(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-04
(45)【発行日】2022-08-15
(54)【発明の名称】分注される製品のためのパッケージング装置
(51)【国際特許分類】
B65D 47/34 20060101AFI20220805BHJP
【FI】
B65D47/34 110
(21)【出願番号】P 2017559924
(86)(22)【出願日】2016-02-09
(86)【国際出願番号】 FR2016050288
(87)【国際公開番号】W WO2016128670
(87)【国際公開日】2016-08-18
【審査請求日】2019-02-08
【審判番号】
【審判請求日】2021-01-06
(32)【優先日】2015-02-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】503331735
【氏名又は名称】ルイ ヴィトン マルティエ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】セリーヌ・デュポン
(72)【発明者】
【氏名】オレリー・スーラ
(72)【発明者】
【氏名】ベネディクト・ゴリー
(72)【発明者】
【氏名】デルフィーヌ・ビルボー
【合議体】
【審判長】間中 耕治
【審判官】内田 博之
【審判官】芦原 康裕
(56)【参考文献】
【文献】特開平4-349954(JP,A)
【文献】特表2006-502055(JP,A)
【文献】特表2012-511480(JP,A)
【文献】特表2006-502063(JP,A)
【文献】特表平10-503993(JP,A)
【文献】特開昭61-203363(JP,A)
【文献】特開2004-131176(JP,A)
【文献】米国特許第6527149(US,B1)
【文献】特開平9-501352(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 47/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分注される製品のためのパッケージング装置であって、
前記分注される製品を収容するのに適したボトル(2)であって、開口部の境界を定める内壁を備えるネック部(3)を有するボトル(2)と、
本体部(5)を備えるとともに前記製品を分注するのに適した分注装置(6)と、
前記分注装置(6)の前記本体部(5)を前記ボトル(2)の前記ネック部(3)に固定するための固定要素(31)であって、前記ボトルの前記ネック部(3)の前記内壁と協働する固定要素(31)と、
を備え、
前記固定要素(31)は、外壁(46)と内部中空シャフト(42;47)を形成する内壁(47)とを備える円筒状の二重壁部を備え、前記外壁及び前記内壁は、同軸であり、
前記分注装置(6)は、前記分注装置(6)の固定部材(40、41)を備え、前記固定部材(41)は、前記分注装置(6)と一体であり、前記固定要素(31)の前記内部中空シャフト(42;47)の周りに固定されており、
前記固定要素(31)は、径方向に突出するフランジ(33)を備え、前記フランジは、前記ネック部の端に設けられた肩部に面する下面(34)を備え、前記肩部は、前記ボトル(2)の前記ネック部(3)の内部に位置
し、
前記固定要素(31)は、前記ボトル(2)の前記ネック部(3)内に完全に収容される、パッケージング装置。
【請求項2】
前記内壁及び前記外壁は、前記内壁及び前記外壁と同軸であり下方に延在するシリンダー(36、49)と一体の共通端(48)を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記内部中空シャフト(42;47)は、前記固定部材(40、41)のための保持要素(43、80)を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記保持要素(43)は、実質的に前記内部中空シャフト(42)の周りに形成されたビードである、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記保持要素(80)は、前記内部中空シャフト(47)の軸の周りに均一に分布した径方向突出部により形成されている、請求項3に記載の装置。
【請求項6】
