(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-04
(45)【発行日】2022-08-15
(54)【発明の名称】化合物並びにブリバラセタム(Brivaracetam)の中間体及び原薬の合成におけるその用途
(51)【国際特許分類】
C07D 307/33 20060101AFI20220805BHJP
C07D 405/12 20060101ALI20220805BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20220805BHJP
【FI】
C07D307/33 300
C07D405/12
C07B61/00 300
(21)【出願番号】P 2020571581
(86)(22)【出願日】2019-06-20
(86)【国際出願番号】 CN2019092105
(87)【国際公開番号】W WO2019242692
(87)【国際公開日】2019-12-26
【審査請求日】2020-12-17
(31)【優先権主張番号】201810651559.9
(32)【優先日】2018-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520498310
【氏名又は名称】福建▲海▼西新▲薬▼▲創▼制有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】▲馮▼ 岩
(72)【発明者】
【氏名】王 如勇
(72)【発明者】
【氏名】叶 一章
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ ▲風▼森
(72)【発明者】
【氏名】▲ゴン▼ ▲軒▼
(72)【発明者】
【氏名】王 中▲紅▼
(72)【発明者】
【氏名】康 心汕
【審査官】東 裕子
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-523633(JP,A)
【文献】国際公開第2020/143674(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第105646319(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第106432030(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第107652254(CN,A)
【文献】NAKADA, Kazuaki,Bioorg.Med.Chem.,2013年,21,4938-4950
【文献】KAZUTA, Yuji,J.Org.Chem.,2002年,67,1669-1677
【文献】KONRADOVA, Daniela,J.Org.Chem.,2018年,83(19),12229-12238
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
【化1】
に示す構造を有し、
式中、Rはハロゲン、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert-ブチル基、トリフルオロメチル基、メトキシ基、ニトロ基、シアノ基から選ばれる1つ又は複数によって、所望により置換されたC
1-C
5アルキル基、C
6-C
12アリール基又は5~12員のヘテロアリール基を表す化合物。
【請求項2】
【化2】
から選ばれる化合物であって、
式中、Rは、
【化3】
である請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
【化4】
のステップを含む請求項2に記載の化合物の製造方法。
【請求項4】
【化5】
のステップを含む請求項2に記載の化合物の製造方法。
【請求項5】
【化6】
のステップを含む請求項2に記載の化合物の製造方法。
【請求項6】
式Iの化合物からの式IIの化合物の製造では、
塩基(a)の作用で、式Iの化合物とR-エピクロロヒドリンが溶媒において反応した後、酸又は塩基(b)で処理することによって式IIの化合物を製造する請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記塩基(a)はナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、マグネシウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド、ナトリウムtert-ブトキシド、カリウムtert-ブトキシド、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウムのうちの1つ又は複数であり、
前記酸は酢酸、プロピオン酸、クエン酸、塩酸、硫酸、リン酸、硝酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸のうちの1つ又は複数から選ばれ、
前記塩基(b)は水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムのうちの1つ又は複数である請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記溶媒は水、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、tert-ブタノール、n-ブタノール、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、アセトニトリル、トルエン、ジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドンのうちの1つ又は複数から選ばれる請求項7に記載の方法。
【請求項9】
式Iの化合物からの式IIの化合物の製造では、
塩基(a)の作用で、式Iの化合物とR-エピクロロヒドリンが溶媒において反応した後、酸又は塩基(b)で処理することによって式IIの化合物を製造し、前記塩基(a)はナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、マグネシウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド、ナトリウムtert-ブトキシド、カリウムtert-ブトキシド、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウムのうちの1つ又は複数であり、前記塩基(a)の当量は1~10であり、R-エピクロロヒドリンの当量は0.1~5であり、前記溶媒は水、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、tert-ブタノール、n-ブタノール、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、アセトニトリル、トルエン、ジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルホルムアミドのうちの1つ又は複数から選ばれ、前記酸は酢酸、プロピオン酸、塩酸、硫酸のうちの1つ又は複数から選ばれ、前記塩基(b)は水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムのうちの1つ又は複数である請求項3に記載の方法。
【請求項10】
式IIの化合物からの式IIIの化合物の製造では、
非プロトン性有機溶媒で、式IIの化合物とエチル化金属試薬が反応することによって式IIIの化合物を製造する請求項4に記載の方法。
【請求項11】
前記エチル化金属試薬は臭化エチルマグネシウム、エチルマグネシウムブロミド、ジエチル亜鉛、エチルリチウム、ジエチル鉛を含む請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記エチル化金属試薬はヨウ化第一銅、シアン化第一銅又は無水塩化亜鉛と組み合わせて使用される請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記非プロトン性有機溶媒はテトラヒドロフラン(THF)、メチルテトラヒドロフラン、トルエン、ジクロロメタン、ジエチルエーテル、tert-ブチルメチルエーテルを含む請求項12に記載の方法。
