(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-04
(45)【発行日】2022-08-15
(54)【発明の名称】警報システム
(51)【国際特許分類】
G08B 17/00 20060101AFI20220805BHJP
G08B 23/00 20060101ALI20220805BHJP
【FI】
G08B17/00 L
G08B23/00 520C
(21)【出願番号】P 2018064525
(22)【出願日】2018-03-29
【審査請求日】2021-01-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000111074
【氏名又は名称】ニッタン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】村田 順一
【審査官】吉村 伊佐雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-304684(JP,A)
【文献】特開2007-052738(JP,A)
【文献】特開2010-231640(JP,A)
【文献】特開2004-146872(JP,A)
【文献】特開2017-162057(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0226019(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B17/00
23/00-31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物内の空間で発生した異状を感知する感知器と、前記空間に設けられる出音装置と、火災受信機とを備え、
前記火災受信機は、
複数の国籍のそれぞれに関連付けて、音声警報を示す複数の音声警報情報を記憶する記憶部と、
前記空間に存在する前記空間の利用者の国籍を特定する特定部と、
前記感知器が異状を感知する前に、前記記憶部に記憶された複数の前記音声警報情報のうち、前記特定部が特定した国籍に関連付けられた複数の言語の前記複数の音声警報情報を前記出音装置に送信する送信制御部と、
前記感知器が異状を感知すると、
音声警報を出力させるための出音指示情報を前記出音装置に送信することにより、前記特定部が特定した前記国籍に対応する複数の言語の複数の音声警報を前記出音装置に順次出力させる出力制御部とを有
し、
前記出音装置は、
前記音声警報を出力する出力部と、
前記音声警報情報を記憶する記憶部と、
前記送信制御部が送信した前記複数の音声警報情報を受信すると、前記複数の音声警報情報を前記記憶部に記憶させ、前記出力制御部が送信した前記出音指示情報を受信する受信部と、
前記受信部が前記出音指示情報を受信すると、前記記憶部に記憶された前記複数の音声警報情報に対応する複数の前記音声警報を前記出力部に順次出力させる出音制御部とを有する警報システム。
【請求項2】
建物内の空間で発生した異状を感知する感知器と、前記空間に設けられる出音装置と、火災受信機とを備え、
前記火災受信機は、
前記空間に存在する前記空間の利用者の国籍を特定する特定部と、
前記特定部が特定した前記国籍に関連付けられた複数の言語に対応する複数の音声警報識別情報を前記出音装置に送信する送信制御部
と、
前記感知器が異状を感知すると、
音声警報を出力させる
ための出音指示情報を前記出音装置に送信
することにより、前記特定部が特定した前記国籍に対応する複数の言語の複数の音声警報を前記出音装置に順次出力させる出力制御部とを有し、
前記出音装置は、
前記音声警報を出力する出力部と、
前記複数の言語の複数の前記音声警報に対応する複数の音声警報情報を記憶する記憶部と、
前記送信制御部が送信した前記複数の音声警報識別情報と、前記出力制御部が送信した前記出音指示情報とを受信する受信部と、
前記受信部が前記出音指示情報を受信すると、前記記憶部に記憶された前記複数の音声警報情報のうち、前記受信部が受信した前記複数の音声警報識別情報に対応する前記複数の音声警報を前記出力部に順次出力させる出音制御部とを有する
警報システム。
【請求項3】
建物内の空間で発生した異状を感知する感知器と、前記空間に設けられる出音装置と、火災受信機と、情報処理装置とを備え、
前記情報処理装置は、
複数の国籍のそれぞれに関連付けて、複数の言語の複数の音声警報を示す複数の音声警報情報を記憶する記憶部と、
前記空間に存在する前記空間の利用者の国籍を特定する特定部と、
前記感知器が異状を感知する前に、前記記憶部に記憶された前記複数の音声警報情報のうち、前記特定部が特定した国籍に関連付けられた複数の前記音声警報情報を前記出音装置に送信する送信制御部とを有し、
前記火災受信機は、
前記感知器が異状を感知すると、前記音声警報を出力させる出音指示情報を前記出音装置に送信する出力制御部を有し、
前記出音装置は、
前記音声警報を出力する出力部と、
前記複数の音声警報情報を記憶する記憶部と、
前記送信制御部が送信した前記複数の音声警報情報を受信すると、前記複数の音声警報情報を前記記憶部に記憶させ、前記出力制御部が送信した前記出音指示情報を受信する受信部と、
前記受信部が前記出音指示情報を受信すると、前記記憶部に記憶された前記複数の音声警報情報に対応する複数の前記音声警報を前記出力部に順次出力させる出音制御部とを有する警報システム。
【請求項4】
建物内の空間で発生した異状を感知する感知器と、前記空間に設けられる出音装置と、火災受信機と、情報処理装置とを備え、
前記情報処理装置は、
