(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-04
(45)【発行日】2022-08-15
(54)【発明の名称】ディスプレイ装置
(51)【国際特許分類】
G09F 9/30 20060101AFI20220805BHJP
H01L 27/32 20060101ALI20220805BHJP
H05B 33/02 20060101ALI20220805BHJP
H01L 51/50 20060101ALI20220805BHJP
H05B 33/22 20060101ALI20220805BHJP
【FI】
G09F9/30 308Z
H01L27/32
H05B33/02
H05B33/14 A
H05B33/22 Z
(21)【出願番号】P 2017157034
(22)【出願日】2017-08-16
【審査請求日】2020-07-29
(31)【優先権主張番号】10-2016-0104990
(32)【優先日】2016-08-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】512187343
【氏名又は名称】三星ディスプレイ株式會社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Display Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】1, Samsung-ro, Giheung-gu, Yongin-si, Gyeonggi-do, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】崔 允 ▲宣▼
(72)【発明者】
【氏名】金 鉉 哲
【審査官】川俣 郁子
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-002177(JP,A)
【文献】特開2007-053355(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0190216(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2014-0045193(KR,A)
【文献】特開2014-232300(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0306941(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0190522(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F9/30-9/46
H01L27/32
51/50
H05B33/00-33/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1領域と、第2領域と、これらの間に位置して、ベンディング軸を中心にベンディングされたベンディング領域とを有する基板と、
前記基板上に配置されており、前記ベンディング領域の少なくとも一部の領域にわたって第1開口または第1凹部を有する無機絶縁層と、
前記第1開口または第1凹部の少なくとも一部を充填し、ベンディング軸方向における前記基板の両端のエッジに沿って延長された第2開口または第2凹部を有する有機物層と、を具備し、
前記第1開口または第1凹部は、前記ベンディング領域の全体にわたって備えられ、
前記第2開口または第2凹部は、前記両端のエッジに沿った箇所にのみ備えられ、
前記有機物層は、前記第2開口を除き、前記ベンディング領域の全体にわたって備えられるディスプレイ装置。
【請求項2】
第1領域と、第2領域と、これらの間に位置して、ベンディング軸を中心にベンディングされたベンディング領域とを有する基板と、
前記基板上に配置されており、前記ベンディング領域の少なくとも一部の領域にわたって第1開口または第1凹部を有する無機絶縁層と、
前記第1開口または第1凹部の少なくとも一部を充填し、ベンディング軸方向における前記基板の両端のエッジに沿って延長された第2開口または第2凹部を有する有機物層と、を具備し、
前記第1開口または第1凹部の面積は、前記ベンディング領域の面積より広いことを特徴とするディスプレイ装置。
【請求項3】
第1領域と、第2領域と、これらの間に位置して、ベンディング軸を中心にベンディングされたベンディング領域とを有する基板と、
前記基板上に配置されており、前記ベンディング領域の少なくとも一部の領域にわたって第1開口または第1凹部を有する無機絶縁層と、
前記第1開口または第1凹部の少なくとも一部を充填し、ベンディング軸方向における前記基板の両端のエッジに沿って延長された第2開口または第2凹部を有する有機物層と、を具備し、
前記第1領域から、前記ベンディング領域を経て、前記第2領域に延長され、前記有機物層上に位置した第1導電層をさらに具備することを特徴とするディスプレイ装置。
【請求項4】
前記第1導電層が位置した層と異なる層に位置するように、前記第1領域または前記第
2領域に配置され、前記第1導電層に電気的に連結された第2導電層をさらに具備することを特徴とする請求項
3に記載のディスプレイ装置。
【請求項5】
導電層を形成する材料について同一の条件にて延伸試験を行った場合、前記第1導電層の延伸率が、前記第2導電層の延伸率より大きいことを特徴とする請求項
4に記載のディスプレイ装置。
【請求項6】
第1領域と、第2領域と、これらの間に位置して、ベンディング軸を中心にベンディングされたベンディング領域とを有する基板と、
前記基板上に配置されており、前記ベンディング領域の少なくとも一部の領域にわたって第1開口または第1凹部を有する無機絶縁層と、
前記第1開口または第1凹部の少なくとも一部を充填し、ベンディング軸方向における前記基板の両端のエッジに沿って延長された第2開口または第2凹部を有する有機物層と、を具備し、
前記有機物層は、前記第2開口または第2凹部に隣接し、前記エッジに沿って延長された追加の開口または追加の凹部を有し、
前記追加の開口または追加の凹部の長さは、前記第2開口または第2凹部の長さより短いのであり、前記追加の開口または追加の凹部は、前記ベンディング軸と平行であって前記ベンディング領域の中心を通る仮想直線と交差することを特徴とするディスプレイ装置。
【請求項7】
第1領域と、第2領域と、これらの間に位置して、ベンディング軸を中心にベンディングされたベンディング領域とを有する基板と、
前記基板上に配置されており、前記ベンディング領域の少なくとも一部の領域にわたって第1開口または第1凹部を有する無機絶縁層と、
前記第1開口または第1凹部の少なくとも一部を充填し、ベンディング軸方向における前記基板の両端のエッジに沿って延長された第2開口または第2凹部を有する有機物層と、を具備し、
前記第2開口または第2凹部は、前記ベンディング軸と平行であって前記ベンディング領域の中心を通る仮想直線と交差する部分での幅が、少なくとも他の一部分での幅より広いことを特徴とするディスプレイ装置。
【請求項8】
第1領域と、第2領域と、これらの間に位置して、ベンディング軸を中心にベンディングされたベンディング領域とを有する基板と、
前記基板上に配置されており、前記ベンディング領域の少なくとも一部の領域にわたって第1開口または第1凹部を有する無機絶縁層と、
前記第1開口または第1凹部の少なくとも一部を充填し、ベンディング軸方向における前記基板の両端のエッジに沿って延長された第2開口または第2凹部を有する有機物層と、を具備し、
前記有機物層は、前記第2開口または第2凹部に連結されるとともに、前記第2開口または第2凹部が延長された方向と交差する方向に枝状に延長された補助開口または補助凹部をさらに具備することを特徴とするディスプレイ装置。
【請求項9】
前記第1開口または前記第1凹部は、ベンディング方向で見た場合、前記ベンディング領域についてのベンディング方向の全領域にわたって備えられることを特徴とする請求項2~
8のいずれか一項に記載のディスプレイ装置。
【請求項10】
前記第2開口または第2凹部の長さは、ベンディング軸に垂直に進む方向をベンディング方向と仮定した場合、前記ベンディング領域についてのベンディング方向の寸法、すなわち、ベンディングの前の状態における前記第1領域と前記第2領域側との間の距離より大きいことを特徴とする請求項1~
9のいずれか一項に記載のディスプレイ装置。
【請求項11】
ベンディング軸に垂直に進む方向をベンディング方向と仮定した場合、前記第1開口または第1凹部についてのベンディング方向の寸法、すなわち、ベンディングの前の状態における前記第1領域から前記第2領域側へと向かう方向の寸法は、前記第2開口または第2凹部の長さより大きいことを特徴とする請求項1~10のいずれか一項に記載のディスプレイ装置。
【請求項12】
前記第1導電層及び前記有機物層を覆う追加の有機物層をさらに具備し、前記追加の有機物層は、前記第2開口または第2凹部に重なるように、前記エッジに沿って延長された第3開口または第3凹部を有することを特徴とする請求項
3~5のいずれか一項に記載のディスプレイ装置。
【請求項13】
前記第2開口または第2凹部の長さは、前記第3開口または第3凹部の長さより大きいことを特徴とする請求項12に記載のディスプレイ装置。
【請求項14】
