(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-04
(45)【発行日】2022-08-15
(54)【発明の名称】少なくとも1つの電動モーターを有する内燃機関
(51)【国際特許分類】
F02B 67/00 20060101AFI20220805BHJP
F01M 5/00 20060101ALI20220805BHJP
F01P 7/16 20060101ALI20220805BHJP
F02D 29/06 20060101ALI20220805BHJP
F02F 7/00 20060101ALI20220805BHJP
F02M 26/14 20160101ALI20220805BHJP
F02M 37/04 20060101ALI20220805BHJP
F02M 51/02 20060101ALI20220805BHJP
F02M 55/02 20060101ALI20220805BHJP
F02N 11/00 20060101ALI20220805BHJP
F02N 11/04 20060101ALI20220805BHJP
【FI】
F02B67/00 M
F02B67/00 C
F02B67/00 F
F02B67/00 H
F02B67/00 J
F01M5/00 H
F01P7/16 504A
F02D29/06 E
F02F7/00 L
F02F7/00 301Z
F02M26/14
F02M37/04 A
F02M51/02 E
F02M55/02 360Z
F02N11/00 J
F02N11/04 A
(21)【出願番号】P 2017553878
(86)(22)【出願日】2016-05-04
(86)【国際出願番号】 EP2016000732
(87)【国際公開番号】W WO2016184545
(87)【国際公開日】2016-11-24
【審査請求日】2019-04-26
【審判番号】
【審判請求日】2021-06-29
(31)【優先権主張番号】102015006365.0
(32)【優先日】2015-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】592007771
【氏名又は名称】ドイツ アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100092277
【氏名又は名称】越場 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100155446
【氏名又は名称】越場 洋
(72)【発明者】
【氏名】ブルン,マルコ
(72)【発明者】
【氏名】フーゼル,ウイルヘルム
(72)【発明者】
【氏名】クラインシュミット,アントン
(72)【発明者】
【氏名】クナプス,ゲルハルド
(72)【発明者】
【氏名】ジョイステンピエリッツ,ヨアヒム
(72)【発明者】
【氏名】ホフマン,ペーター
(72)【発明者】
【氏名】ユング,マルコ
(72)【発明者】
【氏名】シュワボウエル,パウル
【合議体】
【審判長】山本 信平
【審判官】水野 治彦
【審判官】木村 麻乃
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0302397(US,A1)
【文献】特開平10-44789(JP,A)
【文献】特開平8-21340(JP,A)
【文献】特開2010-18057(JP,A)
【文献】特開2008-116018(JP,A)
【文献】特開2002-364506(JP,A)
【文献】特開2002-309953(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K6/20-6/547
B60W10/00-20/50
F02B61/00-79/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クランクケース(4)と、このクランクケース(4)上に配置された一つの
電動モータ(20)と、
この電動モータ
(20
)にライン接続された少なくとも一つの高電圧変換器(15)と、
シリンダヘッドカバー(23)とを有する内燃機関であって、
上記内燃機関および/または上記
電動モータ(20)を制御するための少なくとも1つの制御ユニット(1)
を有し、
上記高電圧変換器(15)はクランクケース(4)の正面に結合されたフロントプレート(18)に取り付けられており、
上記
電動モータ(20)は上記フロントプレート(18)に固定されたア
ダプタユニット(19
)に取り付けられており、
上記シリンダヘッドカバー(23)上にコモンレール(21)が配置されていることを特徴とする内燃機関。
【請求項2】
上記制御ユニット(1)がワイヤハーネス(22)に接続可能で、このワイヤハーネス(22)は上記シリンダヘッドカバー(23)上に配置されているか、上記シリンダヘッドカバー(23)と一体化されている請求項1に記載の内燃機関。
【請求項3】
