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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-04
(45)【発行日】2022-08-15
(54)【発明の名称】機械操作管理装置
(51)【国際特許分類】
   B41F 33/00 20060101AFI20220805BHJP
   B41F 7/02 20060101ALI20220805BHJP
   B41F 13/004 20060101ALI20220805BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALI20220805BHJP
【FI】
B41F33/00 200
B41F7/02 454
B41F13/004
H04Q9/00 361
H04Q9/00 301B
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2018221723
(22)【出願日】2018-11-27
(65)【公開番号】P2020082553
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-02-17
(73)【特許権者】
【識別番号】309036221
【氏名又は名称】三菱重工機械システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092978
【弁理士】
【氏名又は名称】真田 有
(72)【発明者】
【氏名】年藤 孝英
(72)【発明者】
【氏名】中原 大
(72)【発明者】
【氏名】藤村 優寿
【審査官】亀田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-030641(JP,A)
【文献】特開2013-225817(JP,A)
【文献】登録実用新案第3195742(JP,U)
【文献】特開2009-107187(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0107464(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41F 33/00
B41F 7/02
B41F 13/004
H04Q 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工処理を行うための複数の機械類を備えた生産機械において、複数の前記機械類の制御装置に信号を送って、複数の前記機械類をそれぞれ個別に操作又は管理する個別管理と、複数の前記機械類の制御装置を統合的に操作又は管理する統合管理と、を行う機械操作管理装置であって、
複数の前記機械類のうちの何れかの機械類の前記個別管理を行う個別管理モードと、前記統合管理を行う統合管理モードとを有し、無線信号によって少なくとも前記個別管理が可能な可動式操作パネルを備え
前記可動式操作パネルが複数装備され、
前記可動式操作パネルは、前記個別管理モードと、前記統合管理モードとを切り替える選択操作信号を出力する選択操作手段を備え、
前記個別管理モードを選択する前記選択操作信号に対して、前記選択操作信号にかかる前記可動式操作パネルと前記機械類との信号接続を許可する接続許可信号を所定条件下で出力する接続許可手段を備え、
前記接続許可手段は、複数の前記機械類のうちの互いに相反する指令が行われると制御に混乱をきたすおそれがある機械類に関しては、1つの当該機械類に対する前記接続許可信号を1つの前記可動式操作パネルに対してのみ出力する
ことを特徴とする機械操作管理装置。
【請求項2】
前記可動式操作パネルは、前記個別管理モードと前記統合管理モードとを、選択操作によって選択することが可能である
ことを特徴とする請求項1に記載の機械操作管理装置。
【請求項3】
前記可動式操作パネルは、ディスプレイと、前記ディスプレイの表示を制御するディスプレイ制御部とを備え、
前記ディスプレイ制御部は、前記統合管理モードに用いられる統合管理用画面と、前記個別管理モードに用いられる個別管理用画面とを、前記選択操作に応じて切り替える
ことを特徴とする請求項2に記載の機械操作管理装置
【請求項4】
前記個別管理モードを選択する際の前記選択操作信号は、前記可動式操作パネルを特定する操作パネル特定信号と、前記特定した可動式操作パネルが管理対象とする前記機械類を特定する機械類特定信号とを含む
ことを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の機械操作管理装置。
【請求項5】
前記可動式操作パネルの位置を検知する位置検知手段を備えるとともに、前記機械類についての前記個別管理の操作が可能な操作領域内が設定され、
前記接続許可手段は、前記選択操作信号が出力されると、前記位置検知手段により検知された、前記特定した可動式操作パネルの位置が、前記特定した機械類の前記操作領域内にあるか否かを判定し、前記特定した可動式操作パネルが前記特定した機械類の前記操作領域内にある場合において前記接続許可信号を出力する
ことを特徴とする請求項に記載の機械操作管理装置。
【請求項6】
前記可動式操作パネルの位置を検知する位置検知手段を備えるとともに、前記機械類についての前記個別管理の操作が可能な操作領域内が設定され、
前記位置検知手段の検出情報に基づいて、前記可動式操作パネルが前記操作領域内に進入したことが判定されると、前記選択操作手段及び前記接続許可手段は、前記可動式操作パネルを該当する前記操作領域内にかかる前記機械類の前記個別管理に使用可能な状態に自動で切り替える
ことを特徴とする請求項1~4の何れか1項に記載の機械操作管理装置
【請求項7】
前記接続許可手段は、一部の前記機械類に関しては、1つの前記機械類に対する前記接続許可信号を複数の前記可動式操作パネルに対して出力する
ことを特徴とする請求項1~6の何れか1項に記載の機械操作管理装置。
【請求項8】
前記接続許可手段は、一部の前記機械類に関しては、複数の前記機械類に対する前記接続許可信号を1つの前記可動式操作パネルに対して出力する
ことを特徴とする請求項1~7の何れか1項に記載の機械操作管理装置。
【請求項9】
前記接続許可手段は、予め登録設定された前記機械類と前記可動式操作パネルとの組み合わせに基づいて、前記接続許可信号を出力する