【請求項14】
式IIの化合物からの式IIIの化合物の製造では、
非プロトン性有機溶媒で、式IIの化合物とエチル化金属試薬及びヨウ化第一銅、シアン化第一銅又は無水塩化亜鉛の組み合わせが反応することによって式IIIの化合物を製造し、ただし、非プロトン性有機溶媒はテトラヒドロフラン(THF)、メチルテトラヒドロフラン、トルエン、ジクロロメタン、ジエチルエーテル、tert-ブチルメチルエーテルを含み、エチル化金属試薬は臭化エチルマグネシウム、エチルマグネシウムブロミド、ジエチル亜鉛、エチルリチウム、ジエチル鉛を含み、その使用モル当量は1~5であり、ヨウ化第一銅、シアン化第一銅又は無水塩化亜鉛の使用モル当量は0.01~2である請求項4に記載の方法。
【請求項15】
【化7】
であって、
有機溶媒で、還元剤によって式IIIの化合物からスルホニル基を除去することによって式IVの化合物を製造するステップを含み、
式IIIの化合物において、Rは
【化8】
であり、
前記有機溶媒はメタノール、エタノール、イソプロパノール、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、テトラヒドロフラン、アセトニトリルのうちの1つ又は複数、又は水との混合溶媒であり、前記還元剤はMgであり、その使用モル当量は1~30であり、且つ当該還元剤は塩酸、クロロトリメチルシラン、塩化ニッケル、臭化ニッケル、ヨウ化ニッケル、酢酸、プロピオン酸、臭化メチルマグネシウム、テトラメチルエチレンジアミン、酢酸ナトリウム、酢酸カリウムのうちの1つ又は複数と組み合わせて使用される請求項2に記載の化合物を用いるブリバラセタム(Brivaracetam)の中間体の式IVの化合物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医薬中間体合成の分野に関し、具体的には、スルホニル基置換化合物及びその合成、並びにブリバラセタム(Brivaracetam)の中間体及び原薬の合成におけるその用途に関する。開示される情報は、理解を助けることのみを目的とする。開示される情報及び引用される参考文献は、本発明の先行技術を承認するものではない。引用される各参考文献は、任意の目的で全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
ブリバラセタム(Brivaracetam)は第3世代の抗てんかん薬で、新規なシナプス小胞タンパク質2A(SV2A)高親和性リガンドであり、電位依存性ナトリウムイオンチャネルに一定の抑制効果がある。2016年に、てんかん発作の治療薬としてアメリカ食品医薬品局(FDA)によって承認され、関連の研究結果でブリバラセタムは全身性てんかん発作に良好な効果があることが判明した。
【0003】
関連の文献及び特許ではブリバラセタムの複数の合成経路が報告され、そのうち(R)-4-プロピル-ジヒドロフラン-2-オンを重要なキラル中間体とするものが多い。資料を調べると、産業化が期待できる経路として次のいくつかが特定された。
【0004】
WO2016191435及びCN105646319では、それぞれ安価なR-エピクロロヒドリンをキラル源として、マロン酸ジエステルと反応させてシクロプロピル基化合物を生成し、臭化エチルマグネシウムの作用でこれを開環させた後、脱炭酸により(R)-4-プロピル-ジヒドロフラン-2-オンを得るという経路が開示された。反応経路は次のとおりである。
【化1】
【0005】
WO2016191435ではマロン酸ジエチルを原料として用い、安価で入手しやすい一方、複数回の減圧蒸留が必要であるため、高度な設備が求められる。CN105646319では、マロン酸ジフェニルを原料に用いて、前記欠点を解消しており、中間体は結晶化により精製でき、紫外線を吸收できるためHPLCにより検出できるが、原料コストが高かった。
【0006】
CN105801530では、R-2-アミノ吉草酸(D-ノルバリン)から出発し、ジアゾの臭素化及びカルボニル還元によりアルコールを得、シリル基で保護してマロン酸ジエチルと反応させた後、酸性条件下で脱炭酸による閉環で目的生成物を得る。経路は以下のとおりである。
【化2】
当該経路では、カラムクロマトグラフィーを複数回行う必要があり、しかもR-2-アミノ吉草酸は非天然アミノ酸であるため、コストが高かった。
【0007】
文献[Org.Process Res.Dev.2016,20,1566-1575]では酵素分解法が報告され、経路は以下のとおりである。
【化3】
当該方法は中間体の収率が高く、精製が不要である一方、酵素分解を用いることで、総収率が理想的ではなく、生産能率が低かった。
【0008】
CN105837535及びCN106008411では、それぞれキラルなオキサゾロンをキラル補助試薬として(R)-4-プロピル-ジヒドロフラン-2-オンを合成する方法が開示された。経路は以下のとおりである。
【化4】
当該経路では、超低温反応が必要で、高度な設備が求められ、しかも多段階反応の中間体が油状物であるため、結晶化による精製が不可能で、カラムクロマトグラフィーによる精製が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】PCT国際出願第WO2016191435A1号
【文献】中国公開特許第CN105646319A号
【文献】中国公開特許第CN105801530号
【文献】中国公開特許第CN105837535号
【文献】中国公開特許第CN106008411号
【非特許文献】
【0010】
【文献】Org.Process Res.Dev.2016,20,1566-1575.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述したように、従来の合成方法では、含まれるのが紫外線を吸收しない液体の中間体がほとんどで、精製しにくく、検出及び品質管理が難しく、あるいは合成コストが高く、特殊な設備を使用するカラムクロマトグラフィーにより、異性体の分離及び精製を行う必要があるので、いずれも大規模な工業生産に向かない。本発明は、従来の経路に存在する問題を克服するために、3-スルホニル基置換4-プロピル-ジヒドロフラン-2-オンの製造方法、ブリバラセタム(Brivaracetam)の中間体(R)-4-プロピル-ジヒドロフラン-2-オン及び原薬の合成におけるその用途を提供することを目的とする。当該方法は新規性を有し、合成経路が短く、原料が入手しやすく、プロセスがシンプルで、中間体の検出及び品質管理が行いやすく、従来の合成プロセスと比べ、コストの面でもプロセスの面でも優位性を有し、特にブリバラセタム(Brivaracetam)原薬の工業生産に適する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は式IIIの化合物を提供し、当該化合物をブリバラセタム(Brivaracetam)原薬の製造に用いることができる。
【化5】
の構造を有する化合物であって、
式中、Rは所望により置換されたもしくは非置換のC
1-C
5アルキル基、所望により置換されたもしくは非置換のC
6-C
12アリール基又は所望により置換されたもしくは非置換の5~12員のヘテロアリール基から選ばれる化合物である。
【0013】
任意の実施形態又は全ての実施形態では、置換基は選択対象として示されるものの一部から選ばれてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、Rは所望により置換された又は非置換のフェニル基、所望により置換された又は非置換のナフチル基、所望により置換された又は非置換のピリジル基もしくはキノリニル基から選ばれ、いくつかの更なる実施形態では、Rは所望により置換された又は非置換のフェニル基から選ばれる。
【0014】
いくつかの実施形態では、Rは所望により置換された又は非置換のフェニル基、所望により置換された又は非置換のナフチル基、所望により置換された又は非置換のピリジル基もしくはキノリニル基から選ばれ、Rの水素は1つ以上のR3によって置換されてもよく、R3はハロゲン、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert-ブチル基、トリフルオロメチル基、メトキシ基、ニトロ基、シアノ基から選ばれる。いくつかの更なる実施形態では、Rは所望により置換された又は非置換のフェニル基から選ばれ、Rの水素は1つ以上のR3によって置換されてもよく、R3はハロゲン、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert-ブチル基、トリフルオロメチル基、メトキシ基、ニトロ基、シアノ基から選ばれる。
