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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-04
(45)【発行日】2022-08-15
(54)【発明の名称】振動発電機
(51)【国際特許分類】
   H02K 35/02 20060101AFI20220805BHJP
【FI】
H02K35/02
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2017201559
(22)【出願日】2017-10-18
(65)【公開番号】P2019075919
(43)【公開日】2019-05-16
【審査請求日】2020-09-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000165974
【氏名又は名称】古河機械金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】黒沼 遊
【審査官】小林 紀和
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-259409(JP,A)
【文献】特開2005-318708(JP,A)
【文献】特開2010-279145(JP,A)
【文献】特開2011-172391(JP,A)
【文献】特開2012-205450(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 35/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向を有し、前記軸方向の周りに巻かれたコイルと、
前記コイルを囲む領域及び前記コイルによって囲まれた領域の一方に位置する磁性部と、
を備え、
前記コイル及び前記磁性部の一方は、前記コイル及び前記磁性部のもう一方に対して前記コイルの前記軸方向に沿って移動可能になっており、
前記コイルは、
磁束変化によって一方向に起電力を発生可能な第1領域と、
前記第1領域と直列に接続し、前記磁束変化と同一の磁束変化によって前記第1領域とは反対方向に起電力を発生可能な第2領域と、
を有し、
前記磁性部は、
第1極性の第1部分と、前記コイルの前記軸方向に対して交わる方向に前記第1部分と並んでいて前記第1極性とは反対の第2極性の第2部分と、を有し、前記第1部分及び前記第2部分の一方からもう一方にかけて磁化されている第1磁性部と、
前記コイルの前記軸方向に前記第1磁性部の前記第1部分と並ぶ前記第2極性の第3部分と、前記コイルの前記軸方向に対して交わる方向に前記第3部分と並んでいて前記コイルの前記軸方向に前記第1磁性部の前記第2部分と並ぶ前記第1極性の第4部分と、を有し、前記第3部分及び前記第4部分の一方からもう一方にかけて磁化されている第2磁性部と、
を有し、
前記コイルの前記軸方向における前記第1領域の長さは、前記コイルの前記軸方向における前記第1磁性部の長さと、前記コイルの前記軸方向における前記第2磁性部の長さと、のいずれとも等しくなっており、
前記コイルの前記軸方向における前記第2領域の長さは、前記コイルの前記軸方向における前記第1磁性部の長さと、前記コイルの前記軸方向における前記第2磁性部の長さと、のいずれとも等しくなっている振動発電機。
【請求項2】
請求項1に記載の振動発電機において、
ヨークを備え、
前記ヨークは、前記コイルによって囲まれた領域及び前記コイルを囲む領域のもう一方に位置している振動発電機。
【請求項3】
軸方向を有し、前記軸方向の周りに巻かれたコイルと、
前記コイルを囲む領域及び前記コイルによって囲まれた領域の一方に位置する磁性部と、
を備え、
前記コイル及び前記磁性部の一方は、前記コイル及び前記磁性部のもう一方に対して前記コイルの前記軸方向に沿って移動可能になっており、
前記磁性部は、
第1極性の第1部分と、前記コイルの前記軸方向に対して交わる方向に前記第1部分と並んでいて前記第1極性とは反対の第2極性の第2部分と、を有し、前記第1部分及び前記第2部分の一方からもう一方にかけて磁化されている第1磁性部と、
前記コイルの前記軸方向に前記第1磁性部の前記第1部分と並ぶ前記第2極性の第3部分と、前記コイルの前記軸方向に対して交わる方向に前記第3部分と並んでいて前記コイルの前記軸方向に前記第1磁性部の前記第2部分と並ぶ前記第1極性の第4部分と、を有し、前記第3部分及び前記第4部分の一方からもう一方にかけて磁化されている第2磁性部と、
前記第1磁性部に対して前記第2磁性部が位置する側の反対側に位置していて前記コイルの前記軸方向に前記第1磁性部の前記第1部分及び前記第2部分の双方と並ぶ前記第1極性及び前記第2極性の一方の第5部分と、前記第5部分に対して前記第1磁性部が位置する側の反対側に位置して前記コイルの前記軸方向に前記第5部分と並んでいて前記第5部分の極性と反対の極性の第6部分と、を有し、前記第5部分及び前記第6部分の一方からもう一方にかけて磁化されている第3磁性部と、
前記第2磁性部に対して前記第1磁性部が位置する側の反対側に位置していて前記コイルの前記軸方向に前記第2磁性部の前記第3部分及び前記第4部分の双方と並んでいて前記第5部分の極性と反対の極性の第7部分と、前記第7部分に対して前記第2磁性部が位置する側の反対側に位置して前記コイルの前記軸方向に前記第7部分と並んでいて前記第7部分の極性と反対の極性の第8部分と、を有し、前記第7部分及び前記第8部分の一方からもう一方にかけて磁化されている第4磁性部と、
を有する振動発電機。
【請求項4】
請求項3に記載の振動発電機において、
ヨークを備え、
前記ヨークは、前記コイルによって囲まれた領域及び前記コイルを囲む領域のもう一方に位置している振動発電機。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の振動発電機において、
前記第1磁性部の前記第1部分の方が前記第1磁性部の前記第2部分よりも前記コイルの近くに位置しており、
前記第2磁性部の前記第3部分の方が前記第2磁性部の前記第4部分よりも前記コイルの近くに位置しており、
前記第3磁性部の前記第5部分の方が前記第3磁性部の前記第6部分よりも前記第1磁性部の近くに位置しており、
前記第4磁性部の前記第7部分の方が前記第4磁性部の前記第8部分よりも前記第2磁性部の近くに位置している振動発電機。
【請求項6】
請求項3~5のいずれか一項に記載の振動発電機において、
前記コイルは、
磁束変化によって一方向に起電力を発生可能な第1領域と、
前記第1領域と直列に接続し、前記磁束変化と同一の磁束変化によって前記第1領域とは反対方向に起電力を発生可能な第2領域と、
を有し、
