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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-04
(45)【発行日】2022-08-15
(54)【発明の名称】立体駐車場
(51)【国際特許分類】
   E04H 6/14 20060101AFI20220805BHJP
   E04H 6/26 20060101ALI20220805BHJP
【FI】
E04H6/14 604V
E04H6/26
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018039499
(22)【出願日】2018-03-06
(65)【公開番号】P2019152067
(43)【公開日】2019-09-12
【審査請求日】2020-12-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000198307
【氏名又は名称】株式会社IHI建材工業
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100167553
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 久典
(74)【代理人】
【識別番号】100188891
【弁理士】
【氏名又は名称】丹野 拓人
(72)【発明者】
【氏名】若林 正憲
(72)【発明者】
【氏名】金子 研一
【審査官】齋藤 卓司
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-311910(JP,A)
【文献】特開昭63-236868(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 6/14
E04H 6/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車を駐車させる揺動可能なパレットを無端状に配列して走行可能なコンベアを備えており、
前記コンベアは、
上下方向に螺旋状に湾曲して配設された第一螺旋駐車床部と、
上下方向に螺旋状に湾曲して配設された第二螺旋駐車床部と、
前記第一螺旋駐車床部の下端部と前記第二螺旋駐車床部の下端部を連結する第一連結駐車床部と、
前記第一螺旋駐車床部の上端部と前記第二螺旋駐車床部の上端部を連結する第二連結駐車床部とを備え、
前記第一連結駐車床部または第二連結駐車床部で車を出し入れ可能とし、
前記第一連結駐車床部及び第二連結駐車床部の一方には、車を前記パレットに入庫可能な入庫スペースと、前記パレットに搭載された車を出庫可能な出庫スペースとを有しており、
前記入庫スペースと前記出庫スペースとは、前記第一連結駐車床部及び第二連結駐車床部の一方を挟んで反対側にそれぞれ設置されており、
前記入庫スペースは、前記第一連結駐車床部及び第二連結駐車床部の一方に配置される前記パレットのうちの所定数の第1パレットに対向して設置され、
前記出庫スペースは、前記第一連結駐車床部及び第二連結駐車床部の一方に配置される前記パレットのうちの前記第1パレットに続く所定数の第2パレットに対向して設置される、
ことを特徴とする立体駐車場。
【請求項2】
前記第一連結駐車床部は地盤面に設置され、交差することなく前記第一螺旋駐車床部の下端部と前記第二螺旋駐車床部の下端部とに連結されている請求項1に記載された立体駐車場。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、狭い土地空間でも複数台の車の駐車が可能で入庫と出庫を効率的に行える機械式駐車施設としての立体駐車場に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、都市部では少ない用地を有効利用するために立体駐車場が多く設置されている。例えば、立体駐車場として特許文献1及び2に記載されたものが提案されている。特許文献1に記載された地下駐車場は、地盤中に形成されたU字型トンネル内部と地上部を連結したメリーゴーランド式駐車場システムが環状に配置されている。
トンネル地上部に設けた2か所の上部開口部に車の出入り口が設けられている。車はメリーゴーランド式駐車場システムのいずれか一方の開口部から入庫され、他方の開口部から出庫される。
【0003】
また、特許文献2に記載の立体駐車場は、車を上下方向に運搬可能なエレベータと、エレベータの周囲にエレベータを包囲するように下り勾配で螺旋状に配設された螺旋床と、螺旋床上に支持されていて上部に車を搭載する運搬台車とを有している。入庫時には車はエレベータで所定の階層に搬送され、螺旋床に設けた台車上に搭載される。車を搭載した台車は車輪によってガイドレールに沿って螺旋床の傾斜面に沿って下降していき、前の台車の最後尾でフック等に停止させられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平5-311909号公報
