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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-04
(45)【発行日】2022-08-15
(54)【発明の名称】加工方法及び加工装置
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/04 20140101AFI20220805BHJP
   B23K 26/382 20140101ALI20220805BHJP
【FI】
B23K26/04
B23K26/382
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018111015
(22)【出願日】2018-06-11
(65)【公開番号】P2019214054
(43)【公開日】2019-12-19
【審査請求日】2021-03-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105887
【弁理士】
【氏名又は名称】来山 幹雄
(72)【発明者】
【氏名】山口 友之
【審査官】柏原 郁昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-263803(JP,A)
【文献】再公表特許第2013/114593(JP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2001/0049589(US,A1)
【文献】特開昭58-014533(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/04
B23K 26/382
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工面が複数の単位領域に区分され、前記単位領域の各々に対応して複数のアライメントマークが設けられ、前記単位領域の内部に複数の被加工点の位置が定義された基板の、前記単位領域の各々の内部の前記複数の被加工点の加工を行う工程を含み、
前記単位領域の加工ごとに、次に加工すべき前記単位領域に対応する前記複数のアライメントマークの位置を検出し、前記複数のアライメントマークの位置の検出結果に基づいて前記複数の被加工点のそれぞれに定義された位置を補正し、補正後の位置に対して加工を行う加工方法。
【請求項2】
前記アライメントマークの位置を検出した後、前記アライメントマークの位置の検出結果に基づいて前記基板の歪みを表す歪み情報を求め、前記歪み情報に基づいて前記被加工点の位置を補正し、前記被加工点の加工を行う際に、補正後の前記被加工点の位置に基づいて加工を行う請求項1に記載の加工方法。
【請求項3】
レーザビームを出力するレーザ光源と、
前記レーザ光源から出力されたレーザビームを、基板の表面に入射させるとともに、入射位置を前記基板の表面上で移動させるビーム走査器と、
前記基板に設けられた複数のアライメントマークを検知するセンサと、
被加工面が複数の単位領域に区分され、前記被加工面の複数の被加工点の位置を記憶しており、前記単位領域の加工ごとに、次に加工すべき前記単位領域に対応する前記複数のアライメントマークの位置を、前記センサの検知結果から検出し、検出結果に基づいて前記ビーム走査器を制御して前記複数の被加工点のそれぞれに定義された位置を補正し、補正後の位置に対して順番にレーザビームを入射させる制御装置と
を有する加工装置。
【請求項4】
複数のアライメントマークが設けられており、加工すべき複数の被加工点の位置が定義されている基板の、少なくとも一部の前記アライメントマークの位置を検出する工程と、
前記アライメントマークの位置の検出結果に基づいて、前記複数の被加工点のうち一部の複数の被加工点のそれぞれに定義された位置を補正し、補正後の位置に対して加工を順番に行う工程と
を交互に複数回繰り返す加工方法。
【請求項5】
前記アライメントマークの位置を検出した後、前記アライメントマークの位置の検出結果に基づいて前記基板の歪みを表す歪み情報を求め、前記歪み情報に基づいて前記被加工点の位置を補正し、前記被加工点の加工を行う際に、補正後の前記被加工点の位置に基づいて加工を行う請求項4に記載の加工方法。
【請求項6】
レーザビームを出力するレーザ光源と、
前記レーザ光源から出力されたレーザビームを、基板の被加工面に入射させるとともに、入射位置を前記基板の表面上で移動させるビーム走査器と、
前記基板に設けられた複数のアライメントマークの各々を検知するセンサと、
前記被加工面の複数の被加工点のそれぞれの位置を記憶しており、前記センサの検知結果に基づいて前記レーザ光源及び前記ビーム走査器を制御する制御装置と
を有し、
