(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-04
(45)【発行日】2022-08-15
(54)【発明の名称】草刈り機
(51)【国際特許分類】
A01D 43/077 20060101AFI20220805BHJP
A01D 34/64 20060101ALI20220805BHJP
A01D 43/063 20060101ALI20220805BHJP
【FI】
A01D43/077
A01D34/64 A
A01D43/063 110
(21)【出願番号】P 2018116421
(22)【出願日】2018-06-19
【審査請求日】2020-06-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】上村 勝彦
(72)【発明者】
【氏名】伊東 寛和
【審査官】中村 圭伸
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-000032(JP,A)
【文献】米国特許第03134214(US,A)
【文献】特開2005-287342(JP,A)
【文献】特開2001-009380(JP,A)
【文献】特開平10-271903(JP,A)
【文献】特開平11-091926(JP,A)
【文献】特開2007-131401(JP,A)
【文献】特開2004-298039(JP,A)
【文献】特開2003-210018(JP,A)
【文献】特開2006-042754(JP,A)
【文献】特開2014-060942(JP,A)
【文献】米国特許第06226967(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0198630(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 34/42 - 34/90
A01D 43/06 - 43/077
B65G 15/00 - 15/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右一対の前車輪及び左右一対の後車輪を有する車体と、
前記前車輪と前記後車輪との間に設けられ、走行地面の草を刈り取る草刈装置と、
前記車体の後方に設けられる集草容器と、
前記左右一対の後車輪の間を通る状態で前記草刈装置と前記集草容器とに亘って設けられ、前記草刈装置から排出される刈り草を前記集草容器に搬送する搬送ダクトと、が備えられ、
前記搬送ダクトの搬送底面を形成し、かつ、前記草刈装置から排出される刈り草を前記集草容器に向けて搬送する駆動可能なベルトコンベヤが備えられ、
前記ベルトコンベヤの搬送終端部が前記集草容器の内部に入り込んでおり、
前記搬送ダクトは、車体後方向きに開口する排出口を有し、
前記集草容器は、前記集草容器の上部に設けられた車体横幅方向の枢支軸芯を揺動支点にして、前記集草容器の刈り草出入口が前記排出口に対向する下降集草姿勢と、前記刈り草出入口が前記排出口に対して後上側に離間する上昇排出姿勢と、に亘って上下揺動可能な状態で支持され、
前記搬送終端部の上方に設けられ、前記集草容器が前記上昇排出姿勢に姿勢変更されたとき、前記刈り草出入口のうちの前記搬送終端部に対応する出入口部分に入り込んで前記出入口部分を塞ぐ塞ぎ部材が備えられ
、
前記集草容器が前記上昇排出姿勢に姿勢変更されたとき、前記塞ぎ部材が前記出入口部分を塞ぎ、
前記塞ぎ部材の上部に形成され、前記集草容器が前記上昇排出姿勢に姿勢変更されたとき、前記出入口部分に入り込み、前記ベルトコンベヤから離れるほど低くなる傾斜を有し、前記集草容器の内部の刈り草を前記ベルトコンベヤよりも後側に向けて落下するように落下案内する案内部が備えられている草刈り機。
【請求項2】
前記搬送終端部において前記ベルトコンベヤの搬送面に作用するスクレーパが備えられている請求項
1に記載の草刈り機。
【請求項3】
前記ベルトコンベヤの下側に設けられ、前記ベルトコンベヤを駆動する電動モータが備えられている請求項1
または2に記載の草刈り機。
【請求項4】
前記電動モータの回転速度変更が可能に構成されている請求項
3に記載の草刈り機。
【請求項5】