【0015】
具体的には、本発明の化合物は、
【化6】
であって、
式中、Rは、
【化7】
である化合物から選ばれる任意の1つであることが好ましい。
【0016】
本願は、
【化8】
であって、
ただし、Rは所望により置換されたもしくは非置換のC
1-C
5アルキル基、所望により置換されたもしくは非置換のC
6-C
12アリール基又は所望により置換されたもしくは非置換の5~12員のヘテロアリール基から選ばれ、R
2はシアノ基、エステル基から選ばれるステップを含む式IIIの化合物の製造方法を提供する。
【0017】
いくつかの具体的な実施形態では、Rは所望により置換されたもしくは非置換のC1-C5アルキル基、所望により置換されたもしくは非置換のC6-C12アリール基又は所望により置換されたもしくは非置換の5~12員のヘテロアリール基から選ばれ、R2はシアノ基、C(O)OCH3、C(O)OCH2CH3、C(O)OC(CH3)3から選ばれる。いくつかのより具体的な実施形態では、Rは置換されたもしくは非置換のC1-C5アルキル基、所望により置換されたもしくは非置換のC6-C12アリール基又は所望により置換されたもしくは非置換の5~12員のヘテロアリール基から選ばれ、R2はシアノ基に選ばれる。
いくつかの具体的な実施形態では、Rは所望により置換された又は非置換のフェニル基、所望により置換された又は非置換のナフチル基、所望により置換された又は非置換のピリジル基もしくはキノリニル基から選ばれ、R2はシアノ基、C(O)OCH3、C(O)OCH2CH3、C(O)OC(CH3)3から選ばれる。いくつかのより具体的な実施形態では、Rは所望により置換された又は非置換のフェニル基、所望により置換された又は非置換のナフチル基、所望により置換された又は非置換のピリジル基もしくはキノリニル基から選ばれ、R2はシアノ基に選ばれる。
【0018】
いくつかの具体的な実施形態では、Rは所望により置換された又は非置換のフェニル基から選ばれ、R2はシアノ基、C(O)OCH3、C(O)OCH2CH3、C(O)OC(CH3)3から選ばれ、いくつかのより具体的な実施形態では、Rは所望により置換された又は非置換のフェニル基から選ばれ、R2はシアノ基に選ばれる。
【0019】
いくつかの実施形態では、Rは所望により置換された又は非置換のフェニル基、所望により置換された又は非置換のナフチル基、所望により置換された又は非置換のピリジル基もしくはキノリニル基から選ばれ、Rの水素は1つ以上のR3によって置換されてもよく、R3はハロゲン、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert-ブチル基、トリフルオロメチル基、メトキシ基、ニトロ基、シアノ基から選ばれ、R2はシアノ基、C(O)OCH3、C(O)OCH2CH3、C(O)OC(CH3)3から選ばれる。いくつかの更なる実施形態では、Rは所望により置換された又は非置換のフェニル基、所望により置換された又は非置換のナフチル基、所望により置換された又は非置換のピリジル基もしくはキノリニル基から選ばれ、Rの水素は1つ以上のR3によって置換されてもよく、R3はハロゲン、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert-ブチル基、トリフルオロメチル基、メトキシ基、ニトロ基、シアノ基から選ばれ、R2はシアノ基に選ばれる。
【0020】
いくつかのより具体的な実施形態では、Rは所望により置換された又は非置換のフェニル基から選ばれ、且つRは1つ以上のR3によって置換されてもよく、ただし、R3はハロゲン、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert-ブチル基、トリフルオロメチル基、メトキシ基、ニトロ基、シアノ基から選ばれ、R2はシアノ基、C(O)OCH3、C(O)OCH2CH3、C(O)OC(CH3)3から選ばれる。いくつかの一層具体的な実施形態では、Rは所望により置換された又は非置換のフェニル基から選ばれ、且つRは1つ以上のR3によって置換されてもよく、ただし、R3はハロゲン、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert-ブチル基、トリフルオロメチル基、メトキシ基、ニトロ基、シアノ基から選ばれ、R2はシアノ基に選ばれる。
【0021】
具体的には、本発明に係る式IIIの化合物の製造方法において、Rは、
【化9】
から選ばれる任意の1つであることが好ましく、
R
2はシアノ基、C(O)OCH
3、C(O)OCH
2CH
3、C(O)OC(CH
3)
3から選ばれ、シアノ基に選ばれることが好ましい。これに応じて、いくつかの具体的な実施形態では、好ましい式IIIの化合物の合成方法は、
【化10】
のステップを含む。
【0022】
これに応じて、別のいくつかの具体的な実施形態では、好ましい式IIIの化合物の合成方法は、
【化11】
のステップを含む。
【0023】
これに応じて、具体的には、いくつかの具体的な実施形態では、好ましい式IIIの化合物の合成方法は、
【化12】
のステップを含む。
【0024】
当業者に理解されるように、当業者であれば、前記合成経路を踏まえ、常識及び通常の技術的手段を利用して、本分野で既知の原料及び合成方法を適切に選択して所望の生成物を得ることができる。
【0025】
具体的な一実施形態では、各反応ステップの反応条件は以下に記載されるとおりであってもよい。
式Iの化合物からの式IIの化合物の製造では、
塩基(a)の作用で、式Iの化合物とR-エピクロロヒドリンが溶媒において反応した後、酸又は塩基(b)で処理することによって式IIの化合物を製造する。
【0026】
具体的には、いくつかの実施形態では、塩基(a)はナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、マグネシウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド、ナトリウムtert-ブトキシド、カリウムtert-ブトキシド、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウムのうちの1つ又は複数である。
【0027】
いくつかの実施形態では、塩基(a)はナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、マグネシウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド、ナトリウムtert-ブトキシド、カリウムtert-ブトキシド、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウムのうちの1つ又は複数であり、酸は酢酸、プロピオン酸、クエン酸、塩酸、硫酸、リン酸、硝酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸のうちの1つ又は複数から選ばれる。
【0028】
いくつかの更なる実施形態では、塩基(a)はナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、マグネシウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド、ナトリウムtert-ブトキシド、カリウムtert-ブトキシド、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウムのうちの1つ又は複数であり、酸は酢酸、プロピオン酸、塩酸、硫酸のうちの1つ又は複数から選ばれる。
【0029】
いくつかの一層更なる実施形態では、塩基(a)はナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、マグネシウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド、ナトリウムtert-ブトキシド、カリウムtert-ブトキシド、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウムのうちの1つ又は複数であり、酸は酢酸、プロピオン酸、塩酸、硫酸のうちの1つ又は複数から選ばれ、塩基(b)は水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムのうちの1つ又は複数である。