前記固定部材(40、41)は、前記内部中空シャフト(42;47)の周りに圧着されている、請求項1~5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記固定部材(40、41)は、前記分注装置(6)を前記内部中空シャフト(42)の周りに固定するための少なくとも一つの内部固定突出部を備える、請求項3~5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記少なくとも一つの内部固定突出部(10)は、放射状セクション(9)を有するリング(8)の内面上に形成されており、前記放射状セクション(9)を有する前記リング(8)は、前記固定部材(40、41)を構成するとともに前記分注装置(6)の前記本体部(5)の周りに固定される、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記固定要素は、前記分注装置(6)の前記本体部(5)のカバーを形成するシリンダー(36、49)を備え、前記シリンダー(36、49)は、前記ネック部(3)と同軸であり、前記本体部(5)を前記ネック部(3)に隠すことができる高さまで延在する、請求項1~8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記ネック部(3)は、ネック(3)高さを有し、前記シリンダー(36;49)は、前記ネック(3)高さ全体に沿って延在する、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記シリンダー(36;49)は、前記シリンダー(36;49)と前記ネック部(3)の前記内壁との間に空間が存在するような直径を有する、請求項9又は10に記載の装置。
【請求項12】
前記固定要素(31)は、径方向Oリング(45)を支持する、請求項1~11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記径方向Oリング(45)は、前記固定要素の周りにフィットされる、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記固定要素(31)は、前記径方向Oリング(45)が挿入される径方向の溝(44;52)を有する、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記フランジ(33)と前記ネック部(3)との間に配置されたフランジ封止部(55)をさらに備える、請求項1~14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記固定要素(31)を前記ネック部(3)に結合するように、接着剤が前記径方向Oリング(45)と前記フランジ封止部(55)との間に配置される、請求項12を引用する請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記ネック部(3)は、内面にスナップ式の溝(2a)を備え、前記固定要素(31)は、前記スナップ式の溝と係合するために、前記スナップ式の溝に面するクリップ(44)を備える、請求項1~16のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
前記スナップ式の溝は、レーザーにより前記ネック部に形成されている、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記分注装置(6)と前記固定要素(31)との間に圧入されたリング(59)をさらに備える、請求項1~18のいずれか一項に記載の装置。
【請求項20】
前記リングは、前記固定要素の前記外壁と前記内壁との間に配置される、請求項19に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分注される製品のためのパッケージング装置に関し、特に分注装置(例えばポンプ)が備え付けられたネック部を有するボトルに関する。
【背景技術】
【0002】
このような分注される製品のためのパッケージング装置として、
分注される製品を収容するのに適したボトルであって、開口部の境界を定める内壁を備えるネック部を有するボトルと、
本体部を備えるとともに上記製品を分注するのに適した分注装置と、
を備えるものが知られている。
【0003】
分注装置の種類によって、またボトルのネック部の形状及び寸法によっては、分注装置の本体部をボトルのネック部に固定するための固定要素を設けることが必要となる場合がある。
【0004】
このために、固定要素は、ボトルのネック部の内壁と協働するように設計される。
