(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-04
(45)【発行日】2022-08-15
(54)【発明の名称】繰出容器
(51)【国際特許分類】
A45D 40/04 20060101AFI20220805BHJP
【FI】
A45D40/04 A
A45D40/04 Z
(21)【出願番号】P 2018163318
(22)【出願日】2018-08-31
【審査請求日】2021-03-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】吉村 和寿
【審査官】関口 知寿
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2006/0263139(US,A1)
【文献】特開2016-083098(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0198688(US,A1)
【文献】実開昭57-048806(JP,U)
【文献】特開2016-189977(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 40/00
A45D 40/04
A45D 40/06
A45D 40/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が収容される筒状の容器本体と、
前記容器本体に対して容器軸回りに回転可能に設けられた操作部材と、
容器軸方向に沿って延びる雄ネジ部を有する軸部材と、
前記雄ネジ部に螺着された雌ネジ部を有し、かつ前記容器本体に対する前記容器軸回りの回転移動が規制された中皿部材と、を備え、
前記操作部材および前記軸部材のうちの一方にはボスが形成され、かつ他方には案内溝が形成され、
前記案内溝は、前記容器軸に沿って螺旋状に延びる傾斜溝部を有し、前記操作部材の前記容器軸回りの回転移動に伴って前記ボスと係合することで、前記軸部材を上下動させるように構成され、
前記傾斜溝部の前記容器軸方向におけるピッチは、前記雄ネジ部の前記容器軸方向におけるピッチよりも大き
く、
前記軸部材は、前記軸部材の前記容器本体に対する前記容器軸回りの繰出方向への回転移動が規制される第1位置と、前記軸部材の前記容器本体に対する前記繰出方向への回転移動が許容される第2位置と、の間で上下動可能であり、
前記軸部材が前記第1位置に位置するとき、前記ボスは前記案内溝の上端部に位置し、
前記軸部材が前記第2位置に位置するとき、前記ボスは前記案内溝の下端部に位置し、かつ、前記軸部材の前記容器本体に対する前記容器軸回りの復元方向への回転移動が規制され、
前記軸部材の外周面には、径方向外側に向けて突出する上突部と、前記上突部よりも下方に位置する下突部と、が形成され、
前記上突部は、前記繰出方向に沿って径方向外側に向かうように傾斜した上傾斜面と、前記繰出方向を向く平坦面である上起立面と、を有し、
前記下突部は、前記復元方向に沿って径方向外側に向かうように傾斜した下傾斜面と、前記復元方向を向く平坦面である下起立面と、を有し、
前記容器本体には、前記軸部材が前記第1位置にあるときに前記上起立面と周方向において対向し、かつ、前記軸部材が前記第2位置にあるときに前記下起立面と周方向において対向する突起が形成されている、繰出容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繰出容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、下記特許文献1に示されるような繰出容器が知られている。この繰出容器は、内容物が収容される筒状の容器本体と、雄ネジ部を有する軸部材と、雄ネジ部に螺着された雌ネジ部を有する中皿部材と、操作部材と、を備えている。操作部材を容器本体に対して回転させると、雄ネジ部と雌ネジ部とが螺合することで、中皿部材が容器本体内を上昇する。これにより、内容物を容器本体の上端部から繰り出し可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の繰出容器では、操作部材を操作したときの中皿部材の上下動の速度が、操作部材の回転速度に単純に比例する。このため、例えば内容物が長く繰り出されて折れやすい場合があった。また、最初に繰出容器を操作する際に、内容物を所定量繰り出させるまでに、例えば何度も操作部材を回転させる必要が生じる場合があった。
【0005】
