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特許7117834熱可塑性膜を長手方向及び横方向に同時に延伸するための装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-04
(45)【発行日】2022-08-15
(54)【発明の名称】熱可塑性膜を長手方向及び横方向に同時に延伸するための装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 55/16 20060101AFI20220805BHJP
   B29C 55/20 20060101ALI20220805BHJP
【FI】
B29C55/16
B29C55/20
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2017174620
(22)【出願日】2017-09-12
(65)【公開番号】P2018192780
(43)【公開日】2018-12-06
【審査請求日】2020-08-31
(31)【優先権主張番号】1754255
(32)【優先日】2017-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】517320130
【氏名又は名称】ダーレット,ジャン ピエール
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ダーレット,ジャン ピエール
【審査官】清水 研吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-126024(JP,A)
【文献】特開昭61-074822(JP,A)
【文献】特表2016-528069(JP,A)
【文献】特開平06-211397(JP,A)
【文献】特開2014-180779(JP,A)
【文献】米国特許第03491402(US,A)
【文献】特開2008-44339(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 55/00-55/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性膜を、延伸される前記膜の両側で、長手方向及び横方向に同時に延伸するための装置であって、
-前記膜(F)の側端を担持する担持部材(2)であって、具体的にはクランプの形状である担持部材(2);
-前記膜(F)に近い第1のガイドレール(R1)であって、前記担持部材(2)が上に配置され、前記担持部材(2)は前記第1のガイドレール(R1)に沿って移動可能である第1のガイドレール(R1);
-ガイド部材(4);
-第2のガイドレール(R2)であって、前記ガイド部材(4)が上に配置され、前記ガイド部材(4)は前記第2のガイドレール(R2)に沿って移動可能であり、前記第2のレール(R2)は前記第1のレール(R1)に堅固に接続され、前記第2のレール(R2)の位置は前記膜(F)を横断する方向に前記第1のレール(R1)に対して調整不能である第2のガイドレール(R2);及び
-前記担持部材(2)と前記ガイド部材(4)を接続する第1の接続ロッド(5)であって、第1の軸に沿って前記担持部材(2)及び前記ガイド部材(4)に対して移動可能である第1の接続ロッド(5);
を備え、
前記膜(F)の両側で、
-各ガイド部材(4)は単一の担持部材(2)に1又は複数の前記第1の接続ロッド(5)によって接続され、第1の長手方向調整部材(10;30)に1又は複数の第2の接続ロッド(11)によって接続され、前記第2の接続ロッド(11)は、前記第1の軸に平行な第2の軸に沿って前記ガイド部材(4)に対して、及び前記第1の長手方向調整部材(10;30)に対して移動可能であり、第1のガイド部材(4)の前記第2の接続ロッド(11)、及び前記第1のガイド部材(4)に続く第2のガイド部材(4)の前記第2の接続ロッド(11)は、前記第1の長手方向調整部材(10;30)に枢支点で接続され、前記枢支点は組み合わされるか、又は前記第1の長手方向調整部材(10;30)の近くにあり;
