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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-04
(45)【発行日】2022-08-15
(54)【発明の名称】高地トレーニングカプセル
(51)【国際特許分類】
   A63B 23/18 20060101AFI20220805BHJP
   A63B 26/00 20060101ALI20220805BHJP
   E04H 1/12 20060101ALI20220805BHJP
   E04H 3/14 20060101ALI20220805BHJP
【FI】
A63B23/18
A63B26/00
E04H1/12 A
E04H3/14 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020213826
(22)【出願日】2020-12-23
(65)【公開番号】P2022099814
(43)【公開日】2022-07-05
【審査請求日】2022-06-07
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】507116950
【氏名又は名称】株式会社M2プランニング
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】海達 宣明
【審査官】槙 俊秋
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-136152(JP,A)
【文献】特開2004-202156(JP,A)
【文献】特開2004-27531(JP,A)
【文献】国際公開第2020/075239(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0376911(US,A1)
【文献】国際公開第2011/090168(WO,A1)
【文献】特開2003-143993(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 26/00
A63B 23/18
E04H 1/12
E04H 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明板が6面に配置された直方体で構成される筐体と、
前記筐体の内部を大気圧以下に減圧する減圧機構と、を備え、
前記筐体は、各面の4辺に形成された複数の補強柱を有しており、
前記補強柱は、断面三角形状に形成されており、
隣接する前記補強柱どうしは、前記断面三角形状の斜辺となる傾斜面で互いに面接触している高地トレーニングカプセル。
【請求項2】
前記補強柱は、断面L字状の屈曲板部と、前記傾斜面を含む平板部とで囲まれた中空部材で構成されており、
前記平板部は、両端が鋭角に屈曲された屈曲部位を有しており、当該屈曲部位の外面が前記屈曲板部の両端内面に面で固定されている請求項1に記載の高地トレーニングカプセル。
【請求項3】
4つの前記補強柱の内側には、格子状に配置された複数のパイプが固定されている請求項1又は2に記載の高地トレーニングカプセル。
【請求項4】
前記補強柱は、長尺状の三角柱の両端部が四角錐状に切断されており、
前記筐体の角部は、隣接する前記補強柱どうしの各辺が互いに線接触している請求項1~3の何れか一項に記載の高地トレーニングカプセル。
【請求項5】
前記筐体の内部には、運動器具が収容されている請求項1~4の何れか一項に記載の高地トレーニングカプセル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高地環境下でトレーニングが可能な高地トレーニングカプセルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、気密性の高い筐体内部を大気圧以下に減圧して低酸素状態を作り出し、該筐体内部において、高地と同様な環境下でトレーニングが可能な高地トレーニングカプセルが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の高地トレーニングカプセルは、扁平楕円形状の外面を呈しており、圧力容器用鏡板から成る2個の筐体を互いに対向させて構成されている。