(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-04
(45)【発行日】2022-08-15
(54)【発明の名称】合成樹脂製キャップ
(51)【国際特許分類】
B65D 41/34 20060101AFI20220805BHJP
【FI】
B65D41/34 110
(21)【出願番号】P 2018220826
(22)【出願日】2018-11-27
【審査請求日】2021-07-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000178826
【氏名又は名称】日本山村硝子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074273
【氏名又は名称】藤本 英夫
(74)【代理人】
【識別番号】100173222
【氏名又は名称】藤本 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100151149
【氏名又は名称】西村 幸城
(72)【発明者】
【氏名】川村 伸生
(72)【発明者】
【氏名】小野 淳史
(72)【発明者】
【氏名】梅木 慎吾
【審査官】二ッ谷 裕子
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-201402(JP,A)
【文献】特開2013-203440(JP,A)
【文献】特開2017-202862(JP,A)
【文献】特許第5291175(JP,B2)
【文献】特開2008-24364(JP,A)
【文献】国際公開第2007/069657(WO,A1)
【文献】実開平4-128253(JP,U)
【文献】実開平4-97057(JP,U)
【文献】特開2007-161331(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 35/44 - 35/54
B65D 39/00 - 55/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
略筒状の側壁を有し、
該側壁は、容器口部の外周に形成された雄ねじに螺合する雌ねじが設けられたスカート壁と、該スカート壁の下部に環状弱化部を介して連結され、前記容器口部の外周に形成された被係合部に係合する係合部が周方向に間隔をおいて複数設けられたタンパーエビデンスバンドとを含み、
前記係合部は、前記タンパーエビデンスバンドの内方に向かって突出し、該係合部の左右両端部は、左右両端に向かって前記タンパーエビデンスバンドの内方への突出量が漸次小さくなるように構成され、
前記間隔は中心角が0.4°~7.2°となる範囲で前記タンパーエビデンスバンドの周方向に延び
、
前記係合部において前記左右両端部に挟まれた中央部の一端から他端までの前記タンパーエビデンスバンドの内方への突出量は略一定であり、
前記左右両端部は、前記中央部よりも狭く、前記間隔よりも広い角度範囲にわたって前記タンパーエビデンスバンドの周方向に延び、かつ、平面視における内縁の曲率半径R1が前記タンパーエビデンスバンドにおける前記係合部の最小内径R2の半分以下であることを特徴とする合成樹脂製キャップ。
【請求項2】
前記タンパーエビデンスバンドの内周面において、前記係合部の上方には、該タンパーエビデンスバンドの上端部内面よりも内方に突出する嵌合部が全周にわたって設けられ、
前記間隔を介して隣り合う二つの前記係合部の前記左右両端部は、該間隔を挟んで中心角が20°~40°となる範囲で前記タンパーエビデンスバンドの周方向に延び、かつ、平面視において、前記係合部の中央部の内縁によって規定される円と、前記嵌合部の内面と、前記間隔を介して隣り合う二つの前記係合部の前記左右両端部と前記中央部との各境界とで画される領域の全面積に対し、該領域内に位置する前記左右両端部の面積は4分の1以上である請求項1に記載の合成樹脂製キャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、飲料物等の内容物を収容する容器の口部に装着される合成樹脂製キャップに関する。
【背景技術】
【0002】
飲料物等の内容物を収容する容器の口部に装着され、一目で開封の有無を確認可能に構成されたキャップは広く知られている。例えば特許文献1に開示されたキャップは、
図4(A)及び(B)に示すように、容器口部Mの雄ねじM1に螺合する雌ねじ51が設けられたスカート壁52を有するキャップ本体53と、スカート壁52の下部に環状弱化部54を介して連結されたタンパーエビデンスバンド55とを具備する。
