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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-04
(45)【発行日】2022-08-15
(54)【発明の名称】スポイト容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/00 20060101AFI20220805BHJP
【FI】
B65D83/00 G
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018225656
(22)【出願日】2018-11-30
(65)【公開番号】P2020083454
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-06-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 浩通
【審査官】家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-092909(JP,A)
【文献】特表2013-533172(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0105707(US,A1)
【文献】実開平06-044783(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/00
B65D 39/00-55/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が封入されたカプセルおよび内容液が収容される容器本体と、
前記容器本体の口部に挿入され、上下方向に延びるノズル部材と、
前記ノズル部材と連結され、前記口部に着脱可能に装着されるキャップ体と、を備え、
前記ノズル部材は、
筒状の第1ノズル部と、
前記第1ノズル部の内部に挿入されるノズル筒部を有し、前記第1ノズル部に対して上下動可能な第2ノズル部と、
前記第1ノズル部の下端部と前記ノズル筒部の下端部との間で開閉可能な吸引開口部と、
前記第1ノズル部と前記第2ノズル部との間に配置され、前記第1ノズル部と前記第2ノズル部とが上下動することで容積が変化する作動空間と、を有し、
前記ノズル筒部は、
前記ノズル筒部を径方向に貫通し、前記カプセルおよび前記内容液が流通可能な連通孔と、
前記ノズル筒部の下端部に開口する吐出開口部と、
前記吐出開口部を覆う網状であり、網目の大きさが前記カプセルの外径以下とされたメッシュ部と、を有し、
前記第1ノズル部に対して前記第2ノズル部が上方移動したときに、前記作動空間の容積が増大して負圧が生じ、開状態とされた前記吸引開口部を通して前記ノズル部材の内部に前記カプセルおよび前記内容液が吸引され、
前記第1ノズル部に対して前記第2ノズル部が下方移動したときに、前記吸引開口部が閉状態とされ、前記カプセルおよび前記内容液が前記連通孔を通して前記ノズル筒部内に流入し、前記メッシュ部で前記カプセルが破砕されて前記吐出開口部から前記内容物および前記内容液が前記ノズル部材の外部に吐出される、
スポイト容器。
【請求項2】
前記ノズル部材は、
前記作動空間の一部を構成し、前記第1ノズル部および前記第2ノズル部のいずれか一方に設けられ、他方と摺接するピストンと、
前記第1ノズル部に対して前記第2ノズル部を上方付勢する付勢部と、を有し、
前記第2ノズル部は、前記キャップ体から上方に突出し、下方に押下可能な押下部を有する、
請求項1に記載のスポイト容器。
【請求項3】
前記吸引開口部が閉状態のとき、前記第1ノズル部の下端部内に前記ノズル筒部が嵌合し、
前記吸引開口部が開状態のとき、前記第1ノズル部の下端部と前記ノズル筒部とが互いに離間する、
請求項1または2に記載のスポイト容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スポイト容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1のスポイト容器が知られている。このスポイト容器は、内容液が収容される容器本体と、容器本体の口部に挿入され、上下方向に延びるスポイト管と、スポイト管と連結され、口部に着脱可能に装着されるキャップ体と、キャップ体から上方に突出し、下方に押下可能な押釦と、押釦とスポイト管との間に配置される弾性圧搾部と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-127225号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、内容物が封入されたカプセルを含む内容液を、従来のスポイト容器で吐出する場合には、カプセルおよび内容液を使用者の掌等に吐出し、掌等の上でカプセルを潰して内容物を出す手間が生じる。このような場合において、スポイト容器の使い勝手を向上させる点に改善の余地があった。
【0005】