また、夫々の筐体の外周端部の突合せ部の間にパッキンを設けて、内部を密閉している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-136152号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の高地トレーニングカプセルは、圧力容器用鏡板から成る2個の筐体を対向させて扁平楕円形状の外面を形成しているため、筐体内部でトレーニングを行うには圧迫感があった。また、夫々の筐体の外周端部の突合せ部にパッキンを配置しているものの、筐体内部を減圧したときにパッキンが変形して筐体が崩れるおそれがあり、耐久性に劣るものであった。
【0006】
そこで、圧迫感がなく耐久性の高い高地トレーニングカプセルが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る高地トレーニングカプセルの特徴構成は、透明板が6面に配置された直方体で構成される筐体と、前記筐体の内部を大気圧以下に減圧する減圧機構と、を備え、前記筐体は、各面の4辺に形成された複数の補強柱を有しており、前記補強柱は、断面三角形状に形成されており、隣接する前記補強柱どうしは、前記断面三角形状の斜辺となる傾斜面で互いに面接触している点にある。
【0008】
本構成の高地トレーニングカプセルは、透明板が6面に配置された直方体で構成されているため、筐体内部が居室空間のように圧迫感がなく、透明板を介して外部を見通せることから、全体的に開放感を得ることができる。
【0009】
一方、直方体で構成される筐体は、筐体内部を減圧した際に各面の4辺に応力が集中して崩れやすいことから、強度を上げるために、各辺に高い剛性を有する高価な部材を配置する必要があった。しかしながら、本構成における筐体は、各面の4辺に形成された複数の補強柱を有しており、隣接する補強柱どうしが断面三角形状の斜辺となる傾斜面で互いに面接触していることから、この傾斜面により、筐体内部を減圧した際に各面の4辺に印加される内側に向かう応力が分散する。その結果、補強柱を比較的剛性の低い安価な部材で構成することが可能となり、4辺に高い剛性を有する高価な部材を配置する必要がなく、安価に耐久性を高めることができる。
【0010】
このように、圧迫感がなく耐久性の高い高地トレーニングカプセルを提供できた。
【0011】
他の特徴構成は、前記補強柱は、断面L字状の屈曲板部と、前記傾斜面を含む平板部とで囲まれた中空部材で構成されており、前記平板部は、両端が鋭角に屈曲された屈曲部位を有しており、当該屈曲部位の外面が前記屈曲板部の両端内面に面で固定されている点にある。
【0012】
本構成のように補強柱を中空部材で構成すれば、高地トレーニングカプセルの軽量化を図ることができる。また、本構成では、断面三角形状に形成された補強柱を屈曲板部と平板部とで構成し、平板部の両端を鋭角に屈曲させた屈曲部位と屈曲板部とを固定しているため、カプセル形状に応じた剛性の高い最適な補強柱をオーダメイドで製造できる。しかも、屈曲部位の外面が前記屈曲板部の両端内面に面で固定されているため耐久性が高く、平板部の屈曲部位を屈曲板部の内部に収容することが可能となるため美観に優れる。
【0013】
他の特徴構成は、4つの前記補強柱の内側には、格子状に配置された複数のパイプが固定されている点にある。
【0014】
本構成のように、4つの補強柱の内側に格子状に配置されたパイプを固定すれば、筐体内部を減圧した際の耐久性を更に高めることができる。
【0015】
他の特徴構成は、前記補強柱は、長尺状の三角柱の両端部が四角錐状に切断されており、前記筐体の角部は、隣接する前記補強柱どうしの各辺が互いに線接触している点にある。
【0016】
本構成における補強柱は、長尺状の三角柱の両端部が四角錐状に切断されており、隣接する補強柱どうしの各辺が互いに線接触しているため、全ての補強柱を同一形状にした状態で筐体の角部を隙間なく埋めることができる。その結果、高地トレーニングカプセルは、美観に優れたものとなり、補強柱の位置ずれを無くし、筐体内部を減圧した際の耐久性を更に高めることができる。
【0017】
他の特徴構成は、前記筐体の内部には、運動器具が収容されている点にある。
