(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-04
(45)【発行日】2022-08-15
(54)【発明の名称】ミシン
(51)【国際特許分類】
D05B 29/02 20060101AFI20220805BHJP
D05B 27/06 20060101ALI20220805BHJP
【FI】
D05B29/02
D05B27/06
(21)【出願番号】P 2018149871
(22)【出願日】2018-08-09
【審査請求日】2021-07-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000002244
【氏名又は名称】株式会社ジャノメ
(74)【代理人】
【識別番号】100122426
【氏名又は名称】加藤 清志
(72)【発明者】
【氏名】東 豊大
【審査官】森本 哲也
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-52122(JP,A)
【文献】実開昭61-51169(JP,U)
【文献】実開昭53-106150(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2012/0085274(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D05B 29/02
D05B 27/04-27/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
押え棒と、
前記押え棒を下側へ付勢するための押えバネと、
前記押え棒に固定され、縫製対象物を押える押えを有する押え本体と、
前記押えの下側に設けられ、針板よりも上側へ突出して前記縫製対象物を後側へ送る下送り歯と、
前記下送り歯の上側に設けられ、針落ち位置の後側に配置された上送り歯を有すると共に、作動することで前記上送り歯が前記下送り歯と共に前記縫製対象物を後側へ送る上送り機構と、
前記上送り歯に対して上送り動作をさせる送り駆動部と、
前記押え棒に相対移動可能に設けられ且つ前記押えバネの付勢力を前記押え棒に伝達する伝達部材を有すると共に、前記下送り歯が前記上送り歯に当接することで作動して前記伝達部材を前記押え棒に対して上側へ相対移動させて前記押え棒に対する付勢力を解放させるバネ押え解放機構と、
を備え、
前記バネ押え解放機構の作動時における前記伝達部材の前記押え棒に対する相対移動量が、前記下送り歯の前記針板からの突出量と同じに設定されているミシン。
【請求項2】
前記上送り機構が前記押え本体に連結されて、前記上送り機構と前記押え本体とがユニット化されており、
前記上送り機構は、前記送り駆動部に着脱可能に連結された送り連結部を有しており、
前記押え本体は、前記押え棒に着脱可能に固定された押え固定部を有していることを特徴とする請求項1に記載のミシン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミシンに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載のミシンは、上送り歯を有しており、上送り歯が、下送り歯と共に縫製対象物を後側へ送るようになっている。これにより、縫製対象物に対する縫いずれ等を低減することができる。また、このミシンは、押え棒に対する押えバネの付勢力を解放する解放機構を有しており、下送り歯及び上送り歯によって縫製対象物を後側へ送るときの押えの影響を解放機構によって抑制するようになっている。具体的には、針板から突出した下送り歯が、上送り歯に直接または縫製対象物を介して間接的に当接したときに、押え棒に対する押えバネの付勢力が解放機構によって解放されて、押えが下送り歯よりも上側へ移動できるようになっている。より詳しくは、押えバネの付勢力を押え棒に伝達するためのバネ解放台(伝達部材)が、押え棒に対して上側へ相対移動して、押え棒に対する押えバネの付勢力が解放される。
【0003】
ところで、上記ミシンでは、下送り歯及び上送り歯の各々の前端部が、針よりも前側に配置され、下送り歯及び上送り歯の各々の後端部が針落ち位置よりも後側に配置されている。つまり、下送り歯及び上送り歯が、針落ち位置に対して前側及び後側にそれぞれ配置されている。このため、縫製対象物に対する送り時に、押えが下送り歯よりも上側へ移動しても、下送り歯及び上送り歯によって縫製対象物を上下に挟み込んで後側へ送ることができる。
【0004】
一方、上送り歯を有するミシンでは、上送り歯の全体が針落ち位置よりも後側に配置されたものもある。このため、このようなミシンでは、針落ち位置の後側において、上送り歯及び下送り歯によって縫製対象物を挟み込んで、縫製対象物を送るようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上送り歯の全体が針落ち位置よりも後側に配置されたミシンでは、以下に示す問題点がある。すなわち、縫製対象物を送り始めるときには、縫製対象物が針よりも前側に配置されて、縫製対象物が上送り歯に到達していない状態になる。このため、下送り歯と押えとによって縫製対象物を挟み込むようになる。一方、縫製対象物を送るときには、上述のように、押え棒に対する押えバネの付勢力が解放されて、押えが下送り歯よりも上側へ移動するように構成されている。これにより、縫製対象物に対する送り始めにおいて、押えの押え力(押えバネの付勢力)が縫製対象物に作用しないため、縫製対象物を良好に送ることができなくなる可能性がある。
【0007】
本発明は、上記事実を考慮して、縫製対象物に対する送り性能を向上することができるミシンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、押え棒と、前記押え棒を下側へ付勢するための押えバネと、前記押え棒に固定され、縫製対象物を押える押えを有する押え本体と、前記押えの下側に設けられ、針板よりも上側へ突出して前記縫製対象物を後側へ送る下送り歯と、前記下送り歯の上側に設けられ、針落ち位置の後側に配置された上送り歯を有すると共に、作動することで前記上送り歯が前記下送り歯と共に前記縫製対象物を後側へ送る上送り機構と、前記上送り歯に対して上送り動作をさせる送り駆動部と、前記押え棒に相対移動可能に設けられ且つ前記押えバネの付勢力を前記押え棒に伝達する伝達部材を有すると共に、前記下送り歯が前記上送り歯に当接することで作動して前記伝達部材を前記押え棒に対して上側へ相対移動させて前記押え棒に対する付勢力を解放させるバネ押え解放機構と、を備え、前記バネ押え解放機構の作動時における前記伝達部材の前記押え棒に対する相対移動量が、前記下送り歯の前記針板からの突出量と同じに設定されているミシンである。
【0009】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記上送り機構が前記押え本体に連結されて、前記上送り機構と前記押え本体とがユニット化されており、前記上送り機構は、前記送り駆動部に着脱可能に連結された送り連結部を有しており、前記押え本体は、前記押え棒に着脱可能に固定された押え固定部を有していることを特徴とするミシンである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の1又はそれ以上の実施形態のミシンによれば、縫製対象物に対する送り性能を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】(A)は、本実施の形態に係るミシンにおける縫製対象物に対する送り始めを説明するための右側から見た側面図であり、(B)は、比較例のミシンにおける縫製対象物に対する送り始めを説明するための右側から見た側面図である。