本発明は、中皿部材の上下動の速度の切り替えが可能であり、これによって、例えば内容物の折れが発生することを抑制したり、操作性を向上させたりすることが可能な繰出容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る繰出容器は、内容物が収容される筒状の容器本体と、前記容器本体に対して容器軸回りに回転可能に設けられた操作部材と、容器軸方向に沿って延びる雄ネジ部を有する軸部材と、前記雄ネジ部に螺着された雌ネジ部を有し、かつ前記容器本体に対する前記容器軸回りの回転移動が規制された中皿部材と、を備え、前記操作部材および前記軸部材のうちの一方にはボスが形成され、かつ他方には案内溝が形成され、前記案内溝は、前記容器軸に沿って螺旋状に延びる傾斜溝部を有し、前記操作部材の前記容器軸回りの回転移動に伴って前記ボスと係合することで、前記軸部材を上下動させるように構成され、前記傾斜溝部の前記容器軸方向におけるピッチは、前記雄ネジ部の前記容器軸方向におけるピッチよりも大きく、前記軸部材は、前記軸部材の前記容器本体に対する前記容器軸回りの繰出方向への回転移動が規制される第1位置と、前記軸部材の前記容器本体に対する前記繰出方向への回転移動が許容される第2位置と、の間で上下動可能であり、前記軸部材が前記第1位置に位置するとき、前記ボスは前記案内溝の上端部に位置し、前記軸部材が前記第2位置に位置するとき、前記ボスは前記案内溝の下端部に位置し、かつ、前記軸部材の前記容器本体に対する前記容器軸回りの復元方向への回転移動が規制され、前記軸部材の外周面には、径方向外側に向けて突出する上突部と、前記上突部よりも下方に位置する下突部と、が形成され、前記上突部は、前記繰出方向に沿って径方向外側に向かうように傾斜した上傾斜面と、前記繰出方向を向く平坦面である上起立面と、を有し、前記下突部は、前記復元方向に沿って径方向外側に向かうように傾斜した下傾斜面と、前記復元方向を向く平坦面である下起立面と、を有し、前記容器本体には、前記軸部材が前記第1位置にあるときに前記上起立面と周方向において対向し、かつ、前記軸部材が前記第2位置にあるときに前記下起立面と周方向において対向する突起が形成されている。
【0007】
上記態様によれば、中皿部材は軸部材に螺着されているため、軸部材が上下動すると、中皿部材も軸部材と一体となって上下動する。また、操作部材の容器軸回りの回転移動に伴って、案内溝とボスとが互いに係合して軸部材を上下動させる。一方、軸部材が容器本体に対して容器軸回りに回転すると、軸部材の雄ネジ部と中皿部材の雌ネジ部とが螺合することで、中皿部材が上下動する。すなわち、上記態様の繰出容器は、ボスと案内溝との係合によって中皿部材を上下動させる場合と、雄ネジ部と雌ネジ部との螺合によって中皿部材を上下動させる場合と、の2通りの動作を行うことができる。
そして、案内溝の傾斜溝部における容器軸方向のピッチは、雄ネジ部の容器軸方向におけるピッチよりも大きくなっている。このため、ボスと案内溝との係合による場合は速やかに中皿部材を上下動させつつ、雌ネジ部と雄ネジ部との螺合による場合は緩やかに中皿部材を上下動させることができる。したがって、上記態様によれば、中皿部材の上下動の速度を切り替え可能な繰出容器を提供することができる。
さらに、ボスと案内溝との係合により軸部材が上下動した後で、雄ネジ部と雌ネジ部との螺合により中皿部材が上下動するように構成することで、所定量の内容物が繰り出された後は内容物の繰出速度を小さくして、内容物が大きく繰り出されることによる内容物の折れを抑制することが可能となる。また、操作部材を復元方向に回転させたときには、ボスと案内溝との係合により速やかに内容物を所定量下降させることが可能であり、内容物を復元変位させる際の操作性を向上させることもできる。
【0009】
また、ボスが案内溝の下端部に位置するとき、軸部材の容器本体に対する繰出方向への回転移動が規制される。これにより、使用者が操作部材を容器本体に対して繰出方向に回転移動させることでボスが傾斜溝部の内面に当接したとき、軸部材を上方移動させる力をより確実に生じさせることができる。したがって、ボスと傾斜溝部との係合により、より確実に速やかに軸部材を上方移動させることができる。
さらに、軸部材が所定量上昇してボスが案内溝の下端部に到達すると、軸部材の容器本体に対する繰出方向への回転移動が許容される。したがって、操作部材とともに軸部材を繰出方向に回転させて、雄ネジ部と雌ネジ部との螺合によって中皿部材を緩やかに上方移動させることができる。
【0011】
また、内容物が繰り出された状態では、軸部材が第2位置に位置することとなる。そして、使用者が内容物を再び容器本体内に収容するために、操作部材を復元方向に回転させたとき、軸部材の復元方向への回転移動が規制されていることで、ボスが傾斜溝部の内面に当接することによる軸部材を下方移動させる力を、より確実に生じさせることができる。したがって、ボスと傾斜溝部との係合により、速やかに軸部材を下方移動させることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の上記態様によれば、中皿部材の上下動の速度を切り替え可能な繰出容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本実施形態に係る繰出容器の縦断面図である。
【
図2】(a)は
図1の操作部材近傍の拡大図である。(b)は(a)のII-II断面矢視図である。
【
図4】(a)は、
図2(a)の位置から軸部材を上昇させた状態を示す図である。(b)は、(a)のIV-IV断面矢視図である。
【
図5】(a)は、
図4(a)の位置から軸部材を上昇させた状態を示す図である。(b)は、(a)のV-V断面矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本実施形態の繰出容器について図面に基づいて説明する。
図1に示すように、繰出容器1は、容器本体10と、操作部材20と、軸部材30と、中皿部材40と、キャップ50と、を備えている。
