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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-04
(45)【発行日】2022-08-15
(54)【発明の名称】2連連結光コネクタ保持具
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/36 20060101AFI20220805BHJP
【FI】
G02B6/36
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018139353
(22)【出願日】2018-07-25
(65)【公開番号】P2020016744
(43)【公開日】2020-01-30
【審査請求日】2021-06-08
(73)【特許権者】
【識別番号】391025730
【氏名又は名称】岡野電線株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】391005581
【氏名又は名称】三和電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100093894
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 清
(72)【発明者】
【氏名】中川 隆俊
(72)【発明者】
【氏名】尾崎 浩士
【審査官】野口 晃一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06250817(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0081113(US,A1)
【文献】特表2004-501383(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102023344(CN,A)
【文献】米国特許第09709753(US,B1)
【文献】特開2008-122506(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/24-6/255
6/36-6/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光コネクタ本体の長手方向の基端側上面の中央部には斜め前方上向きに伸張した操作レバーの基端側が連結されるとともに前記光コネクタ本体の先端側上面には後方斜め上向きに伸張するロックレバーの基端側が連結されて該ロックレバーの先端側は前記操作レバーの先端側の下側に位置され、前記コネクタ本体の先端側が信号接続相手側装置に挿入されてその挿入状態がロックされているときに前記操作レバーの押下げ操作に連動して前記ロックレバーを押下げることにより前記ロックが解除される構成を有し、前記光コネクタ本体の後端側からは光ファイバコードが引き出されていて前記光コネクタ本体の後端側の前記光ファイバコードの引き出し部位領域にはブーツが被せられており、前記光コネクタ本体の後部側の上面の中央領域には当該上面の後方側基端から前方へ向けて前記操作レバーの基端の両側領域に盛り上げ面が段差を介して前記光コネクタ本体の上面の他の面よりも高位の面として形成されているタイプの光コネクタを対象として、当該対象の2個の光コネクタを該光コネクタの後方側から挿入して一体的に保持可能な2連連結光コネクタ保持具であって;該2連連結光コネクタ保持具は、底板部と、該底板部に対し上下方向に間隔を介して配置される上板部とを有して、該上板部と前記底板部とは互いに幅方向の中央部が前後方向を長手方向とする区画壁によって連結されて、前記底板部と前記上板部と前記区画壁によって囲まれるコネクタ挿入空間が前記区画壁の左右両側に形成されており、該コネクタ挿入空間は前後方向の前方側の空間が前記光コネクタの光コネクタ本体の後方部位が挿入される光コネクタ本体部位挿入空間と成して、該光コネクタ本体部位挿入空間よりも後方側の空間が前記光コネクタのブーツが挿入されるブーツ部位挿入空間と成しており、前記底板部の左右両端部位には上向きに伸張する上向き伸張壁部が形成され、前記ブーツ部位挿入空間の上板部の左右両端部位には下向きに伸張する下向き伸張壁部が形成され、前記ブーツ部位挿入空間の前記下向き伸張壁部と上向き伸張壁部間に形成される空間間隔は前記ブーツの最大外径よりは小さく前記光ファイバコードの外径よりは大きく形