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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-04
(45)【発行日】2022-08-15
(54)【発明の名称】シークレットラベル
(51)【国際特許分類】
   G09F 3/10 20060101AFI20220805BHJP
   G09F 3/00 20060101ALI20220805BHJP
   B42D 15/02 20060101ALN20220805BHJP
【FI】
G09F3/10 H
G09F3/00 Q
B42D15/02 501B
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018081334
(22)【出願日】2018-04-20
(65)【公開番号】P2019191284
(43)【公開日】2019-10-31
【審査請求日】2021-02-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000162113
【氏名又は名称】共同印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100170874
【弁理士】
【氏名又は名称】塩川 和哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122404
【弁理士】
【氏名又は名称】勝又 秀夫
(72)【発明者】
【氏名】大関 崇史
【審査官】富士 春奈
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-006585(JP,A)
【文献】特開2005-010727(JP,A)
【文献】特開2012-163674(JP,A)
【文献】特開2015-193121(JP,A)
【文献】特開2009-084529(JP,A)
【文献】特開2014-153540(JP,A)
【文献】特開2016-090971(JP,A)
【文献】特開2008-065084(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 3/00、3/10
B42D 15/00-25/485
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形のラベル基材と、前記ラベル基材上の粘着層と、前記粘着層上の粘着抑制層とを有するシークレットラベルであって、
前記粘着抑制層が、
前記ラベル基材の矩形の角を1つの頂点とする直角三角形状の第1の剥離始点用粘着抑制部と、
前記第1の剥離始点用粘着抑制部の直角三角形の斜辺に略平行に、間隔を開けて配置されている、1本以上6本以下のストライプ状の第2の剥離始点用粘着抑制部と
を含み、
前記第2の剥離始点用粘着抑制部のストライプの幅は、0.8mm以上4.0mm以下であり、
前記第1の剥離始点用粘着抑制部と前記第2の剥離始点用粘着抑制部との間隔の幅は、1.0mm以上3.0mm以下であり、
前記第2の剥離始点用粘着抑制部が複数のストライプを有する場合、隣接するストライプ間の間隔の幅は、1.0mm以上3.0mm以下であ
ただし、前記粘着抑制層が、前記シールレットラベルの全体においてストライプ状である場合を除く、
シークレットラベル。
【請求項2】
前記第2の剥離始点用粘着抑制部のストライプが1本又は2本である、請求項1に記載のシークレットラベル。
【請求項3】
前記第2の剥離始点用粘着抑制部のストライプが1本である、請求項2に記載のシークレットラベル。
【請求項4】
前記第1の剥離始点用粘着抑制部の直角三角形の斜辺の長さが、10.0mm以上28.5mm以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載のシークレットラベル。
【請求項5】
前記第1の剥離始点用粘着抑制部の直角三角形が、略直角二等辺三角形である、請求項1~4のいずれか一項に記載のシークレットラベル。
【請求項6】
前記第1の剥離始点用粘着抑制部及び前記第2の剥離始点用粘着抑制部の組を、1組以上4組以下有する、請求項1~5のいずれか一項に記載のシークレットラベル。
【請求項7】
