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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-04
(45)【発行日】2022-08-15
(54)【発明の名称】加熱調理装置
(51)【国際特許分類】
   F24C 3/12 20060101AFI20220805BHJP
   F24C 7/04 20210101ALI20220805BHJP
【FI】
F24C3/12 X
F24C7/04 301A
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018072479
(22)【出願日】2018-04-04
(65)【公開番号】P2019184100
(43)【公開日】2019-10-24
【審査請求日】2020-11-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】秦 紳一朗
【審査官】比嘉 貴大
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-190630(JP,A)
【文献】特開2012-255625(JP,A)
【文献】特開2009-140861(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 3/12
F24C 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天面の上側に配置される被加熱物を加熱する1つ以上の加熱部と、
前記天面の下側から該天面の上方に物体検出用信号を送信する送信部と該物体検出用信号の反射信号を受信する受信部との組を前記天面の下側に有し、前記天面の上側に存在して前記物体検出用信号を反射する物体を検出可能な1つ以上の物体検出器とを備える加熱調理装置であって、
前記物体検出器は、前記物体検出用信号を反射した物体の検出時に、該物体が前記天面に接する物体であるか否かを検知し得るように構成されていると共に、前記天面に接する物体として、該天面に付着した付着物と該天面に載置された載置とを検知し得るように構成されており、
前記天面に接する物体である天面接触物体が検出された場合に、該天面接触物体を検出した前記物体検出器の送信部及び受信部の配置箇所を示す報知出力を発生する報知部を備えており、
該報知部は、前記物体検出器の送信部及び受信部の配置箇所に設けられた発光部を有し、該物体検出器により前記天面接触物体が検出された場合に、前記報知出力として、前記発光部の発光を行うように構成されていると共に、該報知出力としての該発光部の発光を開始した後、該天面接触物体が該物体検出器により検出されなくなった場合に、所定の遅延時間の経過後に、該発光部の発光を停止するように構成されていることを特徴とする加熱調理装置。
【請求項2】
請求項1記載の加熱調理装置において、
複数の前記物体検出器を備えており、
前記報知部は、各物体検出器毎に各別に前記発光部を有し、いずれかの物体検出器により前記天面接触物体が検出された場合に、該天面接触物体を検出した物体検出器に対応する前記発光部だけを発光させるように構成されていることを特徴とする加熱調理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスコンロ等の加熱調理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に見られるように、コンロ装置の天板の下側に、天板の上方への赤外線の送信とその反射信号の受信とを行うことで、天板の上方に存在する手等の物体を検知し得るジェスチャーセンサを配置し、該ジェスチャーセンサにより手等の物体が検知された場合に、バーナの火力を自動的に弱めるようにしたものが知られている。
【0003】
また、例えば特許文献2には、加熱調理装置の上方の換気扇の受信部に、加熱調理装置の送信部から赤外線を送信するもので、加熱調理装置の送信部の位置を示す印刷マークをトッププレートに付したものが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-188714号公報
【文献】特開2003-229240号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に見られるように、加熱調理装置の上方の物体を検出するために、赤外線等の物体検出用信号を送信する送信部と、その反射信号を受信する受信部とを有する物体検出器を加熱調理装置に備えるものでは、該加熱調理装置の筐体の天面のうち、送信部又は受信部に対向する箇所に煮こぼれ等の付着物が付着することが多々ある。