【
図2】本実施の形態に係るミシンの要部を示す左側から見た側面図である。
【
図3】
図2に示されるミシンの要部を分解した状態で示す分解斜視図である。
【
図4】(A)は、
図2に示される下送り歯の歯部を示す上側から見た平面図であり、(B)は、(A)に示される下送り歯の歯部と押え片及び上送り歯との左右方向の位置関係を説明するための平面図である。
【
図5】(A)は、
図2に示される送りユニットの全体を示す斜視図であり、(B)は(A)の送りユニットを示す右側から見た側面図である。
【
図6】
図5に示される上送り機構を押え本体から分解した状態で示す分解斜視図である。
【
図7】(A)は、
図6に示される上送り機構を、送り足支持部材を取り除いた状態で示す平面図であり、(B)は、(A)の上送り機構の下端部を示す前側から見た正面図であり、(C)は、(A)の上送り機構を右側から見た側面図である。
【
図8】ミシンの動作を説明するための右側から見た側面図であり、(A)は、針機構が上死点手前位置に配置された状態の側面図であり、(B)は、針機構が上死点において反転した後の状態の側面図である。
【
図9】ミシンの動作を説明するための右側から見た側面図であり、(A)は、針機構が針板手前の位置に配置された状態の側面図であり、(B)は、針機構が下死点位置に配置された状態の側面図である。
【
図10】
図7に示される送り歯付勢バネを圧縮コイルスプリングにした場合の上送り歯の幅寸法の変化を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を用いて、本実施の形態に係るミシン10について説明する。なお、図面において適宜示される矢印UPは、ミシン10の上側を示し、矢印FRは、ミシン10の前側を示し、矢印RHは、ミシン10の右側(幅方向一方側)を示している。以下、上下、前後、左右の方向を用いて説明する場合は、ミシン10の上下、前後、左右を示すものとする。
【0013】
図2及び
図3に示されるように、ミシン10は、ミシン本体12と、縫製対象物を上側から押える押えユニット70と、押えユニット70を駆動するための上送り駆動機構30と、を含んで構成されている。以下、ミシン10の各構成について説明する。
【0014】
(ミシン本体について)
ミシン本体12は、押え棒14を有している。押え棒14は、上下方向を軸方向とする略丸棒状に形成されて、ミシン本体12を構成するフレーム13に上下方向に相対移動可能に支持されている。また、押え棒14の上下方向中間部には、後述するバネ押え解放機構50を構成する押え棒抱き58が固定されている。さらに、ミシン本体12は、後述する押えユニット70の交換時等に用いる操作レバー15を有している。操作レバー15は、押え棒14の後側で且つ押え棒抱き58の下側の位置において、左右方向を軸方向として、フレーム13に回転可能に連結されている。そして、押え棒抱き58が操作レバー15によって下側から支持されて、押え棒14の上下方向の位置が設定されている。また、後述する押えユニット70の交換時等では、操作レバー15を
図2に示される位置から上側へ回転操作することで、操作レバー15によって押え棒抱き58が持上げられて、押え棒14が上側へ移動するようになっている。
【0015】
押え棒14の上部には、押えバネ16が装着されている。押えバネ16は、圧縮コイルスプリングとして構成されており、押えバネ16の上端部が、フレーム13に係止されている。
【0016】
押え棒14の下端部には、後述する上送り駆動機構30を押え棒14に連結するための連結体18が設けられており、連結体18は、左右方向を軸方向とする略円柱状に形成されている。そして、押え棒14の下端部が、連結体18の軸方向中間部に、上下方向に相対移動可能に挿通されている。この連結体18には、左右一対の支持軸18L,18Rが設けられている。支持軸18L,18Rは、左右方向を軸方向として、連結体18から幅方向外側へ突出されると共に、同軸上に配置されている。
【0017】
また、ミシン本体12は、針機構20を有している。針機構20は、針棒21を備えており、針棒21は、押え棒14の前側において、上下方向に延在されている。また、針棒21の下端部には、「針」としての縫針22が固着されている。そして、ミシン10の作動時には、針棒21が上下方向に往復(反転)移動することで、縫針22によって縫製対象物を縫製するようになっている。さらに、針機構20の下側には、針板26(
図2参照)が配置されており、針板26は、上下方向を板厚方向とした略矩形板状に形成されて、ミシン本体12に固定されている。
【0018】
針板26の下側には、下送り機構を構成する下送り歯28(
図2参照)が配置されている。
図4(A)に示されるように、下送り歯28の上端部には、前後方向に延在された複数(本実施の形態では、5本)の歯部が形成されており、これらの歯部が左右方向に並んでいる。具体的には、下送り歯28は、下送り歯28の幅方向両端部に配置された左右一対の第1歯部28Aと、一対の第1歯部28Aの間に配置された3本の第2歯部28Bと、を有している。そして、上側から見た平面視で、第1歯部28Aが、縫針22に対して左側及び右側にそれぞれ配置されている。また、第1歯部28Aの前端が縫針22よりも前側に配置され、第1歯部28Aの後端が縫針22の針落ち位置よりも後側に配置されるように、第1歯部28Aの前後方向の長さが設定されている。一方、第2歯部28Bは、平面視で、縫針22の針落ち位置よりも後側に配置されており、前後方向における第2歯部28Bの後端の位置と第1歯部28Aの後端の位置とが一致している。すなわち、第2歯部28Bの前後方向の長さが、第1歯部28Aの前後方向の長さよりも短く設定されている。また、第1歯部28A及び第2歯部28Bの上面には、それぞれ複数の歯が形成されており、これらの歯が前後方向に並んで配置されている。なお、針板26には、第1歯部28Aを露出させるための第1露出孔26Aと、第2歯部28Bを露出させるための第2露出孔26Bと、が貫通形成されている。
【0019】
(上送り駆動機構について)
図2及び
図3に示されるように、上送り駆動機構30は、後述する押えユニット70の上送り機構80を駆動させるための「送り駆動部」としての送り駆動機構部32と、押え棒14に対する押えバネ16の付勢力を解放させるためのバネ押え解放機構50と、を含んで構成されている。
【0020】
<送り駆動機構部について>
送り駆動機構部32は、送り軸34と、第1送りアーム36と、第2送りアーム40と、を含んで構成されている。
送り軸34は、左右方向を軸方向とした略丸棒状に形成されている。この送り軸34は、下送り機構(図示省略)と連結されて、下送り機構の作動に連動して、自身の軸回りに回動するように構成されている。
【0021】
第1送りアーム36は、略上下方向を長手方向とした略長尺ブロック状に形成されている。第1送りアーム36の上端部は、送り軸34の左端部に一体回動可能に固定されている。一方、第1送りアーム36の下端部は、略前後方向に延在された送りリンク38の後端部に、左右方向を軸方向として回動可能に連結されている。
【0022】