前記空間に存在する前記空間の利用者の国籍を特定する特定部と、
前記特定部が特定した前記国籍に関連付けられた複数の言語に対応する複数の音声警報識別情報を前記出音装置に送信する送信制御部とを有し、
前記火災受信機は、
前記感知器が異状を感知すると、音声警報を出力させる出音指示情報を前記出音装置に送信する出力制御部を有し、
前記出音装置は、
前記音声警報を出力する出力部と、
複数の言語に対応する複数の前記音声警報を示す複数の音声警報情報を記憶する記憶部と、
前記送信制御部が送信した前記複数の言語に対応する複数の音声警報識別情報と、前記出力制御部が送信した前記出音指示情報とを受信する受信部と、
前記受信部が前記出音指示情報を受信すると、前記受信部が受信した前記複数の音声警報識別情報に対応する複数の前記音声警報を前記出力部に順次出力させる出音制御部とを有する警報システム。
【請求項5】
前記出力制御部は、前記火災受信機と前記出音装置とを接続する信号線を介して、前記出音指示情報を前記出音装置に送信し、
前記送信制御部は、前記信号線と異なる通信回線を介して、前記特定部が特定した国籍に関連付けられた情報を前記出音装置に送信し、
前記受信部は、前記信号線を介して前記出音指示情報を受信し、前記信号線と異なる前記通信回線を介して前記国籍に関連付けられた情報を受信する、
請求項
1から
4のいずれか一項に記載の警報システム。
【請求項6】
前記特定部は、前記出音装置が設置された複数の前記空間のそれぞれを識別する空間識別情報に関連付けられた前記国籍を特定し、
前記出力制御部は、前記特定部が特定した前記国籍に関連付けられた前記空間識別情報が示す前記空間に設置された前記出音装置に前記国籍に対応する複数の言語の複数の前記音声警報を出力させる、
請求項1から
5のいずれか一項に記載の警報システム。
【請求項7】
前記特定部は、前記複数の空間のそれぞれを利用する利用者に対応する前記空間識別情報、及び前記利用者の国籍を示す国籍情報が関連付けられた利用者情報に基づいて、前記複数の空間のそれぞれを識別する空間識別情報に関連付けられた前記利用者の国籍を特定する、
請求項
6に記載の警報システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、警報システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、異状を検出すると音声による警報を出力する警報器を備える警報システムが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の警報器は、異状が発生していることを通知する音声警報を一種類の言語で通知していた。しかしながら、従来の警報器が設置された場所には、当該言語を理解できない人が訪れる場合がある。当該言語を理解できない人は、当該言語で通知された音声警報の内容を理解できず、異状が発生していることを認識できなかった。
【0005】
一方、日本では、様々な国の旅行者が、ホテルや旅館などの宿泊施設を訪れる。日本国内の宿泊施設に設置されている従来の自動火災報知設備では、音声警報が可能な場合は、日本語で音声警報を通知する。そのため、従来の火災報知設備による火災警報は、日本語を理解できない旅行者に、異状が発生していることを認識させることができなかった。
【0006】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、音声警報を出力する機器の周辺にいる人に異状が発生していることを認識させることができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様においては、建物内の空間で発生した異状を感知する感知器と、前記空間に設けられる出音装置と、火災受信機とを備え、前記火災受信機は、前記空間に存在する前記空間の利用者の国籍を特定する特定部と、前記感知器が異状を感知すると、前記特定部が特定した前記国籍に対応する音声警報を前記出音装置に出力させる出力制御部とを有する警報システムを提供する。
【0008】
例えば、前記火災受信機は、複数の国籍のそれぞれに関連付けて、音声警報を示す複数の音声警報情報を記憶する記憶部と、前記感知器が異状を感知する前に、前記記憶部に記憶された複数の前記音声警報情報のうち、前記特定部が特定した国籍に関連付けられた音声警報情報を前記出音装置に送信する送信制御部とをさらに有し、前記出力制御部は、前記感知器が異状を感知すると、前記音声警報を出力させる出音指示情報を前記出音装置に送信し、前記出音装置は、前記音声警報を出力する出力部と、前記音声警報情報を記憶する記憶部と、前記送信制御部が送信した前記音声警報情報を受信すると、前記音声警報情報を前記記憶部に記憶させ、前記出力制御部が送信した前記出音指示情報を受信する受信部と、前記受信部が前記出音指示情報を受信すると、前記記憶部に記憶された前記音声警報情報に対応する音声警報を前記出力部に出力させる出音制御部とを有する。
【0009】
例えば、前記火災受信機は、前記特定部が特定した前記国籍に関連付けられた音声警報識別情報を前記出音装置に送信する送信制御部をさらに有し、前記出力制御部は、前記感知器が異状を感知すると、前記音声警報を出力させる出音指示情報を前記出音装置に送信し、前記出音装置は、前記音声警報を出力する出力部と、前記音声警報を示す複数の音声警報情報を記憶する記憶部と、前記送信制御部が送信した前記音声警報識別情報と、前記出力制御部が送信した前記出音指示情報とを受信する受信部と、前記受信部が前記出音指示情報を受信すると、前記記憶部に記憶された前記複数の音声警報情報のうち、前記受信部が受信した前記音声警報識別情報に対応する音声警報を前記出力部に出力させる出音制御部とを有する。