前記後車輪に動力を伝達する後輪駆動軸が前記ベルトコンベヤの搬送経路側部分と戻り経路側部分との間を車体横幅方向に通っている請求項1から
4のいずれか一項に記載の草刈り機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、左右一対の前車輪及び左右一対の後車輪を有する車体と、前記前車輪と前記後車輪との間に設けられ、走行地面の草を刈り取る草刈装置と、前記車体の後方に設けられる集草容器と、が備えられた草刈り機に関する。
【背景技術】
【0002】
上記した草刈り機において、例えば特許文献1に示されるように、左右の後車輪の間を通る状態でモーア(草刈装置に相当)と集草容器とに亘って設けられ、モーアによる刈り草をモーアから集草容器に搬送するダクト(搬送ダクトに相当)が備えられたものがある。特許文献1に示されるものでは、ダクトの底壁を上下揺動可能に構成すると共に操作レバーによって揺動操作することを可能にされている。
【0003】
上記した草刈り機において、例えば特許文献2に示されるように、車体の横外側に設けられ、草刈り装置と集草容器とを連通させる搬送ダクト及びブロワ装置が備えられ、草刈り装置による刈り草が搬送ダクト及びブロワ装置によって草刈り装置から集草容器に搬送されるものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2001-45827号公報
【文献】特開2008-17781号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
湿り気が多いなどによって重い刈り草は、搬送ダクトに滞留しやすい。特許文献1に示されるように、搬送ダクトに滞留した刈り芝や刈り草を底壁の揺動によって搬送ダクトから出易くする場合、底壁を揺動操作する手間が掛かる。
【0006】
特許文献2に示されるように、刈り草の搬送力をブロワ装置によって向上させる場合、ブロワ装置が車体の横外側に出っ張るなど、草刈り機が大型になる。また、刈り草の搬送力をスクリューコンベヤによって向上させることが考えられるが、この場合も、草刈り機が大型になる。また、草刈り機が重量物になる。さらに、スクリューコンベヤは、草刈装置において発生する搬送風による搬送に対する抵抗になり、搬送風が無駄になる。
【0007】
本発明は、草刈り機が大型になったり、重くなったりすることを回避しつつ、重い刈り草でも集草容器にスムーズに搬送でき、かつ、特別な手間を掛けなくて済む草刈り機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による草刈り機は、左右一対の前車輪及び左右一対の後車輪を有する車体と、前記前車輪と前記後車輪との間に設けられ、走行地面の草を刈り取る草刈装置と、前記車体の後方に設けられる集草容器と、前記左右一対の後車輪の間を通る状態で前記草刈装置と前記集草容器とに亘って設けられ、前記草刈装置から排出される刈り草を前記集草容器に搬送する搬送ダクトと、が備えられ、前記搬送ダクトの搬送底面を形成し、かつ、前記草刈装置から排出される刈り草を前記集草容器に向けて搬送する駆動可能なベルトコンベヤが備えられ、前記ベルトコンベヤの搬送終端部が前記集草容器の内部に入り込んでおり、前記搬送ダクトは、車体後方向きに開口する排出口を有し、前記集草容器は、前記集草容器の上部に設けられた車体横幅方向の枢支軸芯を揺動支点にして、前記集草容器の刈り草出入口が前記排出口に対向する下降集草姿勢と、前記刈り草出入口が前記排出口に対して後上側に離間する上昇排出姿勢と、に亘って上下揺動可能な状態で支持され、前記搬送終端部の上方に設けられ、前記集草容器が前記上昇排出姿勢に姿勢変更されたとき、前記刈り草出入口のうちの前記搬送終端部に対応する出入口部分に入り込んで前記出入口部分を塞ぐ塞ぎ部材が備えられ、前記集草容器が前記上昇排出姿勢に姿勢変更されたとき、前記塞ぎ部材が前記出入口部分を塞ぎ、前記塞ぎ部材の上部に形成され、前記集草容器が前記上昇排出姿勢に姿勢変更されたとき、前記出入口部分に入り込み、前記ベルトコンベヤから離れるほど低くなる傾斜を有し、前記集草容器の内部の刈り草を前記ベルトコンベヤよりも後側に向けて落下するように落下案内する案内部が備えられている。
【0009】