エンジンオイルクーラー(17)とスタータ電動モータ(16)とをさらに有し、上記エンジンオイルクーラー(17)がクランクケース(4)の排気側の側部の上記スタータ電動モータ(16)の後方且つこのスタータ電動モータ(16)とほぼ同じ高さの所に配置されている請求項1または2に記載の内燃機関。
【請求項4】
排気ガス再循環(EGR)モジュール(14)をさらに有し、この排気ガス再循環(EGR)モジュール(14)が上記エンジンオイルクーラー(17)の上方で且つクランクケース(4)の排気側の側部に配置されている請求項
3に記載の内燃機関。
【請求項5】
高圧ポンプ(3)をさらに有し、この高圧ポンプ(3)はシリンダヘッド(2)のサービス側の側部に配置され、この高圧ポンプ(3)はシリンダーヘッドカバー(23)内で上記コモンレール(21)と接続可能である請求項1~4のいずれか一項に記載の内燃機関。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの電動モーターを有する内燃機関に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のハイブリッド概念では、構成要素(Komponenten)(電気E-MA、elektrische E-Ma-schinen)は、多くの場合、ギヤボックス側に設計されている。現在の内燃機関のエンジン設計(アーキテクチャ)の大部分はシステム構成要素の古典的配列によって決まり、既存のインタフェースを今後開発される技術、例えばシームレスハイブリッドの概念に合わせることは物理的にできない。
従って、今後のハイブリッド用途の開発には技術的および経済的に解決すべき課題がある。
【0003】
ハイブリッドシステムが種々の用途に広がり、顧客の要求が増加するにつれて伝統的な基本的エンジン概念を用いて妥当なコストで上記課題を解決することは困難になってきている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、本発明の目的は、種々の構成要素を内燃機関と一体化し、伝動系を変更または変更せずに、顧客が種々の用途をカバーし、将来の用途範囲を拡大できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の上記目的は、内燃機関のクランクケース上に配置した少なくとも1つの電動モータと、内燃機関および/または電動モータを制御するための少なくとも一つの制御ユニットと、少なくとも一つ高電圧変換器(Hochvoltumrichter)とを含む内燃エンジンによって解決される。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本発明の有利な実施形態では、少なくとも1つの電動モーターがスタータとして構成される。
本発明のさらに有利な実施形態では、少なくとも1つの電動モーターが発電機として構成される。この場合の利点は生成した不要なエネルギーをバッテリーに貯蔵できることにある。
【0007】
本発明の別の有利な実施形態では、コモンレール(Common-Rail、共通レール)がシリンダヘッドカバー上に配置される。これにはスペース上および組み立て上のメリットがある。
本発明の他の有利な実施形態では、ワイヤハーネス(Kabelbaum)がシリンダヘッドカバー上に配置される。これにもスペース上および組み立て上のメリットがある。
【0008】
本発明の別の有利な実施形態では、制御ユニットが実質的にシリンダヘッドカバー上に配置される。これにはスペース上および組み立て上のメリットがある。
本発明の別の有利な実施形態では、制御ユニットがシリンダヘッドカバー内で実質的にリードレス(leitungslos)に接続可能である。これにはスペース上、組み立て上およびサービス上のメリットがある。
本発明の別の有利な実施形態では、エンジンオイルクーラーがクランクケースの横側、特に排気側の横側の空間的に後方のほぼ電動モーターの高さの所にある。これにはスペース上、組み立て上およびサービス上のメリットがある。
【0009】
本発明の有利な実施形態では、排気ガス再循環(EGR)モジュール(Abgasr・ckf・hr (AGR)-Modul)がクランクケースの側方、特に排気側の実質的エンジンオイルクーラーの上方に配置される。これには設置スペースが取り易く、組み立ておよびサービスに便利であるという利点がある。
本発明のさらに有利な実施形態では、油圧ポンプ(Hochdruckpum)PEが実質的にシリンダヘッドカバーの側部、特にサービス側の側部に配置され、シリンダヘッド内でコモンレールとリードレスで接続される。これには設置スペースおよび組み立て上のメリットがあり、サービス上の利点がある。
【0010】
本発明のさらに有利な実施形態では、少なくとも一つ油圧ポンプが電動モータの下側に配置され、クランクケースの横側に取り付けられた電動モータが歯車列のフロントギヤと連結する。これには設置スペースや組み立て上のメリットと、サービス上の利点があり、用途の可能性を高くする。
【0011】
