IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 太陽誘電株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-弾性波デバイス 図1
  • 特許-弾性波デバイス 図2
  • 特許-弾性波デバイス 図3
  • 特許-弾性波デバイス 図4
  • 特許-弾性波デバイス 図5
  • 特許-弾性波デバイス 図6
  • 特許-弾性波デバイス 図7
  • 特許-弾性波デバイス 図8
  • 特許-弾性波デバイス 図9
  • 特許-弾性波デバイス 図10
  • 特許-弾性波デバイス 図11
  • 特許-弾性波デバイス 図12
  • 特許-弾性波デバイス 図13
  • 特許-弾性波デバイス 図14
  • 特許-弾性波デバイス 図15
  • 特許-弾性波デバイス 図16
  • 特許-弾性波デバイス 図17
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-04
(45)【発行日】2022-08-15
(54)【発明の名称】弾性波デバイス
(51)【国際特許分類】
   H03H 9/25 20060101AFI20220805BHJP
   H03H 9/17 20060101ALI20220805BHJP
   H03H 9/54 20060101ALI20220805BHJP
   H03H 9/64 20060101ALI20220805BHJP
【FI】
H03H9/25 A
H03H9/17 F
H03H9/54 Z
H03H9/64 Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2017116180
(22)【出願日】2017-06-13
(65)【公開番号】P2019004264
(43)【公開日】2019-01-10
【審査請求日】2020-06-12
【審判番号】
【審判請求日】2021-09-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000204284
【氏名又は名称】太陽誘電株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】大久保 哲
(72)【発明者】
【氏名】今川 和之
(72)【発明者】
【氏名】宮本 亮
【合議体】
【審判長】瀧内 健夫
【審判官】衣鳩 文彦
【審判官】丸山 高政
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-101374(JP,A)
【文献】特開2006-14096(JP,A)
【文献】特開2014-82609(JP,A)
【文献】特開2015-220700(JP,A)
【文献】特開2007-184690(JP,A)
【文献】国際公開第2015/016203(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03H 3/007-H03H3/10
H03H 9/00-H03H9/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面を有する第1基板と、
前記第1面に設けられた弾性波素子と、
第2面を有する第2基板と、
前記第2面に設けられた機能素子と、
前記第1面および前記第2面と空隙を挟み向かい合う第3面と前記第3面の反対の面の第4面とを有する第3基板と、
前記第1基板内において前記弾性波素子および前記弾性波素子に接続された配線から分離され、前記第1面と前記第3面との間を接続する第1ダミーバンプと、
前記第2基板内において前記機能素子および前記機能素子に接続された配線から分離され、前記第2面と前記第3面との間を接続する第2ダミーバンプと、
前記第3面に設けられ、前記第1ダミーバンプと前記第2ダミーバンプとが接触し、前記第3面内において前記第1ダミーバンプおよび前記第2ダミーバンプを接続する第1金属パターンと、
前記第3面に設けられ、前記第1面および前記第2面のいずれか一方に設けられた接地パッドに電気的に接続され、前記第3面において前記第1金属パターンから電気的に独立する第5金属パターンと、
前記第4面に設けられ、前記第1金属パターンと電気的に接続可能な端子と、
前記第3基板に含まれ、前記第3面を有する第1絶縁層と、
前記第1ダミーバンプと前記第2ダミーバンプとの間の前記第1金属パターンと接触し前記第1絶縁層を貫通する第1ビア配線と、
を具備し、
前記第1金属パターンは、前記第1ビア配線を介し前記端子と電気的に接続され、
平面視において、前記第1金属パターンの面積は前記第5金属パターンの面積より大きい弾性波デバイス。
【請求項2】
前記第1金属パターンと接触し前記第1絶縁層を貫通する第2ビア配線と、
前記第3基板に含まれ、前記第1絶縁層と前記第4面との間に設けられ、第5面を有する第2絶縁層と、
前記第5面に設けられ、前記端子と接続され、前記第1ビア配線および前記第2ビア配線を並列に介し前記第1金属パターンと接続された第2金属パターンと、
を具備する請求項1に記載の弾性波デバイス。
【請求項3】
前記弾性波素子は、第1フィルタに含まれる1または複数の第1弾性波共振器を含み、
前記機能素子は、前記第1フィルタとは異なる通過帯域を有する第2フィルタに含まれる1または複数の第2弾性波共振器を含む請求項1または2に記載の弾性波デバイス。
【請求項4】
前記機能素子はインダクタおよびキャパシタの少なくとも一方である請求項1または2に記載の弾性波デバイス。
【請求項5】
前記第1ダミーバンプおよび前記第2ダミーバンプは前記弾性波素子および前記機能素子から電気的に独立されている請求項1からのいずれか一項記載の弾性波デバイス。
【請求項6】
第1面を有する第1基板と、
前記第1面に設けられ、第1フィルタに含まれる1または複数の第1弾性波共振器と、