成され、前記ブーツ部位挿入空間の内壁面を形成する前記底板部と上向き伸張壁部と区画壁と上板部と下向き伸張壁部の内壁面は当該ブーツ部位挿入空間に挿入される前記ブーツを接触保持する部位を有して形成され、前記光コネクタ本体部位挿入空間の内壁面を形成する前記底板部と上向き伸張壁部と区画壁と上板部の内壁面は当該光コネクタ本体部位挿入空間に挿入される前記光コネクタ本体部位の外形形状に対応する形状に形成され、前記光コネクタ本体部位挿入空間の上板部は前記ブーツ部位挿入空間の上板部位置の中央部位から前方に伸張するアーム状板部と該アーム状板部の先端部位から左右両側に張り出す張り出し部位とによって形成される舌片状の上板部として形成され、該上板部の舌片状の左右両側の張り出し部位間の幅は前記左右両側のコネクタ挿入空間に挿入されている状態における2個の前記光コネクタの前記操作レバーの間を前後方向に移動可能な幅と成し、前記光コネクタの後方側から相対的に前記光コネクタ本体部位挿入空間に光コネクタを挿入していく際に前記光コネクタ本体部位挿入空間の舌片状の上板部の前記張り出し部位が前記光コネクタ本体部の上面の盛り上げ面に乗り上がって光コネクタの前方側に移動していき、前記光コネクタ本体の後方部位が前記光コネクタ本体部位挿入空間に挿入され、かつ、前記光コネクタのブーツが前記ブーツ挿入空間に挿入された光コネクタの挿入完了位置で前記舌片状の上板部の前記張り出し部位が前記盛り上げ面を乗り越えて該盛り上げ面の前端側の段差に係止する構成としたことを特徴とする2連連結光コネクタ保持具。
【請求項2】
前記上板部の上面には後端側中央部に基端側が連結されて先端側が前方斜め上向きに伸張する操作板が設けられており、前記光コネクタの挿入完了位置において前記操作板の伸張先端部位が前記光コネクタの前記操作レバーの先端側の上側に位置する構成と成していることを特徴とする請求項1記載の2連連結光コネクタ保持具。
【請求項3】
前記光コネクタ本体部位挿入空間の内壁面を形成する前記底板部と前記区画壁の少なくとも一方には内壁側に溝部が形成され、該溝部は前記2連連結光コネクタ保持具を前記対象の2個の光コネクタの後方側から該光コネクタ側に移動させて前記光コネクタの後方側から相対的に前記光コネクタ本体部位挿入空間に光コネクタを挿入していく際に、前記ブーツの外周部の一部が挿入されながら移動できるようにするための案内用溝と成していることを特徴とする請求項1または請求項2記載の2連連結光コネクタ保持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば光通信等に用いられる2個の光コネクタを一体的に保持可能な2連連結光コネクタ保持具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、光通信が普及されるようになり、光通信における伝送システムでは、例えば図10(a)に示されるような光コネクタ付きコード2を、図10(b)および図11に示されるように、信号接続相手側装置50に接続することが行われている。
【0003】
光コネクタ付きコード2は光コネクタ1と光ファイバコード4とを備えており、光コネクタ1は、例えば図10図11に示されるように、断面外観が略四角形状を呈した光コネクタ本体3を有している。なお、これらの図に示す例では、光コネクタ本体3は略四角形状の角部が曲面に形成されている(図10(c)、参照)。光ファイバコード4は、光ファイバ心線の外周側にナイロン樹脂等が被覆されて形成されており、光ファイバコード4の先端側の被覆が剥がされた状態の光ファイバ心線がフェルール22に挿入固定された状態で光コネクタ本体3内に挿入されている。
【0004】
光コネクタ本体3の後端側から引き出されている光ファイバコード4には、光コネクタ本体3の後端側の引き出し部位領域に、ブーツ5が被せられている。この例では、ブーツ5の外径は光コネクタ本体3の径よりも少し大きく形成されている。なお、光ファイバコード4の長さは非常に長いものであるが、図11等においては短く切断した状態の図が示されている。
【0005】
光コネクタ本体3の長手方向の基端側上面の中央部には、斜め前方上向きに伸張した操作レバー6の基端側が連結されているとともに、図10(a)に示されるように、光コネクタ本体3の先端側上面には後方斜め上向きに伸張するロックレバー7の基端側が連結されており、該ロックレバー7の先端側は前記操作レバー6の先端側の下側に位置されている。また、光コネクタ本体3の後部側の上面9の中央領域には、当該上面9の後方側基端から前方へ向けて、操作レバー6の基端の両側領域に盛り上げ面8が形成されており、この盛り上げ面8は、段差を介して光コネクタ本体3の上面9の他の面よりも高位の面として形成されている。なお、この例では、盛り上げ面8が操作レバー6の先端側より幅広に形成されている(図11、参照)。