【0010】
本発明の第2の態様においては、建物内の空間で発生した異状を感知する感知器と、前記空間に設けられる出音装置と、火災受信機と、情報処理装置とを備え、前記情報処理装置は、複数の国籍のそれぞれに関連付けて、音声警報を示す複数の音声警報情報を記憶する記憶部と、前記空間に存在する前記空間の利用者の国籍を特定する特定部と、前記感知器が異状を感知する前に、前記記憶部に記憶された複数の前記音声警報情報のうち、前記特定部が特定した国籍に関連付けられた音声警報情報を前記出音装置に送信する送信制御部とを有し、前記火災受信機は、前記感知器が異状を感知すると、前記音声警報を出力させる出音指示情報を前記出音装置に送信する出力制御部を有し、前記出音装置は、前記音声警報を出力する出力部と、前記音声警報情報を記憶する記憶部と、前記送信制御部が送信した前記音声警報情報を受信すると、前記音声警報情報を前記記憶部に記憶させ、前記出力制御部が送信した前記出音指示情報を受信する受信部と、前記受信部が前記出音指示情報を受信すると、前記記憶部に記憶された前記音声警報情報に対応する音声警報を前記出力部に出力させる出音制御部とを有する警報システムを提供する。
【0011】
本発明の第2の態様においては、建物内の空間で発生した異状を感知する感知器と、前記空間に設けられる出音装置と、火災受信機と、情報処理装置とを備え、前記情報処理装置は、前記空間に存在する前記空間の利用者の国籍を特定する特定部と、前記特定部が特定した前記国籍に関連付けられた音声警報識別情報を前記出音装置に送信する送信制御部とを有し、前記火災受信機は、前記感知器が異状を感知すると、音声警報を出力させる出音指示情報を前記出音装置に送信する出力制御部を有し、前記出音装置は、前記音声警報を出力する出力部と、前記音声警報を示す複数の音声警報情報を記憶する記憶部と、前記送信制御部が送信した前記音声警報識別情報と、前記出力制御部が送信した前記出音指示情報とを受信する受信部と、前記受信部が前記出音指示情報を受信すると、前記記憶部に記憶された前記複数の音声警報情報のうち、前記受信部が受信した前記音声警報識別情報に対応する音声警報を前記出力部に出力させる出音制御部とを有する警報システムを提供する。
【0012】
前記出力制御部は、前記火災受信機と前記出音装置とを接続する信号線を介して、前記出音指示情報を前記出音装置に送信し、前記送信制御部は、前記信号線と異なる通信回線を介して、前記特定部が特定した国籍に関連付けられた情報を前記出音装置に送信し、前記受信部は、前記信号線を介して前記出音指示情報を受信し、前記信号線と異なる前記通信回線を介して前記国籍に関連付けられた情報を受信してもよい。
【0013】
例えば、前記特定部は、前記出音装置が設置された複数の前記空間のそれぞれを識別する空間識別情報に関連付けられた前記国籍を特定し、前記出力制御部は、前記特定部が特定した前記国籍に関連付けられた前記空間識別情報が示す前記空間に設置された前記出音装置に前記国籍に対応する音声警報を出力させる。
【0014】
前記特定部は、前記複数の空間のそれぞれを利用する利用者に対応する前記空間識別情報、及び前記利用者の国籍を示す国籍情報が関連付けられた利用者情報に基づいて、前記複数の空間のそれぞれを識別する空間識別情報に関連付けられた前記利用者の国籍を特定してもよい。
【0015】
本発明の第2の態様においては、建物内の空間に存在する前記空間の利用者の国籍を特定する特定部と、前記空間で発生した異状を感知する感知器が異状を感知すると、前記特定部が特定した前記国籍に対応する音声警報を前記空間に設けられる出音装置に出力させる出力制御部と、を有する火災受信機を提供する。
【0016】
本発明の第3の態様においては、コンピュータが実行する、建物内の空間に存在する前記空間の利用者の国籍を特定するステップと、前記空間で発生した異状を感知する感知器が異状を感知すると、特定した前記国籍に対応する音声警報を前記空間に設けられる出音装置に出力させるステップと、を有する警報制御方法を提供する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、音声警報を出力する機器の周辺にいる人に異状が発生したことを認識させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】警報システムの概要を説明するための図である。
【
図2】第1の実施形態に係る警報システムの機能構成を示す図である。
【
図3】空間を識別する空間識別情報と国籍を示す国籍情報とを関連付けたデータテーブルを模式的に示す図である。
【
図4】第1の実施形態に係る警報システムが実行する処理のシーケンス図である。
【
図5】第2の実施形態に係る警報システムが実行する処理のシーケンス図である。
【
図6】第3の実施形態に係る警報システムの概要を説明するための図である。
【
図7】第3の実施形態に係る警報システムの機能構成を示す図である。
【
図8】第3の実施形態に係る警報システムが実行する処理のシーケンス図である。
【
図9】第4の実施形態に係る警報システムの概要を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[本発明の概要]
初めに、
図1を参照して、本発明の第1の実施形態の概要を説明する。
図1は、第1の実施形態に係る警報システムSの概要を説明するための図である。警報システムSは、建物内において発生した異状を感知して、建物内に存在する利用者に異状が発生していることを音声警報により通知する自動火災報知設備である。警報システムSが感知する異状は、例えば、火災である。