第2送りアーム40は、第1送りアーム36の前斜め下方に配置されており、左側から見た側面視で、略L字形板状に形成されている。具体的には、第2送りアーム40は、上下方向に延在されたアーム本体部40Aと、アーム本体部40Aの下端部から前側へ延出されたアーム連結部40Bと、を含んで構成されている。そして、アーム本体部40Aの上端部が、送りリンク38の前端部に、左右方向を軸方向として回動可能に連結されている。また、アーム連結部40Bの前端部には、円形状の連結孔40Cが貫通形成されており、連結孔40Cは、後述する切換アーム68を介して、連結体18の左側の支持軸18Lに回動可能に連結されている。これにより、送り軸34が軸回りに回動することで、第2送りアーム40が、支持軸18Lの軸回りに回動する構成になっている。
【0023】
また、前述した連結体18の右側には、補助プレート42が配置されており、補助プレート42は、左右方向を板厚方向して配置されると共に、左側から見た側面視で略L字形状に形成されている。そして、補助プレート42の前端部が、連結体18における右側の支持軸18Rに回動可能に支持されている。さらに、連結体18の後側(詳しくは、第2送りアーム40と補助プレート42との間)には、スペーサ44が配置されており、スペーサ44は、左側から見た側面視で略L字形ブロック状に形成されている。そして、補助プレート42が、スペーサ44を介して、一対のネジによって第2送りアーム40に締結固定されている。
【0024】
また、第2送りアーム40(のアーム連結部40B)には、後述する上送り機構80(上送り足84)を連結するための前後一対の連結シャフト40F,40Rが設けられている。この連結シャフト40F,40Rは、左右方向を軸方向としてアーム連結部40Bから右側へ突出されている。
【0025】
<バネ押え解放機構について>
バネ押え解放機構50は、カム52と、従動レバー54と、押え棒抱き58と、バネ受け60と、「伝達部材」としての押えバネホルダ62と、ベルクランク64と、切換アーム68と、を含んで構成されている。
カム52は、送り軸34の前側に配置されている。このカム52は、左右方向を板厚方向とする略円板状の板カムとして構成されており、カム52の外周面がカム面として構成されている。カム52は、左右方向を軸方向とした上軸46に一体回動可能に固定されており、上軸46は、カム52の中心に対して偏心した位置に配置されている。
【0026】
ここで、上軸46は、前述した針機構20を駆動させるための軸としても構成されており、針棒21の上端部が、上軸46の左側の端部に、図示しないクランク機構を介して連結されている。さらに、上軸46は、下送り機構(下送り歯28)を駆動させるための下軸(図示省略)に連結されており、下軸が回動することで、下送り歯28が前後方向及び上下方向に駆動するように構成されている。そして、下送り歯28の駆動時には、下送り歯28の第1歯部28A及び第2歯部28Bが、針板26の上面よりも上側へ突出して、後述する上送り歯86と共に縫製対象物を後側へ送るようになっている。
【0027】
従動レバー54は、前述した送り軸34に回動(揺動)可能に支持されると共に、カム52の後側に配置されている。従動レバー54の右端部には、レバー部54Aが設けられており、レバー部54Aは、従動レバー54から前側(カム52側)へ突出している。そして、従動レバー54は、付勢バネ56によって前側(カム52側)へ付勢されており、レバー部54Aの先端部がカム52のカム面に当接している。これにより、カム52が回動することで、従動レバー54が、カム面の形状に対応して、送り軸34の軸回りを揺動するようになっている。また、従動レバー54の左端部には、後述するベルクランク64を従動レバー54に連結するための従動側連結軸54Bが一体に設けられており、従動側連結軸54Bは、送り軸34の下側において、左右方向を軸方向として配置されている。
【0028】
押え棒抱き58は、前後方向に延在された略直方体ブロック状に形成されている。そして、押え棒抱き58の前端部が、押え棒14の長手方向中間部に固定されており、押え棒抱き58の後端部が、前述した操作レバー15によって下側から支持されている。また、押え棒抱き58の前端部における左側面には、突起58Aが形成されており、突起58Aは、略矩形ブロック状に形成されて押え棒抱き58から左側へ突出されている。
【0029】
バネ受け60は、上下方向を軸方向とした略円筒状に形成されている。そして、押え棒14が、バネ受け60の内部に相対移動可能に挿通されており、バネ受け60が、押え棒抱き58の前端部の上側に隣接して配置されている。
【0030】
押えバネホルダ62は、前側から見た正面視で、右側へ開放された略U字形板状に形成されている。具体的には、押えバネホルダ62は、左右方向を板厚方向として上下方向に延在された側壁62Sと、側壁62Sの上端部及び下端部から右側へそれぞれ延出された上壁62U及び下壁62Lと、を有している。また、上壁62U及び下壁62Lには、円形状の挿通孔62Hが貫通形成されている。そして、押えバネホルダ62の内側(上壁62Uと下壁62Lとの間)に、押え棒抱き58の前端部及びバネ受け60を配置した状態で、押え棒14が、押えバネホルダ62の挿通孔62H内に上下方向に相対移動可能に挿通されている。換言すると、押えバネホルダ62が、押え棒14に相対移動可能に支持されている。また、押えバネホルダ62の上壁62Uは、押えバネ16の下端部を下側から支持しており(
図2参照)、押えバネ16の付勢力によって押えバネホルダ62が下側へ付勢されている。これにより、押えバネホルダ62の上壁62Uが、バネ受け60の上端に当接して、押えバネ16の付勢力が、押えバネホルダ62の上壁62U、バネ受け60、及び押え棒抱き58を介して押え棒14に伝達される構成になっている(以下、押えバネホルダ62の上壁62Uが、バネ受け60の上端に当接した状態の、押え棒14に対する押えバネホルダ62の位置を「伝達位置」と称する)。なお、押えバネホルダ62の下壁62Lは、押え棒抱き58に対して下側に離間して配置されている。
【0031】
また、押えバネホルダ62の側壁62Sには、長孔62Aが貫通形成されており、長孔62Aは、上下方向を長手方向とする略矩形状に形成されている。そして、前述した押え棒抱き58の突起58Aが、長孔62A内に、上下方向に相対移動可能に挿入されている。これにより、押えバネホルダ62は、押え棒抱き58(押え棒14)に対して所定の範囲内で上下方向に相対移動可能に構成されている。
【0032】
また、押えバネホルダ62の側壁62Sには、長孔62Aの後側の位置において、切換軸62Bが設けられている。この切換軸62Bは、左右方向を軸方向とした略円柱状に形成されると共に、押え棒14の後側の位置において、側壁62Sから右側へ突出されている。
【0033】
ここで、詳細については後述するが、バネ押え解放機構50の作動時には、押えバネホルダ62が、伝達位置から押えバネ16の付勢力に抗して押え棒14に対して上側へ相対移動して、解放位置(
図2において、2点鎖線にて示される押えバネホルダ62の位置)に配置されるようになっている。そして、解放位置では、押えバネホルダ62の上壁62Uがバネ受け60から上側へ離間するため、押え棒14に対する押えバネ16の付勢力が解放される構成になっている。また、本実施の形態では、バネ押え解放機構50の作動時における押えバネホルダ62の押え棒14に対する(最大)相対移動量L(上下方向における伝達位置と解放位置との間の距離)が、下送り歯28(第1歯部28A及び第2歯部28B)の針板26の上面からの(最大)突出量H(
図1(A)及び
図8(B)参照)と同じに設定されている。
【0034】