【0006】
この光コネクタ1は、図10(a)の矢印に示されるように光コネクタ付きコード2を信号接続相手側装置50に向けて移動させ、コネクタ本体3の先端側を信号接続相手側装置50に挿入することにより、ロックレバー7が一度下側に下がって接続位置で再び上側に戻ることにより光コネクタ1が信号接続相手側装置50への挿入状態でロックされ、光ファイバコード4が信号接続相手側装置50に信号接続されるようになっている。そして、前記挿入状態がロックされているときに、図10(b)の矢印に示されるように操作レバー6の押下げ操作を行い、この操作に連動してロックレバー7を押下げることにより前記ロックが解除される。
【0007】
図10図11に示される例においては、光送信用と光受信用の対となる2個の光コネクタ付きコード2が信号接続相手側装置50にペアとして挿入接続されるようになっており、これらの光コネクタ付きコード2について例えば検査を行う際に、単に2つの光コネクタ付きコード2を信号接続相手側装置50から外すと、2つの光コネクタ付きコード2とのうち、どちらが光送信用の光コネクタ付きコード2でどちらが光受信用の光コネクタ付きコード2かの区別がつかなくなってしまう。
【0008】
そうなると、検査後に光コネクタ付きコード2を再び信号接続相手側装置50に接続する際、送信側と受信側を誤ると支障が生じるため、どちらの光コネクタ付きコード2が送信側の光コネクタ付きコード2で、どちらが受信側の光コネクタ付きコード2であるかの区別がつくように、対象の光送信用と光受信用の対となる2個の光コネクタ1を一体的に保持可能な2連連結光コネクタ保持具が用いられている。
【0009】
なお、先行技術文献については検索したが、該当する先行技術文献は見つからなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、従来用いられている2連連結光コネクタ保持具は、光コネクタ1を2連連結光コネクタ保持具によって保持するためには、光コネクタ1を信号接続相手側装置50から外さないと行うことができないため、作業性が悪いといった問題があった。それというのは、前記2連連結光コネクタ保持具は、2つの光コネクタ保持部が左右に並設されて形成されていて、例えば一方側の光コネクタ1を2連連結光コネクタ保持具の左側から左側の光コネクタ保持部に挿入し、他方側の光コネクタ1を2連連結光コネクタ保持具の右側から右側の光コネクタ保持部に挿入するといったように、対の光コネクタ1を、左右側からそれぞれ別々に1つずつ挿入して固定する態様の保持具であるので、図11に示されるような態様で光コネクタ1が信号接続相手側装置50に接続されていると、対の光コネクタ1を光コネクタ保持部に挿入することはできないのである。
【0011】
そのため、例えば、まず、一方側の光コネクタ1を信号接続相手側装置50から外して、その光コネクタ1を2連連結光コネクタ保持具の左側から2連連結光コネクタ保持具の左側の光コネクタ保持部に挿入し、次に、他方側の光コネクタ1を信号接続相手側装置50から外して、その光コネクタ1を2連連結光コネクタ保持具の右側から2連連結光コネクタ保持具の右側の光コネクタ保持部に挿入するといった作業が必要になるため、作業性が悪く、もっと良好な作業性で光コネクタ1を信号接続相手側装置50に信号接続した状態で2個の光コネクタ1を一体的に保持可能な2連連結光コネクタ保持具の実現が望まれていた。
【0012】
本発明は、前記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、2個の光コネクタを一体的に保持可能な作業性が良好の2連連結光コネクタ保持具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明は次のような構成をもって課題を解決するための手段としている。