【0020】
警報システムSは、火災受信機1と、複数の部屋R(R201、R202、R203)のそれぞれに設けられた複数の感知器2(2a、2b、2c)と、複数の出音装置3(3a、3b、3c)と、入力装置4と、中継器5とを備える。ここで、部屋Rは、建物内の部屋であるものとするが、これに限らず、建物内の空間であればよく、例えば、建物内の廊下、ラウンジ、階段スペース等であってもよい。
【0021】
火災受信機1と出音装置3に取り付けられた感知器2とは、専用の信号線Lで接続されている。専用の信号線Lは、例えば、耐熱性を有する消防用耐熱電線であり、火災警報回線である。火災受信機1と出音装置3とは、信号線Lと異なる別設の専用電源兼出力制御線で接続されている。また、火災受信機1と、複数の出音装置3のそれぞれとは、信号線L及び専用電源兼出力制御線と異なる無線通信回線を用いて火災受信機1と出音装置3とを接続する中継器5を介して接続されている。なお、火災受信機1と、複数の出音装置3のそれぞれとは、信号線L及び専用電源兼出力制御線と異なる有線の通信回線を用いて接続されていてもよい。
【0022】
感知器2は、部屋Rで発生した異状を感知する感知器ヘッドである。出音装置3は、複数の部屋Rのそれぞれの天井に設けられ、感知器2を取り付ける差込ベースであり、音声警報を出力する出力部を有する。複数の感知器2のそれぞれは、複数の出音装置3のそれぞれに取り付けられている。例えば、
図1に示すように、感知器2aは、部屋R201の天井に設置された出音装置3aに取り付けられている。感知器2は、空間の異状が発生したことを感知すると、専用の信号線Lを介して異状の発生を感知したことを火災受信機1に通知する。
【0023】
火災受信機1は、感知器2から異状の発生が通知されると、信号線Lと異なる別設の専用電源兼出力制御線(不図示)を介して音声警報を出力させる出音指示情報を出音装置3に送信することにより、出音装置3に音声警報を出力させる。
【0024】
このとき、部屋Rを利用する利用者は、音声警報の言語を理解できないと、火災が発生していることを認識することができない。そこで、警報システムSは、部屋Rを利用する利用者の国籍を特定し、特定した国籍に対応する音声警報を出音装置3に出力させる。このようにすることで、警報システムSは、出音装置3の周辺にいる利用者が理解できる言語で異状が発生していることを認識させることができる。
【0025】
[警報システムSの機能構成]
図2は、第1の実施形態に係る警報システムSの機能構成を示す図である。なお、以下の説明では、異状の一例として、火災の発生を感知する場合について説明する。
【0026】
[感知器2の構成]
まず、感知器2の構成について説明する。
図2に示すように、感知器2は、感知部21を備える。感知部21は、空間で発生した異状を感知する。具体的には、感知部21は、火災の熱を検出する熱検出器、火災の煙を検出する煙検出器、火災の炎を検出する炎検出器、又は空気中の一酸化炭素濃度を検出する一酸化炭素検出器の少なくともいずれかであり、異状として火災を感知する。感知部21は、火災の発生を感知すると、火災の発生を感知したことを示す感知情報を出音装置3を介して火災受信機1に送信する。
【0027】
[火災受信機1の構成]
次に、火災受信機1の構成について説明する。
図2に示すように、火災受信機1は、第1通信部11と、第2通信部12と、記憶部13と、制御部14とを備える。第1通信部11は、出音装置3に情報を送信するための通信インターフェースであり、例えばLAN(Local Area Network)コントローラを有する。例えば、第1通信部11は、中継器5を介して出音装置3に音声警報情報を送信する。中継器5は、例えば無線LANのアクセスポイントである。
【0028】
第2通信部12は、専用の信号線Lと別設の専用電源兼出力制御線とを介して、情報を送受信する通信インターフェースである。例えば、第2通信部12は、感知器2から信号線Lを介して火災が発生したことを示す感知情報を受信する。また、第2通信部12は、信号線Lとは別に敷設された専用電源兼出力制御線を介して出音装置3に出音指示情報を送信する。なお、第2通信部12は、出音装置3に信号線Lを介して出音指示情報を送信してもよい。この場合、出音装置3は、音声警報を出力する電力を供給する電池を備える。
【0029】
記憶部13は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びハードディスク等の記憶媒体を含む。記憶部13は、制御部14が実行するプログラムを記憶する。
【0030】
記憶部13は、複数の国籍のそれぞれに関連付けて、音声警報を示す複数の音声警報情報を記憶する。例えば、国籍「日本」に対応する音声警報は、「火事です。安全を確認の上避難してください。」という日本語の音声メッセージである。また、国籍「中国」に対応する音声警報は、日本語の音声メッセージと同等の内容を示す中国語の音声メッセージである。
【0031】
制御部14は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。制御部14は、記憶部13に記憶されたプログラムを実行することにより、特定部141、送信制御部142、及び出力制御部143として機能する。
【0032】
特定部141は、部屋Rに存在する部屋Rの利用者の国籍を特定する。例えば、特定部141は、宿泊施設の従業員から入力装置4を介して入力された利用者情報に基づいて利用者の国籍を特定する。
【0033】