【0030】
いくつかのより一層更なる実施形態では、塩基(a)はナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、マグネシウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド、ナトリウムtert-ブトキシド、カリウムtert-ブトキシド、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウムのうちの1つ又は複数であり、酸は酢酸、プロピオン酸、塩酸、硫酸のうちの1つ又は複数から選ばれ、塩基(b)は水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムのうちの1つ又は複数であり、溶媒は水、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、tert-ブタノール、n-ブタノール、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、アセトニトリル、トルエン、ジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドンのうちの1つ又は複数から選ばれる。
【0031】
いくつかの好ましい具体的な実施形態では、塩基(a)はナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、マグネシウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド、ナトリウムtert-ブトキシド、カリウムtert-ブトキシド、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウムのうちの1つ又は複数であり、塩基(a)の当量は1~10であり、酸は酢酸、プロピオン酸、塩酸、硫酸のうちの1つ又は複数から選ばれ、塩基(b)は水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムのうちの1つ又は複数であり、溶媒は水、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、tert-ブタノール、n-ブタノール、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、アセトニトリル、トルエン、ジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドンのうちの1つ又は複数から選ばれる。
【0032】
いくつかのより好ましい具体的な実施形態では、塩基(a)はナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、マグネシウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド、ナトリウムtert-ブトキシド、カリウムtert-ブトキシド、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウムのうちの1つ又は複数であり、塩基(a)の当量は1~10であり、R-エピクロロヒドリンの当量は0.1~5であり、酸は酢酸、プロピオン酸、塩酸、硫酸のうちの1つ又は複数から選ばれ、塩基(b)は水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムのうちの1つ又は複数であり、溶媒は水、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、tert-ブタノール、n-ブタノール、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、アセトニトリル、トルエン、ジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドンのうちの1つ又は複数から選ばれる。
【0033】
いくつかのより具体的な実施形態では、式Iの化合物からの好ましい式IIIの化合物の製造では、
塩基(a)の作用で、式Iの化合物とR-エピクロロヒドリンが溶媒において反応した後、酸又は塩基(b)で処理することによって式IIの化合物を製造する。前記塩基(a)はナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、マグネシウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド、ナトリウムtert-ブトキシド、カリウムtert-ブトキシド、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウムのうちの1つ又は複数であり、塩基(a)の当量は1~10であり、R-エピクロロヒドリンの当量は0.1~5であり、前記溶媒は水、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、tert-ブタノール、n-ブタノール、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、アセトニトリル、トルエン、ジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルホルムアミドのうちの1つ又は複数から選ばれ、前記酸は酢酸、プロピオン酸、塩酸、硫酸のうちの1つ又は複数から選ばれ、前記塩基(b)は水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムのうちの1つ又は複数である。
【0034】
式IIの化合物からの式IIIの化合物の製造では、
非プロトン性有機溶媒で、式IIの化合物とエチル化金属試薬が反応することによって式IIIの化合物を製造する。
【0035】
いくつかの実施形態では、エチル化金属試薬は臭化エチルマグネシウム、エチルマグネシウムブロミド、ジエチル亜鉛、エチルリチウム、ジエチル鉛を含む。
【0036】
いくつかの更なる実施形態では、エチル化金属試薬は臭化エチルマグネシウム、エチルマグネシウムブロミド、ジエチル亜鉛、エチルリチウム、ジエチル鉛を含み、エチル化金属試薬はヨウ化第一銅、シアン化第一銅又は無水塩化亜鉛と組み合わせて使用される。
【0037】
いくつかの一層更なる実施形態では、エチル化金属試薬は臭化エチルマグネシウム、エチルマグネシウムブロミド、ジエチル亜鉛、エチルリチウム、ジエチル鉛を含み、エチル化金属試薬はヨウ化第一銅、シアン化第一銅又は無水塩化亜鉛と組み合わせて使用され、非プロトン性有機溶媒はテトラヒドロフラン(THF)、メチルテトラヒドロフラン、トルエン、ジクロロメタン、ジエチルエーテル、tert-ブチルメチルエーテルを含む。
【0038】
いくつかのまた一層更なる実施形態では、エチル化金属試薬は臭化エチルマグネシウム、エチルマグネシウムブロミド、ジエチル亜鉛、エチルリチウム、ジエチル鉛を含み、その使用モル当量は1~5であり、エチル化金属試薬はヨウ化第一銅、シアン化第一銅又は無水塩化亜鉛と組み合わせて使用され、非プロトン性有機溶媒はテトラヒドロフラン(THF)、メチルテトラヒドロフラン、トルエン、ジクロロメタン、ジエチルエーテル、tert-ブチルメチルエーテルを含む。
【0039】
いくつかの好ましい具体的な実施形態では、エチル化金属試薬は臭化エチルマグネシウム、エチルマグネシウムブロミド、ジエチル亜鉛、エチルリチウム、ジエチル鉛を含み、その使用モル当量は1~5であり、エチル化金属試薬はヨウ化第一銅、シアン化第一銅又は無水塩化亜鉛と組み合わせて使用され、且つその使用モル当量は0.01~2であり、非プロトン性有機溶媒はテトラヒドロフラン(THF)、メチルテトラヒドロフラン、トルエン、ジクロロメタン、ジエチルエーテル、tert-ブチルメチルエーテルを含む。
【0040】
更なる具体的な実施形態では、式IIの化合物からの好ましい式IIIの化合物の製造では、
