(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-04
(45)【発行日】2022-08-15
(54)【発明の名称】作業車
(51)【国際特許分類】
B62D 61/12 20060101AFI20220805BHJP
【FI】
B62D61/12
(21)【出願番号】P 2018232470
(22)【出願日】2018-12-12
【審査請求日】2020-12-25
(31)【優先権主張番号】P 2017248206
(32)【優先日】2017-12-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】平岡 実
(72)【発明者】
【氏名】石川 淳一
【審査官】川村 健一
(56)【参考文献】
【文献】実開昭58-157783(JP,U)
【文献】特表昭61-500604(JP,A)
【文献】特開2006-264510(JP,A)
【文献】特開2009-096335(JP,A)
【文献】特開2007-290054(JP,A)
【文献】特開2005-131756(JP,A)
【文献】特開平07-081639(JP,A)
【文献】特開平10-059202(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 61/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両本体と、
前記車両本体の前後両側部において左右に設けられる走行用の駆動輪と、
複数の前記駆動輪を各別に前記車両本体に対して高さ位置変更自在に支持する複数の車体支持部と、
前記車体支持部を変更操作可能な駆動操作手段と、
複数の前記車体支持部の夫々を縦軸芯周りで向き変更可能に前記車両本体に支持する複数の旋回機構と、
左右両側において、前側の前記駆動輪と後側の前記駆動輪との間に位置する補助輪と、が備えられ、
複数の前記駆動輪が、前記車体支持部に対して左右方向の車体内方側に位置する状態で支持され、
前側の前記駆動輪と前記補助輪の組み合わせ、及び、後側の前記駆動輪と前記補助輪との組み合わせのうちの、いずれかの組み合わせにより前記車両本体を姿勢保持している状態で、他方側に位置する左右の前記駆動輪が地上から浮上するとともに互いに近づくように旋回して物体を挟持可能である作業車。
【請求項2】
前記車体支持部が、一端部が前記車両本体に対して横軸芯周りで揺動自在に支持された第一リンクと、一端部が前記第一リンクの他端部に横軸芯周りで揺動自在に支持された第二リンクとを有する屈折リンク機構にて構成され、
前記第二リンクの他端部に前記駆動輪が支持され、前記第一リンクと前記第二リンクとの連結箇所に前記補助輪が支持されている請求項1に記載の作業車。
【請求項3】
前記旋回機構は、車両左右方向に対向配置された前記車体支持部の夫々を前記縦軸芯周りで互いに異なる方向に向き変更可能であり、
前記駆動輪は、前記車体支持部に縦軸芯周りで向き変更可能に支持されている請求項1又は2に記載の作業車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、凹凸の多い路面を走行するのに適した作業車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来では、車両本体に、作業装置としての多関節マニピュレータ(ロボットアーム)と、複数の走行装置とが備えられ、複数の走行装置が夫々、2つの関節を備えるとともに、横軸芯周りで揺動自在に複数のリンクが枢支連結された屈折リンク機構を介して車両本体に支持され、走行装置が屈折リンク機構に対して左右方向の車体外方側に位置する状態で支持されたものがあった(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来構成では、走行路面に凹凸があっても、リンク機構により走行装置の車両本体に対する高さを変更させながら乗り越えていくことが可能であり、車両が横倒れした場合にはマニピュレータにより自力復帰させることができる等、走行機能とは異なる機能も備えている。そこで、このような構成を凹凸がある圃場等において走行しながら作業する農用の作業車に適用することが考えられる。しかし、上記構成を農作業車に適用することを想定した場合、次のような不利があり、採用し難いものとなっていた。
【0005】
すなわち、上記構成と同様な構成を適用することを想定した農作業車では、作物が列状に植えられた畝、又は、幅狭の畦等を跨いで走行しながら車体に搭載される作業装置により作業する場合がある。このような場合、上記従来構成を採用すると、屈折リンク機構が左右方向の車体内方側に位置し、駆動輪が屈折リンク機構の左右方向の車体外方側に位置するので、屈折リンク機構が畝の側部に接触して、畝を崩すおそれがあり、又、屈折リンク機構が損傷するおそれもある。
【0006】
また、農作業車において、収穫物等の物体を持ち上げて搬送する等の別の操作を行う場合には、走行装置とは別に、マニピュレータやインプルメント等の物体搬送用の作業装置を備える必要があり、構造が複雑になる不利がある。
【0007】
そこで、走行路面に凹凸があっても車両本体に姿勢を作業に適した姿勢に維持することができるとともに、農作業に適した状態で作業走行することが可能な作業車が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る作業車の特徴構成は、