前記コイルの前記軸方向における前記第1領域の長さは、前記コイルの前記軸方向における前記第1部分と前記第3部分の境界から前記第5部分と前記第6部分の境界にかけての長さと、前記コイルの前記軸方向における前記第1部分と前記第3部分の境界から前記第7部分と前記第8部分の境界にかけての長さと、のいずれとも等しくなっており、
前記コイルの前記軸方向における前記第2領域の長さは、前記コイルの前記軸方向における前記第1部分と前記第3部分の境界から前記第5部分と前記第6部分の境界にかけての長さと、前記コイルの前記軸方向における前記第1部分と前記第3部分の境界から前記第7部分と前記第8部分の境界にかけての長さと、のいずれとも等しくなっている振動発電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動発電機に関する。
【背景技術】
【0002】
振動発電機では、振動による運動エネルギーを電気エネルギーに変換することで発電を行っている。振動発電機は、例えば特許文献1に記載されているように、コイル及び永久磁石を備えている。特許文献1では、振動によって永久磁石がコイルに対して振動する。永久磁石のN極及びS極は、永久磁石の振動方向に沿って並んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-50204号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者は、振動による発電を実現するための新規な構造を検討した。
【0005】
本発明の目的は、振動による発電を新規な構造によって実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、
軸方向を有し、前記軸方向の周りに巻かれたコイルと、
前記コイルを囲む領域及び前記コイルによって囲まれた領域の一方に位置する磁性部と、
を備え、
前記コイル及び前記磁性部の一方は、前記コイル及び前記磁性部のもう一方に対して前記コイルの前記軸方向に沿って移動可能になっており、
前記コイルは、
磁束変化によって一方向に起電力を発生可能な第1領域と、
前記第1領域と直列に接続し、前記磁束変化と同一の磁束変化によって前記第1領域とは反対方向に起電力を発生可能な第2領域と、
を有し、
前記磁性部は、
第1極性の第1部分と、前記コイルの前記軸方向に対して交わる方向に前記第1部分と並んでいて前記第1極性とは反対の第2極性の第2部分と、を有し、前記第1部分及び前記第2部分の一方からもう一方にかけて磁化されている第1磁性部と、
前記コイルの前記軸方向に前記第1磁性部の前記第1部分と並ぶ前記第2極性の第3部分と、前記コイルの前記軸方向に対して交わる方向に前記第3部分と並んでいて前記コイルの前記軸方向に前記第1磁性部の前記第2部分と並ぶ前記第1極性の第4部分と、を有し、前記第3部分及び前記第4部分の一方からもう一方にかけて磁化されている第2磁性部と、
を有し、
前記コイルの前記軸方向における前記第1領域の長さは、前記コイルの前記軸方向における前記第1磁性部の長さと、前記コイルの前記軸方向における前記第2磁性部の長さと、のいずれとも等しくなっており、
前記コイルの前記軸方向における前記第2領域の長さは、前記コイルの前記軸方向における前記第1磁性部の長さと、前記コイルの前記軸方向における前記第2磁性部の長さと、のいずれとも等しくなっている振動発電機が提供される。
本発明によれば、
軸方向を有し、前記軸方向の周りに巻かれたコイルと、
前記コイルを囲む領域及び前記コイルによって囲まれた領域の一方に位置する磁性部と、
を備え、
前記コイル及び前記磁性部の一方は、前記コイル及び前記磁性部のもう一方に対して前記コイルの前記軸方向に沿って移動可能になっており、
前記磁性部は、
第1極性の第1部分と、前記コイルの前記軸方向に対して交わる方向に前記第1部分と並んでいて前記第1極性とは反対の第2極性の第2部分と、を有し、前記第1部分及び前記第2部分の一方からもう一方にかけて磁化されている第1磁性部と、
前記コイルの前記軸方向に前記第1磁性部の前記第1部分と並ぶ前記第2極性の第3部分と、前記コイルの前記軸方向に対して交わる方向に前記第3部分と並んでいて前記コイルの前記軸方向に前記第1磁性部の前記第2部分と並ぶ前記第1極性の第4部分と、を有し、前記第3部分及び前記第4部分の一方からもう一方にかけて磁化されている第2磁性部と、
前記第1磁性部に対して前記第2磁性部が位置する側の反対側に位置していて前記コイルの前記軸方向に前記第1磁性部の前記第1部分及び前記第2部分の双方と並ぶ前記第1極性及び前記第2極性の一方の第5部分と、前記第5部分に対して前記第1磁性部が位置する側の反対側に位置して前記コイルの前記軸方向に前記第5部分と並んでいて前記第5部分の極性と反対の極性の第6部分と、を有し、前記第5部分及び前記第6部分の一方からもう一方にかけて磁化されている第3磁性部と、
前記第2磁性部に対して前記第1磁性部が位置する側の反対側に位置していて前記コイルの前記軸方向に前記第2磁性部の前記第3部分及び前記第4部分の双方と並んでいて前記第5部分の極性と反対の極性の第7部分と、前記第7部分に対して前記第2磁性部が位置する側の反対側に位置して前記コイルの前記軸方向に前記第7部分と並んでいて前記第7部分の極性と反対の極性の第8部分と、を有し、前記第7部分及び前記第8部分の一方からもう一方にかけて磁化されている第4磁性部と、
を有する振動発電機が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、振動による発電を新規な構造によって実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態1に係る振動発電機を示す平面図である。
図2図1のA-A´断面図である。
図3図1及び図2に示したコイルの一例を説明するための図である。
図4図1及び図2に示した振動発電機による発電の一例を説明するための図である。
図5図1の第1の変形例を示す図である。
図6図5のA-A´断面図である。
図7図1の第2の変形例を示す図である。
図8図7のA-A´断面図である。
図9図1の第3の変形例を示す図である。
図10図9のA-A´断面図である。
図11】実施形態2に係る振動発電機を示す平面図である。
図12図11のA-A´断面図である。
図13図11の第1の変形例を示す図である。
図14図13のA-A´断面図である。
図15図11の第2の変形例を示す図である。
図16図15のA-A´断面図である。
図17図11の第3の変形例を示す図である。
図18図17のA-A´断面図である。
図19】実施形態3に係る振動発電機を示す断面図である。
図20】実施形態4に係る振動発電機を示す断面図である。
図21】実施形態5に係る振動発電機を示す断面図である。
図22図21の変形例を示す図である。