【0005】
固定要素と連関する分注装置、特にポンプは、通常、力で固定要素へ挿入される「プラグ」タイプのポンプである。固定要素は、それ自体、ボトルのネック部へ挿入される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、「プラグ」タイプのポンプ以外の分注装置を備え、容器のネック部に当該分注装置を確実に固定する、代替的なパッケージング装置を提供することを目的とする。
【0007】
また、本発明は、審美的な理由により分注装置の本体部を隠すことを可能にするパッケージング装置を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的のために、本発明は、分注される製品を収容するのに適したボトルであって、開口部の境界を定める内壁を備えるネック部を有するボトルと、本体部を備えるとともに上記製品を分注するのに適した分注装置と、分注装置の本体部をボトルのネック部に固定するための固定要素と、を従来の形で備えるパッケージング装置を提案するものである。
【0009】
当該装置は、固定要素が外壁と内部中空シャフトを形成する内壁とを備える円筒状の二重壁部を備え、外壁及び内壁が同軸であり、分注装置が分注装置の固定部材を備え、固定部材が分注装置と一体であるとともに固定要素の内部中空シャフトの周りに固定される点で注目すべきものである。
【0010】
固定要素の内部の中空シャフトの存在により、分注装置の本体部と一体の固定部材を固定することが可能となる。この固定用中空シャフトは、圧入、圧着、又は螺合によりポンプの取付けを行うために香水ボトルで従来使用されている小さなネック部と実質的に同一の形状及び寸法を有し得る。従って、圧着式、圧入式、又は螺合式の分注装置は、これらのポンプの構造の修正を必要とすることなく、固定要素の内部中空シャフトに対して非常に簡単に取り付けられ得る。このようにして、本発明は、「プラグ」タイプのポンプとは異なるポンプの取付けを可能にする。
【0011】
さらに、このようにして実現される場合、ポンプ本体部が固定要素の中に隠れることで、分注装置の本体部が隠れ、ボトルに関する審美的な要請が満たされる。
【0012】
本発明はまた、以下の特徴を単独で又は組み合わせて含んでもよい。
- 内壁及び外壁は、内壁及び外壁と同軸であり下方に延在するシリンダーと一体の共通端を有する;
- 内部中空シャフトは、固定部材のための保持要素を有する;
- 保持要素は、実質的に中空シャフトの周りに形成されたビードである;
- 保持要素は、中空シャフトの軸の周りに均一に分布した径方向突出部により形成されている;
- 固定部材は、内部中空シャフトの周りに圧着されている;
- 固定部材は、分注装置を内部中空シャフトの周りに固定するための少なくとも一つの内部固定突出部を備える;
- 少なくとも一つの内部固定突出部は、放射状セクションを有するリングの内面上に形成されており、放射状セクションを有するリングは、固定部材を構成するとともに分注装置の本体部の周りに固定される;
- 固定要素は、分注装置の本体部のカバーを形成するシリンダーを備え、シリンダーは、ネック部と同軸であり、本体部をネック部に隠すことができる高さまで延在する;
- ネック部は、ネック高さを有し、シリンダーは、ネック高さ全体に沿って延在する;
- シリンダーは、シリンダーとネック部の内壁との間に空間が存在するような直径を有する;
- 固定要素は、径方向Oリングを支持する;
- 径方向Oリングは、固定要素の周りにフィットされる;
- 固定要素は、径方向Oリングが挿入される径方向の溝を有する;
- 固定要素は、径方向に突出するフランジを備え、フランジは、ネック部の端に設けられた肩部に面する下面を備える;
- 当該装置は、フランジとネック部との間に配置されたフランジ封止部をさらに備える;
- 固定要素をネック部に結合するように、接着剤が封止部とフランジ封止部との間に配置される;
- ネック部は、内面にスナップ式の溝を備え、固定要素は、スナップ式の溝と係合するために、スナップ式の溝に面するクリップを備える;
- スナップ式の溝は、レーザーによりネック部に形成されている;
- 当該装置は、分注装置と固定要素との間に圧入されたリングをさらに備える;
- リングは、固定要素の外壁と内壁との間に配置される。
【0013】
以下の説明では、図面を参照して、本発明について実施可能な程度に十分明確かつ完全に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る、部分的に示されたパッケージング装置、のネック部の断面概略図である。ネック部は、固定要素へ挿入された「圧入ポンプ」タイプの分注装置を備える。