前記追加の有機物層は、前記有機物層の前記第2開口または第2凹部での内側面を覆うことを特徴とする請求項12または13に記載のディスプレイ装置。
【請求項15】
前記有機物層の前記第2開口または第2凹部での内側面の少なくとも一部に沿って配置された導電残膜をさらに具備し、
前記追加の有機物層は、前記導電残膜を覆うことを特徴とする請求項14に記載のディスプレイ装置。
【請求項16】
前記導電残膜は、前記第1導電層が含む物質のうちの少なくとも一部を含むことを特徴とする請求項15に記載のディスプレイ装置。
【請求項17】
前記第2開口または第2凹部を充填するベンディング保護層をさらに具備することを特徴とする請求項1ないし16のうちいずれか一項に記載のディスプレイ装置。
【請求項18】
前記ベンディング保護層は、前記ベンディング領域を覆うことを特徴とする請求項17に記載のディスプレイ装置。
【請求項19】
第1領域と第2領域との間に位置するベンディング領域を有し、ベンディング軸を中心にベンディングされた基板と、
前記第1領域から、前記ベンディング領域を経て、前記第2領域に延長された第1導電層と、
前記基板と前記第1導電層との間に配置されており、前記ベンディング領域において、ベンディング軸方向における前記基板の両端のエッジと、前記第1導電層との間にて、前記ベンディング軸と交差する方向に延長された第2開口または第2凹部を有する絶縁層と、を具備し、
前記第2開口または第2凹部の長さは、ベンディング軸に垂直に進む方向をベンディング方向と仮定した場合、前記ベンディング領域についてのベンディング方向の寸法、すなわち、ベンディングの前の状態における前記第1領域と前記第2領域側との間の距離より大きく、
前記第2開口または第2凹部は、前記両端のエッジに沿った箇所にのみ備えられ
、
前記絶縁層は、前記第2開口を除き、前記ベンディング領域の全体にわたって備えられる有機物層であるディスプレイ装置。
【請求項20】
前記基板上に配置されており、前記ベンディング領域の少なくとも一部の領域にわたって第1開口または第1凹部を有する無機絶縁層をさらに含む請求項19に記載のディスプレイ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスプレイ装置に係り、さらに詳細には、製造過程または製造以後、使用過程での不良発生を最小化させることができるディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、ディスプレイ装置は、基板上に位置したディスプレイ部を有する。このようなディスプレイ装置において、少なくとも一部をベンディングさせることにより、多様な角度での視認性を向上させたり、非ディスプレイ領域の面積を狭くしたりすることができる。
【0003】
しかし、従来のディスプレイ装置の場合、このようにベンディングされたディスプレイ装置を製造する過程、または製造後の使用過程において、ベンディング部またはその隣接部で不良が発生するという問題点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、前述のところのような問題点を含み、多くの問題点を解決するためのものであり、製造過程または製造以後、使用過程での不良発生を最小化させることができるディスプレイ装置を提供することを目的とする。しかし、このような課題は、例示的なものであり、それによって本発明の範囲が限定されるものではない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一観点によれば、第1領域と第2領域との間に位置するベンディング領域を有し、ベンディング軸を中心にベンディングされた基板と、前記基板上に配置され、前記ベンディング領域に対応する第1開口または第1凹部を有する無機絶縁層と、前記第1開口または第1凹部の少なくとも一部を充填し、ベンディング軸方向における前記基板の両端の少なくとも一方のエッジに沿って延長された第2開口または第2凹部を有する有機物層と、を具備するディスプレイ装置が提供される。
【0006】
本願にて、「開口」(opening)の語は、厚み方向に貫通するものをいい、「凹部」(recess)の語は、厚み方向に貫通せず、底部が残るものをいうこととする。第1開口または第1凹部は、ベンディング領域にて、ベンディング軸方向の全寸法にわたって設けられるのが好ましい。また、ベンディング軸に垂直な、基板に沿った方向、ベンディングを行う前の状態で、第1領域から第2領域へと向かう方向をベンディング方向と仮定した場合、ベンディング方向でも、全寸法にわたって設けられるのが好ましい。但し、場合によっては、例えばベンディング方向に断続するものであってもよい。
【0007】
第2開口及び第2凹部、並びに後述の第3開口及び第3凹部などは、典型的には、前記エッジに沿った方向の寸法が、前記ベンディング軸方向の寸法の2倍以上、特には4倍以上、例えば4~200倍であり、スロット(slot)及び溝(groove)と呼ぶことができる。なお、開口または凹部は、幅方向(ベンディング軸方向)外側へと、前記エッジにまで達している場合、すなわち、前記エッジの近傍の抜き部(cut out)などと呼ぶべき場合(本願
図14~17)も含めることとする。スロット(slot)や溝(groove)としての開口または凹部の幅は、クラックの伝播を抑えるために必要な程度であればよく、例えば0.1mm~10mmまたは0.2mm~5mmとすることができる。
【0008】
前記第1開口または前記第1凹部は、前記ベンディング領域と重なるように位置することができる。そして、前記第1開口または第1凹部の面積は、前記ベンディング領域の面積より広くてもよい。さらに、前記第2開口または第2凹部の長さは、前記ベンディング領域の前記第1領域から前記第2領域側への幅より大きくなってもよい。
【0009】
前記第1領域から、前記ベンディング領域を経て、前記第2領域に延長され、前記有機物層上に位置した第1導電層をさらに具備することができる。
【0010】
このとき、前記第1開口または第1凹部についての前記第1領域から前記第2領域側への幅または寸法は、前記第2開口または第2凹部の長さより大きいのでありうる。さらに、前記第1導電層及び前記有機物層を覆う追加有機物層をさらに具備し、前記追加有機物層は、前記第2開口または第2凹部に対応するように、前記基板のエッジに沿って延長された第3開口または第3凹部を有することができる。
【0011】
また、前記第2開口または第2凹部の長さは、前記第3開口または第3凹部の長さより長くともよい。
【0012】
前記追加有機物層は、前記有機物層の前記第2開口または第2凹部での内側面を覆うことができる。その場合、前記有機物層の前記第2開口または第2凹部での内側面の少なくとも一部に沿って配置された導電残膜をさらに具備し、前記追加有機物層は、前記導電残膜を覆うことができる。そして、前記導電残膜は、前記第1導電層が含む物質のうち少なくとも一部を含んでもよい。
【0013】
一方、前記第1導電層が位置した層と異なる層に位置するように、前記第1領域または前記第2領域に配置され、前記第1導電層に電気的に連結された第2導電層をさらに具備することができる。その場合、前記第1導電層の延伸率が前記第2導電層の延伸率より大きくなってもよい。すなわち、第1導電層を形成する材料と、第2導電層を形成する材料とを、同一の条件で延伸試験に供した場合、第1導電層を形成する材料の方が高い延伸率を示しうる。言い換えれば、第1導電層の材料が、第2導電層の材料よりも、より高い延性を有しうる。
【0014】
前記有機物層は、前記第2開口または第2凹部に隣接し、前記基板のエッジに沿って延長された追加開口または追加凹部を有することができる。このとき、前記追加開口または追加凹部の長さは、前記第2開口または第2凹部の長さより短いが、前記追加開口または追加凹部は、前記ベンディング軸と平行であり、前記ベンディング領域の中心を通る仮想直線と交差することができる。
【0015】
前記第2開口または第2凹部は、前記ベンディング軸と平行であって前記ベンディング領域の中心を通る仮想直線と交差する部分での幅が、少なくとも他の一部分での幅より広くなってもよい。
【0016】
前記有機物層は、前記第2開口または第2凹部に連結されるとともに、前記第2開口または第2凹部が延長された方向と交差する方向に枝状に延長された補助開口または補助凹部をさらに具備することができる。
【0017】
前記第2開口または第2凹部を充填するベンディング保護層をさらに具備することができる。このとき、前記ベンディング保護層は、前記ベンディング領域を覆うことができる。
【0018】
本発明の他の一観点によれば、第1領域と第2領域との間に位置するベンディング領域を有し、ベンディング軸を中心にベンディングされた基板と、前記第1領域から、前記ベンディング領域を経て、前記第2領域に延長された第1導電層と、前記基板と前記第1導電層との間に配置され、前記ベンディング領域において、ベンディング軸方向における前記基板の両端の少なくとも一方のエッジと、前記第1導電層との間に対応するように、前記ベンディング軸と交差する方向に延長された第2開口または第2凹部を有する絶縁層と、を具備するディスプレイ装置が提供される。
【0019】