非プロトン性有機溶媒で、式IIの化合物とエチル化金属試薬及びヨウ化第一銅、シアン化第一銅又は無水塩化亜鉛の組み合わせが反応することによって式IIIの化合物を製造し、ただし、非プロトン性有機溶媒はテトラヒドロフラン(THF)、メチルテトラヒドロフラン、トルエン、ジクロロメタン、ジエチルエーテル、tert-ブチルメチルエーテルを含み、エチル化金属試薬は臭化エチルマグネシウム、エチルマグネシウムブロミド、ジエチル亜鉛、エチルリチウム、ジエチル鉛を含み、その使用モル当量は1~5であり、ヨウ化第一銅、シアン化第一銅又は無水塩化亜鉛の使用モル当量は0.01~2である。
【0041】
式IIIの化合物をブリバラセタム(Brivaracetam)の重要な中間体、式IVの化合物の製造に用いることができる。反応経路は以下のとおりである。
【化13】
【0042】
具体的な一実施形態では、当該反応ステップの反応条件は、有機溶媒で、還元剤によって式IIIの化合物からスルホニル基を除去することによって式IVの化合物を製造することであってもよい。
【0043】
いくつかの実施形態では、有機溶媒はメタノール、エタノール、イソプロパノール、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、テトラヒドロフラン、アセトニトリルのうちの1つ又は複数、又は水との混合溶媒である。
【0044】
いくつかの更なる実施形態では、有機溶媒はメタノール、エタノール、イソプロパノール、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、テトラヒドロフラン、アセトニトリルのうちの1つ又は複数、又は水との混合溶媒であり、還元剤は活性金属又はその塩、水素化スズ、遷移金属から選ばれる。
【0045】
いくつかの一層更なる実施形態では、有機溶媒はメタノール、エタノール、イソプロパノール、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、テトラヒドロフラン、アセトニトリルのうちの1つ又は複数、又は水との混合溶媒であり、還元剤はMg、Ca、Al、Zn、Ni、Sm、SmI2から選ばれる。
【0046】
いくつかの具体的な実施形態では、有機溶媒はメタノール、エタノール、イソプロパノール、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、テトラヒドロフラン、アセトニトリルのうちの1つ又は複数、又は水との混合溶媒であり、還元剤は活性金属又はその塩、水素化スズ、遷移金属から選ばれ、還元剤はHg、I2、ルイス酸もしくはルイス塩基のうちの1つ又は複数と組み合わせて使用される。
【0047】
いくつかのより具体的な実施形態では、有機溶媒はメタノール、エタノール、イソプロパノール、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、テトラヒドロフラン、アセトニトリルのうちの1つ又は複数、又は水との混合溶媒であり、還元剤はMg、Ca、Al、Zn、Ni、Sm、SmI2から選ばれ、還元剤はHg、I2、ルイス酸もしくはルイス塩基のうちの1つ又は複数と組み合わせて使用される。
【0048】
いくつかの一層具体的な実施形態では、有機溶媒はメタノール、エタノール、イソプロパノール、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、テトラヒドロフラン、アセトニトリルのうちの1つ又は複数、又は水との混合溶媒であり、還元剤は活性金属又はその塩、水素化スズ、遷移金属から選ばれ、還元剤はHg、I2、ルイス酸もしくはルイス塩基のうちの1つ又は複数と組み合わせて使用され、ただし、前記ルイス酸は塩酸、塩化アンモニウム、クロロトリメチルシラン、四塩化チタン、塩化ニッケル、臭化ニッケル、ヨウ化ニッケル、酢酸、プロピオン酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、クエン酸等から選ばれる。
【0049】
いくつかのより一層具体的な実施形態では、有機溶媒はメタノール、エタノール、イソプロパノール、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、テトラヒドロフラン、アセトニトリルのうちの1つ又は複数、又は水との混合溶媒であり、還元剤はMg、Ca、Al、Zn、Ni、Sm、SmI2から選ばれ、還元剤はHg、I2、ルイス酸もしくはルイス塩基のうちの1つ又は複数と組み合わせて使用され、ただし、前記ルイス酸は塩酸、塩化アンモニウム、クロロトリメチルシラン、四塩化チタン、塩化ニッケル、臭化ニッケル、ヨウ化ニッケル、酢酸、プロピオン酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、クエン酸等から選ばれる。
【0050】
いくつかの更なる具体的な実施形態では、有機溶媒はメタノール、エタノール、イソプロパノール、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、テトラヒドロフラン、アセトニトリルのうちの1つ又は複数、又は水との混合溶媒であり、還元剤は活性金属又はその塩、水素化スズ、遷移金属から選ばれ、還元剤はHg、I2、ルイス酸もしくはルイス塩基のうちの1つ又は複数と組み合わせて使用され、ただし、前記ルイス酸は塩酸、塩化アンモニウム、クロロトリメチルシラン、四塩化チタン、塩化ニッケル、臭化ニッケル、ヨウ化ニッケル、酢酸、プロピオン酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、クエン酸等から選ばれ、前記ルイス塩基はアンモニア、臭化メチルマグネシウム、テトラメチルエチレンジアミン、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム等を含む。
【0051】
いくつかのより一層更なる具体的な実施形態では、有機溶媒はメタノール、エタノール、イソプロパノール、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、テトラヒドロフラン、アセトニトリルのうちの1つ又は複数、又は水との混合溶媒であり、還元剤はMg、Ca、Al、Zn、Ni、Sm、SmI2から選ばれ、還元剤はHg、I2、ルイス酸もしくはルイス塩基のうちの1つ又は複数と組み合わせて使用され、ただし、前記ルイス酸は塩酸、塩化アンモニウム、クロロトリメチルシラン、四塩化チタン、塩化ニッケル、臭化ニッケル、ヨウ化ニッケル、酢酸、プロピオン酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、クエン酸等から選ばれ、前記ルイス塩基はアンモニア、臭化メチルマグネシウム、テトラメチルエチレンジアミン、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム等を含む。
【0052】
いくつかの更なる具体的な実施形態では、有機溶媒はメタノール、エタノール、イソプロパノール、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、テトラヒドロフラン、アセトニトリルのうちの1つ又は複数、又は水との混合溶媒であり、還元剤は活性金属又はその塩、水素化スズ、遷移金属から選ばれ、その使用モル当量は1~30であり、還元剤はHg、I2、ルイス酸もしくはルイス塩基のうちの1つ又は複数と組み合わせて使用され、ただし、前記ルイス酸は塩酸、塩化アンモニウム、クロロトリメチルシラン、四塩化チタン、塩化ニッケル、臭化ニッケル、ヨウ化ニッケル、酢酸、プロピオン酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、クエン酸等から選ばれ、前記ルイス塩基はアンモニア、臭化メチルマグネシウム、テトラメチルエチレンジアミン、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム等を含む。
【0053】