【0003】
上記キャップでは、容器口部Mに装着された状態からの開封操作(最初の開栓操作)に伴い、タンパーエビデンスバンド55の内周に設けられた係合部(フック)56が容器口部Mの外周に設けられた環状突起(被係合部の一例)M2に係止した後、タンパーエビデンスバンド55とスカート壁52とを画する環状弱化部54が破断され、キャップ本体53とタンパーエビデンスバンド55とが互いに分離される。従って、環状弱化部54を構成するミシン目状のスリット間に形成されたブリッジ(橋絡部)の破断の有無を視認することにより、開封操作が行われたか否かを容易に確認することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記従来の合成樹脂製キャップでは、開封(最初の開栓)の際、一部のブリッジのみが破断して大きく口をひらくように変形するヒンジングが発生することがあり、本発明者らは、隣り合う係合部56どうしの間隔がこの現象に大きく影響していることを突き止めた。
【0006】
本発明は上述の事柄に留意してなされたもので、その目的は、ヒンジングの発生防止を図ることができる合成樹脂製キャップを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る合成樹脂製キャップは、略筒状の側壁を有し、該側壁は、容器口部の外周に形成された雄ねじに螺合する雌ねじが設けられたスカート壁と、該スカート壁の下部に環状弱化部を介して連結され、前記容器口部の外周に形成された被係合部に係合する係合部が周方向に間隔をおいて複数設けられたタンパーエビデンスバンドとを含み、前記係合部は、前記タンパーエビデンスバンドの内方に向かって突出し、該係合部の左右両端部は、左右両端に向かって前記タンパーエビデンスバンドの内方への突出量が漸次小さくなるように構成され、前記間隔は中心角が0.4°~7.2°となる範囲で前記タンパーエビデンスバンドの周方向に延び、前記係合部において前記左右両端部に挟まれた中央部の一端から他端までの前記タンパーエビデンスバンドの内方への突出量は略一定であり、前記左右両端部は、前記中央部よりも狭く、前記間隔よりも広い角度範囲にわたって前記タンパーエビデンスバンドの周方向に延び、かつ、平面視における内縁の曲率半径R1が前記タンパーエビデンスバンドにおける前記係合部の最小内径R2の半分以下である(請求項1)。
【0008】
【0009】
上記合成樹脂製キャップにおいて、前記タンパーエビデンスバンドの内周面において、前記係合部の上方には、該タンパーエビデンスバンドの上端部内面よりも内方に突出する嵌合部が全周にわたって設けられ、前記間隔を介して隣り合う二つの前記係合部の前記左右両端部は、該間隔を挟んで中心角が20°~40°となる範囲で前記タンパーエビデンスバンドの周方向に延び、かつ、平面視において、前記係合部の中央部の内縁によって規定される円と、前記嵌合部の内面と、前記間隔を介して隣り合う二つの前記係合部の前記左右両端部と前記中央部との各境界とで画される領域の全面積に対し、該領域内に位置する前記左右両端部の面積は4分の1以上であってもよい(請求項2)。
【発明の効果】
【0010】
本願発明では、ヒンジングの発生防止を図ることができる合成樹脂製キャップが得られる。
【0011】
すなわち、本願発明の合成樹脂製キャップでは、左右に隣り合う係合部の間隔を中心角が0.4°~7.2°となる範囲でタンパーエビデンスバンドの周方向に延びるようにしたことにより、キャッピング性を良好に保ちつつ、ヒンジングの防止を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施の形態に係る合成樹脂製キャップの構成を概略的に示す底面図である。
【
図2】(A)は
図1におけるA-A線断面図、(B)は
図1におけるB部拡大図、(C)は
図1におけるD-D線断面図である。
【
図4】(A)は従来の合成樹脂製キャップ、(B)はその容器口部への装着状態をそれぞれ示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら以下に説明する。
【0014】
図1、
図2(A)に示す合成樹脂製キャップ(以下、キャップという)1は、
図4(B)に示すような雄ねじM1及び環状突起(被係合部の一例)M2を有する容器口部M(例えばペットボトル等の容器の口部)に装着されて使用されるものであり、コンプレッション成形又はインジェクション成形によって、ポリエチレンで一体的に成形されている。なお、キャップ1を形成する素材は、特に限定されるものではなく、本実施形態で用いたポリエチレンの他、ポリプロピレン等が好適に用いられる。