すなわち、第1の発明は、光コネクタ本体の長手方向の基端側上面の中央部には斜め前方上向きに伸張した操作レバーの基端側が連結されるとともに前記光コネクタ本体の先端側上面には後方斜め上向きに伸張するロックレバーの基端側が連結されて該ロックレバーの先端側は前記操作レバーの先端側の下側に位置され、前記コネクタ本体の先端側が信号接続相手側装置に挿入されてその挿入状態がロックされているときに前記操作レバーの押下げ操作に連動して前記ロックレバーを押下げることにより前記ロックが解除される構成を有し、前記光コネクタ本体の後端側からは光ファイバコードが引き出されていて前記光コネクタ本体の後端側の前記光ファイバコードの引き出し部位領域にはブーツが被せられており、前記光コネクタ本体の後部側の上面の中央領域には当該上面の後方側基端から前方へ向けて前記操作レバーの基端の両側領域に盛り上げ面が段差を介して前記光コネクタ本体の上面の他の面よりも高位の面として形成されているタイプの光コネクタを対象として、当該対象の2個の光コネクタを該光コネクタの後方側から挿入して一体的に保持可能な2連連結光コネクタ保持具であって;該2連連結光コネクタ保持具は、底板部と、該底板部に対し上下方向に間隔を介して配置される上板部とを有して、該上板部と前記底板部とは互いに幅方向の中央部が前後方向を長手方向とする区画壁によって連結されて、前記底板部と前記上板部と前記区画壁によって囲まれるコネクタ挿入空間が前記区画壁の左右両側に形成されており、該コネクタ挿入空間は前後方向の前方側の空間が前記光コネクタの光コネクタ本体の後方部位が挿入される光コネクタ本体部位挿入空間と成して、該光コネクタ本体部位挿入空間よりも後方側の空間が前記光コネクタのブーツが挿入されるブーツ部位挿入空間と成しており、前記底板部の左右両端部位には上向きに伸張する上向き伸張壁部が形成され、前記ブーツ部位挿入空間の上板部の左右両端部位には下向きに伸張する下向き伸張壁部が形成され、前記ブーツ部位挿入空間の前記下向き伸張壁部と上向き伸張壁部間に形成される空間間隔は前記ブーツの最大外径よりは小さく前記光ファイバコードの外径よりは大きく形成され、前記ブーツ部位挿入空間の内壁面を形成する前記底板部と上向き伸張壁部と区画壁と上板部と下向き伸張壁部の内壁面は当該ブーツ部位挿入空間に挿入される前記ブーツを接触保持する部位を有して形成され、前記光コネクタ本体部位挿入空間の内壁面を形成する前記底板部と上向き伸張壁部と区画壁と上板部の内壁面は当該光コネクタ本体部位挿入空間に挿入される前記光コネクタ本体部位の外形形状に対応する形状に形成され、前記光コネクタ本体部位挿入空間の上板部は前記ブーツ部位挿入空間の上板部位置の中央部位から前方に伸張するアーム状板部と該アーム状板部の先端部位から左右両側に張り出す張り出し部位とによって形成される舌片状の上板部として形成され、該上板部の舌片状の左右両側の張り出し部位間の幅は前記左右両側のコネクタ挿入空間に挿入されている状態における2個の前記光コネクタの前記操作レバーの間を前後方向に移動可能な幅と成し、前記光コネクタの後方側から相対的に前記光コネクタ本体部位挿入空間に光コネクタを挿入していく際に前記光コネクタ本体部位挿入空間の舌片状の上板部の前記張り出し部位が前記光コネクタ本体部の上面の盛り上げ面に乗り上がって光コネクタの前方側に移動していき、前記光コネクタ本体の後方部位が前記光コネクタ本体部位挿入空間に挿入され、かつ、前記光コネクタのブーツが前記ブーツ挿入空間に挿入された光コネクタの挿入完了位置で前記舌片状の上板部の前記張り出し部位が前記盛り上げ面を乗り越えて該盛り上げ面の前端側の段差に係止する構成とした構成をもって課題を解決するための手段としている。
【0014】
また、第2の発明は、前記第1の発明の構成に加え、前記上板部の上面には後端側中央部に基端側が連結されて先端側が前方斜め上向きに伸張する操作板が設けられており、前記光コネクタの挿入完了位置において前記操作板の伸張先端部位が前記光コネクタの前記操作レバーの先端側の上側に位置する構成と成していることを特徴とする。
【0015】
さらに、第3の発明は、前記第1または第2の発明の構成に加え、前記光コネクタ本体部位挿入空間の内壁面を形成する前記底板部と前記区画壁の少なくとも一方には内壁側に溝部が形成され、該溝部は前記2連連結光コネクタ保持具を前記対象の2個の光コネクタの後方側から該光コネクタ側に移動させて前記光コネクタの後方側から相対的に前記光コネクタ本体部位挿入空間に光コネクタを挿入していく際に、前記ブーツの外周部の一部が挿入されながら移動できるようにするための案内用溝と成していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、対象となる光コネクタは、光コネクタ本体の後端側から光ファイバコードが引き出されていて前記光コネクタ本体の後端側の前記光ファイバコードの引き出し部位領域にはブーツが被せられているのに対し、本発明の2連連結光コネクタ保持具は、底板部と、該底板部に対し上下方向に間隔を介して配置される上板部とを有して、該上板部と前記底板部とは互いに幅方向の中央部が前後方向を長手方向とする区画壁によって連結されて、前記底板部と前記上板部と前記区画壁によって囲まれるコネクタ挿入空間が前記区画壁の左右両側に形成されている。