-前記装置は、前記第1及び第2のガイドレール(R1、R2)に対する前記第1の長手方向調整部材(10;30)の前記位置及び配向を調整するための調整手段(20、21、22)を含むことを特徴とする装置であって、
前記第2の接続ロッド(11)の各対は、前記第2の接続ロッド(11)の各対と同一の前記ガイド部材(4)に関連する、前記2つの第1の接続ロッド(5)の間に延在することを特徴とする装置であって、
前記第1の長手方向調整部材(10)、及び該当する場合には前記第2の長手方向調整部材(26)は、逆向きのU字型の断面を持つレールの形状であり、枢軸(16)を誘導するためのガイドスロットを形成し、前記枢軸(16)は前記第2の接続ロッド(11)の各対の2つの接続ロッドを互いに接続することを特徴とする、装置であって、
前記第1の長手方向調整部材(10;30)に関連する第1の線形モータと、該当する場合には前記第2の長手方向調整部材(26)に関連する第2の線形モータとを備え、前記第2の接続ロッド(11)の各接触点に作用し、それによって、前記膜(F)を前記長手方向に延伸操作中に、前記長手方向調整部材(10;30;26)に沿った前記第2の接続ロッド(11)の移動を補助することを特徴とする、装置であって、
前記第1の長手方向調整部材(10;30)は、複数のポスト(20)に接続され、
各前記ポスト20の直立部の基部は、前記膜(F)の進行方向に対して垂直なねじ(22)のナット(21)に固定され、
前記ねじ(22)は、第1及び第2のガイドレール(R1、R2)を互いに接続する基部(6)の側面に挿入され、
各前記ねじ(22)の回転量を調整することによって、前記ポスト(20)及び前記長手方向調整部材(10;30)によって形成されるアセンブリを前記膜(F)の進行方向に垂直な方向に移動させ、前記第1及び第2のガイドレール(R1、R2)に対する前記長手方向調整部材(10;30)の位置及び配向を調整することを特徴とする装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、前記膜(F)の両側に、前記装置は、第1の線形モータを備える前記第1の長手方向調整部材(10)及び前記第2の接続ロッド(11)にそれぞれ相似する、第2の線形モータを備える第2の長手方向調整部材(26)及び一連の第3の接続ロッド(25)を備え、前記第2の長手方向部材(26)及び前記一連の第3の接続ロッド(25)は、前記担持部材(2)、第1の接続ロッド(5)、及びガイド部材(4)の片側に配置され、前記片側は、その上に前記第1の長手方向調整部材(10)及び前記一連の第2の接続ロッド(11)が配置される前記同一の担持部材(2)、第1の接続ロッド(5)、及びガイド部材(4)の反対側であることを特徴とする、装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の装置であって、第2の接続ロッド(11)の各対は、前記第1のレール(R1)に対向する前記第2のレール(R2)の側面上に延在することを特徴とする、装置。
【請求項4】
請求項3に記載の装置であって、前記第1の長手方向調整部材はレール(30)の形状であり、ガイド部品(31)を有し、前記ガイド部品(31)は前記レール(30)と係合し、その上を移動可能であり、前記ガイド部品(31)のそれぞれは枢軸(32)に固定され、前記枢軸(32)上には前記第2の接続ロッド(11)が枢動可能に取り付けられることを特徴とする、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性膜を長手方向及び横方向に同時に延伸するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性合成素材製の膜を、膜の素材を加熱によって柔軟にしながら、長手方向及び横方向に同時に延伸装置を用いて延伸することは周知である。この加熱は具体的には、装置が配置される加熱トンネルに膜を通すことによって行われる。
【0003】
したがって、このような装置は、基本的には長年既知であった。このような装置は、実際には装置が複雑であり、実装が困難であるため使用されなくなったが、同時延伸方法によってのみ製造可能な複数の新型の膜によって最近再び話題となっている。これは、いわゆる連続延伸、つまり、単一の素材を用いる多くの種類の膜の場合に行われるように、長手方向の延伸をまず第1の機械で行ない、次に横方向の延伸を第2の機械で行うことができない晶析速度が速い樹脂を実装する膜の場合である。