本構成によると、草刈装置から搬送ダクトに排出された刈り草が軽い場合、搬送ダクト内で失速せず、草刈装置において発生する搬送風によって集草容器まで搬送される。草刈装置から搬送ダクトに排出された刈り草が重くて搬送ダクト内で失速しても、ベルトコンベヤによって受け止められ、ベルトコンベヤによって集草容器に搬送される。
【0010】
従って、重い刈り草であっても、搬送ダクトに滞留しないで集草容器にスムーズに搬送される。底壁を揺動させるなどの特別な手間を掛けなくて済む。草刈装置において発生する搬送風を無駄にしないので、搬送ダクトの底部にベルトコンベヤを設けるだけで済み、草刈り機があまり大型になったり、重くなったりしない。
また、本構成によると、ベルトコンベヤによって搬送される刈り草がベルトコンベヤの搬送終端部から落下するとき、集草容器の内部で落下するので、刈り草が集草容器に的確に収容される。
また、本構成によると、上昇排出姿勢にした集草容器から刈り草を排出するとき、刈り草出入口のうちの出入口部分が塞ぎ部材によって塞がれて集草容器内の刈り草が出入口部分から落下しないので、集草容器から排出される刈り草がベルトコンベヤの上に落下して載ることを回避し易い。刈り草がベルトコンベヤに載った場合、載った刈り草を取り除くための手間やベルトコンベヤの駆動が必要になるが、この手間や駆動を省略できる。
また、刈り草が集草容器から排出されるとき、塞ぎ部材の作用によって刈り草出入口のうちの出入口部分から落下しないのに加え、刈り草が案内部によって落下案内されてベルトコンベヤよりも後側向けた落下するので、集草容器から排出される刈り草がベルトコンベヤの上に落下して載ることをより回避し易い。
【0011】
【0012】
【0013】
【0014】
【0015】
【0016】
【0017】
本発明においては、前記搬送終端部において前記ベルトコンベヤの搬送面に作用するスクレーパが備えられていると好適である。
【0018】
本構成によると、ベルトコンベヤの搬送面に湿気などによって付着し易い刈り草でも、スクレーパによる掻き取り作用を受けてコンベヤから外れるので、集草容器に的確に収容される。
【0019】
本発明においては、前記ベルトコンベヤの下側に設けられ、前記ベルトコンベヤを駆動する電動モータが備えられていると好適である。
【0020】
本構成によると、ベルトコンベヤの近くからベルトコンベヤに動力を伝達できるので、電動モータは、電線を接続するだけで駆動できるので、ベルトコンベヤの駆動構造を構造簡単に得られる。
【0021】
本発明においては、前記電動モータの回転速度変更が可能に構成されていると好適である。
【0022】
本構成によると、草刈装置の刈り草排出量が多い場合、ベルトコンベヤに多量の刈り草が纏まって載らないようにベルトコンベヤの送り速度を速くするなど、刈り草の量や性状などに対応させてベルトコンベヤの駆動速度を調節できる。
【0023】
本発明においては、前記後車輪に動力を伝達する後輪駆動軸が前記ベルトコンベヤの搬送経路側部分と戻り経路側部分との間を車体横幅方向に通っていると好適である。
【0024】
本構成によると、後輪駆動軸がベルトコンベヤの戻り経路側部分の下方を通るのに比べ、ベルトコンベヤの搬送経路側部分を搬送ダクトの上壁部に対して低い箇所に位置させることができるので、ベルトコンベヤの搬送経路側部分と、搬送ダクトの上壁部との間隔が広くて刈り草が通り易い搬送ダクトを構成できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図2】草刈り状態での搬送ダクトを示す縦断側面図である。
【
図4】上昇排出姿勢での集草容器を示す左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の一例である実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、以下の説明では、草刈り機の車体に関し、
図1に示される矢印Fの方向を「車体前方」、矢印Bの方向を「車体後方」、
図1,3に示される矢印Uの方向を「車体上方」、矢印Dの方向を「車体下方」、
図3に示される矢印Lの方向を「車体左方」、矢印Rの方向を「車体右方」とする。
【0027】
〔草刈り機の全体の構成について〕