ベルクランク64は、左右方向を板厚方向とした略三角形プレート状に形成されて、押えバネホルダ62の後側で且つ従動レバー54における従動側連結軸54Bの前側に配置されている。このベルクランク64の下端部には、右側へ突出された略円筒状の連結筒部64Aが設けられており、押えバネホルダ62の切換軸62Bが連結筒部64A内に回動可能に挿入されている。また、ベルクランク64の上端部には、右側へ突出された第1連結軸64Bが設けられており、第1連結軸64Bには、前後方向に延在された連結リンク66の前端部が回動可能に連結されている。この連結リンク66の後端部は、従動レバー54の従動側連結軸54Bに回動可能に連結されている。これにより、ベルクランク64と従動レバー54とが連結リンク66によって連結されている。そして、カム52の回動時に、従動レバー54が、カム52のカム面の形状に対応して、揺動することで、ベルクランク64(すなわち、バネ押え解放機構50)が作動する構成になっている。さらに、ベルクランク64には、後述する切換アーム68とベルクランク64とを連結するための第2連結軸64Cが設けられている。この第2連結軸64Cは、連結筒部64Aの後側において、ベルクランク64から左側へ突出されている。
【0035】
切換アーム68は、第2送りアーム40の左側において、上下方向に延在されると共に、左右方向を板厚方向とした略長尺板状に形成されている。この切換アーム68の下端部には、右側へ突出された略円筒状の連結筒部68Aが一体に形成されており、連結筒部68Aは、第2送りアーム40の連結孔40C内に挿入されて、第2送りアーム40の下端部を回動可能に支持している。また、連結筒部68A内には、前述した連結体18の左側の支持軸18Lが挿入されており、連結筒部68Aが支持軸18Lに回動可能に支持されている。一方、切換アーム68の上端部は、ベルクランク64の第2連結軸64Cに回動可能に連結されている。
【0036】
(押えユニットについて)
図5~
図7に示されるように、押えユニット70は、縫製対象物を上側から押えるための押え本体72と、前述した下送り歯28と共に縫製対象物を後側へ送るための上送り機構80と、を含んで構成されている。そして、上送り機構80が、押え本体72に連結されて、押え本体72及び上送り機構80が、押えユニット70としてユニット化されている。
【0037】
<押え本体について>
押え本体72は、押えホルダ74と、「押え」としての押え片78と、を有している。
押えホルダ74は、上側から見た平面視で、全体として後側へ開放された略U形ブロック状に形成されている。この押えホルダ74の前端部は、「押え固定部」としてのホルダ連結部74Aとして構成されている。ホルダ連結部74Aの上部には、押え棒装着部74Bが形成されており、押え棒装着部74Bは、平面視で、前側及び右側へ開放された凹状に形成されている。そして、押え棒14の下端部が、押え棒装着部74Bの内部に配置されている(
図3参照)。
【0038】
また、ホルダ連結部74Aには、押え棒装着部74Bの左側の位置において、固定溝74Cが左右方向に貫通形成されており、固定溝74Cは、側面視で、前側へ開放された略U字形状に形成されている。そして、固定ネジSC(
図3参照)が固定溝74C内に左側から挿入されて、固定ネジSCによって押えホルダ74(ホルダ連結部74A)が押え棒14に締結固定されている(
図3参照)。これにより、押えホルダ74(押え本体72)が、押え棒14に着脱可能に固定されている。
【0039】
ホルダ連結部74Aの下端部には、後述する押え片78を取付けるための左右一対の押え取付部74Dが一体に形成されており、押え取付部74Dは、ホルダ連結部74Aの下端部の幅方向両端部から下側へ延出している。押え取付部74Dの下端部には、前側へ開放された押え取付溝74Eが形成されており、押え取付溝74Eは、略前後方向に延在されると共に、左右方向に貫通している。さらに、押え取付溝74Eの上側の内周面には、下側へ開放された取付凹部74Fが形成されており、後述する押え片78の取付ピン79が取付凹部74F内に嵌入されるようになっている。また、押えホルダ74の後部には、左右方向を軸方向とした第1ピン76が設けられており、第1ピン76は、押えホルダ74の左右の側壁に架け渡されている。
【0040】
図4(B)にも示されるように、押え片78は、略上下方向を板厚方向とし且つ前後方向を長手方向とした略矩形板状に形成されており、押え片78の前端部が、側面視で前側へ向かうに従い上側へ滑らかに傾斜されている。押え片78の後部には、左右一対の取付壁78Aが一体に形成されている。この取付壁78Aは、左右方向を板厚方向として押え片78から上側へ突出されると共に、押えホルダ74における一対の押え取付部74Dの間に配置されている。一対の取付壁78Aには、取付ピン79が設けられており、取付ピン79は、左右方向を軸方向とした略円柱状に形成されて、一対の取付壁78Aから押え片78の幅方向外側へ突出されている。そして、取付ピン79が、押えホルダ74の押え取付溝74E内に前側から挿入されると共に、押え取付溝74Eの取付凹部74F内に嵌入されて、押え片78が、押えホルダ74に回転可能に取付けられている。
【0041】
また、押え片78の後部には、左右一対の取付壁78Aの間において、挿通孔78Bが貫通形成されており、挿通孔78Bは、平面視で前後方向を長手方向とする略矩形状に形成されている。また、押え片78の前部には、幅方向中間部において、前側へ開放された溝部78Cが形成されており、溝部78Cは、前後方向に延在されると共に、上下方向に貫通している。これにより、押え片78の前部が、溝部78Cによって左右に分割された、一対のフロント押え部78Fとして構成されている。
【0042】
ここで、
図4(B)に示されるように、押え片78の幅方向の寸法は、下送り歯28の幅寸法(具体的には、一対の第1歯部28Aの幅方向外側面間の距離)よりも小さく設定されている。また、押え片78が、下送り歯28の幅方向中央よりも左側に寄って配置されている。具体的には、押え片78が、平面視で、下送り歯28における左側の第1歯部28Aと、下送り歯28における左側及び幅方向中央の2箇所の第2歯部28Bと、に重なるように、押え片78の幅寸法が設定されている。より詳しくは、平面視で、押え片78における左側のフロント押え部78Fが、下送り歯28における左側の第1歯部28Aと重なるように配置されて、押え片78における右側のフロント押え部78Fの後側に、下送り歯28における幅方向中央の第2歯部28Bが配置されている。また、平面視で、押え片78の挿通孔78Bが、下送り歯28における左側の第2歯部28Bに重なるようになっている。また、本実施の形態では、縫針22が左右方向に移動可能に構成されており、押えユニット70を用いて縫製対象物を縫製するときには、縫針22が、左寄りに配置されると共に、平面視で押え片78の溝部78Cと重なる位置に配置される構成になっている。
【0043】
<上送り機構について>
図5~
図7に示されるように、上送り機構80は、送り足支持部材82と、「上送りホルダ」としての上送り足84と、上送り歯86と、送り歯付勢バネ88と、を含んで構成されている。
送り足支持部材82は、平面視で前側へ開放された略U字形板状に形成されて、押えホルダ74の内側で且つ第1ピン76の上側に配置されている。そして、送り足支持部材82の後部が、左右方向を軸方向とした第2ピン82Aによって回転可能に支持されており、第2ピン82Aは、押えホルダ74の左右の側壁に架け渡されている。また、第2ピン82Aには、ホルダバネ83が装着されており、ホルダバネ83はトーションスプリングとして構成されている。そして、ホルダバネ83によって送り足支持部材82が右側から見た側面視で時計回りに付勢されており、送り足支持部材82の後端部が、第1ピン76に当接して、送り足支持部材82の回動が制限されるようになっている。さらに、送り足支持部材82の左右の側壁には、後述する上送り足84を連結するための左右一対のクランク溝82Bが貫通形成されている。