【0004】
その他の種類の膜、一般にメンブレン、つまり、多孔性の膜の形状を取る膜も市場に登場している。この多孔性は、電池を製造する際に必要となる用途では、製造される膜の全幅にわたって規則的に分布しなければならない。このためにも、数十年にわたって行われていたような連続延伸、又は調整不能な同時延伸を用いることができない。
【0005】
既存のシステムのすべては、添付図1に例示される周知の「パンタグラフ」の原理を用いる。図1では、装置の2つのサブアセンブリのうち1つの非常に簡略化した例示を提供する。この装置は、膜Fの片面に位置し、片側の膜を延伸することができる。図1に示すものと同一のサブアセンブリは、膜Fの長手方向中間軸に対して第1のサブアセンブリと対称に膜の反対側に配置される。図示するように、膜Fを担持するための部材Pはクランプの形状であり、ガイド部材Gは、膜Fに近い第1のレールR1上と、膜から離れている第2のレールR2上に交互に配置される。担持部材P及びガイド部材Gは互いに対して静止し、担持部材P及びガイド部材Gは接続ロッドBによって互いに接続される。レールR2は、膜Fの進行方向AvFに対して下流方向において、レールR1に向かって収束するように配向される。それによって、膜が進むにつれてクランプPが徐々に離れることになり、パンタグラフを構成する接続ロッドBが開くことによって、長手方向に所望なだけ延伸することができる。図2は前述のサブアセンブリを拡大した断面図であり、レールR1、R2は基部Eによって互いに接続される。担持部材P及びガイド部材Gは、レールの内側及び外側、またレールの上端及び下端を回転する対のローラGaによって、レール上を誘導される。
【0006】
図3図2に類似する図であり、手段が追加されている。この手段によって、レールR1、R2は、図5及び7に示すように、弾性的な長手方向の屈曲した変形が可能となる。この屈曲によって、膜の長手方向への延伸が完了すると同時に、膜Fを横方向に延伸することが可能となる。レールR1及びR2の基部Eは3つの連続した独立枠C上に取り付けられ、独立枠Cは互いに枢動可能に接続される。基部Eは、枠Cの枢軸リンクと重なるレールR1、R2の部分で中断され、レールが変形可能となる。枠Cの枢動は枢軸に沿って行われ、枢軸はスライドCoに取り付けられ、スライドCoは台Tに軸方向に留められるねじVによって、横方向に移動可能軸である。図4はサブアセンブリの断面図である。
【0007】
長年にわたって既知であるこれらの装置は「第1世代」と呼ばれ、長手方向及び横方向の延伸の比率が調整不能であり、したがって、近年開発された先端技術の膜を製造するためには利用できないという欠点を有する。
【0008】
この欠点を解決するために、特許文献1に記載されるような装置が考案された。同文献では、2つのガイドレールR1、R2間の距離は調整可能であり、基部Eは2つの部品であるため、図5に示すように、レールR1に対するレールR2の位置を調整することが可能となる。図5は、図4に類似するサブアセンブリの図である。これらの装置は「第2世代」と呼ばれ、膜の長手方向中間軸に対するレールR1、R2の広がり度を調整することによって、横方向の延伸率を効率的に調整することができる。また、レールR1とR2との間の距離を調整することによって、長手方向の延伸率を効率的に調整することができる。サブアセンブリの簡略上面図である図6に示すように、2つのレールR1とR2との間の距離は下流方向で小さくなり、上流でのこれらのレール間の相互分離e1は、下流でのこれらの同一のレール間の相互分離e2より大きくなる。
【0009】
これらの装置は、同時延伸装置の利用を復活させることに大きく貢献してきたが、その利用において、これらのシステムのいくつかの制限及び欠点がすぐに明らかとなった。
【0010】