図23】実施形態6に係る振動発電機を示す断面図である。
図24】実施形態7に係る第1磁性部の第1例を説明するための図である。
図25】実施形態7に係る第1磁性部の第2例を説明するための図である。
図26】実施形態7に係る第1磁性部の第3例を説明するための図である。
図27図26に示した複数の第1磁性部を保持するための保持部材を説明するための図である。
図28図27に示した保持部材に複数の第1磁性部を保持させる方法を説明するための図である。
図29図28のB-B´断面図である。
図30】実施例に係る振動発電機によって発生した起電力の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0010】
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係る振動発電機10を示す平面図である。図2は、図1のA-A´断面図である。
【0011】
図2を用いて、振動発電機10の概要を説明する。振動発電機10は、コイル100及び第1磁性部210を備えている。コイル100は、軸方向(図2に示す例では、Z方向)を有している。コイル100は、当該軸方向の周りに巻かれている。第1磁性部210は、第1部分212及び第2部分214を含んでいる。第1磁性部210は、コイル100の近傍に位置している。第1部分212は、第1極性(図2に示す例では、S極)である。第2部分214は、第1極性とは反対の第2極性(図2に示す例では、N極)である。第1磁性部210は、第1部分212及び第2部分214の一方からもう一方にかけて磁化されている。コイル100及び第1磁性部210の一方は、コイル100及び第1磁性部210のもう一方に対してコイル100の軸方向(図2に示す例では、Z方向)に沿って移動可能になっている。第1磁性部210の第1部分212及び第2部分214は、コイル100の軸方向に対して交わる方向(図2に示す例では、X方向)に並んでいる。
【0012】
上述した構成によれば、振動による発電を行うことができる。具体的には、上述した構成においては、第1磁性部210によって、コイル100から第1磁性部210に向かう方向に磁力線を生成することができる(第1部分212がN極であり、第2部分214がS極であるときは、第1磁性部210からコイル100に向かう方向に磁力線を生成することができる。)。振動によってコイル100及び第1磁性部210の一方がコイル100及び第1磁性部210のもう一方に対して移動することで、コイル100に電磁誘導による電圧が生じる。したがって、振動による発電を行うことができる。
【0013】
さらに上述した構成によれば、発電により得られる電圧を大きくすることができる。具体的には、上述した構成においては、第1磁性部210によって生じる磁力線は、第1部分212の端部及び第2部分214の端部に集中する。上述した構成においては、磁力線の集中する箇所(第1部分212の端部)をコイル100に対向させることができる。したがって、コイル100が第1磁性部210によって受ける磁場を大きくすることができる。したがって、発電により得られる電圧を大きくすることができる。
【0014】
以下において、第1極性はS極であり、第2極性はN極である。第1極性及び第2極性は、それぞれ、N極及びS極であってもよい。本実施形態の説明から明らかなように、本実施形態の構成は、第1極性及び第2極性がそれぞれN極及びS極であっても適用可能である。
【0015】
図1を用いて、振動発電機10の平面構造の詳細を説明する。
【0016】
コイル100は、円筒状になっている。コイル100の形状は、図1に示す例に限定されるものではない。本実施形態の説明から明らかなように、本実施形態によれば、コイル100の形状に依存せず、振動による発電を行うことができる。
【0017】
第1磁性部210は、コイル100を囲む領域、すなわち、コイル100の外側に位置している。第1部分212及び第2部分214は、コイル100の外側に向かう方向に並んでいる。図1に示す例では、第1部分212(S極)の方が第2部分214(N極)よりもコイル100の近くに位置している。本実施形態の説明から明らかなように、N極の方がS極よりもコイル100の近くに位置していてもよい。
【0018】
図2を用いて、振動発電機10の断面構造の詳細を説明する。
【0019】
図2に示す例において、第1磁性部210は、永久磁石である。第1磁性部210は、コイル100の外側に向かう方向に着磁されている。着磁によって、第1磁性部210(永久磁石)は、S極(第1部分212)及びN極(第2部分214)を有している。
【0020】
コイル100及び第1磁性部210の一方は、コイル100及び第1磁性部210のもう一方に対して、振動(例えば、振動発電機10の外部から与えられる振動)によって一方向(Z方向)に移動可能になっている。第1磁性部210が可動子になってもよいし、又はコイル100が可動子になってもよい。
【0021】
図3は、図1及び図2に示したコイル100の一例を説明するための図である。
【0022】
コイル100は、一方向(図3内においてZ方向)に沿ってスパイラル状に延伸する導電線材を含んでいる。導電線材は、例えば金属配線、より具体的には例えば銅線にすることができる。
【0023】
図4は、図1及び図2に示した振動発電機10による発電の一例を説明するための図である。
【0024】
図4に示す例では、コイル100は、図3に示した形状と同様の形状を有している。図4には、コイル100の各巻き部の断面が示されている。
【0025】
図4において黒矢印で示すように、第1磁性部210の第1部分212の近傍では、コイル100から第1磁性部210に向かう方向に磁力線が生じる(第1部分212がN極であるときは、第1磁性部210からコイル100に向かう方向に磁力線が生じる。)。この磁力線によって振動発電機10は、発電を行うことができる。
【0026】
図5は、図1の第1の変形例を示す図である。図6は、図5のA-A´断面図である。
【0027】
第1磁性部210は、コイル100によって囲まれた領域、すなわち、コイル100の内側にあってもよい。図5及び図6に示す例においても、磁力線の集中する箇所(第1部分212の端部)をコイル100に対向させることができる。したがって、コイル100が第1磁性部210によって受ける磁場を大きくすることができる。図5及び図6に示す例においても、図1及び図2に示した例と同様にして、振動による発電を行うことができ、発電により得られる電圧を大きくすることができる。
【0028】
図7は、図1の第2の変形例を示す図である。図8は、図7のA-A´断面図である。
【0029】