【0044】
上送り足84は、右側から見た側面視で略クランク形を成す略矩形棒状に形成されて、送り足支持部材82の幅方向内側で且つ押えホルダ74内に配置されている。具体的には、上送り足84は、前後方向に延在された上側足部84Aと、上側足部84Aの前端部から下側へ延出された中間足部84Bと、中間足部84Bの下端部から前側へ延出された下側足部84Cと、を含んで構成されている。
【0045】
上側足部84Aの後端部には、上側へ延出され且つ前側へ屈曲された連結片84Dが一体に形成されている。これにより、上側足部84Aの後端部には、前側へ開放された「送り連結部」としてのリヤ連結溝84Eが形成されており、リヤ連結溝84Eには、前述した第2送りアーム40の後側の連結シャフト48Rが嵌入されている(
図2参照)。また、上側足部84Aの前端部には、上側へ開放された「送り連結部」としてのフロント連結溝84Fが形成されており、フロント連結溝84Fは左右方向に貫通されている。このフロント連結溝84Fは、側面視で、略U字形状に形成されており、前述した第2送りアーム40における前側の連結シャフト48Fがフロント連結溝84F内に嵌入されている(
図2参照)。これにより、上送り足84(上送り機構80)が、第2送りアーム40(送り駆動機構部32)に着脱可能に連結されている。
【0046】
中間足部84Bには、左右一対の連結ピン84Pが設けられており、連結ピン84Pは、左右方向を軸方向とした略円柱状に形成されて、上送り足84から幅方向外側へ突出している。そして、連結ピン84Pが、送り足支持部材82のクランク溝82B内に摺動可能に挿入されている。また、中間足部84Bの下端部には、後述する送り歯付勢バネ88を装着するためのバネ装着部84Gが形成されており、バネ装着部84Gは、右側及び下側へ開放された凹状に形成されている。また、バネ装着部84Gには、バネ取付ボス84Hが一体に形成されており、バネ取付ボス84Hは、左右方向を軸方向とした略円柱状に形成されてバネ装着部84Gから右側へ突出されている。
【0047】
下側足部84Cは、上側足部84A及び中間足部84Bに対して左側へ寄った位置に配置されており、下側足部84Cの前端部が下側へ屈曲されている。また、下側足部84Cの前端部には、左右一対の抉り部84Jが形成されており、抉り部84Jは、幅方向外側且つ下側へ開放された凹状に形成されている。これにより、下側足部84Cの先端部には、他の部分よりも幅方向の厚みの薄い連結片84Kが形成されている。
【0048】
上送り歯86は、前側から見た正面視で、上側へ開放された略U字形ブロック状に形成されている。具体的には、上送り歯86は、底壁86Aと、底壁86Aの幅方向両端部から上側へ延出された左右一対の側壁86Bと、を含んで構成されている。また、左右方向における一対の側壁86Bの距離が、送り足支持部材82の連結片84Kの板厚よりも僅かに大きく設定されている。そして、連結片84Kが、上送り歯86の左右の側壁86Bの間に配置されており、上送り歯86の側壁86Bが、左右方向を軸方向とした連結ピン89によって連結片84Kに回転可能に連結されている。
【0049】
ここで、上送り歯86の幅寸法は、押え片78の挿通孔78Bの幅寸法よりも僅かに小さく設定されている。そして、上送り歯86が挿通孔78Bの真上に配置されて、挿通孔78B内を挿通可能に構成されている(
図4(B)参照)。すなわち、平面視で、上送り歯86が、下送り歯28における左側の第2歯部28Bの真上に配置されている。また、上送り歯86の底壁86Aの下面には、複数の歯が形成されており、当該歯が、前後方向に並んで配置されている。これにより、上送り機構80の作動時には、下送り歯28における左側の第2歯部28Bと上送り歯86とによって、縫製対象物を上下に挟み込んで、縫製対象物を送るように構成されている。
【0050】
また、上送り歯86の後端部における下部には、連結ピン89よりも後側の位置において、後述する送り歯付勢バネ88を係止するための係止壁86Cが一体に形成されており、係止壁86Cは、上送り歯86の底壁86Aから上側へ延出されている。この係止壁86Cの上端部には、幅方向中央部において、係止溝86Dが形成されており、係止溝86Dは、後側から見て、上側へ開放された略V字形状に形成されている。
【0051】
送り歯付勢バネ88は、トーションスプリングとして構成されている。そして、送り歯付勢バネ88が上送り足84のバネ取付ボス84Hに装着され、送り歯付勢バネ88の一端部が、上送り歯86の係止溝86Dに係止されると共に、送り歯付勢バネ88の他端部が送り上送り足84に係止されている。これにより、上送り歯86の後端部が下側へ付勢されて、上送り歯86が右側から見て時計回りに付勢されている。また、上送り歯86の底壁86Aが連結片84Kに当接することで、上送り歯86の回転が制限されており、上送り歯86が下送り歯28に当接していない状態では、上送り歯86の前端部が持ち上がるように上送り歯86が傾斜している。
【0052】
ここで、押えユニット70を押え棒14に固定するときには、操作レバー15によって、押え棒14を上側へ移動させた状態で、固定ネジSCによって押えユニット70を押え棒14に仮固定する。この後、操作レバー15によって、仮固定状態の押えユニット70を押え棒14と共に下側へ下降させる。そして、押え片78が、針板26の上面に当接した状態で、固定ネジSCを本締めして、押えユニット70を押え棒14に固定させる。このため、押えユニット70の押え棒14への固定状態では、押え片78の下面が針板26の上面に当接した位置に、押え片78が配置されている。また、ミシン10の作動時には、下送り歯28が上昇することで、下送り歯28の上端が上送り歯86の下端に当接して、傾斜状態の上送り歯86が回転して、下送り歯28と平行に配置されるようになっている。
【0053】
(作用及び効果)
次に、
図8及び
図9を用いて、ミシン10における動作を説明しつつ、本実施の形態の作用及び効果について説明する。なお、
図8及び
図9では、ミシン10を右側から見た側面視にて図示している。また、
図8及び
図9のそれぞれの下部には、下送り歯28の送り周期を2点鎖線にて模式的に図示し、下送り歯28の位置をドットにて図示している。
【0054】
(針機構20が上死点手前位置から上死点へ上昇し且つ上死点から針板手前位置まで下降するときの動作について)
図8(A)、
図8(B)、及び
図9(A)に示されるように、この動作のときには、上軸46(
図8及び
図9では不図示)が自身の軸回りに回動することで、針機構20が、クランク機構によって、上死点手前位置から上死点へ上昇し且つ上死点から針板手前位置まで下降する。また、このときには、上軸46の回動に連動して下軸が回動されて、下送り機構の下送り歯28が、針板26よりも上側へ突出し且つ後側へ変位しながら、縫製対象物を後側へ送る。具体的には、
図8(A)に示されるように、下送り歯28の上端が針板26の上面と一致する位置に上昇して、下送り歯28の縫製対象物に対する送りが開始される。その後、
図8(B)に示されるように、下送り歯28が、