図1に示されるように、草刈り機は、車体フレーム1、車体フレーム1の前部に操向可能かつ駆動可能に装備された左右一対の前車輪2、車体フレーム1の後部に駆動可能に装備された左右一対の後車輪3を有する車体を備えている。車体の前部にエンジン4を有する原動部5が形成されている。車体の後部に搭乗型の運転部6が形成されている。運転部6には、運転座席7、前車輪2を操向操作するステアリングハンドル8が備えられている。前車輪2と後車輪3との間に草刈装置10が設けられている。車体の後方に集草容器20が設けられている。草刈装置10と集草容器20とに亘って搬送ダクト30が設けられている。
【0028】
〔草刈装置10の構成について〕
草刈装置10は、
図1に示されるように、リンク機構11を介して車体フレーム1に支持されている。草刈装置10の車体に対する取付け高さがリンク機構11の車体フレーム1に対する上下揺動作動によって変更される。
【0029】
草刈装置10は、
図1,2に示されるように、刈り刃ハウジング12を備えている。刈り刃ハウジング12の内部に、車体横幅方向に並ぶ複数の回転刈り刃13が設けられている。各回転刈り刃13は、回転支軸14を介して刈り刃ハウジング12に回転可能に支持されている。刈り刃ハウジング12の上面側に駆動ケース15が設けられている。駆動ケース15には、エンジン4の動力が動力伝達ベルト16及び回転軸17を介して入力される。駆動ケース15に入力された動力が各回転刈り刃13の回転支軸14に伝達されるようになっている。各回転刈り刃13の両端部に起風羽根18が備えられている。刈り刃ハウジング12の後部に刈り草排出口19が開口されている。
【0030】
草刈装置10においては、各回転刈り刃13が駆動ケース15に入力されるエンジン4の動力によって回転支軸14の車体上下方向に沿った軸芯を回転中心にして回転駆動され、走行地面の草としての雑草や芝が回転する回転刈り刃13によって刈り取られる。刈り取られた刈り草や刈り芝が起風羽根18によって発生する搬送風によって刈り草排出口19から刈り刃ハウジング12の外部に後方向きに排出される。
【0031】
〔搬送ダクト30の構成について〕
搬送ダクト30は、
図1,3に示されるように、左右の後車輪3の間を通る状態で草刈装置10と集草容器20とに亘って設けられている。搬送ダクト30の前端側は、
図2に示されるように、草刈装置10の刈り草排出口19に連通している。搬送ダクト30の後端部に、車体後方向きに開口する排出口31が形成されている。
【0032】
搬送ダクト30は、
図2,3に示されるように、ダクト本体30A及びベルトコンベヤ35を備えている。ダクト本体30Aによって搬送ダクト30の上壁部32、及び、搬送ダクト30の左右の横壁部33が形成されている。ベルトコンベヤ35によって搬送ダクト30の搬送底面36が形成されている。ベルトコンベヤ35は、搬送終端部35rが搬送ダクト30の排出口31から後方に突出する状態で設けられている。搬送終端部35rは、
図1,2に示されるように、下降集草姿勢の集草容器20の内部に入り込む。ベルトコンベヤ35の搬送終端部35rの後側に、ベルトコンベヤ35の搬送面に作用するスクレーパ37が設けられている。
【0033】
具体的には、ベルトコンベヤ35は、
図2に示されるように、左右の横壁部33の間に設けられた搬送始端側の輪体38、搬送ダクト30の後側の外部に位置する搬送終端側の輪体39、搬送始端側の輪体38と搬送終端側の輪体39との間に設けられた2つの案内輪体40a,40bに巻回されている。搬送始端側の輪体38及び2つの案内輪体40a,40bは、左右の横壁部33に回転可能に支持されている。搬送終端側の輪体39は、
図5に示されるように、支持フレーム41に相対回転可能に支持されている。支持フレーム41は、ダクト本体30Aから搬送ダクト30の外部まで延出されている。スクレーパ37は、支持フレーム41に支持されている。
【0034】