【
図3】「圧入ポンプ」タイプの、分注装置の第1モデルの側面図である。
【
図4】「ポンプ圧着」タイプの、分注装置の第2モデルの側面図である。
【
図5】本発明の第2実施形態に係る、部分的に示されたパッケージング装置のネック部の断面概略図である。ネック部は、固定要素へ挿入された分注装置を備える。
【
図8】本発明の第2実施形態に係る、部分的に示されたパッケージング装置のネック部の別の例の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下の説明では、理解をより容易にするために、「下(lower)」、「上(upper)」、「底(bottom)」、「頂(top)」などの語が図面を参照して使用される。これらは、本発明の範囲を限定するものとして解釈すべきではない。
【0016】
加えて、一覧性を高めるために、同一の要素を指す参照符号は、それらの要素が異なる形状を有するものであっても、各図で維持される。
【0017】
図1は、本発明に係るパッケージング装置1の例示的な第1実施形態を示す。
【0018】
パッケージング装置1は、例えば透明又は半透明で、ガラスから成り、例えば香水などの流体製品又は液体製品を収容するのに適したリザーバを画定するガラス本体部から形成されたボトル2を備える。ボトルは、プラスチックやSurlyn(登録商標)などの別の材料から成るものであってもよい。
【0019】
ガラスボトル2は、ボトルに開口部を形成する一体型ネック部3を備える。
【0020】
ネック部3は、少なくとも一つの内側肩部4を有することにより、分注装置6の本体部5の固定要素31の一部の機能的な組立てを可能にする。
【0021】
分注装置6は、「ポンプ」タイプの装置である。ポンプ本体部5に加えて、分注装置6は、押しボタンにより形成されたヘッド部7と、ボトル2に収容された流体を引き出すのに適したディップチューブ15と、を備える。
【0022】
分注装置6の本体部5は、固定要素31へ挿入され、固定要素31自体はボトル2のネック部3へ挿入される。
【0023】
図2に示される固定要素31(フェルール又はカバーとも称される)は、鉛直軸Zに関して回転対称な部品で、略円筒状の形状であり、当該部品を、分注装置6のポンプ本体部5を受容するのに適したチャンネル32が横切っている。固定要素31の外径は、ボトル2のネック部3への挿入が可能な大きさとされる。
【0024】
固定要素31は、ボトル2のネック部3に分注装置6を固定することを可能にするだけでなく、分注装置6の本体部5を隠すことも可能にする。
【0025】
加えて、そのように配置されると、固定要素31は、ポンプによりカバーされたネック部が備え付けられた従来のボトルのようにネック部3の外面をカバーすることなく、ボトル2のネック部3内に完全に収容され得る。これにより、本発明に係る装置のボトル2のネック部3は本体部5を隠すための追加の部品を要しないので、審美性な利点が得られる。
【0026】
上部において、固定要素31は、二つの略平坦な上面及び下面34を有する、径方向に突出するフランジ33を形成する。フランジ33の機能は、フランジの内面34によって、容器のネック部3の端に形成された肩部4の内面に対して支持を行うことである。この目的のために、フランジの外径は、ネック部3の内径より大きい。
【0027】
従って、フランジ33は、固定要素31が容器のネック部3へ挿入される場合にストッパとして機能して、ネック部3において固定要素31の適切な位置付けが確実に行われる。
【0028】
フランジ33は、例えばボンディングにより、特にUVボンディングにより、肩部4に取り付けられる。フランジ33の取付けは別の方法で(例えば、ボトルが透明でない場合はホットメルト接着により)行われてもよいことが理解される。
【0029】
例示的な本実施形態では、固定要素31は、ポリプロピレンなどの剛性材料から成るものであり、固定要素31がネック部3への挿入に完全に適合されるように製造許容誤差が確実に低減される。しかしながら、固定要素31は、分注装置6に既に備え付けられている場合であっても、容器のネック部3への挿入のために僅かな変形又は圧縮が可能なように十分な可撓性を有する材料から成るものであってもよい。この材料は、可撓性を有するプラスチック又はゴムやシリコーンなどの変形可能材料であってよい。
【0030】