【0015】
キャップ1は、平面視において略円形状の天壁2と、この天壁2の外周部から下向きに延びる略円筒状のスカート壁3を有する(
図1、
図2(A)参照)。ここで、
図2(A)に示すように、スカート壁3の外周面にはローレット溝4を、内周面には雌ねじ5を設けてあり、この雌ねじ5は容器口部Mの外周に形成された雄ねじM1に結合可能である。
【0016】
そして、容器口部Mの雄ねじM1にスカート壁3の雌ねじ5が結合するようにキャップ1を回転させて容器口部Mに装着すると、
図2(A)に示す天壁2の内面(下面)に連設された環状の中足(インナーリング)6、環状リブ7及び環状の外足(アウターリング)8が容器口部Mに密着し、これにより、容器口部Mが密封された状態となる。すなわち、キャップ1が容器口部Mに装着された状態では、中足6は容器口部M内に差し込まれて容器口部Mの内周面に密着し、環状リブ7は容器口部Mの環状の上端面に密着し、外足8は容器口部Mの外周面に密着するように構成されている。
【0017】
また、キャップ1は、未開封(開栓が一度もされていないこと)を証明する機能を有するピルファープルーフキャップであり、容器口部Mに装着された未開封のキャップ1の開封時(最初の開栓時)に、雄ねじM1と雌ねじ5の結合が解除されるようにキャップ1を回転させると、キャップ1は容器口部Mから離脱するが、スカート壁3の下部に連結されたタンパーエビデンスバンド(以下、単に「バンド」という)9(
図2(A)参照)は容器口部Mに残留するように構成されている。
【0018】
すなわち、スカート壁3の下部には、スカート壁3の全周にわたって延びる環状弱化部10を介してバンド9を連結してあり(
図2(A)参照)、環状弱化部10は、スカート壁3とバンド9とを上下に画するように、スカート壁3及びバンド9の周方向に断続して延びる(ミシン目状の)スリットと、隣り合うスリットの間に存在するブリッジとで構成され、ブリッジは所定の力で引っ張られると破断する。
【0019】
ここで、本例では、バンド9の外径を上下にわたって均一にしてある一方、バンド9の内周側には、内向きに突出し、内側への突出量が上側ほど増大するように構成されたフック(係合部の一例)11を、周方向に間隔(本例では等間隔)Gをおいて5個(複数の一例)設けてある(
図1、
図2(A)参照)。各フック11は、キャップ1が容器口部Mに装着された状態で、容器口部Mの外周において雄ねじM1よりも下方に形成された環状突起M2(
図4(B)参照)の略下側へ位置し、開封操作によって環状突起M2に係止する。すなわち、フック11は、環状突起M2に下方から係止可能に構成されている。なお、
図3の2点鎖線は、フック11が設けられていない部分の断面形状を示している。
【0020】
また、
図3に示すように、バンド9の内周側において、フック11の上方には、バンド9の上端部内面よりも内方に突出し、その最大突出量はフック11の最大突出量よりも小さい(内径がフック11の内径よりも大きい)嵌合部12がバンド9の全周にわたって設けられ、さらに、嵌合部12の上方には上側ほど内径が大きくなる傾斜部13が連なっている。
【0021】
而して、容器口部Mに装着され未開封の状態では、環状突起M2が傾斜部13の内側またはそれより上方に位置し、この状態からキャップ1を開封方向に回転させると、容器口部Mに対してキャップ1が相対的に上昇し、嵌合部12が環状突起M2に嵌合し、フック11が環状突起M2に下方から係止する状態となる。さらにキャップ1を開封方向に回転させ続けると、やがて環状弱化部10は破断し、バンド9は容器口部Mに残留する一方、それより上側の天壁2及びスカート壁3からなるキャップ本体は容器口部Mから離脱することになる。
【0022】
従って、フック11が環状突起M2に下方から係止する状態になるまでの間に、傾斜部13が環状突起M2に当接し、さらに嵌合部12が環状突起M2の外周面に嵌合することにより、バンド9が斜めに持ち上がることが防止され、環状弱化部10が偏らずに略均一に破断するので、タンパーエビデンス性は良好となる。そして、開栓の際、嵌合部12は容器口部Mの環状突起M2の外周面に嵌合し、フック11は環状突起M2に確実に係合するので、環状弱化部10が破断することなくフック11が環状突起M2を乗り越える、いわゆるすっぽ抜けの発生防止を図ることができる。
【0023】