これら第2世代システムの第1の一連の欠点は、レールの広がり角を膜の中間軸に対して正確に対称にすることが困難であること、また、膜の片側に位置するレールR1とR2との間の距離を、膜の反対側に位置するレールの対応する距離と正確に対称にすることが困難であることが原因となる。このような対称性の不備の結果、2つの連続したクランプPはレールR1、R2が平行な部分、いわゆる膜の予熱区域では互いに正確に対向して配置されるが、レールが広がる横方向の延伸区域では必ずしも互いに対向せず、そのため、膜の延伸に悪影響を与える。この問題は、レールR1とクランプPとの間に機械的なあそびを提供する必要があるため、さらに困難となる。
【0011】
これらの装置をいわゆる光学膜に用いる場合に、この種類の問題は顕著に表れる。光学膜では、高分子結晶の配向角度に関して非常に正確な調整が必要となるためである。高分子結晶の配向角度は膜の光屈折率に直接影響する(90°又は45°での延伸)。
【0012】
第2の問題が明らかになったのは、これらの第2世代装置を用いて、特に自動車産業用の高性能電池を形成するためのメンブレンを製造する場合、ならびに正の横方向の延伸(レールの広がりによって行われる)といわゆる負の長手方向の延伸(つまり、2つの連続したクランプPが互いに近づき、それ以上離れない)を同時に有することが可能でなければならない特定の光学膜を製造する場合であった。これらの第2世代装置において、このような負の長手方向の延伸は、図7に示すように、下流方向でレールR1及びR2を互いに離間し、そしていわゆる正の延伸のように互いに近づけないようにすることによってのみ、得ることができる。クランプPは、可能であれは高速なこの移動中に、収束するレールR1、R2に沿って降下してはならず、反対に、図7に示すように、広がるレールR1、R2に沿って上昇しなければならない。クランプPのこの移動によって、顕著な力が出現し、ある事例では、この方法が必要とする延伸率ではこの装置を用いることが不可能となることもある。
【0013】
負の長手方向の延伸率を用いる際に、過剰な力がガイド部材に出現する欠点を解決するために、追加の駆動装置が考案された。その原理は、直接クランプを駆動する歯車を設置して、この相当な力が出現するときに、クランプの移動を助けるものである。これらの装置は満足できる解決法ではない。歯車は本質的に固定数の歯を有し、歯の分離は、歯車が駆動するクランプの分離に厳密に対応しなければならず、それによって追加の駆動装置を追加することになるためである。追加の駆動装置自体は、本質的に調整可能でなければならない装置に対して、調整可能ではない。その結果として、延伸率の任意の修正に対して、補完的な駆動に関与する歯車を交換しなければならず、これは複雑かつ面倒な作業である。
【0014】
別の種類の問題が、同時延伸システムを用いて、ある種類の高分子に関与するメンブレンを製造する必要がある場合に、いわゆる第2世代装置で発生した。このメンブレンでは、所望する多孔性は、極端に高い長手方向の延伸率を用いることによってのみ得ることができる。この長手方向の延伸率は、1:40又は1:50になることもあり、したがって、最大でも約1:7から1:10であった伝統的な延伸率とは非常にかけ離れている。実際には、第2世代システムにおいて、システムが認可する最大長手方向の延伸率は、クランプをガイド部材に接続する接続ロッドの長さに直接関連する。
【0015】
したがって、長手方向の延伸率を非常に高い値にする必要性によって、システム上で接続ロッドを過剰に伸ばし、したがってそれに対応して前方レール及び後方レールを分離することが必要となる。これは、運動に必要なあそびを考慮すると、このようなシステムの操作は不可能となりえる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【文献】仏国特許出願公開第2849801号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明の目的は既存の装置の前述の欠点をすべて解決することである。
【0018】
したがって、本発明の目的の一つは、膜の中間軸に対するレールの位置及び膜の両側で互いに対するレールの位置を完全に対称にすることから生じる前述の問題を引き起こさずに、長手方向及び横方向の延伸率の調整が可能な装置を提供することである。
【0019】
本発明の別の目的は、可能な長手方向の延伸率を大幅に増大する装置を提供することであり、具体的には、1:40又は1:50までの非常に高い長手方向の延伸率を実現することである。
【0020】