【文献】特開平5-10045号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された立体駐車場は、メリーゴーランド式駐車場システムの施工時に前後方向と上下方向にスペースが必要であり、専有スペースが大きくなる上に施工が面倒であった。しかも入庫時にメリーゴーランド式駐車場装置の空いている駐車床に入庫するため入庫作業に時間がかかるという問題があった。
また、特許文献2に記載された立体駐車場では、エレベータと下り傾斜の螺旋床と台車を設置する必要があった。そのため、エレベータの設置コストがかかるという問題がある。しかも、入庫した車は螺旋床に沿って入庫順に車を詰めて配列しており、台車の下面に車輪を出し入れ可能に設けてジャッキとセンサーで車輪の出入りと方向の変更をしなければならず、入庫後の車の移動作業が煩雑であった。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであって、メリーゴーランド式駐車場装置を設置しないため施工コストが低廉でスペースが小さくて済み、しかも入出庫作業が簡単である上に、エレベータを設置することなく構築できる立体駐車場を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による立体駐車場は、車を駐車させる揺動可能なパレットを無端状に配列して走行可能なコンベアを備えており、コンベアは、上下方向に螺旋状に湾曲して配設された第一螺旋駐車床部と、上下方向に螺旋状に湾曲して配設された第二螺旋駐車床部と、第一螺旋駐車床部の下端部と第二螺旋駐車床部の下端部を連結する第一連結駐車床部と、第一螺旋駐車床部の上端部と第二螺旋駐車床部の上端部を連結する第二連結駐車床部とを備え、第一連結駐車床部または二連結駐車床部で車を出し入れ可能としたことを特徴とする。
本発明による立体駐車場では、上面に車を駐車可能で揺動可能なパレットを無端状に多数配列して走行可能なコンベアに、螺旋状の第一螺旋駐車床部と第二螺旋駐車床部とを対向配置して、正逆の走行方向に応じて一方が下り傾斜で他方が上り傾斜となる。これらを第一連結駐車床部と第二連結駐車床部とでそれぞれ連結することで、車を搭載したパレットや空きパレットを無端状に周回移動させることができる。しかも、第一連結駐車床部第または二連結駐車床部では空きパレットに車を搭載して入庫させ、搭載パレットから車を出庫させることができる。そのため、狭いスペースでも上下方向の空間を有効利用して多数の車を多層に駐車させることができる。
【0008】
また、第一連結駐車床部及び第二連結駐車床部の一方には、空きパレットに車を入庫可能な入庫スペースと、パレットに搭載された車を出庫可能な出庫スペースとを有していることが好ましい。
対向する第一螺旋駐車床部及び第二螺旋駐車床部でコンベアを螺旋状に旋回しながら上昇及び降下させ、第一連結駐車床部及び第二連結駐車床部の一方の領域で車を入庫させたり出庫させたりすることができる。
【0009】
また、第一連結駐車床部は地盤面に設置され、交差することなく第一螺旋駐車床部の下端部と第二螺旋駐車床部の下端部とに連結されていることが好ましい。
コンベアの走行時に、第一連結駐車床部は第一螺旋駐車床部や第二螺旋駐車床部と交差することなく接線方向の位置で連結されているため、コンベア上のパレットのねじれが少なく、パレットの揺動角度が小さくてすむため、パレットと搭載された車にかかる負荷が小さくパレットの搬送とパレットに対する車の入庫と出庫をスムーズに行える。
【発明の効果】
【0010】
本発明による立体駐車場によれば、コンベアは揺動可能なパレットを無端状に配列して螺旋状に走行可能であり、車を搭載したパレットが滑らかに螺旋運動するためパレット上の車が他のパレットや車に挟まれたり回転したりすることがない。
また、螺旋状でない第一連結駐車床部または第二連結駐車床部で車を入出庫可能としたため、パレットからの車の出庫と入庫がスムーズである。
【0011】
しかも、コンベアは右回転と左回転を切り換え可能であるため、出庫する車を搭載したパレットが出入り口に近い方の回転方向を選択できる。また、エレベータを設置する必要がなく、狭いスペースであってもパレットを螺旋状に重ねることで収容台数の多い立体駐車場を構築できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第一実施形態による立体駐車場の説明図である。
図2図1に示す立体駐車場のコンベアを構成する一部のパレットを示す図である。
図3図2に示すコンベアのA-A線縦断面図である。