【0006】
そして、このような付着物が天面に付着すると、物体検出用信号の送受信が阻害されるため、加熱調理装置の上方の物体を適切に検出することができなくなる虞がある。
【0007】
そこで、物体検出器の送信部又は受信部に対向する箇所に煮こぼれ等の付着物が付着した場合には、その付着箇所の清掃を促す報知をユーザに対して行うことが考えられる。
【0008】
ただし、上記送信部及び受信部は、一般に小さなものであると共に、通常、目視では見えないか、もしくは見えにくいように加熱調理装置に搭載されている。このため、上記の如き報知を行う場合には、清掃すべき箇所としての送信部及び受信部の配置箇所をユーザが容易に認識し得るようにすることが望ましい。
【0009】
この場合、物体検出器の送信部及び受信部の配置箇所に、例えば特許文献2に見られる如き印刷マークを付しておくことが考えられる。しかるに、かかる印刷マークは、加熱調理装置の意匠性を損ないやすいと共に、経年的な汚れの進行や、剥離等によって見えなくなりやすい。また、印刷マークは、送信部及び受信部の配置箇所を示すものに過ぎないため、ユーザにとっては、その配置箇所を清掃すべきタイミングが判りずらい。
【0010】
本発明はかかる背景に鑑みてなされたものであり、物体検出用信号の送信部及び受信部の配置箇所の天面に煮こぼれ等の付着物が付着した場合に、該送信部及び受信部の配置箇所をユーザに適切に認識させることができる加熱調理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の加熱調理装置は、上記の目的を達成するために、天面の上側に配置される被加熱物を加熱する1つ以上の加熱部と、
前記天面の下側から該天面の上方に物体検出用信号を送信する送信部と該物体検出用信号の反射信号を受信する受信部との組を前記天面の下側に有し、前記天面の上側に存在して前記物体検出用信号を反射する物体を検出可能な1つ以上の物体検出器とを備える加熱調理装置であって、
前記物体検出器は、前記物体検出用信号を反射した物体の検出時に、該物体が前記天面に接する物体であるか否かを検知し得るように構成されていると共に、前記天面に接する物体として、該天面に付着した付着物と該天面に載置された載置とを検知し得るように構成されており、
前記天面に接する物体である天面接触物体が検出された場合に、該天面接触物体を検出した前記物体検出器の送信部及び受信部の配置箇所を示す報知出力を発生する報知部を備えており、
該報知部は、前記物体検出器の送信部及び受信部の配置箇所に設けられた発光部を有し、該物体検出器により前記天面接触物体が検出された場合に、前記報知出力として、前記発光部の発光を行うように構成されていると共に、該報知出力としての該発光部の発光を開始した後、該天面接触物体が該物体検出器により検出されなくなった場合に、所定の遅延時間の経過後に、該発光部の発光を停止するように構成されていることを特徴とする(第1発明)。
【0012】
なお、本発明において、「送信部及び受信部の配置箇所」というのは、前記天面のうち、該送信部及び受信部のそれぞれ又は両方に対向する局所箇所、あるいは、該局所箇所に近接した箇所を意味する。
【0013】
上記第1発明によれば、物体検出器の送信部及び受信部の配置箇所における天面に、煮こぼれ等の付着物が付着した場合には、物体検出器により前記天面接触物体が検出される。そして、このとき、前記報知部は、天面接触物体を検出した物体検出器の送信部及び受信部の配置箇所を示す報知出力を発生する。この報知出力によって、ユーザは、物体検出器の送信部及び受信部の配置箇所を認識することができる。また、該報知出力は、天面接触物体の検出に応じて発生するので、ユーザは、物体検出器の送信部及び受信部の配置箇所を清掃すべきタイミングであることを認識することができる。
【0014】
よって、物体検出用信号の送信部及び受信部の配置箇所の天面に煮こぼれ等の付着物が付着した場合に、該送信部及び受信部の配置箇所をユーザに適切に認識させることができる。ひいては、ユーザは、該配置箇所の清掃を適切に行うことができる。
【0015】
上記第1発明では、前記報知部は、前記物体検出器の送信部及び受信部の配置箇所に設けられた発光部を有し、該物体検出器により前記天面接触物体が検出された場合に、前記報知出力として、前記発光部の発光を行うように構成されている。
【0016】
これによれば、前記発光部の発光により、ユーザは、物体検出器の送信部及び受信部の配置箇所を容易に認識することができる。なお、前記送信部が、前記物体検出用信号を送信することに加えて、さらに、可視光をも出力し得るものである場合には、前記送信部を前記発光部として機能させ得る。前記報知部の専用的な発光部が不要となる