前記第1面に設けられ、前記第1フィルタとは異なる通過帯域を有する第2フィルタに含まれる1または複数の第2弾性波共振器と、
前記第1面と空隙を挟み向かい合う第2面と前記第2面の反対の面の第3面とを有する第2基板と、
平面視において最も近い弾性波共振器は1または複数の第1弾性波共振器の少なくとも1つであり、前記第1基板内において、前記1または複数の第1弾性波共振器、前記1または複数の第2弾性波共振器、前記1または複数の第1弾性波共振器に接続された配線および前記1または複数の第2弾性波共振器に接続された配線から分離され、前記第1面と前記第2面との間を接続する第1ダミーバンプと、
平面視において最も近い弾性波共振器は1または複数の第2弾性波共振器の少なくとも1つであり、前記第1基板内において、前記1または複数の第1弾性波共振器、前記1または複数の第2弾性波共振器、前記1または複数の第1弾性波共振器に接続された配線および前記1または複数の第2弾性波共振器に接続された配線から分離され、前記第1面と前記第2面との間を接続する第2ダミーバンプと、
前記第2面に設けられ、前記第1ダミーバンプと前記第2ダミーバンプとが接触し、前記第2面内において前記第1ダミーバンプおよび前記第2ダミーバンプを接続する第1金属パターンと、
前記第2面に設けられ、前記第1面に設けられた接地パッドに電気的に接続され、前記第2面において前記第1金属パターンから電気的に独立する第4金属パターンと、
前記第3面に設けられ、前記第1金属パターンと電気的に接続可能な端子と、
前記第2基板に含まれ、前記第2面を有する絶縁層と、
前記第1ダミーバンプと前記第2ダミーバンプとの間の前記第1金属パターンと接触し前記絶縁層を貫通するビア配線と、
を具備し、
前記第1金属パターンは、前記ビア配線を介し前記端子と電気的に接続され、
平面視において、前記第1金属パターンの面積は前記第4金属パターンの面積より大きい弾性波デバイス。
【請求項7】
前記第1ダミーバンプおよび前記第2ダミーバンプは前記1または複数の第1弾性波共振器および前記1または複数の第2弾性波共振器から電気的に独立されている請求項記載の弾性波デバイス。
【請求項8】
前記端子は、接地端子である請求項1からのいずれか一項記載の弾性波デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弾性波デバイスに関し、弾性波素子が形成された基板を有する弾性波デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
弾性波デバイスのパッケージング方法として、弾性波素子が形成されたチップをバンプ等の金属層を用い基板の上面フリップチップ実装することが知られている。弾性波素子で発生した熱を積層基板に設けられた金属パターン等を介し放出することが知られている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-98804号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、弾性波素子で発生した熱を効率よく放出することは難しい。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、放熱性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、第1面を有する第1基板と、前記第1面に設けられた弾性波素子と、第2面を有する第2基板と、前記第2面に設けられた機能素子と、前記第1面および前記第2面と空隙を挟み向かい合う第3面と前記第3面の反対の面の第4面とを有する第3基板と、前記第1基板内において前記弾性波素子および前記弾性波素子に接続された配線から分離され、前記第1面と前記第3面との間を接続する第1ダミーバンプと、前記第2基板内において前記機能素子および前記機能素子に接続された配線から分離され、前記第2面と前記第3面との間を接続する第2ダミーバンプと、前記第3面に設けられ、前記第1ダミーバンプと前記第2ダミーバンプとが接触し、前記第3面内において前記第1ダミーバンプおよび前記第2ダミーバンプを接続する第1金属パターンと、前記第3面に設けられ、前記第1面および前記第2面のいずれか一方に設けられた接地パッドに電気的に接続され、前記第3面において前記第1金属パターンから電気的に独立する第5金属パターンと、前記第4面に設けられ、前記第1金属パターンと電気的に接続可能な端子と、前記第3基板に含まれ、前記第3面を有する第1絶縁層と、前記第1ダミーバンプと前記第2ダミーバンプとの間の前記第1金属パターンと接触し前記第1絶縁層を貫通する第1ビア配線と、を具備し、前記第1金属パターンは、前記第1ビア配線を介し前記端子と電気的に接続され、平面視において、前記第1金属パターンの面積は前記第5金属パターンの面積より大きい弾性波デバイスである。
【0008】
上記構成において、前記第1金属パターンと接触し前記第1絶縁層を貫通する第2ビア配線と、前記第3基板に含まれ、前記第1絶縁層と前記第4面との間に設けられ、第5面を有する第2絶縁層と、前記第5面に設けられ、前記端子と接続され、前記第1ビア配線および前記第2ビア配線を並列に介し前記第1金属パターンと接続された第2金属パターンと、を具備する構成とすることができる。
【0009】
上記構成において、前記弾性波素子は、第1フィルタに含まれる1または複数の第1弾性波共振器を含み、前記機能素子は、前記第1フィルタとは異なる通過帯域を有する第2フィルタに含まれる1または複数の第2弾性波共振器を含む構成とすることができる。
【0011】
上記構成において、前記機能素子はインダクタおよびキャパシタの少なくとも一方である構成とすることができる。
【0012】
上記構成において、前記第1ダミーバンプおよび前記第2ダミーバンプは前記弾性波素子および前記機能素子から電気的に独立されている構成とすることができる。
【0013】