ことを特徴とする請求項1~8の何れか1項に記載の機械操作管理装置。
【請求項10】
前記接続許可手段は、前記機械類の運転状態に応じて前記接続許可信号を出力する
ことを特徴とする請求項1~9の何れか1項に記載の機械操作管理装置。
【請求項11】
前記接続許可手段は、操作者を認証する認証手段による認証結果に基づいて、前記接続許可信号を出力する
ことを特徴とする請求項1~10の何れか1項に記載の機械操作管理装置。
【請求項12】
前記機械類に関する特定の操作又は管理についての前記可動式操作パネルからの指令は、予め設定された安全条件が満たされなければ無効にする指令規制手段が備えられていることを特徴とする請求項1~11の何れか1項に記載の機械操作管理装置。
【請求項13】
前記可動式操作パネルを載置状態で使用するパネル載置部を備えている
ことを特徴とする請求項1~12の何れか1項に記載の機械操作管理装置。
【請求項14】
前記可動式操作パネルが前記パネル載置部に載置した状態で、前記可動式操作パネルに内蔵された電池を充電する充電装置が装備されている
ことを特徴とする請求項13に記載の機械操作管理装置。
【請求項15】
前記可動式操作パネルには、前記機械類の前記制御装置に対して有線での接続を可能とする接続端子が備えられている
ことを特徴とする請求項1~14の何れか1項に記載の機械操作管理装置。
【請求項16】
前記可動式操作パネルには、タブレット端末が用いられている
ことを特徴とする請求項1~15の何れか1項に記載の機械操作管理装置。
【請求項17】
前記生産機械は新聞輪転機であって、
複数の前記機械類には、複数の印刷ユニットと、前記印刷ユニットに給紙する給紙装置と、ウェブパス装置と、折機と、操作デスクとが含まれている
ことを特徴とする請求項1~16の何れか1項に記載の機械操作管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工や製造を行う生産機械に用いる機械操作管理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
加工や製造を行う生産機械(単に、機械ともいう)では、機械を始動する準備や、機械の作動中における種々の管理や、メンテナンスが必要である。
このような機械には、例えば新聞を印刷する新聞輪転機がある。この新聞輪転機は、複数の印刷ユニットと折機とを備え、複数の印刷ユニットにより同時に並行して各ウェブ(連続紙)に印刷を行って、印刷したウェブを折機に集めて、折機において、集められたウェブをカットして折り畳んで排出する機械である。
【0003】
新聞輪転機では、各印刷ユニットや折機などの機械各部の側(機械側)の側壁部等の要所にそれぞれ、タッチパネル等の操作手段を装備した大型カラーグラフィックパネル(GP)と呼ばれる操作パネルが固定されており、各機械側でそれぞれの操作が可能になっている。
また、各機械側に操作パネルを固定しないで、各機械側にケーブルで接続されるメンテナンスボックスに操作パネルを装備して、それぞれの操作を可能とするものも用いられている。
【0004】
この一方で、新聞輪転機には、その全体を監視し管理する操作デスクが備えられている。近年、この操作デスクによる遠隔調整によって印刷運転をほぼ支障がなく行えるほど操作デスクの性能が向上しているが、機械の始動の準備やメンテナンスの際には、機械側の操作パネルを中心に操作を行う必要がある。
【0005】
さらに、生産機械において、ワイヤレスによるリモート操作で、機械を操作する技術が開発されている。
例えば特許文献1には、印刷機を制御する操作コンピュータとは別に、インターネットを通じてワイヤレスで印刷機を制御可能な保守・管理コンピュータを装備したシステムが開示されている。
また、特許文献2には、製函機を制御する制御装置に対して操作パネルが有線接続され、操作パネルを通じて制御装置により制御される製函機において、操作パネルとは別に、制御装置に無線接続可能な無線操作端末を装備し、無線操作端末を通じても制御装置により製函機を制御できるようにしたものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第4989447号公報
【文献】特開2018-101945号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、例えば上記のように各機械側に操作パネルを装備した新聞輪転機の場合、通常機械側の操作パネルは各機械の側壁部に固定されているので、印刷ユニットや給紙装置に対して、始動前の準備やメンテナンスを行う場合、機械の内側で作業する人と、側壁部で操作パネルを操作する人との二人の連携作業が必要になる。このため、オペレーターの要員確保が課題となっている。
この課題の解決には、移動可能な無線操作端末を利用することが有効である。
【0008】
また、各機械側に操作パネルを装備する場合、全体として多数の操作パネルを装備することになる。操作パネルの維持メンテナンス費用は、操作パネルの老朽化に伴って増大するので、多数の操作パネルの維持メンテナンス費用は、膨大なものになる。このため、維持メンテナンス費用の抑制が課題となっている。・
【0009】
本発明は、上記の課題に着目して創案されたもので、加工や製造を行う生産機械において、オペレーターの要員負担や機械の維持メンテナンスの負担を軽減することができるようにした機械操作管理装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、本発明の機械操作管理装置は、加工処理を行うための複数の機械類を備えた生産機械において、複数の前記機械類の制御装置に信号を送って、複数の前記機械類をそれぞれ個別に操作又は管理する個別管理と、複数の前記機械類の制御装置を統合的に操作又は管理する統合管理と、を行う機械操作管理装置であって、複数の前記機械類のうちの何れかの機械類の前記個別管理を行う個別管理モードと、前記統合管理を行う統合管理モードとを有し、無線信号によって少なくとも前記個別管理が可能な可動式操作パネルを備え、前記可動式操作パネルが複数装備され、前記可動式操作パネルは、前記個別管理モードと、前記統合管理モードとを切り替える選択操作信号を出力する選択操作手段を備え、前記個別管理モードを選択する前記選択操作信号に対して、前記選択操作信号にかかる前記可動式操作パネルと前記機械類との信号接続を許可する接続許可信号を所定条件下で出力する接続許可手段を備え、前記接続許可手段は、複数の前記機械類のうちの互いに相反する指令が行われると制御に混乱をきたすおそれがある機械類に関しては、1つの当該機械類に対する前記接続許可信号を1つの前記可動式操作パネルに対してのみ出力することを特徴とする。