振動発電機10は、2つのコイル100、すなわち、コイル100a及びコイル100bを備えている。コイル100aは、コイル100bによって囲まれた領域、すなわち、コイル100bの内側にあり、コイル100bは、コイル100aを囲む領域、すなわち、コイル100aの外側にある。図7に示す例では、コイル100a及びコイル100bは、同軸となっている。
【0030】
第1磁性部210は、コイル100aとコイル100bの間にある。つまり、第1磁性部210は、コイル100aを囲む領域、すなわち、コイル100aの外側にあって、コイル100bによって囲まれた領域、すなわち、コイル100bの内側にある。
【0031】
コイル100a及び第1磁性部210の一方がコイル100a及び第1磁性部210のもう一方に対して一方向(Z方向)に移動することで、図1及び図2に示した例と同様にして、誘導起電力がコイル100aに生じる。
【0032】
コイル100b及び第1磁性部210の一方がコイル100b及び第1磁性部210のもう一方に対して一方向(Z方向)に移動することで、図5及び図6に示した例と同様にして、誘導起電力がコイル100bに生じる。
【0033】
図7及び図8に示す例では、第1磁性部210を可動子にすることができる。この場合、コイル100a及びコイル100bを振動させなくても、第1磁性部210のみが移動することで、コイル100a及びコイル100bの双方に誘電起電力を発生させることができる。
【0034】
図9は、図1の第3の変形例を示す図である。図10は、図9のA-A´断面図である。
【0035】
図9に示すように、コイル100は、一方向(X方向)に長さL1を有しており、この一方向に直交する方向(Y方向)に長さL2を有している。長さL1は長さL2より短くなっている。つまり、コイル100は、X方向において薄くなっている。
【0036】
図9及び図10に示す例では、互いに分離された2つの第1磁性部210がX方向においてコイル100を挟んで並んでいる。いずれの第1磁性部210においても、第1部分212の方が第2部分214よりもコイル100の近くに位置している。したがって、図1及び図2に示した例と同様にして、振動による発電を行うことができ、発電により得られる電圧を大きくすることができる。
【0037】
図9及び図10に示した例によれば、X方向、すなわち、コイル100又は第1磁性部210の移動方向(Z方向)に交わる方向におけるコイル100の厚さを薄くすることができる。したがって、コイル100又は第1磁性部210の移動方向(Z方向)に交わる方向(X方向)における振動発電機10の厚さを薄くすることができる。
【0038】
(実施形態2)
図11は、実施形態2に係る振動発電機10を示す平面図であり、実施形態1の図1に対応する。図12は、図11のA-A´断面図であり、実施形態1の図2に対応する。本実施形態に係る振動発電機10は、以下の点を除いて、実施形態1に係る振動発電機10と同様である。
【0039】
振動発電機10は、ヨーク300及びシャフト400を備えている。ヨーク300は、シャフト400を囲んでいる。ヨーク300は、コイル100によって囲まれた領域、すなわち、コイル100の内側に位置している。第1磁性部210は、コイル100を囲む領域、すなわち、コイル100の外側に位置している。
【0040】
上述した構成によれば、コイル100が第1磁性部210によって受ける磁場をさらに大きくすることができる。具体的には、上述した構成においては、ヨーク300は、コイル100の内側に位置しており、第1磁性部210は、コイル100の外側に位置している。したがって、コイル100が第1磁性部210によって受ける磁力線がヨーク300によってさらに集中する。したがって、コイル100が第1磁性部210によって受ける磁場をさらに大きくすることができる。
【0041】
図13は、図11の第1の変形例を示す図であり、実施形態1の図5に対応する。図14は、図13のA-A´断面図であり、実施形態1の図6に対応する。図13及び図14に示す例は、以下の点を除いて、図5及び図6に示した例と同様である。
【0042】
第1磁性部210は、コイル100によって囲まれた領域、すなわち、コイル100の内側に位置している。ヨーク300は、コイル100を囲む領域、すなわち、コイル100の外側に位置している。図13及び図14に示す例においても、図11及び図12に示した例と同様にして、コイル100が第1磁性部210によって受ける磁場を大きくすることができる。
【0043】
図15は、図11の第2の変形例を示す図であり、実施形態1の図7に対応する。図16は、図15のA-A´断面図であり、実施形態1の図8に対応する。図15及び図16に示す例は、以下の点を除いて、図7及び図8に示した例と同様である。
【0044】
振動発電機10は、2つのヨーク300、すなわち、ヨーク300a及びヨーク300bを備えている。ヨーク300aは、コイル100aによって囲まれた領域、すなわち、コイル100aの内側に位置している。ヨーク300bは、コイル100bを囲む領域、すなわち、コイル100bの外側に位置している。
【0045】
ヨーク300aによって、図11及び図12に示した例と同様にして、コイル100aが第1磁性部210によって受ける磁場を大きくすることができる。
【0046】
ヨーク300bによって、図14及び図15に示した例と同様にして、コイル100bが第1磁性部210によって受ける磁場を大きくすることができる。
【0047】
図17は、図11の第3の変形例を示す図であり、実施形態1の図9に対応する。図18は、図17のA-A´断面図であり、実施形態1の図10に対応する。図17及び図18に示す例は、以下の点を除いて、図9及び図10に示した例と同様である。
【0048】
ヨーク300は、コイル100によって囲まれた領域、すなわち、コイル100の内側に位置している。したがって、図11及び図12に示した例と同様にして、コイル100が第1磁性部210によって受ける磁場を大きくすることができる。
【0049】
(実施形態3)
図19は、実施形態3に係る振動発電機10を示す断面図であり、実施形態1の図2に対応する。本実施形態に係る振動発電機10は、以下の点を除いて、実施形態1に係る振動発電機10と同様である。
【0050】
コイル100は、第1領域102及び第2領域104を有している。第1領域102は、磁束変化によって一方向に起電力を発生可能になっている。第2領域104は、第1領域102と直列に接続している。第2領域104は、当該磁束変化と同一の磁束変化によって第1領域102とは反対方向に起電力を発生可能になっている。例えば、コイル100が図3に示したようにスパイラル状に延伸して線材を含む場合、線材は、第1領域102では一方向に巻かれており、第2領域104ではこの一方向とは反対方向に巻かれている。
【0051】