図5に示されるように、搬送終端側の輪体39と、ベルトコンベヤ35の下側に設けられた電動モータ42の出力輪体42aとが第1動力伝達ベルト43、第1中継輪体44、第2中継輪体45及び第2動力伝達ベルト46を介して連動連結されている。電動モータ42は、ベルトコンベヤ35の下側のうち、集草容器20よりも前側に位置する箇所に設けられている。電動モータ42は、ダクト本体30Aに支持されている。第2動力伝達ベルト46のうち、下降集草姿勢の集草容器20の内部に入り込む部分は、カバー48によって上方及び両横側方から覆われるようになっている。第1中継輪体44と第2中継輪体45とは、相対回転不能に連結されている。第1中継輪体44及び第2中継輪体45は、案内輪体40aの支軸に支持されている。ベルトコンベヤ35は、電動モータ42の動力によって駆動される搬送終端側の輪体39によって矢印Zで示される回転方向(
図2参照)に回転駆動される。すなわち、ベルトコンベヤ35のうち、上側の案内輪体40aによって案内される部分が搬送経路側部分35Aになり、ベルトコンベヤ35のうち、下側の案内輪体40bによって案内される部分が戻り経路側部分35Bになっている。
【0035】
図1に示されるように、運転部6に調速スイッチ47が設けられている。調速スイッチ47は、電動モータ42の制御部を操作することによって電動モータ42の回転速度を変更調節するように構成されている。調速スイッチ47を操作することにより、ベルトコンベヤ35の駆動速度が変更され、ベルトコンベヤ35による搬送速度を変更できる。
【0036】
ベルトコンベヤ35は、
図2,3に示されるように、右の後輪駆動軸50が搬送経路側部分35Aと戻り経路側部分35Bとの間を車体横幅方向に通る状態で設けられている。
搬送ダクト30の搬送底面36をベルトコンベヤ35によって形成しつつ、搬送ダクト30の搬送底面36と上壁部32との間隔を広くできる。
【0037】
右の後輪駆動軸50は、
図3に示されるように、搬送ダクト30の左横側に位置するミッシ
ョンケース51と、搬送ダクト30の右横側に位置する右後輪駆動ケース52とに亘って設けられている。ミッションケース内の後輪差動機構53から出力される右後輪用の動力が右の後輪駆動軸50によって右後輪駆動ケース52に伝達され、右後輪駆動ケース52から右の後車輪3に伝達される。
【0038】
搬送ダクト30においては、草刈装置10によって刈り取られた刈り草や刈り芝が起風羽根18によって起きる搬送風によって刈り草排出口19から搬送ダクト30の前端側部分の内部に排出される。排出された刈り草や刈り芝が搬送ダクト30の内部で失速しない場合、刈り草や刈り芝と共に草刈装置10から排出された搬送風によって刈り草や刈り芝を集草容器20に向けて搬送する。排出された刈り草や刈り芝が搬送ダクト30の内部で失速した場合、失速した刈り草や刈り芝をベルトコンベヤ35の搬送経路側部分35Aによって受け止め、搬送経路側部分35Aによって集草容器20に向けて搬送する。
【0039】
〔集草容器20の構成について〕
集草容器20は、
図1,2に示されるように、集草容器20の前部に形成された刈り草出入口20aを備えている。集草容器20は、
図1,2に示されるように、集草容器20の上部に設けられた枢支軸21介して支柱22に支持されている。枢支軸21は、ベルトコンベヤ35の搬送終端部35rの上方に位置している。支柱22は、車体の後部に立設されている。すなわち、集草容器20は、枢支軸21の車体横幅方向に延びる枢支軸芯Pを揺動支点にして
図2に示される下降集草姿勢と、
図4に示される上昇排出姿勢とに亘って姿勢変更可能な状態で支持されている。集草容器20の姿勢変更操作は、昇降シリンダ25(
図1参照)の伸縮作動によって行われる。
【0040】
図2に示されるように、集草容器20が下降集草姿勢に姿勢変更されると、集草容器20は、刈り草出入口20aが搬送ダクト30の排出口31に対向する状態の取付け姿勢で支柱22に支持され、搬送ダクト30によって搬送される刈り草や刈り芝の集草容器20による受け入れが可能になる。集草容器20が下降集草姿勢に姿勢変更された場合、ベルトコンベヤ35の搬送終端部35rが集草容器20の内部に入り込む。
【0041】
図4に示されるように、集草容器20が上昇排出姿勢に姿勢変更されると、集草容器20は、刈り草出入口20aが搬送ダクト30の排出口35aに対して後上側に離間した状態の取付姿勢で支柱22に支持され、集草容器20の内部の刈り草や刈り芝の刈り草出入口20aからの落下が可能になる。集草容器20が上昇排出姿勢に姿勢変更されたとき、ベルトコンベヤ35の搬送終端部35rの上方に設けられている塞ぎ部材23が刈り草出入口20aのうちの搬送終端部35rに対応する出入口部分20bに入り込み、出入口部分20bが塞ぎ部材23によって塞がれる。集草容器20が上昇排出姿勢に姿勢変更された場合、塞ぎ部材23の上部に形成されている案内部24が集草容器20の内部に向かう状態になり、集草容器20から出る刈り草や刈り芝がベルトコンベヤ35よりも後側に向けて落下するように案内部24によって落下案内される。塞ぎ部材23は、支柱22に支持されている。