図8(A)に示される位置からさらに上昇し且つ後側へ変位する。これにより、下送り歯28の上端が針板26の上面よりも突出して、縫製対象物を後方側へ送る(
図8(B)参照)。そして、
図9(A)に示されるように、下送り歯28の上端が針板26の上面と一致する位置へ下降して、下送り歯28の縫製対象物に対する送りが完了する。
【0055】
また、このときには、下送り機構(下送り歯28)の作動に伴って、送り駆動機構部32が作動する。具体的には、
図2に示されるように、送り軸34が、自身の軸回りを反時計回り(
図2の矢印A1側)へ回動する。これにより、第1送りアーム36が、送り軸34を中心としての反時計回りに回動すると共に、第2送りアーム40が支持軸18Lを中心に時計回り(
図2の矢印B1側)に回動する。そして、第2送りアーム40の連結シャフト40F,40Rには、上送り足84が連結されているため、上送り足84が、第2送りアーム40と共に支持軸18Lを中心に回動する。このため、上送り足84の下端部(下側足部84C)に連結された上送り歯86が後側へ変位して、上送り歯86が下送り歯28と共に縫製対象物を後方側へ送る。具体的には、
図8(A)に示される状態では、上送り歯86の下端が針板26の上面と一致する位置に配置されている。これにより、上昇した下送り歯28と上送り歯86とによって縫製対象物Sを上下に挟み込んで、縫製対象物Sを後側へ送る。そして、針機構20が
図8(A)に示される上死点手前位置から
図9(A)に示される針板手前位置に到達するまで、上送り歯86が下送り歯28と共に縫製対象物を後側へ送る。
【0056】
また、上送り歯86及び下送り歯28によって縫製対象物を上下に挟み込むときには、バネ押え解放機構50が作動して、バネ押え解放機構50によって、押え棒14に対する押えバネ16による付勢力が、解放される。具体的には、
図2に示されるように、上軸46の回動に伴い、カム52が回動して、従動レバー54が送り軸34を中心として時計回りに回動する。このとき、従動レバー54の従動側連結軸54Bには、ベルクランク64が連結リンク66によって連結されているため、ベルクランク64が切換軸62Bの軸回りを反時計回りに回動しようとする。このため、ベルクランク64の第2連結軸64Cに連結された切換アーム68及び支持軸18Lが下側へ変位しようとする。
【0057】
一方、下送り歯28の上端(第1歯部28A及び第2歯部28B)は、針板26の上面から突出するため、下送り歯28が上送り歯86に直接的又は間接的(縫製対象物を介して)当接している。よって、下送り歯28によって上送り歯86の下側への変位が制限されている。このため、上送り歯86に上送り足84及び第2送りアーム40を介して連結された支持軸18Lの下側への変位が制限される。これにより、ベルクランク64が第2連結軸64Cを中心として反時計回りに回動して、押えバネホルダ62の切換軸62Bが上側へ変位する。その結果、押えバネホルダ62が押え棒14に対して上側へ持ち上げられて(相対移動して)、解放位置に変位する。したがって、押えバネ16による押え棒14に対する付勢力が、解放される。つまり、押えバネホルダ62の相対移動量L分だけ、押え片78の上側への移動が許可されて、押え片78が、下送り歯28と共に上側へ移動して針板26の上面から離間する(
図8(B)参照)。
【0058】
そして、針機構20が針板手前位置まで下降する間に、カム52のカム面の形状によって、従動レバー54の回動が反転されて、押えバネホルダ62が解放位置から下側へ変位して伝達位置に配置される。これにより、針機構20の針板手前位置において、押えバネホルダ62が、押えバネ16による付勢力を押え棒14に伝達する状態に復帰する。
【0059】
(針機構20が針板手前位置から下死点へ下降し且つ下死点から上死点手前位置に上昇するときの動作について)
図9(B)に示されるように、この動作のときには、上軸46が自身の軸回りに回動することで、針機構20が、クランク機構によって、針板手前位置から下死点へ下降し且つ下死点から針板手前位置まで上昇する。また、このときには、上軸46の回動に連動して下軸が回動されて、下送り機構の下送り歯28が下側且つ前側へ変位して、縫製対象物を送る前の状態に復帰する。
【0060】
一方、
図2に示されるように、送り駆動機構部32では、下送り機構(下送り歯28)の作動に伴って、送り軸34が、自身の軸回りを時計回り(
図2の矢印A2側)に回動する。これにより、第1送りアーム36が、送り軸34を中心に時計回りに回動すると共に、第2送りアーム40が支持軸18Lを中心に反時計回り(
図2の矢印B2側)に回動する。そして、上述のように、第2送りアーム40の連結シャフト40F,40Rには、上送り足84が連結されているため、上送り足84が、第2送りアーム40と共に支持軸18Lを中心に反時計回りに回動する。これにより、上送り足84の下端部(下側足部84C)に連結された上送り歯86が前側へ変位する。
【0061】
なお、バネ押え解放機構50では、上軸46の回動によって、カム52が回動することで、従動レバー54が送り軸34を中心に反時計回りに回動される。これにより、従動レバー54に連結リンク66を介して連結されたベルクランク64の第1連結軸64Bに前側への荷重が作用して、ベルクランク64が切換軸62Bを中心に時計回りに回動する。これにより、ベルクランク64に連結された切換アーム68が、上側へ変位すると共に、支持軸18Lが押え棒14に対して上側へ変位する。このため、
図9(B)に示されるように、支持軸18Rに第2送りアーム40及び上送り足84を介して連結された上送り歯86も上方側へ変位して、上送り歯86が下送り歯28に対して上側へ離間する。よって、送り歯付勢バネ88の付勢力によって上送り歯86が連結ピン89の軸回りに回転して、上送り歯86の前端部が持ち上がるように、上送り歯86が傾斜した状態になる。その後、カム52のカム面の形状によって、従動レバー54の回動が反転されて、上送り歯86が
図8(A)に示される状態に復帰する。
【0062】
ところで、縫製対象物に対する縫製開始時には、縫製対象物を、縫針22の前側において、押え片78と下送り歯28との間に前側から挿入して縫製対象物を送るようになる。ここで、本実施の形態のミシン10では、押えユニット70の上送り歯86の全体が、縫針22の針落ち位置の後側に配置されている。このため、縫製対象物に対する縫製開始時(すなわち、縫製対象物に対する送り開始時)には、縫製対象物が上送り歯86に未だ到達していないため、下送り歯28及び押え片78によって縫製対象物を上下に挟み込むようになる。すなわち、下送り歯28によって縫製対象物を送るようになる。一方、上送り歯86によって縫製対象物を送るときには、上述のように、バネ押え解放機構50が作動して、押えバネ16の押え棒14に対する付勢力が解放される。ここで、縫針22の前側の下送り歯28と押え片78との間隔が大きく開いてしまうことがある。このため、上送り歯86の全体が縫針22の針落ち位置の後側に配置されたミシン10では、縫製対象物に対する送り開始時(縫針22の前側)において、下送り歯28と押え片78とによって挟み込まれた縫製対象物を、良好に送ることができなくなる可能性がある。
【0063】
ここで、本実施の形態のミシン10では、バネ押え解放機構50の作動時における押えバネホルダ62の押え棒14に対する相対移動量Lが、下送り歯28の針板26の上面からの突出量Hと同じに設定されている。このため、上送り歯86の全体が、縫針22の針落ち位置の後側に配置されているミシン10であっても、縫製対象物に対する送り開始時(縫針22の前側)において、下送り歯28と押え片78とで縫製対象物を挟み込んでいるため、縫製対象物を後側へ良好に送ることができる。以下、この点について、