いくつかの一層更なる具体的な実施形態では、有機溶媒はメタノール、エタノール、イソプロパノール、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、テトラヒドロフラン、アセトニトリルのうちの1つ又は複数、又は水との混合溶媒であり、還元剤はMg、Ca、Al、Zn、Ni、Sm、SmI2から選ばれ、その使用モル当量は1~30であり、還元剤はHg、I2、ルイス酸もしくはルイス塩基のうちの1つ又は複数と組み合わせて使用され、ただし、前記ルイス酸は塩酸、塩化アンモニウム、クロロトリメチルシラン、四塩化チタン、塩化ニッケル、臭化ニッケル、ヨウ化ニッケル、酢酸、プロピオン酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、クエン酸等から選ばれ、前記ルイス塩基はアンモニア、臭化メチルマグネシウム、テトラメチルエチレンジアミン、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム等を含む。
【0054】
具体的には、いくつかの好ましい具体的な実施形態では、式IIIの化合物からの式IVの化合物の製造では、
有機溶媒で、還元剤によって式IIIの化合物からスルホニル基を除去することによって式IVの化合物を製造し、ただし、有機溶媒はメタノール、エタノール、イソプロパノール、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、テトラヒドロフラン、アセトニトリルのうちの1つ又は複数、又は水との混合溶媒であり、前記還元剤はMgであり、その使用モル当量は1~30であり、且つ当該還元剤は塩酸、クロロトリメチルシラン、塩化ニッケル、臭化ニッケル、ヨウ化ニッケル、酢酸、プロピオン酸、臭化メチルマグネシウム、テトラメチルエチレンジアミン、酢酸ナトリウム、酢酸カリウムのうちの1つ又は複数と組み合わせて使用される。
【0055】
具体的には、いくつかのより好ましい具体的な実施形態では、好ましい式IIIの化合物から式IVの化合物を製造する。
【化14】
【0056】
有機溶媒で、還元剤によって式IIIの化合物からスルホニル基を除去することによって式IVの化合物を製造し、ただし、前記有機溶媒はメタノール、エタノール、イソプロパノール、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、テトラヒドロフラン、アセトニトリルのうちの1つ又は複数、又は水との混合溶媒であり、前記還元剤はMgであり、その使用モル当量は1~30であり、且つ当該還元剤は塩酸、クロロトリメチルシラン、塩化ニッケル、臭化ニッケル、ヨウ化ニッケル、酢酸、プロピオン酸、臭化メチルマグネシウム、テトラメチルエチレンジアミン、酢酸ナトリウム、酢酸カリウムのうちの1つ又は複数と組み合わせて使用される。
【0057】
上述した内容から、従来技術と比べ、本発明が次の利点を有することがわかる。本発明は3-スルホニル基置換4-プロピル-ジヒドロフラン-2-オンの製造方法を提供し、ブリバラセタム(Brivaracetam)の中間体、(R)-4-プロピル-ジヒドロフラン-2-オン及び原薬の合成に用いる。当該方法は合成経路が短く、原料が入手しやすく、中間体の結晶化が可能で、プロセスがシンプルで、操作しやすいため、工業生産に適する。
【0058】
(関連の定義及び用語)
特段の説明がない限り、本明細書及び特許請求の範囲で使用される次の用語は次に記載の意味を有する。ここで定義される変数(例えば、R)は、その使用範囲が本明細書に限定され、本明細書と異なる意味での使用を認めるものではない。なお、ここで定義された基の多くは選択的に置換されてもよい。定義の部分で示される典型的な置換基は、あくまでも例示的なものに過ぎず、本明細書及び特許請求の範囲で他に定義された置換基を限定するものではない。
【0059】
【0060】
Cm-Cnとは、m~n個の炭素原子を含むことである。
【0061】
「アルキル基」とは、1から20個の炭素原子、好ましくは1から12個の炭素原子、より好ましくは1から8個の炭素原子を含み、又は1から6個の炭素原子、もしくは1から4個の炭素原子からなる直鎖基及び分岐基である、飽和脂肪族炭化水素基である。特に、「低級アルキル基」とは、1から4個の炭素原子を有するアルキル基である。アルキル基の例は、メチル基、トリフルオロメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基等を含む。アルキル基は置換されてもよいし、置換されなくてもよい。典型的な置換基はシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、ヘテロシクロアルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、シアノ基、ハロ基、カルボニル基、チオカルボニル基、O-カルバモイル基、N-カルバモイル基、O-チオカルバモイル基、N-チオカルバモイル基、C-アミド基、N-アミド基、C-カルボキシル基、O-カルボキシル基、ニトロ基、シリル基、アミノ基、-NRxRyを含み、ただし、Rx、Ryは独立的に、水素、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、カルボニル基、アセチル基、スルホニル基、トリフルオロメタンスルホニル基及びこれらの組み合わせを含む5員又は6員の複数環式基から選ばれる。
【0062】
「アリール基」とは、完全に共役したπ電子系を有する、6から12個の炭素原子からなる全炭素単環式基又は縮合多環式基である。アリール基の非限定的な例は、フェニル基、ナフチル基、アントリル基である。アリール基は置換されてもよいし、置換されなくてもよい。典型的な置換基にはハロ基、トリハロメチル基、アルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、シアノ基、ニトロ基、カルボニル基、チオカルボニル基、C-カルボキシル基、O-カルバモイル基、N-カルバモイル基、O-チオカルバモイル基、N-チオカルバモイル基、C-アミド基、N-アミド基、スルフィニル基、スルホニル基、アミノ基、-NRxRyを含む。
【0063】
「ヘテロアリール基」とは、N、O及びSから選ばれる1個、2個、3個又は4個の環上ヘテロ原子を有し、他の環上原子がCである5から12個の環上原子を有し、且つ完全に共役したπ電子系を有する単環又は縮合環である。非置換ヘテロアリール基の非限定的な例は、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピリミジン、キノリン、イソキノリン、プリン、テトラゾール,トリアジン、カルバゾールである。ヘテロアリール基は置換されてもよいし置換されなくてもよい。典型的な置換基にはハロ基、トリハロメチル基、アルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、シアノ基、ニトロ基、カルボニル基、チオカルボニル基、C-カルボキシル基、O-カルバモイル基、N-カルバモイル基、O-チオカルバモイル基、N-チオカルバモイル基、C-アミド基、N-アミド基、スルフィニル基、スルホニル基、アミノ基、-NRxRyを含む。
【0064】
「シアノ基」とは、-C≡Nである。
【0065】
「ニトロ基」とは、-NO2である。
【0066】
用語「ヘテロ原子」とは、炭素、水素以外の原子である。一般に、ヘテロ原子は独立的に、酸素、硫黄、窒素、ケイ素、リンから選ばれるが、これらに限定されない。2つ以上のヘテロ原子が存在する実施形態では、当該2つ以上のヘテロ原子は全てが同じでもよいし、一部又は全てが異なってもよい。
【0067】
用語「所望により置換された」又は「置換された」とは、対象となる基は1つ以上の基によって置換されてもよいことであり、前記基はそれぞれ独立的に、アルキル基、ヘテロアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、ヘテロシクロアルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルスルホキシド、アリールスルホキシド、アルキルスルホン、アリールスルホン、シアノ基、ハロゲン、カルボキシル基、ニトロ基、ハロアルキル基、ハロアルキル基、アミノ基(モノアミノ基、二置換アミノ基及びこれによって保護された誘導体を含む)から選ばれる。
【0068】