前記第1の剥離始点用粘着抑制部及び前記第2の剥離始点用粘着抑制部、並びにこれらの間の間隙部と重複しない位置に、パターン状の剥離継続用粘着抑制部を更に有する、請求項1~6のいずれか一項に記載のシークレットラベル。
【請求項8】
剥離紙上に、請求項1~7のいずれか一項に記載のシークレットラベルが貼付されている、
シークレットラベル積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シークレットラベルに関する。
【背景技術】
【0002】
口座番号等の秘密情報、病歴等の個人情報等を記載したはがき等は、これらの情報の記載箇所に、情報を隠蔽するためのシークレットラベルを貼付した状態で郵送されることが多い。
【0003】
シークレットラベルを用いる1つの態様では、シークレットラベルは、剥離紙に貼付された状態で、例えば返信用はがきとともに封筒に封入封緘されて、送付元から各消費者等に郵送される。消費者は、はがきに必要事項を記入し、シークレットラベルを剥離紙から剥離し、はがきの記入欄上に再貼付したうえで、投函する。そして、はがきの受領者は、シークレットラベルを剥離して、消費者による記載情報を入手及び使用することが予定されている。
【0004】
受領者によるシークレットラベルの剥離は、従来はもっぱら手作業によっていたが、剥離効率を重視して、自動剥離装置が普及している。例えば、特許文献1には、順次搬送されるはがきの先端部を咥えるはがき保持部材を具備するはがき咥え胴部と、紙葉類咥え胴部に保持されて回転するはがきを湾曲させるための手段と、はがき咥え胴部に保持されて回転するはがきに貼着されているシークレットラベルの先端部を咥えるラベル保持部材を具備するラベル咥え胴部とを有する、ラベル自動剥離装置が記載されている。特許文献2には、特許文献1に記載されたような自動剥離装置を用いて好適に剥離することのできる、シークレットラベルが記載されている。
【0005】
一方で、処理枚数が比較的少なく、自動剥離装置による大量一括処理に馴染まない場合等には、手作業によるシークレットラベルの剥離も行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2004-142918号公報
【文献】特開2005-10727号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
シークレットラベルを用いる上記の態様では、シークレットラベルは、送付元で封筒に封入封緘されるときには、剥離紙からの剥離が抑制され、それによって消費者による剥離紙からの剥離及びはがき等への再貼付が可能な状態が維持されることを要する。また、受領者においては、はがき等からの剥離が容易であることを要する。
【0008】
本発明の目的は、封筒に封入封緘されるときには剥離紙からの剥離が抑制され、かつ、はがき等に再貼付された後には、剥離、特に手作業による剥離が容易である、シークレットラベルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成する本発明は、以下のとおりである。
【0010】
《態様1》矩形のラベル基材と、ラベル基材上の粘着層と、粘着層上の粘着抑制層とを有するシークレットラベルであって、
粘着抑制層が、
ラベル基材の矩形の角を1つの頂点とする直角三角形状の第1の剥離始点用粘着抑制部と、
第1の剥離始点用粘着抑制部の直角三角形の斜辺に略平行に、間隔を開けて配置されている、1本以上のストライプ状の第2の剥離始点用粘着抑制部と
を含む、
シークレットラベル。
《態様2》第2の剥離始点用粘着抑制部のストライプが1本又は2本である、《態様1》に記載のシークレットラベル。
《態様3》第2の剥離始点用粘着抑制部のストライプが1本である、《態様2》に記載のシークレットラベル。
《態様4》第1の剥離始点用粘着抑制部の直角三角形の斜辺の長さが、10.0mm以上28.5mm以下である、《態様1》~《態様3》のいずれか一項に記載のシークレットラベル。
《態様5》第1の剥離始点用粘着抑制部の直角三角形が、略直角二等辺三角形である、《態様1》~《態様4》のいずれか一項に記載のシークレットラベル。
《態様6》第1の剥離始点用粘着抑制部及び第2の剥離始点用粘着抑制部の組を、1組以上4組以下有する、《態様1》~《態様5》のいずれか一項に記載のシークレットラベル。
《態様7》第1の剥離始点用粘着抑制部及び第2の剥離始点用粘着抑制部、並びにこれらの間の間隙部と重複しない位置に、パターン状の剥離継続用粘着抑制部を更に有する、《態様1》~《態様6》のいずれか一項に記載のシークレットラベル。