【0011】
前記可動式操作パネルは、前記個別管理モードと前記統合管理モードとを、選択操作によって選択することが可能であることが好ましい。
前記可動式操作パネルは、ディスプレイと、前記ディスプレイの表示を制御するディスプレイ制御部とを備え、前記ディスプレイ制御部は、前記統合管理モードに用いられる統合管理用画面と、前記個別管理モードに用いられる個別管理用画面とを、前記選択操作に応じて切り替えることが好ましい。
【0013】
前記個別管理モードを選択する際の前記選択操作信号は、前記可動式操作パネルを特定する操作パネル特定信号と、前記特定した可動式操作パネルが管理対象とする前記機械類を特定する機械類特定信号とを含むことが好ましい。
【0014】
前記可動式操作パネルの位置を検知する位置検知手段を備えるとともに、前記機械類についての前記個別管理の操作が可能な操作領域内が設定され、前記接続許可手段は、前記選択操作信号が出力されると、前記位置検知手段により検知された、前記特定した可動式操作パネルの位置が、前記特定した機械類の前記操作領域内にあるか否かを判定し、前記特定した可動式操作パネルが前記特定した機械類の前記操作領域内にある場合において前記接続許可信号を出力することが好ましい。
【0015】
前記可動式操作パネルの位置を検知する位置検知手段を備えるとともに、前記機械類についての前記個別管理の操作が可能な操作領域内が設定され、前記位置検知手段の検出情報に基づいて、前記可動式操作パネルが前記操作領域に進入したことが判定されると、前記切替操作手段及び前記接続許可手段は、前記可動式操作パネルを該当する前記操作領域にかかる前記機械類の前記個別管理に使用可能な状態に自動で切り替えることが好ましい。
【0016】
記接続許可手段は、一部の前記機械類に関しては、1つの前記機械類に対する前記接続許可信号を複数の前記可動式操作パネルに対して出力することが好ましい。
【0017】
前記接続許可手段は、一部の前記機械類に関しては、複数の前記機械類に対する前記接続許可信号を1つの前記可動式操作パネルに対して出力することが好ましい。
前記接続許可手段は、予め登録設定された前記機械類と前記可動式操作パネルとの組み合わせに基づいて、前記接続許可信号を出力することが好ましい。
【0018】
記接続許可手段は、前記機械類の運転状態に応じて前記接続許可信号を出力することが好ましい。
前記接続許可手段は、操作者を認証する認証手段による認証結果に基づいて、前記接続許可信号を出力することが好ましい。
【0019】
前記機械類に関する特定の操作又は管理についての前記可動式操作パネルからの指令は、予め設定された安全条件が満たされなければ無効にする指令規制手段が備えられていることが好ましい。
前記可動式操作パネルを載置状態で使用するパネル載置部を備えていることが好ましい。
前記可動式操作パネルが前記パネル載置部に載置した状態で、前記可動式操作パネルに内蔵された電池を充電する充電装置が装備されていることが好ましい。
【0020】
前記可動式操作パネルには、前記機械類の前記制御装置に対して有線での接続を可能とする接続端子が備えられていることが好ましい。
前記可動式操作パネルには、タブレット端末が用いられていることが好ましい。
【0021】
前記生産機械は新聞輪転機であって、複数の前記機械類には、複数の印刷ユニットと、前記印刷ユニットに給紙する給紙装置と、ウェブパス装置と、折機と、操作デスクとが含まれていることが好ましい。
【発明の効果】
【0022】
本装置によれば、可動式操作パネルによって、複数の機械類をそれぞれ個別に操作又は管理する個別管理と、複数の機械類を統合的に操作又は管理する統合管理との双方を行うことができる。
したがって、個別管理と統合管理とのそれぞれの機械類に操作パネルを設ける場合に比べて、操作パネルの数を減らすことができる。このため、機械操作管理装置の設備費用や維持メンテナンス費用を軽減することができる。
また、個別管理については、オペレーターが機械類にアクセスして行うことがあるが、可動式操作パネルの場合は移動可能なので、オペレーターが好みの位置に可動式操作パネルを移動させて機械類にアクセスしながら作業を行うことができ、オペレーターの人数及び作業が軽減される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】一実施形態にかかる機械操作管理装置を生産機械としての新聞輪転機と共に示す概略構成図である。
図2】一実施形態にかかる可動式操作パネルと生産機械の関係を説明するブロック図である。
図3】一実施形態にかかる可動式操作パネルの表示画面の例を示す図であって、(a)は選択画面の例を示し、(b)は統合管理画面の例を示し、(c)は個別管理画面の例を示す。
図4】一実施形態にかかる可動式操作パネルの初期画面からの処理の例として統合管理を行う場合を示す図であって、(a)は第1選択画面の例を示し、(b)は第2選択画面の例を示し、(c)は統合管理を選択した状態の第2選択画面の例を示し、(d)は統合管理画面の例を示す。
図5】一実施形態にかかる可動式操作パネルの初期画面からの処理の例として個別管理を行う場合を示す図であって、(a)は第1選択画面の例を示し、(b)は第2選択画面の例を示し、(c)は個別管理を選択した状態の第2選択画面の例を示し、(d)は個別管理画面の例を示す。
図6】一実施形態にかかる可動式操作パネルを統合管理に用いている状態を示す斜視図である。
図7】一実施形態にかかる可動式操作パネルを個別管理に用いている状態を示す斜視図である。
図8】一実施形態にかかる可動式操作パネルを個別管理に用いる場合を説明する図である。
図9】一実施形態にかかる機械操作管理装置の事前処理を説明するフローチャートである。
図10】一実施形態にかかる個別管理の処理を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
なお、以下に示す各実施形態はあくまでも例示に過ぎず、以下の実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。以下の実施形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができるとともに、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせることが可能である。