さらに、前記報知部は、前記報知出力としての該発光部の発光を開始した後、該天面接触物体が該物体検出器により検出されなくなった場合に、所定の遅延時間の経過後に、該発光部の発光を停止するように構成されている。これにより次のような効果を奏し得る。
すなわち、物体検出器の送信部又は受信部の配置箇所で、調理容器等の物体が天面上に載置された場合には、該調理容器等の物体が前記天面接触物体として検出される場合がある。そして、この場合、本発明では、前記報知出力としての前記発光部の発光が行われる。
ただし、この場合、発光した発光部が調理容器等の物体の下側に隠れてしまう場合があり、ひいては、該発光部の発光にユーザが気づかない場合がある。しかるに、天面上に載置された調理容器等の物体を天面接触物体として検出した物体検出器の送信部又は受信部の配置箇所から除去した場合、その後、前記遅延時間が経過するまでは、該発光部の発光が継続する。このため、ユーザは調理容器等の物体を載置していた箇所で発光部の発光が行われていたことを認識することができる。ひいては、ユーザは、発光部の発光が行われた箇所の近辺に調理容器等の物体を載置すべきではないことを容易に認識することができる。
【0017】
上記第発明では、加熱調理装置が複数の前記物体検出器を備えている場合には、前記報知部は、各物体検出器毎に各別に前記発光部を有し、いずれかの物体検出器により前記天面接触物体が検出された場合に、該天面接触物体を検出した物体検出器に対応する前記発光部だけを発光させるように構成されていることが好ましい(第発明)。
【0018】
これによれば、いずれかの物体検出器により前記天面接触物体が検出された場合に、該天面接触物体を検出した物体検出器に対応する前記発光部だけを発光させるので、ユーザは、必要箇所だけを清掃するようにすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の一実施形態の加熱調理装置(コンロ)を上方から見た平面図。
図2】実施形態の加熱調理装置の動作制御に係る構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の一実施形態を図1及び図2を参照して以下に説明する。図1を参照して、本実施形態の加熱調理装置1は、例えばガスコンロであり、その筐体2の天面2a(上面)には、被加熱物(調理物、調理容器等)を加熱する加熱部としての複数(図示例では3つ)のバーナ3a,3b,3cが筐体2の内部側から露出するように配置されていると共に、バーナ3a,3b,3cのそれぞれの周囲に五徳4a,4b,4cが配置されている。
【0025】
図示例の加熱調理装置1では、バーナ3a,3b,3cのそれぞれは、天面2aの左側前部、右側前部、及び後側中央部の箇所に各々配置されている。以降、バーナ3a,3b,3cのそれぞれを、左バーナ3a、右バーナ3b、後バーナ3cということがある。
【0026】
また、天面2aの後端部には、筐体2内のグリル庫(図示省略)の排気を行う排気口5が設けられている。また、図示は省略するが、筐体2の前面部には、各バーナ3a,3b,3cの点火及び消火、並びに火力調整を行うための操作部や、電源スイッチ、自動調理運転のための操作部等が備えられている。
【0027】
筐体2の内部には、天面2aの上側に存在する物体(例えば、ユーザの手や腕等)を検出可能な複数の物体検出器10と、該物体検出器10と同数の発光部11と、加熱調理装置1の運転制御(発光部11の動作制御を含む)を行う制御部12とが搭載されている。
【0028】
物体検出器10は、本実施形態では、例えば、左バーナ3aの左側の箇所及び前側の箇所、右バーナ3bの右側の箇所及び前側の箇所、並びに、後バーナ3cの前方側でバーナ3a,3bの間の箇所の5か所に各々配置されている。
【0029】
これらの物体検出器10のうち、左バーナ3aの左側の箇所の物体検出器10は、ユーザが、例えば、左バーナ3aの位置の調理容器の移動等のために自身の左手を該左バーナ3aに近づける場合に該左手、もしくは左腕の先端寄り部分を検出することを可能とする検出器、左バーナ3aの前側の箇所の物体検出器10は、ユーザが、例えば、後バーナ3cの位置の調理容器の移動等のために自身の左手を後バーナ3cに近づける場合に該左手、もしくは左腕の先端寄り部分を検出することを可能とする検出器である。
【0030】
また、右バーナ3bの右側の箇所の物体検出器10は、ユーザが、例えば、右バーナ3aの位置の調理容器の移動等のために自身の右手を該右バーナ3bに近づける場合に該右手、もしくは右腕の先端寄り部分を検出することを可能とする検出器、右バーナ3bの前側の箇所の物体検出器10は、ユーザが、例えば、後バーナ3cの位置の調理容器の移動等のために自身の右手を後バーナ3cに近づける場合に該右手、もしくは右腕の先端寄り部分を検出することを可能とする検出器である。
