IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アズビル株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-電子機器 図1
  • 特許-電子機器 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-04
(45)【発行日】2022-08-15
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/28 20060101AFI20220805BHJP
   G06F 1/30 20060101ALI20220805BHJP
【FI】
G06F1/28
G06F1/30
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018165898
(22)【出願日】2018-09-05
(65)【公開番号】P2020038540
(43)【公開日】2020-03-12
【審査請求日】2021-07-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003166
【氏名又は名称】特許業務法人山王内外特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100101133
【弁理士】
【氏名又は名称】濱田 初音
(74)【代理人】
【識別番号】100199749
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 成
(74)【代理人】
【識別番号】100188880
【弁理士】
【氏名又は名称】坂元 辰哉
(74)【代理人】
【識別番号】100197767
【弁理士】
【氏名又は名称】辻岡 将昭
(74)【代理人】
【識別番号】100201743
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 和真
(72)【発明者】
【氏名】藤田 雄三
【審査官】佐賀野 秀一
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-348535(JP,A)
【文献】特開2011-080968(JP,A)
【文献】米国特許第05557784(US,A)
【文献】特開2005-283532(JP,A)
【文献】特開2000-346918(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 1/26- 1/3296
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
不揮発性メモリと、
自機への電源供給の開始からの経過時間又は経過時刻を計時する計時部と、
自機への電源供給の開始を含む自機に関する動作変化を検出する動作変化検出部と、
前記動作変化検出部により動作変化が検出された場合に、当該動作変化の内容及び前記計時部により計時された経過時間又は経過時刻に基づく当該動作変化の発生時間又は発生時刻を示すログを、前記不揮発性メモリに記録するログ記録部とを備え、
前記動作変化検出部は、自機への電源供給における電圧低下を検出する機能を有し、
前記ログ記録部は、前記動作変化検出部により検出された自機への電源供給における電圧低下及び当該電圧低下の発生時間又は発生時刻を示す情報を含むログを、前記不揮発性メモリに記録する
ことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記計時部により計時された経過時間又は経過時刻を示す情報を定期的に前記不揮発性メモリの特定のアドレスに記録する定期記録部を備え、
前記ログ記録部は、自機への電源供給が停止して復帰した際に、前記不揮発性メモリの特定のアドレスに記録されている経過時間又は経過時刻を示す情報を、当該電源供給が停止した時間又は時刻を示す情報として当該不揮発性メモリに記録する
ことを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
時間又は時刻の入力を受付け、前記計時部により計時されている経過時間又は経過時刻を当該受付けた時間又は時刻に設定し直す設定部を備えた
ことを特徴とする請求項1又は請求項記載の電子機器。
【請求項4】
前記計時部は、バッテリを有していないリアルタイムクロックである
ことを特徴とする請求項1から請求項のうちの何れか1項記載の電子機器。
【請求項5】
前記計時部は、クロックにより動作するカウンタである
ことを特徴とする請求項1から請求項のうちの何れか1項記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自機に関する動作変化を示すログを記録する電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
計測機器等の電子機器では、従来から一般的に、自機の動作状態を把握可能とするため、エラーログを不揮発性メモリ等に記録している。エラーログには、エラーの内容及び当該エラーの発生時刻を示す情報が含まれる。また、電子機器が有する内部時計は、電源とは別にバッテリ(二次電池)を有している(例えば特許文献1参照)。これにより、電子機器は、電源供給が停止して復帰した場合でも、時刻情報を確保でき、自機の動作状態を把握可能となる。一方で、内部時計がバッテリを有していない場合、電源供給が停止して復帰した場合には、時刻情報が確保できずにリセットされてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平7-219673号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように従来の電子機器は、バッテリを有し、電源供給が停止して復帰した場合でも、時刻情報を確保可能としている。しかしながら、電子機器がバッテリを有する場合、バッテリ交換のための複雑なケース構造が必要となるため製品コストが増大し、また、バッテリ交換によるメンテナンスコストが増大する。また、バッテリとして用いられることが多いリチウム電池は、近年輸送等の取扱いが複雑化している。これらの理由から、バッテリを用いない構成が望まれている。