【0025】
[新聞輪転機の概略構成]
図1は本実施形態にかかる機械操作管理装置を生産機械としての新聞輪転機の一例と共に示す概略構成図である。図1に示すように、ここで例示する新聞輪転機100は、複数の印刷ユニット(タワーユニット)T1~T6,ウェブパス部14及び折加工部15が、ウェブ(印刷用連続紙)10の走行経路にこの順にそなえて構成され、ウェブ(連続紙)に印刷や断裁や折り等の加工処理を行って新聞を製造する。さらに、新聞輪転機100は、新聞輪転機の生産管理を行う操作デスク4を備え、操作デスク4も新聞輪転機の機械要素のひとつとなっている。
【0026】
各タワーユニットT1~T6には、ウェブローラ(巻取紙)11aを装着された給紙部11と、インフィード部12と表裏それぞれ適宜の数の版胴131及びブランケット胴132とを備えた印刷部13とが、この順に設けられている。
【0027】
なお、各印刷部13は、上下に2対の版胴131及びブランケット胴132を備え、2色刷りが可能になっており、タワーユニットT3~T5は、それぞれ1つの印刷部13を備えるが、タワーユニットT1,T2,T6はそれぞれ上下2つの印刷部13を備え、c,m,y,kの4色によってフルカラー印刷できるようになっている。
【0028】
ウェブパス部14は、制御要素としてのコンペンセータローラ等によりウェブパスルートの長さを調整し、ウェブパスルート変更機構により種々の組み合わせで各ウェブ10の重ね合わせ順を変更することができる。なお、新聞輪転機100の場合、通常ウェブパス部14において、スリッタ(図示略)により必要に応じてウェブ10が幅方向に2分割されるため、より複雑なウェブパスルートが形成されることとなる。
【0029】
また、ウェブパス部14と折加工部15との間には、複数のウェブ10を集合させて重合させるウェブ集合部(側面視形状から「スズラン」とも称する)16を有し、複数のウェブ10はこのウェブ集合部16で設定された重なり順に集められ次第に接近して重ね合わされて折加工部15のフォーマ(三角板)15aに進入するようになっている。
【0030】
折加工部15では、フォーマ15aにより集合したウェブを縦折りしながら図示しない折機で折り畳む。図1では、両出しされる操作側ウェブシートのシート群10Aを加工する折加工部15のみを示しているが、駆動側ウェブシートのシート群10Bを加工する折加工部も図示しないが同様に装備されている。
【0031】
[械械操作管理装置の構成]
本実施形態の機械操作管理装置は、このような新聞輪転機に装備される複数の機械類、即ち、各タワーユニットT1~T6の給紙部11と、各タワーユニットT1~T6の各印刷部13と、ウェブパス部14と、折加工部15と、操作デスク4とを操作又は管理する。
各機械類の操作又は管理には、これらの機械類11,13,14,15,4をそれぞれ個別に操作又は管理する個別管理と、これらの機械類11,13,14,15,4を統合的に操作又は管理する統合管理とがある。なお、統合管理とは、複数の機械類を統合的に操作又は管理することであって、2台以上の機械類を管理することを指す。
【0032】
例えば給紙部11の個別管理にかかる作業には、ロールの交換や紙継ぎ等のロールスタンドの回転操作やロールの回転操作等を伴って行う作業があり、印刷部13の個別管理には、版交換やインキ供給量調整やメンテナンス等の機械の運転速度を変更して行ったり、ウェブの搬送を停止させて行ったりする作業がある。
統合管理にかかる作業には、運転中の新聞輪転機を監視し、色調を制御したり、搬送状態を制御したりする作業がある。
【0033】
図1図2に示すように、機械操作管理装置1は、可動式操作パネルとしてのタブレット端末2と、新聞輪転機100の要所に配置され、機械類11,13,14,15,4の制御装置(PLC)11C,13C,14C,15C,4Cと有線又は無線で接続されると共にタブレット端末2と無線通信する無線ルータ3とを備えている。
【0034】
各タブレット端末2は、無線ルータ3を介して各給紙部11,各印刷部13,ウェブパス部14,折加工部15,操作デスク4の制御装置11C,13C,14C,15C,4Cと通信して、各機械類11,13,14,15,4の制御にかかる信号の送信や、各機械類11,13,14,15,4の状態の検出信号の受信ができるようになっている。これによって、タブレット端末2で各機械類11,13,14,15,4の状態を制御したり、各機械類11,13,14,15,4の状態を把握したりすることができる。これにより、タブレット端末2及び無線ルータ3を用いて、機械類11,13,14,15,4を管理することができる。
【0035】
タブレット端末2は複数台備えられている。本実施形態では、三人のオペレーターで新聞輪転機100を操作及び管理するので、オペレーター全員が同時に使用できる最小台数である3台のタブレット端末2が備えられている。ただし、タブレット端末2の数はこれに限らず、適宜の数を用意すればよい。
また、タブレット端末2を用いて機械類11,13,14,15,4を管理する管理モードには、個別管理を行う個別管理モードと、統合管理を行う統合管理モードとがある。
【0036】
タブレット端末2は、タッチパネルディスプレイ2Pと、タッチパネルディスプレイ2Pの表示を制御するディスプレイ制御部2Cとを備え、ディスプレイ制御部2Cは機械類11,13,14,15,4の操作や管理に用いるタッチボタン表示等の種々の表示画面をタッチ操作に応じて切り替え可能になっている。種々の表示画面は、個別管理をするための個別管理用画面と、統合管理をするための統合管理用画面とに分類できる。
なお、統合管理は、操作デスク4の制御装置4Cを通じて行われるが、操作デスク4の制御装置4Cは統合管理だけでなく、一部の個別管理も行うようになっている。
【0037】
また、タブレット端末2は、その現在位置を検知する位置検知部(位置検知手段)2Sが装備される。なお、位置検知部(位置検知手段)については、タブレット端末2側の位置検知部2Sに替えて又は加えて、機械類の制御装置11C,13C,14C,15C,4Cなどの新聞輪転機100(生産機械)の側の要所に設置してもよい。
【0038】