【0031】
また、後バーナ3cの前方でバーナ3a,3bの間の箇所の物体検出器10は、ユーザが、例えば、左バーナ3aの位置の調理容器の移動等のために自身の右手を該左バーナ3aに近づける場合に該右手、もしくは右腕の先端寄り部分を検出すること、あるいは、例えば、右バーナ3bの位置の調理容器の移動等のために自身の左手を該右バーナ3bに近づける場合に該左手、もしくは左腕の先端寄り部分を検出することを可能とする検出器である。
【0032】
各物体検出器10は、例えば赤外線方式のジェスチャーセンサ又は測距センサにより構成され、物体検出用信号としての赤外線を天面2aの下側から上方に向かって送信する送信部10aと、該送信部10aから送信された赤外線の反射信号(反射波)を受信する受信部10bとを備える。これらの送信部10a及び受信部10bは、互いに近接して設けられている。なお、天面2aは、少なくとも各物体検出器10の送信部10a及び受信部10bのそれぞれに対向する部分で、赤外線を通過させ得るように構成されている。
【0033】
各物体検出器10は、その送信部10aから送信された赤外線を反射する物体が該赤外線の送信方向(該物体検出器10の上方)に存在して、該物体での赤外線の反射信号が受信部10bで受信される場合に、該物体を検出可能である。
【0034】
この場合、各物体検出器10は、物体の検出時には、受信部10bで受信された反射信号を基に、TOF方式(TOF:Time of Flight)、もしくは三角測距方式等の公知の手法により、検出された物体までの距離(又はその大小度合い)を計測し得るように構成されている。そして、各物体検出器10は、距離(又はその大小度合い)の計測値が所定の範囲となる領域(天面2aから上方にある程度離れた領域)に物体が検出された場合に、その旨を示す検出信号を出力する。これにより、各物体検出器10は、調理容器の移動等のために該物体検出器10の上方にユーザの手や腕が移動された場合に、それを検出することが可能である。
【0035】
さらに、各物体検出器10は、距離(又はその大小度合い)の計測値が、天面2aまでの距離に一致もしくはほぼ一致する物体が検出された場合には、該物体検出器10の直上の天面2a(詳しくは、天面2aのうち、物体検出器10の送信部10a及び受信部10bに対向する箇所)に接する物体が検出されたことを示す検出信号を出力する。
【0036】
これにより、各物体検出器10は、該物体検出器10の直上の天面2aに、調理物の煮こぼれ等による付着物が付着したり、鍋等の調理容器が載置された場合に、該物体検出器10の直上で天面2aに接する物体(以降、天面接触物体という)が存在することを検出することが可能である。
【0037】
発光部11のそれぞれは、制御部12と併せて、本発明における報知部を構成するものであり、所定色の可視光を発光可能な発光ダイオード等により構成される。各発光部11は、それに対応付られた各物体検出器10に近接して設けられている。なお、天面2aの各発光部11に対向する部分は、該発光部11が発光する可視光を透過し得るように構成され、あるいは、該発光部11が露出するように開口されている。
【0038】
ここで、各発光部11は、対応する物体検出器10に近接して設けられているので、該発光部11を発光させたとき、その発光箇所は、その近辺に、該発光部11に対応する物体検出器10が配置されていること(該物体検出器10の送信部10a及び受信部10bの配置箇所が発光箇所の近辺であること)をユーザに対して報知し得るものとなる。
【0039】
なお、各物体検出器10に対応する発光部11は、該物体検出器10の周囲に複数備えられていてもよい。
【0040】
制御部12は、例えば、マイクロコンピュータ、プロッセッサ、メモリ、インターフェース回路等を含む一つ以上の電子回路ユニットにより構成される。この制御部12には、図2に示すように、各物体検出器10の検出信号が入力されると共に、加熱調理装置1の図示しない操作部の操作信号や種々のセンサの検出信号が入力される。そして、制御部12は、実装されたハードウェア構成及びプログラム(ソフトウェア構成)の一方又は両方により実現される機能によって、各バーナ3a,3b,3cの運転制御を行う機能を有すると共に、各発光部11の発光を制御する機能を有する。
【0041】
次に、本実施形態の加熱調理装置1の作動を説明する。まず、各物体検出器10の直上の天面2aに接する付着物等の物体がなく、該天面2aでの赤外線の通過が正常に行われる場合の作動について説明する。