振動発電機10は、磁性部200を備えている。磁性部200は、第1磁性部210及び第2磁性部220を有している。第1磁性部210は、第1部分212及び第2部分214を有している。第1部分212は、第1極性(S極)である。第2部分214は、第2極性(N極)である。第1磁性部210は、第1部分212及び第2部分214の一方からもう一方にかけて磁化されている。第2磁性部220は、第3部分222及び第4部分224を有している。第3部分222は、第2極性(N極)である。第4部分224は、第1極性(S極)である。第2磁性部220は、第3部分222及び第4部分224の一方からもう一方にかけて磁化されている。
【0052】
コイル100及び磁性部200の一方は、コイル100及び磁性部200のもう一方に対してコイル100の軸方向(Z方向)に移動可能になっている。第1磁性部210の第1部分212及び第2部分214は、コイル100の軸方向に交わる方向(X方向)に並んでいる。第2磁性部220の第3部分222及び第4部分224は、コイル100の軸方向に交わる方向(X方向)に並んでいる。第1磁性部210の第1部分212及び第2磁性部220の第3部分222は、コイル100の軸方向(Z方向)に並んでいる。第1磁性部210の第2部分214及び第2磁性部220の第4部分224は、コイル100の軸方向(Z方向)に並んでいる。
【0053】
上述した構成によれば、振動による発電を行うことができる。具体的には、上述した構成においては、第1磁性部210が一方向(Z方向)に沿って第1領域102の近傍を通過し、同時に第2磁性部220が一方向(Z方向)に沿って第2領域104の近傍を通過するとき、第1領域102及び第2領域104において同じ方向に誘導起電力が生じる。したがって、第1領域102から生じた誘導起電力と第2領域104から生じた誘導起電力の和がコイル100から得られる。同様にして、第1磁性部210が一方向(Z方向)に沿って第2領域104の近傍を通過し、同時に第2磁性部220が一方向(Z方向)に沿って第1領域102の近傍を通過するとき、第1領域102及び第2領域104において同じ方向に誘導起電力が生じる。したがって、第1領域102から生じた起電力と第2領域104から生じた起電力の和がコイル100から得られる。
【0054】
図19に示す例では、磁性部200は、永久磁石200a及び永久磁石200bを有している。永久磁石200a及び永久磁石200bは、コイル100又は磁性部200の移動方向(Z方向)に並んでいる。永久磁石200a及び永久磁石200bは、当該移動方向に交わる方向(X方向)に着磁されている。永久磁石200aは第1磁性部210となっており、永久磁石200bは第2磁性部220となっている。永久磁石200aのS極(第1部分212)と永久磁石200bのN極(第3部分222)は、反発せずに互いに引き合う。同様にして、永久磁石200aのN極(第2部分214)と永久磁石200bのS極(第4部分224)は、反発せずに互いに引き合う。したがって、永久磁石200a(第1磁性部210)及び永久磁石200b(第2磁性部220)を上述した移動方向(Z方向)に簡易に並べることができる。
【0055】
図19に示す例では、コイル100は、複数の第1領域102及び複数の第2領域104を有している。複数の第1領域102及び複数の第2領域104は、コイル100又は磁性部200の移動方向(Z方向)に交互に並んでいる。したがって、コイル100及び磁性部200の一方がコイル100及び磁性部200のもう一方に対して一方向(Z方向)に移動すると、正の誘導起電力及び負の誘導起電力がコイル100から交互に発生する。
【0056】
図19に示す例では、コイル100の軸方向(Z方向)において、第1領域102、第2領域104、第1磁性部210(永久磁石200a)及び第2磁性部220(永久磁石200b)は、それぞれ、長さL1、長さL2、長さL3及び長さL4を有している。
【0057】
第1領域102の長さL1は、第1磁性部210の長さL3以上にしてもよい。この場合、第1領域102が第1磁性部210によって受ける磁場をほぼ最大化することができる。具体的には、仮に、第1領域102の長さL1が第1磁性部210の長さL3より短いと、第1磁性部210の第1部分212の端部に集中する磁力線の一部をコイル100が受けることができない。これに対して、第1領域102の長さL1が第1磁性部210の長さL3以上であると、第1磁性部210の第1部分212の端部に集中する磁力線のほぼすべてをコイル100が受けることができる。したがって、第1領域102が第1磁性部210によって受ける磁場をほぼ最大化することができる。
【0058】
同様にして、第1領域102が第2磁性部220によって受ける磁場をほぼ最大化するため、第1領域102の長さL1は、第2磁性部220の長さL4以上にしてもよい。同様にして、第2領域104が第1磁性部210によって受ける磁場をほぼ最大化するため、第2領域104の長さL2は、第1磁性部210の長さL3以上にしてもよい。同様にして、第2領域104が第2磁性部220によって受ける磁場をほぼ最大化するため、第2領域104の長さL2は、第2磁性部220の長さL4以上にしてもよい。
【0059】
第1領域102の長さL1は、第1磁性部210の長さL3と実質的に等しくしてもよい。この場合、第1領域102が第1磁性部210によって受ける磁場が最大となる時間をほぼ最小化すること(つまり、磁束変化の生じない時間を最小化すること)ができる。具体的には、第1領域102の長さL1が第1磁性部210の長さL3と実質的に等しい場合、Z方向における第1領域102の両端がZ方向における第1磁性部210の両端と揃うとき、第1領域102が第1磁性部210によって受ける磁場がほぼ最大となる。一方、Z方向における第1領域102の両端がZ方向における第1磁性部210の両端に対して僅かでもずれると、第1領域102が第1磁性部210によって受ける磁場が低下する。したがって、第1領域102が第1磁性部210によって受ける磁場が最大となる時間をほぼ最小化すること(つまり、磁束変化の生じない時間を最小化すること)ができる。
【0060】
同様にして、第1領域102が第2磁性部220によって受ける磁場が最大となる時間をほぼ最小化するため、第1領域102の長さL1は、第2磁性部220の長さL4と実質的に等しくしてもよい。同様にして、第2領域104が第1磁性部210によって受ける磁場が最大となる時間をほぼ最小化するため、第2領域104の長さL2は、第1磁性部210の長さL3と実質的に等しくしてもよい。同様にして、第2領域104が第2磁性部220によって受ける磁場が最大となる時間をほぼ最小化するため、第2領域104の長さL2は、第2磁性部220の長さL4と実質的に等しくしてもよい。
【0061】