【0017】
そして、該コネクタ挿入空間は前後方向の前方側の空間が前記光コネクタの光コネクタ本体の後方部位が挿入される光コネクタ本体部位挿入空間と成し、該光コネクタ本体部位挿入空間よりも後方側の空間が前記光コネクタのブーツが挿入されるブーツ部位挿入空間と成しているが、このブーツ部位挿入空間は、左右両側の部位に空間間隙が形成されており、光コネクタを信号接続相手側装置に信号接続したままの状態で、前記空間間隔から前記光ファイバコードを前記ブーツ部位挿入空間に通し、その後、前記光コネクタの後方側から相対的に前記光コネクタ本体部位挿入空間に光コネクタを挿入していくことができる。
【0018】
さらに詳しく述べると、本発明の2連連結光コネクタ保持具において、前記底板部の左右両端部位には上向きに伸張する上向き伸張壁部が形成され、前記ブーツ部位挿入空間の上板部の左右両端部位には下向きに伸張する下向き伸張壁部が形成されており、前記ブーツ部位挿入空間の前記下向き伸張壁部と上向き伸張壁部間に形成される空間間隔が前記ブーツの最大外径よりは小さく前記光ファイバコードの外径よりは大きく形成されている。そのため、光コネクタを信号接続相手側装置に信号接続したままの状態で、前記空間間隔から前記光ファイバコードを前記ブーツ部位挿入空間に通すことができ、その後、前記光コネクタの後方側から相対的に前記光コネクタ本体部位挿入空間に光コネクタを挿入していくことができる。
【0019】
そして、前記光コネクタ本体部位挿入空間の内壁面を形成する前記底板部と上向き伸張壁部と区画壁と上板部の内壁面が、当該光コネクタ本体部位挿入空間に挿入される前記光コネクタ本体部位の外形形状に対応する形状に形成されていることによって、前記コネクタ本体部位の後端側を光コネクタ本体部位挿入空間に適切な状態で挿入することができ、また、前記ブーツ部位挿入空間の内壁面を形成する前記底板部と上向き伸張壁部と区画壁と上板部と下向き伸張壁部の内壁面は当該ブーツ部位挿入空間に挿入される前記ブーツを接触保持する部位を有して形成されているので、前記ブーツを前記ブーツ部位挿入空間に適切に挿入して接触保持することができる。
【0020】
さらに、本発明において、2連連結光コネクタ保持具により保持される対象となる光コネクタは、前記光コネクタ本体の後部側の上面の中央領域に、当該上面の後方側基端から前方へ向けて前記操作レバーの基端の両側領域に盛り上げ面が段差を介して前記光コネクタ本体の上面の他の面よりも高位の面として形成されているのに対し、本発明の2連連結光コネクタ保持具は、以下の構成を有することから、光コネクタの保持を的確に行うことができる。
【0021】
つまり、本発明の2連連結光コネクタ保持具において、前記光コネクタ本体部位挿入空間の上板部が前記ブーツ部位挿入空間の上板部位置の中央部位から前方に伸張するアーム状板部と該アーム状板部の先端部位から左右両側に張り出す張り出し部位とによって形成される舌片状の上板部として形成され、該上板部の舌片状の左右両側の張り出し部位間の幅は前記左右両側のコネクタ挿入空間に挿入されている状態における2個の前記光コネクタの前記操作レバーの間を前後方向に移動可能な幅と成している。そして、前記光コネクタの後方側から相対的に前記光コネクタ本体部位挿入空間に光コネクタを挿入していく際に前記光コネクタ本体部位挿入空間の舌片状の上板部の前記張り出し部位が前記光コネクタ本体部の上面の盛り上げ面に乗り上がって光コネクタの前方側に移動していき、前記光コネクタ本体の後方部位が前記光コネクタ本体部位挿入空間に挿入され、かつ、前記光コネクタのブーツが前記ブーツ挿入空間に挿入された光コネクタの挿入完了位置で前記舌片状の上板部の前記張り出し部位が前記盛り上げ面を乗り越えて前記盛り上げ面の前端側の段差に係止するので、この係止によって2連連結光コネクタ保持具が前記光コネクタ本体に抜け止め状態となり、前記光コネクタ本体の後端側を前記光コネクタ本体部位挿入空間に保持できる。
【0022】