本願の「有機物層」及び「ベンディング保護層」は、平坦化層(平坦化膜)または画素定義膜(画素区画バンプ)を形成する樹脂材料と同様の材料で形成することができる。例えば、アクリル系樹脂、シロキサン系樹脂、エポキシ系樹脂、イミド系樹脂、その他の光硬化性または熱硬化性の樹脂、またはこれらを適宜組み合わせた形の樹脂を用いることができる。例えば、HMDSO(hexamethyl disiloxane)や、ベンゾシクロブテン樹脂などを用いることもできる。特には、これらの中から、弾性及び靭性が比較的高い材料を選択して用いることができる。とりわけ、「ベンディング保護層」の材料には、エラストマー性を有する材料、例えば、透光性接着剤(OCA:optically clear adhesive)またはこれに類似の樹脂材料を用いることができる。
【0020】
「有機物層」の厚みは、第1領域及び第2領域における、第1導電層と接続するための端子部の高さに近い高さとすることができ、例えば、0.1~0.3μmとすることができる。また、「ベンディング保護層」の厚みは、第1領域及び第2領域における、平坦化層の上面から偏光板までの厚み方向寸法と同様か、またはこれより小さくすることができる。例えば0.3~30μm、特には1~20μmとすることができる。
【0021】
前述のところ以外の他の側面、特徴、利点は、以下の発明を実施するための具体的な内容、特許請求の範囲及び図面から明確になるであろう。
【発明の効果】
【0022】
前述のようになされた本発明の一実施形態によれば、製造過程または製造以後、使用過程での不良発生を最小化させることができるディスプレイ装置を具現することができる。ただ、このような効果により、本発明の範囲が限定されるものではないということはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の一実施形態によるディスプレイ装置の一部を概略的に図示する斜視図である。
【
図2】
図1のディスプレイ装置の一部を概略的に図示する断面図である。
【
図3】
図1のディスプレイ装置の一部を概略的に図示する平面図である。
【
図4】
図3のIV-IV線に沿って切り取った断面を概略的に図示する断面図である。
【
図5】本発明の他の一実施形態によるディスプレイ装置の一部を概略的に図示する断面図である。
【
図6】本発明のさらに他の一実施形態によるディスプレイ装置の一部を概略的に図示する断面図である。
【
図7】
図6のA部分を拡大して図示する断面図である。
【
図8】
図3のVIII-VIII線に沿って切り取った断面を概略的に図示する断面図である。
【
図9】本発明のさらに他の一実施形態によるディスプレイ装置の一部を概略的に図示する平面図である。
【
図10】本発明のさらに他の一実施形態によるディスプレイ装置の一部を概略的に図示する平面図である。
【
図11】本発明のさらに他の一実施形態によるディスプレイ装置の一部を概略的に図示する平面図である。
【
図12】本発明のさらに他の一実施形態によるディスプレイ装置の一部を概略的に図示する平面図である。
【
図13】本発明のさらに他の一実施形態によるディスプレイ装置の一部を概略的に図示する平面図である。
【
図14】本発明のさらに他の一実施形態によるディスプレイ装置の一部を概略的に図示する平面図である。
【
図15】
図14のXV-XV線に沿って切り取った断面を概略的に図示する断面図である。
【
図16】本発明のさらに他の一実施形態によるディスプレイ装置の一部を概略的に図示する断面図である。
【
図17】本発明のさらに他の一実施形態によるディスプレイ装置の一部を概略的に図示する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明は、多様な変換を加えることができ、さまざまな実施形態を有することができるが、特定の実施形態を図面に例示し、詳細な説明によって詳細に説明する。本発明の効果、特徴、及びそれらを達成する方法は、図面と共に詳細に説明する実施形態を参照すれば、明確になるであろう。しかし、本発明は、以下で開示される実施形態に限定されるものではなく、多様な形態に具現されるのである。
【0025】
以下、添付された図面を参照し、本発明の実施形態について詳細に説明するが、図面を参照して説明するとき、同一であるか、あるいは対応する構成要素は、同一図面符号を付し、それに係わる重複説明は省略する。
【0026】
以下の実施形態において、層、膜、領域、板などの各種構成要素が、異なる構成要素「上に」あるとするとき、それは、他の構成要素の「真上に」ある場合だけではなく、その間に他の構成要素が介在された場合も含む。また、説明の便宜のために、図面においては、構成要素の大きさが、誇張されていることもあり、縮小されていることもある。例えば、図面に示された各構成の大きさ及び厚みは、説明の便宜のために任意に示されており、本発明は、必ずしも図示されたところに限定されるものではない。
【0027】
以下の実施形態において、x軸、y軸及びz軸は、直交座標系上の3つの軸によって限定されるものではなく、それを含む広い意味にも解釈される。例えば、x軸、y軸及びz軸は、互いに直交することもあり、互いに直交せずに、互いに異なる方向を指すこともある。
【0028】
図1は、本発明の一実施形態によるディスプレイ装置の一部を概略的に図示する斜視図であり、
図2は、
図1のディスプレイ装置の一部を概略的に図示する断面図であり、
図3は、
図1のディスプレイ装置の一部を概略的に図示する平面図である。
【0029】
図1ないし
図3に図示されているように、本実施形態によるディスプレイ装置が具備する基板100は、第1方向(+y方向)に延長されたベンディング領域BAを有する。該ベンディング領域BAは、第1方向と交差する第2方向(+x方向)において、第1領域1Aと第2領域2Aとの間に位置する。そして、基板100は、
図1に図示されているように、第1方向(+y方向)に延長されたベンディング軸BAXを中心にベンディングされている。このような基板100は、フレキシブルまたは曲げ可能な特性を有する多様な物質(材料;複合材料なども含む)を含んでもよいが、例えば、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリアクリレート(PAR)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリアリレート(polyarylate)、ポリイミド(PI)、ポリカーボネート(PC)またはセルロースアセテートプロピオネート(CAP)といった高分子樹脂を含んでもよい。ただし、基板100は、それぞれにこのような高分子樹脂を含む2つの層と、これらの層の間に介在された、(シリコンオキサイド、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素などの)無機物を含むバリア層とを含む積層構造を有することもできるなど、多様な変形が可能であるということはいうまでもない。
【0030】
参考までに、
図1においては、基板100が有するy軸方向の幅が、第1領域1A、ベンディング領域BA及び第2領域2Aにわたって、一定であるように図示されているが、本発明は、それに限定されるものではない。例えば、
図3に図示されているように、第1領域1A内に、y軸方向の基板100の幅が異なる部分が存在しうる。その場合、第1領域1A内における、基板100の幅が狭い部分の幅は、
図3に図示されているように、ベンディング領域BAや、第2領域2Aでの基板100の幅と同一でありうる。
【0031】
第1領域1Aは、ディスプレイ領域DAを含む。ただし、第1領域1Aは、
図2に図示されているように、ディスプレイ領域DA以外にも、ディスプレイ領域DAの外側に非ディスプレイ領域を一部含んでもよいということはいうまでもない。第2領域2Aも、非ディスプレイ領域を含んでもよい。
【0032】
基板100のディスプレイ領域DAには、ディスプレイ素子300以外にも、
図2に図示されているように、ディスプレイ素子300が電気的に連結される薄膜トランジスタ210も、位置することができる。
図2においては、ディスプレイ素子300として、有機発光素子がディスプレイ領域DAに位置するものとして図示されている。このような有機発光素子が薄膜トランジスタ210に電気的に連結されるということは、画素電極310が薄膜トランジスタ210に電気的に連結されるというふうに理解される。
【0033】
薄膜トランジスタ210は、非晶質シリコン、多結晶シリコンまたは有機半導体物質を含む半導体層211、ゲート電極213、ソース電極215a及びドレイン電極215bを含んでもよい。半導体層211とゲート電極213との間の絶縁性を確保するために、シリコンオキサイド、窒化ケイ素及び/または酸窒化ケイ素などの無機物を含むゲート絶縁膜120が、半導体層211とゲート電極213との間に介在されてもよい。また、ゲート電極213の上部には、シリコンオキサイド、窒化ケイ素及び/または酸窒化ケイ素などの無機物を含む層間絶縁膜130が配置され、ソース電極215a及びドレイン電極215bは、このような層間絶縁膜130上に配置されてもよい。このような、無機物を含む絶縁膜は、CVD(chemical vapor deposition)法またはALD(atomic layer deposition;原子層堆積)法によって形成されうる。このことは、後述する実施形態及びその変形例においても同様である。
【0034】
このような構造の薄膜トランジスタ210と、基板100との間には、シリコンオキサイド、窒化ケイ素及び/または酸窒化ケイ素といった無機物を含むバッファ層110が介在されうる。このようなバッファ層110は、基板100の上面の平滑性を高めたり、基板100などからの不純物が、薄膜トランジスタ210の半導体層211に侵透することを防止したり最小化させたりする役割を果たすことができる。