本発明のさらなる他の利点は、所定の力接続部(definierter Kraftanbindung)を有する強化されたクランクケースにある。この場合、フロントカバー(vorderen Deckels)の機能はクランクケースと一体化される。強化されたパワー列およびギアドライブは特別な軸受け(クランク軸はフライホイールの方向にエッジに向かう拡大ベアリング)を有する。これはエンジンの前方、後方および横方向の連結のための支持部としてのブロックアッセンブリーとして設計される(鋳造オイルパンと一緒に、エンジンが支持部品になる)。
【0012】
本発明は産業用各種ハイブリッドシステムの連結に使用でき、互いに異なるシリンダー数、例えば4つおよび6つのシリンダー数を有する内燃機関(ダイナミックダンパーの外側形状が別の機能を有する)の機能分離設計の互換性に使用でき、冷却水およびオイルの回路の圧力損失に対する最適調整ができ、クラッチおよびプラグイン接続を介したケーブルレスオイル供給装置を含む高速電動モータおよび動力取出し装置(PTO)用の多機能アタッチメントギヤに使用でき、オプションとしてベルトレスエンジンおよび連続的に電気が供給される補助ユニットに使用でき、顧客の便宜に可能最大限に合わせるために、厳格な安全基準およびサービス要件を満たすことができるシステムコンポーネントに機能を分離および分配するために使用できる。
【0013】
好ましい実施形態では、高圧ポンプを騒音保護ケージ、衝撃保護ケージまたは衝突保護ケージで取り囲む。
以下、本発明の一つの例を示す実施形態を用いて本発明を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】内燃機関のサービス側(Serviceseite)を示す図。
【
図2】内燃機関の排気側(Abgasseite)を示す図。
【
図3】各
設置空間エリア(Bauraumbereiche)を示す図。
【0015】
本発明の基本的な考え方は、コンポーネント(構成要素)の配置および設計に関して全システムを変更して、基本モータの設計の複雑さを減らし、それと同時に自由度を増加させて、連結を容易にする新しいインターフェースを利用できるようにすることにある。
【0016】
ハイブリッドシステムを受け入れるための
設置空間エリア(領域)は一般に下記の3つのエリア(例えば[
図3]を参照)で表すことができる:
(A)フライホイールおよび
アダプタユニット(SAE
)のエリア、
(B)サービスおよび
動力取出し(PTO
)エリア、
(C)ファンおよびベルトドライブエリア、
【0017】
本発明は、各システム構成要素の全体コーディネート(調整)および連動化(ineinandergreifende)配置に関するものである。本発明の有利な実施形態では、各機能を明確に分離し、キーとなる全てのコンポーネントをセグメント化し、非常に高い機能密度とコンパクトな空間利用ができるように再構成(アセンブル)する。
【実施例】
【0018】
以下、図面を用いて本発明の実施形態を詳細に説明する。
[
図1]および[
図2]はケーブル通路(Kabelkanal)を有するオーバーヘッド制御ユニット1を示す。このケーブル通路はシリンダーヘッドカバーと平行に配置するか、シリンダーヘッドカバーの内部に直接配置される。
【0019】
変形例ではオーバーヘッド制御ユニット1上にダストや水から保護するためのカバーを設けることもできる。シリンダヘッド2はクロスフローに設計され、噴射装置の種々の構成要素を保護する防塵被覆を施した高圧ラインを有するコモンレール噴射装置(Common-Rail-Injektoren)25を収容している。シリンダヘッド2はさらに、排気後処理システム(EAT)用のセンサ、インターフェースおよびアクセスポイントを収容している。配管接続部(Kunden-Verroh-rungs-Anbindung)(KVA)はオプショイとして騒音防止装置を介して(または介さずに)シリンダヘッドに直接接続されたオーバーヘッドファンベアリング、モータ保護・モータ輸送ブラケットおよびオーバーヘッド高圧ポンプ3をさらに有している。クランクケース4は冷却回路を分離する機能、いわゆるスプリッツ冷却回路を備えていてもよい。密閉オイルパンにすることでシールを破らずに強化されたエンジン(verst・rkten Triebwerk)および強化されたギアドライブ(verst・rkten R・-dertrie)とすることができる。
【0020】
排気ガス再循環(EGR)の戻り部はエンジンの排気側に配置されている。取付け部品用およびモータベアリング用のインターフェースもある。燃料およびオイルのフィルターモジュール5はオイル冷却機能から分離されている。動力取出し(PTO、Power Take Off)モジュール6はクランクケースに直接取り付けられている。フロントマウント変速機7は例えばフレキシブルカップリングを有する(または有しない)高速トランスミッション用の平歯車変速機である。
【0021】