本発明は、第1面を有する第1基板と、前記第1面に設けられ、第1フィルタに含まれる1または複数の第1弾性波共振器と、前記第1面に設けられ、前記第1フィルタとは異なる通過帯域を有する第2フィルタに含まれる1または複数の第2弾性波共振器と、前記第1面と空隙を挟み向かい合う第2面と前記第2面の反対の面の第3面とを有する第2基板と、平面視において最も近い弾性波共振器は1または複数の第1弾性波共振器の少なくとも1つであり、前記第1基板内において、前記1または複数の第1弾性波共振器、前記1または複数の第2弾性波共振器、前記1または複数の第1弾性波共振器に接続された配線および前記1または複数の第2弾性波共振器に接続された配線から分離され、前記第1面と前記第2面との間を接続する第1ダミーバンプと、平面視において最も近い弾性波共振器は1または複数の第2弾性波共振器の少なくとも1つであり、前記第1基板内において、前記1または複数の第1弾性波共振器、前記1または複数の第2弾性波共振器、前記1または複数の第1弾性波共振器に接続された配線および前記1または複数の第2弾性波共振器に接続された配線から分離され、前記第1面と前記第2面との間を接続する第2ダミーバンプと、前記第2面に設けられ、前記第1ダミーバンプと前記第2ダミーバンプとが接触し、前記第2面内において前記第1ダミーバンプおよび前記第2ダミーバンプを接続する第1金属パターンと、前記第2面に設けられ、前記第1面に設けられた接地パッドに電気的に接続され、前記第2面において前記第1金属パターンから電気的に独立する第4金属パターンと、前記第3面に設けられ、前記第1金属パターンと電気的に接続可能な端子と、前記第2基板に含まれ、前記第2面を有する絶縁層と、前記第1ダミーバンプと前記第2ダミーバンプとの間の前記第1金属パターンと接触し前記絶縁層を貫通するビア配線と、を具備し、前記第1金属パターンは、前記ビア配線を介し前記端子と電気的に接続され、平面視において、前記第1金属パターンの面積は前記第4金属パターンの面積より大きい弾性波デバイスである。
【0015】
上記構成において、前記第1ダミーバンプおよび前記第2ダミーバンプは前記1または複数の第1弾性波共振器および前記1または複数の第2弾性波共振器から電気的に独立されている構成とすることができる。
【0016】
上記構成において、前記端子は、接地端子である構成とすることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、放熱性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1(a)および図1(b)は、それぞれ実施例1および比較例1に係る弾性波デバイスの断面図である。
図2図2(a)および(b)は、実施例1における弾性波素子の例を示す平面図および断面図である。
図3図3は、シミュレーションに用いた弾性波デバイスの断面図である。
図4図4(a)は、シミュレーションに用いたデュプレクサの回路図、図4(b)および図4(c)は、送信フィルタおよび受信フィルタの回路図である。
図5図5は、サンプルAからDにおける基板10aおよび10bの下面を上から透視した平面図である。
図6図6(a)および図6(b)は、サンプルAにおける絶縁層の上面を示す平面図である。
図7図7は、サンプルAからDにおける絶縁層20bの下面を上から透視した平面図である。
図8図8(a)および図8(b)は、サンプルBにおける絶縁層の上面を示す平面図である。
図9図9(a)および図9(b)は、サンプルCにおける絶縁層の上面を示す平面図である。
図10図10(a)および図10(b)は、サンプルDにおける絶縁層の上面を示す平面図である。
図11図11は、サンプルAからDにおけるダミーバンプの温度を示す図である。
図12図12は、サンプルAからDにおけるデュプレクサのアイソレーション特性を示す図である。
図13図13は、実施例1の変形例1における基板10aおよび10bの下面を上から透視した平面図である。
図14図14は、実施例1の変形例2における基板10aおよび10bの下面を上から透視した平面図である。
図15図15は、実施例1の変形例3における基板10aおよび10bの下面を上から透視した平面図である。
図16図16は、実施例2における基板10の下面を上から透視した平面図である。
図17図17(a)および図17(b)は、実施例2の変形例1および2に係る弾性波デバイスの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照し実施例について説明する。
【実施例1】
【0020】
図1(a)および図1(b)は、それぞれ実施例1および比較例1に係る弾性波デバイスの断面図である。図1(a)および図1(b)に示すように、実施例1および比較例1では、基板20(第3基板)は、絶縁層20aおよび20bを備えている。基板20の上面(第3面)に金属パターン22aが設けられ、絶縁層20bの上面(第5面)に金属パターン22bが設けられている。絶縁層20aおよび20bをそれぞれ貫通するビア配線24aおよび24bが設けられている。基板20の下面(第4面)に端子23が設けられている。絶縁層20aおよび20bは、HTCC(High Temperature Co-Fired Ceramic)もしくはLTCC(Low Temperature Co-Fired Ceramic)等のセラミックス層または樹脂層である。基板20が備える絶縁層は1層でもよいし3以上の複数層でもよい。金属パターン22a、22b、ビア配線24a、24bおよび端子23は、銅層、金層またはタングステン層等の金属層である。
【0021】
基板10a(第1基板)の下面(第1面)に弾性波素子12a(第1弾性波素子)および金属パターン14aが設けられている。基板10b(第2基板)の下面(第2面)に弾性波素子12b(第2弾性波素子)および金属パターン14bが設けられている。基板10aの下面および基板10bの下面は、それぞれ空隙18aおよび18bを挟み基板20の上面と向かい合っている。金属パターン14aおよび14bは、弾性波素子間または弾性波素子とパッドとを電気的に接続する配線であり、例えば銅層、金層またはアルミニウム層等の金属層である。基板10aおよび10bは、基板20の上面にフリップチップ実装されている。弾性波素子12aおよび12bはそれぞれ空隙18aおよび18bを挟み基板20の上面に対向している。