上記事情に鑑み、本発明は、内容物が封入されたカプセルおよび内容液を吐出する場合において使い勝手を向上できるスポイト容器を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のスポイト容器の一つの態様は、内容物が封入されたカプセルおよび内容液が収容される容器本体と、前記容器本体の口部に挿入され、上下方向に延びるノズル部材と、前記ノズル部材と連結され、前記口部に着脱可能に装着されるキャップ体と、を備え、前記ノズル部材は、筒状の第1ノズル部と、前記第1ノズル部の内部に挿入されるノズル筒部を有し、前記第1ノズル部に対して上下動可能な第2ノズル部と、前記第1ノズル部の下端部と前記ノズル筒部の下端部との間で開閉可能な吸引開口部と、前記第1ノズル部と前記第2ノズル部との間に配置され、前記第1ノズル部と前記第2ノズル部とが上下動することで容積が変化する作動空間と、を有し、前記ノズル筒部は、前記ノズル筒部を径方向に貫通し、前記カプセルおよび前記内容液が流通可能な連通孔と、前記ノズル筒部の下端部に開口する吐出開口部と、前記吐出開口部を覆う網状であり、網目の大きさが前記カプセルの外径以下とされたメッシュ部と、を有し、前記第1ノズル部に対して前記第2ノズル部が上方移動したときに、前記作動空間の容積が増大して負圧が生じ、開状態とされた前記吸引開口部を通して前記ノズル部材の内部に前記カプセルおよび前記内容液が吸引され、前記第1ノズル部に対して前記第2ノズル部が下方移動したときに、前記吸引開口部が閉状態とされ、前記カプセルおよび前記内容液が前記連通孔を通して前記ノズル筒部内に流入し、前記メッシュ部で前記カプセルが破砕されて前記吐出開口部から前記内容物および前記内容液が前記ノズル部材の外部に吐出される。
【0007】
このスポイト容器では、第1ノズル部に対して第2ノズル部を上昇させると、作動空間の負圧の作用により、開状態の吸引開口部を通して、容器本体内のカプセルおよび内容液が、ノズル部材の内部に吸い込まれる。次に、第1ノズル部に対して第2ノズル部を下降させると、吸引開口部は開状態から閉状態とされ、ノズル部材の内部に吸引されたカプセルおよび内容液は、容積が減少した作動空間の正圧の作用により、連通孔を通してノズル筒部内に送られ、メッシュ部を通るときにカプセルが破砕されることで、カプセルに封入されていた内容物および内容液が、吐出開口部からノズル部材の外部に吐出される。
【0008】
本発明によれば、スポイト容器を吐出操作したときに、カプセルが破砕されて内容物が内容液と一緒にノズル部材の外部に吐出される。すなわち、吐出操作前においては、内容物がカプセルに封入された状態であり、内容液や外気に晒されることが抑えられているため、内容物の機能(効能)が良好に維持される。具体的に、ノズル部材の内部にカプセルおよび内容液が吸引される際には、カプセルが破砕されないため、容器本体内の内容液に、カプセルの破片やカプセルの内容物が入り込むことを抑制できる。そして、スポイト容器を吐出操作したときにカプセルが破砕されるため、内容物の機能が安定して発揮される。本発明によれば、吐出操作によってカプセルを破砕することができ、従来のように使用者が掌の上等でカプセルを潰す手間が生じず、使い勝手がよい。
【0009】
上記スポイト容器において、前記ノズル部材は、前記作動空間の一部を構成し、前記第1ノズル部および前記第2ノズル部のいずれか一方に設けられ、他方と摺接するピストンと、前記第1ノズル部に対して前記第2ノズル部を上方付勢する付勢部と、を有し、前記第2ノズル部は、前記キャップ体から上方に突出し、下方に押下可能な押下部を有することが好ましい。
【0010】
この場合、ピストンによって作動空間のシール性が良好に維持されるため、作動空間の容積の増減によって作動空間の内圧が安定して変化し、上述の作用効果が安定して得られる。
また、付勢部が第2ノズル部を上方付勢しているので、例えば容器本体の口部からキャップ体を取り外したときに、第1ノズル部に対して第2ノズル部が自然に上方移動するように構成することができる。つまり、キャップ体を口部から取り外すという1つの操作によって、ノズル部材の内部に自然にカプセルおよび内容液を吸い込ませることができる。そして、押下部を押下することで、第1ノズル部に対して第2ノズル部を容易に下方移動させることができる。したがって、スポイト容器の操作性が向上する。
【0011】
上記スポイト容器において、前記吸引開口部が閉状態のとき、前記第1ノズル部の下端部内に前記ノズル筒部が嵌合し、前記吸引開口部が開状態のとき、前記第1ノズル部の下端部と前記ノズル筒部とが互いに離間することが好ましい。
【0012】
この場合、簡素な構造により、吸引開口部を安定して開閉できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一つの態様のスポイト容器によれば、内容物が封入されたカプセルおよび内容液を吐出する場合において使い勝手を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態のスポイト容器を示す縦断面図および側面図(半断面図)である。