前記制御装置は、少なくとも一部の前記複数のアライメントマークの位置を前記センサの検知結果に基づいて検出する処理と、前記アライメントマークの位置の検出結果に基づいて前記レーザ光源及び前記ビーム走査器を制御して、前記複数の被加工点のうち一部の複数の被加工点のそれぞれに定義された位置を補正し、補正後の位置に対して加工を順番に行う処理とを、交互に複数回繰り返す加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工方法及び加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、レーザビームを用いて基板に穴明け加工を行う場合、規定位置に形成されたアライメントマークの位置を、加工前に基板ごとに測定していた(特許文献1)。アライメントマークの位置の測定結果に基づいて基板の位置を検知し、予め決められている被加工点にレーザビームを入射させる。これにより、アライメントマークを基準として、予め位置が決められている被加工点のレーザ加工、例えば穴明け加工を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2013/114593号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願の発明者による評価実験によると、アライメントマークの位置を正確に検出(測定)し、検出結果に基づいて被加工点にレーザビームを入射させても、実際にレーザビームの入射によって加工された点が、目標とする被加工点からずれてしまう場合があることが分かった。本発明の目的は、予め決められている被加工点の位置と、実際に加工される位置とのずれを小さくすることが可能な加工方法及び加工装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一観点によると、
被加工面が複数の単位領域に区分され、前記単位領域の各々に対応して複数のアライメントマークが設けられ、前記単位領域の内部に複数の被加工点の位置が定義された基板の、前記単位領域の各々の内部の前記複数の被加工点の加工を行う工程を含み、
前記単位領域の加工ごとに、次に加工すべき前記単位領域に対応する前記複数のアライメントマークの位置を検出し、前記複数のアライメントマークの位置の検出結果に基づいて前記複数の被加工点のそれぞれに定義された位置を補正し、補正後の位置に対して加工を行う加工方法が提供される。
【0006】
本発明の他の観点によると、
レーザビームを出力するレーザ光源と、
前記レーザ光源から出力されたレーザビームを、基板の表面に入射させるとともに、入射位置を前記基板の表面上で移動させるビーム走査器と、
前記基板に設けられた複数のアライメントマークを検知するセンサと、
被加工面が複数の単位領域に区分され、前記被加工面の複数の被加工点の位置を記憶しており、前記単位領域の加工ごとに、次に加工すべき前記単位領域に対応する前記複数のアライメントマークの位置を、前記センサの検知結果から検出し、検出結果に基づいて前記ビーム走査器を制御して前記複数の被加工点のそれぞれに定義された位置を補正し、補正後の位置に対して順番にレーザビームを入射させる制御装置と
を有する加工装置が提供される。
【0007】
本発明のさらに他の観点によると、
複数のアライメントマークが設けられており、加工すべき複数の被加工点の位置が定義されている基板の、少なくとも一部の前記アライメントマークの位置を検出する工程と、
前記アライメントマークの位置の検出結果に基づいて、前記複数の被加工点のうち一部の複数の被加工点のそれぞれに定義された位置を補正し、補正後の位置に対して加工を順番に行う工程と
を交互に複数回繰り返す加工方法が提供される。
【0008】
本発明のさらに他の観点によると、
レーザビームを出力するレーザ光源と、
前記レーザ光源から出力されたレーザビームを、基板の被加工面に入射させるとともに、入射位置を前記基板の表面上で移動させるビーム走査器と、
前記基板に設けられた複数のアライメントマークの各々を検知するセンサと、
前記被加工面の複数の被加工点のそれぞれの位置を記憶しており、前記センサの検知結果に基づいて前記レーザ光源及び前記ビーム走査器を制御する制御装置と
を有し、
前記制御装置は、少なくとも一部の前記複数のアライメントマークの位置を前記センサの検知結果に基づいて検出する処理と、前記アライメントマークの位置の検出結果に基づいて前記レーザ光源及び前記ビーム走査器を制御して、前記複数の被加工点のうち一部の複数の被加工点のそれぞれに定義された位置を補正し、補正後の位置に対して加工を順番に行う処理とを、交互に複数回繰り返す加工装置が提供される。
【発明の効果】
【0009】
予め決められている被加工点の位置と、実際に加工される位置とのずれを小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施例によるレーザ加工装置の概略図である。