容器本体10は筒状に形成されており、内部に内容物が収容されている。内容物としては、棒状の固形化粧料(例えば口紅、リップクリーム)、あるいは棒状の固形糊などを用いることができる。
【0015】
(方向定義)
本実施形態では、容器本体10、操作部材20、軸部材30、中皿部材40、およびキャップ50はそれぞれの中心軸線が共通軸状に位置する状態で配設されている。以下、この共通軸を容器軸Oといい、容器軸Oに沿う方向を上下方向(容器軸方向)という。上下方向における容器本体10の開口部11a側を上方といい、操作部材20側を下方という。容器軸Oに沿う断面を縦断面といい、容器軸Oに直交する断面を横断面という。
【0016】
また、上下方向から見た平面視で、容器軸Oに交差する方向を径方向といい、容器軸O回りに周回する方向を周方向という。周方向のうち、内容物を上方に繰り出させるときの操作部材20の回転方向を繰出方向R1といい、その逆方向を復元方向R2という。本実施形態では、上方から見たときの反時計回りが繰出方向R1であり、時計回りが復元方向R2である。なお、
図2(b)、
図4(b)、および
図5(b)は下方から見た横断面図であるため、反時計回りが復元方向R2で時計回りが繰出方向R1となっている。
【0017】
(容器本体)
図1および
図2(a)に示すように、容器本体10は、本体部11と、縦リブ12と、支持部13と、第1係合部14と、を有している。
図1に示すように、本体部11は、上下方向に延びる筒状に形成されている。なお、繰出容器1の使用前の状態において、内容物は開口部11aから上方に突出していてもよいし、開口部11aよりも下方に位置していてもよい。
【0018】
本体部11の上端部には縮径部11bが形成されている。縮径部11bは、本体部11のその他の部分よりも外径が小さい。縮径部11bに、有頂筒状のキャップ50が外嵌されている。キャップ50は、容器本体10の開口部11aを覆っている。
【0019】
本体部11の内周面には、複数の縦リブ12が形成されている。縦リブ12は、上下方向に延びるとともに、本体部11の内周面から径方向内側に向けて突出している。複数の縦リブ12は、周方向に間隔をあけて配置されている。
図2(a)に示すように、本体部11の下端部には、径方向内側に向けて突出する抜け止め部11cが形成されている。抜け止め部11cは、操作部材20が容器本体10から下方に脱落することを抑制している。
【0020】
第1係合部14は、本体部11の径方向内側に位置しており、上下方向に延びる筒状に形成されている。第1係合部14と本体部11との間には径方向の隙間が設けられている。この隙間に支持部13が配置されており、支持部13は第1係合部14と本体部11とを連結している。換言すると、支持部13は第1係合部14を支持している。
【0021】
支持部13は、本体部11の下端部において、本体部11の内周面から径方向内側に向けて突出している。支持部13は、周方向で間隔を空けて複数形成されている(
図2(b)参照)。支持部13は、抜け止め部11cよりも上方に位置している。
第1係合部14の内周面には、径方向内側に向けて突出する突起14aが形成されている。突起14aは、上下方向に延びており、第1係合部14の上下方向の全長にわたって形成されている。突起14aは、周方向に間隔を空けて複数形成されている。
【0022】
(操作部材)
操作部材20は、容器本体10に対して容器軸O回りに回転可能に設けられている。
図2(a)に示すように、操作部材20は、操作部21と、上側規制部22と、ボス23と、嵌合筒部24と、を有している。操作部21は、上下方向に延びる筒状に形成されている。操作部21の外周面には、ローレット形状が形成されている。操作部21の外径は容器本体10における本体部11の外径と略同等となっている。
【0023】
上側規制部22は、操作部21の上端部に形成されている。上側規制部22は、操作部21の内周面から径方向内側に向けて突出し、平面視で環状に形成されている。ボス23は、上側規制部22の内周面から径方向内側に向けて突出している。ボス23は、径方向に延びる円柱状に形成されている。ボス23は、周方向に間隔を空けて複数(本実施形態では2つ)形成されている。
【0024】
嵌合筒部24は、上下方向に延びる筒状に形成されている。嵌合筒部24は、上側規制部22の内周縁から上方に向けて延びている。嵌合筒部24の上端部には、径方向外側に向けて突出する嵌合突起24aが形成されている。嵌合突起24aは、平面視で環状に形成され、容器本体10の抜け止め部11cにアンダーカット嵌合されている。嵌合突起24aが、容器本体10の支持部13と抜け止め部11cとの間で上下方向に挟まれることで、操作部材20の容器本体10に対する上下方向の位置が定まっている。
【0025】
(軸部材)
軸部材30は、軸部31と、第2係合部32と、第3係合部33と、下側規制部34と、を有している。軸部31は、上下方向に延びる柱状に形成されている。軸部31の外周面には、雄ネジ部31aが形成されている。本実施系形態の軸部31は、平面視で楕円形状に形成されており、当該楕円形状の長軸方向の端部に雄ネジ部31aが形成されている。なお、軸部31は円柱状に形成されていてもよい。
【0026】
