sが下降せしめられる。
【0044】
次に、流量制御弁24A~24Eが、それぞれ、制御ユニットからの制御信号Cvに基づいて駆動制御され、吐出ノズル32A~32Eが、所定のタイミングでエアロゾル化された微粒子を各ワーク58W2に対し同時に噴射開始するとともに、制御ユニットからの制御信号Cd1に基づいて駆動用モータ60が制御され、ロアステージ42の移動テーブルが所定の移動速度でX座標軸に沿って所定の範囲内で移動せしめられる。これにより、5個のワーク58W2の表面処理が終了することとなる。従って、特許文献1に示されるような成膜装置と比較してエアロゾルデポジション法を用いて表面処理される被加工物の量産性が図られることにより、被加工物の製造コスト、ならびに、成膜装置の製造コストが低減されることとなる。
【0045】
なお、5個のワーク58W2の表面処理が終了後、例えば、
図3に実線で示されるように、続いて、ワーク58W2におけるX座標軸に沿った寸法よりも短い寸法をそれぞれ有する5個のワーク58W3が、X座標軸に沿って一列に治具(不図示)を介して固定テーブル46Cのワーク支持面に取り付けられる場合、吐出ノズル32A~32Eのワーク58W3に対する吐出開始位置は、複数個のコイルスライダ72A、72B、72C、72D、および、72EにおけるX座標軸方向の初期位置を
図3において左側方向にずらし、または、固定テーブル46Cの移動開始初期位置を右側方向にずらすことにより吐出ノズル32A~32Eのワーク58W3に対する吐出開始位置が容易に調整可能とされる。
【0046】
さらに、
図5(A)に示されるように、固定テーブル46Cのワーク支持面に取り付けられたワーク58W4における表面処理される外面が、平坦面58S2と高低差のある平坦な裾面58S4と、平坦面58S2と裾面58S4とを連結する一対の斜面58S1および58S3とを有する場合、上述したように、吐出ノズル32A~32Eの吐出口面から表面処理されるワーク58W4の表面処理される平坦面58S2までの距離が所定距離に到達するまでシャフトガイド付電動シリンダ76のロッド76Sが下降せしめられるとともに、吐出ノズル32A~32Eの吐出口面から表面処理されるワーク58W4の表面処理される裾面58S4までの距離が所定距離に到達するまでシャフトガイド付電動シリンダ76のロッド76Sがさらに下降せしめられる。続いて、一対の斜面58S1または斜面58S3について表面処理される場合、上述したように、揺動アーム84がT型ジョイント88および吐出ノズル32Aを伴って回転中心軸線Oyの回りに所定の円周角の範囲で互いに逆方向に回動された状態で吐出ノズル32A~32Eが、所定のタイミングでエアロゾル化された微粒子を各ワーク58W4に対し同時に噴射する。
【0047】
さらにまた、
図5(B)に示されるように、固定テーブル46Cのワーク支持面に取り付けられたワーク58W5における表面処理される外面が、所定の間隔をもって形成される2つの上端面58S6と2つの上端面58S6相互間の高低差のある下端面58S5と、下端面58S5と共通の平面内にワーク58W5の両端に形成される下端面58S5とを有する場合、吐出ノズル32A~32Eの吐出口面から表面処理されるワーク58W5の表面処理される上端面58S6までの距離が所定距離に到達するまでシャフトガイド付電動シリンダ76のロッド76Sが下降せしめられるとともに、吐出ノズル32A~32Eの吐出口面から表面処理されるワーク58W5の表面処理される下端面58S5までの距離が所定距離に到達するまでシャフトガイド付電動シリンダ76のロッド76Sがさらに下降せしめられる。続いて、上端面58S6および下端面58S5に直交する外面58S7について表面処理される場合、揺動アーム84がT型ジョイント88および吐出ノズル32Aを伴って回転中心軸線Oyの回りに上述のワーク58W4のときの円周角よりも大なる円周角の範囲で互いに逆方向に回動された状態で吐出ノズル32A~32Eが、所定のタイミングでエアロゾル化された微粒子を各ワーク58W5に対し同時に噴射する。
【0048】
図6は、本発明に係る成膜装置のさらなる他の一例の要部を概略的に示す構成図である。なお、
図6においては、
図3に示される例における構成要素と同一の構成要素について同一の符号を付して示し、その重複説明を省略する。なお、
図6において、X座標軸は、ロアステージ42の移動テーブルの移動方向に対し平行に設定され、Y座標軸は、X座標軸に対し直交し、後述するアッパステージ44Cの移動テーブルに連結される固定テーブル46Cの移動方向に対し平行に設定されている。Z座標軸は、X座標軸およびY座標軸に対し直交するように設定されている。
【0049】