したがって、本発明の2連連結光コネクタ保持具は、対象となる前記光コネクタの後方側から相対的に前記光コネクタ本体部位挿入空間に光コネクタを挿入していき、前記ブーツを記ブーツ部位挿入空間に挿入し、光コネクタとブーツを的確に保持することができ、その結果、対象の対となる2個の光コネクタを容易に(作業性良く)、かつ、的確に、一体的に保持可能とすることができる。
【0023】
なお、本発明の2連連結光コネクタ保持具により保持される対象となる光コネクタは、前記光コネクタ本体の長手方向の基端側上面の中央部には斜め前方上向きに伸張した操作レバーの基端側が連結されるとともに前記光コネクタ本体の先端側上面には後方斜め上向きに伸張するロックレバーの基端側が連結されて該ロックレバーの先端側は前記操作レバーの先端側の下側に位置され、前記コネクタ本体の先端側が信号接続相手側装置に挿入されてその挿入状態がロックされているときに前記操作レバーの押下げ操作に連動して前記ロックレバーを押下げることにより前記ロックが解除される構成を有している。
【0024】
それに対し、本発明の2連連結光コネクタ保持具において、前記上板部の上面には後端側中央部に基端側が連結されて先端側が前方斜め上向きに伸張する操作板が設けられており、前記光コネクタの挿入完了位置において前記操作板の伸張先端部位が前記光コネクタの前記操作レバーの先端側の上側に位置する構成と成している構成によれば、前記操作板を押下げると前記光コネクタの前記操作レバーを押下げることができる。そのため、本発明の2連連結光コネクタ保持具の操作板を下側に押し下げる操作を行うことにより前記光コネクタの操作レバーを押下げ操作して前記ロックレバーを押下げ、前記ロック解除を行うことができる。したがって、この構成においては、2連連結光コネクタ保持具の操作板の操作により、2連連結光コネクタ保持具と共に2つの対の光コネクタを接続相手側装置から外すことができ、作業性の向上をより一層図ることができる。
【0025】
さらに、本発明の2連連結光コネクタ保持具において、前記光コネクタ本体部位挿入空間の内壁面を形成する前記底板部と前記区画壁の少なくとも一方には内壁側に溝部が形成され、該溝部は前記2連連結光コネクタ保持具を前記対象の2個の光コネクタの後方側から該光コネクタ側に移動させて前記光コネクタの後方側から相対的に前記光コネクタ本体部位挿入空間に光コネクタを挿入していく際に、前記ブーツの外周部の一部が挿入されながら移動できるようにするための案内用溝と成しているものにおいては、ブーツの外径が光コネクタ本体の外径よりも大きめであっても、前記案内用溝に案内されて前記光コネクタの後方側から相対的に本発明の2連連結光コネクタ保持具を移動させて、ブーツをスムーズに前記光コネクタ本体部位挿入空間を通して前記ブーツ部位挿入空間に接触保持し、光コネクタを前記光コネクタ本体部位挿入空間に挿入保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明に係る2連連結光コネクタ保持具の一実施例を説明するための模式的な斜視図である。
図2】実施例の2連連結光コネクタ保持具を後端側から見た場合の模式的な斜視図である。
図3】実施例の2連連結光コネクタ保持具の模式的な正面図(a)、模式的な背面図(b)、模式的な側面図(c)、図3(c)のB-B断面図(d)である。
図4】実施例の2連連結光コネクタ保持具を光コネクタに挿入する方法を説明するための模式的な斜視説明図である。
図5】実施例の2連連結光コネクタ保持具を光コネクタに挿入した状態を説明するための模式的な斜視図(a)と、模式的な部分平面図(b)である。
図6】実施例の2連連結光コネクタ保持具を光コネクタに挿入した状態を説明するための模式的な側面図である。
図7】実施例の2連連結光コネクタ保持具を光コネクタに挿入した状態で信号接続相手側装置から外した状態を説明するための模式的な斜視図である。
図8】実施例の2連連結光コネクタ保持具を光コネクタに挿入した状態で信号接続相手側装置から外した状態を説明するための模式的な側面図である。
図9】その他の実施例の2連連結光コネクタ保持具を説明するための模式的な斜視図である。
図10】光ファイバコードを信号接続相手側装置に挿入接続する方法を説明するための模式的な側面図(a)、(b)と光コネクタ本体の形状を説明するための模式的な光コネクタ正面形状図(c)である。
図11】光ファイバコードを信号接続相手側装置に挿入接続した状態例を説明するための模式的な斜視説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。なお、本実施形態例の説明において、これまでの説明と同一名称部分には同一符号を付し、その重複説明は省略または簡略化する。