利用者情報は、例えば、複数の部屋Rのそれぞれを利用する利用者に対応する空間識別情報、及び利用者の国籍を示す国籍情報が関連付けられたデータテーブルである。
図3は、空間を識別する空間識別情報と国籍を示す国籍情報とを関連付けたデータテーブルを模式的に示す図である。例えば、
図3に示すように、利用者情報は、空間識別情報である部屋番号「201」と、国籍を示す「アメリカ」と、利用者を識別する氏名「X」と、利用者が部屋Rを利用する期間を示す宿泊期間「MM/DD~MM/DD」とが関連付けられている。
【0034】
特定部141は、利用者情報を参照して、出音装置3が設置された複数の部屋Rのそれぞれに対応する利用者の国籍を特定する。具体的には、特定部141は、利用者情報に基づいて、複数の部屋Rのそれぞれから空間識別情報が示す利用者が利用する部屋Rと、国籍情報が示す利用者の国籍を特定する。例えば、特定部141は、
図3に示したデータテーブルを参照し、部屋番号「201」である部屋を利用する利用者の国籍が「アメリカ」であると特定する。
【0035】
送信制御部142は、火災受信機1と出音装置3とを接続する信号線Lと異なる無線通信回線を介して、音声警報情報を出音装置3に送信する。例えば、送信制御部142は、記憶部13に記憶された複数の音声警報情報のうち、特定部141が特定した国籍に関連付けられた音声警報情報を出音装置3に送信する。なお、送信制御部142は、感知部21が異状を感知する前に音声警報情報を出音装置3に送信する。このようにすることで、警報システムSは、感知器2が異状を感知すると、直ちに、部屋Rを利用する利用者の国籍に対応する音声警報を出音装置3に出力させることができる。そのため、警報システムSは、部屋Rで異状が発生した場合に、すみやかに利用者が理解できる言語で異状が発生していることを認識させることができる。
【0036】
出力制御部143は、感知部21が異状を感知すると、特定部141が特定した国籍に対応する音声警報を出音装置3に出力させる。具体的には、出力制御部143は、特定部141が特定した利用者の国籍に関連付けられた空間識別情報が示す、利用者が利用する部屋Rに設置された出音装置3に、特定部141が特定した国籍に対応する音声警報を出力させる。
【0037】
例えば、出力制御部143は、感知部21が異状を感知して、出音装置3に音声警報を出力させる場合、火災受信機1と出音装置3とを接続する専用の信号線Lを介して、音声警報を出力させる出音指示情報を出音装置3に送信する。出音装置3は、出音指示情報を受信すると、音声警報情報が示す音声警報を出力する。
【0038】
このようにすることで、警報システムSは、部屋Rを利用する利用者の国籍に対応する音声警報を、利用者が利用する部屋Rに設置された出音装置3に出力させることができる。また、警報システムSは、信号線Lを用いて出音指示情報を送信する。信号線Lは、高い耐熱性を有し、火災が発生した場合であっても、断線が起こりにくい。したがって、警報システムSは、出音指示情報を出音装置3に送信するときの信頼性を高めることができる。
【0039】
[出音装置3の構成]
続いて、出音装置3の構成について説明する。
図2に示すように、出音装置3は、第1通信部31と、第2通信部32と、出力部33と、記憶部34と、制御部35とを備える。出力部33は、音声警報を出力する。出力部33は、例えば電気信号を増幅するアンプと、増幅された電気信号を音に変換するスピーカーとを備える。
【0040】
第1通信部31は、火災受信機1から情報を受信するための通信インターフェースであり、例えばLANアダプタを有する。例えば、第1通信部31は、中継器5を介して火災受信機1から音声警報情報を受信する。第2通信部32は、専用の信号線Lを介して、情報を送受信する通信インターフェースである。例えば、第2通信部32は、感知器2から火災が発生したことを示す感知情報を受信すると、火災受信機1に感知情報を転送する。また、第2通信部12は、火災受信機1から送信された出音指示情報を受信する。
【0041】
記憶部34は、ROM、及びRAMの記憶媒体を含む。記憶部34は、制御部35が実行するプログラムを記憶する。
【0042】
制御部35は、例えばCPUである。制御部35は、記憶部34に記憶されたプログラムを実行することにより、通信制御部351、及び出音制御部352として機能する。
【0043】
通信制御部351は、例えば、感知器2から感知情報を受信すると、火災受信機1に感知情報を転送する送信制御部として機能する。また、通信制御部351は、無線通信回線を介して火災受信機1の送信制御部142が送信した国籍に関連付けられた音声警報情報を受信する受信部として機能する。通信制御部351は、送信制御部142が送信した音声警報情報を受信すると、音声警報情報を記憶部34に記憶させる。この場合、記憶部34は、通信制御部351が受信した音声警報情報を記憶する。また、通信制御部351は、無線通信回線と異なる信号線Lを介して出力制御部143が送信した出音指示情報を受信する。
【0044】
出音制御部352は、通信制御部351が出力制御部143から出音指示情報を受信すると、記憶部34に記憶された音声警報情報に対応する音声警報を出力部33に出力させる。
以下、警報システムSが実行する処理の流れを説明する。
【0045】
[第1の実施形態に係る警報システムSが実行する処理の流れ]
図4は、警報システムSが実行する処理のシーケンス図である。まず、火災受信機1は、入力装置4を介して、利用者が利用する部屋Rを示す空間識別情報と、空間識別情報に関連付けられた利用者の国籍との入力を受ける。次に、火災受信機1は、入力された空間識別情報に基づいて部屋Rを利用する利用者の国籍を特定する(ステップS1)。