本実施形態の説明から明らかなように、本実施形態の構成は、磁性部200の位置に依存せず適用可能である。例えば、磁性部200が、図5及び図6に示した第1磁性部210と同様にしてコイル100によって囲まれた領域、すなわち、コイル100の内側に位置していても、本実施形態の構成は適用可能である。
【0062】
(実施形態4)
図20は、実施形態4に係る振動発電機10を示す断面図であり、実施形態3の図19に対応する。本実施形態に係る振動発電機10は、以下の点を除いて、実施形態3に係る振動発電機10と同様である。
【0063】
コイル100は、互いに並列に接続されたm相コイル(mは正の整数である。)を有している。図20に示す例では、コイル100は、3相コイルを有している。コイル100の第1領域102は、第1部分102a、第2部分102b及び第3部分102cをコイル100又は磁性部200の移動方向(Z方向)に沿って順に含んでいる。第2領域104は、第1部分104a、第2部分104b、第3部分104cを当該移動方向(Z方向)に沿って順に含んでいる。3相コイルのうちの第1コイルは、第1領域102の第1部分102a及び第2領域104の第1部分102aを有しており、3相コイルのうちの第2コイルは、第1領域102の第2部分102b及び第2領域104の第2部分104bを有しており、3相コイルのうちの第3コイルは、第1領域102の第3部分102c及び第2領域104の第3部分104cを有している。
【0064】
図20に示す例においても、図19に示した例と同様にして、振動による発電を行うことができる。さらに、図20に示す例によれば、m相コイルのそれぞれから誘導起電力を得ることができる。
【0065】
(実施形態5)
図21は、実施形態5に係る振動発電機10を示す断面図であり、実施形態3の図19に対応する。本実施形態に係る振動発電機10は、以下の点を除いて、実施形態3に係る振動発電機10と同様である。
【0066】
磁性部200は、第3磁性部230及び第4磁性部240を備えている。第3磁性部230は、第5部分232及び第6部分234を有している。第5部分232は、第1極性(S極)である。第6部分234は、第2極性(N極)である。第3磁性部230は、第5部分232及び第6部分234の一方からもう一方にかけて磁化されている。第4磁性部240は、第7部分242及び第8部分244を有している。第7部分242は、第2極性(N極)である。第8部分244は、第1極性(S極)である。第4磁性部240は、第7部分242及び第8部分244の一方からもう一方にかけて磁化されている。第3磁性部230の第5部分232及び第6部分234は、コイル100の軸方向(Z方向)に並んでいる。第4磁性部240の第7部分242及び第8部分244は、コイル100の軸方向(Z方向)に並んでいる。第3磁性部230は、コイル100の軸方向(Z方向)において第2磁性部220の反対側で第1磁性部210と並んでいる。第4磁性部240は、コイル100の軸方向(Z方向)において第1磁性部210の反対側で第2磁性部220と並んでいる。
【0067】
上述した構成によれば、第3磁性部230及び第4磁性部240を用いて、第1磁性部210及び第2磁性部220を一方向(Z方向)に振動させることができる。具体的には、振動によって第1磁性部210及び第2磁性部220が通過する経路の両端には、第3磁性部230に反発する及び第4磁性部240と反発する磁石(不図示)が設けられている。第1磁性部210及び第2磁性部220が一方向(Z方向)に振動する場合、第3磁性部230及び第4磁性部240は、当該磁石から斥力を受ける。
【0068】
図21に示す例においては、第1磁性部210の第1部分212の方が第1磁性部210の第2部分214よりもコイル100の近くに位置している。第2磁性部220の第3部分222の方が第2磁性部220の第4部分224よりもコイル100の近くに位置している。第3磁性部230の第5部分232の方が第3磁性部230の第6部分234よりも第1磁性部210の近くに位置している。第4磁性部240の第7部分242の方が第4磁性部240の第8部分244よりも第2磁性部220の近くに位置している。
【0069】
上述した構成によれば、第1磁性部210の第1部分212から第3磁性部230の第5部分232にかけて同じ極性(S極)の領域をコイル100に対向させることができ、第2磁性部220の第3部分222から第4磁性部240の第7部分242にかけて同じ極性(N極)の領域をコイル100に対向させることができる。したがって、コイル100は、第1磁性部210の第1部分212から第3磁性部230の第5部分232にかけての領域によって発生する磁場を受けることができ、第2磁性部220の第3部分222から第4磁性部240の第7部分242にかけての領域によって発生する磁場を受けることができる。
【0070】
図21に示す例において、第3磁性部230は、永久磁石である。第3磁性部230は、コイル100又は磁性部200の移動方向(Z方向)に着磁されている。着磁によって、第3磁性部230(永久磁石)は、S極(第5部分232)及びN極(第6部分234)を有している。
【0071】
図21に示す例において、第4磁性部240は、永久磁石である。第4磁性部240は、コイル100又は磁性部200の移動方向(Z方向)に着磁されている。着磁によって、第4磁性部240(永久磁石)は、N極(第7部分242)及びS極(第8部分244)を有している。
【0072】
図21に示す例では、コイル100の軸方向(Z方向)において、第1領域102及び第2領域104は、それぞれ、長さL1及び長さL2を有している。一方向(Z方向)において、第1磁性部210及び第3磁性部230は、第1部分212と第3部分222の境界から第5部分232と第6部分234の境界にかけて長さL3を有している。コイル100の軸方向(Z方向)において、第2磁性部220及び第4磁性部240は、第1部分212と第3部分222の境界から第7部分242と第8部分244の境界にかけて長さL4を有している。
【0073】
一方向(Z方向)において、第5部分232と第6部分234の境界は、第3磁性部230の実質的に中心に位置している。一方向(Z方向)において、第7部分242と第8部分244の境界は、第4磁性部240の実質的に中心に位置している。
【0074】
第1領域102の長さL1は、第1磁性部210及び第3磁性部230に関する長さL3と実質的に等しくしてもよい。この場合、図19を用いて説明した理由と同様にして、第1領域102が第1磁性部210及び第3磁性部230によって受ける磁場をほぼ最大化することができ、当該磁場が最大となる時間をほぼ最小化することができる。
【0075】
同様にして、第1領域102の長さL1は、第2磁性部220及び第4磁性部240に関する長さL4と実質的に等しくしてもよい。同様にして、第2領域104の長さL2は、第1磁性部210及び第3磁性部230に関する長さL3と実質的に等しくしてもよい。同様にして、第2領域104の長さL2は、第2磁性部220及び第4磁性部240に関する長さL4と実質的に等しくしてもよい。