【実施例
【0028】
図1図2には、本発明に係る2連連結光コネクタ保持具の一実施例が模式的な斜視図により示されており、図3(a)には、本実施例の2連連結光コネクタ保持具の模式的な正面図が、図3(b)には、その模式的な背面図が、図3(c)には、その模式的な側面図が、図3(d)には、図3(c)のB-B断面図が、それぞれ示されている。
【0029】
これらの図に示されるように、本発明の2連連結光コネクタ保持具10は、図10図11に示したような光コネクタ1を対象として、当該対象の対となる2個の光コネクタ1を該光コネクタ1の後方側から挿入して一体的に保持可能な2連連結光コネクタ保持具であって、光コネクタ1は、例えば光送信用と光受信用の対となる光コネクタである。
【0030】
本実施例の2連連結光コネクタ保持具10は、弾性のある樹脂で形成され、底板部11と、該底板部に11対し上下方向に間隔を介して配置される上板部12とを有している。上板部12と底板部11とは、互いに幅方向の中央部が、前後方向を長手方向とする区画壁13によって連結されており、底板部11と上板部12と区画壁13によって囲まれる空間が、コネクタ挿入空間として区画壁13の左右両側に形成されている。該コネクタ挿入空間は、前後方向の前方側の空間が光コネクタ1の光コネクタ本体3の後方部位が挿入される光コネクタ本体部位挿入空間14と成し、該光コネクタ本体部位挿入空間14よりも後方側の空間が光コネクタ1のブーツ5が挿入されるブーツ部位挿入空間15と成している。
【0031】
底板部11の左右両端部位には上向きに伸張する上向き伸張壁部16が形成され、ブーツ部位挿入空間15の上板部の左右両端部位には下向きに伸張する下向き伸張壁部17が形成され、ブーツ部位挿入空間15の下向き伸張壁部17と上向き伸張壁部16間に形成される空間間隔は、ブーツ5の最大外径よりは小さく、光ファイバコード4の外径よりは大きく形成されている。また、ブーツ部位挿入空間15の内壁面を形成する底板部11と上向き伸張壁部16と区画壁13と上板部と下向き伸張壁部17の内壁面は、当該ブーツ部位挿入空間15に挿入されるブーツ5をがたつきなく保持すべく、ブーツ5を弾性的に接触保持する部位を有して形成されている。
【0032】
光コネクタ本体部位挿入空間14の内壁面を形成する底板部11と上向き伸張壁部16と区画壁13と上板部12の内壁面は、当該光コネクタ本体部位挿入空間14に挿入される光コネクタ本体部位3の外形形状に対応する形状(略四角形状)に形成され、光コネクタ本体部位挿入空間14の上板部12は、ブーツ部位挿入空間15の上板部位置の中央部位から前方に伸張するアーム状板部18と該アーム状板部18の先端部位から左右両側に、例えば0.6mmずつ張り出す張り出し部位19とによって形成される舌片状の上板部として形成されている(該上板部の舌片状の左右両側の張り出し部位間の幅は前記左右両側のコネクタ挿入空間に挿入されている状態における2個の光コネクタ1の操作レバー6の間を前後方向に移動可能な幅と成している)
【0033】
上板部12の上面には操作板20が設けられており、操作板20は。後端側中央部に基端側が上板部12の上面に連結されて先端側が前方斜め上向きに伸張する態様と成している。なお、この例では、操作板20の上面に、AとBの文字が形成されている。また、光コネクタ本体部位挿入空間14の内壁面を形成する底板部11と区画壁13には内壁側に溝部21が形成されている。
【0034】
本実施例の2連連結光コネクタ保持具10は、例えば図4に示されるように、光コネクタ1を信号接続相手側装置50に信号接続したままの状態で、左右のブーツ部位挿入空間15の下向き伸張壁部17と上向き伸張壁部16間に形成される空間間隔に、2本の対の光コネクタ付きコード2の光ファイバコード4をそれぞれ1本ずつ横側から挿入すると、その後、光コネクタ1の後方側から相対的に光コネクタ1側に移動させて、光コネクタ本体部位挿入空間14に光コネクタ1を挿入していくことができる。
【0035】
そして、この際、光コネクタ本体部位挿入空間14の舌片状の上板部(アーム状板部18)の張り出し部位19が光コネクタ本体部3の上面9の盛り上げ面8に乗り上がって光コネクタ1の前方側に移動していき、光コネクタ1の挿入完了位置で前記張り出し部位19が盛り上げ面8を乗り越えて(乗り越える際に張り出し部位19が上側に弾性変形し、乗り越えた後に元に戻り)、図5(b)に示されるように、盛り上げ面8の前端側の段差に係止し、アーム状板部18が光コネクタ本体3の上面9に係止する。なお、図5(b)には、2連連結光コネクタ保持具10による光コネクタ1の保持状態が操作板20を透かした状態の平面図により模式的に示されている。また、この状態において、図5(a)、図6に示されるように、操作板20の伸張先端部位が光コネクタ1の操作レバー6の先端側の上側に位置する構成と成している。