径方向に突出するフランジ33の下方で、固定要素31は、略一定の直径を有するか又は取り外しが容易なように僅かにテーパ付けられた、略円筒状のスカート36を有し、スカート36は、実質的にボトル2のネック部3の高さ全体に沿って延在する(
図1参照)。
【0031】
固定要素31は、ポンプタイプの分注装置6の挿入用に設計されたものである。
【0032】
二つの実施形態のポンプが
図3及び
図4に模式的に図示される。
【0033】
図3は、ポンプ本体部5に接続された押しボタン7を備える「圧入ポンプ」タイプの分注装置6を模式的に示す。ポンプ本体部5は、それ自体、ディップチューブ15に接続される。
【0034】
ポンプ本体部5は、ポンプ6の軸Z1の周りに均一に分布した放射状セクション9を有するリング8に固定される。
【0035】
リング8は、可撓性を有する材料から成るものであるので、放射状セクション9は、単にリング8に外圧を加えることにより、リング8の内側に向けて動かされ得る。放射状セクションの各々は、内側突出部10を備える。
【0036】
図3に示されたポンプ6のヘッド部はまた、ポンプの軸方向(
図3の上下方向)に可動である中空シリンダーにより形成された可動式スカート11を備える。放射状セクション9を有するリング8の方へ可動式スカート11を動かすことにより、放射状セクション9の各々に外圧が加わり、放射状セクション9が変形して、ポンプ6の軸Z1の方へ押しやられる。
【0037】
図4は、「圧着ポンプ6」タイプの、別の分注装置6を示す。
【0038】
図4に示されたポンプ6は、ポンプ本体部5に接続された押しボタン7を備え、ポンプ本体部5は、それ自体、ディップチューブ15に接続される。
【0039】
ポンプ本体部5はまた、略円筒状で下向きに(押しボタン7から離れる方向に)広がる同軸のスカート12と一体である。スカート12は、アルミニウムなどの変形可能材料から成る。スカート12は、「アルミニウムカラー」と称されることがある。このポンプは、圧着により(すなわち、変形可能スカート12がネック部上で変形することにより)ネック部に固定される。この変形により、不可逆的な取付けが行われる。
【0040】
別の実施形態(図示せず)によると、ポンプは、「スクリュー・オン・ポンプ」タイプのものであってもよい。
【0041】
図1及び
図5は、固定要素31に固定された圧入ポンプを示す。
【0042】
図1では、符号40で表され、ポンプ本体部5の周りで軸方向に延在するとともに内側肩部41(又は内側ビード)を有する円筒状スカートにより、可動式円筒状スカート11及び放射状セクション9を有するリング8が模式的に示されている。
【0043】
円筒状スカート40及びその内側肩部41は、分注装置6用の固定部材を構成し、この固定部材は、分注装置6の本体部と一体である。
【0044】
図3に示されたポンプでは、内側肩部41がリング8の放射状セクションの突出部10に対応する。
【0045】
図7は、以下でさらに示すように、別の固定要素31に圧入されるポンプ6の固定手段の拡大図を示す。
【0046】
図2では、固定要素31は、上端にビード43を備える同軸の内部中空シャフト42(
図2参照)を備え、中空シャフト42及びビード43は、その周りで分注装置6のスカート40が固定され得るような寸法であり、例えば外径は約13mmである。従って、中空シャフト42の寸法は、従来圧入ポンプ又は圧着ポンプとともに使用されている香水ボトルのネック部の寸法程度である。このため、固定要素31はアダプタの機能を果たし、直径が約10mm~15mmのネック部が想定されている従来のポンプを、ずっと大きな直径(例えば少なくとも2~3倍大きな直径)のネック部を有するボトルに取り付けることを可能にする。
【0047】
固定要素31とボトルのネック部3の壁部の内面との間で確実に良好な封止を行うために、固定要素31は、フランジ33の下方に形成された、Oリング封止部(
図1に示す)を受けるための径方向の溝44を有する。
【0048】
Oリング45は、径方向の溝44の深さより大きな断面を有するので、Oリング45が溝44へ挿入される場合、Oリング45の一部が固定要素31の表面から突出する。これにより、ネック部3の内面に接してOリング45が平らになり得ることにより、固定要素31とネック部3の内部との間で封止が形成される。
【0049】
位置の係止を行うとともに固定要素31をボトルのネック部3へ挿入した後に固定要素31のフランジ33を隠すために、平坦な係止リング38が設けられる(
図1)。
【0050】