【0076】
図22は、図21の変形例を示す図である。
【0077】
図22に示すように、第3磁性部230の第6部分234(N極)の方が第3磁性部230の第5部分232(S極)よりも第1磁性部210の近くに位置していてもよく、第4磁性部240の第8部分244(S極)の方が第4磁性部240の第7部分242(N極)よりも第2磁性部220の近くに位置していてもよい。図22に示す例においても、図21に示した例と同様にして、第3磁性部230及び第4磁性部240を用いて、第1磁性部210及び第2磁性部220を一方向(Z方向)に振動させることができる。
【0078】
(実施形態6)
図23は、実施形態6に係る振動発電機10を示す断面図であり、実施形態3の図19に対応する。本実施形態に係る振動発電機10は、以下の点を除いて、実施形態3に係る振動発電機10と同様である。
【0079】
磁性部200は、磁性部250を備えている。磁性部250は、部分252及び部分254を有している。部分252は、第1極性(S極)である。部分254は、第2極性(N極)である。磁性部250は、部分252及び部分254の一方からもう一方にかけて磁化されている。磁性部250は、コイル100の軸方向(Z方向)において、第1磁性部210と第2磁性部220の間に位置している。磁性部250の部分252及び部分254は、コイル100の軸方向(Z方向)に並んでいる。
【0080】
第1磁性部210の第1部分212(S極)の方が第1磁性部210の第2部分214(N極)よりもコイル100の近くに位置している。第2磁性部220の第3部分222(N極)の方が第2磁性部220の第4部分224(S極)よりもコイル100の近くに位置している。磁性部250の部分252の方が磁性部250の部分254よりも第1磁性部210の近くに位置している。磁性部250の部分254の方が磁性部250の部分252よりも第2磁性部220の近くに位置している。
【0081】
上述した構成によれば、第1磁性部210、第2磁性部220及び磁性部250によって、ハルバッハ配列を形成することができる。したがって、第1部分212のうちのコイル100側の端部の磁力線を集中させることができ、第3部分222のうちのコイル100側の端部の磁力線を集中させることができる。
【0082】
図23に示す例において、磁性部250は、永久磁石である。磁性部250は、コイル100又は磁性部200の移動方向(Z方向)に着磁されている。着磁によって、磁性部250(永久磁石)は、S極(部分252)及びN極(部分254)を有している。
【0083】
(実施形態7)
図24は、実施形態7に係る第1磁性部210の第1例を説明するための図である。
【0084】
第1磁性部210は、内周及び外周を有する筒状になっている。第1磁性部210は、第1磁性部210の内周又は外周に交わる方向に着磁されている。着磁によって、第1磁性部210は、S極(第1部分212)及びN極(第2部分214)を有している。第1部分212の方が第2部分214よりも第1磁性部210の内周の近くに位置しており、第2部分214の方が第1部分212よりも第1磁性部210の外周の近くに位置している。第1部分212及び第2部分214は、第1磁性部210の内周及び外周の全周に亘って位置している。
【0085】
図25は、実施形態7に係る第1磁性部210の第2例を説明するための図である。図25に示す例は、以下の点を除いて、図24に示した例と同様である。
【0086】
第1磁性部210は、第1磁性部210の内周の周方向に沿って複数の第1部分212を有しており、第1磁性部210の外周の周方向に沿って複数の第2部分214を有している。複数の第1部分212は、第1磁性部210の内周の周方向に沿って実質的に等間隔に並べることができ、複数の第2部分214は、第1磁性部210の外周の周方向に沿って実質的に等間隔に並べることができる。図25に示す例では、3つの第1部分212が第1磁性部210の内周の周方向に沿って実質的に等間隔に並んでおり、3つの第2部分214が第1磁性部210の外周の周方向に沿って実質的に等間隔に並んでいる。
【0087】
図26は、実施形態7に係る第1磁性部210の第3例を説明するための図である。図26に示す例は、以下の点を除いて、図24に示した例と同様である。
【0088】
図26に示す例では、複数の第1磁性部210が、複数の第1磁性部210によって囲まれた領域を画定するように並んでいる。複数の第1磁性部210は、各第1磁性部210の第1部分212が当該領域の内側を向き、各第1磁性部210の第2部分214が当該領域の外側を向くように配置されている。したがって、図26に示す例においても、図24又は図25に示した第1磁性部210と同様の磁場を生成することができる。複数の第1磁性部210は、当該領域の外周に沿って実質的に等間隔に並べることができる。図26に示す例では、8つの第1磁性部210が当該領域の外周に沿って実質的に等間隔に並んでいる。
【0089】
図26に示す例によれば、各第1磁性部210は、通常の形状(例えば、直方体)を有する永久磁石にすることができる。一般に、図24又は図25に示すように第1磁性部210を第1磁性部210の内周又は外周の周方向に交わる方向に着磁するためには、複雑な技術が必要となる。これに対して、図26に示す各第1磁性部210は、このような複雑な技術を用いることなく作製することができる。したがって、図26に示す例によれば、簡易に磁場を生成することができる。
【0090】
図27は、図26に示した複数の第1磁性部210を保持するための保持部材500を説明するための図である。
【0091】
保持部材500は、筒状となっており、内壁510を有している。内壁510には、複数の凹部512が形成されている。
【0092】
図28は、図27に示した保持部材500に複数の第1磁性部210を保持させる方法を説明するための図である。図29は、図28のB-B´断面図である。図28では、説明のため、図29に示す第3磁性部230を示していない。
【0093】
図28に示すように、保持部材500の複数の凹部512のそれぞれには、複数の第1磁性部210のそれぞれが入り込んでいる。保持部材500は、強磁性体材料を含むようにすることができる。この場合、磁力によって、各第1磁性部210を保持部材500に固定させることができる。
【0094】
図28に示す例において、凹部512の深さは、第1磁性部210の厚さより浅くなっている。したがって、第1磁性部210を、保持部材500の内壁510よりも、保持部材500の内側の領域に近接させることができる。
【0095】