図2図2は、加工対象の基板の平面図である。
図3図3は、実施例による加工方法のフローチャートである。
図4図4は、ビーム走査器の走査可能範囲と単位領域との大きさの関係の一例を示す図である。
図5図5は、ビーム走査器の走査可能範囲と単位領域との大きさの関係の他の例を示す図である。
図6図6は、他の実施例による加工方法で加工される基板の平面図である。
図7図7は、さらに他の実施例による加工方法で加工対象となる基板の平面図である。
図8図8は、図7に示した基板の加工を行う実施例による加工方法のフローチャートである。
図9図9Aは、さらに他の実施例による加工方法の加工前の基板の断面図であり、図9Bは、基板の上面の加工を行った後の基板の断面図であり、図9Cは、基板の表裏を反転させた後の基板の断面図であり、図9Dは、基板の下面の加工を行った後の基板の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1図3を参照して、実施例による加工方法及び加工装置について説明する。
図1は、実施例によるレーザ加工装置の概略図である。レーザ光源10がパルスレーザビームを出力する。レーザ光源10として、例えば炭酸ガスレーザ発振器を用いることができる。レーザ光源10から出力されたパルスレーザビームが音響光学素子(AOM)11、ミラー12、ビーム走査器13、及び集光レンズ14を経由して、ステージ17に保持された加工対象の基板30に入射する。
【0012】
AOM11は、制御装置20からの指令により、レーザ光源10から出力されたパルスレーザビームのレーザパルスから、加工に用いる一部分を切り出す。切り出されたレーザパルスは加工対象物である基板30に向かい、残りのパルスレーザビームはビームダンパ15に入射する。
【0013】
ビーム走査器13は、制御装置20からの指令を受け、レーザビームを二次元方向に走査することにより、基板30の表面におけるパルスレーザビームの入射位置を移動させる。ビーム走査器13として、例えば一対のガルバノミラーを有するガルバノスキャナを用いることができる。
【0014】
集光レンズ14は、ビーム走査器13によって走査されたパルスレーザビームを基板30の表面(被加工面)に集光させる。集光レンズ14として、例えばfθレンズを用いることができる。
【0015】
ステージ17の上方にセンサ16が配置されている。センサ16は、ステージ17に保持された基板30に設けられているアライメントマークを検知する。例えば、センサ16として撮像装置が用いられる。撮像装置は、基板30の被加工面を撮像し、画像データを生成する。撮像装置で生成された画像データが制御装置20に読み込まれる。
【0016】
ステージ17は、制御装置20からの指令を受けて、基板30を、その被加工面に平行な二次元方向に移動させる。ステージ17として、例えばXYステージを用いることができる。基板30を移動させて、基板30に設けられているアライメントマークをセンサ16の検知可能範囲に配置させることにより、センサ16でアライメントマークを検知することが可能になる。
【0017】
制御装置20は記憶装置21を含んでいる。記憶装置21に、基板30の被加工面に定義されている複数の被加工点の位置が記憶されている。制御装置20は、センサ16の検知結果に基づいて、基板30に設けられたアライメントマークの位置を検出する機能を有する。例えば、制御装置20は、センサ16から取得した画像データを画像解析することにより、アライメントマークの位置を検出する。さらに、制御装置は、アライメントマークの位置の検出結果に基づいて、レーザビームが被加工点に入射するようにビーム走査器13を制御する。
【0018】
レーザ光源10から基板30までのパルスレーザビームの光路には、必要に応じてレンズ系、アパーチャ等が配置される場合がある。
【0019】
図2は、加工対象の基板30の平面図である。基板30の被加工面が複数の単位領域32に区分されている。ここで「区分」とは、加工する際に単位領域32を1つのまとまりとして取り扱うことを意味しており、外観上、単位領域32を識別できることを意味しているわけではない。図2では、一例として、2行3列の行列状に6個の単位領域32が配置されており、単位領域32の各々の形状が長方形である例を示している。他の例として、単位領域32の個数は6個以外でもよい。複数の単位領域32の配置は行列状でなくてもよい。また、単位領域32の各々の形状は、長方形でなくてもよい。
【0020】
単位領域32の各々に対応して、単位領域32の内部に複数のアライメントマーク31が設けられている。図2では、一例として、単位領域32の各々の四隅のやや内側に、それぞれアライメントマーク31が配置されている例を示している。アライメントマーク31は、ステージ17を基準とした単位領域32の位置、及び被加工面に垂直な軸を中心とした回転方向の姿勢を特定できるように配置するとよい。さらに、単位領域32の歪みを測定することができるように配置するとよい。