本明細書では、化合物の化学名称が化学構造式と一意でない場合に、当該化合物が化学構造式によって定義される。本明細書で説明される化合物は1つ以上のキラル中心、及び/又は二重結合あるいは類似の構造を含む場合があり、立体異性体(二重結合を含む異性体(例えば幾何異性体)、エナンチオマー及びジアステレオマー)が存在する場合もある。これに応じて、本明細書で説明される任意の化学構造では、部分的に又は全体に前記構造が含まれる場合に、対象化合物の全ての可能なエナンチオマー及びジアステレオマーが含まれ、また任意の単純な立体異性体(例えば、単純な幾何異性体、単純なエナンチオマー又は単純なジアステレオマー)及びこれらの異性体の任意の混合物も含まれる。当業者が異なる分離手法又はキラル分子合成方法を用いて、ラセミ体及び前記立体異性体の混合物をその成分エナンチオマー又は立体異性体に分割することができる。
【0069】
式IIIの化合物には、非限定的に当該化合物の光学異性体、ラセミ体及び/又は他の混合物が含まれる。この場合に、その中の単一のエナンチオマー又はジアステレオマー(例えば、光学的特性を有する異性体)は、不斉合成又はラセミ体分割によって得られる。ラセミ体の分割は、通常の分割補助試薬による再結晶、又はクロマトグラフィー(キラル高圧液体クロマトグラフィー(HPLC))により実現できる。また、式IIIの化合物には、二重結合を有するシス及び/又はトランス異性体が含まれる。式IIIに示す化合物で、互変異性体(tautomers)が存在する場合に、当該化合物の全ての互変異性体の形態(tautomeric forms)も本発明に含まれる。
【発明を実施するための形態】
【0070】
次に、非限定的にいくつかの実施例を用いて、本発明の化合物の製造方法を更に説明する。
【0071】
下記実施例は、当業者が本発明を深く理解できるように、本発明の具体的な実施形態を説明するものであり、何らかの形で本発明を限定するものではない。本発明の具体的な実施形態では、特に説明が付されない技術的手段又は方法等は本分野の通常の技術的手段又は方法等である。
【0072】
次の実施例で、使用される化学試薬はいずれも市販製品である。
【0073】
本発明の例示的な実施形態では、式IIIの化合物の合成及びそれを用いるブリバラセタム(Brivaracetam)の重要な中間体、(R)-4-プロピル-ジヒドロフラン-2-オンの製造の経路は以下のとおりである。
【化16】
前記合成経路では、例えば、ニーズに応じて具体的な反応条件を変更し、又は特定の1つのステップもしくは複数のステップを調整するなど、当業者が前記合成経路に対して変更することができ、本発明の趣旨から逸脱せずに行った変更であれば、いずれも本願の保護範囲に含まれる。
【0074】
実施例1:式IIの化合物の製造
機械的攪拌機能を備える100mL三つ口フラスコに式Iの化合物(5.1mmol)、メタノール30mLを加え、室温下で攪拌する。ナトリウムメトキシド(1.10g,20.4mmol)を数回に分けて加え、温度を35~40℃に上げて、10分間攪拌する。温度を20~25℃に下げて、約10分間でR-エピクロロヒドリン(0.71g,0.97mmol)を加える。内部温度を50~55℃に上げて、4時間攪拌する。水5mLと酢酸5mLの混合溶媒を加え、15時間攪拌する。反応液に水20mL及びジクロロメタン30mLを加えて抽出し、ジクロロメタンで水相を抽出し(30mL×2)、有機相を合わせる。飽和炭酸水素ナトリウム溶液で2回洗浄し(15mL×2)、無水硫酸ナトリウムで有機相を乾燥し、溶媒のほとんどを減圧除去した後、エタノールによる結晶化又はカラムクロマトグラフィーにより精製して、表1に示す式IIの化合物を得る。
【0075】
【0076】
実施例2:式IIIの化合物の製造
機械的攪拌機能を備える100mL三つ口フラスコにテトラヒドロフラン(10mL)及びヨウ化第一銅(224mg,1.18mmol)を加え、温度を-45~50℃に下げて、約1時間でエチルマグネシウムブロミド(2.1mL,4.2mmol)を滴加する。次に、温度を-5℃に上げて引き続き1時間攪拌した後、式IIの化合物(1.49mmol)のテトラヒドロフラン(5mL)溶液を、温度を-5~-10℃に保持して、45分間で滴加する。15分間後、飽和塩化アンモニウム水溶液(5mL)を徐々に加え、さらにMTBE(5mL)を加え、2.5時間攪拌する。静置して層化後、有機相を回収し、MTBE 10mLで水相を抽出して、有機相を合わせ、水で洗浄し(10mL×2)、飽和食塩水で洗浄し(10mL)、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、吸引ろ過、濃縮して、適量の体積のエタノールを加えて均一に混合し、再び濃縮する。粗生成物はエタノールによるパルプ化又はカラムクロマトグラフィーにより精製する。重量が変わらないまで真空乾燥して、表2に示す式IIIの化合物を得る。
【0077】
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【表2-4】
【0078】
実施例3:式II-2の化合物の製造
反応フラスコにおいて、フェニルスルホニルアセトニトリル(500mg,2.8mmol)、水酸化ナトリウム(276mg,6.9mmol)、テトラn-ブチルアンモニウム硫酸水素塩(50mg)をトルエン/水(v/v,5/5mL)に加え、15分間攪拌した後、R-エピクロロヒドリン(381mg,4.1mmol)を加え、100℃で1時間攪拌する。その後、濃塩酸1mLを加えて引き続き3時間攪拌し、ジクロロメタン10mLを加えて希釈し、有機層を分離して、乾燥、濃縮する。カラムクロマトグラフィーによって生成物を精製して白色固体を得る。収率は25.7%である。
【0079】
実施例4:式II-2の化合物の製造
機械的攪拌機能を備える5.0L三つ口フラスコにフェニルスルホニルアセトニトリル(92.4g,0.51mol)、ナトリウムエトキシド(436.0g,20%エタノール溶液)を加え、15~20℃下で30分間攪拌する。約10分間でR-エピクロロヒドリン(70.7g,0.97mol)を滴加する。内部温度を50~55℃に上げて、約1時間反応させ、濃縮し、tert-ブチルメチルエーテル1.0L、水0.5L、水酸化ナトリウム51gを加え、1時間攪拌して層化後、水相を回収する。濃酸で水相をpH約1に調整して、50℃で15時間攪拌する。tert-ブチルメチルエーテルで水相を抽出し(300mL×3)、有機相を回収する。飽和炭酸水素ナトリウム0.5L、水0.5Lをこの順に使用して有機相を洗浄する。濃縮して、残留物にエタノール400mLを加えて結晶化させ、吸引ろ過して式II-2の化合物として固体56.7gを得る。収率は46.7%である。
【0080】
実施例5:式II-3の化合物の製造
機械的攪拌機能を備える2.0L三つ口フラスコにp-トルエンスルホニルアセトニトリル(100.0g,0.51mol)、ナトリウムエトキシド(436.0g,20%エタノール溶液)を加え、20℃下で30分間攪拌する。約10分間でR-エピクロロヒドリン(70.7g,0.97mol)を加える。内部温度を50~55℃に上げて、1時間反応させ、濃縮して、tert-ブチルメチルエーテル1.0L、水0.5L、水酸化ナトリウム51gを加え、1時間攪拌して層化後、水相を回収する。濃酸で水相をpH約1に調整し、50℃で6時間攪拌する。tert-ブチルメチルエーテルで水相を抽出し(300mL×3)、有機相を回収する。飽和炭酸水素ナトリウム0.5L、水0.5Lをこの順に使用して有機相を洗浄する。濃縮して、残留物にメタノール400mLを加えて結晶化させ、吸引ろ過して式II-3の化合物として固体64.5gを得る。収率は50.2%である。
【0081】
実施例6:式III-2の化合物の製造
機械的攪拌機能を備える2.0L三つ口フラスコにテトラヒドロフラン100mL、ヨウ化第一銅(22.4g,117.8mmol)を加え、温度を-45~50℃に下げて、約1時間で臭化エチルマグネシウム(185mL,370.0mmol)を滴加する。引き続き1時間攪拌し、温度を-15℃に上げて、約1時間で式II-2の化合物のテトラヒドロフラン溶液(テトラヒドロフラン240mL中39.9g)を滴加する。温度を-15℃に保持して2時間攪拌し、飽和塩化アンモニウム水溶液(400mL)を加え、さらに酢酸エチル(400mL)を加え、2時間攪拌する。静置して層化後、有機相を回収し、酢酸エチル200mLで水相を抽出して、有機相を合わせ、水で洗浄し(200mL×2)、飽和食塩水で洗浄し(200mL)、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、吸引ろ過、濃縮して、イソプロパノールを加え結晶化させて、白色固体27.4gを得る。収率は61.0%である。