【0005】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、バッテリを搭載せずに、自機の動作状態を把握可能とする電子機器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る電子機器は、不揮発性メモリと、自機への電源供給の開始からの経過時間又は経過時刻を計時する計時部と、自機への電源供給の開始を含む自機に関する動作変化を検出する動作変化検出部と、動作変化検出部により動作変化が検出された場合に、当該動作変化の内容及び計時部により計時された経過時間又は経過時刻に基づく当該動作変化の発生時間又は発生時刻を示すログを、不揮発性メモリに記録するログ記録部とを備え、動作変化検出部は、自機への電源供給における電圧低下を検出する機能を有し、ログ記録部は、動作変化検出部により検出された自機への電源供給における電圧低下及び当該電圧低下の発生時間又は発生時刻を示す情報を含むログを、不揮発性メモリに記録することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、上記のように構成したので、バッテリを搭載せず、自機の動作状態を把握可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】この発明の実施の形態1に係る電子機器の構成例を示す図である。
図2】この発明の実施の形態1における不揮発性メモリに記録される情報の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係る電子機器の構成例を示す図である。
電子機器は、図1に示すように、不揮発性メモリ1、計時部2、定期記録部3、動作変化検出部4及びログ記録部5を備えている。なお、電子機器は、システムLSI(Large Scale Integration)等の処理回路、又はメモリ等に記憶されたプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)等により実現される。
【0010】
不揮発性メモリ1は、定期記録部3及びログ記録部5による制御に従い、各種情報を記録する。
【0011】
計時部2は、電子機器への電源供給の開始からの経過時間又は経過時刻を計時する。なお、電子機器への電源供給が停止して復帰した場合には、計時部2により計時されている経過時間又は経過時刻はリセットされて初期値に戻る。この計時部2としては、例えば、バッテリを有していないRTC(リアルタイムクロック)を用いることができる。RTCは、経過時間をカウントして時刻の形式に変換する機能を有する。また、計時部2として、例えば、クロックにより動作するカウンタを用いてもよい。カウンタは、経過時間をカウントする機能を有する。
【0012】
定期記録部3は、定期的(例えば1秒毎)に、計時部2により計時された経過時間又は経過時刻を示す情報を、不揮発性メモリ1の特定のアドレスに記録する。
なお図1では、定期記録部3が電子機器に設けられている場合を示している。しかしながら、この定期記録部3は、電子機器に必須の構成ではなく、電子機器に設けられていなくてもよい。
【0013】
動作変化検出部4は、電子機器への電源供給の開始を含む電子機器に関する動作変化を検出する。以下では、動作変化検出部4は、電子機器に関する動作変化として、電子機器のエラーも検出する。また、動作変化検出部4は、電子機器に関する動作変化として、電子機器への電源供給における電圧異常(電圧低下)を検出するPF(パワーフェール)機能を有していてもよい。電子機器は、PF機能により電圧異常が検出された場合、電源が落ちるまでの数msの間に不揮発性メモリ1に必要情報をバックアップする。
【0014】
ログ記録部5は、動作変化検出部4により動作変化が検出された場合に、当該動作変化を示すログを不揮発性メモリ1に記録する。このログには、動作変化の内容及び動作変化の発生時間又は発生時刻を示す情報が含まれる。また、ログ記録部5は、動作変化の発生時間又は発生時刻を、計時部2により計時されている経過時間又は経過時刻から得る。また、ログ記録部5は、ログを、動作変化の発生順に不揮発性メモリ1に記録する。
【0015】
また、動作変化検出部4がPF機能を有している場合、ログ記録部5は、ログとして、電子機器への電源供給における電圧低下及び当該電圧低下の発生時間又は発生時刻を示す情報を含むログを、不揮発性メモリ1に記録可能である。
また、ログ記録部5は、電子機器への電源供給が停止して復帰した際に、不揮発性メモリ1の特定のアドレスに記録されている経過時間又は経過時刻を示す情報を、当該電源供給が停止した時間又は時刻を示す情報として当該不揮発性メモリ1に記録する。
【0016】
次に、図1に示す電子機器の動作例について、図2を参照しながら説明する。なお、計時部2は、バッテリを有していないRTCであり、電子機器への電源供給の開始からの経過時刻を計時しているものとする。この計時部2はバッテリを有していないため、電子機器への電源供給が停止して復帰した場合には、計時部2により計時されている経過時刻はリセットされて初期値に戻る。
【0017】
図2に示すように、定期記録部3は、定期的(例えば1秒毎)に、計時部2により計時された経過時刻を示す情報を、不揮発性メモリ1の特定のアドレス(図2ではアドレス「1001」)に記録している。すなわち、アドレス「1001」に記録される経過時刻を示す情報は、定期的に更新される。図2では、計時部2により計時される経過時刻の初期値は、「2001/01/01 00:00:00」である。