【0018】
本構成のように、筐体内部に運動器具を収容すれば、圧迫感なくトレーニングをすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】高地トレーニングカプセルの全体構成図である。
図2】筐体の斜視図である。
図3】運動室の圧力変動パターンの一例を示す図である。
図4】筐体の第一フレームの平面図である。
図5】筐体の第二フレームの平面図である。
図6】筐体の第三フレームの平面図である。
図7図5のVII-VII断面図である。
図8図5のVIII-VIII断面図である。
図9】補強柱の断面図である。
図10】筐体角部の分解斜視図である。
図11】その他の実施形態に係る補強柱の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明に係る高地トレーニングカプセルの実施形態について、図面に基づいて説明する。本実施形態では、高地トレーニングカプセルの一例として、内部に運動器具としてのトレッドミル7を収容したカプセル100として説明する。ただし、以下の実施形態に限定されることなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
【0021】
図1には、本実施形態に係るカプセル100(高地トレーニングカプセルの一例)の全体構成を示している。カプセル100は、カプセル100の全体の動作を制御する制御部1と、内部に運動室Sを形成する本体容器2(筐体の一例)と、運動室Sから排気するポンプ3(減圧機構の一例)と、運動室Sの内部に外気を導入するために開度調整可能な自動弁4(減圧機構の一例)と、運動室Sの室内圧力を検知する圧力計5と、運動室Sの室内雰囲気の二酸化炭素濃度を検知する濃度計6と、運動室Sに収容されたトレッドミル7(運動器具の一例)と、制御部1がカプセル100の動作を制御するための情報を記憶した記憶部9と、を備えている。制御部1は内部の通信線Nにより、ポンプ3や記憶部9などと通信可能に接続されている。
【0022】
制御部1は、カプセル100の中央制御装置であり、ポンプ3及び自動弁4の作動を制御する。制御部1は、記憶部9に記憶されたソフトウェアプログラムにより実現される機能部として、後述する換気量判定、圧力判定、組成判定、運動量判定等を実行する。
【0023】
使用者Hは、本体容器2に設けられた扉20aから運動室Sに入室し、運動室S内で、トレッドミル7によりランニング等の運動を行う。この際、運動室Sは、ポンプ3により減圧されており、高地の環境を模している(以下では高地環境と記載する場合がある)。使用者Hは、運動室Sの高地環境で運動することで効率よく持久力を高めることができる。
【0024】
本体容器2は、カプセル100の筐体である(図2も参照)。本体容器2の詳細については、後述する。
【0025】
本体容器2は、運動室Sを形成し、運動室Sの内部環境(内部雰囲気の気圧やガス組成)を保てる程度の気密性を有する。本体容器2には、運動室Sとは別に、ポンプ3や自動弁4、及び制御部1や記憶部9などの制御回路を収容する収容室(図示せず)を有する。運動室Sには、トレッドミル7に加えて、タッチパネル機能付のモニタ8が収容されている。
【0026】
モニタ8は、使用者Hからの動作指示などの情報の入力を受け付け、使用者Hに必要な報知を表示により行う報知装置である。モニタ8は、使用者Hが希望する運動メニュー(例えば、どのような高地環境で運動するか)や使用者Hの識別情報(例えば、ID番号)の入力を受け付け、制御部1に送信する。また、モニタ8は、制御部1の指令に基づいて、各種の情報表示を行う。
【0027】
トレッドミル7は、一定方向に走行するベルトなどの上で使用者Hがランニング等を行う運動装置である。トレッドミル7には使用者Hの運動量を計測する運動量計70が接続されている。運動量計70は、使用者Hがランニングした距離(ベルトの走行距離)と使用者Hの個人情報(例えば性別や体重)に基づいて、使用者Hの運動量を計測する。使用者Hの性別や体重は、例えばID番号と紐付けられて記憶部9に記憶されている。運動量計70は、計測した運動量を含む情報を制御部1に送信する。
【0028】