【0022】
バンプ30aおよびダミーバンプ32aは、金属パターン14aおよび22aと接合し、基板20の上面と基板10aの下面との間を接続する。バンプ30bおよびダミーバンプ32bは、金属パターン14bとおよび22aと接合し、基板20の上面と基板10bの下面との間を接続する。バンプ30aおよび30bは、それぞれ金属パターン14aおよび14bを介し弾性波素子12aおよび12bと電気的に接続されている。ダミーバンプ32a(第1金属層)および32b(第2金属層)は、それぞれ基板10aおよび10b内において弾性波素子12aおよび12bと電気的に接続されておらず電気的に独立している。バンプ30a、30b、ダミーバンプ32aおよび32bは、グランド用のバンプである。バンプ30a、30b、ダミーバンプ32aおよび32bは、例えば金バンプ、半田バンプまたは銅バンプである。
【0023】
図2(a)および(b)は、実施例1における弾性波素子の例を示す平面図および断面図である。図2(a)に示すように、弾性波素子12は、弾性表面波共振器であり、弾性波素子12aおよび12bに相当する。基板10は、基板10aおよび10bに相当する。基板10は、タンタル酸リチウム基板またはニオブ酸リチウム基板等の圧電基板である。基板10の下面にIDT(Interdigital Transducer)40と反射器42が形成されている。IDT40は、互いに対向する1対の櫛型電極40aを有する。櫛型電極40aは、複数の電極指40bと複数の電極指40bを接続するバスバー40cとを有する。反射器42は、IDT40の両側に設けられている。IDT40が基板10に弾性表面波を励振する。IDT40および反射器42は例えばアルミニウム膜または銅膜により形成される。基板10上にIDT40および反射器42を覆うように保護膜または温度補償膜が設けられていてもよい。
【0024】
図2(b)に示すように、弾性波素子12は圧電薄膜共振器であり、弾性波素子12aおよび12bに相当する。基板10は、基板10aおよび10bに相当する。基板10上に圧電膜46が設けられている。圧電膜46を挟むように下部電極44および上部電極48が設けられている。下部電極44と基板10との間に空隙45が形成されている。圧電膜46の少なくとも一部を挟み下部電極44と上部電極48とが対向する領域が共振領域47である。共振領域47内の下部電極44および上部電極48は圧電膜46内に、厚み縦振動モードの弾性波を励振する。下部電極44および上部電極48は例えばルテニウム膜等の金属膜である。圧電膜46は例えば窒化アルミニウム膜である。
【0025】
弾性波素子12は、弾性波を励振する電極を含む。このため、弾性波の励振を阻害しないように、弾性波素子12は空隙18aおよび18bに覆われている。
【0026】
[放熱性について]
バンプ30aおよび30bは、弾性波素子12aおよび12bに電気的に接続されるバンプである。ダミーバンプ32aおよび32bは、弾性波素子12aおよび12bに電気的に接続されず、機械的強度を確保するためのバンプである。すなわち、ダミーバンプ32aおよび32bは、それぞれ基板10aおよび10b内において弾性波素子12aおよび12b並びに弾性波素子12aおよび12bに電気的に接続された金属パターン14aおよび14b(配線)から電気的に分離されている。バンプ30aおよびバンプ30bの配置等は、弾性波素子12aおよび12bの電気的な特性を確保するために定められる。一方、ダミーバンプ32aおよび32bは、電気的な特性に影響し難い。そこで、ダミーバンプ32aを介し弾性波素子12aにおいて発生した熱を放出することを検討した。ここで、弾性波素子12aは弾性波素子12bに比べ発熱量が大きいとする。このとき、ダミーバンプ32bからの放熱量は小さく、ダミーバンプ32aからの放熱性を向上させることが重要である。
【0027】
図1(b)に示すように、比較例2では、基板10aのグランド用のバンプ30aおよびダミーバンプ32aは、同じ金属パターン22aと接合されている。金属パターン22aはビア配線24aを介し金属パターン22bに接続され、金属パターン22bは端子23に電気的に接続されている。金属パターン22aおよび22bは、基板10aと10bとで分かれている。このため、ダミーバンプ32aからの放熱経路は、矢印70のように単一の経路である。よって、放熱性がよくない。
【0028】
図1(a)に示すように、実施例1では、基板10aおよび10bのグランド用のバンプ30aおよび30b並びにダミーバンプ32aおよび32bは、同じ金属パターン22aと接合されている。金属パターン22aは複数のビア配線24aを介し金属パターン22bに接続され、金属パターン22bは複数の端子23に電気的に接続されている。このため、ダミーバンプ32aからの放熱経路は、矢印70のように複数の並列した経路となる。これにより、放熱性が向上する。
【0029】
実施例1では、基板20の上面の同じ金属パターン22aにダミーバンプ32aおよび32bを接合させる。これにより、金属パターン22aを基板10bの下方まで広げることができる。このように、ダミーバンプ32aが接合した金属パターンの面積を大きくできる。このため、ダミーバンプ32aからの放熱性を向上できる。
【0030】
[シミュレーション]
サンプルAからDを用い実施例1および比較例1の放熱特性および高周波特性をシミュレーションした。サンプルAは比較例1に相当し、サンプルBからDは実施例1に相当する。
【0031】
