(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-04
(45)【発行日】2022-08-15
(54)【発明の名称】レンズアレイおよび照明器具
(51)【国際特許分類】
G02B 3/00 20060101AFI20220805BHJP
G02B 3/08 20060101ALI20220805BHJP
F21S 8/04 20060101ALI20220805BHJP
F21V 5/00 20180101ALI20220805BHJP
F21V 5/04 20060101ALI20220805BHJP
F21V 17/00 20060101ALI20220805BHJP
F21V 3/00 20150101ALI20220805BHJP
F21V 29/70 20150101ALI20220805BHJP
F21V 29/503 20150101ALI20220805BHJP
H01L 33/00 20100101ALI20220805BHJP
【FI】
G02B3/00 A
G02B3/08
F21S8/04 130
F21V5/00 510
F21V5/04 500
F21V17/00 200
F21V3/00 510
F21V29/70
F21V29/503
H01L33/00 H
H01L33/00 L
(21)【出願番号】P 2018015049
(22)【出願日】2018-01-31
【審査請求日】2020-11-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390014546
【氏名又は名称】三菱電機照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】奥村 振一郎
(72)【発明者】
【氏名】伴 和生
【審査官】吉川 陽吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-137890(JP,A)
【文献】特開2002-043629(JP,A)
【文献】特開2014-086232(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 3/00
G02B 3/08
F21S 8/04
F21V 5/00
F21V 5/04
F21V 17/00
F21V 3/00
F21V 29/70
F21V 29/503
H01L 33/00
F21Y 105/10
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のLED素子から発せられる光の配光を制御するレンズアレイであって、
該レンズアレイは、前記LED素子に一対一に対応して、前記LED素子が発する光の配光を制御する複数のレンズを有し、
前記レンズは、前記光を全反射する全反射面が設けられた側面部反射面を有する側面部と、
照射側に設けられ、レンズ内部を通過した光を、前記光の光軸方向に屈折させる凹部側壁を有する凹部と、
レンズ中央部となる前記凹部の底部に、前記レンズ中央部を通過した光を屈折させる凸部とを備え、
前記照射側にある前記凸部の側壁は、複数の面に分割されて構成されているレンズアレイ。
【請求項2】
前記光の光軸の向きに切断したときの前記側面部反射面の全範囲における径は、前記凸部の径よりも大きい径である請求項1
に記載のレンズアレイ。
【請求項3】
前記側面部反射面は、複数の面に分割されて構成される請求項1
または請求項2に記載のレンズアレイ。
【請求項4】
入光側のレンズ中央部に、丸型凸状のマイクロレンズを複数有するマイクロレンズ部をさらに備える請求項1~請求項
3のいずれか一項に記載のレンズアレイ。
【請求項5】
前記凸部の径は、
前記マイクロレンズ部よりも大きい径である請求項
4に記載のレンズアレイ。
【請求項6】
前記側面部は、前記光の光軸の向きに切断したときの側面部入光面の壁面が、S字カーブ形状を有する請求項1~請求項5のいずれか一項に記載のレンズアレイ。
【請求項7】
LED素子を有する表面実装型のLEDパッケージが、複数、基板上に実装されたLEDモジュールと、
前記LEDモジュールの前記LEDパッケージから発せられる光を配光制御する請求項1~請求項6のいずれか一項に記載のレンズアレイと
を備える照明器具。
【請求項8】
前記LEDモジュールが有する前記LEDパッケージおよび前記レンズアレイが有する前記レンズが、それぞれ四方配列されている請求項7に記載の照明器具。
【請求項9】
前記LEDモジュールが有する前記LEDパッケージおよび前記レンズアレイが有する前記レンズが、それぞれ六方配列されている請求項7に記載の照明器具。
【請求項10】
放熱を行うヒートシンクをさらに有し、
前記レンズアレイと前記LEDモジュールとは、前記ヒートシンクに、ネジで共締めされている請求項7~請求項9のいずれか一項に記載の照明器具。
【請求項11】
前記レンズアレイは、ボスを有する請求項7~請求項10のいずれか一項に記載の照明器具。
【請求項12】