図3に示される例においては、複数のノズルヘッド機構を備える一基のフラットコア付リニアモータ(リニアモータ単軸ロボット)70が所定の位置に配置されているものであるのに対し、一方、
図6に示される例においては、複数のノズルヘッド機構を備える各フラットコア付リニアモータ(リニアモータ単軸ロボット)70の両端が、それぞれ、リニアモータ支持スライダ94により所定の間隔をもって支持されている。各リニアモータ支持スライダ94は、例えば、Y座標軸に沿って互いに平行に所定の間隔をもって延びる一対のガイドレール90により移動可能に支持されている。各ガイドレール90の両端は、それぞれ、フック部材92により、筐体12の天井部の内周部に固定されている。
【0050】
図6において、各リニアモータ支持スライダ94の相互間距離は、例えば、1列にX座標軸に沿って固定テーブル46Cに配置される5個のワーク58W3の列と隣接して1列にX座標軸に沿って固定テーブル46Cに配置される5個のワーク58W3の列との間の距離に対応して設定されている。5個のワーク58W3の列は、Y座標軸に沿って所定の間隔をもって固定テーブル46Cに配置されている。XY軸ステージ全体は、例えば、昇降機構ELにより、矢印で示されるように、各ワーク58W3が吐出ノズル32A~32Eの吐出口面に対し近接または離隔可能となるように支持されている。これにより、吐出ノズル32A~32Eの吐出口面とワーク58W3の所定の表面との間の距離が所定の距離Daに設定されることとなる。その際、
図5(B)に示されるように、ワーク58W5における表面処理される2つの上端面58S6と2つの上端面58S6相互間の高低差のある下端面58S5とが表面処理される場合、吐出ノズル32A~32Eの吐出口面の下端面58S5に対する位置の微調整は、例えば、上述のノズルヘッド機構におけるシャフトガイド付電動シリンダ76のロッド76Sの位置調整により行われてもよい。
【0051】
なお、上述の例においては、リニアモータ支持スライダ94がY座標軸に沿って3列設けられているが、斯かる例に限られることなく、例えば、ワークの数量に応じてリニアモータ支持スライダ94がY座標軸に沿って4列以上設けられてもよいことは勿論である。
【0052】
なお、上述の一例においては、
図1に示されるように、吐出ノズル32A、32B、および、32Cの吐出口の向きは、円柱状のワーク58W1に対し真下の向きに設定されているが、斯かる例に限られることなく、例えば、円柱状のワークの外周面に螺旋状のV字状の溝が形成されている場合、
図1において左端の吐出ノズル32Aの吐出口の向きが、ワークに対し右斜め下方に向けられ、右端の吐出ノズル32Cの吐出口の向きがワークに対し左斜め下方に向けられ、中央の吐出ノズル32Bの吐出口の向きが真下の向きに設定されてもよい。このように吐出ノズル32A、および、吐出ノズル32Cの吐出口の向きがV字状の溝の傾斜面に対向するように設定されることにより、ワークの外周面に形成される螺旋状のV字状の溝の傾斜面に対しても表面処理を施すことが可能となる。
【0053】
また、上述の例においては、3個の吐出ノズル32A、32B、および、32Cは、X座標軸に沿って一列に配列されているが、斯かる例に限られることなく、4個以上の吐出ノズルがX座標軸に沿って千鳥掛け状に配置されてもよい。また、3個の吐出ノズル32A、32B、および、32Cは、例えば、Y座標軸に沿って二列以上配列され、例えば、6個または9個の吐出ノズルにより各ワーク58W1に対して表面処理されてもよい。
【0054】
さらに、上述の例においては、ワークが上述のZ軸ステージ48AおよびZ軸ステージ48B相互間における3箇所に配置されているが、斯かる例に限られることなく、例えば、ワークが上述のZ軸ステージ48AおよびZ軸ステージ48B相互間における4箇所以上の箇所に配置されてもよい。
【0055】
さらにまた、上述の例においては、ワークが上述のZ軸ステージ48AおよびZ軸ステージ48B相互間に両端支持されているが、斯かる例に限られることなく、例えば、中心軸線に沿って比較的短いワークにあっては、Z軸ステージ48Bを使用することなく、そのワークの一端部がZ軸ステージ48Aだけにより支持され、ワークが、所謂、片持ち支持され、Z軸ステージ48AがX座標軸に沿って固定テーブル46A上で移動可能に設けられてもよい。
【符号の説明】
【0056】
10 成膜チャンバ
12 筐体
12A 処理室
32A、32B、32C、32D、32E 吐出ノズル
30A、30B、30C 球面軸受部
42 ロアステージ
44A、44B、44C アッパステージ
46A、46B、46C 固定テーブル
48A、48B Z軸ステージ
58W1、58W2、58W3、58W4、58W5 ワーク
56A、56B ワーク取付治具
76 シャフトガイド付電動シリンダ
84 揺動アーム