図1(B)に示される比較例のミシン100と比較しつつ説明する。
【0064】
まず、
図1(B)に示される比較例のミシン100について説明する。比較例のミシン100では、以下に示す点を除いて本実施の形態のミシン10と同様に構成されている。なお、以下の説明では、ミシン100において本実施の形態のミシン10と同様に構成されている部材に同一の符号を付して説明する。
【0065】
すなわち、比較例のミシン100では、本実施の形態のミシン10と同様に上送り歯86を有しているが、下送り歯28と上送り歯86とによって縫製対象物Sを送るときの押え片78の押え力の影響を抑制する構造を成している。具体的には、バネ押え解放機構50の作動時における押えバネホルダ62の押え棒14に対する相対移動量Lが、下送り歯28の針板26の上面からの突出量Hよりも比較的大きく設定されている。
【0066】
そして、
図1(B)に示されるように、縫製対象物Sに対する送り開始時には、縫製対象物Sが上送り歯86に到達していないため、上側へ変位した下送り歯28が上送り歯86に当接して、バネ押え解放機構50が作動する。このため、上述と同様に、押えバネホルダ62が伝達位置から解放位置まで上昇し、押え棒14に対する押えバネ16の付勢力が解放されて、押え棒14の上昇が許可される。つまり、押え片78が、針板26の上面から、相対移動量L分だけ上側へ上昇できるようになる(以下、押え片78のこの位置を「上昇位置」と称し、
図1では、押え片78を上昇位置まで上昇させた位置で図示している)。
【0067】
一方、下送り歯28は、針板26に対して上側へ突出量H分だけ突出する。そして、比較例のミシン100では、上述のように、バネ押え解放機構50の作動時における押えバネホルダ62の押え棒14に対する相対移動量Lが、下送り歯28の針板26の上面からの突出量Hよりも比較的大きく設定されている。このため、押え片78が上昇位置まで上昇したときには、押え片78が下送り歯28の上端(第1歯部28A及び第2歯部28B)よりもさらに上側に位置する。すなわち、上昇位置に配置された押え片78と縫製対象物Sとの間に隙間Gが形成されるようになる。
【0068】
そして、縫製対象物Sに対する送り開始時に、下送り歯28(左側の第1歯部28A)と押え片78(フロント押え部78F)とによって縫製対象物Sを上下に挟み込むと、縫製対象物Sによって押え片78が上側へ持ち上げられる。このとき、縫製対象物Sの厚みが、隙間Gよりも小さい場合には、押え片78が上昇位置まで到達せず、押え片78における押えバネ16の付勢力が、縫製対象物Sに作用しない。これにより、縫製対象物Sに対する送り開始時に、下送り歯28(左側の第1歯部28A)と押え片78(フロント押え部78F)とによって縫製対象物Sを良好に挟み込むことができなくなり、下送り歯28によって縫製対象物Sを後側へ送ることができなくなる可能性がある。
【0069】
これに対して、本実施の形態のミシン10では、比較例のミシン100と比べて、連結片84Kにおける連結ピン89の連結位置を0.7mm程度高くした。これにより、上送り機構80における上送り歯86の位置も、それに応じて高くなる。そのため、下送り歯28を基準とした送り開始時における上送り歯86の位置が、比較例のミシン100と比べて上方にあり、上送り歯86及び下送り歯28によって縫製対象物Sを上下に挟み込む(上側へ変位した下送り歯28が上送り歯86に当接する)タイミングに遅れが生じる。このタイミングの遅れは、バネ押え解放機構50の作動開始タイミングの遅れにもつながり、押えバネホルダ62の押え棒14に対する相対移動量Lに反映される。このようにして、上述のように、バネ押え解放機構50の作動時における押えバネホルダ62の押え棒14に対する相対移動量Lが、下送り歯28の針板26の上面からの上側の突出量Hと同じに設定されている。このため、
図1(A)に示されるように、縫製対象物Sに対する送り開始時において、バネ押え解放機構50が作動すると、押え片78の上昇位置までの上昇が許可されるが、押え片78の上昇位置では、押え片78の下面と、下送り歯28の上端と、の上下位置が一致する。すなわち、本実施の形態のミシン10では、押え片78の上昇位置が、比較例のミシン100と比べて下側に設定されて、押え片78と下送り歯28との間に隙間が形成されない。
【0070】
そして、押え片78が下送り歯28と共に上昇するときには、押え棒14、押え棒抱き58、及びバネ受け60が、押えバネホルダ62に対して上側へ相対移動し、押え片78の上昇位置において、バネ受け60が押えバネホルダ62の上壁62Uに下側から当接する。すなわち、押え片78の上昇位置では、押えバネホルダ62が、伝達位置に配置されて、押えバネ16の付勢力を押え棒14へ伝達する状態に復帰する。
【0071】
このため、縫製対象物Sに対する送り開始時に、下送り歯28(左側の第1歯部28A)と押え片78(フロント押え部78F)とによって縫製対象物Sを上下に挟み込むと、押え片78(押え棒14)が、押えバネ16の付勢力に抗して、上昇位置から縫製対象物Sの厚み分だけさらに上側へ持ち上げられる。これにより、押え片78(フロント押え部78F)から縫製対象物Sに対して、押えバネ16の付勢力が作用して、下送り歯28と押え片78とによって縫製対象物Sを上下に挟み込むことができる。したがって、下送り歯28(左側の第1歯部28A)によって縫製対象物Sを後側へ良好に送ることができる。
以上により、上送り歯86の全体が、縫針22の針落ち位置の後側に配置されているミシン10であっても、縫製対象物Sに対する送り開始時において、縫製対象物Sを後側へ良好に送ることができる。したがって、縫製対象物Sに対する送り性能を向上することができる。
【0072】
また、本実施の形態では、上述のように、上送り歯86の全体が縫針22の針落ち位置の後側に配置されている。このため、上送り歯86の幅寸法を比較的小さく設定することができると共に、ひいては押え片78の幅寸法を比較的小さく設定することができる。これにより、縫製時における操作者に対する利便性を向上することができる。
【0073】
すなわち、仮に、上送り歯86を縫針22に対して前側にも配置する構成にした場合には、例えば、上送り歯86を平面視で前側へ開放された略U字形状に形成し、上送り歯86の幅方向両端部を縫針22に対して左側及び右側に配置するようになる。このため、上送り歯86の幅寸法が本実施の形態と比べて大きくなると共に、ひいては押え片78の幅寸法が大きくなる。そして、上送り歯86及び押え片78の幅寸法が大きくなると、縫製時における縫い代の視認性が低下する可能性がある。また、上送り歯86及び押え片78の幅寸法が大きくなると、縫製対象物Sと、上送り歯86及び押え片78と、の幅方向の接触面積が大きくなる。このため、例えば、縫製対象物Sを右側又は左側へ取り回して縫製対象物Sを縫製するときの操作性が低下する可能性がある。
【0074】
これに対して、本実施の形態では、上述のように、上送り歯86の全体が縫針22の針落ち位置の後側に配置されている。これにより、上送り歯86の幅寸法を比較的小さく設定することができると共に、ひいては押え片78の幅寸法を比較的小さく設定することができる。このため、縫製時における縫い代の視認性を向上することができると共に、縫製対象物Sに対する取り回しを良好にすることができる。したがって、縫製時における操作者に対する利便性を向上することができる。
【0075】