【0021】
単位領域32の各々の内部に、複数の被加工点33の位置が予め定義されている。複数の被加工点33の位置を定義する情報は、制御装置20の記憶装置21に記憶されている。加工前には、被加工点33を外観上認識することはできない。
【0022】
図3は、本実施例による加工方法のフローチャートである。まず、制御装置20が、次に加工すべき1つの単位領域32(図2)に対応するアライメントマーク31の位置を検出する(ステップSA1)。以下、アライメントマーク31の位置を検出する手順について説明する。制御装置20がステージ17を制御して、次に加工すべき単位領域32に対応する1つのアライメントマーク31を、センサ16(図1)の検知可能範囲内に移動させる。制御装置20は、センサ16で得られた画像データの解析を行うことにより、アライメントマーク31の位置を検出する。同様に、残りの複数のアライメントマーク31の位置を検出する。
【0023】
制御装置20は、アライメントマーク31の位置の検出結果に基づいて、レーザ光源10、AOM11、及びビーム走査器13を制御する。これにより、位置を検出したアライメントマーク31に対応する単位領域32内の複数の被加工点33に順番にレーザビームを入射させて、単位領域32内のすべての被加工点33の加工を行う(ステップSA2)。
【0024】
制御装置20は、すべての単位領域32内のすべての被加工点33の加工が完了するまで、ステップSA1及びステップSA2を繰り返し実行する(ステップSA3)。
【0025】
次に、本実施例の優れた効果について説明する。
本願発明者が行った評価実験によると、基板30(図2)の被加工点33にレーザビームの入射によって貫通孔を形成すると、基板30に歪みが生じ得ることが判明した。特に、基板30の厚さが0.04mm以下のとき、基板30が歪む現象が生じやすいことが分かった。従来は、基板30の加工を行う前にアライメントマーク31の位置を検出し、その検出結果に基づいて全ての単位領域32の加工を行っていた。加工が進むに従って基板30に歪みが生じると、歪みが生じた後に加工を行う被加工点33においては、加工すべき本来の被加工点33の位置と、レーザビームが入射する位置とがずれてしまう。このような現象は、本願の出願時点では知られていなかった。
【0026】
本実施例では、単位領域32の加工ごとに、加工前に、次に加工すべき単位領域32に対応するアライメントマーク31の位置を検出する。1つの単位領域32の加工によって基板30に歪みが生じたとしても、次に加工すべき単位領域32の加工の直前に、歪みが生じた後の基板30のアライメントマーク31の位置が検出される。このアライメントマーク31の位置の検出結果に基づいて被加工点33の加工を行うため、基板30の歪みの影響を軽減することができる。その結果、基板30の被加工面内の本来の被加工点33の位置と、実際の加工位置とのずれを少なくすることができる。
【0027】
次に、歪みの影響を軽減するための一例について説明する。例えば、制御装置20は、歪みが生じた後の基板30のアライメントマーク31の位置の検出結果に基づいて、基板30の歪みに関する情報(歪み情報)を取得する。制御装置20は、基板30の歪み情報に基づいて、記憶装置21に記憶されている被加工点33の位置情報で特定される位置を補正し、補正後の被加工点33の位置にレーザビームを入射させる。これにより、加工すべき本来の位置にレーザビームを入射させることが可能になり、加工の位置精度を高めることができる。
【0028】
特に、基板30に貫通孔を形成する加工を行う場合、貫通孔が形成されると、真空チャックの吸引力が低下することにより、基板30に歪みが生じやすい。また、基板30の厚さが0.04mm以下の場合に、基板に歪みが生じやすい。従って、厚さ0.04mm以下の基板に貫通孔を形成する加工を行う場合に、本実施例の顕著な効果が得られる。
【0029】
次に、図4及び図5を参照して、ビーム走査器13(図1)の走査可能範囲と単位領域32との大きさの関係について説明する。
図4は、ビーム走査器13の走査可能範囲35と単位領域32との大きさの関係の一例を示す図である。ビーム走査器13は、基板30を移動させることなく走査可能範囲35の内部の任意の点にレーザビームを入射させることができる。図4に示した例では、走査可能範囲35の内部に、少なくとも1つの単位領域32が収まる。この場合には、図3のステップSA2において、1つの単位領域32内の被加工点33の加工を行うときに、ステージ17を移動させることなく基板30を静止させた状態で加工を行う。1つの単位領域32の加工が終了すると、ステップSA1でアライメントマーク31の位置を検出するときに、ステージ17を移動させればよい。
【0030】