また、タブレット端末2の表示画面には、個別管理モードと統合管理モードとの何れかを選択する(即ち、個別管理用画面と統合管理用画面との何れかを選択する)選択スイッチ(選択操作手段)が表示される。特に、個別管理モードを選択するときには、個別管理の対象とする機械類を機械類11,13,14,15,4の中から特定する必要があり、表示画面には、管理対象特定スイッチ(選択操作手段)が表示される。
【0039】
ここで、タブレット端末2のタッチパネルディスプレイ2Pに表示される表示画面についての一例を、図3図5を参照して説明する。なお、図3図5に示す例では、簡略化して、第1タワーユニット~第4タワーユニットの4つのタワーユニットが備えられるものとして説明する。以下で説明する符号11(1)~11(4),13(1)~13(4)のカッコ内の数字はタワーユニット番号を示す。
【0040】
表示画面には、図3(a)に示すような選択画面と、図3(b)に示すような統合管理画面と、図3(c)に示すような個別管理画面とが備えられている。
図3(a)に示す選択画面は、選択対象の機械類11(1)~11(4),13(1)~13(4),14,15,4のそれぞれの選択ボタン(選択スイッチ)が表示されており、何れかの選択ボタンをタッチ操作(選択操作)することにより、管理する機械類の選択操作信号が出力される。この選択操作信号による選択要求が許可されれば、図3(b)に示す統合管理画面又は図3(c)に示す個別管理画面が表示される。
【0041】
なお、図3(a)に示す選択画面21は、各機械類11,13,14,15,4を選択する画面であるが、図4(a),図5(a)に示すように、個別管理モードと統合管理モードとを選択するモード選択画面20を追加してもよい。この場合、まず、第1選択画面として、図4(a),図5(a)に示すようなモード選択ボタン(選択スイッチ)を備えたモード選択画面20を表示し、モード選択後に、第2選択画面として、図3(a)に示す選択画面21を表示する。
【0042】
例えば、モード選択画面20が設けられている場合に統合管理を選択するには、図4(a)に示すように、統合管理モード選択ボタン(「統合」と図示)をタッチ操作する(図中ハッチングで示す)。これにより、図4(b)に示すように選択画面21が表示される。この表示では、統合管理モードを行う対象となる機械類である操作デスク4の選択ボタン(「4」と図示)のみが操作可能状態(図中網掛けで示す)に表示される。ここで、図4(c)に示すように、操作デスク4の選択ボタン「4」をタッチ操作する。これにより、統合管理の選択操作信号が出力されて、この選択操作信号による選択要求が許可されれば、図4(d)に示す統合管理画面が表示される。これにより、タブレット端末2を用いて統合管理を行うことができる。
【0043】
また、モード選択画面20が設けられている場合に個別管理を選択するには、図5(a)に示すように、個別管理モード選択ボタン(「個別」と図示)をタッチ操作する(図中ハッチングで示す)。これにより、図5(b)に示すように選択画面21が表示される。この表示では、個別管理モードを行う対象となる機械類である給紙部11(1)~11(4),印刷部13(1)~13(4),及びウェブパス部14,折加工部15,操作デスク4の選択ボタン(管理対象特定スイッチ(選択操作手段)であり、「11(1)」~「11(4)」,「13(1)」~「13(4)」,「14」,「15」,「4」と図示)が操作可能状態(図中網掛けで示す)に表示される。ここで、例えば図5(c)に示すように、第1タワーユニットの印刷部13(1)の選択ボタン「13(1)」をタッチ操作する。これにより、印刷部13(1)の個別管理の選択操作信号が出力されて、この選択操作信号による選択要求が許可されれば、図5(d)に示す印刷部13(1)の個別管理画面が表示される。これにより、タブレット端末2を用いて印刷部13(1)の個別管理を行うことができる。
【0044】
ただし、個別管理モードと統合管理モードとを選択するモード選択画面20は必須ではなく、図3(a)に示す選択画面21から直接的に個別管理モードに係る機械類及び統合管理モードに係る機械類を選択するように構成してもよい。
また、図3図5に示す画面表示は一例であって、種々の画面表示が適用できる。
【0045】
したがって、タブレット端末2で個別管理モードと統合管理モードとの何れかを選択するには、選択ボタンをタッチ操作して、個別管理モード又は統合管理モードの選択操作信号を出力する。これらの選択操作信号には、出力したタブレット端末2に固有のID信号(操作パネル特定信号)も含まれる。本実施形態では、選択操作信号は、その時点のタブレット端末2の現在位置の信号も含まれる。
【0046】
また、個別管理モードの選択操作のときには、さらに、管理対象の機械類を特定する選択ボタンをタッチ操作して、個別管理の対象とする機械類11,13,14,15,4を特定する。したがって、個別管理モードの選択操作信号には、出力したタブレット端末2に固有のID信号と、特定した機械類を示す機械類特定信号とが含まれる。
【0047】
無線ルータ3は、各タブレット端末2と各機械類11,13,14,15,4の制御装置11C,13C,14C,15C,4Cとの間に介在し、無線による各タブレット端末2と各機械類11,13,14,15,4の制御装置11C,13C,14C,15C,4Cとの通信接続を可能にしている。
【0048】
本機械操作管理装置1には、タブレット端末2から選択操作信号が発信されると、無線ルータ3を介してこの選択操作信号を受信し、選択操作信号に基づいて所定の接続許可条件が成立したか否かを判定し、接続許可条件が成立したら接続許可信号を出力する接続許可部(接続許可手段)を有する通信管理部が備えられている。
【0049】
本実施形態では、各制御装置11C,13C,14C,15C,4Cにそれぞれ通信管理部(図示略)が備えられている。各制御装置11C,13C,14C,15C,4Cは、何れも無線ルータ3を介してタブレット端末2から選択操作信号を受信可能であり、タブレット端末2から選択操作信号が発信されたら、制御装置11C,13C,14C,15C,4Cの少なくとも何れかの通信管理部が接続許可条件に関する判定及び判定結果に基づく接続許可信号の出力を行えばよい。
【0050】
ただし、本実施形態では、選択操作信号に含まれる機械類特定信号に応じて特定される機械類の制御装置11C,13C,14C,15C,4Cの通信管理部が上記の判定及び信号出力を行うようになっている。これらの判定結果及び信号出力状態は選択操作信号と紐づけされた情報として各制御装置11C,13C,14C,15C,4Cで共有化される。
【0051】