《態様8》剥離紙上に、《態様1》~《態様7》のいずれか一項に記載のシークレットラベルが貼付されている、
シークレットラベル積層体。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、封筒に封入封緘されるときには剥離紙からの剥離が抑制され、かつ、はがき等に再貼付された後には、剥離、特に手作業による剥離が容易なシークレットラベルが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1A図1Aは、本発明のシークレットラベルにおける第1の剥離始点用粘着抑制部及び第2の剥離始点用粘着抑制部の構成の一例を説明するための概略上面図である。
図1B図1Bは、本発明のシークレットラベルにおける第1の剥離始点用粘着抑制部及び第2の剥離始点用粘着抑制部の構成の別の一例を説明するための概略上面図である。
図2図2は、実施例1で作製したシークレットラベルの粘着抑制層のパターンを示す概略上面図である。図2(a)は全体図であり、図2(b)は角部の拡大図である。
図3図3は、実施例2で作製したシークレットラベルの粘着抑制層のパターンを示す概略上面図である。図3(a)は全体図であり、図3(b)は角部の拡大図である。
図4図4は、比較例1で作製したシークレットラベルの粘着抑制層のパターンを示す概略上面図である。図4(a)は全体図であり、図4(b)は角部の拡大図である。
図5図5は、比較例2で作製したシークレットラベルの粘着抑制層のパターンを示す概略上面図である。図5(a)は全体図であり、図5(b)は角部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
《シークレットラベル》
本発明のシークレットラベルは、矩形のラベル基材と、ラベル基材上の粘着層と、粘着層上の粘着抑制層とを有する。粘着抑制層は、ラベル基材の矩形の角を1つの頂点とする直角三角形状の第1の剥離始点用粘着抑制部と、第1の剥離始点用粘着抑制部の直角三角形の斜辺に略平行に、間隔を開けて配置されている、1本以上のストライプ状の第2の剥離始点用粘着抑制部とを含む。
【0014】
〈ラベル基材〉
本発明のシークレットラベルにおけるラベル基材は、シークレットラベルに必要な強度を与え、好ましくは例えばはがき等に記入された情報を隠蔽する機能を有していてよい。
【0015】
ラベル基材の形状は、矩形である。
【0016】
本発明のシークレットラベルは、記入された情報を隠蔽するために、典型的にははがきに貼付して用いられる。この場合、ラベル基材のサイズは、はがきとして許容されているサイズと同じであるか、又はこれよりも小さいサイズであってよい。
【0017】
わが国で第二種郵便物(はがき)として郵送できるサイズは、長辺が140mm以上154mm以下、短辺が90mm以上107mm以下である。そのため、ラベル基材のサイズは、矩形の一辺が154mm以下又は140mm以下であり、かつ、他の一辺が107mm以下又は90mm以下であってよい。官製はがきのサイズは、148mm×100mmであるから、官製はがきサイズのはがきへの貼付が意図される場合、ラベル基材のサイズは、矩形の一辺が、例えば148mm以下であり、かつ、他の一辺が100mm以下であってよい。
【0018】
一方で、本発明のシークレットラベルは、典型的には記入された情報を隠蔽するために用いられる。そのため、ラベル基材は、隠蔽が必要な有意の情報を被覆可能なサイズを有していてよい。更に、このラベル基材上に粘着層を介して存在する粘着抑制層は、指先で把持可能なサイズの、第1の剥離始点用粘着抑制部及び第2の剥離始点用粘着抑制部を有するから、ラベル基材のサイズは、矩形の各辺が、それぞれ、例えば、60mm以上、70mm以上、80mm以上、又は90mm以上であってよい。
【0019】
本発明のシークレットラベルをはがき以外の記入媒体に貼付して用いる場合には、ラベル基材のサイズは、目的の記入媒体のサイズに応じて適宜に設定されてよい。
【0020】
矩形のラベル基材の角(矩形の頂点)は、典型的には直角であるが、微小の丸み(R)を有していてもよい。角部が丸みを有するラベル基材のサイズは、各辺の直線を外挿して直角を想定したときのサイズである。
【0021】
ラベル基材を構成する材料は、例えば、紙等であってよい。具体的には上質紙等であってよい。