平坦な係止リング38は、フランジ33を覆うことができ、また場合によっては、分注装置6の一部をフランジ33に固定するために当該分注装置6の一部を覆うことができる。平坦な係止リング38はまた、審美的な機能を果たす。
【0051】
図1に示す装置は、分注装置6をカバーして保護するために、又はポンプの不慮の作動を引き起こし得る想定されていない圧力が分注装置6に加わるのを避けるために、カバー60(又はキャップ)をさらに備える。
【0052】
なお、このようにして実現される本発明に係る装置では、固定要素31は、中空シャフト42の周りでネック部3の内部に(すなわち、ボトルのネック部3の内壁と中空シャフト42との間に)位置付けされる。
【0053】
【0054】
特に、別の実施形態の固定要素31に関する。
【0055】
固定要素31はまた、分注装置6を受けるとともに当該分注装置6を隠すことを可能にする。
【0056】
しかしながら、固定要素31は、容器のネック部の端の高さレベルに対して、分注装置6の押しボタン7を、
図1に示す押しボタン7より低い高さレベルに配置することを可能にする。
【0057】
これを実現するために、
図5及び
図6に示される固定要素31は、外壁46及び内壁47(内壁47の機能は、
図1及び
図2の例における中空シャフト42の機能に対応する)を備える円筒状の二重壁部を有し、二つの壁部46、47は同軸である。二つの壁部46、47は、共通端48(
図5における各壁部46、47の下端)で合流し、共通端48は、下方に延在する同軸のシリンダー49と一体である。
【0058】
内壁47は、固定要素31の軸Zの周りに均一に分布した径方向外側突出部80を有する。径方向突出部は、内壁47の頂部の一部のみに延在し、分注装置6のスカート40の突出要素41を保持する当接部を形成する突出要素を構成する。
【0059】
シリンダー49は、二つの壁部46、47をその端部で互いに接続しており、端部48の近くに設けられたOリング45(
図5に示す)を受けるのに適した径方向の外側環状溝52を有することにより、アセンブリを確実に流体密封式とする。
【0060】
分注装置6の本体部5は、内壁47により画定される中央開口部50への挿入に適する。内壁47と外壁46との間の空間51は、実質的にスカート11の高さhに沿って、圧入ポンプ6の外側スカート11を収納することができる。
【0061】
このようにして、二つの壁部(外壁46及び内壁47)の間の空間51により、圧入ポンプ6の本体部5を固定要素31へさらに挿入することができ、固定要素31/分注装置6(本実施形態では圧入ポンプ)のアセンブリの全高は、
図1及び
図2に示す固定要素31により得られる全高より小さい。
【0062】
従って、分注装置6の押しボタン7をカバーするキャップ60を短くすることができ、より少ない材料で形成することができる(これにより、より経済的に製造することができる)。
【0063】
図8は、本発明の第2実施形態に係るパッケージング装置1の別の例を示す。すなわち、第2実施形態に係るパッケージング装置1は、ネック部の上端の上方に突出しない中空シャフト42を有する。
【0064】
従って、本例は、
図5の例と同様の構成を有する。特に、固定要素31は、分注装置6を受けるとともに分注装置6を隠し、押しボタン7を上記例及び上記実施形態より低い高さレベルに位置付けする。
【0065】
固定要素31は、
図8においてネック部3に据え付けられるとともに、円筒状の二重壁部を備え、当該二重壁部は、外壁46及び中空シャフト42を形成する内壁47を備え、当該二つの壁部46、47は同軸であり、共通下端48により接合されている。この共通端48は、下方に延在して分注装置6をネック部に隠すシリンダー49と一体である。分注装置は、例えば、
図5の例として説明されたような固定要素31に据え付けられた圧入ポンプ6である。
【0066】
キャップ60は、押しボタン7をカバーすることにより当該押しボタン7を保護し、また高さが低減され得る。従って、使用する材料が少なくなり得る。
【0067】
図8は、以下で詳述する、上述の実施形態及び例に適合され得る追加の構成を示す。
【0068】