前記レンズアレイと前記LEDモジュールとを保護する保護カバーをさらに備える請求項7~請求項11のいずれか一項に記載の照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、レンズアレイおよび照明器具に関するものである。特に、レンズによる配光制御を行う照明器具に係るものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、工場、倉庫、体育館などの施設は、天井が高い。このような高い天井に取り付けられるまたは天井から吊り下げられる照明器具がある(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
高い天井の施設に取り付けられる照明器具は、高い位置からでも明るく照らせるように大光量が必要となる一方で、低消費電力化および小型軽量化に対する要求が高い。ここで、効率のよい照射を行うことができるように、天井高さに合わせて、レンズなどを用いて、ビームを絞る配光制御などが行われる。
一般に、LEDでは、低電流・低温で使う方が発光効率が高いが、高い天井に取り付けられる器具のように大光量が必要な場合には、構造の単純化や小型化の要求から、大出力のLEDを少数配置することが多い(たとえば、特許文献1参照)。
一方、LEDを低電流で使用すると発光効率は高くなるが、大光量を得るには多数個配置することが必要になり、それぞれのLEDに組み合わされるレンズなどの光学系も含めると、構造が複雑で大型化してしまうという問題があった。
【0005】
この発明は、上記のような課題を解決するため、多数個配置されたLEDに対して、大型化することなく、高い光学系効率の配光制御を行うことができるレンズアレイおよび効率の良い照明器具を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、この発明に係るレンズアレイは、複数のLED素子から発せられる光の配光を制御するレンズアレイであって、レンズアレイは、LED素子に一対一に対応して、LED素子が発する光の配光を制御する複数のレンズを有し、レンズは、光を全反射する全反射面が設けられた側面部反射面を有する側面部と、照射側に設けられ、レンズ内部を通過した光を、光の光軸方向に屈折させる凹部側壁を有する凹部と、レンズ中央部となる凹部の底部に、レンズ中央部を通過した光を屈折させる凸部とを備え、照射側にある凸部の側壁は、複数の面に分割されて構成されているものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明のレンズアレイによれば、各レンズにおいて、側面部と、凹部とを備えることで、レンズ径を大きくすることなく、効率良く配光を絞ることができる。このため、LED素子およびレンズを密に多数個実装することができ、照明器具の効率をよくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】この発明の実施の形態1に係る照明器具100を示す分解斜視図である。
【
図2】この発明の実施の形態1に係るレンズアレイ20の外観を示す図である。
【
図3】この発明の実施の形態1に係るレンズアレイ20が有するレンズ21の単体における外観を示す図である。
【
図4】この発明の実施の形態1に係るレンズ21を上下方向に切断した断面を示す図である。
【
図5】この発明の実施の形態1に係るレンズ21を通過する光の光路について説明する図である。
【
図6】この発明の実施の形態1に係る照明器具100の配光曲線を示す図である。
【
図7】この発明の実施の形態1に係る色ムラなどの比較を示す図である。
【
図8】この発明の実施の形態2に係る照明器具100におけるLEDモジュール10のLEDパッケージ11およびレンズアレイ20のレンズ21の配置について説明する図である。
【
図9】この発明の実施の形態3に係るLEDモジュール10とレンズアレイ20との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、発明の実施の形態に係る照明器具について、図面などを参照しながら説明する。以下の図面において、同一の符号を付したものは、同一またはこれに相当するものであり、以下に記載する実施の形態の全文において共通することとする。そして、明細書全文に表わされている構成要素の形態は、あくまでも例示であって、明細書に記載された形態に限定するものではない。特に構成要素の組み合わせは、各実施の形態における組み合わせのみに限定するものではなく、他の実施の形態に記載した構成要素を別の実施の形態に適用することができる。また、以下の説明において、基本的には、天井側を「上側」とし、床側を「下側」として説明する。そして、図面において、各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。
【0010】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係る照明器具100を示す分解斜視図である。実施の形態1の照明器具100は、LEDモジュール10、レンズアレイ20、ヒートシンク30および保護カバー40を備えている。上側から照射(出射)方向となる下側への上下方向(縦方向)に対し、ヒートシンク30、LEDモジュール10、レンズアレイ20、保護カバー40の順に配設される。