【0022】
ラベル基材の厚みは、シークレットラベルとして必要な強度を確保でき、及び好ましくは情報の隠蔽機能を有する程度には厚く、かつ、はがき等への貼付後にも過度に厚くならない範囲で適宜に設定されてよい。
【0023】
〈粘着層〉
本発明のシークレットラベルにおける粘着層は、上記のラベル基材上に存在し、ラベル基材と、剥離紙又は被貼付体(例えばはがき等)とを剥離可能に粘着させる機能を有する。
【0024】
粘着層は、ラベル基材の片面上の全面に存在してよい。粘着層は、パターン状であってもよいし、ラベル基材の片面上全面に一様に存在していてもよい。しかし、本発明のシークレットラベルでは、所望のパターンを有する粘着抑制層によって粘着層の粘着力が適切に調整されている。そのため、粘着層をパターン状にしなくても、ラベル基材と、剥離紙又は被貼付体との剥離可能な粘着を実現することができる。
【0025】
粘着層を構成する材料としては、所定の粘着力が得られる限り特に制限されず、公知の粘着剤を適宜選択して使用してよい。粘着層を構成する材料は、例えば合成樹脂であってよく、具体的には例えば、天然ゴム、アクリル系樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体、アクリロニトリル-ブタジエン共重合体、スチレン-ブタジエン共重合体、ポリイソブチレン、ポリビニルエーテル等であってよい。
【0026】
〈粘着抑制層〉
本発明のシークレットラベルにおける粘着抑制層は、上記の粘着層上に存在し、その存在部分における粘着層の粘着力を抑制する機能を有する。粘着抑制層は、当業界で「糊殺し」とも呼ばれている。
【0027】
本発明のシークレットラベルは、粘着層上に所定形状を有し、好ましくは所定サイズの粘着抑制層を有することにより、封筒に封入封緘されるときには剥離紙からの剥離が抑制され、かつ、はがき等の被貼付体に再貼付された後には、特に手作業による剥離が容易なシークレットラベルが得られる。
【0028】
この粘着抑制層は、第1の剥離始点用粘着抑制部と、第2の剥離始点用粘着抑制部とを含み、更に後述の剥離継続用粘着抑制部を有していてよい。これら第1の剥離始点用粘着抑制部及び第2の剥離始点用粘着抑制部は、封筒への封入封緘時にはシークレットラベルと剥離紙との粘着を維持し、かつ、シークレットラベルを手作業によってはがき等から剥離するときに、指先で摘まんで剥離の切っ掛け(始点)とし得る、小さな剥離部分を形成する機能を有する。
【0029】
(第1の剥離始点用粘着抑制部)
第1の剥離始点用粘着抑制部は、ラベル基材の矩形の角を1つの頂点とする直角三角形状の粘着抑制部である。ここで、ラベル基材の角部が丸みを有しているときには、第1の剥離始点用粘着抑制部の直角三角形の直角の頂点も、丸みを有していてよい。
【0030】
第1の剥離始点用粘着抑制部は、指先で摘まみ得る剥離の切っ掛け部分を形成するために、ある程度の大きさを有していることが望ましい。この観点から、第1の剥離始点用粘着抑制部の直角三角形の斜辺の長さは、10.0mm以上、12.0mm以上、14.0mm以上、16.0mm以上、18.0mm以上、又は20.0mm以上であってよい。しかし、第1の剥離始点用粘着抑制部が過度に大きいと、封筒への封入封緘時に剥離紙からの剥離が発生するおそれがある。これを避ける観点から、第1の剥離始点用粘着抑制部の直角三角形の斜辺の長さは、28.5mm以下、28.0mm以下、26.0mm以下、24.0mm以下、22.0mm以下、又は20.0mm以下であってよい。
【0031】
第1の剥離始点用粘着抑制部が、直角三角形の直角を二等分する仮想直線に対して非対称の形状であると、右利きの作業者と左利きの作業者とで、剥離の切っ掛け部分の摘まみ易さに差が生じる場合がある。これを避けるため、第1の剥離始点用粘着抑制部の直角三角形は、略直角二等辺三角形であってよい。ここで「略直角二等辺三角形」とは、数学的に厳密な意味での直角二等辺三角形の他、各頂点に丸みが形成されているもの、斜辺以外の2つの辺の長さが少し、例えば15%以下、10%以下、又は5%以下の範囲で違うもの、等も含まれるとの趣旨である。
【0032】
(第2の剥離始点用粘着抑制部)
第2の剥離始点用粘着抑制部は、上記第1の剥離始点用粘着抑制部の直角三角形の斜辺に略平行に、間隔を開けて配置されているストライプ状の粘着抑制部である。
【0033】