【0035】
そして、薄膜トランジスタ210上には、平坦化層140が配置されうる。例えば、
図2に図示されているように、薄膜トランジスタ210の上方に、有機発光素子が配置される場合、平坦化層140は、薄膜トランジスタ210を覆う保護膜の上面を、ほぼ平坦にする役割を果たすことができる。このような平坦化層140は、例えば、アクリル、BCB(benzocyclobutene)またはHMDSO(hexamethyl disiloxane)といった有機物によって形成されうる。
図2においては、平坦化層140が単層であるものとして図示されているが、積層膜として設けるなど、多様な変形が可能である。また、
図2に図示されているように、平坦化層140が、ディスプレイ領域DAの外側にて開口を有することで、ディスプレイ領域DAの平坦化層140の部分と、第2領域2Aの平坦化層140の部分とを物理的に分離させることもできる。これは、外部から浸透した不純物などが、平坦化層140の内部を介してディスプレイ領域DAの内部にまで逹することを防止するためである。
【0036】
基板100のディスプレイ領域DA内において、平坦化層140上には、ディスプレイ素子300が位置することができる。ディスプレイ素子300は、例えば、画素電極310と、対向電極330と、これらの間に介在され、発光層を含む中間層320とを有する有機発光素子でありうる。画素電極310は、
図2に図示されているように、平坦化層140などに形成された開口部を介して、ソース電極215a及びドレイン電極215bのうちのいずれか一方の層とコンタクトすることで、薄膜トランジスタ210と電気的に連結される。
【0037】
平坦化層140上には、画素定義膜(画素開口の輪郭を画するバンプ部)150が配置されてもよい。該画素定義膜150は、各副画素(例えば各原色を表示する画素ドット)に対応する開口、すなわち、少なくとも画素電極310の中央部を露出させる開口を有することにより、画素の領域の輪郭を定める役割を果たす。また、
図2に図示されているような場合、画素定義膜150は、画素電極310のエッジと、画素電極310上部の対向電極330との距離を増大させることにより、画素電極310のエッジで、アークなどが発生することを防止する役割を果たす。このような画素定義膜150は、例えば、ポリイミドまたはHMDSO(hexamethyl disiloxane)といった有機物によって形成されてもよい。
【0038】
有機発光素子の中間層320は、低分子物質または高分子物質を含んでもよい。低分子物質を含む場合、ホール注入層(HIL:hole injection layer)、ホール輸送層(HTL:hole transport layer)、発光層(EML:emission layer)、電子輸送層(ETL:electron transport layer)、電子注入層(EIL:electron injection layer)などが単一あるいは複合の構造に積層された構造を有することができ、銅フタロシアニン(CuPc)、N,N-ジ(ナフタレン-1-イル)-N,N’-ジフェニル-ベンジジン(NPB)、トリス-8-ヒドロキシキノリンアルミニウム(Alq3)などを含む多様な有機物質を含みうる。このような層は、真空蒸着法によって形成されうる。
【0039】
中間層320が高分子物質を含む場合には、ほとんどの場合、ホール輸送層(HTL)及び発光層(EML)を含む構造を有することができる。ここで、ホール輸送層は、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)を含み、発光層は、PPV(poly-phenylenevinylene)系及びポリフルオレン(polyfluorene)系など高分子物質を含むのでありうる。このような中間層320は、スクリーン印刷法やインクジェット印刷法、レーザ熱転写法(LITI)などで形成することができる。
【0040】
ただし、中間層320は、必ずしもこのようなものに限定されるのではなく、多様な構造を有しうることはいうまでもない。そして、中間層320は、複数個の画素電極310にわたって、一体となった層を含むのであってもよく、複数個の画素電極310にそれぞれ対応するようにパターニングされた層を含むのであってもよい。
【0041】
対向電極330は、ディスプレイ領域DA上に配置されるが、
図2に図示されているように、ディスプレイ領域DAの実質上全体を覆うように配置されてもよい。すなわち、対向電極330は、複数個の有機発光素子にわたって一体に形成され、複数個の画素電極310に対応するのでありうる。
【0042】
このような有機発光素子は、外部からの水分や酸素などによって容易に損傷を受けるので、封止層400が、これら有機発光素子を覆い、それらを保護する。封止層400は、ディスプレイ領域DAの実質上全体を覆うとともに、ディスプレイ領域DAの外側まで延長されてもよい。このような封止層400は、
図2に図示されているように、第1無機封止層410、有機封止層420及び第2無機封止層430を含みうる。
【0043】
第1無機封止層410は、対向電極330を覆い、シリコンオキサイド、窒化ケイ素及び/または酸窒化ケイ素などを含むものでありうる。ただし、必要によって、第1無機封止層410と対向電極330との間に、キャッピング層などの他の層が介在されるということはいうまでもない。このような第1無機封止層410は、その下の構造物に沿って形成されるので、
図2に図示されているように、上面が平坦ではなくなる。有機封止層420は、このような第1無機封止層410を覆うが、第1無機封止層410と異なり、その上面がほぼ平坦になる。具体的には、有機封止層420は、ディスプレイ領域DAに対応する部分では、上面がほぼ平坦になる。このような有機封止層420は、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエチレンスルホネート、ポリオキシメチレン、ポリアリレート、ヘキサメチルジシロキサンからなる群から選択された1以上の材料を含んでもよい。第2無機封止層430は、有機封止層420を覆い、シリコンオキサイド、窒化ケイ素及び/または酸窒化ケイ素などを含むものでありうる。このような第2無機封止層430は、ディスプレイ領域DAの外側に位置した縁部が、第1無機封止層410とコンタクトすることにより、有機封止層420を外部に露出させないようにするのでありうる。
【0044】
このように封止層400は、第1無機封止層410、有機封止層420及び第2無機封止層430を含むものでありうるが、このような多層構造により、封止層400内にクラックが発生するとしても、第1無機封止層410と有機封止層420との間、または有機封止層420と第2無機封止層430との間で、このようなクラックが連結しないようにしうる。このことにより、外部からの水分や酸素などが、ディスプレイ領域DAへと侵透する経路について、形成を防止したり、最小化させたりすることができる。
【0045】
封止層400上には、透光性接着剤(OCA:optically clear adhesive)510によって、偏光板520が取り付けられうる。このような偏光板520は、外光反射を減らす役割を行う。例えば、外光が偏光板520を通過し、対向電極330の上面で反射した後、さらに偏光板520を通過する場合、偏光板520を2回通過することにより、その外光の位相が変わる。その結果、反射光の位相が、偏光板520に進入する外光の位相と異ならせることにより、消滅干渉を発生させ、結果として、外光反射を減らすことにより、視認性を向上させることができる。このような透光性接着剤510と偏光板520は、例えば、
図2に図示されているように、平坦化層140の開口を覆うことができる。ただし、本実施形態によるディスプレイ装置が、常に偏光板520を具備するものではなく、必要によって、偏光板520を省略したり、他の構成で代替したりしうるということはいうまでもない。例えば、偏光板520を省略し、ブラックマットリックスとカラーフィルタとを利用して、外光反射を減らすこともできる。
【0046】
一方、無機物を含むバッファ層110、ゲート絶縁膜120及び層間絶縁膜130を、総称して、無機絶縁層ということができる。このような無機絶縁層は、
図2に図示されているように、ベンディング領域BAに対応する第1開口を有する。すなわち、バッファ層110、ゲート絶縁膜120及び層間絶縁膜130が、いずれもベンディング領域BAに対応する開口110a,120a,130aを有するのでありうる。このような第1開口がベンディング領域BAに対応するということは、第1開口がベンディング領域BAと重なり合うものと理解されうる。ここで、第1開口の面積は、ベンディング領域BAの面積より広いのでありうる。そのために、
図2においては、第1開口の幅OWが、ベンディング領域BAの幅BAwより広いものとして図示されている。ここで、第1開口の面積は、バッファ層110、ゲート絶縁膜120及び層間絶縁膜130の開口110a,120a,130aのうち、最も狭い面積の開口の面積として定義され、
図2においては、バッファ層110の開口110aの面積によって、第1開口の面積が規定されるものとして図示されている。
【0047】