【0042】
加熱調理装置1の電源が投入された状態で、各物体検出器10が作動し、各物体検出器10の送信部10aから物体検出用信号としての赤外線が送信される。この状態で、左バーナ3a又は右バーナ3bの燃焼運転が開始されると、制御部12は、各物体検出器10の出力を監視する。
【0043】
このとき、制御部12は、例えば、左バーナ3aの所定の火力以上の火力での燃焼運転中に、左バーナ3aの左側もしくは前側の物体検出器10、又は、左バーナ3aと右バーナ3bとの間の物体検出器10のいずれかの物体検出器10から、該物体検出器10からの距離(又はその大小度合い)の計測値が所定の範囲内の値となる領域に物体が検出されたことを示す検出信号が入力された場合に、左バーナ3aの火力を弱火の火力に弱めるように制御する。
【0044】
また、制御部12は、例えば、右バーナ3bの所定の火力以上の火力での燃焼運転中に、右バーナ3bの右側もしくは前側の物体検出器10、又は、左バーナ3aと右バーナ3bとの間の物体検出器10のいずれかの物体検出器10から、該物体検出器10からの距離(又はその大小度合い)の計測値が所定の範囲内の値となる領域に物体が検出されたことを示す検出信号が入力された場合に、右バーナ3bの火力を弱火の火力に弱めるように制御する。
【0045】
これにより、ユーザが、所定の火力以上の火力で燃焼運転中の左バーナ3a又は右バーナ3bの上方に手や腕を近づけるような行為を行うと、該左バーナ3a又は右バーナ3bの火力が自動的に弱められる。
【0046】
なお、各物体検出器10の直上の天面2aに接する付着物等の物体(天面接触物体)がなく、該天面2aでの赤外線の通過が正常に行われる場合には、各物体検出器10から、天面接触物体が検出されたことを示す検出信号は出力されない。この状況では、制御部12は各発光部11を消灯状態に維持する。
【0047】
次に、いずれかの物体検出器10の直上の天面2aに、煮こぼれ等の付着物が付着している場合における作動を説明する。
【0048】
赤外線を送信している物体検出器10の直上の天面2aに、煮こぼれ等の付着物が付着している場合には、該付着物で反射された赤外線が受信部10bで受信されるため、該物体検出器10による距離(又はその大小度合い)の計測値は、天面2aまでの距離(又はその大小度合い)に一致もしくはほぼ一致するものである。これにより、該物体検出器10は天面接触物体が存在することを検出し、そのことを示す検出信号(以降、接触物検出信号という)を制御部12に出力する。
【0049】
このとき、制御部12は、当該接触物検出信号を出力している物体検出器10に対応する発光部11を、点灯させる(又は点滅させる)ように制御する。これにより、天面2aに付着している付着物の位置の物体検出器10に対応する発光部11が、該物体検出器10の近辺で発光する。そして、この発光を視認したユーザは、該発光部11の近辺に付着物が付着していることを認識し、該付着物の除去作業(天面2aの該当箇所の清掃)を行うことができる。
【0050】
なお、物体検出器10による天面接触物体の検出時に、該物体検出器10に対応する発光部11を発光させることに加えて、さらに、図示しない表示器での表示や、音声出力等により、発光箇所の近辺の天面2aの清掃を行うべき旨の報知を行うようにしてもよい。
【0051】
また、物体検出器10の直上の天面2aの付着物の除去作業によって、該物体検出器10の直上の天面2aが赤外線を正常に通過し得る状態に復帰すると、該物体検出器10は前記接触物検出信号を出力しなくなる。これに応じて、制御部12は、該物体検出器10に対応する発光部11の発光を停止させる。これにより、ユーザは、物体検出器10の直上の天面2aの付着物の除去作業が適切になされたことを確認することができる。
【0052】
ところで、各物体検出器10は、その直上の天面2aに付着物が付着している場合だけに限らず、該直上の天面2aに調理容器等が載置された場合でも、該直上の天面2aに接する天面接触物体が存在することを検出して、前記接触物検出信号を出力する。ひいては、制御部12が、該接触物検出信号を出力した物体検出器10に対応する発光部11を発光(点灯又は点滅)させる。
【0053】
この場合、物体検出器10の直上の天面接触物体(付着物又は調理容器等の載置物)が除去されることに応じて該物体検出器10が接触物検出信号を出力しなくなった時に、直ちに該物体検出器10に対応する発光部11の発光を停止させるという態様を採用することは可能である。
【0054】
ただし、物体検出器10の直上の天面接触物体が調理容器等の載置物である場合には、物体検出器10の直上の天面2aに該載置物が載置されている期間だけ、該載置物の下側で直接的に視認できないか、もしくは視認し難い発光部11の発光が行われ、該載置物を除去すると直ちに発光部11の発光が停止するため、ユーザが該発光部11の発光に気づかないか、もしくは、該発光に対して違和感を覚えやすい。