第2係合部32は、軸部31から下方に向けて延びる筒状に形成されている。第3係合部33は、第2係合部32から下方に向けて延びる筒状に形成されている。第3係合部33の外径は、第2係合部32の外径よりも大きい。第3係合部33は、操作部21の径方向内側に位置している。下側規制部34は、第3係合部33の下端部から径方向外側に向けて突出している。下側規制部34は、平面視で環状に形成されており、操作部材20の上側規制部22に対して上下方向で対向している。
【0027】
図3に示すように、第2係合部32には、上突部36、中突部37、および下突部38が形成されている。上突部36、中突部37、および下突部38は、第2係合部32の外周面から、径方向外側に向けて突出している。上突部36、中突部37、および下突部38は、上方から下方にこの順に配置されている。上突部36、中突部37、および下突部38はそれぞれ、周方向に間隔を空けて複数(本実施形態では4つ)形成されている。各突部36~38は、周方向で互いに同じ位置に配置されており、上下方向に沿って一直線状に並べられている。
【0028】
上突部36は、上傾斜面36aと上起立面36bとを有している。上傾斜面36aは、繰出方向R1に沿って、漸次径方向外側に向かうように直線状に傾斜している。上起立面36bは、第2係合部32の外周面に対して起立している。上起立面36bは、繰出方向R1を向く平坦面となっている。上突部36は、横断面視で三角形状に形成されている(
図2(b)参照)。
【0029】
中突部37は、曲面37aと、左起立面37bと、右起立面37cとを有している。曲面37aは、周方向に沿う曲面となっている。左起立面37bおよび右起立面37cは、第2係合部32の外周面に対して起立している。左起立面37bは、復元方向R2を向く平坦面となっている。右起立面37cは、繰出方向R1を向く平坦面となっている。中突部37は、横断面視で略台形状に形成されている(
図4(b)参照)。
【0030】
下突部38は、下傾斜面38aと下起立面38bとを有している。下傾斜面38aは、復元方向R2に沿って、漸次径方向外側に向かうように直線状に傾斜している。下起立面38bは、第2係合部32の外周面に対して起立している。下起立面38bは、復元方向R2を向く平坦面となっている。下突部38は、横断面視で三角形状に形成されている(
図5(b)参照)。
【0031】
上起立面36bおよび右起立面37cは、段差なく連なっており、互いに面一に形成されている。左起立面37bおよび下起立面38bは、段差なく連なっており、互いに面一に形成されている。
上突部36、中突部37、および下突部38の径方向外端の位置は、第3係合部33の外周面よりも、径方向における内側に位置している。
【0032】
図2(a)に示すように、容器本体10の第1係合部14は、軸部材30の第2係合部32に対して径方向で対向している。繰出容器1の使用開始前の状態(初期状態)では、第1係合部14は上突部36と上下方向において同じ位置に配置されている。このため、
図2(a)に示すように、第1係合部14の突起14aと上突部36とは周方向で対向している。
【0033】
なお、本明細書では、第1係合部14と上突部36とが周方向で対向するときの軸部材30の位置を第1位置といい、第1係合部14と下突部38とが周方向で対向するときの軸部材30の位置を第2位置という。また、第1係合部14と中突部37とが周方向で対向するときの軸部材30の位置を中間位置という。初期状態では軸部材30が第1位置に位置している。軸部材30は第1位置と、その上方の中間位置と、さらに上方の第2位置との間で、上下動可能に配設されている。
【0034】
図3に示すように、第3係合部33には案内溝35が形成されている。案内溝35は、第3係合部33の外周面から径方向内側に向けて窪み、第3係合部33を径方向で貫通している。なお、案内溝35は第3係合部33を貫通していなくてもよい。
案内溝35は、第1横溝部35aと、傾斜溝部35bと、第2横溝部35cとを有している。なお、第1横溝部35aおよび第2横溝部35cは形成されていなくてもよい。
【0035】
傾斜溝部35bは、容器軸Oを中心として、上下方向に沿って螺旋状に延びている。傾斜溝部35bは、下方に向かうに従い、漸次繰出方向R1に向かうように延びている。
第1横溝部35aは、傾斜溝部35bの上端部(復元方向R2の端部)から、復元方向R2に向けて延びている。第2横溝部35cは、傾斜溝部35bの下端部(繰出方向R1の端部)から、繰出方向R1に向けて延びている。第2横溝部35cは、下側規制部34よりも上方に位置している。
【0036】
第3係合部33の外周面には、径方向内側に向けて窪む凹部33aが形成されている。凹部33aは、第3係合部33の上端面から、下方に向けて延びている。凹部33aの下端部は、第2横溝部35cよりも上方に位置している。凹部33aの周方向における幅は、下方に向かうに従い、漸次小さくなっている。凹部33aの下端部における周方向の幅は、ボス23の周方向における幅(外径)よりも大きい。凹部33aの下端部には、案内面33bが形成されている。案内面33bは、下方に向かうに従い、漸次径方向外側に向けて延びる傾斜面となっている。
【0037】