図2】ノズル部材の内部にカプセルおよび内容液が吸い上げられる状態を示す半断面図である。
図3】容器本体からノズル部材およびキャップ体が取り外された状態を示す半断面図である。
図4】カプセルの内容物および内容液がノズル部材の外部に吐出される状態を示す半断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態のスポイト容器1について、図面を参照して説明する。
図1に示すように、スポイト容器1は、有底筒状の容器本体2と、容器本体2の口部2aに挿入されるノズル部材3と、口部2aに着脱可能に装着されるキャップ体4と、口部2a内に嵌合されるしごき中栓5と、を備える。ノズル部材3、容器本体2の口部2a、キャップ体4およびしごき中栓5は、ノズル部材3の中心軸Oを共通軸として互いに同軸に配置されている。
容器本体2は、容器本体2の周壁である胴部と、容器本体2の底壁である底部2bと、容器本体2の開口部であり胴部よりも小径とされた口部2aと、胴部と口部2aとを繋ぐ肩部2cと、を有する。
【0016】
本実施形態では、中心軸Oが延びる方向(中心軸Oに沿う方向)を上下方向(軸方向)と呼ぶ。図1に示すように、容器本体2の底部2bとキャップ体4とは、上下方向において互いに異なる位置に配置される。上下方向のうち、底部2bからキャップ体4に向かう方向を上方(上側)と呼び、キャップ体4から底部2bに向かう方向を下方(下側)と呼ぶ。
上下方向から見た平面視で、中心軸Oに直交する方向を径方向と呼ぶ。径方向のうち、中心軸Oに近づく方向を径方向内側と呼び、中心軸Oから離れる方向を径方向外側と呼ぶ。
中心軸O回りに周回する方向を周方向と呼ぶ。
【0017】
容器本体2は、口部2aの外周面に雄ねじ部を有する。
容器本体2内には、内容物が封入されたカプセルCおよび内容液Lが収容される。内容液Lは、例えば液体化粧料などであり、カプセルCの内容物は、例えば高濃度の美容成分やビタミン成分等である。カプセルCの内容物として特に好適なものとしては、例えば、内容液Lと反応して高い機能(効能)が得られるが、反応後は時間経過にともなって機能が低下したり失われたりする成分等や、カプセルCに封入されている状態ではその機能が良好に維持されるが、カプセルCが破砕されると時間経過にともなって機能が低下したり失われたりする成分等が挙げられる。
図示の例では、カプセルCが球状である。カプセルCは、所定以上の外力により破砕可能であり、カプセルCが破砕されることで、内容物がカプセルCから外部に露出する。
【0018】
ノズル部材3は、上下方向に延びる。ノズル部材3は、下端部が口部2aよりも下方に位置し、上端部が口部2aよりも上方に位置する。
ノズル部材3は、第1ノズル部6と、第2ノズル部7と、吸引開口部12と、ピストン8と、作動空間9と、付勢部10と、パッキン11と、を有する。
【0019】
第1ノズル部6は、筒状である。
第1ノズル部6は、ノズル本体筒13と、ノズルフランジ14と、支持筒15と、を有する。
【0020】
ノズル本体筒13は、上下方向に延びる筒状である。ノズル本体筒13は、透明な部材により形成されていてもよい。この場合、使用者が、ノズル本体筒13の外部から内部を視認可能であるため、カプセルCがノズル部材3内に吸引されたことを視認できる。ノズル本体筒13は、下端部が容器本体2内において口部2aよりも下方に配置され、上端部が口部2aよりも上方に突出する。ノズル本体筒13の下端部の外径は、下端部以外の部分の外径よりも小さい。ノズル本体筒13の下端部の内径は、下端部以外の部分の内径よりも小さい。本実施形態では、ノズル本体筒13の下端部が、下方に向かうに従い縮径するテーパ筒状である。ノズル本体筒13は、ノズル本体筒13の下端部の内周面に、下方に向かうに従い縮径する第1テーパ部13bを有する。ノズル本体筒13は、ノズル本体筒13の下端部の内周面において、第1テーパ部13bの下方に隣接配置される吸引内周部13cを有する。吸引内周部13cは、内径が上下方向に沿って略一定である。
【0021】
ノズル本体筒13は、ノズル本体筒13の下端面から下方に向けて突出し、周方向に互いに間隔をあけて配置される複数の突起片13aを有する。本実施形態では、3つの突起片13aが、周方向に等間隔をあけて配置される。なお、突起片13aの数は、3つに限らない。
【0022】
ノズルフランジ14は、ノズル本体筒13の外周面から径方向外側に突出し周方向に延びる環状である。ノズルフランジ14は、中心軸Oを中心とする円形リング板状である。ノズルフランジ14は、一対の板面が上下方向を向く。ノズルフランジ14は、口部2aよりも上方に配置される。ノズルフランジ14は、上下方向から見て、口部2aと重なって配置される。
【0023】
支持筒15は、上下方向に延びる筒状である。支持筒15は、ノズルフランジ14から上方に向けて延びる。支持筒15は、上下方向から見て、口部2aと重なって配置される。支持筒15の上端部の外径は、上端部以外の部分の外径よりも大きい。図示の例では、支持筒15の上端部の外径と、ノズルフランジ14の外径とが、互いに略同じである。