【0036】
なお、本実施例の2連連結光コネクタ保持具10において、光コネクタ本体部位挿入空間14の内壁面を形成する底板部11と区画壁13の内壁側に形成されている溝部21は、2連連結光コネクタ保持具10を、前記の如く、対象の2個の光コネクタ1の後方側から該光コネクタ1側に移動させて光コネクタ本体部位挿入空間14に光コネクタ1を挿入していく際に、光コネクタ本体3の径よりも外径が少し大きく形成されているブーツ5の外周部の一部が挿入されながら移動できるようにするための案内用溝と成している。
【0037】
本実施例は、このように対の2つの光コネクタ1を作業性良く保持することができ、また、その状態で操作板20を下側に押し下げると、操作板20と共に光コネクタ1の操作レバー6が下側に下がり、ロックレバー7も下側に押し下げられてロック状態が解除され、図7図8に示されるように、対の2つの光コネクタ1を保持したままで信号接続相手側装置50から外すことができる。
【0038】
また、本実施例の2連連結光コネクタ保持具10は光コネクタ1を保持するものであり、永久的に固定するものではないため、2連連結光コネクタ保持具10により保持されている対の2つの光コネクタ1をコネクタ挿入空間から外すことができる。例えば図7図8に示したように保持されている2つの対の光コネクタ1を各々、コネクタ挿入空間から外すことができるし、左右入れ替えも可能である。
【0039】
なお、本発明は、前記各実施例に限定されるものでなく、本発明の技術的範囲を逸脱しない範囲において様々な態様を採り得る。例えば、図9(a)~(d)にそれぞれ示されるように、上板部12の両端側を前方側に突出した形状に形成してもよい。また、この突出部位22に爪部23を設けてもよい。図9(a)~(d)に示されるような突出部位22を設けて2連連結光コネクタ保持具10を形成すると光コネクタ本体3をより保持しやすくすることができるが、前記実施例の構成とすると、より製造しやすくできる。
【0040】
また、前記実施例では、対象となる光コネクタ1は、断面外観が四角形状を呈した光コネクタ本体3を有するものとしたが、光コネクタ本体3の形状が略四角形状を呈するとは限らず、その場合、対象となる光コネクタ1の光コネクタ本体3の後方部位の形状に対応させて光コネクタ本体部位挿入空間14と成せばよい。
【0041】
さらに、前記実施例では、2連連結光コネクタ保持具10の上板部12の上面に操作板20を設けたが、操作板20は省略することもできる。
【0042】
さらに、前記実施例では、2連連結光コネクタ保持具10の光コネクタ本体部位挿入空間の内壁面を形成する底板部11と区画壁13の両方の内壁側に溝部21を形成したが、例えばブーツ5の径が光コネクタ本体3の径以下の大きさに形成されている等、2連連結光コネクタ保持具10の挿入の際に支障がなければ溝部21は省略することもできる。なお、図9(a)、(c)は溝部が形成されていない例である。
【0043】
さらに、本発明の2連連結光コネクタ保持具は、その材質も特に限定されるものでなく、適宜設定されるものである。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明の2連連結光コネクタ保持具は、2個の光コネクタを一体的に保持可能で、その作業性が良好であるので、光コネクタの検査等、光通信における適宜の作業を行う際の補助具として利用できる。
【符号の説明】
【0045】
1 光コネクタ
2 光コネクタ付きコード
3 光コネクタ本体
4 光ファイバコード
5 ブーツ
6 操作レバー
7 ロックレバー
8 盛り上げ面
9 上面
10 2連連結光コネクタ保持具
11 底板部
12 上板部
13 区隔壁
14 光コネクタ本体部位挿入空間
15 ブーツ部位挿入空間
16 上向き伸張壁部
17 下向き伸張壁部
18 アーム状板部
19 張り出し部位
20 操作板
21 溝部
50 信号接続相手側装置
図1
図2
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図4
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図11