参考として、バッファ層130の開口130aを形成した後、ゲート絶縁膜120の開口120aと、層間絶縁膜130の開口130aは、同時に形成することができる。薄膜トランジスタ210を形成するにあたり、ソース電極215aとドレイン電極215bとを半導体層211にコンタクトさせるために、ゲート絶縁膜120と層間絶縁膜130とを貫通するコンタクトホールを形成しなければならない。このようなコンタクトホールを形成するにあたり、ゲート絶縁膜120の開口120aと、層間絶縁膜130の開口130aとを同時に形成することができる。それによって、ゲート絶縁膜120の開口120aの内側面と、層間絶縁膜130の開口130aの内側面は、
図2に図示されているように、連続面を形成することができる。
【0048】
本実施形態によるディスプレイ装置は、このような無機絶縁層の第1開口の少なくとも一部を充填する有機物層160を具備する。
図2においては、有機物層160が、いずれの第1開口をも充填するものとして図示されている。そして、本実施形態によるディスプレイ装置は、第1導電層215cを具備するのであるが、該第1導電層215cは、第1領域1Aから、ベンディング領域BAを経て第2領域2Aにまで延びており、有機物層160上に位置する。ただし、有機物層160が存在しないところでは、第1導電層215cは、層間絶縁膜130などの無機絶縁層上に位置しうるということはいうまでもない。このような第1導電層215cは、ソース電極215aやドレイン電極215bと同一の物質(材料)によって同時に形成されてもよい。
【0049】
前述のように、
図2では、便宜上、ディスプレイ装置がベンディングされていない状態であるように図示されているが、本実施形態によるディスプレイ装置は、実際には、
図1に図示されているように、ベンディング領域BAで、基板100などがベンディングされた状態である。そのために、製造過程において、
図2に図示されているように、基板100がほぼ平坦な状態でディスプレイ装置を製造し、その後、ベンディング領域BAで、基板100などをベンディングし、ディスプレイ装置がほぼ
図1に図示されているような形状を有するようにする。このとき、基板100などが、ベンディング領域BAでベンディングされる過程において、第1導電層215cには、引っ張りストレスが印加されるが、本実施形態によるディスプレイ装置の場合、このようなベンディング過程中に、第1導電層215cで不良が発生することを防止したり最小化させたりすることができる。
【0050】
もしバッファ層110、ゲート絶縁膜120及び/または層間絶縁膜130といった無機絶縁層が、ベンディング領域BAで開口を有さず、第1領域1Aから第2領域2Aに至るまで連続的な形状を有し、第1導電層215cが、このような無機絶縁層上に位置するならば、基板100などがベンディングされる過程において、第1導電層215cに大きい引っ張りストレスが印加される。特に、該無機絶縁層は、その硬度が該有機物層より高いために、ベンディング領域BAにおいて、無機絶縁層にクラックなどが発生する確率が非常に高く、無機絶縁層にクラックが発生する場合、無機絶縁層上の第1導電層215cにもクラックなどが発生し、第1導電層215cの断線などの不良の発生する確率が非常に高くなる。
【0051】
しかし、本実施形態によるディスプレイ装置の場合、前述のように、無機絶縁層がベンディング領域BAにて第1開口を有し、第1導電層215cのベンディング領域BAの部分は、無機絶縁層の第1開口の少なくとも一部を充填する有機物層160上に位置する。該無機絶縁層は、ベンディング領域BAにおいて、第1開口を有するが、該無機絶縁層におけるクラックなどの発生確率が極めて低くなり、有機物層160の場合、有機物を含む特性上、クラックの発生確率が低い。従って、有機物層160上に位置する第1導電層215cのベンディング領域BAの部分に、クラックなどの発生を防止したり、発生確率を最小化させたりすることができる。ただし、有機物層160は、その硬度が無機物層より低いために、基板100などにおいて、ベンディングによって発生する引っ張りストレスを、有機物層160が吸収することで、第1導電層215cに引っ張りストレスが集中することを効果的に最小化させることができる。
【0052】
図2では、無機絶縁層が第1開口を有するように図示されているが、本発明は、それに限定されるものではない。例えば、無機絶縁層が、第1開口ではない第1凹部を有することもできる。例えば、バッファ層110は、
図2に図示されたところと異なり、開口110aを有さずに、第1領域1Aからベンディング領域BAを経て第2領域2Aまで延長されており、ゲート絶縁膜120及び層間絶縁膜130だけが開口120a,130aを有するというのでありうる。その場合にも、無機物を含むバッファ層110、ゲート絶縁膜120及び層間絶縁膜130を、総称して、無機絶縁層ということができる。ただし、その場合、該無機絶縁層は、ベンディング領域BAに対応する第1凹部を有すると理解される。そして、有機物層160は、このような第1凹部の少なくとも一部を充填することができる。
【0053】
このような場合、無機絶縁層がベンディング領域BAで第1凹部を有することにより、結果として、ベンディング領域BAでの無機絶縁層の厚みが薄くなり、基板100などがベンディングされるとき、ベンディングが円滑に行われるようにする。同時に、有機物層160がベンディング領域BAに存在し、このような有機物層160上に、第1導電層215cが位置するので、第1導電層215cがベンディングによって損傷を受けることを効果的に防止することができる。前述の実施形態、及び後述する実施形態やその変形例においては、便宜上、無機絶縁層が第1開口を有する場合について説明するが、このような実施形態や変形例において、無機絶縁層が前述のように、第1凹部を有することもできるということはいうまでもない。
【0054】
本実施形態によるディスプレイ装置は、第1導電層215c以外に、第2導電層213a,213bも具備することができる。このような第2導電層213a,213bは、第1導電層215cが位置した層と異なる層に位置するように、第1領域1Aまたは第2領域2Aに配置され、第1導電層215cに電気的に連結されてもよい。
図2においては、第2導電層213a,213bが薄膜トランジスタ210のゲート電極213と同一物質(材料)によって同一層に、すなわち、ゲート絶縁膜120上に位置するものとして図示されている。そして、第1導電層215cが、層間絶縁膜130に形成されたコンタクトホールを介して、第2導電層213a,213bにコンタクトするものとして図示されている。また、第2導電層213aが第1領域1Aに位置し、第2導電層213bが第2領域2Aに位置するとして図示されている。
【0055】
第1領域1Aに位置する第2導電層213aは、ディスプレイ領域DA内の薄膜トランジスタなどに電気的に連結されるのでありうる。これに伴い、第1導電層215cが、第2導電層213aを介して、ディスプレイ領域DA内の薄膜トランジスタなどに電気的に連結されるのでありうる。ここで、第1導電層215cによって、第2領域2Aに位置する第2導電層213bも、ディスプレイ領域DA内の薄膜トランジスタなどに電気的に連結されるのでありうる。このように、第2導電層213a,213bは、ディスプレイ領域DAの外側に位置しながらも、ディスプレイ領域DA内に位置する構成要素に電気的に連結されうるのであり、また、ディスプレイ領域DAの外側に位置しながらも、ディスプレイ領域DAの方向に延長されて、少なくとも一部が、ディスプレイ領域DA内に位置しうる。
【0056】
前述のように、
図2においては、便宜上、ディスプレイ装置がベンディングされていない状態で図示されているが、本実施形態によるディスプレイ装置は、実際には、
図1に図示されているように、ベンディング領域BAにて、基板100などがベンディングされた状態である。そのために、製造過程において、
図2に図示されているように、基板100がほぼ平坦な状態でディスプレイ装置を製造し、その後、ベンディング領域BAにて、基板100などをベンディングし、ディスプレイ装置がほぼ
図1に図示されているような形状を有するようにする。このとき、基板100などが、ベンディング領域BAでベンディングされる過程において、ベンディング領域BA内に位置する構成要素には、引っ張りストレスが印加される。
【0057】
従って、ベンディング領域BAを横切る第1導電層215cの場合、同一延伸条件の延伸率が高い物質、すなわちより延性の高い物質を含むようにすることにより、第1導電層215cにクラックが発生したり、第1導電層215cが断線されたりするような不良が発生しないようにする。同時に、第1領域1Aや第2領域2Aなどでは、第1導電層215cよりは延伸率が低いが、第1導電層215cと異なる電気的/物理的特性を有する物質により、第2導電層213a,213bを形成することにより、ディスプレイ装置において、電気的信号伝達の効率性が高くなったり、製造過程での不良発生率が低くなったりしうるのである。
【0058】
例えば、第2導電層213a,213bは、モリブデンを含んでもよく、第1導電層215cは、アルミニウムを含んでもよい。ただ、第1導電層215cや第2導電層213a,213bは、必要によって、多層構造を有することができるということはいうまでもない。例えば、第1導電層215cは、チタン層/アルミニウム層/チタン層の積層構造を有することができ、第2導電層213a,213bは、モリブデン層/チタン層の積層構造を有することができる。しかし、本発明は、それに限定されるものではなく、第1導電層215cがディスプレイ領域DAに延長され、薄膜トランジスタ210のソース電極215a、ドレイン電極215bまたはゲート電極213に直接電気的に連結されてもよい。