図3は、シミュレーションに用いた弾性波デバイスの断面図である。基板10aおよび10bを囲むように、封止部34が設けられている。封止部34は、環状金属層25の上面に接合されている。環状金属層25は例えば銅層、金層またはタングステン層である。基板10aおよび10bの下面と基板20の上面との間には空隙18aおよび18bが設けられている。基板10aと10bとの間には空隙18が設けられている。封止部34は、例えば半田層等の金属層または樹脂層である。封止部34上に平板上のリッド36が設けられている。リッド36は、例えばコバール等の金属板または絶縁板である。リッド36および封止部34を覆うように保護膜38が設けられている。保護膜38は例えばニッケル膜等の金属膜または絶縁膜である。
【0032】
シミュレーションでは、弾性波デバイスは実装基板64に実装されている。実装基板64は、樹脂基板66を挟むように金属層68が設けられている。金属層68上に半田69を介し端子23が接合されている。
【0033】
図4(a)は、シミュレーションに用いたデュプレクサの回路図、図4(b)および図4(c)は、送信フィルタおよび受信フィルタの回路図である。図4(a)に示すように、デュプレクサにおいては、共通端子Antと送信端子Txとの間に送信フィルタ60が接続されている。共通端子Antと受信端子Rxとの間に受信フィルタ62が接続されている。
【0034】
図4(b)に示すように、送信フィルタ60では、送信端子Txと共通端子Antとの間に直列共振器S1からS3が直列に接続され、並列共振器P1からP4が並列に接続されている。図4(c)に示すように、受信フィルタ62では、共通端子Antと受信端子Rxとの間に直列共振器S1からS5が直列に接続され、並列共振器P1からP4が並列に接続されている。
【0035】
送信フィルタ60は、送信端子Txに入力した高周波信号のうち送信帯域の信号を共通端子Antに通過させ、他の周波数の信号を抑圧する。受信フィルタ62は、共通端子Antに入力した高周波信号のうち受信帯域の信号を受信端子Rxに通過させ、他の周波数の信号を抑圧する。送信フィルタ60および受信フィルタ62の通過帯域は異なり、例えば重なっていない。
【0036】
図5は、サンプルAからDにおける基板10aおよび10bの下面を上から透視した平面図である。図5に示すように、基板10aの下面に弾性波素子12aおよび金属パターン14aが設けられている。弾性波素子12aは直列共振器S1からS3および並列共振器P1からP4を含む。金属パターン14aは弾性波素子12a間を接続する配線13aとパッド15aを含む。パッド15aは、送信パッドPt1、共通パッドPa1、グランドパッドPg1およびダミーパッドPd1を含む。送信パッドPt1、共通パッドPa1およびグランドパッドPg1にはバンプ30aが接合し、ダミーパッドPd1にはダミーバンプ32aが接合されている。ダミーバンプ32aは弾性波素子12a(すなわち送信フィルタ60)と接続されていない。弾性波素子12aおよび金属パターン14aにより送信フィルタ60が形成される。
【0037】
基板10bの下面に弾性波素子12bおよび金属パターン14bが設けられている。弾性波素子12bは直列共振器S1からS5および並列共振器P1からP4を含む。金属パターン14bは弾性波素子12b間を接続する配線13bとパッド15bを含む。パッド15bは、受信パッドPr2、共通パッドPa2、グランドパッドPg2およびダミーパッドPd2を含む。受信パッドPr2、共通パッドPa2およびグランドパッドPg2にはバンプ30bが接合し、ダミーパッドPd2にはダミーバンプ32bが接合されている。ダミーバンプ32bは弾性波素子12bと接続されていない。弾性波素子12bおよび金属パターン14bにより受信フィルタ62が形成される。
【0038】
[サンプルA]
図6(a)および図6(b)は、サンプルAにおける絶縁層20aおよび20bの上面を示す平面図である。図7は、サンプルAからDにおける絶縁層20bの下面を上から透視した平面図である。
【0039】
図6(a)に示すように、絶縁層20aの上面(すなわちダイアタッチ面)に金属パターン22aおよび環状金属層25が設けられている。金属パターン22a上にバンプ30a、30b、ダミーバンプ32aおよび32bが接合されている。金属パターン22a下にビア配線24aが接触されている。金属パターン22aは、送信パッドPt3、受信パッドPr3、共通パッドPa3およびグランドパッドPg3を含む。送信パッドPt3は、バンプ30aを介し基板10aの送信パッドPt1に接続されている。受信パッドPr3は、バンプ30bを介し基板10bの受信パッドPr2に接続されている。共通パッドPa3は、バンプ30aおよび30bを介しそれぞれ基板10aの共通パッドPa1および基板10bの共通パッドPa2に接続されている。グランドパッドPg3は、バンプ30aおよび30bを介しそれぞれ基板10aのグランドパッドPg1および基板10bのグランドパッドPg2に接続されている。
【0040】
グランドパッドPg3のうち金属パターン50aは、ダミーバンプ32aを介し基板10aのダミーパッドPd1に接続されている。グランドパッドPg3のうち金属パターン50bは、ダミーバンプ32bを介し基板10bのダミーパッドPd2に接続されている。
【0041】
図6(b)に示すように、絶縁層20bの上面に金属パターン22bが設けられている。金属パターン22bはビア配線24a(図6(a)参照)を介し金属パターン22aに接続されている。金属パターン22bの下にビア配線24bが接触している。図6(a)の金属パターン50aは、ビア配線24aを介し金属パターン52aに接続されている。図6(a)の金属パターン50bは、ビア配線24aを介し金属パターン52bおよび52cに接続されている。
【0042】