図4】本発明の第二実施形態による立体駐車場の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の各実施形態による立体駐車場について図1図4を参照して説明する。
図1図3は本発明の第一実施形態による立体駐車場1を示す図である。
図1に示す第一実施形態による立体駐車場1における駐車床2は、上下方向に延びる一対の螺旋状部分を対向して配設した無端状のコンベア4を有している。このコンベア4は個別に車Aを搭載可能な所定長さの略円弧状板からなるパレット3を揺動可能に設置して多数枚配列して無端状に連続させて構成した。
この駐車床2のコンベア4は、上下方向に延びる一対の螺旋状の第一螺旋駐車床部6と第二螺旋駐車床部7とが対向して略対称に配設され、その両端部でそれぞれ互いに連結されて無端状に構成されている。
【0014】
コンベア4の第一螺旋駐車床部6は例えば上方から下方に向けて下り傾斜をなす例えば3段の螺旋状に積層して形成され、第二螺旋駐車床部7は下方から上方に向けて上り傾斜をなす3段の螺旋状に積層して形成されている。しかも、第一螺旋駐車床部6の下端部6aと第二螺旋駐車床部7の下端部7aを連結する略直線状の第一連結駐車床部8と、第一螺旋駐車床部6の上端部6bと第二螺旋駐車床部7の上端部7bを連結する略直線状の第二連結駐車床部9と、を備えている。
【0015】
コンベア4が螺旋状に旋回する第一螺旋駐車床部6と螺旋状に旋回する第二螺旋駐車床部20とは、コンベア4の螺旋状の旋回方向の向きが逆になっている。第一連結駐車床部8と第二連結駐車床部9は例えばそれぞれ平面状で互いに略平行になっている。第一連結駐車床部8は入出庫のために下端部の地上階に設置され、第二連結駐車床部9は第一螺旋駐車床部6及び第二螺旋駐車床部7の上端部に設置されている。
【0016】
図2及び図3は、コンベア4の部分構成を示す拡大図である。
図2に示すように、コンベア4を構成する各パレット3は前後方向に対向する二面が略同一径の円弧状に湾曲した凸部3aと凹部3bからなる平板の板で形成されており、その上面に車Aが搭載可能な広さと強度を有している。パレット3には車Aの有無を検知するセンサーが設置されている。更に、パレット3には搭載された車Aのタイヤを固定するタイヤ止めが進退可能に設定されていてもよい。
なお、パレット3の平面視形状は略三日月形等でもよく、真円の一部が円弧状に欠けた形状等、車Aを搭載可能で揺動しても前後のパレット3との隙間が小さく維持される適宜の形状を採用できる。
【0017】
パレット3は中央の支軸12を中心に回転可能に支持され、前後のパレット3同士の凸部3aと凹部3bの間にわずかな隙間が形成されている。コンベア4は各パレット3が個別に支軸12を中心に回転可能とされ、前後のパレット3同士が互いに自由に揺動可能とされている。そのため、コンベア4が螺旋を描いて上下方向に旋回する際、前後のパレット3は前側の凹部3bが後側の凸部3aに沿って回転して自由に揺動することを許容している。これによって、コンベア4は定められた螺旋状の経路に沿って各パレット3が個々に揺動しつつ移動可能である。
【0018】
図3に示すように、コンベア4において支軸12を中心に回動可能に支持されたパレット3の列の下側にチェーン13が配列されている。チェーン13は各パレット3を回転可能に支持する支軸12によって、チェーン13の各上コマ15a及び下コマ15bが回転可能に支持されている。チェーン13は、前後の上コマ15a及び下コマ15bがそれぞれ一部重なった位置で支軸12が貫通して回転可能に支持されることで互いに連結されている。
【0019】
支軸12の外周面にカラー14が装着されている。カラー14の上端と下端は上コマ15aと下コマ15bにそれぞれ当接して挟まれている。しかも、上コマ15aは段付き部が隣りの上コマ15aの上部に配設され、支軸12によって互いに回転可能に支持されている。同様に、下コマ15bは段付き部が隣りの下コマ15bの下部に配設され、支軸12によって互いに回転可能に支持されている。
しかも、チェーン13は図示しない駆動源によって予め決められたルートで正逆方向に螺旋状に旋回しつつ走行するため、支軸12で連結されたコンベア4の各パレット3が同一のルートで螺旋状に走行可能である。チェーン13と支軸12で連結されたパレット3を配列したコンベア4も同一のルートで螺旋状に走行可能とされている。
【0020】
コンベア4を駆動源によって走行させる際、各パレット3とその下のチェーン13とが一体に低速で走行する。コンベア4は第一螺旋駐車床部6を螺旋状に旋回しながら例えば下方に移動して第一連結駐車床部8を走行する。更に、第二螺旋駐車床部7から螺旋状に旋回しながら上方に移動し、上端部で水平な第二連結駐車床部9を走行して第一螺旋駐車床部6に戻って下方に旋回することで循環する。
【0021】