【0059】
一方、
図2に図示されているように、有機物層160が、無機絶縁層の第1開口の内側面を覆うようにすることを考慮することができる。前述のように、第1導電層215cは、ソース電極215a及びドレイン電極215bと同一物質で同時に形成することができるが、そのために、基板100の全面ほとんどにおいて、層間絶縁膜130などの上に導電層を形成した後、それをパターニングし、ソース電極215a、ドレイン電極215b及び第1導電層215cを形成することができる。もし有機物層160がバッファ層110の開口110aの内側面や、ゲート絶縁膜120の開口120aの内側面や、層間絶縁膜130の開口130aの内側面を覆わなければ、導電層をパターニングする過程において、その導電性物質がバッファ層110の開口110aの内側面や、ゲート絶縁膜120の開口120aの内側面や、層間絶縁膜130の開口130aの内側面で除去されず、当該部分に残存することがある。このような場合、残存する導電性物質は、他の導電層との間でショートを引き起こしてしまう。
【0060】
従って、有機物層160を形成するとき、有機物層160が、無機絶縁層の第1開口の内側面を覆うようにすることが望ましい。有機物層160が無機絶縁層の第1開口の内側面を覆うということは、有機物層160の第2開口160aの延長された方向への長さdより、無機絶縁層の第1開口の第1領域1Aから第2領域2A側への幅OWがさらに大きいと理解されてもよい。
【0061】
参考として、
図2においては、有機物層160が均一な厚みを有するように図示されているが、それと異なり、位置によって異なる厚みを有し、バッファ層110の開口110aの内側面や、ゲート絶縁膜120の開口120aの内側面や、層間絶縁膜130の開口130aの内側面あたりで、有機物層160の上面の屈曲の傾斜が緩くなるようにしうる。それによって、ソース電極215a、ドレイン電極215b及び第1導電層215cを形成するために、導電層をパターニングする過程において、除去されなければならない部分の導電物質が除去されないで残存することを効果的に防止することができる。
【0062】
一方、ディスプレイ領域DAの外側には、ベンディング保護層(BPL:bending protection layer)600が位置することができる。すなわち、ベンディング保護層600が、少なくともベンディング領域BAに対応し、第1導電層215c上に位置するようにする。
【0063】
ある積層体をベンディングするとき、その積層体内には、ストレス中性平面(stress neutral plane)が存在する。もし該ベンディング保護層600が存在しないのであれば、基板100などのベンディングによって、ベンディング領域BA内において、第1導電層215cに過度な引っ張りストレスなどが印加される。それは、第1導電層215cの位置が、ストレス中性平面に対応しないためである。しかし、ベンディング保護層600が存在し、その厚み及びモデュラスなどを調節することにより、基板100、第1導電層215c及びベンディング保護層600などをいずれも含む積層体において、ストレス中性平面の位置を調整することができる。従って、ベンディング保護層600を介して、ストレス中性平面を、第1導電層215c近辺、またはその上部に位置させることにより、第1導電層215cに印加される引っ張りストレスを最小化させたり、第1導電層215cには、圧縮ストレスが印加されたりするようにする。このようなベンディング保護層600は、アクリルなどで形成することができる。参考として、第1導電層215cに、圧縮ストレスが印加される場合、それによって、第1導電層215cが損傷される確率は、引っ張りストレスが印加される場合に比べて極めて低い。
【0064】
図4では、ベンディング保護層600についての、ベンディング領域BAの一方のエッジ(左右の一方のエッジ)の側(+y方向)の終端をなす端面が、基板100などのエッジ端面と一致せず、基板100内部に位置するものとして図示されている。しかし、本発明は、それに限定されるものではなく、ベンディング保護層600の基板100エッジ方向(+y方向)終端部面が、基板100などのエッジ端面と一致するなど多様な変形が可能である(
図15など参照)。または、図示されているところと異なり、ベンディング保護層600から離隔され、ベンディング領域BAのエッジの側(+y方向)に存在する追加ベンディング保護層が存在しうる。それは、有機物層160が、第2開口160aを有するところと類似して、ベンディング保護層600が、ベンディング保護層600を上下に貫通する開口を有すると理解される。
【0065】
特に、1枚の母基板上に、複数個のディスプレイ部を形成し、母基板などをカッティングして複数個のディスプレイ装置を同時に製造する際、カッティングに先立ってベンディング保護層600を形成することができる。その場合、母基板をカッティングするとき、ベンディング保護層なども、やはり共にカッティングされ、それによって製造されたディスプレイ装置の場合、ベンディング保護層600の基板100エッジ方向(+y方向)終端部面が、基板100などのエッジ端部面と一致する。参考として、該カッティングは、母基板などにレーザビームを照射して行われる。
【0066】
一方、
図2では、ベンディング保護層600のディスプレイ領域DA方向(-x方向)上面が、偏光板520の(+z方向)上面と一致するように図示されているが、本発明は、それに限定されるものではない。例えば、ベンディング保護層600のディスプレイ領域DA方向(-x方向)終端が、偏光板520のエッジ上面の一部を覆うこともできる。または、ベンディング保護層600のディスプレイ領域DA方向(-x方向)終端が、偏光板520及び/または透光性接着剤510とコンタクトしないこともある。特に、後者の場合、ベンディング保護層600を形成する過程、またはその形成後、ベンディング保護層600で生じたガスがディスプレイ領域DA方向(-x方向)に移動し、有機発光素子のようなディスプレイ素子300などを劣化させることを防止することができる。
【0067】
もし
図2に図示されているように、ベンディング保護層600におけるディスプレイ領域DAの側(-x方向)の上面が、偏光板520の(+z方向)の上面と一致するか、ベンディング保護層600におけるディスプレイ領域DAの側(-x方向)の終端が偏光板520のエッジ部の上面の一部を覆うか、または、ベンディング保護層600のディスプレイ領域DAの側(-x方向)の終端が透光性接着剤510とコンタクトするとうい場合、ベンディング保護層600のディスプレイ領域DAの側(-x方向)の部分の厚みが、ベンディング保護層600の他の部分の厚みよりも厚い。ベンディング保護層600を形成するとき、液状またはペースト形態の物質を塗布し、それを硬化させることができるが、硬化過程において、ベンディング保護層600の体積が小さくなる。このとき、ベンディング保護層600のディスプレイ領域DAの側(-x方向)の部分が、偏光板520及び/または透光性接着剤510とコンタクトしている場合、ベンディング保護層600の当該部分の位置が固定されるので、ベンディング保護層600の残余部分において、体積減少が発生する。その結果、ベンディング保護層600のディスプレイ領域DA方向(-x方向)部分の厚みが、ベンディング保護層600の他の部分の厚みより厚くなる。
【0068】
一方、本実施形態によるディスプレイ装置が具備する有機物層160は、
図3に図示されているように、基板100のエッジに沿って延長された第2開口160aを有する。
図3では、具体的には、有機物層160が、第1導電層215cが延長された方向(+x方向)に延長されるが基板100の+y方向に位置したエッジと、-y方向に位置したエッジとに沿って延長された第2開口160aを有するように図示されている。有機物層160が、このような第2開口160aを有することによって、ディスプレイ装置の製造過程またはその製造後、使用過程での不良発生を最小化させることができる。
【0069】
図3では、便宜上、基板100などがベンディングされていない状態として図示しているが、本実施形態によるディスプレイ装置は、前述のように、実際には、
図1に図示されたように、ベンディング領域BAで基板100などがベンディングされた状態である。従って、そのようにベンディングされた状態では、ディスプレイ装置の全体的な形状において、ベンディング領域BAが、ディスプレイ装置の先端のエッジに沿って位置するようになる。それにより、製造過程またはその製造後、使用過程において、ベンディング領域BAに衝撃などが加えられることがある。特に、ベンディング領域BAにおいて、+y方向エッジや、-y方向エッジにおいて、衝撃が加えられる確率が高いが、その場合、
図3のIV-IV線に沿って切り取った断面を概略的に図示する断面図である
図4に図示されているように、外部からの衝撃によって、クラックCRが有機物層160内で発生することがある。このようなクラックCRが、ベンディング領域BAの中央部にまで進む場合、第1導電層215cのような配線にもクラックが発生し、ディスプレイ装置に問題が発生する。
【0070】