【0055】
そこで、本実施形態では、制御部12は、物体検出器10が接触物検出信号を出力しなくなった時点から若干の遅延時間(例えば数秒程度の遅延時間)が経過してから、該物体検出器10に対応する発光部11の発光を停止させる。これにより、ユーザは、物体検出器10の直上の天面2aに調理容器等の載置物を載置した場合に、それに起因して発光部11の発光が行われると共に、該載置物を除去すれば該発光部11の発光が停止することを適切に認識して、該当箇所に載置物を載置すべきでないことを意識することができる。
【0056】
また、物体検出器10の直上の天面2aに付着物が付着している場合には、該当箇所に載置物を載置していなくとも、該物体検出器10に対応する発光部11の発光が継続的に行われることから、ユーザは、該当箇所の清掃を行うべきことを容易に認識することができる。
【0057】
以上説明した実施形態によれば、各物体検出器10の直上の天面2aに煮こぼれ等の付着物が付着した場合に、該物体検出器10に対応する発光部11を発光させることで、該付着物の除去(天面2aの清掃)を促すことができると共に、該付着物の除去を行うべき箇所をユーザに容易に認識させることができる。
【0058】
この場合、天面接触物体が検出された物体検出器10に対応する発光部11だけが発光するので、ユーザによる清掃作業は、天面2aのうちの発光箇所の近辺だけの清掃作業で済ませることができる。
【0059】
また、天面接触物体が検出された物体検出器10に対応する発光部11の発光は、該天面接触物体が検出されなくなってから、若干の遅延時間の経過後に停止されるので、ユーザは、天面接触物体が煮こぼれ等の付着物である場合だけでなく、調理容器等の載置物である場合でも、該天面接触物体の除去後に、発光部11の発光が停止することを確実に認識することができる。このため、ユーザは、発光部11の近辺に物体を載置すべきでないことを容易に意識することができる。
【0060】
なお、本発明は以上説明した実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態を採用することもできる。以下に、他の実施形態をいくつか説明する。
【0061】
前記実施形態では、各物体検出器10毎に、該物体検出器10とは別の発光部11を備えるものを例示した。ただし、例えば、物体検出器10の送信部10aが、その出力制御等によって、物体検出用信号としての赤外線以外に、可視光をも出力し得るものである場合には、該送信部10aを発光部として使用し、天面接触物体が検出された場合に、該送信部10aに可視光を発光させるようにしてもよい。このようにした場合には、各物体検出器10とは別の発光部11を省略できる。
【0062】
また、前記実施形態では、天面接触物体が検出された物体検出器10に対応する発光部11だけを発光させるようにした。ただし、いずれかの物体検出器10で天面接触物体が検出された場合に、例えば全ての発光部11を発光させることも可能である。このようにすると、全ての物体検出器10の直上の天面2aがクリーンな状態に保たれやすくなる。
【0063】
また、前記実施形態では、各物体検出器10の送信部10a及び受信部10bの配置箇所を示す報知出力として、発光部11の発光を用いたが、加熱調理装置1に備えられた表示器等に、天面接触物体を検出した物体検出器10の配置箇所(送信部10a及び受信部10bの配置箇所)を示す表示を行うことも可能である。
【0064】
また、前記実施形態では、各物体検出器10の送信部10a及び受信部10bが近接しているため、各物体検出器10に対応する発光部11は、該物体検出器10の送信部10a及び受信部10bの両方に対応するものとなっている。ただし、各物体検出器10の送信部10a及び受信部10bが、ある程度、離れた状態で配置される場合には、送信部10a及び受信部10bのそれぞれ毎に、発光部11等の報知部を備えるようにしてもよい。
【0065】
また、前記実施形態では、複数の物体検出器10を備える加熱調理装置1を例示した。ただし、本発明は、単一の物体検出器を備える加熱調理装置にも適用できる。また、本発明の適用対象の加熱調理装置は、ガスコンロに限らず、加熱部として、電熱ヒータ、あるいは、IHヒータを有する加熱調理装置であってもよい。
【符号の説明】
【0066】
1…加熱調理装置、2a…天面、3a,3b,3c…バーナ(加熱部)、10…物体検出器、10a…送信部、10b…受信部、11…発光部(報知部)、12…制御部(報知部)。
図1
図2