本発明のさらに別の目的は、レールの広がり、及びいわゆる負の長手方向の延伸率によって、正の横方向の延伸を同時に実行することが可能な装置を提供することである。つまり、クランプを移動させる相当な力を起こさずに、2つの連続したクランプを近づけることによって、また特に歯車を備えるクランプを移動するために必要な追加システムを作らずに、正の横方向の延伸を同時に実行することが可能な装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
議論している装置は、延伸される膜の両側に既知の方法で以下を備える。
-膜の側端を担持する担持部材であって、具体的にはクランプの形状である担持部材;
-膜に近い第1のガイドレールであって、担持部材が上に配置され、担持部材は第1のガイドレールに沿って移動可能である第1のガイドレール;
-ガイド部材;
-第2のガイドレールであって、ガイド部材が上に配置され、ガイド部材は第2のガイドレールに沿って移動可能であり、第2のレールは第1のレールに堅固に接続され、第2のレールの位置は膜を横断する方向に第1のレールに対して調整不能である第2のガイドレール;及び
-担持部材とガイド部材を接続する第1の接続ロッドであって、第1の軸に沿って担持部材及びガイド部材に対して移動可能である第1の接続ロッド。
【0022】
本発明によれば、膜の両側で、
-各ガイド部材は単一の担持部材に1又は複数の第1の接続ロッドによって接続され、第1の長手方向調整部材に1又は複数の第2の接続ロッドによって接続され、第2の接続ロッドは、第1の軸に平行な第2の軸に沿って、ガイド部材に対して、及び第1の長手方向調整部材に対して移動可能であり、第1のガイド部材の第2の接続ロッド、及び第1のガイド部材に続く第2のガイド部材の第2の接続ロッドは、第1の長手方向調整部材に枢支点で接続され、枢支点は組み合わされるか、又は第1の長手方向調整部材の近くにあり;
-装置は、第1及び第2のガイドレールに対する第1の長手方向調整部材の位置及び配向を調整するための調整手段を含む。
【0023】
このように、本発明は、レールを用いる解決法に戻る方向を発見することからなる。レールの位置は、いわゆる「第2世代」装置によって生じた前述の対称の問題を解決するために、互いに対して膜の横方向において調整不能である。また、第1及び第2の接続ロッドのシステムを考案する際に、2つの連続した担持部材はもはや単一のガイド部材に第1の接続ロッドによって接続されず、2つの連続したガイド部材に同一の第1の接続ロッドによって接続される。2つの連続したガイド部材は互いに第2の接続ロッドによって接続され、ガイド部材間の開き又は閉鎖は第1の調整部材を用いて制御及び誘導され、第1の調整部材のレールに対する位置及び配向は調整可能である。
【0024】
この第1の長手方向調整部材は、第2のレールから離間して配置される場合は、前記第2の接続ロッドによって形成される角度を狭め、したがって2つの連続したガイド部材を近づける。第1の長手方向調整部材が第2のレールに近接して配置される場合は、第2の接続ロッドによって形成される角度を拡大し、したがって2つの連続したガイド部材を分離する。第2の接続ロッドの長さはしたがって、第1の接続ロッドの長さに追加され、2つの連続した担持部材間の隙間の最大可能な長さとなる。このように、既存の装置によって可能となる長手方向の延伸率と比較して、かなり高い長手方向の延伸率を得ることが可能となる。
【0025】
レールに対する第1の長手方向調整部材の配向によって、レールに沿う担持部材間の隙間の展開に影響を与えることができ、したがって、膜の長手方向の延伸率を調整することができる。このように、第2のレールが第1のレールに膜の進行方向の下流方向において近付く場合は、また、第1の長手方向調整部材が2つのレール間に配置される場合は、正確に第2のレールに平行な第1の長手方向調整部材の配向は、連続した対の担持部材間の隙間の展開には何の影響も与えない。第1の長手方向調整部材の配向は、この第1の調整部材が第2のレールに下流方向で近付く場合には、この下流方向において連続した対の第2の接続ロッド間の角度が徐々に開き、したがって長手方向の延伸率が増加することになる。第1の長手方向調整部材の配向は、この第1の調整部材が第2のレールから下流方向において離れる場合は、この下流方向において連続した対の第2の接続ロッド間の角度が徐々に狭まり、したがって、長手方向の延伸率は減少することになる。