ポンプ3は、運動室Sから空気を外部へ排気して、運動室Sを減圧するための排風機である。このポンプ3は、ダイヤフラム式の真空ポンプで構成されている。ポンプ3は、単位時間当たりのダイヤフラム弁の上下(開閉)動作回数を増大もしくは減少させることで、排気量(排風量)を増大もしくは減少させ、運動室Sの内部雰囲気の真空度を増加もしくは減少させる。以下では、運動室Sの内部雰囲気の真空度を増加させることを減圧すると記載し、運動室Sの内部雰囲気の真空度を減少させる(昇圧する)ことを開放すると記載する。ポンプ3は制御部1の指令に基づいて排気量を任意に増大減少させる。
【0029】
自動弁4は、開度調節により運動室Sへ流入する外気の流入量を調節する弁装置である。自動弁4は、運動室Sと外部とを連通する排気管などに取り付けられている。本実施形態における自動弁4は、制御部1の指令に基づいて全閉から全開までの範囲で開度を無段階に調節できる比例弁である。ポンプ3が動作している状態で、自動弁4は、開度を増加もしくは減少させることで、外部から流入する空気の量を増加もしくは減少させ、運動室Sを開放もしくは減圧する。ポンプ3が停止している状態で、自動弁4の開度が全閉以外であると運動室Sは開放される。
【0030】
制御部1によるポンプ3の排気量調整と自動弁4の開度調整により、運動室Sの換気量と内圧(負圧範囲)が決定される(換気量判定及び圧力判定)。なお、換気量とは、運動室Sに単位時間あたりに供給される外気の空気量である。つまり、ポンプ3及び自動弁4により、本体容器2に形成された運動室Sの内部を大気圧以下に減圧する減圧機構が構成されている。
【0031】
図3には、運動室Sの内圧が大気圧から内圧目標の圧力まで減圧された後再び大気圧に開放される場合の圧力変動パターンを例示している。運動室Sを減圧する場合、制御部1が、例えば、自動弁4の開度を所定量絞り、かつ、換気量を維持するようにポンプ3の出力を段階的に増大させることにより、所定量だけ減圧する制御を行う。これにより、段階的(階段状に)に内圧が減少していくため、急な圧力低下による使用者Hが体調不良(例えば、耳鳴りや、いわゆる飛行機頭痛)を生じることを回避している。
【0032】
一方、運動室Sの内圧を開放する場合、制御部1は、所定量だけ自動弁4を開放する制御を行い、運動室Sの内圧が大気圧に等しくなるまで自動弁4の所定量の開放と内圧の維持とを繰り返す。そのため、内圧が開放される過程では、段階的(階段状に)に内圧が上昇する。これらより、内圧が減圧される過程と同様に使用者Hの体調不良を防止している。
【0033】
ポンプ3の排気量が自動弁4の開度に基づく供給量よりも相対的に大きい場合、運動室Sの内圧(酸素の分圧)は低く保たれる。これにより酸素の分圧は低くなる。ポンプ3の排気量が自動弁4の開度に基づく供給量よりも相対的に小さい場合、運動室Sの内圧は高くなる。これにより酸素の分圧は高く保たれる。ポンプ3の排気量と自動弁4の開度に基づく供給量とが共に大きい場合、運動室Sの換気量は大きい状態に保たれる。これにより外部からの酸素の供給量が多い状態に維持される。ポンプ3の排気量と自動弁4の開度に基づく供給量とが共に小さい場合、運動室Sの換気量は小さい状態に保たれる。これにより外部からの酸素の供給量が少ない状態に維持される。使用者Hが運動室Sで運動すると、運動室Sの酸素が消費され、運動室Sに二酸化炭素が放出される。そのため、使用者Hの運動量、すなわち、酸素消費量に合わせて制御部1が酸素の分圧や換気量を調整することで、運動室Sのガス組成を所望の値に保つようになっている(組成判定及び運動量判定)。
【0034】
圧力計5は、運動室Sの内部雰囲気の圧力を検知するセンサである。圧力計5は、検知した内圧を含む情報を制御部1に送信する。圧力計5としては、例えばダイヤフラム式圧力計を用いることができる。
【0035】
濃度計6は、運動室Sの内部雰囲気の二酸化炭素の濃度を含む情報を検知するセンサである。濃度計6は、検知した炭酸ガス濃度を含む情報を制御部1に送信する。例えば分散型赤外線吸収法による二酸化炭素ガス濃度計を濃度計6として用いることができる。本実施形態では、濃度計6から取得した炭酸ガス濃度を含む情報と、圧力計5から取得した内圧を含む情報とに基づいて、制御部1が運動室Sの酸素分圧や二酸化炭素分圧などのガス組成と相関する炭酸ガス濃度を算出する。
【0036】