第2の剥離始点用粘着抑制部のストライプは、ラベル基材の矩形の一角を形成する2つの辺の片方から他方へ、所定の幅を有する直線状に、連続的に又は断続的に形成されていてよい。
【0034】
第2の剥離始点用粘着抑制部のストライプが、第1の剥離始点用粘着抑制部の直角三角形の斜辺に略平行であるとは、直角三角形の斜辺と、ストライプのうちの直角三角形の斜辺側の辺とのなす角度が、10°以下又は5°以下であることをいう。
【0035】
第2の剥離始点用粘着抑制部のストライプの本数は、1本以上である。このストライプの数は、剥離の切っ掛け部分の摘まみ易さを向上するために、2本以上又は3本以上であってよい。第2の剥離始点用粘着抑制部が複数本のストライプを有する場合、各ストライプは、互いに略平行であってよい。複数本のストライプが互いに略平行であるとは、隣接するストライプの対向する2辺のなす角度が、10°以下又は5°以下であることをいう。
【0036】
しかしながら、ストライプの本数が過度に多いと、封筒への封入封緘時に剥離紙からの剥離が発生するおそれがある。これを避ける観点から、第2の剥離始点用粘着抑制部のストライプの本数は、6本以下、4本以下、又は3本以下であってよい。第2の剥離始点用粘着抑制部のストライプの数は、1本又は2本であってよく、典型的には1本であってよい。
【0037】
第2の剥離始点用粘着抑制部のストライプの幅は、はがきへの貼付後の剥離の切っ掛け部分を摘まみ易くする観点から、例えば、0.8mm以上、1.0mm以上、1.2mm以上、1.4mm以上、1.6mm以上、1.8mm以上、又は2.0mm以上であってよく、封緘封入時の剥離紙からの剥離を抑制する観点から、例えば、4.0mm以下、3.5mm以下、3.0mm以下、2.8mm以下、2.6mm以下、2.4mm以下、2.2mm以下、又は2.0mm以下であってよい。
【0038】
第2の剥離始点用粘着抑制部が複数本のストライプを有する場合、各ストライプの幅は、同じであってもよいし、相違していてもよい。
【0039】
第2の剥離始点用粘着抑制部のストライプは、第1の剥離始点用粘着抑制部の直角三角形の斜辺に略平行に、間隔を開けて配置されている。第1の剥離始点用粘着抑制部と第2の剥離始点用粘着抑制部との間隔が開いた部分では、粘着層が露出しており、その粘着性が維持されている。したがって、この間隔の幅を適宜に調整することにより、封入封緘時の剥離抑制と、剥離切っ掛け部分の摘まみ易さとのバランスをとることができる。
【0040】
第1の剥離始点用粘着抑制部と第2の剥離始点用粘着抑制部との間隔の幅は、封入封緘時の剥離紙からの剥離を抑制する観点から、例えば、1.0mm以上、1.2mm以上、1.4mm以上、1.6mm以上、又は1.8mm以上であってよく、剥離切っ掛け部分の摘まみ易さの観点から、例えば、3.0mm以下、2.8mm以下、2.6mm以下、2.4mm以下、2.2mm以下、又は2.0mm以下であってよい。
【0041】
第2の剥離始点用粘着抑制部が複数のストライプを有する場合、隣接するストライプ間の間隔の幅についても、第1の剥離始点用粘着抑制部と第2の剥離始点用粘着抑制部との間隔の幅と同様の考察によって適宜に設定されてよく、例えば、1.0mm以上、1.2mm以上、1.4mm以上、1.6mm以上、又は1.8mm以上であってよく、例えば、3.0mm以下、2.8mm以下、2.6mm以下、2.4mm以下、2.2mm以下、又は2.0mm以下であってよい。
【0042】
第2の剥離始点用粘着抑制部が複数のストライプを有する場合、第1の剥離始点用粘着抑制部と第2の剥離始点用粘着抑制部との間隔の幅、及び隣接するストライプ間の間隔の幅は、同じであってもよいし、相違していてもよい。
【0043】
(第1の剥離始点用粘着抑制部及び第2の剥離始点用粘着抑制部の組の数)
本発明のシークレットラベルの粘着抑制層は、ラベル基材の矩形の角を1つの頂点とする直角三角形状の第1の剥離始点用粘着抑制部と、この第1の剥離始点用粘着抑制部の直角三角形の斜辺に略平行に、間隔を開けて配置されているストライプ状の第2の剥離始点用粘着抑制部との組を含む。この第1の剥離始点用粘着抑制部及び第2の剥離始点用粘着抑制部の組は、矩形のラベル基材の角の1つに対して1組配置できる。したがって、本発明のシークレットラベルにおける第1の剥離始点用粘着抑制部及び第2の剥離始点用粘着抑制部の組の数は、1組以上4組以下である。
【0044】