上記の所定の接続許可条件には、選択操作信号を出力したタブレット端末2が予め登録されたものであること(第1条件)、選択操作信号が個別管理モードへの選択操作信号であり選択操作信号を出力したタブレット端末2が特定した機械類に対応した操作領域内に位置していること(第2条件)、選択操作信号が個別管理モードへの選択操作信号であり特定した機械類が単一のタブレット端末2のみと接続する接続条件がある場合、他のタブレット端末2が接続状態にないこと(第3条件)がある。
【0052】
第1条件は、個別管理モードにも統合管理モードにも必要な必須条件である。つまり、タブレット端末2に機械類11,13,14,15,4を管理するためのソフトウェアが導入されるとともに、タブレット端末2のIDを事前登録しておくことが前提となる。
【0053】
第2条件に関する操作領域は、予め各機械類11,13,14,15,4毎にその機械類のメンテナンス等の個別管理を行う際にオペレーターが通常位置する三次元的な領域であり、各機械類11,13,14,15,4の操作領域は重ならないと共に、一定距離以上離隔した位置に配置設定されている。これは、機械類の個別管理をするにはオペレーターがその機械類にアクセスできる位置にいて行うことが好ましいからである。例えば、その機械類から離れた遠隔位置から機械類を操作すると、作動する機械類の周囲の安全性を確保しにくいからである。ただし、このような安全性の考慮の必要がないなど、機械類にアクセスできる位置にいて操作をする必要がない機械類については、第2条件は不要となる。
【0054】
なお、この第2条件は、選択操作信号が入力された時点では、該当するタブレット端末2が特定した機械類に対応した操作領域内に位置していないが、その後、所定時間内にタブレット端末2が移動して操作領域内に進入したことが判定されると、第2条件が成立したとして、他の条件が満たされていれば接続許可信号を出力する。この場合、タブレット端末2が操作領域内に進入すると該当する機械類の個別管理に使用可能な状態に自動で切り替えられる。
【0055】
第3条件は、同一の機械類に互いに相反する指令が行われて機械類の制御に混乱をきたすおそれを回避するためである。ただし、このような相反する指令により機械類の制御に混乱をきたすおそれがない機械類に対しては、第3条件は不要となる。
【0056】
無線ルータ3も必要に応じて複数台備えられている。ここでは、各給紙部11の近傍に配置され各給紙部11と有線で接続された無線ルータ3と、各印刷部13及びウェブパス部14の近傍に配置され各印刷部13と有線で接続された無線ルータ3と、操作デスク4の近傍に配置され操作デスク4と有線で接続された無線ルータ3とが備えられる。タブレット端末2の数や配置はこれに限るものではなく、適宜の数を用意して必要な箇所に配置すればよく、1台であってもよい。また必要に応じて中継器を用いたり、中継のために無線ルータ3を用いたりしてもよい。
【0057】
このように接続許可条件が設定されるため、各制御装置11C,13C,14C,15C,4Cは、一部の機械類11,13,14,15,4に関しては、1つの機械類に対する接続許可信号を複数のタブレット端末2に対して出力する場合がある。このように接続許可を与えれば、機械類によっては、複数のオペレーターがそれぞれのタブレット端末2を用いて共同作業によって操作又は管理をすることが有効であり、こうした作業を実現することができる。
【0058】
また、一部の機械類11,13,14,15,4に関しては、複数の機械類に対する接続許可信号を1つのタブレット端末2に対して出力する場合がある。ただし、1つのタブレット端末2に対して複数の機械類に対する接続許可信号が出力されても、タブレット端末2の側では、個々の機械類11,13,14,15,4に対して操作又は管理をし、同時に複数の機械類に対して操作又は管理をするわけではない。
【0059】
なお、機械類によっては特定のオペレーターで作業することが有効な場合がある。このような場合を考慮すると、タブレット端末2を各オペレーターに割り当てていることを接続許可条件に加えて、機械類11,13,14,15,4とタブレット端末2との組み合わせを予め登録しておいて、登録された組み合わせのみに接続許可を与えるようにしてもよい。
【0060】
さらに、タブレット端末2にオペレーター(操作者)を指紋や顔等で認証する認証機能(認証手段)を設け、予め認証登録されたオペレーターであることを接続許可条件に加えてもよい。これにより、オペレーターを特定して接続許可を与えることができ、セキュリティの向上を図ることができる。
【0061】
ところで、例えば統合管理を行う場合、一般的には、操作デスク4において行うが、本装置では、タブレット端末2を操作デスク4に設けられたパネル載置部4Pにタブレット端末2をセット(置くか又は設置)して使用できるようになっている。すなわち、図6図7に示すように、操作デスク4には、通常備えられる固定のディスプレイに替えてパネル載置部4Pが設けられ、このパネル載置部4Pにタブレット端末2をセットすることで、一般的な操作デスク4と同様に何ら支障なく統合管理を行うことができる。
なお、タブレット端末2をセットするとは、タブレット端末2をパネル載置部4Pに一時的に固定できればよく、タブレット端末2をパネル載置部4Pに単に載置するだけでタブレット端末2が脱落しないようにパネル載置部4Pを構成すればよく、パネル載置部4Pに載置したタブレット端末2を脱落しないように係止する係止構造を設けてもよい。
【0062】
図7に示すように、必要に応じて、タブレット端末2をパネル載置部4Pから取り外して、作業に好適な位置までタブレット端末2を持ち運ぶことにより個別管理に用いることができる。
また、図8に示すように、機械類の側壁部等にパネル載置部13Pを設けて、タブレット端末2をパネル載置部13Pに載置した状態で個別管理の作業を行ってもよい。図8において、破線は操作領域6の範囲を模式的に示す。
さらにまた、パネル載置部4Pには、セットしたタブレット端末2を自動で充電する充電器(充電装置)5が装備されている。
【0063】
[作用及び効果]
本実施形態にかかる機械操作管理装置1は、上記のように構成されているので、タブレット端末2を用いて、複数の機械類をそれぞれ個別に操作又は管理する個別管理と、複数の機械類を統合的に操作又は管理する統合管理との双方を行うことができる。