【0024】
第2ノズル部7は、第1ノズル部6に対して上下動可能である。
第2ノズル部7は、軸部17と、ノズル筒部16と、シリンダ筒部18と、シリンダフランジ19と、連結筒部20と、押下部21と、を有する。
【0025】
軸部17は、上下方向に延びる。軸部17は、第1ノズル部6の内部に挿入される。具体的に、軸部17は、ノズル本体筒13内に挿入される。軸部17の外径は、ノズル本体筒13の内径よりも小さい。つまり、軸部17の外周面とノズル本体筒13の内周面との間には、隙間が設けられる。
【0026】
軸部17の上端は、ノズル本体筒13の上端よりも上方に突出する。図示の例では、軸部17の上端が、支持筒15の上端面よりも上方に位置する。軸部17の下端は、ノズル本体筒13の下端よりも上方に位置する。
軸部17は、第1筒部17aと、第2筒部17bと、を有する。
【0027】
第1筒部17aは、軸部17の上側部分に配置されて上下方向に延びる筒状である。第1筒部17aの上端部は、軸部17の上端面に開口する。図示の例では、第1筒部17aの下端が、ノズルフランジ14よりも下方に位置する。
第2筒部17bは、軸部17の下端部に配置されて上下方向に延びる筒状である。第2筒部17bの下端部は、軸部17の下端面に開口する。第2筒部17bの下端開口部は、ノズル本体筒13の下端部よりも上方に位置する。図示の例では、第2筒部17bの下端開口部が、容器本体2の肩部2cよりも下方に位置する。第2筒部17bの上端は、しごき中栓5よりも下方に位置する。
【0028】
ノズル筒部16は、第1ノズル部6の内部に挿入される。具体的に、ノズル筒部16は、ノズル本体筒13内に挿入される。ノズル筒部16は、軸部17の下端部に接続され、上下方向に延びる。ノズル筒部16は、ノズル本体筒13の下端部内に、離脱可能に嵌合する。ノズル筒部16の外径は、ノズル本体筒13の下端部以外の部分の内径よりも小さい。つまり、ノズル筒部16の外周面と、ノズル本体筒13の下端部以外の部分の内周面との間には、隙間が設けられる。
ノズル筒部16は、筒本体16aと、連結軸16bと、吐出筒16dと、連通孔16cと、吐出開口部16eと、メッシュ部16fと、を有する。
【0029】
筒本体16aは、有頂筒状である。
筒本体16aの周壁は、上下方向に延びる筒状である。筒本体16aの周壁は、内径が上下方向に沿って略一定である。筒本体16aの周壁は、下側部分の外径が上側部分の外径よりも小さい。
筒本体16aの頂壁は、一対の板面が上下方向を向く円板状である。筒本体16aの頂壁の上面は、軸部17の下端面に対して、下方から接触しまたは隙間をあけて対向する。
【0030】
連結軸16bは、筒本体16aの頂壁から上方に延びる軸状である。連結軸16bは、軸部17の第2筒部17bの内周面に嵌合する。
【0031】
吐出筒16dは、ノズル筒部16の下側部分に配置される。吐出筒16dは、上下方向に延びる筒状である。吐出筒16dのうち上端部の内径は、上端部以外の部分の内径よりも大きい。吐出筒16dの上端部は、筒本体16aの周壁の下側部分に外嵌される。吐出筒16dの下端部の外径は、下端部以外の部分の外径よりも小さい。このため、吐出筒16dのうち下端部を小径部、下端部以外の部分を大径部と呼んでもよい。図示の例では、吐出筒16dの下端部以外の部分(大径部)の外径が、筒本体16aの周壁の上側部分の外径と略同じである。図1において、吐出筒16dの下端部以外の部分は、ノズル本体筒13の下端部内に嵌合している。具体的に、吐出筒16dの下端部以外の部分は、ノズル本体筒13の下端部の吸引内周部13cに内嵌されている。
【0032】
図1において、吐出筒16dの下端部は、ノズル本体筒13の下端から下方に突出している。吐出筒16dの下端部の外径は、下方に向かうに従い小さくなる。吐出筒16dは、吐出筒16dの下端部の外周面に、下方に向かうに従い縮径する第2テーパ部16gを有する。吐出筒16dは、吐出筒16dの下端部の外周面において、第2テーパ部16gの下方に隣接配置される吸引外周部16hを有する。吸引外周部16hは、外径が上下方向に沿って略一定である。
【0033】
連通孔16cは、ノズル筒部16を径方向に貫通する。具体的に本実施形態では、連通孔16cが、吐出筒16dを径方向に貫通して形成される。図示の例では、連通孔16cが、吐出筒16dのうち上下方向の両端部間に位置する中間部に配置される。連通孔16cの孔径(内径)は、カプセルCの外径よりも大きい。連通孔16cには、カプセルCおよび内容液Lが流通可能である。図1において、連通孔16cの下端と、ノズル本体筒13の吸引内周部13cと、の間の上下方向の寸法は、カプセルCの外径よりも小さいことが好ましい。なお、連通孔16cは、筒本体16aの周壁を径方向に貫通して形成されていてもよい。連通孔16cは、ノズル筒部16に少なくとも1つ設けられる。連通孔16cがノズル筒部16に複数設けられる場合には、複数の連通孔16cが、例えば周方向に等間隔をあけて配置される。
【0034】