【0042】
草刈り作業を行う時は、
図2に示されるように、集草容器20を下降貯留姿勢にする。
下降貯留姿勢にした集草容器20は、集草容器20のロックピンに係離可能なフック26によって下降貯留姿勢にロックできる。集草容器20を下降貯留姿勢にすると、草刈装置10によって刈り取られ、草刈装置10から排出される刈り草や刈り芝が搬送ダクト30によって集草容器20に搬送されて集草容器20に収容される。すなわち、草刈装置10から排出された刈り草や刈り芝が草刈装置10から排出される搬送風によって、あるいは、搬送ダクト30のベルトコンベヤ35によって集草容器20に搬送される。刈り草や刈り芝が搬送風によって搬送される場合、刈り草や刈り芝が搬送風と共に集草容器20に入り込んで集草容器20に収容される。刈り草や刈り芝がベルトコンベヤ35によって集草容器20に搬送される場合、刈り草や刈り芝が集草容器20の内部に入り込んでいるベルトコンベヤ35の搬送終端部35rから落下して、また、スクレーパ37によってベルトコンベヤ35から掻き落とされて、集草容器20に収容される。
【0043】
集草容器20に収容された刈り草や刈り芝を排出する場合、
図4に示されるように、集草容器20を上昇排出姿勢に姿勢変更する。すると、集草容器20の刈り草出入口20aが搬送ダクト30の排出口31に対して後上側に離れて位置するので、集草容器20の内部の刈り草や刈り芝が刈り草出入口20aから落下して集草容器20から出る。集草容器20を上昇排出姿勢に姿勢変更したとき、刈り草出入口20aのうちのベルトコンベヤ35の搬送終端部35rに対応する出入口部分20bが塞ぎ部材23によって塞がれて出入口部分20bから刈り草や刈り芝が落下しない。さらに、集草容器20から出る刈り草や刈り芝が案内部24によって落下案内されてベルトコンベヤ35よりも後側に落下する。
これにより、集草容器20から排出する刈り草や刈り芝がベルトコンベヤ35の搬送終端部35rに落下して載ることを回避できる。
【0044】
〔別実施形態〕(1)上記した実施形態では、ベルトコンベヤ35の駆動源として電動モータ42を採用した例を示したが、エンジン4を駆動源として実施してもよい。また、電動モータ42を集草容器20の前外側に配置する例を示したが、下降集草姿勢の集草容器20の内部に位置する配置構成を採用してもよい。
【0045】
(2)上記した実施形態では、ベルトコンベヤ35の搬送終端部35rが集草容器20の内部に位置する例を示したが、搬送終端部35rが搬送ダクト30の排出口付近に位置し、集草容器20の内部に入り込まない構成を採用してもよい。
【0046】
(3)上記した実施形態では、スクレーパ37を設けた例を示したが、スクレーパ37を設けないで実施してもよい。
【0047】
(4)上記した実施形態では、後輪駆動軸50がベルトコンベヤ35の搬送経路側部分35Aと戻り経路側部分35Bとの間を通る例を示したが、後輪駆動軸50が戻り経路側部分35Bの下方を通る状態でベルトコンベヤ35を設けてもよい。
【0048】
(5)上記した実施形態では、集草容器20を上昇排出姿勢に姿勢変更して刈り草や刈り芝を集草容器20から排出するよう構成した例を示した、集草容器を姿勢変更不能に支持し、集草容器の開閉可能な排出口から刈り草や刈り芝を排出する構成を採用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、集草容器を姿勢変更できない状態で備える草刈り機に適用できる。
【符号の説明】
【0050】
2 前車輪
3 後車輪
10 草刈装置
20 集草容器
20a 刈り草出入口
20b 出入口部分
23 塞ぎ部材
24 案内部
30 搬送ダクト
31 排出口
35 ベルトコンベヤ
35A 搬送経路側部分
35B 戻り経路側部分
35r 搬送終端部
36 搬送底面
37 スクレーパ
42 電動モータ
50 後輪駆動軸