本発明の内燃機関は、電気機械(E-Maschine)(System High Speed)の防塵装置を有している。この内燃機関は動力取出し(PTO)インターフェイス(A)を有する設計でも、有しない設計でもよい。この内燃機関ではプラグイン要素によってケーブルレスでオイルを直接供給できる。上記電気機械(E-Maschine)(高速システム)8はヘビーデューティ(高負荷)用のもので、防塵されている。支持ブラケット9は緩み補償装置を介してクランクケースに直接接続される。オイルパン10は音響挙動が最適化された鉄板、鋳造品およびプラスチック部品で構成されている。排気管11および排気ガスターボチャージャ(ATL)は種々の取付け位置に設けることができる。
【0022】
排気ガス再循環(EGR)モジュールシステム(AGR-Modul System)14は位置決め装置を介して(または介さずに)クランクケース内で完全に一体化することができ、排気ガスのレベルに応じて機能範囲を拡大できるようにブラケットおよび冷却ライン無しでクランクケース内の排気ガス再循環および冷却回路システムに直接接続される。
E-機械12(マイルドハイブリッドシステム、System Mild Hybrid)はヘビーデューティ用に設計され、防塵保護されている。この電気-機械12を直接接続するためのアダプタユニット13(SAE-エリア)がクランクケースの中心に配置される。高電圧変換器(Hochvolt-Umrichter)15はフロントプレートにソフトにマウントされ、取付けられる。スタータ16はダスト保護仕様にしてもしなくてもよく、防水設計をしてもしなくてもよい。エンジンオイルクーラ17ーはクランクケースとに完全一体化され、冷却循環システムに直接流体接続されている。フロントプレート18はクランクケースの中心に配置され、それに直接結合されている。
電気機械20をファンベルトドライブのエリアでクランクケースの中心に直接接続するためにアダプタユニット19が配置されている。ヘビーデューティ用の設計ではこの電気機械20およびアダプタユニット19を防塵保護する。
【0023】
[
図1]は、
制御ユニット1がシリンダヘッドカバー23上にあり、シリンダヘッドカバー23に平行に配置されたハーネス通路22に接続されていることを示している。ディーゼル
高圧ポンプ3はシリンダヘッド2上に配置され、図示していない[
図4]に示すコモンレール21に基本的にリードレス(leitungslos)
で接続さ
れる。フィルターモジュール5はクランクケース4のサービス側に配置されている。いわゆる動力取出し装置(PTO)6はサービス側のディーゼル
高圧ポンプ3の下側かつ
アタッチメントギア7の上方に配置されている。
電動モータ8は
アタッチメントギア7上に配置され、この
アタッチメントギア7はフロントサイドホイールドライブ上に配置される。この電動モータ8を支持する支持ブラケット9
は油圧ポンプ24に当接している。オイルパン10はクランクケース4の下方に配置されている。
【0024】
[
図2]は[
図1]の内燃機関の排気側を示しており、シリンダヘッドカバー23またはシリンダヘッド2は排気ガスラインおよび排気ターボチャージャ(ATL)11とほぼ同じ高さの所にある。
電動モータ12は-アダプタユニット(SAE)13を介して内燃機関の端部に配置されている。排気ガス再循環(EGR)モジュール14は排気管および排気ガスターボチャージャ(ATL)11の下側かつ電動モータ/スタータモータ16およびエンジンオイルクーラ17の上方のほぼシリンダヘッド2の高さの所に配置されている。高電圧変換器15は、内燃機関の上記と反対側の
他方の端部
でアダプタユニット19および電動モータ20の上方で、電動モータ20にライン接続されている。クランクケースの
上記他方の端側には
フロントプレート(Frontplatte)18が配置されている。
【0025】
[
図3]は[
図1]および[
図2]に示した内燃機関の3つのエリア(領域)A、BおよびCを示し、エリアAは内燃機関の一方の端部領域を示し、エリアCは内燃機関の
上記他方の端部領域を示し、エリアBは電動モータ
8を含む内燃機関のサービス側の一部を示す。
[
図4]はコモンレール21に実質的にワイヤレス接続された
高圧ディーゼルポンプ3の構成を示している。開いたシリンダヘッドがクランクケース4の上側にあり、シリンダヘッドカバー23の下に配置されたワイヤハーネス22が示めされている。シリンダヘッドカバー23の下方では噴射装置25がシリンダヘッド23から突出している。内燃機関の燃料はコモンレール21を介して噴射装置25に供給される。
【符号の説明】
【0026】
1 制御ユニット
2 シリンダーヘッド
3 ディーゼル高圧ポンプ
4 クランクケース
5 フィルターモジュール
6 動力取出部(PTO)
7 アタッチメントギア
8 電動モータ
9 サポートブラケット
10 オイルパン
11 排気管および排気ターボチャージャ(ATL)
12 電動モータ
13 SAEアダプターユニット
14 EGRモジュール
15 高電圧変換器
16 電動モーター/スターター
17 エンジンオイルクーラー
18 フロントプレート
19 アダプターユニット
20 電動モータ
21 コモンレール
22 ワイヤハーネス
23 シリンダヘッドカバー
24 油圧ポンプ
25 噴射装置