吐出開口部16eは、ノズル筒部16の下端部に開口する。吐出開口部16eは、ノズル筒部16の下端部に配置されて上下方向に延びる孔であり、ノズル筒部16の内部と外部とを連通する。本実施形態では、吐出開口部16eが、吐出筒16dの下方の開口部を構成する。
【0035】
メッシュ部16fは、吐出開口部16eを覆う網状であり、網目の大きさがカプセルCの外径以下とされている。本実施形態では、メッシュ部16fが、吐出開口部16eの下端部内に配置されて、吐出開口部16eを下方から覆う。メッシュ部16fの網目に、カプセルCは、球状のまま(原形のまま)では通過不能であり、破砕された状態では通過可能である。メッシュ部16fの網目に、カプセルCの内容物および内容液Lは通過可能である。
【0036】
シリンダ筒部18は、上下方向に延びる筒状である。シリンダ筒部18の内径は、軸部17の外径よりも大きい。シリンダ筒部18は、軸部17の上端部を、その径方向外側から囲う。シリンダ筒部18は、上端部が軸部17の上端よりも上方に位置する。シリンダ筒部18は、下端部が軸部17の上端よりも下方に位置する。シリンダ筒部18は、支持筒15に内挿される。シリンダ筒部18の下端は、ノズルフランジ14に対して、上方から隙間をあけて対向する。
【0037】
シリンダフランジ19は、シリンダ筒部18の外周面から径方向外側に突出し周方向に延びる環状である。シリンダフランジ19は、中心軸Oを中心とする円形リング板状である。シリンダフランジ19は、支持筒15の上方に位置する。シリンダフランジ19は、上下方向から見て、支持筒15と重なって配置される。シリンダフランジ19の下面と、支持筒15の上端面とは、上下方向に互いに間隔をあけて配置される。
シリンダフランジ19は、垂下筒19aを有する。垂下筒19aは、シリンダフランジ19の外周部から下方に延びる筒状である。
【0038】
連結筒部20は、軸部17の上端部とシリンダ筒部18の内周面とを繋ぐ。連結筒部20は、有底筒状である。
連結筒部20は、底壁20aと、周壁20bと、フランジ部20cと、を有する。
【0039】
底壁20aは、軸部17の上端部から径方向外側に突出し周方向に延びる環状である。底壁20aは、一対の板面が上下方向を向く円形リング板状である。底壁20aは、ノズル本体筒13の上端部よりも上方に位置する。底壁20aの外周部は、ノズル本体筒13の上端部よりも径方向外側に位置する。
【0040】
周壁20bは、底壁20aの外周部から上方に延びる筒状である。図示の例では、周壁20bの上端部が、シリンダフランジ19よりも下方に位置する。
フランジ部20cは、周壁20bの上端部から径方向外側に突出し周方向に延びる環状である。フランジ部20cは、一対の板面が上下方向を向く円形リング板状である。フランジ部20cの外周部は、シリンダ筒部18の内周面と接続される。図示の例では、フランジ部20cの外周部が、シリンダ筒部18の内周面のうち、上端部と下端部との間に位置する中間部分に接続される。
【0041】
押下部21は、第2ノズル部7の上端部に配置される。押下部21は、キャップ体4から上方に突出し、下方に押下可能である。押下部21は、有頂筒状である。押下部21は、シリンダ筒部18の上端開口を塞ぐ。
押下部21は、頂部21aと、筒部21bと、鍔部21cと、を有する。
【0042】
図示の例では、頂部21aが、上方に向けて湾曲するドーム状である。頂部21aは、一対の板面が上下方向を向き、中心軸Oを中心とする略円形板状である。ただしこれに限らず、頂部21aは、例えば平坦に形成された単なる円形板状等でもよい。頂部21aの外周部は、シリンダ筒部18の上端部に対して、上方から接触する。
【0043】
筒部21bは、頂部21aの外周部から下方に延びる筒状である。筒部21bは、シリンダ筒部18の上端部に外挿される。筒部21bは、上下方向から見て、シリンダフランジ19および支持筒15と重なって配置される。
【0044】
鍔部21cは、筒部21bの下端部から径方向外側に突出し周方向に延びる環状である。鍔部21cは、一対の板面が上下方向を向く円形リング板状である。鍔部21cは、シリンダフランジ19に対して、上方から接触する。図示の例では、鍔部21cの外径と、シリンダフランジ19の外径とが、互いに略同じである。
【0045】
図1および図2に示すように、吸引開口部12は、ノズル部材3の下端部に配置される。吸引開口部12は、第1ノズル部6の下端部とノズル筒部16の下端部との間で開閉可能である。図1に示すように、吸引開口部12が閉状態のとき、第1ノズル部6の下端部内にノズル筒部16が嵌合する。図2に示すように、吸引開口部12が開状態のとき、第1ノズル部6の下端部とノズル筒部16とが互いに離間する。
【0046】
詳しくは、吸引開口部12は、ノズル本体筒13の下端部と、ノズル筒部16の下端部との間に設けられる。
図1では、ノズル本体筒13の下端部の吸引内周部13c内に、吐出筒16dの下端部以外の部分(大径部)が嵌合しており、これにより吸引開口部12は、閉状態とされている。すなわち、吸引開口部12が閉状態のとき、ノズル部材3の下端部において、ノズル本体筒13とノズル筒部16との間を通したノズル部材3の内部と外部との連通が遮断される。