【0011】
LEDモジュール10は、LED(Light Emitting Diode)素子を有する複数のLEDパッケージ11が略長方形の基板12に配置されている。実施の形態1のLEDパッケージ11は、SMD(Surface Mounted Device)タイプ(表面実装型)であるものとする。また、実施の形態1のLEDパッケージ11が有するLED素子は、白色光を発する白色LED素子であるものとする。LEDパッケージ11が配置された方の面が発光面となる。発光面は下側を向くこととなる。
【0012】
レンズアレイ20は、LEDモジュール10のLEDパッケージ11から発せられた光を配光制御する複数のレンズ21を有している。レンズアレイ20は、LEDモジュール10を発光面側から覆っている。レンズアレイ20については、後に詳述する。ヒートシンク30は、LEDモジュール10から吸熱して放熱させる。ヒートシンク30は、LEDモジュール10の発光面とは反対側の面でLEDモジュール10と接触している。また、ヒートシンク30は、レンズアレイ20とは、レンズアレイ20の枠部分で取り付けられ、接触している。保護カバー40は、レンズアレイ20、LEDモジュール10などを保護する。保護カバー40は、LEDモジュール10が発した光を透過させて床面に向けて照射する透明のカバーである。保護カバー40は、レンズアレイ20を覆って、ヒートシンク30に取り付けられる。
【0013】
LEDの一般的な特性として、LEDパッケージに流れる電流またはLED素子の温度が低くなると、LEDパッケージ自体の発光効率(lm/W)が高くなる。所要の光量を得るのに、多くのLEDパッケージを実装した方が、一粒のLEDパッケージあたりに流れる電流を減らすことができ、かつ、熱の集中を抑えることができる。したがって、大型のLEDパッケージに大電流を流して発光させるよりも、小粒なLEDパッケージを数多く基板上に実装した方が、同等の発光量(光束)を得ながら、発光効率(lm/W)を高くすることができる。
【0014】
また、レンズを用いて、LEDパッケージの配光を制御する場合、一粒のLEDパッケージに、1つのレンズを対応させるとよい。各LEDパッケージから発せられる全方位の光を、対応するレンズにより配光制御することで、光学系効率(光取り出し効率)をよくすることができる。
【0015】
以上より、実施の形態1の照明器具100においては、レンズ21を用いて、効率よく配光制御を行うために、1つのレンズ21と一粒のLEDパッケージ11とを、一対一で対応させる。
また、後述するレンズ21における側面部24と凹部25により、配光を絞りながらもレンズ21の径をできるだけ小さくすることで、LEDモジュール10を大型化することなく、多くのLEDパッケージ11を並べられるようにする。
【0016】
図2は、この発明の実施の形態1に係るレンズアレイ20の外観を示す図である。
図2(a)は、保護カバー40との対向面における外観を示す図である。また、
図2(b)は、LEDモジュール10との対向面における外観を示す図である。レンズアレイ20は、前述したように、複数のレンズ21を有している。実施の形態1のレンズアレイ20は、複数のレンズ21を一体成形した一体成形品である。そして、前述したように、一粒のLEDパッケージ11に、レンズアレイ20の1つのレンズ21が一対一で対応している。
【0017】
図3は、この発明の実施の形態1に係るレンズアレイ20が有するレンズ21の単体における外観を示す図である。
図3(a)は、LEDモジュール10と対向する入光(入射)側から、レンズ21を見た図である。また、
図3(b)は、保護カバー40と対向する照射(出射)側から、レンズ21を見た図である。さらに、
図3(c)は、入光側を中心にレンズ21を見た斜視図である。そして、
図3(d)は、照射側を中心にレンズ21を見た斜視図である。
【0018】
また、
図4は、この発明の実施の形態1に係るレンズ21を上下方向に切断した断面を示す図である。さらに、
図5は、この発明の実施の形態1に係るレンズ21を通過する光の光路について説明する図である。そして、
図6は、この発明の実施の形態1に係る照明器具100の配光曲線を示す図である。
【0019】
レンズアレイ20の各レンズ21は、主として、LEDパッケージ11が発する光を透過させる透明な部材を有している。
図5に示すように、LEDパッケージ11から出射し、レンズ21に入光する光の中で、光軸から離れた方向に向かう光(
図5(a)の光202および光201a)は、ドーム状の側面部24に入射する。側面部24は、ドーム頂部が開口しており、内部には空間が形成されている。特に限定するものではないが、実施の形態1の照明器具100では、LEDパッケージ11の凸状部分を、開口した頂部よりも下側の空間内に位置させる。LEDパッケージ11の発光部分となる凸状部分を側面部24で囲むことで、側面部24は、半球方向に広がる光を効率よく取り込むことができる。側面部24の大きさなどについては、特に限定するものではないが、たとえば、後述するように、全反射面において反射させる光の角度などによって設定する。