しかし、本実施形態によるディスプレイ装置の場合、前述のように、有機物層160が第2開口160aを有する。が第2開口160aは、基板100のエッジに沿って(ベンディングされた状態を無視する場合、+x方向に)延長される。従って、
図4に図示されているように、有機物層160のエッジでクラックCRが発生しても、該クラックCRがベンディング領域BAの中央部まで進まず、第2開口160a近辺で進行が止まる。それを介して、製造過程または製造後、使用過程において、ベンディング領域BAの外郭に衝撃が印加されても、ディスプレイ装置において、クラックによる不良発生を防止したり最小化させたりすることができる。
【0071】
ただ、ベンディング領域BA全体において、このような不良防止または不良最小化の効果を図るために、有機物層160の第2開口160aの延長された方向への長さd(
図3)が、ベンディング領域BAの第1領域1Aから第2領域2A側への幅BAwより大きいようにするということはいうまでもない。それを介して、全体ベンディング領域BAにおいて、基板100のエッジでの衝撃によるクラック発生不良を防止したり最小化させたりすることができる。
【0072】
一方、有機物層160が、常にこのように有機物層160を上下に貫通する第2開口160aを有さなければならないものではない。例えば、本発明の他の一実施形態によるディスプレイ装置の一部を概略的に図示する断面図である
図5に図示されているように、有機物層160は、第2開口160aではない第2凹部160aを有することもできる。その場合にも、有機物層160で発生したクラックCRが、ベンディング領域BA中央側に進むことを第2凹部160aが効果的に防止することができる。前述の第2開口160aに係わる説明、及び後述する第2開口160aに係わる説明は、このような第2凹部160aにも、そのまま適用されるということはいうまでもない。
【0073】
さらに、本発明のさらに他の一実施形態によるディスプレイ装置の一部を概略的に図示する断面図である
図6に図示されているように、有機物層160が、第2開口160aを有することに加え、有機物層160上に位置した平坦化層140も、有機物層160の第2開口160aに対応する第3開口140aを有することができる。平坦化層140の第3開口140aは、有機物層160の第2開口160aと同様に、基板100のエッジに沿って延長されてもよい。すなわち、平坦化層140は、
図3に図示された有機物層160の第2開口160aと同一または類似して、第1導電層215cが延長された方向(+x方向)に延長されるが、基板100の+y方向に位置したエッジと、-y方向に位置したエッジとに沿って延長された第3開口140aを有することができる。
【0074】
第3開口140aは、基板100のエッジに沿って(ベンディングされた状態を無視する場合、+x方向に)延長される。従って、
図6に図示されているように、有機物層160及び/または平坦化層140のエッジにおいてクラックCRが発生しても、該クラックCRがベンディング領域BAの中央部まで進まず、第2開口160a及び第3開口140aの近辺で進行が止まる。これにより、製造過程または製造後、使用過程においてベンディング領域BAの外郭に衝撃が印加されても、ディスプレイ装置において、クラックによる不良が発生することを防止したり最小化させたりすることができる。
【0075】
ただ、ベンディング領域BA全体において、このような不良防止または不良最小化の効果を図るために、平坦化層140の第3開口140aの延長された方向への長さも、ベンディング領域BAの第1領域1Aから第2領域2A側への幅BAwより大きくするということはいうまでもない。これにより、全体ベンディング領域BAにおいて、基板100のエッジでの衝撃によるクラック発生不良を防止したり最小化させたりすることができる。
【0076】
平坦化層140は、常にこのように平坦化層140を上下に貫通する第3開口140aを有さなければならないものではない。すなわち、平坦化層140は、第3開口140aではない第3凹部を有することもできる。それは、前述の実施形態、または後述する実施形態やその変形例においても同様である。また、有機物層160は、第2開口160aや第2凹部160aを有さず、平坦化層140だけ第3開口140aまたは第3凹部を有することもできるなど、多様な変形が可能であるということはということはいうまでもない。それは、前述の実施形態、または後述する実施形態やその変形例においても同様である。
【0077】
このように、有機物層160が第2開口160aを有し、平坦化層140が第3開口140aを有する場合、ベンディング保護層600が、第2開口160aの少なくとも一部や、第3開口140aの少なくとも一部も充填することができる。ただ、このようなベンディング保護層600は、第2開口160aの少なくとも一部や、第3開口140aの少なくとも一部を充填することに留まらず、ベンディング領域BAを覆うことができるということはいうまでもない。
【0078】
前述のように、ベンディング保護層600は、ストレス中性平面の位置を調節する役割を行う。もしベンディング保護層600が、第2開口160aや第3開口140aを充填することがなければ、第2開口160aや第3開口140a、そしてその近辺では、中性平面が、基板100の上下面間の中央に位置する。それによって、基板100がベンディングされれば、基板100の中央から下面側には、圧縮ストレスが印加されるが、基板100の中央から上面側には、引っ張りストレスが印加され、それによって、基板100の中央から上面側の部分にクラックが発生したり裂けたりするというような不良が発生してしまう。しかし、ベンディング保護層600が、第2開口160aの少なくとも一部や、第3開口140aの少なくとも一部を充填し、その部分において、中性平面の位置も調節することにより、基板100での不良発生を防止したり最小化させたりすることができる。ただ、有機物層160及び/または平坦化層140においては、クラックCRが発生しても、前述のように、第2開口160aや第3開口140aによって、ベンディング領域BAの中央側へのクラックCRの進行を防止したり最小化させたりすることができるということはいうまでもない。
【0079】
一方、
図6に図示されているように、平坦化層140は、有機物層160の第2開口160aでの内側面を覆うことができる。前述のように、第1導電層215cは、ソース電極215a及びドレイン電極215bと同一物質で同時に形成することができるが、そのために、基板100のほぼ全面にて、有機物層160及び/または層間絶縁膜130などの上に導電層を形成した後、それをパターニングし、ソース電極215a、ドレイン電極215b及び第1導電層215cを形成することができる。従って、有機物層160の第2開口160aの内側面には、
図6のA部分を拡大して図示する断面図である
図7に図示されているように、導電層をパターニングする過程において、その導電性物質が残存し、第2開口160aの内側面の少なくとも一部に沿って、導電残膜215c’が存在する。
【0080】
このような導電残膜215c’は、他の導電層との間のショートを引き起こしたり、不良を引き起こしたりする。例えば、追って画素電極310(
図2)を形成するとき、画素電極形成用物質が導電残膜215c’の近傍で塊になるといった不良が発生する。それは、例えば、導電残膜215c’がアルミニウムを含む場合、銀(Ag)を含む物質を利用して、画素電極310を形成するとき、銀(Ag)がアルミニウムと反応し、導電残膜215c’の近傍に塊を形成するからである。
【0081】
従って、
図7に図示されているように、平坦化層140が、有機物層160の第2開口160aでの内側面を覆うことにより、このような導電残膜215c’も覆い、導電残膜215c’を外部に露出させない。それを介して、追って製造過程での不良発生を防止したり最小化させたりすることができる。このような導電残膜215c’は、前述のように、第1導電層215cなどを形成する際に生成されるので、導電残膜215c’は、第1導電層215cが含む物質のうち少なくとも一部を含む。参考として、前述のように、第1導電層215cは、チタンまたはアルミニウムを含んでもよく、必要であるならば、チタン層/アルミニウム層/チタン層の多層構造を含んでもよい。従って、導電残膜215c’も、チタンまたはアルミニウム、またはそれらの混合物や化合物などを含む。
【0082】
図8は、
図3のVIII-VIII線に沿って切り取った断面を概略的に図示する断面図である。
図8に図示されているように、有機物層160の第2開口160aの延長された方向への長さd(
図3)は、平坦化層140の第3開口140aの延長された方向への長さより長い。それは、
図7を参照して説明したところと同様に、有機物層160の第2開口160aの内側面に残存する導電残膜を平坦化層140に覆わせるためである。
【0083】
以上では、有機物層160が、第2開口160aを有する場合について説明したが、本発明は、それに限定されるものではない。本発明のさらに他の一実施形態によるディスプレイ装置の一部を概略的に図示する平面図である
図9に図示されているように、有機物層160は、追加開口160bまたは追加凹部も有することもできる。追加開口160bまたは追加凹部は、第2開口160aに隣接し、基板100のエッジに沿って延長される。このように、有機物層160が、第2開口160a以外に、追加開口160bまたは追加凹部を有することにより、クラックCR(
図4ないし