図5は、ビーム走査器13の走査可能範囲35と単位領域32との大きさの関係の他の例を示す図である。図5に示した例では、単位領域32が走査可能範囲35より大きい。この場合には、図3のステップSA2において、1つの単位領域32内の被加工点33の加工を行うときに、走査可能範囲35内の被加工点33の加工を行う。その後、ステージ17を移動させて、加工中の単位領域32内の未加工の被加工点33が分布する領域を走査可能範囲35内に配置すればよい。
【0031】
図1図3に示した実施例は、走査可能範囲35が単位領域32より大きい場合、及び単位領域32が走査可能範囲35より大きい場合のいずれにも適用可能である。
【0032】
次に、図6を参照して他の実施例について説明する。
図6は、他の実施例による加工方法で加工される基板30の平面図である。図2に示した実施例では、単位領域32の各々に対応する複数のアライメントマーク31が、当該単位領域32の内部に配置されていた。図6に示した実施例では、一部のアライメントマーク31が隣り合う単位領域32の仮想的な境界線上に配置されている。すなわち、1つのアライメントマーク31が複数の単位領域32で共用される。本実施例のように、1つのアライメントマーク31を複数の単位領域32に対応付けてもよい。
【0033】
次に、図7及び図8を参照して、さらに他の実施例について説明する。以下、図1図3に示した実施例と共通の構成については説明を省略する。
図7は、本実施例による加工方法で加工対象となる基板30の平面図である。図2に示した実施例では、基板30の被加工面が複数の単位領域32に区分されていた。図7に示した実施例では、被加工面が単位領域32に区分されておらず、複数のアライメントマーク31が、基板30の被加工面内に配置されている。
【0034】
図8は、本実施例による加工方法のフローチャートである。まず、制御装置20が、少なくとも一部のアライメントマーク31の位置を検出する(ステップSB1)。アライメントマーク31の位置の直前の検出結果に基づいて、次に加工すべき被加工点33の加工を行う(ステップSB2)。1つの被加工点33の加工が完了すると、全ての被加工点33の加工が終了したか否かを判定する(ステップSB3)。未加工の被加工点33が残っている場合は、制御装置20は、アライメントマーク31の位置の再検出を行うか否かを判定する(ステップSB4)。例えば、直前にアライメントマーク31の位置の検出を行った時点から所定の個数の被加工点33の加工を行った場合に、再検出を行うようにするとよい。また、直前にアライメントマーク31の位置の検出を行った時点から所定の時間が経過した場合に、再検出を行うようにするとよい。
【0035】
アライメントマーク31の位置の再検出を行わない場合は、アライメントマーク31の位置の直前の検出結果に基づいて、次に加工すべき被加工点33の加工を行う(ステップSB2)。アライメントマーク31の位置の再検出を行う場合には、少なくとも一部のアライメントマーク31の位置を検出する(ステップSB1)。その後、次に加工すべき被加工点33の加工を行う(ステップSB2)。このときに位置を検出する一部のアライメントマーク31は、その前に位置を検出した一部のアライメントマーク31と同一のものであるとは限らない。通常は、検出されるアライメントマーク31の少なくとも1つは、その前に検出されたアライメントマーク31とは異なる。
【0036】
被加工点33の加工、及びアライメントマーク31の位置の再検出の処理を、全ての被加工点33の加工が終了するまで交互に複数回繰り返す。
【0037】
ステップSB1で、少なくとも一部のアライメントマーク31の位置を検出する処理において、基板30の位置、及び被加工面に垂直な軸を中心とした回転方向の姿勢を特定できるように、位置を検出すべきアライメントマーク31を選択するとよい。さらに、基板30の歪みを測定することができるように、検出対象のアライメントマーク31を選択するとよい。また、次に加工すべき被加工点33に近い位置のアライメントマーク31を選択するとよい。例えば、次に加工すべき被加工点33に近い順に、複数個、例えば4個のアライメントマーク31の位置を検出するとよい。
【0038】
上述のように、本実施例では、複数の被加工点33の加工を順番に行っている期間の途中に、少なくとも一部のアライメントマーク31の位置を検出する。アライメントマーク31の位置を検出した後に加工を行う被加工点33については、加工途中の直前の検出結果に基づいて加工を行う。
【0039】
次に、図7及び図8に示した実施例の優れた効果について説明する。本実施例では、複数の被加工点33を順番に加工している期間の途中で少なくとも一部のアライメントマーク31の位置を検出する。その後の加工では、直近に検出したアライメントマーク31の位置の検出結果に基づいて、被加工点33の加工を行う。このように、加工の前に一度だけアライメントマーク31の位置を検出する方法と比べて、基板30の歪みが大きくなる前に、歪みを考慮して被加工点33の位置を補正することができる。その結果、本来加工すべき被加工点33の位置と、実際に加工される位置とのずれを少なくすることができる。