図2では、ノズル本体筒13の下端部の吸引内周部13cと、吐出筒16dの下端部(小径部)の吸引外周部16hと、の間に隙間が設けられ、かつ、ノズル本体筒13の下端部の第1テーパ部13bと、吐出筒16dの下端部の第2テーパ部16gと、の間に隙間が設けられており、これにより吸引開口部12は、開状態とされている。すなわち、吸引開口部12が開状態のとき、ノズル部材3の下端部において、ノズル本体筒13とノズル筒部16との間を通してノズル部材3の内部と外部とが連通する。
【0047】
ピストン8は、第1ノズル部6に設けられて、第2ノズル部7と摺接する。ただしこれに限らず、ピストン8は、第2ノズル部7に設けられて、第1ノズル部6と摺接してもよい。つまりピストン8は、第1ノズル部6および第2ノズル部7のいずれか一方に設けられ、他方と摺接する。ピストン8は、後述する作動空間9の一部を構成する。
【0048】
本実施形態において、ピストン8は、ノズル本体筒13の上端部に固定され、シリンダ筒部18の内周面と摺接する。
図1に示すように、ピストン8は、環状板部8aと、内筒部8bと、外筒部8cと、シール筒部8dと、を有する。
【0049】
環状板部8aは、中心軸Oを中心とする円形リング板状である。環状板部8aは、一対の板面が上下方向を向く。図1において、環状板部8aの上面には、連結筒部20の底壁20aの下面が接触する。環状板部8aの下面には、ノズル本体筒13の上端面が接触する。
【0050】
内筒部8bは、環状板部8aの内周部から下方に延びる筒状である。内筒部8bは、ノズル本体筒13の上端部に内嵌される。内筒部8bの内周面と、軸部17の上側部分の外周面との間には、隙間が設けられる。
【0051】
外筒部8cは、環状板部8aの内周部と外周部との間に位置する中間部から下方に延びる筒状である。外筒部8cは、ノズル本体筒13の上端部に外嵌される。図示の例では、内筒部8bの下端が、外筒部8cの下端よりも下方に位置する。
【0052】
シール筒部8dは、上下方向に延びる筒状である。シール筒部8dは、連結筒部20の底壁20aおよび周壁20bよりも径方向外側に位置する。シール筒部8dは、連結筒部20のフランジ部20cよりも下方に位置する。シール筒部8dの内周面は、環状板部8aの外周部と接続する。シール筒部8dの上端部は、環状板部8aよりも上方に突出し、シール筒部8dの下端部は、環状板部8aよりも下方に突出する。
シール筒部8dの上下方向の両端部は、両端部間に位置する部分よりも径方向外側に突出する。シール筒部8dの上下方向の両端部は、シリンダ筒部18の内周面に対して、上下方向に摺動可能に接触する。
【0053】
図1および図2に示すように、作動空間9は、第1ノズル部6と第2ノズル部7との間に配置され、第1ノズル部6と第2ノズル部7とが上下動することで容積が変化する。本実施形態では、第1ノズル部6およびピストン8に対して、第2ノズル部7が上下方向に移動することにより、作動空間9の内容積が変化する。作動空間9は、中心軸Oを中心とする環状の空間である。作動空間9は、上下方向において、連結筒部20とピストン8との間に位置する。作動空間9は、ノズル本体筒13の内周面と、軸部17およびノズル筒部16の各外周面との間の隙間を通して、吸引開口部12に連通する。
【0054】
付勢部10は、第1ノズル部6に対して第2ノズル部7を上方付勢する。本実施形態では、付勢部10が、例えば圧縮コイルばね等である。付勢部10は、中心軸Oを中心とする環状である。付勢部10は、上下方向において、シリンダフランジ19と支持筒15との間に配置される。付勢部10の上端は、シリンダフランジ19の下面と接触し、付勢部10の下端は、支持筒15の上端面と接触する。
【0055】
パッキン11は、容器本体2の口部2aと第1ノズル部6との間に配置されて、容器本体2の内部と外部との間をシールする。本実施形態では、パッキン11が、第1ノズル部6に装着される。パッキン11は、中心軸Oを中心とする環状である。本実施形態では、パッキン11が、上下方向において、口部2aに装着されたしごき中栓5とノズルフランジ14との間に挟まれる。パッキン11の内周部は、ノズル本体筒13の外周面と接触し、または径方向に隙間をあけて対向する。図示の例では、パッキン11の外径が、ノズルフランジ14の外径よりも僅かに小さい。
パッキン11は、第1パッキン部11aと、第2パッキン部11bと、を有する。
【0056】
第1パッキン部11aは、中心軸Oを中心とする円形リング板状である。第1パッキン部11aは、一対の板面が上下方向を向く。第1パッキン部11aは、例えばゴム製等である。第1パッキン部11aの上面は、ノズルフランジ14の下面と接触する。
【0057】
第2パッキン部11bは、中心軸Oを中心とする円形リング板状である。第2パッキン部11bは、一対の板面が上下方向を向く。第2パッキン部11bは、例えば樹脂製等である。第2パッキン部11bの上面は、第1パッキン部11aの下面と接触する。つまり第1パッキン部11aと第2パッキン部11bとは、上下方向に積層して配置される。