本発明が所期する効果を発現するためには、第1の剥離始点用粘着抑制部及び第2の剥離始点用粘着抑制部の組は、1組あれば足りる。しかし、本発明のシークレットラベルを貼付する方向、及び剥離作業者の右利き左利きにかかわらず、快適な剥離を実現するためには、第1の剥離始点用粘着抑制部及び第2の剥離始点用粘着抑制部の組の数は、2組、3組、又は4組であってよい。
【0045】
本発明のシークレットラベルが第1の剥離始点用粘着抑制部及び第2の剥離始点用粘着抑制部を2組以上有する場合、各組の第1の剥離始点用粘着抑制部及び第2の剥離始点用粘着抑制部の態様は、同じであってもよいし、相違していてもよい。
【0046】
(粘着抑制層の具体例)
図1A及び図1Bに、本発明のシークレットラベルにおける粘着抑制層の構成例をそれぞれ示した。図1A及び図1Bは、いずれも、シークレットラベルの角部の1つを示す拡大上面図である。
【0047】
図1Aのシークレットラベルでは、矩形のラベル基材(11)と、ラベル基材(11)上の粘着層(図示せず)と、粘着層上の粘着抑制層(20)とを有する。ラベル基材(11)は、角部の頂点が微小の丸みを有している。粘着抑制層(20)は、第1の剥離始点用粘着抑制部(21)と、第2の剥離始点用粘着抑制部(22)とを有する。
【0048】
第1の剥離始点用粘着抑制部(21)は、ラベル基材(11)の矩形の角を1つの頂点とする直角三角形状である。ここで、ラベル基材(11)の角部が丸みを有しているため、第1の剥離始点用粘着抑制部(21)の直角三角形の直角の頂点も、ラベル基材(11)と同じ丸みを有している。この直角三角形では、斜辺の長さはdで表され、2つの等辺の長さは、それぞれ、d及びdで表される。
【0049】
第2の剥離始点用粘着抑制部(22)は、第1の剥離始点用粘着抑制部(21)の直角三角形の斜辺に平行に、間隔iを開けて幅wを有するストライプ状に配置されている。この第2の剥離始点用粘着抑制部(22)は、ラベル基材(11)の矩形の一角を形成する2つの辺の片方から他方へ、幅wを有する直線状で連続的に存在している。
【0050】
図1Aの粘着抑制層(20)は、第1の剥離始点用粘着抑制部(21)及び第2の剥離始点用粘着抑制部(22)の組を、1組以上4組以下の範囲で有していてよく、これら以外に、後述の剥離継続用粘着抑制部を更に有していてよい。
【0051】
図1Bのシークレットラベルでは、矩形のラベル基材(12)と、ラベル基材(12)上の粘着層(図示せず)と、粘着層上の粘着抑制層(30)とを有する。ラベル基材(12)は、角部の頂点が微小の丸みを有している。粘着抑制層(30)は、第1の剥離始点用粘着抑制部(31)と、第2の剥離始点用粘着抑制部(35)とを有する。
【0052】
図1Bにおける第1の剥離始点用粘着抑制部(31)は、図1Aの第1の剥離始点用粘着抑制部(21)と同様の直角三角形状である。この直角三角形の斜辺の長さはdで表され、2つの等辺の長さは、それぞれ、d及びdで表される。
【0053】
第2の剥離始点用粘着抑制部(35)は、第1の剥離始点用粘着抑制部(31)の直角三角形の斜辺に平行に、間隔iを開けて配置された幅wを有する第1のストライプ(32)と、第1のストライプ(32)に平行に、間隔iを開けて配置された幅wを有する第2のストライプ(33)とを含む。この第2の剥離始点用粘着抑制部(35)に含まれる第1のストライプ(32)及び第2のストライプ(33)は、いずれも、ラベル基材(12)の矩形の一角を形成する2つの辺の片方から他方へ、直線状で連続的に存在している。
【0054】
図1Bの粘着抑制層(30)は、第1の剥離始点用粘着抑制部(31)及び第2の剥離始点用粘着抑制部(35)の組を、1組以上4組以下の範囲で有していてよく、これら以外に、後述の剥離継続用粘着抑制部を更に有していてよい。
【0055】
(剥離継続用粘着抑制部)
本発明のシークレットラベルにおける粘着抑制層は、上記第1の剥離始点用粘着抑制部及び第2の剥離始点用粘着抑制部の他に、剥離継続用粘着抑制部を更に含んでいてよい。
【0056】
剥離継続用粘着抑制部は、第1の剥離始点用粘着抑制部及び第2の剥離始点用粘着抑制部によって形成された剥離の切っ掛け部を指先で摘まんで剥離するときに、剥離が容易かつ快適に行えるように、粘着層の粘着力を制限する機能を有する。
【0057】
したがって、この剥離継続用粘着抑制部は、第1の剥離始点用粘着抑制部及び第2の剥離始点用粘着抑制部、並びにこれらの間の間隙部と重複しない位置に存在していてよい。