ところで、上記のように嵌合部12を設けると、キャップ1を容器口部Mに装着する際、両者1、Mの間に生じる抵抗が大きくなり、環状弱化部10がそれだけ破断し易くなる。そこで、本例では、容器口部Mへのキャップ1の装着時における環状弱化部10の破断防止機能を高めるために、スカート壁3とバンド9とを含む略筒状の側壁14(
図2(A)参照)の内周面における環状弱化部10から雌ねじ5の最下位置までの間の領域に、該側壁14の周方向に連続する溝15を設け、側壁14を変形(拡径)し易くした。
【0024】
この溝15は、具体的には、
図3に示すように、上端から下端に向かって深くなるようにテーパ状に形成されている。また、本例では、側壁14の外周面において環状弱化部10よりも上方であって雌ねじ5の最下位置から下方に離れた位置(図示例では雌ねじ5の最下位置より環状弱化部10に近い位置)に肉厚となる環状突出部16が設けられ、溝15はこの環状突出部16よりも上方にまで延び、溝15の下端は、環状弱化部10の下方にある傾斜部13に連続している。
【0025】
上記のような溝15を設けたことにより、側壁14における環状弱化部10の上側の部位(本例ではスカート壁3の下部からバンド9の上部にかけての部位)が肉薄になって変形(拡径)し易くなり、容器口部Mへのキャップ1の装着時に容器口部Mから環状弱化部10に加わる力の少なくとも一部が前記変形に変換されるので、環状弱化部10の破断防止機能が高まる上、側壁14の肉薄化に伴って使用樹脂量の低減を図ることも可能となる。
【0026】
特に本例では、上述のように、肉厚の環状突出部16よりも上方にまで溝15を延ばしたことにより、側壁14における環状突出部16よりも上方の部位に変形し易い肉薄部が必ず形成されることになるので、上記の破断防止機能が確実に高まることになる。そして、斯かる効果をより確実に得るという観点からは、溝15の上端を環状弱化部10よりも雌ねじ5の最下位置に近くするのが好適であり、この場合、より上方から側壁14(バンド9)が拡径するので、それだけ環状弱化部10の破断を生じ難くすることができる。一方、溝15の下端は、環状弱化部10の下方にまで延ばす必要はなく、例えば環状突出部16の下端の高さ位置まで延ばすようにしてもよい。
【0027】
そして、本例では、
図2(B)、(C)及び
図3に示すように、バンド9の全周にわたって設けた嵌合部12を、各フック11の上方に位置する直上部12Aと、バンド9の周方向に隣り合う直上部12Aどうしを連結する連結部12Bとによって構成し、連結部12Bは、バンド9の上端部内面よりも内方に突出し、かつ、直上部12Aよりもバンド9の内方への突出量を例えば0.1mm~0.3mm程度小さくしてある。例えば、バンド9において直上部12Aに対応する部分の肉厚が0.75mm、連結部12Bに対応する部分の肉厚が0.6mmである場合、両部分の外径は同一であるから、連結部12Bは直上部12Aよりバンド9の内方への突出量が0.15mm小さいということになるのであって、バンド9において連結部12Bに対応する部分の肉厚(すなわち、バンド9における周方向の肉厚最小値)は0.5mm以上とするのが好ましい。
【0028】
ここで、仮に、
図4(A)及び(B)に示す従来の合成樹脂製キャップのように、嵌合部12の肉厚を周方向に均一にし、連結部12Bの部分を直上部12Aの内面と面一にすると、嵌合部12と容器口部Mの環状突起M2との当接(嵌合)が強すぎた場合に、バンド9に白化や割れが生じる恐れが高まる。しかし、本例のキャップ1では、バンド9内方への突出量が異なる直上部12Aと連結部12Bとによって嵌合部12を構成したことにより、嵌合部12と容器口部Mの環状突起M2との当接(嵌合)が強すぎた場合でも、連結部12Bによってその嵌合が緩和されるので、それだけバンド9の白化や割れの防止の確実化を図ることができる。
【0029】
また、逆に、連結部12Bの部分をバンド9の上端部内面と面一にし、嵌合部12を直上部12Aのみで構成すると、脱型時等にバンド9に加わる圧力が直上部12Aの縁付近に集中して、バンド9の白化や割れが生じ易くなる。しかし、本例のキャップ1では、連結部12Bをバンド9の上端部内面よりもバンド9内方に突出させてあることにより、上記圧力の集中が抑えられ、脱型時等におけるバンド9の白化や割れの防止の確実化をも図ることができる。
【0030】
また、直上部12Aと連結部12Bのバンド9内方への突出量の差を設けることにより、連結部12Bの内側空間(連結部12Bと環状突起M2の隙間)を、容器口部Mの洗浄液の排液口として利用することも可能となる。
【0031】
ここで、