【0058】
キャップ体4は、ノズル部材3と連結される。具体的に、キャップ体4は、ノズル部材3に対して、上下方向へは所定範囲において移動可能に連結される。またキャップ体4は、ノズル部材3に対して、径方向へは移動不能に、かつ周方向へは移動可能に連結される。
キャップ体4は、キャップ内筒22と、キャップ外筒23と、を有する。
【0059】
キャップ内筒22は、上下方向に延びる筒状である。図示の例では、キャップ内筒22の上端が、支持筒15の上端よりも上方に位置する。キャップ内筒22の下端部は、径方向から見て、容器本体2の口部2aと重なって配置される。キャップ内筒22は、内周面の下端部に雌ねじ部を有する。キャップ内筒22の雌ねじ部は、口部2aの雄ねじ部に螺着される。
キャップ内筒22は、係止突起22aと、縦溝22bと、を有する。
【0060】
係止突起22aは、キャップ内筒22の内周面から径方向内側に突出し周方向に延びる。係止突起22aは、キャップ内筒22の内周面において周方向の全周にわたって延びる環状のリブでもよく、周方向に互いに間隔をあけて配置される複数のリブでもよい。係止突起22aは、ノズルフランジ14の外周部に対して、上方から接触する。
【0061】
縦溝22bは、キャップ内筒22の外周面から径方向内側に窪み上下方向に延びる。縦溝22bは、キャップ内筒22の上端面に開口する。縦溝22bは、キャップ内筒22の外周面に、周方向に互いに間隔をあけて複数配置される。なお縦溝22bは、キャップ内筒22の外周面に1つのみ配置されてもよい。
【0062】
キャップ外筒23は、有頂筒状である。キャップ外筒23は、キャップ内筒22を径方向外側から囲う。キャップ外筒23の内周面は、キャップ内筒22の外周面と接触する。キャップ外筒23とキャップ内筒22とは、互いに固定される。キャップ外筒23の上端部は、キャップ内筒22の上端部よりも上方に位置する。キャップ外筒23の下端部は、キャップ内筒22の下端部よりも下方に位置する。
キャップ外筒23は、キャップ周壁23aと、キャップ頂壁23bと、縦リブ23cと、を有する。
【0063】
キャップ周壁23aは、上下方向に延びる筒状である。キャップ周壁23aの上端部は、第1ノズル部6の上端部よりも上方に位置する。キャップ周壁23aの下端部は、容器本体2の肩部2cに対して、上方から隙間をあけて対向する。キャップ周壁23aの外径は、容器本体2の外径と比べて僅かに小さく、または略同じである。
【0064】
キャップ頂壁23bは、キャップ周壁23aの上端部から径方向内側に突出し周方向に延びる環状である。キャップ頂壁23bは、一対の板面が上下方向を向く略円形リング板状である。キャップ頂壁23bは、キャップ周壁23aの上端部と接続する外周部から径方向内側に向かうに従い、上方に向けて僅かに傾斜している。キャップ頂壁23bの内周部は、押下部21の鍔部21cに対して、上方から接触する。キャップ頂壁23bの内周部は、押下部21の筒部21bに対して、径方向外側から隙間をあけて対向しまたは摺接する。
【0065】
縦リブ23cは、キャップ周壁23aの内周面から径方向内側に突出し上下方向に延びる。縦リブ23cは、キャップ周壁23aの内周面に、周方向に互いに間隔をあけて複数配置される。なお縦リブ23cは、キャップ周壁23aの内周面に1つのみ配置されてもよい。縦リブ23cは、キャップ内筒22の縦溝22b内に配置される。縦溝22b内に縦リブ23cが挿入されることにより、キャップ外筒23とキャップ内筒22とが、周方向に相対移動することが規制される。
【0066】
しごき中栓5は、容器本体2の口部2aに装着される。しごき中栓5は、口部2a内に嵌合する筒状の部分と、口部2aの上端面に対して上方から接触する板状の部分と、を有する。しごき中栓5は、ノズル本体筒13の外周面に付着した内容液LおよびカプセルCを、容器本体2内にしごき落とす機能を有する。
【0067】
本実施形態のスポイト容器1の使用方法について説明する。
図2に示すように、容器本体2に対してキャップ体4を周方向に回転させて、キャップ体4と口部2aとの螺着状態を解除する。このとき、キャップ体4は、第1ノズル部6に対して上方移動させられていく。第2ノズル部7は、付勢部10の上方付勢力により、キャップ体4とともに、第1ノズル部6に対して上方移動させられる。第2ノズル部7が第1ノズル部6に対して上方移動することにより、吸引開口部12が、閉状態(遮断状態)から開状態(連通状態)となる。
【0068】
第1ノズル部6に対して第2ノズル部7が上方移動したときに、作動空間9の容積が増大して負圧が生じ、開状態とされた吸引開口部12を通してノズル部材3の内部にカプセルCおよび内容液Lが吸引される。すなわち、キャップ体4を口部2aから取り外すことで、第1ノズル部6に対して第2ノズル部7を上昇させると、作動空間9の負圧の作用により、開状態の吸引開口部12を通して、容器本体2内のカプセルCおよび内容液Lが、ノズル本体筒13内に吸い込まれる。具体的に、吸引開口部12を通してカプセルCおよび内容液Lは、ノズル本体筒13と、ノズル筒部16および軸部17と、の間に流入する。