コンベア4における第一螺旋駐車床部6の下端部6aと第二螺旋駐車床部7の下端部7aとの間の第一連結駐車床部8は地上階に設置されている。第一連結駐車床部8に対向する位置に、車Aをコンベア4の空きパレット3に搭載させる入庫スペース17とパレット3から車Aを出庫させる出庫スペース18とがそれぞれ設置されている。しかも、入庫スペース17と出庫スペース18はコンベア4の第一連結駐車床部8を挟んで反対側にそれぞれ設置されている。
或いは、入庫スペース17と出庫スペース18を第一連結駐車床部8の同一側に並列に設置してもよい。この場合、入庫と出庫の一方の車Aはバックで移動することになる。
【0022】
各パレット3の高さは入庫スペース17及び出庫スペース18の床面と同一高さレベルに設置されている。第一連結駐車床部8における半分、例えば第一螺旋駐車床部6側の2枚のパレット3は入庫用であり、入庫スペース17上の入庫待ちの1~2台の車Aが前進してパレット3に入庫可能である。
駆動源を正逆方向に選択的に回転させることで、チェーン13と共にコンベア4を右回転と左回転の一方に旋回させることができる。これにより、入庫のための空きパレット3を短時間で入庫用の車Aの待つ入庫スペース17に移動でき、同様に出庫用の車Aを搭載したパレット3を短時間で出庫スペース18に移動できる。
なお、コンベア4の駆動制御に関し、駆動源に不図示の制御手段が接続されていてもよい。制御手段からの指示によって駆動源によるコンベア4の回転方向と停止位置を設定するようことができる。或いは、作業員が操作ボタンを押すことで、コンベア4の回転方向と停止位置を設定し操作するようにしてもよい。
【0023】
また、出庫スペース18では、第一連結駐車床部8の例えば2台のパレット3上に出庫用の車Aが出庫待ち可能であり、運転者が車Aを運転してパレット3上から出庫スペース18に向けて出庫可能である。コンベア4において、入庫待ちの車Aや出庫待ちの車Aがない場合には、コンベア4を走行させることなく、コンベア4を静止状態に保持する。しかも、入庫待ちの車Aや出庫待ちの車Aがない場合には、コンベア4の空きパレット3を第一連結駐車床部8の入庫スペース17に対向させておくことが好ましい。
本実施形態では、コンベア4の空きパレット3に入庫スペース17から車Aを入庫する時と、パレット3に搭載した車Aを出庫スペース18に出庫する時にのみ運転者が車Aを運転することになっている。
【0024】
本実施形態による立体駐車場1は上述した構成を備えており、次にその使用方法について説明する。
立体駐車場1では、入庫待ちや出庫待ちの車Aがない場合、コンベア4の空きパレット3を第一連結駐車床部8に移動させて入庫スペース17に対向させた位置で停止させておく。そして、入庫用の車Aが入庫スペース17に進入した場合には、空きパレット3に誘導して駐車させた後にコンベア4を移動させて、新たな空きパレット3が入庫スペース17に対向する位置に来た位置で停止させる。
【0025】
また、コンベア4の空きパレット3を第一連結駐車床部8の入庫スペース17に対向する位置に停止させた状態で、コンベア4の他の位置にあるパレット3に駐車した車Aが出庫を希望した場合、制御手段は出庫用の車Aを搭載したパレット3と出庫スペース18との距離が近い方を選択して、コンベア4の移動方向を決定する。そして、コンベア4を走行させて、出庫したい車Aのパレット3が第一連結駐車床部8の出庫スペース18に至った状態で停止させる。次に、当該パレット3上の車Aに運転者が乗車して車Aを出庫スペース18に前進させて地上階から外路へ移動させる。
【0026】
コンベア4の複数のパレット3上に出庫用の車Aが搭載されている場合、出庫を希望した順にコンベア4を正逆回転させてパレット3を出庫スペース18に移動させて順次車Aを出庫させてもよい。しかし、出庫の効率を向上させるには、第一連結駐車床部8の出庫スペース18に最も近いコンベア4上の出庫車のパレット3を優先的に出庫スペース18に移動させて出庫させることが好ましい。
【0027】
また、コンベア4のパレット3に駐車している車Aの台数が少ない場合には、車Aを互いに近接するパレット3に搭載させることが好ましい。この場合には、コンベア4をわずかに移動させるだけで出庫待ちの車Aを出庫させることが可能になる。また、出庫待ちの複数の車Aを搭載した各パレット3を同時に第一連結駐車床部8の出庫スペース18に対向させることで、同時に複数の車Aを出庫させることができる。
【0028】
上述したように、本実施形態による立体駐車場1は、車Aを搭載可能なパレット3を配列したコンベア4を上下逆方向に螺旋を描いて積層する第一螺旋駐車床部6と第二螺旋駐車床部7を対向配置して第一連結駐車床部8及び第二連結駐車床部9で互いに連結して無端状に構成したため、狭い土地でも多くの車を多層に収容できる駐車場を構築できる。