図2(B)に示すように、本例のフック11の左右両端部11A、11Bは左右両端に向かってバンド9の内方への突出量が漸次小さくなるように構成され、フック11において左右両端部11A、11Bに挟まれた中央部11Cの一端から他端までのバンド9の内方への突出量は略一定である。そして、左右(バンド9の周方向)に隣り合うフック11の間隔Gは中心角α(
図1参照)が0.4°~7.2°となる範囲でバンド9の周方向に延びる。中心角αが0.4°未満であるとキャップ1のキャッピング性が低下し、7.2°超であるとヒンジングが生じ易くなるが、中心角αを0.4°~7.2°とするキャップ1では、キャッピング性を良好に保ちつつ、ヒンジングの防止を図ることができる。
【0032】
図2(A)に示すように、左右両端部11A、11Bは、中央部11Cよりも狭く、間隔Gよりも広い角度範囲にわたってバンド9の周方向に延び(バンド9の周方向の長さをみると、左右両端部11A、11Bは中央部11Cより短く、間隔Gより長い)、かつ、平面視における左右両端部11A、11Bの内縁の曲率半径R1(
図2(B)参照)がバンド9におけるフック11の最小内径R2(
図2(B)参照)の半分以下であることが、ヒンジング防止の点で好適である。
【0033】
さらに、間隔Gを介して隣り合う二つのフック11の左右両端部11A、11B(
図2(B)に示す一のフック11の左端部11Aとこれに隣り合う他のフック11の右端部11B)は、間隔Gを挟んで中心角β(
図1参照)が20°~40°となる範囲でバンド9の周方向に延び(換言すれば、一のフック11の左端部11Aの右端から、この左端部11Aに間隔Gを介して隣り合う右端部11Bの左端までの中心角βが20°~40°)、かつ、平面視において、フック11の中央部11Cの内縁によって規定される円17(
図2(B)に円17の一部のみを図示)と、嵌合部12の内面と、間隔Gを介して隣り合う二つのフック11の左右両端部11A,11Bと中央部11Cとの各境界18とで画される領域R(
図2(B)の下図参照)の全面積に対し、領域R内に位置する左右両端部11A,11Bの面積を4分の1以上とするのが、ヒンジング防止の点でより好適である。
【0034】
なお、本発明は、上記の実施の形態に何ら限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々に変形して実施し得ることは勿論である。例えば、以下のような変形例を挙げることができる。
【0035】
図2(A)~(C)の例では、フック11の直上にちょうど収まる領域に直上部12Aを設けているが、これに限らず、直上部12Aがフック11の直上の領域から側方に多少はみ出していてもよいし逆に連結部12Bがフック11の直上の領域に多少かかっていてもよい。また、
図2(C)の例では、連結部12Bの上下幅を直上部12Aの上下幅と同一としているが、これに限らず、連結部12Bの上下幅を直上部12Aの上下幅よりも小さくしてもよい。但し、連結部12Bの上下幅を直上部12Aの上下幅の半分以上とすることが、脱型時や開封時における連結部12B付近への応力集中を防止する点で好ましい。
【0036】
図3の例では、溝15は下側ほど深くなるテーパ状としてあるが、溝15の形状はこれに限らず、例えば、上側ほど深いテーパ状としたり、上下にわたって深さが一定としたりしてもよいし、溝15の深さを上下にわたって規則的又は不規則に変化させてもよい。
【0037】
また、
図3の例では溝15を側壁の周方向に連続させているが、これに限らず、溝15を側壁14の周方向に断続させてもよい。この場合、側壁14を変形(拡径)させ易くして環状弱化部10の破断防止機能を高めることのできる範囲で、溝15の数や幅等の構成を種々に設定可能である。
【0038】
溝15を上下方向に複数設けてもよく、特に、溝15を側壁14の周方向に断続させる場合は、複数の溝15を側壁14の内周面の周方向に沿って行列状や千鳥状に設けてもよい。
【0039】
なお、上記変形例どうしを適宜組み合わせてもよいことはいうまでもない。
【符号の説明】
【0040】
1 キャップ
2 天壁
3 スカート壁
4 ローレット溝
5 雌ねじ
6 中足
7 環状リブ
8 外足
9 タンパーエビデンスバンド
10 環状弱化部
11 フック(係合部)
12 嵌合部
12A 直上部
12B 連結部
13 傾斜部
14 側壁
15 溝
16 環状突出部
17 円
18 境界
51 雌ねじ
52 スカート壁
53 キャップ本体
54 環状弱化部
55 タンパーエビデンスバンド
56 係合部
G 間隔
M 容器口部
M1 雄ねじ
M2 環状突起(被係合部)
R 領域
R1 曲率半径
R2 曲率半径
α 中心角
β 中心角