【0069】
第1ノズル部6に対して、キャップ体4および第2ノズル部7が上方移動していき、上下方向において所定の位置に達すると、特に図示しないが、キャップ体4の係止部が第1ノズル部6の被係止部に対して下方から接触し、それ以上の第1ノズル部6に対するキャップ体4および第2ノズル部7の上方移動が規制される。この状態で、容器本体2に対してキャップ体4を上方移動させて、図3に示すように、容器本体2からキャップ体4およびノズル部材3を取り外す。
【0070】
次に、図4に示すように、キャップ体4に対して押下部21を下方移動させる。具体的には、付勢部10の上方付勢力よりも大きな力で押下部21を押下し、キャップ体4および第1ノズル部6に対して、第2ノズル部7を下方移動させる。
【0071】
第1ノズル部6に対して第2ノズル部7が下方移動したときに、吸引開口部12が閉状態とされ、カプセルCおよび内容液Lが連通孔16cを通してノズル筒部16内に流入し、メッシュ部16fでカプセルCが破砕されて吐出開口部16eから内容物および内容液Lがノズル部材3の外部に吐出される。すなわち、押下部21を押下することで、第1ノズル部6に対して第2ノズル部7を下降させると、吸引開口部12は開状態から閉状態とされ、ノズル本体筒13の内部に吸引されたカプセルCおよび内容液Lは、容積が減少した作動空間9の正圧の作用により、連通孔16cを通してノズル筒部16内に送られ、メッシュ部16fを通るときにカプセルCが破砕されることで、カプセルCに封入されていた内容物および内容液Lが、吐出開口部16eからノズル部材3の外部に吐出される。
【0072】
以上説明した本実施形態のスポイト容器1によれば、スポイト容器1を吐出操作したときに、カプセルCが破砕されて内容物が内容液Lと一緒にノズル部材3の外部に吐出される。すなわち、吐出操作前においては、内容物がカプセルCに封入された状態であり、内容液Lや外気に晒されることが抑えられているため、内容物の機能(効能)が良好に維持される。具体的に、ノズル部材3の内部にカプセルCおよび内容液Lが吸引される際には、カプセルCが破砕されないため、容器本体2内の内容液Lに、カプセルCの破片やカプセルCの内容物が入り込むことを抑制できる。そして、スポイト容器1を吐出操作したときにカプセルCが破砕されるため、内容物の機能が安定して発揮される。本実施形態によれば、吐出操作によってカプセルCを破砕することができ、従来のように使用者が掌の上等でカプセルCを潰す手間が生じず、使い勝手がよい。
【0073】
また本実施形態では、ピストン8によって作動空間9のシール性が良好に維持されるため、作動空間9の容積の増減によって作動空間9の内圧が安定して変化し、上述の作用効果が安定して得られる。
また、付勢部10が第2ノズル部7を上方付勢しているので、本実施形態のように容器本体2の口部2aからキャップ体4を取り外したときに、第1ノズル部6に対して第2ノズル部7が自然に上方移動するように構成することができる。つまり、キャップ体4を口部2aから取り外すという1つの操作によって、ノズル部材3の内部に自然にカプセルCおよび内容液Lを吸い込ませることができる。そして、押下部21を押下することで、第1ノズル部6に対して第2ノズル部7を容易に下方移動させることができる。したがって、スポイト容器1の操作性が向上する。また、第1ノズル部6に対して第2ノズル部7が上下動するストロークが一定であるので、吐出操作によってノズル部材3から吐出される内容液Lの液量が一定となり、スポイト容器1の定量性が高められる。
【0074】
また本実施形態では、吸引開口部12が閉状態のとき、第1ノズル部6の下端部内にノズル筒部16が嵌合し、吸引開口部12が開状態のとき、第1ノズル部6の下端部とノズル筒部16とが互いに離間する。
この場合、簡素な構造により、吸引開口部12を安定して開閉できる。
【0075】
なお、本発明は前述の実施形態に限定されず、例えば下記に説明するように、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において構成の変更等が可能である。
【0076】
前述の実施形態では、パッキン11が、第1パッキン部11aおよび第2パッキン部11bを有する一例を挙げたが、これに限らない。すなわち、パッキン11は、複数設けられる構成に限らず、例えばシール性が確保できる場合には1枚のみでもよい。
【0077】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上述した実施形態および変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0078】
1…スポイト容器、2…容器本体、2a…口部、3…ノズル部材、4…キャップ体、6…第1ノズル部、7…第2ノズル部、8…ピストン、9…作動空間、10…付勢部、12…吸引開口部、16…ノズル筒部、16c…連通孔、16e…吐出開口部、16f…メッシュ部、21…押下部、C…カプセル、L…内容液
図1
図2
図3
図4