【0082】
実施例7:式III-3の化合物の製造
機械的攪拌機能を備える2.0L三つ口フラスコにテトラヒドロフラン100mL、シアン化第一銅(10.6g,117.8mmol)を加え、温度を-45~50℃に下げて、約1時間で臭化エチルマグネシウム(185mL,370.0mmol)を滴加する。引き続き1時間攪拌して、式II-3の化合物のテトラヒドロフラン溶液(テトラヒドロフラン240mL中42.2g)を、温度を-45~50℃に保持して、約1時間で滴加する。温度を-15℃に上げて2時間攪拌し、飽和塩化アンモニウム水溶液(400mL)を加え、さらに酢酸エチル(400mL)を加え、2時間攪拌する。静置して層化後、有機相を回収し、酢酸エチル200mLで水相を抽出して、有機相を合わせ、水で洗浄し(200mL×2)、飽和食塩水で洗浄し(200mL)、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、吸引ろ過、濃縮して、イソプロパノールを加え結晶化させて、白色固体23.8gを得る。収率は50.4%である。
【0083】
実施例8:式III-3の化合物の製造
機械的攪拌機能を備える20.0L反応ケトルにテトラヒドロフラン2.8L、ヨウ化第一銅(152.4g,0.8mol)を加え、温度を-50~-40℃に下げて、約1時間でエチルマグネシウムブロミド(2.0L,4.0mmol)を滴加する。引き続き1時間攪拌して、式II-3の化合物のテトラヒドロフラン溶液(テトラヒドロフラン3.2L中400.0g)を、温度を-50~-40℃に保持して、約1時間で滴加し、-5℃に保持して2時間攪拌して、飽和塩化アンモニウム水溶液(4L)を加え、さらにtert-ブチルメチルエーテル(4L)を加え、2時間攪拌する。静置して層化後、有機相を回収し、tert-ブチルメチルエーテル4Lで水相を抽出して、有機相を合わせ、水で洗浄し(2L×2)、飽和食塩水で洗浄し(4L)、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、吸引ろ過、濃縮して、エタノール1.5Lを加えてパルプ化し、吸引ろ過して白色固体293.1gを得る。収率は65.5%である。
【0084】
実施例9:式IVの化合物の製造
機械的攪拌機能を備える100mL三つ口フラスコに式III-2の化合物(2.68g,10.0mmol)、マグネシウム小片(4.8g,200.0mmol)、メタノール100mLを加え、真空引き後に窒素ガス充填によって保護する。温度を50℃に上げて、48時間攪拌する。反応液を塩酸水溶液にデカントし、ジクロロメタンを加えて2回抽出し(100mL×2)、ジクロロメタン相を回収して、水で2回(100mL×2)、飽和食塩水で1回(100mL)洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥する。吸引ろ過し、濾液を回転蒸発して粗生成物1.21gを得、減圧蒸留して白色油状物865mgを得る。収率は67.5%である。
【0085】
実施例10:式IVの化合物の製造
機械的攪拌機能を備える100mL三つ口フラスコに式III-3の化合物(2.82g,10.0mmol)、マグネシウム小片(2.4g,100.0mmol)、メタノール100mLを加え、真空引き後に窒素ガス充填によって保護する。温度を50℃に上げて、48時間攪拌する。反応液を塩酸水溶液にデカントし、ジクロロメタンを加えて2回抽出し(100mL×2)、ジクロロメタン相を回収して、水で2回(100mL×2)、飽和食塩水で1回(100mL)洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥する。吸引ろ過し、濾液を回転蒸発して粗生成物1.21gを得、減圧蒸留して白色油状物720mgを得る。収率は56.6%である。
【0086】
実施例11:式IVの化合物の製造
機械的攪拌機能を備える100mL三つ口フラスコに式III-3の化合物(2.82g,10.0mmol)、マグネシウム小片(2.4g,100.0mmol)、DMF100mLを加え、真空引き後に窒素ガス充填によって保護する。温度を50℃に上げて、48時間攪拌する。反応液を塩酸水溶液にデカントし、ジクロロメタンを加えて2回抽出し(100mL×2)、ジクロロメタン相を回収して、水で2回(100mL×2)、飽和食塩水で1回(100mL)洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥する。吸引ろ過し、濾液を回転蒸発して粗生成物1.18gを得、減圧蒸留して白色油状物602mgを得る。収率は47.2%である。
【0087】
実施例12:式IVの化合物の製造
機械的攪拌機能を備える100mL三つ口フラスコに式III-3の化合物(2.82g,10.0mmol)、マグネシウム小片(2.4g,100.0mmol)、DMF100mLを加え、真空引き後に窒素ガス充填によって保護する。室温下でTMSCl 0.2mLを加え、その後、反応液の温度を50℃に上げて、24時間攪拌する。反応液を塩酸水溶液にデカントし、ジクロロメタンを加えて2回抽出し(100mL×2)、ジクロロメタン相を回収して、水で2回(100mL×2)、飽和食塩水で1回(100mL)洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥する。吸引ろ過し、濾液を回転蒸発して粗生成物1.35gを得、減圧蒸留して白色油状物845mgを得る。収率は66.0%である。
【0088】
実施例13:式IVの化合物の製造
機械的攪拌機能を備える100mL三つ口フラスコに式III-3の化合物(2.82g,10.0mmol)、マグネシウム小片(2.4g,100.0mmol)、DMF100mLを加え、真空引き後に窒素ガス充填によって保護する。室温下で攪拌しながら塩酸(6N)0.5mLを加え、その後、反応液の温度を50℃に上げて、48時間攪拌する。反応液を水溶液にデカントし、ジクロロメタンを加えて2回抽出し(100mL×2)、ジクロロメタン相を回収して、水で2回(100mL×2)、飽和食塩水で1回(100mL)洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥する。吸引ろ過し、濾液を回転蒸発して粗生成物1.28gを得、メタノールを加えて再結晶させ、吸引ろ過し、乾燥して、白色固体751mgを得る。収率は58.7%である。
【0089】
実施例14:式IVの化合物の製造
機械的攪拌機能を備える2L三つ口フラスコに式III-3の化合物(56.4g,0.2mol)、活性化したマグネシウム小片(48g,2.0mol)、DMF 1.0Lを加え、真空引き後に窒素ガス充填によって保護する。室温下で攪拌しながら塩酸(6N)0.5mLを加える。温度を50℃に上げて、48時間攪拌する。反応液を塩酸水溶液にデカントし、ジクロロメタンを加えて2回抽出し(500mL×2)、ジクロロメタン相を回収して、水で2回(500mL×2)、飽和食塩水で1回(500mL)洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥する。吸引ろ過して、濾液を回転蒸発して粗生成物22.0gを得、減圧蒸留して白色油状物15.5gを得る。収率は60.5%である。
【0090】
前記実施例は本発明を説明するために挙げた具体的な実施例に過ぎず、本発明の保護範囲はこれらの具体的な実施形態に限定されず、特許請求の範囲に準じる。本明細書に開示されている全ての内容(要約、図面、及び開示されている全ての方法とステップを含む)は、いずれも任意に組み合わせることができるが、これらの特徴及び/又はステップの組み合わせが互いに矛盾する場合は除く。本明細書で開示されている各技術的特徴(要約及び図面を含む)は、特段の説明がない限り、同一の、同等な又は類似する目的を達成する技術的特徴によって置き換えられてもよい。したがって、特段の説明がない限り、本発明で開示されている各技術的特徴は同等な又は類似する技術的特徴の一例に過ぎない。当業者が本発明を踏まえ、本発明の趣旨から逸脱せずに行った同等な置換又は変更も、本発明の保護範囲に含まれる。本願で引用される参考文献はいずれも全体で引用される。