記憶部9は、制御部1がカプセル100の動作を制御するためのソフトウェアプログラムや、制御部1がカプセル100の動作を制御するための各種の情報を記憶し、また記憶することができるメモリ装置である。
【0037】
[本体容器の詳細]
以下、本体容器2の詳細構成について説明する。
【0038】
図2に示すように、本体容器2は、アクリル板20(透明板の一例)が6面に配置された直方体で構成されている。本実施形態における本体容器2は、1.2m×2mの底面と2mの高さを有している。本体容器2は、6面から成るアクリル板20の各面の4辺に形成された複数(本実施形態では24個)の補強柱21を有している。また、4個の補強柱21の内側には、格子状に配置された複数の断面四角形状のパイプ22が固定されている。これら補強柱21やパイプ22の表面にアクリル板20の板面が接着や締結部材Bによるボルト締結等により固定されている。本実施形態における補強柱21及びパイプ22は、鋼材で構成されている。このように、本体容器2は、アクリル板20が6面に配置された直方体で構成されているため、筐体内部が居室空間のように圧迫感がなく、アクリル板20を介して外部を見通せることから、全体的に開放感を得ることができる。
【0039】
本体容器2は、4個の補強柱21と11個のパイプ22とを含む第一フレーム2A(図4参照)と、夫々が4個の補強柱21と24個のパイプ22とを含む2個の第二フレーム2B(図5参照)と、夫々が4個の補強柱21と14個のパイプ22とを含む3個の第三フレーム2C(図6参照)と、が締結部材B(ボルトBa、ナットBb)とで連結されて一体化されている(図7図8参照)。
【0040】
図4に示すように、第一フレーム2Aの4個の補強柱21は、上辺及び下辺に設けられた2個の第一補強柱21Aと、第一補強柱21Aよりも長く、左辺及び右辺に設けられた2個の第二補強柱21Bとで構成されている。第一フレーム2Aの11個のパイプ22は、左辺又は右辺に設けられた第二補強柱21Bに締結部材Bで一端が固定される8個の第一パイプ22aと、4個の第一パイプ22aの他端に溶接等で一側面が夫々固定された2個の第二パイプ22cと、一対の第二パイプ22cの他側面に両端が溶接等で固定された1個の第三パイプ22bとで構成されている。この第二パイプ22cの両端は、上辺及び下辺に設けられた一対の第一補強柱21Aに溶接等で固定される。一対の第二パイプ22cと第三パイプ22bと下辺の第一補強柱21Aとで囲まれた部分には、開閉可能なアクリル板20で構成される扉20aが設けられている。
【0041】
図5に示すように、第二フレーム2Bの4個の補強柱21は、上辺及び下辺に設けられた2個の第二補強柱21Bと、左辺及び右辺に設けられた2個の第二補強柱21Bとで構成されている。第二フレーム2Bの24個のパイプ22は、上辺及び下辺に設けられた一対の第二補強柱21Bに溶接等で両端が固定される4個の第二パイプ22cと、左辺及び右辺に設けられた第二補強柱21Bに溶接等で一端が固定され、第二パイプ22cの側面に溶接等で他端が固定された8個の第四パイプ22dと、一対の第二パイプ22cの側面に溶接等で両端が固定された12個の第四パイプ22dとで構成されている。
【0042】
図6に示すように、第三フレーム2Cの4個の補強柱21は、左辺及び右辺に設けられた2個の第一補強柱21Aと、上辺及び下辺に設けられた2個の第二補強柱21Bとで構成されている。第三フレーム2Cの14個のパイプ22は、左辺及び右辺に設けられた一対の第一補強柱21Aに締結部材Bで両端が固定される2個の第二パイプ22cと、上辺又は下辺に設けられた第二補強柱21Bに締結部材Bで一端が固定され、第二パイプ22cの側面に溶接等で他端が固定された8個の第五パイプ22eと、第二パイプ22cの側面に溶接等で両端が固定された4個の第五パイプ22eとで構成されている。
【0043】
第一フレーム2A、第二フレーム2B及び第三フレーム2Cの24個の補強柱21は、8個の第一補強柱21Aと16個の第二補強柱21Bとで構成されており、2種類の鋼材を用意すれば良い。第一フレーム2A、第二フレーム2B及び第三フレーム2Cの101個のパイプ22は、8個の第一パイプ22aと16個の第二パイプ22cと1個の第三パイプ22bと40個の第四パイプ22dと36個の第五パイプ22eとで構成されており、5種類の鋼材を用意すれば良い。
【0044】