【0026】
装置が負の長手方向の延伸率を得ることが望ましい場合は、細長い調整部材の配置は次のように行われる。膜の長手方向の延伸を形成する必要がない装置の区域、特に、膜の素材を柔軟にできる炉の予熱部分において、細長い調整部材は第2の接続ロッドが部分的に開口するように配置され、次に、負の長手方向の延伸率を実行する理由がある装置の区域において、細長い調整部材は第2の接続ロッドが徐々に閉じるように配置される。
【0027】
したがって、本発明は、「第3世代」と記載されることもある装置を提供する。本装置は、「第1世代」のパンタグラフ機械式システムの周知の利点を保持し、担持部材及び接続ロッドが具現化する可動アセンブリの誘導機能と、長手方向の延伸率の調整機能を完全に分離することからなる。
【0028】
好ましくは、本装置は、膜の両側に、第1の細長い調整部材及び第2の接続ロッドにそれぞれ類似する第2の細長い調整部材及び一連の第3の接続ロッドを備え、第2の細長い調整部材及び一連の第3の接続ロッドは、担持部材、第1の接続ロッド及びガイド部材の片側に配置される。この片側は、その上に、第1の細長い調整部材及び一連の第2の接続ロッドが配置される、同一の担持部材、第1の接続ロッド及びガイド部材の反対側である。
【0029】
この第2の細長い調整部材及び一連の第3の接続ロッドによって、片持ちの力が行使されないため、力の配分及びシステムの動作がより良くなる。
【0030】
1つの可能性によれば、第2の接続ロッドの各対は、第2の接続ロッドのこの対の同一のガイド部材に関連する2つの第1の接続ロッド間に延在する。本事例では、第1の細長い調整部材、及び該当する場合には第2の細長い調整部材は、逆向きのU字型の断面を持つレールの形状であってもよく、枢軸を誘導するためのガイドスロットを形成する。枢軸は、第2の接続ロッドの各対の2つの接続ロッドを互いに接続する。
【0031】
別の可能性によれば、第2の接続ロッドの各対は、第1のレールと反対の第2のレール側に延在する。本事例では、第1の細長い調整部材は、第1又は第2のレールに類似する形状であってもよく、レール上に係合し、レール上を移動可能なガイド部品を有する。各ガイド部品は枢軸に固定され、枢軸上に第2の接続ロッドは枢動可能に取り付けられる。
【0032】
好ましくは、本装置は、第1の長手方向調整部材に関連する第1のリニアモータ、及び該当する場合には、第2の長手方向調整部材に関連する第2のリニアモータを備え、第2の接続ロッドの各接触点に作用して、膜の長手方向の延伸操作中の、第2の接続ロッドの長手方向調整部材に沿う移動を支援する。
【0033】
このリニアモータによって、たとえば厚い光学膜を処理するような事例において、接続ロッドを開き、又は閉鎖するために必要な力が相当である場合に、第2の接続ロッドの移動を支援することができる。
【0034】
議論している本装置の、非限定的例として示される、複数の実施形態を示す添付の線図を参照することによって、本発明はより良く理解され、本発明のその他の特徴及び利点は出現するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】従来技術の装置の2つのサブアセンブリのうち1つの非常に簡略化した例示を示す。
図2図1のサブアセンブリの拡大断面図である。
図3】手段が追加されている図2に類似するサブアセンブリの図である。
図4図3のサブアセンブリの断面図である。
図5図4に類似するサブアセンブリの図である。
図6】サブアセンブリの簡略上面図である。
図7】サブアセンブリの簡略上面図である。
図8】第1の実施形態による、延伸される膜の横側面に位置する、本装置を構成するサブアセンブリのうちの1つの非常に簡略化された上面図である。
図9】第1の実装による、本サブアセンブリの拡大断面図である。
図10】第2の実装による、図9に類似するサブアセンブリの図である。
図11】第2の実施形態による、図8に類似するサブアセンブリの図である。