図7に示すように、絶縁層20bの下面に端子23が設けられている。端子23は、送信端子Tx、受信端子Rx、共通端子Antおよびグランド端子Gnd(接地端子)を含む。送信端子Tx、受信端子Rx、共通端子Antおよびグランド端子Gndは、ビア配線24a、24bおよび金属パターン22bを介しそれぞれ送信パッドPt3、受信パッドPr3、共通パッドPa3およびグランドパッドPg3に電気的に接続されている。図6(b)の金属パターン52aはグランド端子54aおよび54bに接続され、金属パターン52bはグランド端子54bに接続され、金属パターン52cはグランド端子54cに接続されている。
【0043】
サンプルAでは、図6(a)のように、ダミーバンプ32aと32bは異なる金属パターン50aおよび50bに接続されている。
【0044】
[サンプルB]
図8(a)および図8(b)は、サンプルBにおける絶縁層の上面を示す平面図である。図8(a)に示すように、サンプルBではサンプルAに比べ図6(a)の金属パターン50aおよび50bが領域80において接続し、単一の金属パターン50が形成されている。これにより、金属パターン50は、絶縁層20aの上面においてダミーバンプ32aと32bとを接続する。図8(b)に示すように、図6(b)の金属パターン52aおよび52bが領域81において接続し、金属パターン52が形成されている。ダミーバンプ32aと32bの間の領域において、金属パターン50は、ビア配線24aの1つであるビア配線56を介し金属パターン52に接続されている。その他の構成はサンプルAと同じであり、説明を省略する。
【0045】
[サンプルC]
図9(a)および図9(b)は、サンプルCにおける絶縁層の上面を示す平面図である。図9(a)に示すように、サンプルCではサンプルBに比べ領域83に金属パターン50が設けられている。図9(b)に示すように、領域84に金属パターン52が設けられている。このように、サンプルCはサンプルBより金属パターン50および52の面積が大きくなっている。その他の構成はサンプルBと同じであり、説明を省略する。
【0046】
[サンプルD]
図10(a)および図10(b)は、サンプルDにおける絶縁層の上面を示す平面図である。図10(a)に示すように、サンプルDはサンプルBに比べダミーバンプ32aおよび32bが接合する金属パターン50と基板10bのグランドパッドPg3が接続する金属パターン50bとが領域85において分離されている。図10(b)に示すように、金属パターン52aおよび52bはサンプルCと同じである。その他の構成はサンプルCと同じであり、説明を省略する。
【0047】
サンプルAからDにおけるシミュレーション条件は以下である。
基板10a :
材料:42°回転YカットX伝搬タンタル酸リチウム基板
大きさ:0.7mm×0.9mm、 厚さ:0.15mm
基板10b:
材料:42°回転YカットX伝搬タンタル酸リチウム基板
大きさ:0.6mm×0.9mm、厚さ:0.15mm
IDT40、反射器42
材料:アルミニウム、膜厚:0.1μm
【0048】
基板20:
材料:HTCC、大きさ:1.7mm×1.3mm、
絶縁層20aの厚さ:0.1mm、絶縁層20bの厚さ:0.051mm
金属パターン22a、環状金属層25:
材料:タングステン、膜厚:15μm
金属パターン22b:
材料:タングステン、膜厚:7μm
端子23:
材料:タングステン、膜厚:15μm
ビア配線24a:
材料:タングステン、径:75μm
ビア配線24b:
材料:タングステン、径:75μm
バンプ30a、30b、ダミーバンプ32aおよび32b
材料:金、高さ:12.5μm、径:60μm
封止部34:
材料:錫銀半田
リッド36:
材料:コバール、膜厚:25μm
保護膜38:
材料:ニッケル、膜厚:10μm
【0049】
樹脂基板66:
材料:BT(Bismaleimide-Triazine)レジン、膜厚:50μm
金属層68:
材料:銅、膜厚:28μm
半田69:
材料:錫銀銅半田、膜厚:40μm
【0050】
各材料の熱伝導率を以下とした。
タンタル酸リチウム基板:4.6W/m・℃
IDT:210W/m・℃
HTCC:18W/m・℃
タングステン:163.3W/m・℃
金:301W/m・℃
錫銀半田:33W/m・℃
ニッケル:60.7W/m・℃
コバール:17.3W/m・℃
BTレジン:0.8W/m・℃
銅:401W/m・℃
錫銀銅半田:55W/m・℃
空気:0.0241W/m・℃
【0051】
図3の弾性波デバイス、半田69および実装基板64と雰囲気との熱伝達係数を9.3W/m・℃とし、雰囲気温度を25℃とした。送信フィルタ60および受信フィルタは、バンド7(送信帯域:2500MHzから2570MHz、受信帯域:2620MHzから2690MHz)用のフィルタとした。送信端子Txに、33dBmの送信帯域の高周波信号を入力した。以下にダミーバンプ32aの温度およびデュプレクサのアイソレーション特性のシミュレーション結果を示す。
【0052】
図11は、サンプルAからDにおけるダミーバンプの温度を示す図である。温度は、ダミーバンプ32aと金属パターン22aとの界面の温度である。図11に示すように、サンプルAにおけるダミーバンプ32aの温度は約84.8℃である。サンプルBでは、ダミーバンプ32aの温度はサンプルAより約0.1℃低い。サンプルCおよびDでは、ダミーバンプ32aの温度はサンプルAより約0.35℃低い。
【0053】
図12は、サンプルAからDにおけるデュプレクサのアイソレーション特性を示す図である。アイソレーション特性は、送信端子Txから受信端子Rxへのアイソレーション特性である。図12に示すように、サンプルBおよびCでは、受信帯域におけるアイソレーションはサンプルAより悪化する。サンプルDでは、アイソレーションはサンプルAと同程度である。
【0054】
送信フィルタ60と受信フィルタ62とでは送信フィルタ60に大きい高周波信号が印加される。このため、送信フィルタ60において発生した熱をダミーバンプ32aを介し効率よく端子23に逃がすことが求められる。
【0055】
サンプルAのように、ダミーバンプ32aおよび32bが接合された金属パターン50aおよび50bが絶縁層20aの上面で分離されていると、金属パターン50aの面積を大きくすることができない。このため、ダミーバンプ32aの熱は効率的に放出されない。よって、図11のように、サンプルAにおけるダミーバンプ32aの温度は高くなる。