図9に示すように、補強柱21は、断面が2等辺三角形から成る三角形状に形成されており、隣接する補強柱21どうしが断面三角形状の斜辺となる傾斜面21aで互いに面接触している。この補強柱21は、断面L字状の屈曲板部21bと、傾斜面21aを含む平板部21cとで囲まれた中空部材で構成されており、平板部21cは、両端が鋭角に屈曲された屈曲部位21c1を有しており、この屈曲部位21c1の外面が屈曲板部21bの両端内面に面で固定されている。屈曲部位21c1と屈曲板部21bとの固定形態は、溶接,接着等が挙げられる。本実施形態では、平板部21cの両端を曲げ加工し、平板部21cの傾斜面21aを屈曲板部21bの両端面と略面一に構成している。これにより、隣接する補強柱21どうしが隙間なく面接触している。しかも、屈曲部位21c1の外面が屈曲板部21bの両端内面に面で固定されているため耐久性が高く、平板部21cの屈曲部位21c1を屈曲板部21bの内部に収容することが可能となるため美観に優れる。
【0045】
このように、本実施形態における本体容器2は、各面の4辺に形成された複数の補強柱21を有しており、隣接する補強柱21どうしは、断面三角形状の斜辺となる傾斜面21aで互いに面接触していることから、この傾斜面21aにより、筐体内部を減圧した際に各面の4辺に印加される内側に向かう応力が分散する。その結果、補強柱21を比較的剛性の低い安価な部材で構成することが可能となり、4辺に高い剛性を有する高価な部材を配置する必要がなく、安価に耐久性を高めることができる。また、補強柱21及びパイプ22を中空部材で構成しているため、本体容器2の軽量化が図られる。
【0046】
図10に示すように、補強柱21は、長尺状の三角柱の両端部が四角錐状(一点鎖線参照)に切断されており、本体容器2の角部は、隣接する補強柱21どうしの各辺が互いに線接触している。この切断された四角錐状部位の底面は、傾斜面21aと隣接する一対の屈曲板部21bのうち内側の辺を一辺としていることから、隣接する補強柱21どうしの各辺が互いに線接触することができる。このように、一対の補強柱21が傾斜面21aで互いに面接触することにより外観が1個の角パイプとなり、夫々の補強柱21の両端部を四角錐状に切断することにより、隣接する補強柱21どうしの各辺が互いに線接触して本体容器2の角部を隙間なく形成することができる。
【0047】
つまり、本実施形態における補強柱21は、長尺状の三角柱の両端部が四角錐状に切断されており、隣接する補強柱21どうしの各辺が互いに線接触しているため、全ての補強柱21を同一形状にした状態で本体容器2の角部を隙間なく埋めることができる。その結果、カプセル100は、美観に優れたものとなり、補強柱21の位置ずれを無くし、筐体内部を減圧した際の耐久性を更に高めることができる。
【0048】
[その他の実施形態]
(1)図11に示すように、補強柱21は、断面L字状の屈曲板部21bの両端部と、平板部21cの屈曲部位21c1の両端部とを線接触させて、夫々の側面を溶接等で固定しても良い。この場合、全体が一体化された断面三角形状となるため、美観に優れる。
(2)上述した実施形態における透明板は、アクリル板20に限定されず、透明プラスチック等で構成しても良い。
(3)上述した実施形態におけるパイプ22は、断面四角形状の角パイプで構成したが、断面円形状の丸パイプで構成しても良い。
(4)上述した実施形態における補強柱21は、長尺状の三角柱の両端部を四角錐状に切断したが、補強柱21の両端部を切断せずに、本体容器2の角部を形成する別部材を用意し、この別部材に補強柱21の両端部を固定しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、高地環境下でトレーニングが可能な高地トレーニングカプセルに利用可能である。
【符号の説明】
【0050】
2 :本体容器(筐体)
3 :ポンプ(減圧機構)
4 :自動弁(減圧機構)
7 :トレッドミル(運動器具)
20 :アクリル板(透明板)
21 :補強柱
21a :傾斜面
21b :屈曲板部
21c :平板部
21c1:屈曲部位
22 :パイプ
100 :カプセル(高地トレーニングカプセル)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11