また、上送り機構80では、上送り歯86の後端部を下側へ付勢する送り歯付勢バネ88が、トーションスプリングによって構成されている。そして、送り歯付勢バネ88が上送り足84のバネ取付ボス84Hに装着され、送り歯付勢バネ88の一端部が、上送り歯86の係止溝86Dに係止されると共に、送り歯付勢バネ88の他端部が上送り足84に係止されている。このため、上送り歯86の幅寸法を効果的に小さく設定することができると共に、押え片78の幅寸法を効果的に小さく設定することができる。したがって、縫製時における操作者に対する利便性を一層向上することができる。
【0076】
すなわち、例えば、背景技術に記載したミシンのように、上送り歯86の後端部を下側へ付勢する送り歯付勢バネ88を圧縮コイルスプリングによって構成した場合には、送り歯付勢バネ88の姿勢を保持しつつ、送り歯付勢バネ88の両端部を上送り足84及び上送り歯86に係止させる必要がある。このため、この場合には、
図10の下図に示されるように、例えば、上送り足84に、送り歯付勢バネ88を収容するための凹部を形成し、上送り足84を上送り歯86の左右の側壁86Bの間に配置して、上送り歯86を上送り足84に回転可能に連結する構造になる。そして、この場合には、上送り足84に形成された凹部の幅寸法を、送り歯付勢バネ88の外径よりも大きくする必要がある。このため、上送り歯86の幅寸法が比較的大きくなる傾向になる。
【0077】
これに対して、本実施の形態では、送り歯付勢バネ88が、トーションスプリングによって構成されている。また、送り歯付勢バネ88が上送り足84に装着され、送り歯付勢バネ88の一端部が、上送り歯86の係止溝86Dに係止されている。このため、上送り歯86の係止溝86Dでは、送り歯付勢バネ88の一端部を係止する溝幅を確保すれば足りる。すなわち、係止溝86Dの溝幅を送り歯付勢バネ88の線径よりも若干大きくすればよい。このため、本実施の形態によれば、
図10の上図に示されるように、送り歯付勢バネ102を圧縮コイルスプリングによって構成する場合と比較して、上送り歯86の幅寸法を、片側で寸法W1分小さくすることができる。このため、押え片78の幅寸法も、
図10の下図に示す場合と比べて、小さく設定することができる。したがって、縫製時における操作者に対する利便性を一層向上することができる。
【0078】
また、本実施の形態では、押え片78が、下送り歯28の幅方向中央部に対して左側に寄って配置されている。詳しくは、平面視で、押え片78の左端部が、下送り歯28における左側の第1歯部28Aと重なるように、左右方向における押え片78の下送り歯28に対する位置が設定されている。このため、押え片78の幅寸法を比較的小さくした場合でも、押え片78のフロント押え部78Fと、下送り歯28の左側の第1歯部28Aと、によって縫製対象物Sを上下方向に良好に挟み込んで、縫製対象物Sを後側へ送ることができる。
【0079】
すなわち、仮に押え片78の幅方向中央の位置と、下送り歯28との幅方向中央の位置と、を一致させた場合には、押え片78の幅寸法が、比較的小さく設定されているため、押え片78が、平面視で、下送り歯28の左右一対の第1歯部28Aの間に配置されるようになる。このため、平面視で、押え片78の左側のフロント押え部78Fが、左側の第1歯部28Aと重ならなくなる。これにより、押え片78のフロント押え部78Fと、下送り歯28の第1歯部28Aと、によって縫製対象物Sを良好に挟み込こむことができなくなり、縫製対象物Sを後側へ良好に送ることができなくなる可能性がある。
【0080】
これに対して、平面視で、押え片78の左端部が、下送り歯28における左側の第1歯部28Aと重なるように、左右方向における押え片78の下送り歯28に対する位置が設定されている。このため、押え片78のフロント押え部78Fと、下送り歯28の左側の第1歯部28Aと、によって縫製対象物Sを上下方向に良好に挟み込んで、縫製対象物Sを後側へ送ることができる。
【0081】
また、本実施の形態では、上送り機構80が押え本体72に連結されて、押えユニット70がユニット化されている。また、送り駆動機構部32の連結シャフト40F,40Rが、上送り機構80における上送り足84のリヤ連結溝84E及びフロント連結溝84F内に嵌入されて、上送り機構80が送り駆動機構部32に着脱可能に連結されている。また、押えホルダ74のホルダ連結部74Aが、固定ネジSCによって押え棒14に締結固定されて、押え本体72が押え棒14に着脱可能に固定されている。これにより、種々の押えユニットを準備して、押えユニットを用途に応じてミシン10に装着することができる。
【0082】
なお、本実施の形態では、上送り歯86の後端部を下側へ付勢する送り歯付勢バネ88が、トーションスプリングによって構成されているが、送り歯付勢バネ88を略長尺状のリーフスプリング(板バネ)によって構成してもよい。この場合には、例えば、リーフスプリングによって構成された送り歯付勢バネの一端部を、上送り歯86の係止溝86Dによって係止して、送り歯付勢バネの他端部を上送り足84に固定するように構成してもよい。そして、この場合においても、上送り歯86の係止溝86Dの溝幅をリーフスプリングの幅寸法分確保すれば足りるため、送り歯付勢バネを圧縮コイルスプリングによって構成する場合と比べて、上送り歯86の幅寸法を比較的小さく設定することができると共に、ひいては押え片78の幅寸法を比較的小さく設定することができる。
【符号の説明】
【0083】
10 ミシン
12 ミシン本体
13 フレーム
14 押え棒
15 操作レバー
16 押えバネ
18 連結体
18L 支持軸
18R 支持軸
20 針機構
21 針棒
22 縫針(針)
26 針板
26A 第1露出孔
26B 第2露出孔
28 下送り歯
28A 第1歯部
28B 第2歯部
30 上送り駆動機構
32 送り駆動機構部(送り駆動部)
34 送り軸
36 第1送りアーム
38 送りリンク
40 第2送りアーム
40A アーム本体部
40B アーム連結部
40C 連結孔
40F 連結シャフト
40R 連結シャフト
42 補助プレート
44 スペーサ
46 上軸
50 バネ押え解放機構
52 カム
54 従動レバー
54A レバー部
54B 従動側連結軸
56 付勢バネ
58 押え棒抱き
58A 突起
60 バネ受け
62 押えバネホルダ(伝達部材)
62A 長孔
62B 切換軸
62H 挿通孔
62L 下壁
62S 側壁
62U 上壁
64 ベルクランク
64A 連結筒部
64B 第1連結軸
64C 第2連結軸
66 連結リンク
68 切換アーム
68A 連結筒部
70 押えユニット
72 押え本体
74 押えホルダ
74A ホルダ連結部(押え固定部)
74B 押え棒装着部
74C 固定溝
74D 押え取付部
74E 押え取付溝
74F 取付凹部
76 第1ピン
78 押え片(押え)
78A 取付壁
78B 挿通孔
78C 溝部
78F フロント押え部
79 取付ピン
80 上送り機構
82 送り足支持部材
82A 第2ピン
82B クランク溝
83 ホルダバネ
84 上送り足(上送りホルダ)
84A 上側足部
84B 中間足部
84C 下側足部
84D 連結片
84E リヤ連結溝(送り連結部)
84F フロント連結溝(送り連結部)
84G バネ装着部
84H バネ取付ボス
84J 抉り部
84K 連結片
84P 連結ピン
86 上送り歯
86A 底壁
86B 側壁
86C 係止壁
86D 係止溝
88 送り歯付勢バネ
89 連結ピン
100 ミシン
H 突出量
L 相対移動量
S 縫製対象物