【0058】
剥離継続用粘着抑制部は、粘着層の粘着力を適切に制限するために、パターン状であってよい。剥離継続用粘着抑制部のパターンは、例えば、ドット状、ストライプ状、格子状、市松模様状等、及びこれらの組み合わせ等であってよい。ドットは、円形ドット、楕円形ドット、円環ドット、楕円環ドット、シャワードット状の他、多角形(例えば、三角形、四角形、ハウンドトゥース型等)、アニマル柄等のドットも含まれる。ドットが連結して、ストライプ、格子、環等の図形を形成していてもよい。
【0059】
剥離継続用粘着抑制部のパターンの占有面積率、及び剥離継続用粘着抑制部の配置範囲は、それぞれ、剥離し易さについての所望の程度により、適宜に設定されてよい。
【0060】
〈粘着抑制層の構成材料〉
第1の剥離始点用粘着抑制部及び第2の剥離始点用粘着抑制部、並びに存在する場合には剥離継続用粘着抑制部は、剥離剤を配合したインキ、オーバープリントニス等から構成されていてよい。インキに配合される剥離剤としては、公知の材料を適宜選択して使用してよく、例えば、シリコーン化合物、シリカ、アルキルペンダントポリマー等であってよい。
【0061】
粘着抑制層が着色剤を含有すると、意匠上の効果が得られる他、はがき等に記入された情報がシークレットラベルを透かして視認可能になることを抑制することができ、好ましい。したがって、粘着抑制層を形成するためのインキ、オーバープリントニス等には、剥離剤の他、着色剤が配合されてよい。
【0062】
《シークレットラベル積層体》
本発明の別の観点では、剥離紙上に、本発明のシークレットラベルが貼付されている、シークレットラベル積層体が提供される。
【0063】
剥離紙は、剥離紙基材と剥離層とを有していてよい。剥離紙基材は、適宜の紙であってよい。剥離層は、例えばシリコーン樹脂等から構成されていてよい。
【0064】
本発明のシークレットラベル積層体は、このような剥離紙の剥離層側の面と、本発明のシークレットラベルの粘着抑制層側の面とが対向するように貼付されて構成されていてよい。
【実施例
【0065】
《実施例1》
(1)シークレットラベルの作製
4つの角部がそれぞれ微小の丸み(R)を有する、96.0mm×135.0mmの矩形の紙製ラベル基材の片面上に、粘着層、及びシリコーン系剥離剤を含む粘着抑制層をこの順に形成して、シークレットラベルを作製した。この粘着層は、ラベル基材の片面全面上に一様に形成され、粘着抑制層は、以下の仕様の第1の剥離始点用粘着抑制部、第2の剥離始点用粘着抑制部、及びパターン状の剥離継続用粘着抑制部から構成されるものとした。
【0066】
第1の剥離始点用粘着抑制部:ラベル基材の矩形の角を1つの頂点とする、斜辺の長さ21.2mm、等辺の長さ15.0mmの略直角二等辺三角形
第2の剥離始点用粘着抑制部:第1の剥離始点用粘着抑制部の斜辺から1.8mmの間隔を開けて平行に配置された、幅2.1mmのストライプ
第1及び第2の剥離始点用粘着抑制部の数:略直角二等辺三角形及びストライプから構成される組が、ラベル基材の4個の角に1組ずつ、計4組
剥離継続用粘着抑制部:数珠状に連結された菱形ドットの直線が、複数平行に配置されたパターン、ここで、菱形ドットの直線は、矩形のラベル基材の一辺と角度をなすように配置されている。
【0067】
実施例1で形成した粘着抑制層のパターンを図2(a)に示した。また、第1の剥離始点用粘着抑制部、及び第2の剥離始点用粘着抑制部の組の拡大図を図2(b)に示した。
【0068】
(2)評価
(2-1)「浮き性」の評価
得られたシークレットラベルをはがきに貼付した。はがきの角部を軽く曲げたとき、及び大きく曲げたとき、それぞれの場合に、シークレットラベルの角がはがきから浮く程度を調べた。結果を表1に示す。
【0069】
はがきの角部を軽く曲げるとは、はがきの平面に対するはがき角部(頂点)の変位量が約10mmとなるように、シークレットラベル側を湾曲の外側として、はがきの角部を曲げることをいう。はがきの角部を大きく曲げるとは、はがきの平面に対するはがき角部(頂点)の変位量を約20mmとする他は、前記と同じように曲げることをいう。
【0070】
シークレットラベルの角がはがきから浮く程度の評価は、以下の基準によった。
大:シークレットラベルが、指先でつまんで剥離することが容易な程度に大きく浮いた場合
小:シークレットラベルがまったく浮かなかった場合、又はシークレットラベルの浮きが、指先でつまんで剥離することが容易ではない程度に小さかった場合