【0046】
次に、火災受信機1は、記憶部13に記憶された複数の音声警報情報のうち、特定部141が特定した国籍に関連付けられた音声警報情報を、空間識別情報が示す部屋Rに設置された出音装置3に送信する(ステップS2)。出音装置3は、火災受信機1から受信した音声警報情報を記憶する(ステップS3)。
【0047】
感知器2は、感知器2が設置された部屋Rで異状が発生したことを感知すると、火災受信機1に感知情報を送信する(ステップS4)。火災受信機1は、感知器2から感知情報を受信すると、出音装置3に音声警報を出力させる出音指示情報を送信する(ステップS5)。そして、出音装置3は、火災受信機1から出音指示情報を受信すると、記憶した音声警報情報が示す音声警報を出力する(ステップS6)。
【0048】
(変形例)
なお、記憶部13は、1つの国籍に、複数の音声警報情報を関連付けて記憶してもよい。例えば、記憶部13は、国籍「アメリカ」に、英語の音声警報を示す音声警報情報と、スペイン語の音声警報を示す音声警報情報とを関連付けて記憶する。この場合、送信制御部142は、1つの国籍に関連付けられた複数の音声警報情報を出音装置3に送信する。
【0049】
出音装置3は、複数の音声警報情報を受信すると、複数の音声警報情報のそれぞれを記憶する。そして、出音装置3は、出音指示情報を受信すると、記憶した複数の音声警報情報のそれぞれに対応する複数の音声警報を順次出力する。このようにすることで、警報システムSは、例えば、複数の言語が使用されている国から訪れた利用者に対し、複数の言語で異状が発生したことを通知することができる。そのため、警報システムSは、利用者に異状が発生していることを認識させることができる確率をあげることができる。
【0050】
なお、本実施形態に係る出音装置3を設置した場合、火災報知設備として、ベル又はスピーカーを省略してもよい。また、本実施形態に係る警報システムSは、出音装置3とともに、ベル又はスピーカーを設置する場合、出音装置3とベル又はスピーカーとをそれぞれ間歇鳴動させてもよい。例えば、警報システムSは、出音装置3の音声警報と、ベル又はスピーカーの警報音とを交互に出力する。具体的には、警報システムSは、出音装置3に音声警報を出力させている場合、ベル又はスピーカーに警報音を出力させず、ベル又はスピーカーに警報音を出力させている場合、出音装置3に音声警報を出力させない。このようにすることで、警報システムSは、出音装置3が出力する音声警報と、ベル又はスピーカーが出力する警報音とが干渉してしまうことを低減できる。そのため、警報システムSは、建物内の利用者が音声警報を聞き取り難くなることを抑制できる。
【0051】
[第1の実施形態に係る警報システムSの効果]
以上説明したとおり、第1の実施形態に係る警報システムSは、部屋Rを利用する利用者の国籍を特定し、特定した国籍に対応する音声警報を出音装置3に出力させる。このように、警報システムSは、出音装置3が設置された部屋Rを利用する利用者が理解できる言語で異状が発生していることを通知する。そのため、警報システムSは、部屋Rを利用する利用者に異状が発生していることを認識させることができる。
【0052】
<第2の実施形態>
以上の説明においては、火災受信機1の記憶部13が複数の国籍のそれぞれに関連付けて、音声警報を示す複数の音声警報情報を記憶した。これに限らず、出音装置3の記憶部34が複数の国籍のそれぞれに関連付けて、音声警報を示す複数の音声警報情報を記憶してもよい。この場合、火災受信機1は、利用者の国籍を特定すると、特定した国籍に関連付けられた音声警報情報を識別する音声警報識別情報を出音装置3に送信する。出音装置3は、音声警報識別情報を受信すると、記憶部34に記憶された複数の音声警報情報のうち、音声警報識別情報が示す国籍に関連付けられた音声警報情報を選択する。そして、出音装置3は、火災受信機1から出音指示情報を受信すると、選択した音声警報情報が示す音声警報を出力する。以下、第1の実施形態と異なる点について説明し、同様の点については適宜省略する。
【0053】
第2の実施形態に係る火災受信機1の送信制御部142は、特定部141が特定した国籍に関連付けられた音声警報識別情報を出音装置3に送信する。音声警報識別情報は、出音装置3の記憶部34が記憶する複数の音声警報情報を識別する識別情報である。警報識別情報は、例えば、国籍を示す情報である。また、音声警報識別情報は、音声警報情報に関連付けられた記号又は数字などであってもよい。
【0054】
通信制御部351は、送信制御部142が送信した音声警報識別情報を受信する。出音制御部352は、通信制御部351が音声警報識別情報を受信すると、記憶部34に記憶された複数の音声警報情報のうち、通信制御部351が受信した音声警報識別情報が示す国籍に関連付けられた音声警報情報を選択する。そして、出音制御部352は、通信制御部351が出力制御部143から出音指示情報を受信すると、選択した音声警報情報が示す音声警報を出力部33に出力させる。
【0055】
[第2の実施形態に係る警報システムSが実行する処理の流れ]
図5は、第2の実施形態に係る警報システムSが実行する処理のフローチャートである。まず、火災受信機1は、入力装置4を介して、利用者が利用する部屋Rを示す空間識別情報と、空間識別情報に関連付けられた利用者の国籍との入力を受ける。次に、火災受信機1は、入力された空間識別情報が示す部屋Rを利用する利用者の国籍を特定する(ステップS11)。次に、火災受信機1は、特定部141が特定した国籍に関連付けられた音声警報識別情報を、空間識別情報が示す部屋Rに設置された出音装置3に送信する(ステップS12)。