【0056】
サンプルBのように、ダミーバンプ32aおよび32bの接合される金属パターン50を単一とする。これにより、ダミーバンプ32aが接合される金属パターン50の面積を大きくできる。これにより、ダミーバンプ32aから熱を効率的に放出できる。よって、図11のように、サンプルBにおけるダミーバンプ32aの温度はサンプルAより低くなる。
【0057】
サンプルCのように、単一の金属パターン50の面積をより大きくすると、ダミーバンプ32aから熱をより効率的に放出できる。よって、図11のように、サンプルCにおけるダミーバンプ32aの温度はサンプルBよりさらに低くなる。
【0058】
しかしながら、サンプルBおよびCでは、金属パターン50は、送信フィルタ60のグランドと受信フィルタ62のグランドとに接続される。これにより、送信フィルタ60のグランドから受信フィルタ62のグランドを介し、高周波信号が漏洩する。このため、図12のように、サンプルBおよびCではサンプルAに比べアイソレーション特性が劣化する。
【0059】
サンプルDでは、ダミーバンプ32aおよび32bは単一の金属パターン50に接合されている。金属パターン50は、受信フィルタ62のグランドに接続された金属パターン50bとは絶縁層20aの上面において分離している。これにより、サンプルDでは、図11のようにダミーバンプ32aの温度はサンプルCと同程度とし、図12のようにアイソレーション特性をサンプルAと同程度にできる。
【0060】
実施例1によれば、金属パターン50(第1金属パターン)は、基板20の上面に設けられ、ダミーバンプ32aおよび32bが接触し、ダミーバンプ32aと32bとを接続する。金属パターン50は、基板20の下面に設けられたグランド端子Gnd(端子)と電気的に接続可能である。金属パターン50が接続する端子23は、グランド端子Gnd以外でもよい。
【0061】
これにより、サンプルBからDのように、金属パターン50を基板10bのダミーバンプ32bが接合する領域まで広げることができる。よって、ダミーバンプ32aからの放熱性を向上できる。
【0062】
また、サンプルBからDのように、ダミーバンプ32aと32bとの間の金属パターン50と接触し絶縁層20a(第1絶縁層)を貫通するビア配線56(第1ビア配線)を有し、金属パターン50はビア配線56を介しグランド端子Gndと電気的に接続される。これにより、ダミーバンプ32aの熱をビア配線56を介し効率的に放出できる。
【0063】
金属パターン50は、絶縁層20bの上面に設けられた金属パターン52(第2金属パターン)に、ビア配線56と他のビア配線24aとを介し並列に接続されている。このように、金属パターン50と52とが複数のビア配線56および24aで接続されるため、放熱性をより向上できる。
【0064】
さらに、サンプルBからDのように、単一の金属パターン50は複数のグランド端子Gndに接続されている。これにより、放熱性をより向上できる。
【0065】
サンプルBおよびDのように、単一の金属パターン50は、複数の金属パターン52および52cに接続されている。これにより、放熱性をより向上できる。
【0066】
弾性波素子12aは、送信フィルタ60(第1フィルタ)に含まれる1または複数の第1弾性波共振器を含む。弾性波素子12bは、送信フィルタ60とは異なる通過帯域を有する受信フィルタ62(第2フィルタ)に含まれる1または複数の第2弾性波共振器を含む。このように、弾性波素子12aおよび12bをフィルタンに含まれる弾性波共振器とすることができる。
【0067】
サンプルDのように、金属パターン50は、基板20の上面内において、送信フィルタ60の接地パッドに電気的に接続された第3金属パターンと、受信フィルタ62の接地パッドに電気的に接続された第4金属パターンと、の少なくとも一方から電気的に分離している。これにより、送信フィルタ60と受信フィルタ62とのアイソレーションを向上できる。
【0068】
[実施例1の変形例1]
図13は、実施例1の変形例1における基板10aおよび10bの下面を上から透視した平面図である。図13に示すように、ダミーパッドPd1およびダミーバンプ32aは直列共振器S2の近くに設けられている。その他の構成は、実施例1と同じであり説明を省略する。
【0069】
ラダー型フィルタにおいては、高周波信号は主に直列共振器S1からS3を通過する。このため、直列共振器S1からS3の近くにダミーバンプ32aを設けることが好ましい。ダミーバンプ32aの少なくとも1つに最も近い共振器は、直列共振器S1からS3の少なくとも1つであることが好ましい。
【0070】
直列共振器S1からS4のうち最も送信パッドPt1に近い直列共振器S1には最も大きな高周波信号が入力する。このため、直列共振器S1が最も温度が高くなる場合がある。この場合には、実施例1のように、ダミーバンプ32aの少なくとも1つに最も近い共振器は、最も送信パッドPt1に近い直列共振器S1であることが好ましい。
【0071】
両側の直列共振器S1およびS3が接続された直列共振器S2は、放熱されにくいため最も温度が高くなる場合がある。この場合には、実施例1の変形例1のように、ダミーバンプ32aの少なくとも1つに最も近い共振器は、両側に直列共振器S1およびS3が接続された直列共振器S2であることが好ましい。
【0072】
[実施例1の変形例2]
図14は、実施例1の変形例2における基板10aおよび10bの下面を上から透視した平面図である。図14に示すように、基板10bの下面に弾性波素子12bとして圧電薄膜共振器が設けられている。圧電薄膜共振器の断面は図2(b)と同じである。共通パッドPa2と受信パッドPr2との間に直列共振器S1からS4が直列に並列共振器P1からP3が並列に接続されている。その他の構成は実施例1と同じであり説明を省略する。
【0073】