図29に示すように、第1磁性部210(永久磁石200a)及び第2磁性部220(永久磁石200b)が保持部材500に保持されている。保持部材500の内壁510は、第1磁性部210、第2磁性部220、第3磁性部230の一部及び第4磁性部240の一部を覆っている。
【実施例
【0096】
図21に示した振動発電機10を作製した。長さL1及び長さL2は、12.5mmとした。長さL3及び長さL4は、12.25mmとした。つまり、長さL1及び長さL2は、長さL3及び長さL2の1.02倍となっており、長さL3及び長さL2と実質的に等しくなっている。
【0097】
図30は、実施例に係る振動発電機10によって発生した起電力の結果を示すグラフである。図30のグラフの横軸は時間を示しており、図30のグラフの縦軸は電圧を示している。
【0098】
図30において、「領域1」は、図21のコイル100のうちの上から1段目の第1領域102から得られた電圧を意味し、「領域2」は、図21のコイル100のうちの上から2段目の第2領域104から得られた電圧を意味し、「領域3」は、図21のコイル100のうちの上から3段目の第1領域102から得られた電圧を意味し、「領域4」は、図21のコイル100のうちの上から4段目の第2領域104から得られた電圧を意味する。
【0099】
図30に示すように、領域1から領域4までのそれぞれの電圧は、ほぼ同期しているといえる。したがって、本実施例によれば、コイル100の各領域(第1領域102及び第2領域104)から、互いに同期した電圧を得ることができるといえる。
【0100】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
以下、参考形態の例を付記する。
1. 軸方向を有し、前記軸方向の周りに巻かれたコイルと、
前記コイルの近傍に位置し、第1極性の第1部分と、前記第1極性とは反対の第2極性の第2部分と、を有し、前記第1部分及び前記第2部分の一方からもう一方にかけて磁化されている第1磁性部と、
を備え、
前記コイル及び前記第1磁性部の一方は、前記コイル及び前記第1磁性部のもう一方に対して前記コイルの前記軸方向に沿って移動可能になっており、
前記第1磁性部の前記第1部分及び前記第2部分は、前記コイルの前記軸方向に対して交わる方向に並んでいる振動発電機。
2. 1.に記載の振動発電機において、
ヨークを備え、
前記第1磁性部は、前記コイルによって囲まれた領域及び前記コイルを囲む領域の一方に位置しており、
前記ヨークは、前記コイルによって囲まれた領域及び前記コイルを囲む領域のもう一方に位置している振動発電機。
3. 1.又は2.に記載の振動発電機において、
前記コイルの近傍に位置し、前記第2極性の第3部分と、前記第1極性の第4部分と、を有し、前記第3部分及び前記第4部分の一方からもう一方にかけて磁化されている第2磁性部を備え、
前記第2磁性部の前記第3部分及び前記第4部分は、前記コイルの前記軸方向に対して交わる方向に並んでおり、
前記コイルは、磁束変化によって一方向に起電力を発生可能な第1領域と、前記第1領域と直列に接続しており、前記磁束変化と同一の磁束変化によって前記第1領域とは反対方向に起電力を発生可能な第2領域と、を有し、
前記第1磁性部の前記第1部分及び前記第2磁性部の前記第3部分は、前記コイルの前記軸方向に並んでおり、
前記第1磁性部の前記第2部分及び前記第2磁性部の前記第4部分は、前記コイルの前記軸方向に並んでおり、
前記コイルの前記第1領域及び前記第2領域は、前記コイルの前記軸方向に並んでいる振動発電機。
4. 3.に記載の振動発電機において、
前記コイルの前記軸方向において、前記第1領域の長さは、前記第1磁性部の長さ及び前記第2磁性部の長さのそれぞれと実質的に等しくなっており、
前記コイルの前記軸方向において、前記第2領域の長さは、前記第1磁性部の長さ及び前記第2磁性部の長さのそれぞれと実質的に等しくなっている振動発電機。
5. 3.に記載の振動発電機において、
前記第1極性の第5部分と、前記第2極性の第6部分と、を有し、前記第5部分及び前記第6部分の一方からもう一方にかけて磁化されている第3磁性部と、
前記第2極性の第7部分と、前記第1極性の第8部分と、を有し、前記第7部分及び前記第8部分の一方からもう一方にかけて磁化されている第4磁性部と、
を備え、
前記第3磁性部の前記第5部分及び前記第6部分は、前記コイルの前記軸方向に並んでおり、
前記第4磁性部の前記第7部分及び前記第8部分は、前記コイルの前記軸方向に並んでおり、
前記第3磁性部は、前記コイルの前記軸方向において前記第2磁性部の反対側で前記第1磁性部と並んでおり、
前記第4磁性部は、前記コイルの前記軸方向において前記第1磁性部の反対側で前記第2磁性部と並んでいる振動発電機。
6. 5.に記載の振動発電機において、
前記第1磁性部の前記第1部分の方が前記第1磁性部の前記第2部分よりも前記コイルの近くに位置しており、
前記第2磁性部の前記第3部分の方が前記第2磁性部の前記第4部分よりも前記コイルの近くに位置しており、
前記第3磁性部の前記第5部分の方が前記第3磁性部の前記第6部分よりも前記第1磁性部の近くに位置しており、
前記第4磁性部の前記第7部分の方が前記第4磁性部の前記第8部分よりも前記第2磁性部の近くに位置している振動発電機。
7. 6.に記載の振動発電機において、
前記コイルの前記軸方向において、前記第1領域の長さは、前記第1部分と前記第3部分の境界から前記第5部分と前記第6部分の境界にかけての長さ及び前記第1部分と前記第3部分の境界から前記第7部分と前記第8部分の境界にかけての長さのそれぞれと実質的に等しくなっており、
前記コイルの前記軸方向において、前記第2領域の長さは、前記第1部分と前記第3部分の境界から前記第5部分と前記第6部分の境界にかけての長さ及び前記第1部分と前記第3部分の境界から前記第7部分と前記第8部分の境界にかけての長さのそれぞれと実質的に等しくなっている振動発電機。
【符号の説明】
【0101】
10 振動発電機
100 コイル
100a コイル
100b コイル
102 第1領域
102a 第1部分
102b 第2部分
102c 第3部分
104 第2領域
104a 第1部分
104b 第2部分
104c 第3部分
110 群
200 磁性部
200a 永久磁石
200b 永久磁石
210 第1磁性部
212 第1部分
214 第2部分
220 第2磁性部
222 第3部分
224 第4部分
230 第3磁性部
232 第5部分
234 第6部分
240 第4磁性部
242 第7部分
244 第8部分
250 磁性部
252 部分
254 部分
300 ヨーク
300a ヨーク
300b ヨーク
400 シャフト
500 保持部材
510 内壁
512 凹部
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図30