図6)がベンディング領域BAの中央部への方向に進むことを二重に遮断することができる。
【0084】
一方、
図9では、便宜上、基板100などがベンディングされていない状態として図示されているが、本実施形態によるディスプレイ装置は、前述のように、実際には、
図1に図示されたように、ベンディング領域BAにおいて、基板100などがベンディングされた状態である。従って、そのようにベンディングされた状態では、ディスプレイ装置の全体的な形状において、ベンディング領域BAがディスプレイ装置のエッジに位置し、特に、ベンディング軸BAX(
図1)と平行であり、ベンディング領域BAの中心を通る仮想直線ILが位置するベンディング領域BAの部分が、ディスプレイ装置のエッジに位置することになる。従って、仮想直線ILが位置するベンディング領域BAの部分に、外部からの衝撃が印加される可能性が高い。従って、有機物層160の追加の開口160bまたは追加の凹部が、このような仮想直線ILと交差するように位置させ、仮想直線ILが位置するベンディング領域BAの部分において、クラックCRがベンディング領域BA中央部方向に進むことを二重で遮断することが望ましい。すなわち、追加開口160bまたは追加凹部の延長方向への長さは、第2開口160aの長さより短いとしても、追加開口160bまたは追加凹部が、前記仮想直線ILと交差するようにすることが望ましい。
【0085】
または、それと類似した効果を図るために、本発明のさらに他の一実施形態によるディスプレイ装置の一部を概略的に図示する平面図である
図10に図示されているように、有機物層160が有する第2開口160aの幅を可変的にすることを考慮することができる。すなわち、ベンディング軸BAX(
図1)と平行であり、ベンディング領域BAの中心を通る仮想直線ILと交差する部分での第2開口160aの幅が、少なくとも他の一部分での幅より広いようにすることを考慮することができる。第2開口160aの幅が大きいというのは、それほど当該部分でのクラックCRの伝播可能性を低くすることができるということを意味する。このとき、本発明のさらに他の一実施形態によるディスプレイ装置の一部を概略的に図示する平面図である
図11に図示されているように、第2開口160aが、全体的には、基板100のエッジに沿って延長された形状を有するが、その長手方向において、中央部がベンディング領域BAの中心に向けて凹状に湾曲され、第2開口160aが、全体的に三日月のような形状を有するようにすることもできる。
【0086】
ただ、本発明のさらに他の一実施形態によるディスプレイ装置の一部を概略的に図示する平面図である
図12に図示されているように、有機物層160が、補助開口160cまたは補助凹部をさらに具備することもできるということはいうまでもない。補助開口160cまたは補助凹部は、第2開口160aに連結され、第2開口160aが延長された方向と交差する方向に枝状に延長された形状を有することができる。有機物層160は、このような補助開口160cまたは補助凹部を複数個有することができ、その場合、補助開口160cまたは補助凹部は、
図12に図示されているように、第2開口160aが延長された方向において、第2開口160aの両側に交互に位置することができる。
【0087】
また、本発明のさらに他の一実施形態によるディスプレイ装置の一部を概略的に図示する平面図である
図13に図示されているように、有機物層160の第2開口160aは、全体的には、基板100のエッジに沿って延長された形状を有するが、内部に有機物層160のアイランドが複数個位置するようにすることもできる。
【0088】
一方、これまでは、第2開口または第2凹部がほぼ基板100のエッジに沿って延長されているところを中心に説明したが、本発明は、それに限定されるものではない。また、このような第2開口または第2凹部は、必ずしも有機物層160に形成されるものではなく、他のところに形成されるようにすることもできる。すなわち、基板100が、第1領域1Aと第2領域2Aとの間に位置するベンディング領域BAを有し、ベンディング軸BAXを中心にベンディングされ、第1導電層215cが、第1領域1Aからベンディング領域BAを経て第2領域2Aに延長されるという場合、基板100と第1導電層215cとの間に配置される絶縁層が、ベンディング領域BAにおいて、基板100の左右のエッジと、第1導電層215cとの間に対応するように、ベンディング軸BAXと交差する方向に延長された第1開口または第1凹部を有すればよいといえる。ここで、基板100の左右のエッジと、第1導電層215との間にあるということは、ディスプレイ装置が、複数個の第1導電層215cを有する場合、基板100のエッジに最も隣接した第1導電層215cと、基板100の左右のエッジとの間と理解される。
【0089】
図14は、本発明のさらに他の一実施形態によるディスプレイ装置の一部を概略的に図示する平面図であり、
図15は、
図14のXV-XV線に沿って切り取った断面を概略的に図示する断面図である。本実施形態によるディスプレイ装置が、
図3を参照して説明した実施形態によるディスプレイ装置と異なる点は、有機物層160の第2開口160a’の形状である。
図14及び
図15に図示されているように、有機物層160の第2開口160a’が、基板100の左右(+y方向または-y方向)のエッジにまで延長されるようにすることもできる。
【0090】
その場合、追加有機物層といえる平坦化層140が、基板100の左右のエッジまで延長され、有機物層160の延長された第2開口160a’を充填するようにする。特に、
図15に図示されているように、平坦化層140の側端面と、平坦化層140上のベンディング保護層600の側端面とが、基板100の側端面とほぼ一致することにより、有機物層160が延長された形状の第2開口160a’を有しても、平坦化層140及び/またはベンディング保護層600が、基板100の左右のエッジの部分を十分に支持する。このことにより、フレキシブルまたは曲げ可能な(flexible or bendable)な基板100が非常に薄いとしても、基板100が意図しないように変形されることを効果的に防止することができる。
【0091】
一方、本発明のさらに他の一実施形態によるディスプレイ装置の一部を概略的に図示する断面図である
図16に図示されているように、有機物層160と類似して、平坦化層140の第3開口140a’が、基板100の(+y方向または-y方向)エッジ端まで延長されるようにすることもできる。その場合にも、ベンディング保護層600の側端面が、基板100の側端面とほぼ一致するようにすることにより、有機物層160が延長された形状の第2開口160a’を有し、平坦化層140が延長された形状の第3開口140a’を有しても、ベンディング保護層600が、基板100のエッジ部分を十分に支持する。それを介して、フレキシブルまたは曲げ可能な基板100が非常に薄いとしても、基板100が意図しないように変形されることを効果的に防止することができる。
【0092】
ただ、本発明のさらに他の一実施形態によるディスプレイ装置の一部を概略的に図示する断面図である
図17に図示されているように、有機物層160が、基板100のエッジまで延長され、その上部の平坦化層140が、第3開口140a’を有するが、平坦化層140の第3開口160a’を、基板100の左右(+y方向または-y方向)のエッジ端まで延長させることもできるということはいうまでもない。その場合にも、ベンディング保護層600の側端面が、基板100の側端面とほぼ一致するようにする。
【0093】
図15ないし
図17においては、有機物層160が、基板100のエッジまで延長された形状の第2開口160a’を有するか、あるいは平坦化層140が、基板100のエッジまで延長された形状の第3開口140a’を有するように図示されているが、本発明は、それらに限定されるものではない。例えば、有機物層160は、基板100のエッジまで延長された形状の第2凹部を有することもでき、平坦化層140も、基板100のエッジまで延長された形状の第3凹部を有することもできるように、多様な変形が可能である。
【0094】
このように、本発明は、図面に図示された実施形態を参照して説明したが、それらは例示的なものに過ぎず、当該技術分野で当業者であるならば、それらから多様な変形、及び均等な他の実施形態が可能であるという点を理解するであろう。従って、本発明の真の技術的保護範囲は、特許請求の範囲の技術的思想によって決められるものである。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明のディスプレイ装置は、例えば、ディスプレイ関連の技術分野に効果的に適用可能である。
【符号の説明】
【0096】
1A 第1領域
2A 第2領域
100 基板
110 バッファ層
120 ゲート絶縁膜
130 層間絶縁膜
140 平坦化層
140a 第3開口
150 画素定義膜
160 有機物層
160a 第2開口
160b 追加開口
160c 補助開口
210 薄膜トランジスタ
211 半導体層
213 ゲート電極
213a,213b 第2導電層
215a ソース電極
215b ドレイン電極
215c 第1導電層
300 ディスプレイ素子
310 画素電極
320 中間層
330 対向電極
400 封止層
410 第1無機封止層
420 有機封止層
430 第2無機封止層
510 透光性接着剤
520 偏光板
600 ベンディング保護層
BAX ベンディング軸