しかも、第一螺旋駐車床部6と第二螺旋駐車床部7の上下端部を上下でそれぞれ連結する第一連結駐車床部8と第二連結駐車床部9は交差することなく略平行な直線状に延びているため、走行時のコンベア4の各パレット3に湾曲による無理な荷重がかからず、コンベア4をスムーズに移動させることができる。
【0029】
また、コンベア4は揺動可能なパレット3を配列して第一螺旋駐車床部6と第二螺旋駐車床部7で螺旋を描いて上下に旋回できるため、直角に近い角度で折れ曲がったりせず、各パレット3に搭載した車Aが挟み込まれたり互いに干渉したりすることを防止できる。
しかも、静止状態で空きパレット3を入庫スペース17に対向配置したため、新たな入庫車の搭載が容易である。また、パレット3上の出庫車を出庫スペース18に移動する際にはそのパレット3が出庫スペース18に近い側を選択してコンベア4を旋回させることができるため、効率的である。
【0030】
以上、本発明の実施形態による立体駐車場1について詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されることはなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜の変更や置換等が可能であり、これらはいずれも本発明に含まれる。以下に、本発明の他の実施形態や変形例等について説明するが、上述の実施形態と同一または同様な部分、部材には同一の符号を用いて説明を省略する。
【0031】
次に本発明の第二実施形態による立体駐車場1Aについて図4により説明する。
本第二実施形態による立体駐車場1Aは第一実施形態と同様にパレット3とチェーン13の上コマ15a及び下コマ15bを支軸12で回動可能に連結して無端状に多数配列している。しかも、コンベア4が例えば上側から下側に螺旋状に旋回する第一螺旋駐車床部6とコンベア4が下側から上側に螺旋状に旋回する第二螺旋駐車床部20とは、コンベア4の螺旋旋回の向きが同一方向になっており、第一螺旋駐車床部6の下端部6aと第二螺旋駐車床部20の下端部20aを連結する第一連結駐車床部21が地上階に略直線状に斜めに配設されている。また、第一螺旋駐車床部6の上端部6bと第二螺旋駐車床部20の上端部20bを連結する第二連結駐車床部22が上部で第一連結駐車床部21と交差する方向に略直線状に斜めに配設されている。
【0032】
また、地上階の第一連結駐車床部21では、第一螺旋駐車床部6の下端部6aと第二螺旋駐車床部20の下端部20aとの間が地盤面上で斜めに配設されているため、この第一連結駐車床部21に対向する位置に入庫スペース17と出庫スペース18を設置できる。しかも、入庫スペース17と出庫スペース18は第一連結駐車床部21に対して反対側でその長手方向にずれた位置に設置されている。
図4に示す例では、コンベア4の第一連結駐車床部21の2つのパレット3に対向して入庫スペース17が設置され、これに続く2つのパレット3に対向して出庫スペース18が設置されている。
【0033】
本第二実施形態による立体駐車場1Aでは、第一連結駐車床部21と第二連結駐車床部22が第一螺旋駐車床部6と第二螺旋駐車床部20の下端部6a,20aや上端部6b、20bに対して屈曲して交差して配設されている。そのため、第一実施形態の立体駐車場1と比較して、コンベア4の走行時に第一連結駐車床部21との間の移行時や第二連結駐車床部22との間の移行時に各パレット3の揺動角度が比較的大きくなり、各パレット3やこれに搭載された車Aに与える負荷が比較的大きい。しかし、本第二実施形態においても第一実施形態と同様にコンベア4のパレット3上に多くの車Aを搭載できる。
【0034】
なお、上述の各実施形態では、立体駐車場1、1Aにおける第一螺旋駐車床部6と第二螺旋駐車床部7、20を螺旋状に上下三段に配列したが、一段、二段でもよいし四段以上でもよい。また、入庫スペース17や出庫スペース18に対向するコンベア4のパレット3との間での車Aの移行可能台数は2台に限定されず、適宜台数に設定できる。
また、上述した各実施形態による立体駐車場1、1Aでは、地上にコンベア4を設置して上方に螺旋状に形成された第一螺旋駐車床部6と第二螺旋駐車床部7,20を対向配列して構成したため、地盤面上の第一連結駐車床部8、21に入庫スペース17と出庫スペース18を設けた。しかし、この構成に代えて、立体駐車場1,1Aを地下の立て坑内に埋設して構築してもよい。この場合、上端部に設置した第二連結駐車床部9、22を地表面等に設置して、それらのパレット3に対向させて入庫スペース17と出庫スペース18を設けてもよい。
【符号の説明】
【0035】
1、1A 立体駐車場
2 駐車床
3 パレット
4 コンベア
6 第一螺旋駐車床部
6a、7a、20a 下端部
6b、7b、20b 上端部
7、20 第二螺旋駐車床部
8、21 第一連結駐車床部
9、22 第二連結駐車床部
12 支軸
13 チェーン
15a 上コマ
15b 下コマ
17 入庫スペース
18 出庫スペース
図1
図2
図3
図4