本実施形態では、タブレット端末2に表示される選択ボタンをタッチする選択操作によって、何れかの個別管理画面と統合管理画面とが切り換えられるので、コンパクトなタブレット端末2のディスプレイ2Pの画面を効率よく利用して管理作業を円滑に行うことができる。
【0064】
なお、統合管理、或いは個別管理を行う場合には、予めそれぞれのタブレット端末2に図9のフローチャートに示すような処理を実施する。
まず、各タブレット端末2に、機械を統合管理するための統合管理用ソフトウェア、及び、機械を個別管理するための個別管理用ソフトウェアをインストールする(ステップA10)。このとき、個別管理用ソフトウェアについては、そのタブレット端末2によって管理しようとする管理対象の機械に係るソフトウェアのみをインストールすればよい。
【0065】
次に、タブレット端末2のIDを登録すると共に、個別管理をする際に個別管理対象の機械を登録する(ステップA20)。この登録は制御装置11C,13C,14C,15C,4Cの通信管理部に対して行う。個別管理対象の機械類についてはそのタブレット端末2で管理しようとする管理対象の機械類が複数あれば複数の機械類を全て登録する。
【0066】
統合管理については、本実施形態では、タブレット端末2を操作デスク4のパネル載置部4Pにセットして行う。このときには、操作デスク4の操作ボタンの信号を無線によってタブレット端末2に送信して、タブレット端末2を介して統合管理を行う。
【0067】
一方、個別管理については、図10のフローチャートに示すような処理を行ったうえで実施する。つまり、まず管理用ソフトウェアを起動する(ステップB10)。この場合、統合管理用ソフトウェア及び個別管理対象の機械類に係る個別管理用ソフトウェアを起動するか、或いは、個別管理対象の機械類に係る個別管理用ソフトウェアのみを起動する。
【0068】
つぎに、個別管理モードと個別管理対象の機械類を選択する(ステップB20)。この選択によって、端末ID,管理対象機械類情報を含んだ選択操作信号が出力される(ステップB30)。
【0069】
そして、選択操作信号に基づいて、第1条件にかかる照合処理、即ち、登録情報と信号出力情報とを照合して(ステップB40)、選択操作信号を出力したタブレット端末2が予め登録されたものであるか否か(第1条件)を判定する(ステップB42)。第1条件が満たされなければ、接続は不許可となる(ステップB90)。
【0070】
次に、指紋照合等によってオペレーターの認証処理を行って(ステップB50)、認証判定を実施し(ステップB52)、オペレーターの認証ができなければ接続は不許可となる(ステップB90)。オペレーターの認証ができれば、次に、選択操作信号に基づいて、上記の第2条件が必要であるか否かを判定する(ステップB60)。第2条件が必要なければ、接続許可信号が出力されて対象の機械類の個別管理用通信が可能となる(ステップB80)。第2条件が必要であれば、第2条件が満たされているか否かを判定する(ステップB62)。
【0071】
第2条件が満たされなければ、接続は不許可となる(ステップB90)。
第2条件が満たされていれば、次に、選択操作信号に基づいて、上記の第3条件が必要であるか否かを判定する(ステップB70)。第3条件が必要なければ、接続許可信号が出力されて対象の機械類の個別管理用通信が可能となる(ステップB80)。第3条件が必要であれば、第3条件が満たされているか否かを判定する(ステップB72)。
【0072】
第3条件が満たされなければ、接続は不許可となる(ステップB90)。
第3条件が満たされていれば、接続許可信号が出力されて対象機械の個別管理用通信が可能となる(ステップB80)。
【0073】
したがって、本装置によれば、個別管理と統合管理との管理対象となる各機械類のそれぞれに大型カラーグラフィックパネル(GP)等の操作パネルを設ける場合に比べて、操作パネルの数を減らすことができる。
例えば、本実施形態の場合、6つのタワーユニットT1~T6に、管理対象の機械類として、合計6台の給紙部11及び印刷部13とがあり、さらに、機械類としてのウェブパス部14及び折加工部15があり、各機械類にそれぞれ大型カラーグラフィックパネル(GP)を固定設置すると、これらで合計14台が必要になり、これに、操作デスクに複数台の操作パネルを固定設置することが必要になる。
これに対して、本実施形態のものでは、全体で3台のタブレット端末2を用意すればよく、少なくとも全ての機械類に対応した数のタブレット端末2を用意する必要はない。
このため、機械操作管理装置の設備費用や維持メンテナンス費用を軽減することができる。
【0074】
また、個別管理については、オペレーターが機械類にアクセスして行うことがあるが、可動式操作パネルの場合は移動可能なので、オペレーターが好みの位置に可動式操作パネルを移動させて機械類にアクセスしながら作業を行うことができ、オペレーターの人数及び作業が軽減される。
【0075】
つまり、操作パネルが機械の側壁部等に固定設置されると、その機械類の操作や管理をする際に操作パネルを見ながら操作するオペレーターと、機械類に直接アクセスして操作や管理をするオペレーターとで協働して作業することが必要となるが、一人のオペレーターが可動式操作パネルを持ち運びながら機械にアクセスし、機械類を直接目視しながらタブレット端末2を操作して作業を行うことができる。
【0076】
したがって、図6に示すように、新聞輪転機の通常の運転時には、3台のタブレット端末2を操作デスク4にセットして三人のオペレーターが操作デスク4において監視や操作を行い、個々の機械類11,13,14,15,4に対して操作や管理が必要になれば、例えば図7図8に示すように、一人のオペレーターが操作デスク4から1台のタブレット端末2を外して持ち運びながら各機械類に出向いて作業を行うことができる。
【0077】
また、タブレット端末2から出力された機械操作管理にかかる選択操作信号に対して、接続許可条件に基づいて接続許可を与えるので、機械操作管理にかかるセキュリティを確保することができる。
特に、接続許可条件には、選択操作信号を出力したタブレット端末2が予め登録されたものであること(第1条件)が含まれることが、セキュリティの確保に大きく寄与する。
【0078】
機械類の近くで管理作業を行うことが必要な機械類については、タブレット端末2が特定した機械類に対応した操作領域内に位置していること(第2条件)を接続許可条件に含めることにより、管理作業の安全性を高めることができる。