図12】本サブアセンブリの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図8は、側面のサブアセンブリ1の1つを示す。サブアセンブリ1は、熱可塑性膜Fを膜の片側で延伸するための装置に備えられる。本装置は第2のサブアセンブリを含む。第2のサブアセンブリは、例示する第1のサブアセンブリ1と同一であり、膜Fの長手方向中間軸に対して第1のサブアセンブリ1と対称的に膜Fの反対側に配置される。
【0037】
図8図1に類似し、図9図2に類似することが理解されよう。これらの図は以下を含む。
-膜F;
-この膜の素材を柔軟にすることが可能となるように、加熱トンネルにおける膜Fの進行方向を表す矢印AvF;
-第1及び第2のガイドレールR1、R2;第2のレールR2は下流方向に向かって、第1のレールR1に収束する;
-第1のレールR1上に係合する膜Fの側端を担持するためのクランプ3を含む担持部材2;
-第2のレールR2上に係合するガイド部材4;
-担持部材2をガイド部材4に接続する第1の対の接続ロッド5;
-レールR1、R2を互いに接続する基部6;及び
-担持部材2及びガイド部材4を備えるローラ7であって、レールの内側及び外側、並びにレールの上端及び下端で回転するローラ7。
【0038】
サブアセンブリはまた、図3及び4において前述したものと同一の手段(関節式枠C、スライドCo、ねじV及び台T)を備える。それによって、図6及び7に示したようなレールR1、R2の屈曲を生成し、膜Fの膜の進行方向に対して横方向の延伸が可能となる。
【0039】
例示したように、図1とは異なり、各ガイド部材4は単一の担持部材2に単一の対の多層構造の接続ロッド5によって接続される。接続ロッド5は以下「第1の接続ロッド」と呼び、調整梁10に一対の第2の接続ロッド11によって接続される。第2の接続ロッド11は、第1の接続ロッド5よりも長さが短い。
【0040】
第1の軸は第2の軸と平行である。第1の接続ロッド5は対応する担持部材2及びガイド部材4に対して、第1の軸に沿って移動可能であり、第2の接続ロッド11は対応するガイド部材4及び調整梁10に対して、第2の軸に沿って移動可能である。
【0041】
ガイド部材4の側面では、第2の軸が枢軸15によって形成され、反対側では、この第2の軸は枢軸16によって形成される。枢軸16上には、2つのローラ17が取り付けられる。これらのローラはスロット梁10によって形成されるスロット内に受容され、そこで回転可能である。
【0042】
図9に示すように、梁10は、スロットを形成するために逆向きのU字形の断面を有する。梁10は中央の壁、図3に示す枠Cの関節部と重なる部分に開口を有する。これらの開くことによって、梁10の横方向の変形が可能となり、膜Fの横方向の延伸を実施するために屈曲したレールR1及びR2に沿えるようになる。
【0043】
梁10は、ポスト20に接続される。ポスト20は梁の長さに沿って、同一又は類似する間隔で配置される。各ポスト20の直立部の基部は、膜Fの進行方向AvFに垂直にねじ22が横切るナット21に固定される。ねじ22は、第2のレールR2を支える基部6の側面を横切り、たとえばピンによってこの側面の軸方向に対して係止されながら、この側面に対して回転可能である。各ねじ22は、回転中にねじ22を操作する手段、たとえば車輪又はモータなどに接続される。異なるねじ22を、これらのねじのいずれか一方の回転方向に動作させることによって、ポスト20及び梁10によって形成されるアセンブリを膜Fの進行方向AvFに垂直な方向に移動させることができる。
【0044】
したがって、これらのねじ22及びナット21は、第1のレールR1及び第2のレールR2に対する梁10の位置及び配向を調整するための手段を構成することが理解される。
【0045】
図8を考慮すると、梁10は第1のレールR1に近接して、レールR1に実質的に平行に配置されることが分かる。レールR2はレールR1に下流方向で収束するため、部材2及び4のレールR1、R2のそれぞれに沿った移動によって、互いに接続される対の第2の接続ロッド11によって形成される角度は次第に開いていく。それによって、2つの連続した部材4の間の距離は下流方向で増加し、したがって、接続ロッド10によって乗じる方法によって、2つの連続した部材2間の距離は相関的に増加する。
【0046】