凹部33aは、繰出容器1を組み立てる際に、ボス23を案内溝35内に導入しやすくする役割を有する。より詳しくは、操作部材20内に下方から軸部材30を挿通させる際、ボス23の周方向における位置を凹部33aに合わせると、ボス23が第2横溝部35cに自ずと導入される。
なお、本実施形態では、案内溝35および凹部33aは、ボス23の数に合わせてそれぞれ2つ形成されている。ただし、案内溝35および凹部33aの数は適宜変更することができる。
【0038】
(中皿部材)
中皿部材40は、容器本体10内に収容された内容物を、その下方から支持している。
図2(a)に示すように、中皿部材40は、螺着筒部41と、底壁部42と、外筒部43と、下筒部44とを有している。螺着筒部41は、上下方向に延びる筒状に形成されている。螺着筒部41の内周面には、軸部材30の雄ネジ部31aに螺着された雌ネジ部41aが形成されている。軸部材30が中皿部材40に対して容器軸O回りに回転すると、雄ネジ部31aと雌ネジ部41aとが螺合することで、中皿部材40が上下動する。軸部材30が繰出方向R1に回転する場合に中皿部材40が上昇し、軸部材30が復元方向R2に回転する場合に中皿部材40が下降する。なお、軸部材30の回転方向と中皿部材40が上下動する方向との関係は適宜変更してもよい。
【0039】
底壁部42は、螺着筒部41の下端部から径方向外側に向けて延びている。底壁部42は平面視で環状に形成されている。底壁部42は、径方向外側に向かうに従って、漸次下方に向けて延びるように傾斜している。
【0040】
外筒部43は、筒状に形成されており、底壁部42の外周縁から上方に向けて延びている。外筒部43は、容器本体10の本体部11に対して、上下動可能に嵌合されている。外筒部43の外周面には、径方向内側に向けて窪む縦溝43aが形成されている。縦溝43aは、周方向に間隔を空けて複数形成されている。縦溝43aの内側に容器本体10の縦リブ12が位置することで、中皿部材40の容器本体10に対する容器軸O回りの回転は規制されている。なお、縦溝43aと縦リブ12との関係は逆であってもよい。つまり、容器本体10に縦溝が形成され、中皿部材に縦リブが形成されていてもよい。外筒部43の内側には、内容物が充填されている。
【0041】
下筒部44は、筒状に形成されており、底壁部42(外筒部43)から下方に向けて延びている。下筒部44は、容器本体10の支持部13と上下方向で対向しており、支持部13に対してその上方から当接若しくは近接している。中皿部材40が容器本体10に対して下方移動するとき、下筒部44が支持部13に当接することで、中皿部材40の下降端位置が定まる。
【0042】
なお、繰出容器1の製造時において、容器本体10内に内容物を収容する際に、液状の内容物を容器本体10に注入し、その後で内容物を固化させる場合がある。このような場合に、中皿部材40と軸部材30との間、または中皿部材40と容器本体10との間から液状の内容物が漏れないように、シール部を設けてもよい。シール部は、例えば下筒部44と容器本体10の本体部11との間、または底壁部42と軸部材30の第2係合部32との間などに配置することができる。
【0043】
(傾斜溝部および雄ネジ部のピッチ)
ここで本実施形態では、操作部材20のボス23が、軸部材30における案内溝35の内側に位置している。このため、操作部材20が軸部材30に対して容器軸O回りに回転すると、軸部材30が上下方向に移動する。ボス23が案内溝35の上端部に位置するとき、軸部材30は先述の第1位置に位置する。ボス23が案内溝35の下端部に位置するとき、軸部材30は先述の第2位置に位置する。
【0044】
上突部36、中突部37、および下突部38の上下方向における長さは、案内溝35と係合することによるボス23の上下方向の最大変位量(以下、単に最大変位量という)に基づいて設定するとよい。例えば、最大変位量が4mmである場合、突起14aが上突部36と周方向で対向するときの位置(第1位置)から、突起14aが下突部38と周方向で対向するときの位置(第2位置)までの、軸部材30の上下方向の移動量も4mmとする。このとき、各突部36~38の上下方向における長さは、2mmとする。このように設定することで、ボス23が案内溝35の上端部に位置するときに軸部材30を第1位置に位置させ、ボス23が案内溝35の下端部に位置するときに軸部材30を第2位置に位置させることができる。なお、上記寸法は一例であり、適宜変更することができる。
【0045】
そして、傾斜溝部35bの上下方向におけるピッチは、軸部材30の雄ネジ部31aの上下方向におけるピッチよりも大きくなっている。本明細書における「ピッチ」とは、傾斜溝部35bまたは雄ネジ部31aの、容器軸O回りの回転変位量に対する上下変位量の割合である。つまり、操作部材20が軸部材30に対して所定量回転したときの、ボス23と傾斜溝部35bとが係合することによる軸部材30の上下移動量は、軸部材30が中皿部材40に対して所定量回転したときの中皿部材40の上下移動量よりも大きい。
【0046】
以下、繰出容器1の作用について、より詳しく説明する。
【0047】
(繰出動作)
繰出容器1を使用する際、まず、キャップ50を容器本体10から取り外す。