【0056】
出音装置3は、火災受信機1から音声警報識別情報を受信する(ステップS13)。続いて、出音装置3は、記憶する複数の音声警報情報のうち、受信した音声警報識別情報が示す国籍に関連付けられた音声警報情報を選択する(ステップS14)。
【0057】
感知器2は、感知器2が設置された部屋Rで異状が発生したことを感知すると、火災受信機1に感知情報を送信する(ステップS15)。火災受信機1は、感知器2から感知情報を受信すると、出音装置3に音声警報を出力させる出音指示情報を送信する(ステップS16)。そして、出音装置3は、火災受信機1から出音指示情報を受信すると、選択した音声警報情報が示す音声警報を出力する(ステップS17)。
【0058】
[第2の実施形態に係る警報システムSの効果]
以上説明したとおり、第2の実施形態に係る出音装置3は、複数の国籍のそれぞれに関連付けて、音声警報を示す複数の音声警報情報を記憶し、火災受信機1から受信した音声警報識別情報に対応する音声警報情報を選択する。そして、出音装置3は、感知器2が異状を感知すると、選択した音声警報情報が示す音声警報を出力する。このようにすることでも、警報システムSは、出音装置3が設置された部屋Rを利用する利用者が理解できる言語で異状が発生していることを認識させることができる。
【0059】
<第3の実施形態>
第2の実施形態においては、火災受信機1が利用者の国籍に関連付けられた音声警報情報を識別する音声警報識別情報を出音装置3に送信した。これに限らず、火災受信機1と異なる情報処理装置が、利用者の国籍に関連付けられた音声警報情報を識別する音声警報識別情報を出音装置3に送信してもよい。この場合、火災受信機1は、感知器2から感知情報を受信し、感知情報を受信すると出音装置3に音声警報を出力させる出音指示情報を送信する機能のみを備える。
【0060】
図6は、第3の実施形態の概要を説明するための図である。第3の実施形態に係る警報システムSは、情報処理装置9をさらに備える。情報処理装置9は、入力装置4を介して、利用者が利用する部屋Rを示す空間識別情報と、空間識別情報に関連付けられた利用者の国籍との入力を受ける。情報処理装置9は、入力された空間識別情報に基づいて部屋Rを利用する利用者の国籍を特定する。そして、情報処理装置9は、特定した国籍に関連付けられた音声警報情報を識別する音声警報識別情報を、空間識別情報が示す部屋Rに設置された出音装置3に送信する。なお、以下の説明において、情報処理装置9は、音声警報識別情報として国籍を示す国籍情報を送信するものとする。以下、第2の実施形態と異なる点について説明し、同様の点については適宜省略する。
【0061】
[第3の実施形態に係る警報システムSの機能構成]
図7は、第3の実施形態に係る警報システムSの機能構成を示す図である。第3の実施形態に係る火災受信機1は、第2の実施形態と異なり、第1通信部11と、特定部141と、送信制御部142とを備えない。
【0062】
情報処理装置9は、第1通信部91と、記憶部92と、制御部93とを備える。第1通信部91は、第2の実施形態に係る火災受信機1の第1通信部11と同様に機能する。記憶部92は、ROM、RAM及びハードディスク等の記憶媒体を含み、制御部93が実行するプログラムを記憶する。制御部93は、例えばCPUである。制御部93は、記憶部92に記憶されたプログラムを実行することにより、特定部931及び送信制御部932として機能する。特定部931は、第2の実施形態に係る火災受信機1の特定部131と同様に機能する。送信制御部932は、第2の実施形態に係る火災受信機1の特定部131と、同等に機能する。
【0063】
[第3の実施形態に係る警報システムSが実行する処理の流れ]
図8は、第3の実施形態に係る警報システムSが実行する処理のシーケンス図である。まず、情報処理装置9は、入力装置4を介して、利用者が利用する部屋Rを示す空間識別情報と、空間識別情報に関連付けられた利用者の国籍との入力を受ける。次に、情報処理装置9は、入力された空間識別情報が示す部屋Rを利用する利用者の国籍を特定する(ステップS21)。次に、情報処理装置9は、特定した国籍を示す国籍情報を、空間識別情報が示す部屋Rに設置された出音装置3に送信する(ステップS22)。
【0064】
出音装置3は、情報処理装置9から国籍情報を受信する(ステップS23)。続いて、出音装置3は、記憶する複数の音声警報情報のうち、受信した国籍情報が示す国籍に対応する言語に関連付けられた音声警報情報を選択する(ステップS24)。
【0065】
感知器2は、感知器2が設置された部屋Rで異状が発生したことを感知すると、火災受信機1に感知情報を送信する(ステップS25)。火災受信機1は、感知器2から感知情報を受信すると、出音装置3に音声警報を出力させる出音指示情報を送信する(ステップS26)。そして、出音装置3は、火災受信機1から出音指示情報を受信すると、選択した音声警報情報が示す音声警報を出力する(ステップS27)。
【0066】
[第3の実施形態に係る警報システムSの効果]
以上説明したとおり、第2の実施形態に係る出音装置3は、複数の国籍のそれぞれに関連付けて、音声警報を示す複数の音声警報情報を記憶し、情報処理装置9から受信した音声警報識別情報に対応する音声警報情報を選択する。そして、出音装置3は、感知器2が異状を感知すると、国籍に対応する言語に関連付けられた音声警報情報が示す音声警報を出力する。このようにすることで、出音装置3は、多数の言語の中から部屋Rを利用する利用者の言語を選択し、選択した言語に対応する音声警報を出力することができる。そのため、警報システムSは、出音装置3が設置された部屋Rを利用する利用者が理解できる言語で異状が発生していることを認識させることができる。