図1と8を比較すると、図8に示す本発明による装置において、2つの連続した担持部材2間の最大限可能な隙間に関して、第2の接続ロッド11の長さを第1の接続ロッド5の長さに加え、それによって、図1に示す既存の装置が許容できるものよりも大幅に高い長手方向の延伸率を得ることができるように見える。
【0047】
さらに図8を参照すると、レールR1、R2に対する梁10の配向によって、レールR1、R2に沿う担持部材2間の隙間の展開に影響を与えることができ、したがって、膜Fの長手方向の延伸率を調整することができ、いわゆる負の長手方向の延伸率、つまり、2つの連続した担持部材2が近付く可能性もあることが理解される。このように、梁10の下流部分がレールR2に下流方向において近付くように配向される場合は、下流方向においてレールR2とレールR1の収束によって得られる角度の開きに加え、この梁によって、下流方向において、連続した対の第2の接続ロッド11間の角度が徐々に開くようになる。したがって、梁10によって、長手方向の延伸率が増加することが可能になる。反対に、この同一の梁10の下流部分が下流方向においてレールR2から離間するように配向される場合は、下流方向においてレールR2とレールR1の収束によって得られる第2の接続ロッド11の開口から引かれて、この梁によって、下流方向において、連続した対の第2の接続ロッド11間の角度が徐々に狭まるようになる。したがって、梁10によって長手方向の延伸率は減少することになる。
【0048】
図10図9に類似する図であり、別の代替的な実装を示す。図10では、サブアセンブリ1は、第2の調整梁26に接続される第2の接続ロッド25の第2のアセンブリを備える。第2のアセンブリは、第1の接続ロッド11/梁10アセンブリが配置されるのと反対側に配置される。この第2のアセンブリによって、装置が相当な力に耐えることを目的とする場合には、力の配分がより良くなる。第2のアセンブリのポスト27が第1のアセンブリのポスト20にナット21で接合し、したがってポスト27とポスト20を同一のねじ22を用いて同時に動作することができることが分かる。
【0049】
図11及び12は、本発明による装置の第2の実施形態を示す。簡略化のために、前述の第1の実施形態の部品または要素は同一の記号を用いて表示し、再度説明しない。この第2の実施形態において、第2の接続ロッド11の各対は、第1のレールR1とは反対側の第2のレールR2の側面に延在する。本事例では、梁10はなく、その代わりに第1又は第2のレールR1、R2に類似するレール30がある。レール30は、レール30上に係合し、レール30に沿って移動可能なガイド部品31を有する。部品4と同様に、ガイド部品31のそれぞれは枢軸32に固定される。枢軸32上には、第2の接続ロッド11が枢動可能に取り付けられる。レール30は基部36に固定され、全長にわたって類似した間隔、又は同一の間隔で留められる。基部26は、ねじ22と係合するナット21に接続され、レール30の位置及び配向を調整する。
【0050】
前述したように、本発明は、従来技術の類似する装置に対して、前述した明白な利点を有する装置を提供する。
【0051】
特に、本発明による装置によって、光学膜に対して、製造する膜の屈折率の等方性に関して非常に正確な調整を行うことが可能となる。この種類の膜では、膜の右側と膜の左側との間のクランプを非常に正確に配置することを保証しながら、長手方向の延伸率の調整の可能性によって、膜の結晶構造を所望の角度での配向することができる限り、固定した横方向の延伸率は完全に許容されるためである。
【0052】
メンブレン、特に高性能電池を製造することを意図するメンブレンでは、本発明による装置によって、膜の全長にわたって、膜の多孔性の完全な等方性を得ることが可能となる。そのためには、欠点を持たずに固定されてもよい一定の横方向の延伸率に対して、長手方向の延伸率が横方向の延伸に沿って、膜部分全体にわたって90°の配向、したがって所望する多孔等方性を得るために正確に必要な関数として配分されることが必要である。
【0053】
実施例として提示された実施形態を参照して、本発明を記載してきた。もちろん、本発明はこれらの実施形態に限定されず、保護範囲は添付請求項によって画定される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12