次に、操作部21を把持して、操作部材20を容器本体10に対して繰出方向R1に回転させる。繰出容器1の使用開始前の状態(初期状態)では、ボス23は、案内溝35の上端部(第1横溝部35a)に位置している。操作部材20の繰出方向R1への回転移動に伴い、ボス23も案内溝35内を繰出方向R1に向けて移動する(
図3参照)。このとき、ボス23が傾斜溝部35bの内面(上面)に当接することで、軸部材30には、上方および繰出方向R1の成分を有する力(ベクトル)が作用する。すなわち、軸部材30は繰出方向R1に回転移動しつつ上方に向けて移動しようとする。
【0048】
ここで初期状態では、軸部材30は第1位置に位置している。つまり、
図2(b)に示すように、軸部材30の上突部36が容器本体10の突起14aに周方向で対向している。このため、軸部材30が繰出方向R1に回転移動しようとすると、上突部36の上起立面36bが突起14aに当接する。そして、軸部材30の容器本体10に対する繰出方向R1への回転移動は規制される。これにより、軸部材30は回転移動せずに上方移動する。また、中皿部材40は軸部材30に螺着されているため、軸部材30とともに、中皿部材40も上方移動する。したがって、中皿部材40によって下方から支持された内容物も上方移動する。
【0049】
操作部材20の回転移動に伴って軸部材30が上方移動すると、軸部材30が中間位置に到達する。つまり、
図4(b)に示すように、軸部材30の中突部37と容器本体10の突起14aとが周方向で対向する。この状態でも、軸部材30には繰出方向R1に向けた力が作用するが、右起立面37cが突起14aに当接することで、軸部材30の回転移動が規制される。また、軸部材30が中間位置に位置するとき、
図4(a)に示すように、下側規制部34と上側規制部22との間には上下方向の隙間が設けられている。このため、軸部材30の上方移動は規制されず、軸部材30は回転せずに継続して上方移動する。
【0050】
操作部材20の回転移動に伴って軸部材30がさらに上方移動すると、
図5(a)、(b)に示す状態となる。このとき、下側規制部34が上側規制部22にその下方から当接し、軸部材30の上方移動が規制される。また、ボス23が案内溝35の第2横溝部35cに到達するため、軸部材30には上方に向けた力が作用しなくなる。その一方で、軸部材30の下突部38と容器本体10の突起14aとが周方向で対向する。
【0051】
ここで、下突部38の下傾斜面38aは、復元方向R2に沿って、漸次径方向外側に向かうように傾斜している。このため、軸部材30が繰出方向R1に回転移動しようとすると、突起14aが下傾斜面38a上を摺動する。そして、突起14aには径方向外側に向けた力が作用する。この力によって、第1係合部14が弾性変形し、突起14aが径方向外側に移動する。このとき容器本体10は、支持部13同士の間に設けられた円弧状の隙間の径方向における幅が小さくなるように、弾性変形する。弾性変形により突起14aが径方向外側に移動すると、下突部38は突起14aを繰出方向R1に乗り越えることができる。
【0052】
つまり、下突部38と突起14aとが周方向で対向した状態では、軸部材30の容器本体10に対する繰出方向R1の回転移動が許容される。
以降は、操作部材20を繰出方向R1に回転させると、ボス23が案内溝35の第2横溝部35cにおける内面に当接し、操作部材20および軸部材30が一体となって容器本体10に対して回転する。また、中皿部材40の容器本体10に対する回転移動は、縦リブ12および縦溝43aによって規制されているため、軸部材30が中皿部材40に対して回転する。これにより、雄ネジ部31aと雌ネジ部41aとが螺合して、中皿部材40が上昇する。
【0053】
このように、操作部材20を初期状態から繰出方向R1に回転させ続けると、ボス23と傾斜溝部35bとが係合して中皿部材40が上昇する第1段階と、雄ネジ部31aと雌ネジ部41aとが螺合して中皿部材40が上昇する第2段階と、が切り替わる。そして本実施形態では、傾斜溝部35bのピッチが、雄ネジ部31aのピッチよりも大きくなっている。このため、操作部材20を一定速度で繰出方向R1に回転させたとしても、第1段階における中皿部材40の上昇速度が、第2段階における中皿部材40の上昇速度よりも大きくなる。
【0054】
これにより、使用者が操作部材20を操作した直後は、第1段階の動作により速やかに中皿部材40を上昇させて、内容物を開口部11aから繰り出させることができる。したがって、操作性を向上させることができる。
また、第2段階の動作に切り替わった後は、操作部材20の回転量に対する中皿部材40の上昇量が小さくなるため、開口部11aからの内容物の繰り出し量を微調整しやすい。したがって、内容物が開口部11aから大きく繰り出されにくくなり、内容物を折れにくくすることができる。
【0055】
なお、第1段階の動作によって内容物が開口部11aから繰り出される長さは、内容物の性状(硬度、脆性など)に応じて、内容物が折れにくい長さ、あるいは使用者が内容物を塗布しやすい長さとなるように決定するとよい。第1段階の動作による内容物の繰り出し量をこのように設定することで、さらに優れた操作性を有する繰出容器1を提供することができる。
【0056】