また、選択操作信号を出したタブレット端末2が移動して、機械類に対応した操作領域の外部から内部に進入したら自動で接続許可を与えることで管理作業を効率よく行うことができる。
【0079】
また、選択操作信号が個別管理モードへの選択操作信号であり特定した機械類が単一のタブレット端末2のみと接続する接続条件(第3条件)を接続許可条件に含めれば、同一の機械類に互いに相反する指令が行われて機械類の制御に混乱をきたすことを回避することができる。
【0080】
さらに、1つの機械類に対する接続許可信号を複数のタブレット端末2に対して出力するように接続許可を与えれば、複数のオペレーターがそれぞれのタブレット端末2を用いて共同作業によって操作又は管理をすることができる。
また、複数の機械類に対する接続許可信号を1つのタブレット端末2に対して出力すれば効率よく管理作業を行うことができる。
さらに、タブレット端末2の操作者を認証することもセキュリティの確保に寄与する。
【0081】
そして、本実施形態では、タブレット端末2をパネル載置部4Pにセットして使用することもできるので、タブレット端末2の使用時の利便性が高まる。
また、タブレット端末2をパネル載置部4Pにセットすると充電器5が自動で充電するのでタブレット端末2を容易に管理することもできる。
【0082】
機械類に関する特定の操作又は管理の中には、安全上、機械類を監視ししながら操作等を行う必要がある場合がある。この点を考慮すると、予め設定された安全条件が満たされなければ操作を無効にする指令規制機能(指令規制手段)をタブレット端末2に設けることも有効である。
【0083】
つまり、安全を確保するために、周囲を監視しながら作業等を行う必要がある機械類については、その機械類のところにオペレーターがいて周囲を監視していることが必要である。図7図8に示すように、タブレット端末2を持ちながら一人で作業を行うことができるが、指令規制機能を設けることにより、一人作業であっても安全性を高めることができる。
【0084】
なお、指令規制機能としては、オペレーターがこの監視可能な状態にあることを確認したら指令規制を解除するように構成することが好ましい。
具体的には、例えば機械類にQRコード(登録商標)が貼ってあり、タブレット端末2をかざすと認証されて指令規制を解除する構成や、さらに認証された後でタブレットが違う方向を向いた場合は、認証が解除されて指令規制(作業不可)にすることも有効である。
【0085】
例えば、印刷部13に入る前に紙切り装置があるが、この紙切り装置にかかる処理は、通常は二人作業である。一人が周囲の安全確認を行ってもう一人にOKを出したら、もう一人が機械類の側壁部にある大型カラーグラフィックパネル(GP)のボタンを押していた。タブレット端末2を利用する場合は一人作業になるので、操作領域内に入り操作可能になったとしても、タブレットを持った人が周囲の安全確認ができるところにいないと実際のボタン操作ができないようにする必要あり、指令規制機能によってこれに対応することができる。
【0086】
また、機械類によっては、運転状態によっては作業時の安全性を確保しにくいものがある。つまり、機械類が停止しているか低速運転であれば安全性を確保できる場合があり、このような機械類については、機械類の運転状態に応じて接続許可信号を与えることにより、管理作業時の安全性を高めることができる。
【0087】
[その他]
以上、実施形態について説明したが、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲でかかる実施形態を適宜変更して実施することもできる。
【0088】
例えば、タブレット端末2(可動式操作パネル)に、機械類の制御装置に対して有線での接続を可能とする接続端子が備えられていてもよく、これにより、無線の機能が損なわれた場合であっても支障なくタブレット端末2を使用できる。
また、上記実施形態では、操作デスク4の操作パネルに可動式操作パネル(タブレット端末2)を利用しているが、操作デスク4には固定式操作パネルを装備して、可動式操作パネルは主として機械類11,13,14,15,4の個別管理に用いるようにしてもよい。この場合、例えば図5(b)をタブレット端末2の初期画面として、この画面上のスイッチ操作によって個別管理対象の機械類を選択できるようにすればよい。
この構成でも、機械類11,13,14,15,4のそれぞれに固定式操作パネルを装備する場合に比べて、操作パネルの数を抑えることができる利点や、可動式操作パネルを用いることにより一人作業で個別管理を行うことができる利点がある。
また、操作デスク4を設けずに、可動式操作パネルだけで、生産機械の管理(個別管理や統合管理)に用いるようにしてもよい。この場合も上記同様の利点を得ることができる。
【0089】
また、本実施形態では、接続許可部(接続許可手段)を有する通信管理部を各機械類11,13,14,15,4の制御装置11C,13C,14C,15C,4Cにそれぞれ装備しているが、制御装置11C,13C,14C,15C,4Cの何れか一部に通信管理部を装備してもよく、通信管理部として通信管理専用の制御装置を装備してもよい。
【0090】
また、可動式操作パネルにタブレット端末2を用いているので一定の画面のサイズを確保しながら、自由に持ち運ぶことができるが、可動式操作パネルにはタブレット端末2に限らず例えばスマートフォンなどを適用してもよい。
【0091】
また、本実施形態では、1システムの新聞輪転機100の管理について説明したが、本発明は複数システムの新聞輪転機100の管理に用いることもできる。
また、上記の実施形態では、生産機械の一例として新聞輪転機を説明したが、本発明は種々の生産機械に適用することができる。例えば、他の印刷機や、コルゲータ,製函機等の紙工機械など、管理対象の機械類が多い生産機械や生産ラインが長い生産機械に適用することで、操作や管理に関する設備コストや運用コストの低減効果が大きく、効果的である。
【符号の説明】
【0092】
1 機械操作管理装置
2 可動式操作パネルとしてのタブレット端末
3 無線ルータ
4 機械類としての操作デスク
4C,11C,13C,14C,15C 制御装置
4P パネル載置部
5 充電器(充電装置)
11 機械類としての給紙部
13 機械類としての印刷部
13P パネル載置部
14 機械類としてのウェブパス部
15 機械類としての折加工部
100 生産機械としての新聞輪転機
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10