【0018】
また、動作変化検出部4は、電子機器に関する動作変化の検出を行う。そして、動作変化検出部4により動作変化が検出されると、ログ記録部5は、当該動作変化を示すログを不揮発性メモリ1に記録する。なお、ログ記録部5は、動作変化の発生時刻を、計時部2により計時された経過時刻から得る。
【0019】
図2では、アドレス「1002」に、電源オン(電子機器への電源供給の開始)を示すログが記録されている。また、図2では、アドレス「1003」~「1005」に、電子機器のエラーを示すログが記録されている。また、図2では、アドレス「1006」に、電源低下(電子機器への電源供給における電圧低下)を示すログが記録されている。
【0020】
また、図2では、アドレス「1007」に、電源オンを示すログが再び記録されている。すなわち、このアドレス「1007」に記録されているログが示す電源オンの発生時刻と、1つ前のアドレス「1006」に記録されているログが示す電源低下の発生時刻との間の期間に、電源オフ(電子機器への電源供給の停止)が発生していることがわかる。
なお、電子機器への電源供給が停止して復帰した場合には計時部2により計時されている経過時刻がリセットされて初期値に戻る。そのため、アドレス「1007」に記録されているログが示す電源オンの発生時刻は、上記初期値となっている。
【0021】
また、図2では示していないが、ログ記録部5は、電子機器への電源供給が停止して復帰した際に、不揮発性メモリ1の特定のアドレスに記録されている経過時刻を、当該電源供給が停止した時刻として不揮発性メモリ1に記録する。
【0022】
ここで、従来の電子機器においてバッテリを搭載しない場合、電子機器への電源供給が停止して復帰した場合には、時刻情報が確保できない。また、従来の電子機器では、エラーログのみを不揮発性メモリ等に記録している。よって、この場合には、電子機器の動作状態を把握できない。
これに対し、実施の形態1に係る電子機器は、バッテリを搭載しない点は同じであるが、エラーログに加え、電子機器への電源供給の開始についてもログとして不揮発性メモリ1に記録する。これにより、実施の形態1に係る電子機器は、バッテリを搭載せずとも、電子機器の現場導入後からの電源のリセット回数及び発生したエラーの内容を把握可能となり、自機の動作状態を把握可能となる。その結果、実施の形態1に係る電子機器は、自機の動作状態の解析を、低コスト及び低メンテナンスコストで実現可能となる。
【0023】
図2では、アドレス「1007」及びアドレス「1011」に電源オンを示すログが記録されており、電子機器の現場導入後から電源が2回リセットされたことがわかる。
また、図2では、アドレス「1004」に記録されているログとアドレス「1009」に記録されているログから、同じの経過時刻「2005/6/20 21:45:02」に同じエラー「YYYY」が発生していることがわかる。
【0024】
また上記では、定期記録部3は、定期的に、計時部2により計時された経過時刻を示す情報を、不揮発性メモリ1の特定のアドレスに記録している。そして、ログ記録部5は、電子機器への電源供給が停止して復帰した際に、上記特定のアドレスに記録されている経過時刻を示す情報を、当該電源供給が停止した時刻を示す情報として不揮発性メモリ1に記録している。
また、動作変化検出部4はPF機能を有し、ログ記録部5は、動作変化検出部4により検出された電子機器への電源供給における電圧低下及び当該電圧低下の発生時刻を示すログを、不揮発性メモリ1に記録している。
これらにより、実施の形態1に係る電子機器では、電子機器への電源供給が停止した時刻を大よそ把握可能となる。よって、ユーザは、電子機器の動作開始時刻が既知である場合、電子機器への電源供給が復帰した後に、リセットされた経過時刻に電源供給が停止した時刻又は電圧低下の発生時刻を加算することで、電子機器の動作時刻を大よそ把握可能である。なおこの処理は、電子機器が自動で行ってもよい。
【0025】
なお、実施の形態1に係る電子機器では、電子機器への電源供給が停止してから復帰するまでの時間は把握できないが、その時間は電子機器の周りの機器の状況により判断可能である。
【0026】
また、実施の形態1に係る電子機器に対し、ユーザからの時間又は時刻の入力を受付け、計時部2により計時されている経過時間又は経過時刻を当該受付けた時間又は時刻に設定し直す設定部を追加してもよい。これにより、実施の形態1に係る電子機器は、計時部2により計時されている経過時間又は経過時刻がリセットされて初期値に戻った場合でも、当該経過時間又は経過時刻を正確な時間又は時刻に合わせることが可能となり、電子機器の動作状態をより精密に把握可能となる。
【0027】
また上記では、動作変化検出部4が電子機器に関する動作変化として電子機器のエラーを検出する場合について示した。しかしながら、これに限らず、動作変化検出部4が電子機器に関する動作変化として電子機器に対する設定又は操作を検出してもよく、同様の効果が得られる。
【0028】
以上のように、この実施の形態1によれば、電子機器は、不揮発性メモリ1と、自機への電源供給の開始からの経過時間又は経過時刻を計時する計時部2と、自機への電源供給の開始を含む自機に関する動作変化を検出する動作変化検出部4と、動作変化検出部4により動作変化が検出された場合に、当該動作変化の内容及び計時部2により計時された経過時間又は経過時刻に基づく当該動作変化の発生時間又は発生時刻を示すログを、不揮発性メモリ1に記録するログ記録部5とを備えた。これにより、実施の形態1に係る電子機器は、バッテリを搭載せず、自機の動作状態を把握可能となる。
【0029】
なお、本願発明はその発明の範囲内において、実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0030】
1 不揮発性メモリ
2 計時部
3 定期記録部
4 動作変化検出部
5 ログ記録部
図1
図2