【0071】
(2-2)剥離性の評価(官能試験)
試験サンプルとして、シークレットラベルを貼付したはがきサンプル100枚を準備した。これらのサンプル上のシークレットラベルを、1枚/1秒の作業ペースで人の手によって剥離させ、剥離し易いか否かを調べ、以下の基準で評価した。結果を表1に示す。
A:100枚全部が剥離し易かった場合
C:100枚のうちに剥離し難いサンプルがあった場合
【0072】
(2-3)封入封緘試験
試験サンプルとして、シークレットラベルを貼付した剥離紙サンプル2,000枚を準備した。これらのサンプルを用いて、市販の封入封緘機により封筒中に封入及び封緘する試験を行い、封入中にシークレットラベルが剥離してしまった枚数を調べ、以下の基準で評価した。結果を表1に示す。
A:2,000枚全部が、剥離せずに無事に封入封緘できた場合
B:2,000枚のうち、剥離が発生したサンプルの枚数が1枚又は2枚であった場合
C:2,000枚のうち、剥離が発生したサンプルの枚数が3枚以上であった場合
【0073】
《実施例2》
第2の剥離始点用粘着抑制部を、第1の剥離始点用粘着抑制部の斜辺から1.8mmの間隔を開けて平行に配置された幅2.1mmの第1のストライプと、この第1のストライプから更に1.8mmの間隔を開けて平行に配置された同幅の第2のストライプとの2本構成とした他は、実施例1と同様にして、シークレットラベルを作製し、各種の評価を行った。評価結果は表1に示す。
【0074】
実施例2で形成した粘着抑制層のパターンを図3(a)に示した。また、第1の剥離始点用粘着抑制部、及び第2の剥離始点用粘着抑制部の組の拡大図を図3(b)に示した。
【0075】
《比較例1》
第2の剥離始点用粘着抑制部を形成しなかった他は、実施例1と同様にして、シークレットラベルを作製し、各種の評価を行った。評価結果は表1に示す。
【0076】
比較例1で形成した粘着抑制層のパターンを図4(a)に示した。また、第1の剥離始点用粘着抑制部の拡大図を図4(b)に示した。
【0077】
《比較例2》
第1の剥離始点用粘着抑制部を、ラベル基材の矩形の角を1つの頂点とする、斜辺の長さ29.0mm、等辺の長さ20.5mmの略直角二等辺三角形とした他は、比較例1と同様にして、シークレットラベルを作製し、各種の評価を行った。評価結果は表1に示す。
【0078】
なお、比較例2では、剥離紙に貼付けた後のシークレットラベルの角部の浮きが大きく、封入封緘機の紙詰まりが懸念されたため、封入封緘試験は行わなかった。
【0079】
比較例2で形成した粘着抑制層のパターンを図5(a)に示した。また、第1の剥離始点用粘着抑制部の拡大図を図5(b)に示した。
【0080】
【表1】
【0081】
第1の剥離始点用粘着抑制部を有するが、第2の剥離始点用粘着抑制部を有さない比較例1のシークレットシートは、浮き性の評価において、角部を軽く曲げたとき、及び大きく曲げたときの双方で、浮きの程度が小さかった。このような比較例1のシークレットシートは、封入封緘試験の結果は良好であったが、剥離性試験の結果は劣っていた。
【0082】
この比較例1のシークレットシートに比べて、第1の剥離始点形成用粘着抑制部の大きさを大きくした比較例2のシークレットシートは、浮き性の評価において、角部を軽く曲げたとき、及び大きく曲げたときの双方で、浮きの程度が大きかった。そのため、剥離性試験の結果は良好であったが、封入封緘機の紙詰まりが懸念されたため、封入封緘試験の実施は断念した。
【0083】
これらの比較例に対して、第1の剥離始点用粘着抑制部とともに、第2の剥離始点用粘着抑制部を有する実施例1及び実施例2のシークレットシートは、浮き性の評価において、角部を軽く曲げたときの浮きは小さく、大きく曲げたときの浮きは大きかった。このような実施例1及び実施例2のシークレットシートは、剥離性試験及び封入封緘試験の双方で、バランスの取れた優れた結果を示した。
【符号の説明】
【0084】
11、12 ラベル基材
20 粘着抑制層
21 第1の剥離始点用粘着抑制部
22 第2の剥離始点用粘着抑制部
30 粘着抑制層
31 第1の剥離始点用粘着抑制部
32 第2の剥離始点用粘着抑制部(第1のストライプ)
33 第2の剥離始点用粘着抑制部(第2のストライプ)
35 第2の剥離始点用粘着抑制部
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5