【0040】
位置ずれを少なくするために、位置を検出する一部のアライメントマーク31として、次に加工すべき被加工点33に近い順に複数のアライメントマーク31を採用するとよい。位置を検出するアライメントマーク31の個数は、基板30の歪みに関する情報を取得するために、4個以上とすることが好ましい。
【0041】
次に、図9A図9Dを参照して、さらに他の実施例による加工方法について説明する。
図9Aは、加工前の基板30の断面図である。ステージ17の上に基板30が保持される。基板30は、樹脂からなるコア層40の両面にそれぞれ銅箔41、42が貼り付けられた銅張積層板である。一方の銅箔41の表面を上面といい、他方の銅箔42の表面を下面ということとする。基板30に、下面から上面まで達する貫通孔からなるアライメントマーク31が設けられている。基板30の上面及び下面に、複数の被加工点33の位置が予め設定されている。上面の被加工点33の位置と下面の被加工点33の位置とは、基板30の面内に関して同一であり、被加工点33の位置は、制御装置20の記憶装置21に記憶されている。
【0042】
図9Bは、基板30の上面の加工を行った後の基板30の断面図である。制御装置20はアライメントマーク31の位置を検出し、検出結果に基づいて被加工点33(図9A)に順番にレーザビームを入射させる。これにより、被加工点33に凹部45が形成される。凹部45は銅箔41を貫通し、コア層40の途中まで達する。
【0043】
図9Cは、基板30の表裏を反転させた後の基板30の断面図である。上面側の銅箔41がステージ17に密着し、下面側の銅箔42の表面が上方を向く。制御装置20は、この状態で一部のアライメントマーク31の位置を検出する。
【0044】
図9Dは、基板30の下面の加工を行った後の基板30の断面図である。制御装置20は、基板30の下面の複数の被加工点33(図9A)に順番にレーザビームを入射させる。このとき、図3または図8に示した実施例による加工方法を採用する。下面の被加工点33に凹部が形成されることにより、上面に形成されていた凹部45(図9B)と繋がって貫通孔46が形成される。
【0045】
次に、図9A図9Dに示した実施例の優れた効果について説明する。
本実施例では、基板30に貫通孔46(図9D)が形成されて基板30に歪みが生じた場合でも、レーザビームを入射させる位置と、本来の被加工点33の位置とのずれを少なくすることができる。このため、上面に形成された凹部45(図9B)と下面に形成された凹部とを繋げて貫通孔46(図9D)を形成することができる。
【0046】
次に、本実施例の変形例について説明する。本実施例では、基板30の上面の被加工点33(図9B)の加工においては、図3または図8に示した実施例による加工方法を採用しなかった。これは、上面の加工においては貫通孔が形成されず、基板30の歪みが大きくならないと考えられるためである。上面の加工時にも基板30の歪みが大きくなると想定される場合には、上面の加工時にも、図3または図8に示した実施例による加工方法を採用するとよい。これにより、上面に形成された凹部45(図9B)と下面に形成される凹部との位置ずれをより少なくすることができる。
【0047】
本実施例では、まず基板30の上面に凹部を形成し、その後、基板30の表裏を反転させて下面に凹部を形成することにより、上面からの凹部と下面からの凹部とを繋げて貫通孔を形成した。基板30の片側からのレーザビームの入射によって一気に貫通孔を形成してもよい。この場合には、貫通孔を形成するときに、図3または図8に示した実施例による加工方法を採用するとよい。
【0048】
上述の各実施例は例示であり、異なる実施例で示した構成の部分的な置換または組み合わせが可能であることは言うまでもない。複数の実施例の同様の構成による同様の作用効果については実施例ごとには逐次言及しない。さらに、本発明は上述の実施例に制限されるものではない。例えば、種々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者に自明であろう。
【符号の説明】
【0049】
10 レーザ光源
11 音響光学素子(AOM)
12 ミラー
13 ビーム走査器
14 集光レンズ
15 ビームダンパ
16 センサ
17 ステージ
20 制御装置
21 記憶装置
30 基板
31 アライメントマーク
32 単位領域
33 被加工点
35 ビーム走査器の走査可能範囲
40 コア層
41、42 銅箔
45 凹部
46 貫通孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9