【0020】
ここで、実施の形態1の照明器具100では、
図4に示すように、側面部24の側面部入光面24Aの壁面断面形状を、S字カーブ形状とする。側面部入光面24Aの断面形状をS字カーブ形状にして、マイクロレンズ部27がある中央入光面を設定された範囲にしつつ、頂部の開口を広げることにより、側面部24とLEDパッケージ11との距離を長くとることができる。このため、レンズ21が、LEDパッケージ11に接触しないように、余裕を持たせることができる。前述したように、LEDパッケージ11の発光部分が、側面部24の入光側の空間に入り込む位置に配置する場合には、特に有効である。
【0021】
図5により、側面部反射面24Bおよびこれと関係して機能する凹部25の役割について説明する。側面部24において、側面部反射面24Bの内側は、側面部入光面24Aを介して、レンズ21内を通過する光軸から離れた方向の光を全反射する全反射面となっている。
【0022】
側面部反射面24Bの出射側の径を大きくとれば、光201cを光軸方向に反射して配光を絞りやすいが、レンズ21が大型化してしまう(
図5(c))。また、側面部反射面24Bの出射側の径を小さくとれば、光201bが光軸から離れた方向に反射して配光が絞れない(
図5(b))。
【0023】
そこで、側面部反射面24Bの出射側の径を小さくしながらも、凹部25を設ける。これにより側面部反射面24Bで反射した光は、凹部側壁25Aで光軸方向寄りに屈折して出射する(
図5(a)の光201a)ため、配光を絞ると同時に、レンズ径を小さくすることができる。
【0024】
以上のように、LEDパッケージ11から発せられる光のうち、出射方向の中心となる光軸を0°としたときに、光軸から離れた方向に出射される光は、全反射面である側面部反射面24Bと凹部25によって、光軸方向側に向かって光路を制御される。そして、
図6に示すように、約45°以上の光が抑えられ、光軸方向に光が集中する配光が得られる。
【0025】
実施の形態1のレンズ21は、さらに、凹部25の底部となるレンズ中央部に、凸部26を設けている。
図5(a)に示すように、凸部26は、レンズ中央部を通過した光を屈折させ、光がレンズ21に再入射することを減らし、光軸方向に出射させる(
図5(a)の光203)。このため、光学系効率がよくなり、またよりビームを絞ることができる。照射側のレンズ中央部にある凸部26の径は、後述するマイクロレンズ部27が設置される入光側のレンズ中央部における径よりも大きくする。また、前述した全反射面となる側面部反射面24Bの内側における径は、凸部26の径よりもよりも大きい径で構成する。以上のような径の関係で、側面部24および凸部26の大きさを規定すると、光学系効率を高くすることができる。
【0026】
また、実施の形態1の照明器具100のレンズ21においては、入光側のレンズ中央部に、複数の丸型凸状のマイクロレンズ27Aを有するマイクロレンズ部27を有している。マイクロレンズ27Aは、入光側に形成されている(
図3(a)、
図4)。
【0027】
また、実施の形態1において、前述した側面部反射面24Bおよび凸部26の側壁は、複数の面に分割されて構成されているものとする(
図3)。側面部反射面24Bの内側の全反射面については、縦方向(上下方向)および周方向にそれぞれ複数分割される。複数の面に分割することで、以下に示すような、照明器具100の照射光の質を高めることができる。
【0028】
たとえば、一般的な白色光を発するLEDパッケージは、LED素子が発光した青色の光と、青色の光を励起光として蛍光体が発する黄色主体の光との混光により得られた白色の光を発する。青色光が蛍光体層を通過する距離の違いにより、方向によって、青色または黄色に偏った色の光となる傾向がある。レンズなどでこの白色LEDの光の制御を行う場合には、方向による光源の色の偏りが照射面にも影響を及ぼすことがある。従来は、レンズの出射面を粗面にして、光を拡散することで、色が偏らないようにしていた。これは、簡便な方法ではあるが、光を拡散させるため、配光形状がくずれたり、まぶしさを生じるという欠点があった。
【0029】
実施の形態1の照明器具100においては、側面部反射面24Bおよび凸部26の側壁を複数の面で構成する。また、入光側のレンズ中央部には、複数のマイクロレンズ27Aを有するマイクロレンズ部27を構成する。このような構成を有することで、配光形状と効率への影響を抑えながら、適度に光を混合して色ムラを抑制する。ここで、いずれか一方の構成としてもよい。
【0030】
図7は、この発明の実施の形態1に係る色ムラなどの比較を示す図である。
図7(a)は、実施の形態1のレンズ21を通過させて出射された光を表している。また、
図7(b)は、実施の形態1のレンズ21におけるマイクロレンズ部27、側面部反射面24Bおよび凸部26の側壁の複数面構成を施さない場合に出射された光を表している。
図7に示すように、LEDパッケージ11から発せられた光を、レンズ21を通過させて照射することで、色ムラを抑制することができる。また照射されてしまうLEDチップイメージの投影像が緩和され、自然な円形の光が照射されることがわかる。
【0031】