内容物が開口部11aから繰り出された状態で、内容物が被塗布部に押し付けられると、軸部材30には、内容物および中皿部材40を介して下方に向けた力が作用する。このとき、操作部材20のボス23は案内溝35の下端部(第2横溝部35c)に位置しており、軸部材30が下方移動しようとすると、ボス23が第2横溝部35cの内面(上面)に当接する。これにより、軸部材30の操作部材20に対する下方移動は規制される。したがって、内容物を塗布している間に軸部材30が不意に下方移動してしまうことが抑制される。
【0057】
(復元動作)
次に、繰り出された内容物を容器本体10内に収容する際の、各部の動作(復元動作)について説明する。
【0058】
中皿部材40が上昇して内容物が繰り出されている場合、上述の繰出動作によって、操作部材20のボス23は案内溝35の下端部(第2横溝部35c)に位置している。また、軸部材30は第2位置に位置している。つまり、
図5(b)に示すように、軸部材30の下突部38と容器本体10の突起14aとが周方向で対向している。この状態から、使用者が操作部材20を復元方向R2に回転移動させると、ボス23も案内溝35内を復元方向R2に向けて移動する(
図3参照)。このとき、ボス23が傾斜溝部35bの内面(下面)に当接することで、軸部材30には、下方および復元方向R2の成分を有する力(ベクトル)が作用する。すなわち、軸部材30は復元方向R2に回転移動しつつ下方に向けて移動しようとする。
【0059】
このとき、
図5(b)に示すように、下突部38の下起立面38bが突起14aに当接し、軸部材30の容器本体10に対する復元方向R2への回転移動は規制される。これにより、軸部材30は回転移動せずに下方移動する。また、中皿部材40は軸部材30に螺着されているため、軸部材30とともに、中皿部材40も下方移動する。したがって、中皿部材40によって下方から支持された内容物も下方移動する。
【0060】
軸部材30が所定量下方移動すると、軸部材30は中間位置に到達する。つまり、軸部材30の中突部37と容器本体10の突起14aとが周方向で対向する。このとき、中突部37の左起立面37bと突起14aとが当接することで、軸部材30の容器本体10に対する復元方向R2に向けた回転移動は規制される。
【0061】
軸部材30がさらに下方移動すると、軸部材30は第1位置に復元変位するとともに、操作部材20のボス23が案内溝35の第1横溝部35aに到達する。この時点で、軸部材30には、下方に向けた力は作用しなくなるが、復元方向R2に向けた力は引き続き作用する。そして、ボス23が第1横溝部35aに到達すると、
図2(b)に示すように、軸部材30の上突部36と容器本体10の突起14aとが周方向で対向する。
【0062】
ここで、上突部36の上傾斜面36aは、繰出方向R1に沿って、漸次径方向外側に向かうように傾斜している。このため、軸部材30が復元方向R2に回転移動しようとすると、突起14aが上傾斜面36a上を摺動する。そして、突起14aには径方向外側に向けた力が作用する。この力によって、第1係合部14が弾性変形し、突起14aは径方向外側に移動する。これにより、上突部36は突起14aを復元方向R2に乗り越えることができる。
【0063】
つまり、軸部材30が第1位置に位置し、上突部36と突起14aとが周方向で対向した状態では、軸部材30の容器本体10に対する復元方向R2の回転移動が許容される。
以降は、操作部材20を復元方向R2に回転させると、ボス23が案内溝35の第1横溝部35aにおける内面に当接し、操作部材20および軸部材30が一体となって容器本体10に対して回転する。また、軸部材30の雄ネジ部31aと中皿部材40の雌ネジ部41aとが螺合して、中皿部材40が下降する。
【0064】
このように、中皿部材40が所定量上昇した状態から操作部材20を復元方向R2に回転させ続けると、ボス23と傾斜溝部35bとが係合して中皿部材40が下降する第3段階と、雄ネジ部31aと雌ネジ部41aとが螺合して中皿部材40が下降する第4段階と、が切り替わる。そして本実施形態では、傾斜溝部35bのピッチが、雄ネジ部31aのピッチよりも大きくなっている。このため、操作部材20を一定速度で復元方向R2に回転させたとしても、第3段階における中皿部材40の下降速度が、第4段階における中皿部材40の下降速度よりも大きくなる。
【0065】
したがって、使用者が内容物の被塗布部への塗布などを終えて内容物を容器本体10内に再び収容させるとき、第3段階の動作によって、速やかに中皿部材40を下降させることができる。これにより、操作性を向上させることができる。また、内容物を再度使用する際には、前述の繰出動作が繰り返されて、再び速やかに内容物を繰り出すことができる。
【0066】
以上説明したように、本実施形態によれば、案内溝35が容器軸Oに沿って螺旋状に延びる傾斜溝部35bを有している。また、案内溝35は、操作部材20の容器軸O回りの回転移動に伴って、ボス23と係合して軸部材30を上下動するように構成されている。そして、傾斜溝部35bの容器軸方向におけるピッチは、雄ネジ部31aの容器軸方向におけるピッチよりも大きくなっている。この構成により、ボス23と案内溝35との係合による場合は速やかに中皿部材40を上下動させつつ、雌ネジ部41aと雄ネジ部31aとの螺合による場合は緩やかに中皿部材40を上下動させることができる。したがって、中皿部材40の上下動の速度を切り替え可能な繰出容器1を提供することができる。