実施例1の変形例2のように、弾性波素子12aおよび12bの少なくとも一方は圧電薄膜共振器でもよい。
【0074】
[実施例1の変形例3]
図15は、実施例1の変形例3における基板10aおよび10bの下面を上から透視した平面図である。図15に示すように、基板10bの下面にコイル12cが設けられている。コイル12cとパッド15bとは配線13bおよび13cを介し接続されている。配線13cは、コイル12cと交差する配線である。その他の構成は実施例1と同じであり説明を省略する。
【0075】
実施例1の変形例3のように、機能素子は弾性波素子12bでなくとも受動素子でもよい。受動素子はインダクタおよびキャパシタの少なくとも一方ででもよい。
【実施例2】
【0076】
図16は、実施例2における基板10の下面を上から透視した平面図である。図16に示すように、弾性波素子12aおよび12bは同じ基板10上に設けられている。基板20等の構成は、実施例1のサンプルBからDと同じであり説明を省略する。
【0077】
実施例2では、基板10a(第1基板)の下面(第1面)に弾性波素子12a(第1弾性波素子)および12b(第2弾性波素子)が設けられている。ダミーバンプ32aは、平面視において弾性波素子12bより弾性波素子12aに近く、弾性波素子12aおよび12b、弾性波素子12aおよび12bに電気的に接続された金属パターン14aおよび14bから電気的に分離している(例えば電気的に独立している)。ダミーバンプ32bは、平面視において弾性波素子12aより弾性波素子12bに近く、基板10内において弾性波素子12aおよび12b並びに弾性波素子12aおよび12bに電気的に接続された金属パターン14aおよび14bから電気的に分離している(例えば電気的に独立している)。基板20(第2基板)の上面(第2面)に設けられた金属パターン50にはダミーバンプ32aおよび32bが接合する。基板20の下面(第3面)に設けられたグランド端子Gndは金属パターン50に接続可能である。
【0078】
これにより、ダミーバンプ32aが接合された金属パターン50を、弾性波素子12bの近くに設けられたダミーバンプ32bの領域まで広げることができる。よって、ダミーバンプ32aからの放熱性を向上できる。
【0079】
実施例1と同様に、弾性波素子12aは、送信フィルタ60に含まれる1または複数の第1弾性波共振器を含み、弾性波素子12bは、送信フィルタ60とは異なる通過帯域を有する受信フィルタ62に含まれる1または複数の第2弾性波共振器を含んでもよい。平面視においてダミーバンプ32aに最も近い弾性波共振器は1または複数の第1弾性波共振器の少なくとも1つであり、平面視においてダミーバンプ32bに最も近い弾性波共振器は1または複数の第2弾性波共振器の少なくとも1つである。
【0080】
実施例1のサンプルDと同様に、金属パターン50は、送信フィルタ60の接地パッドに電気的に接続された第2金属パターンと、受信フィルタ62の接地パッドに電気的に接続された第3金属パターンと、の少なくとも一方と基板20の上面内において電気的に接続されていない。これにより、送信フィルタ60と受信フィルタ62とのアイソレーションを向上できる。送信フィルタ60の共通パッドPa1と受信フィルタ62の共通パッドPa2とは基板10において電気的に接続されていないが、基板10において電気的に接続されていてもよい。
【0081】
[実施例2の変形例1および2]
図17(a)および図17(b)は、実施例2の変形例1および2に係る弾性波デバイスの断面図である。図17(a)に示すように、基板20上に基板10がフリップチップ実装されている。封止部は設けられていない。その他の構成は実施例2および実施例1の変形例4と同じであり説明を省略する。実施例2の変形例1のように封止部は設けられていなくてもよい。
【0082】
図17(b)に示すように、基板20はキャップ部であり、例えばシリコン、アルミナ、スピネル、サファイア、ガラス等の無機材料または樹脂である。基板20は周縁において基板10側に突出した突出部21を有している。突出部21の上面は基板10周縁の下面に接合される。バンプ30a、30b、ダミーバンプ32aおよび32bは基板20の上面に設けられた金属パターン22に接続する。金属パターン22は基板20を貫通するビア配線24により基板20の下面に設けられた端子に接続される。その他の構成は実施例2の変形例1と同じであり説明を省略する。実施例2の変形例2のように、基板20は、基板10の弾性波素子12aおよび12bを覆うように設けられたキャップでもよい。
【0083】
実施例1、2およびその第1フィルタおよび第2フィルタとして送信フィルタ60および受信フィルタ62を例に説明したが、両方が送信フィルタまたは両方が受信フィルタでもよい。また、マルチプレクサとしてデュプレクサの例を説明したがトリプレクサまたはクワッドプレクサでもよい。ラダー型フィルタの直列共振器および並列共振器の個数は任意に設計できる。フィルタとしてラダー型フィルタを例に説明したが、多重モードフィルタ等でもよい。弾性波素子12aおよび12bはフィルタでなくてもよい。弾性波素子12aおよび12bの一方は受動素子のような機能素子でもよく、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)素子でもよい。
【0084】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明はかかる特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0085】
10、10a、10b、20 基板
12a、12b 弾性波素子
14a、14b、22a、22b、24a、24b金属パターン
30a、30b バンプ
32a、32b ダミーバンプ
60 送信フィルタ
62 受信フィルタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17