【0067】
なお、以上の説明においては、出音装置3が複数の音声警報情報を記憶するものとしたが、これに限らず、第1の実施形態に係る火災受信機1と同様に、情報処理装置9が複数の音声警報情報を記憶してもよい。この場合、情報処理装置9は、特定した利用者の国籍に関連付けられた音声警報情報を出音装置3に送信する。そして、出音装置3は、情報処理装置9から受信した音声警報情報を記憶し、火災受信機1から出音指示情報を受信すると、記憶した音声警報情報が示す音声警報を出力する。
【0068】
また、火災受信機1と感知器2と出音装置3は、建物内の他設備と独立しているとともに、停電等の非常時においても一定期間確実に動作するように構成されている。そのため、出音装置3は、建物内で火災が発生した場合、他設備の異常・不具合要因に左右されずに機能する。さらに、警報システムSは、火災時に必要な火災が発生したことを示す(短い)音声を部屋Rの利用者に端的かつ確実に伝えるために複雑な設定や機能を必要としないシステムなので容易に実現できる。
【0069】
<第4の実施形態>
以上の説明においては、出音装置3に感知器2が取り付けられていたが、出音装置3と感知器2とが異なる位置に設置されていてもよい。第4の実施形態に係る警報システムSは、出音装置3と感知器2とが異なる位置に設置されている警報システムである。
図9は、第4の実施形態に係る警報システムSの概要を説明するための図である。
【0070】
第4の実施形態に係る警報システムSは、火災受信機1と、複数の感知器2(2a、2b、2c)と、複数の感知器2のそれぞれを取り付ける差込ベース6(6a、6b、6c)と、出音装置としての複数のインターホン7(7a、7b、7c)とを備える。差込ベース6は、出音装置3と異なり、出力部(スピーカー)を備えない。また、警報システムSは、感知器2が送信した感知情報を受信すると、火災受信機1に感知情報を移送する感知器中継器8を備える。
【0071】
警報システムSは、部屋Rに在住する利用者の国籍を特定し、部屋Rに設置された感知器2が異状を感知すると、特定した国籍に対応する音声警報を部屋Rに設置されたインターホン7に出力させる。なお、第3の実施形態に係る警報システムSが利用者の国籍を特定する方法、特定した国籍に対応する音声警報をインターホン7に出力させる方法は、第1又は第2の実施形態と同様の方法を用いることができるので説明を省略する。
【0072】
[第4の実施形態に係る警報システムSの効果]
このように、警報システムSは、部屋Rに設けられたインターホン7に音声警報を出力させる。このようにすることで、警報システムSを運用する事業者は、新たに出音部を備える出音装置3を設置したり、火災受信機1と出音装置3とを接続する中継器5を設置したりする必要がないので、警報システムSを構築するコストを低減できる。
【0073】
(変形例)
上記の説明においては、警報システムSは、部屋Rに設置された出音装置3又はインターホン7に音声警報を出力させたが、これに限らず、建物内の廊下、ラウンジ、階段スペース等に設置された出音装置(例えばスピーカー)に音声警報を出力させてもよい。この場合、警報システムSは、出音装置が設置された空間に対応する国籍を特定する。例えば、警報システムSは、出音装置が設置された空間を利用する確率が他の利用者より高い利用者の国籍を特定し、特定した国籍に対応する音声警報を出音装置に出力させる。このようにすることで、警報システムSは、部屋Rだけでなく、建物内の廊下、ラウンジ、階段スペース等においても、利用者の理解できる言語で異状が発生していることを通知できる。
【0074】
(変形例2)
なお、感知器2は、出音装置を内蔵することができる。この場合、感知器2は、感知部21とともに、出力部と備える感知器ヘッドである。このようにすることで、すでに部屋の天井に設置されている差込ベースを、出力部を備える出音装置3に変更しなくてもよくなるので、警報システムSを運用する事業者は、作業工数や設置コストを低減することができる。
【0075】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。上記実施の形態では、部屋Rで発生した異状を検出する例として、火災を検出する例について説明したが、これに限らない。例えば、可燃性ガスの発生や、部屋Rに対する部外者の侵入を部屋Rで発生した異状として検出してもよい。なお、異状には、感知器2又は出音装置3の異状を含んでもよく、例えば、感知器2又は出音装置3は、電池電圧の低下や、自身の故障を部屋Rで発生した異状として検出してもよい。また、装置の分散・統合の具体的な実施の形態は、以上の実施の形態に限られず、その全部又は一部について、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を合わせ持つ。
【符号の説明】
【0076】
1 火災受信機
2 感知器
3 出音装置
4 入力装置
5 中継器
6 差込ベース
7 インターホン
8 感知器中継器
9 情報処理装置
11 第1通信部
12 第2通信部
13 記憶部
14 制御部
21 感知部
31 第1通信部
32 第2通信部
33 出力部
34 記憶部
35 制御部
141 特定部
142 送信制御部
143 出力制御部
351 通信制御部
352 出音制御部
91 第1通信部
92 記憶部
93 制御部
931 特定部
932 送信制御部
L 信号線
R 部屋
S 警報システム