ここで、実施の形態1の照明器具100においては、LEDモジュール10上において、複数のLEDパッケージ11が四方配列されているものとする。このため、レンズアレイ20中のレンズ21も四方配列される。このとき、
図3などに示すように、レンズ21の側面部反射面24Bにおける全反射面の縦方向の分割数を4の倍数とすることで、隣のレンズ21との距離を最も近づけることができる。このため、より密にLEDパッケージ11のLED素子を配列することができる。実施の形態1では、
図3に示すように、16分割している。
【0032】
実施の形態1では、最適例として縦方向の分割数を4の倍数としているが、これに限るものではない。光学系効率が許容される範囲で、LEDパッケージ11同士の距離および配列、レンズ21同士の距離および配列などに応じて変更してもよい。
【0033】
以上のように、実施の形態1の照明器具100では、レンズアレイ20の各レンズ21において、全反射面が設けられた側面部反射面24Bを有する側面部24と、光を光軸寄りに屈折させる凹部25を備える。このため、光の広がりを抑えながら、レンズ径を小さくすることができる。そして、LEDパッケージ11およびレンズ21を密に実装することができ、同面積により多数のLEDを実装することで、照明器具100の効率をよくすることができる。
また、レンズ21において、レンズ中央部分に凸部26を備えることで、レンズ中央部を通過した光を屈折させて、光がレンズ21内に再入射することを減らすことができる。このため、光学系効率がよくなり、よりビームを絞ることができる。
そして、マイクロレンズ27Aを設け、側面部反射面24Bおよび凸部26の側壁を複数の面で構成することで、色ムラなどを抑えることができる。
【0034】
また、実施の形態1の照明器具100は、透明な保護カバー40をヒートシンク30に取り付け、LEDモジュール10とレンズアレイ20を覆うようにした。このため、照明器具100にボールが当たるなど、外部からの衝撃によって、レンズアレイ20(レンズ21)がずれないようにする。したがって、LEDパッケージ11(LEDモジュール10)が破損してしまうことなどを防止することができる。そして、LEDパッケージ11が点灯しないなどの不具合が生じないようにする。
【0035】
実施の形態2.
図8は、この発明の実施の形態2に係る照明器具100におけるレンズアレイ20のレンズ21の配置について説明する図である。実施の形態1においては、LEDモジュール10のLEDパッケージ11およびレンズアレイ20のレンズ21が四方配列されているものとして説明した。
【0036】
実施の形態2の照明器具100では、
図8に示すように、レンズアレイ20のレンズ21が六方配列(ハニカム配列)されている。
図8は、レンズアレイ20の一部について示している。レンズ21が同心円または同心円に近い多面体状の場合、レンズ21を六方配列にすることで、レンズ21を最も密に並べることができる。したがって、より密にLED素子を配列することができる。図では示していないが、LEDモジュール10のLEDパッケージ11についても、レンズ21と同様の位置関係で六方配列している。
【0037】
また、レンズ21の側面部反射面24Bにおける全反射面の縦方向(上下方向)の分割数を6の倍数とすることで、隣のレンズ21との距離を最も近づけることができる。このため、より密にLEDパッケージ11のLED素子を配列することができる。
図8においては、12分割している。
【0038】
実施の形態3.
図9は、この発明の実施の形態3に係るLEDモジュール10とレンズアレイ20との関係を示す図である。
図9(a)は、レンズアレイ20の一部を拡大した図である。また、
図9(b)は、共締めについて説明する図である。前述の実施の形態1および実施の形態2では特に言及しなかったが、照明器具100において、レンズアレイ20は、ネジ穴29を有している。そして、レンズアレイ20とLEDモジュール10とは、ネジ穴29を介し、ネジ50によって、ヒートシンク30に共締めされている。共締めの構造とすることで、LEDモジュール10の各LEDパッケージ11と、レンズアレイ20の各レンズ21との位置ずれを少なくすることができる。
【0039】
また、
図9(a)に示すように、レンズアレイ20には、ボス28が設けられている。ボス28は、レンズアレイ20の反りを抑える。たとえば、レンズアレイ20がLEDモジュール10の基板12側に反って、ボス28が、基板12に当たる。このとき、ボス28がストッパとして機能し、レンズアレイ20の反りを抑えることができる。このため、LEDパッケージ11とレンズ21との位置ずれを少なくし、LEDパッケージ11とレンズ21との接触をなくすことができる。
【符号の説明】
【0040】
10 LEDモジュール、11 LEDパッケージ、12 基板、20 レンズアレイ、21 レンズ、24 側面部、24A 側面部入光面、24B 側面部反射面、25 凹部、25A 凹部側壁、26 凸部、27 マイクロレンズ部、27A マイクロレンズ、28 ボス、29 ネジ穴、30 ヒートシンク、40 保護カバー、50 ネジ、100 照明器具、201a,201b,201c,202,203 光。