外壁46とネック部3との間に配置されたOリング45に加えて、パッケージング装置1は、フランジ33とネック部の上端との間に配置されたフランジ封止部55をさらに備える。二つの封止部は、固定要素31とネック部3との間で二重の封止を形成する。封止部45、55は、例えばクロロブチルゴムやシリコーンなど、分注される製品と化学的適合性がある材料で形成され得る。このように、封止部45、55、固定要素31、及びネック部3の間に略環状の形状の空間53が存在する。この空間53は、ネック部に固定要素31をより良好に固定するために、接着剤を収容することができる。このため、封止部は、この接着剤を香水などの分注される製品から保護し、より良好な封止を確実に形成するとともに封止の耐久性を確実に向上させる。
【0069】
ボトル2のネック部3は、場合によっては、例えばネック部の上端の近くで、ネック部3の内面に形成されたスナップ式の溝2aを備える。この溝は、有利には、Oリング45とフランジ封止部55との間に配置される。このスナップ式の溝2aは、ボトル2のブランクの製造中に事前形成されてもよく、その後に機械加工により(例えばレーザーその他の手段を使用して)形成されてもよい。これと相互に(reciprocally)、固定装置31は、固定装置31がネック部3に据え付けられた場合に内側に延在することにより上記の溝と係合するように、当該固定装置の外面にわたって分布するとともにスナップ式の溝2aに面する少なくとも三つのクリップ44を備える。このスナップ式の溝2aとクリップ44との間の係合により、堅固な機械的係合が確実に行われる。このようにして、固定装置31とボトル2のネック部3との間の取付けが改善される。
【0070】
分注装置6のスカート11と固定装置31の外壁46との間に圧入することにより、リング59を追加することができ、これにより、外側に向いた径方向の応力が外壁46に加わる。これにより、Oリング45への径方向の圧縮力がより良好に保証され、封止性が向上する。これと相互に、内壁と外壁との間に配置されたこのリング59は、固定要素31に分注装置6をより良好に固定するために、内側に向いた径方向応力を加えることもできる。
【0071】
最後に、封止性をさらに向上させるために、コーナー封止部56が平坦な係止リング38と固定要素31との間に設けられてもよい。
図8の例の平坦な係止リング38は、固定要素31の内部で延在する円筒状部分を有し、この円筒状部分の周縁クリップにより固定要素31に取り付けられ、コーナー封止部56を圧縮することにより、より良好な封止性及びより固定された取付けを実現する。
【0072】
従って、
図1、
図5、及び
図8に図示された二つの実施形態は、固定要素31の内壁47により形成された中空シャフト42が、フランジ33(Z軸に沿ってネック部の端の高さレベルを越えて上方に延在する)を越えて突出するように固定要素31を設計してもよく、突出しないように固定要素31を設計してもよいことを示す。中空シャフトへの圧入は簡単なので、圧入ポンプは両実施形態で使用され得る。しかしながら、圧着ポンプを使用するためには、中空シャフトがフランジを越えて突出する第1実施形態が好ましい。これは、金属カラーの圧着に利用可能な空間が第2実施形態より大きいためである。しかしながら、直径の大きなネック部を有するボトルの場合、中空シャフトの周りに十分な自由空間が存在する限り、第2実施形態において圧着ポンプを使用することも可能である。
【0073】
なお、上述の実施形態においては、ボトル及びネック部はガラスから成るものであるが、その他の材料(特にプラスチック)を使用する場合もまた本発明の範囲に含まれる。
【0074】
例えば、ボトルは、不透明材料から成るものであってもよい。
【0075】
固定要素31が形成される材料についても同様である。固定要素31は、例えば、少なくとも部分的に金属から成るものであってもよい。
【0076】
最後に、Oリング封止部は、必ずしも固定要素にフィットされずとも、二重注入により作成され得る。
【符号の説明】
【0077】
1 パッケージング装置
2 ボトル
2a 溝
3 ネック部
4 肩部
5 ポンプ本体部
6 ポンプ(分注装置)
7 押しボタン(ヘッド部)
8 リング
9 放射状セクション
10 突出部
11 スカート
12 スカート
15 ディップチューブ
31 固定要素
32 チャンネル
33 フランジ
34 下面
36 スカート、シリンダー
38 係止リング
40 円筒状スカート(固定部材)
41 内側肩部(固定部材)
42 内部中空シャフト
43 ビード(保持要素)
44 クリップ
45 Oリング(封止部)
46 外壁
47 内壁(内部中空シャフト)
48 共通端
49 シリンダー
50 中央開口部
51、53 空間
52 外側環状溝
55 フランジ封止部
56 コーナー封止部
59 リング
60 カバー、キャップ
80 径方向外側突出部(保持要素)