【0067】
さらに、本実施形態の繰出容器1は、ボス23と案内溝35との係合により軸部材30が上下動した後で、雄ネジ部31aと雌ネジ部41aとの螺合により中皿部材40が上下動するように構成されている。このため、所定量の内容物が繰り出された後は内容物の繰出速度を小さくして、内容物が大きく繰り出されることによる内容物の折れを抑制することが可能となっている。さらに、操作部材20を復元方向R2に回転させたときには、ボス23と案内溝35との係合により速やかに内容物を所定量下降させることが可能であり、内容物を復元変位させる際の操作性を向上させることもできる。
【0068】
また、軸部材30は、繰出方向R1への回転移動が規制される第1位置と、繰出方向R2への回転移動が規制される第2位置と、の間で上下動可能となっている。そして、軸部材30が第1位置に位置するとき、ボス23は案内溝35の上端部に位置し、軸部材30が第2位置に位置するとき、ボス23は案内溝35の下端部に位置している。この構成により、使用者が操作部材20を繰出方向R1に回転移動させることでボス23が傾斜溝部35bの内面(上面)に当接したとき、軸部材30を上方移動させる力をより確実に生じさせることができる。したがって、ボス23と傾斜溝部35bとの係合により、より確実に速やかに軸部材30を上方移動させることができる。
【0069】
また、内容物が繰り出された状態では、軸部材30が第2位置に位置することとなる。軸部材30が第2位置に位置するとき、軸部材30の復元方向R2への回転移動が規制される。この構成により、使用者が内容物を再び容器本体10内に収容するために、操作部材20を復元方向R2に回転させたとき、ボス23が傾斜溝部35bの内面(下面)に当接することによる軸部材30を下方移動させる力を、より確実に生じさせることができる。したがって、ボス23と傾斜溝部35bとの係合により、速やかに軸部材30を下方移動させることができる。
【0070】
また、第2段階において下突部38が突起14aを乗り越える際には、操作部材20を回転させるために必要な回転力(抵抗)がわずかに上昇するとともに、乗り越えが完了すると、突起14aが復元変位することに伴うクリック感が生じる。同様に、第4段階において、上突部36が突起14aを乗り越える際にも、抵抗の変化やクリック感が生じる。一方、第1段階または第3段階の動作では、上突部36または下突部38が突起14aを乗り越えないため、抵抗の変化やクリック感が生じない。したがって、使用者は、第1段階から第2段階へと移行したこと、および第3段階から第4段階へと移行したことを、操作部材20を回転させる際の感触によって認識することができる。
【0071】
そして、例えば操作部材20を操出方向R1に回転させたとき、抵抗の変化やクリック感が生じた時点で回転操作を停止することで、内容物の繰り出し量が、メーカーが設定した第1段階の動作による繰り出し量と略一致する。したがって、第1段階の動作による繰り出し量を、内容物が折れにくい長さ、あるいは内容物を塗布しやすい長さに設定することで、操作性をさらに向上させることができる。また、抵抗の変化やクリック感が生じた後も継続して操作部材20を操出方向R1に回転させた場合には、第2段階の動作によって緩やかに内容物が繰り出され、使用者の好みに応じた繰り出し量とすることができる。
【0072】
また、内容物の塗布を終えた後、操作部材20を復元方向R2に回転させたとき、抵抗の変化やクリック感が生じた時点で回転操作を停止することで、内容物の下降量が、第3段階の動作による下降量と略一致する。そして、第3段階の動作による下降量は、第1段階の動作による上昇量と同等である。このため、再び操作部材20を操出方向R1に回転させて、抵抗の変化やクリック感が生じた時点で回転操作を停止することで、内容物の繰り出し量が前回使用時の繰り出し量と略一致する。このように、本実施形態によれば、内容物の繰り出し量を容易に略一定とすることが可能であり、極めて操作性に優れた繰出容器1を提供することができる。
【0073】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施の形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0074】
例えば前記実施形態では、ボス23が操作部材20に形成され、案内溝35が軸部材30に形成されていた。しかしながら、この関係は逆であってもよい。つまり、操作部材20に案内溝が形成され、当該案内溝の内側に位置するボスが操作部材20に形成されていてもよい。この場合も、前記実施形態と同様の作用効果を得ることができる。つまり、操作部材20および軸部材30のうちの一方にボスが形成され、他方に案内溝が形成されていればよい。
【0075】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した実施形態や変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0076】
1…繰出容器 10…容器本体 20…操作部材 23…ボス 30…軸部材 31a…雄ネジ部 35…案内溝 35b…傾斜溝部 40…中皿部材 O…容器軸 R1…繰出方向 R2…復元方向