車両本体と、
前記車両本体の前後両側部において左右に設けられる走行用の駆動輪と、
複数の前記駆動輪を各別に前記車両本体に対して高さ位置変更自在に支持する複数の車体支持部と、
前記車体支持部を変更操作可能な駆動操作手段と、
複数の前記車体支持部の夫々を縦軸芯周りで向き変更可能に前記車両本体に支持する複数の旋回機構と、
左右両側において、前側の前記駆動輪と後側の前記駆動輪との間に位置する補助輪と、が備えられ、
複数の前記駆動輪が、前記車体支持部に対して左右方向の車体内方側に位置する状態で支持され、
前側の前記駆動輪と前記補助輪の組み合わせ、及び、後側の前記駆動輪と前記補助輪との組み合わせのうちの、いずれかの組み合わせにより前記車両本体を姿勢保持している状態で、他方側に位置する左右の前記駆動輪が地上から浮上するとともに互いに近づくように旋回して物体を挟持可能である点にある。
【0009】
本発明によれば、駆動操作手段によって車両本体の左右両側における前後夫々に備えられる走行用の駆動輪の相対高さを変更することができる。その結果、凹凸のある地面を走行するときであっても、複数の駆動輪により安定的に接地支持しながら、車両本体を適正な姿勢に維持した状態で走行することが可能となる。そして、複数の駆動輪が、車体支持部に対して左右方向の車体内方側に位置する状態で支持されるので、例えば、左右の駆動輪を畝や畦の左右両側に位置して走行しているような場合に、油圧モータが畝や畦の側面に接触して損傷する等のおそれを回避して、良好に走行することができる。
【0010】
又、左右の駆動輪が互いに近づくように車体支持部が旋回するように構成した場合、左右両側の駆動輪を利用して、簡単な構成によって物体を挟持することが可能であるが、この場合、駆動輪が物体に有効に作用することになり、物体を挟持し易いものとなる利点がある。
【0011】
従って、走行路面に凹凸があっても車両本体に姿勢を作業に適した姿勢に維持することができるとともに、農作業に適した状態で作業走行することが可能となった。
【0012】
【0013】
本構成によれば、旋回機構を用いて、左右両側の車体支持部が互いに近づくように縦軸芯周りで向き変更させると、左右の駆動輪によって物体を挟持することが可能となる。すなわち、この左右の駆動輪が物体を挟持して荷物を運ぶ装置として機能させることが可能となる。その結果、マニピュレータやインプルメント等の物体搬送用の作業装置を用いることなく、簡単な構成によって物体を挟持することが可能である。
【0014】
【0015】
本構成によれば、左右両側の前側の駆動輪と補助輪の組み合わせによって、車両本体の前部側を姿勢保持している状態で、左右の後側の駆動輪を地上から浮上するとともに互いに近づくように旋回させて物体を挟持することができる。また、左右両側の後側の駆動輪と補助輪の組み合わせによって、車両本体の後部側を姿勢保持している状態で、左右の前側の駆動輪を地上から浮上するとともに互いに近づくように旋回させて物体を挟持することができる。
【0016】
前側の駆動輪と補助輪の組み合わせ、及び、後側の駆動輪と補助輪との組み合わせのうちの一方が車両本体を支持する足として機能し、他方が物体を挟持して荷物を運ぶ手として機能する。このように4つの走行作動部だけで物体を搬送することができ、簡素な構成で対応できる。
【0017】
本発明においては、前記車体支持部が、一端部が前記車両本体に対して横軸芯周りで揺動自在に支持された第一リンクと、一端部が前記第一リンクの他端部に横軸芯周りで揺動自在に支持された第二リンクとを有する屈折リンク機構にて構成され、
前記第二リンクの他端部に前記駆動輪が支持され、前記第一リンクと前記第二リンクとの連結箇所に前記補助輪が支持されていると好適である。
【0018】
本構成によれば、複数の車体支持部が夫々、駆動輪と補助輪とによって前後方向に広い接地幅にて車両本体を接地支持することができる。そして、車両本体に対する第一リンクの揺動姿勢を変更し、第一リンクに対する第二リンクの揺動姿勢を変更することで、車両本体に対して駆動輪及び補助輪を昇降させることができる。その結果、車両本体を支持する際に、左右一対の駆動輪と補助輪とが接地することによって広い接地幅にて安定した姿勢で支持することができる。さらに、第一リンクと第二リンクとの枢支連結用の支軸と補助輪の支軸とを兼用することができ、補助輪を支持する専用の支軸を別途設ける構成に比べて、支持構造の簡素化を図ることができる。
【0019】
本発明においては、前記旋回機構は、車両左右方向に対向配置された前記車体支持部の夫々を前記縦軸芯周りで互いに異なる方向に向き変更可能であり、前記駆動輪は、前記車体支持部に縦軸芯周りで向き変更可能に支持されていると好適である。
【0020】
本構成によれば、旋回機構の作動によって、車両左右方向に対向配置された車体支持部が、車両本体に対して縦軸芯周りで互いに異なる方向(右方向又は左方向)に向き変更されると、車両本体に対する駆動輪の位置が左右方向に位置が異なるので、左右の駆動輪の左右間隔を変更させることが可能となる。そして、駆動輪を車体支持部に対して縦軸芯周りで相対的に向き変更させることができるので、左右の駆動輪の左右間隔を広げた状態、又は、狭めた状態のいずれにおいても、駆動輪の向きを変更することで所望の向きに設定できる。
【0021】
その結果、車体支持部の構成を有効に利用して車輪の左右幅を変更することが可能であり、異なる作業幅に対応できて使い勝手のよいものになって、農作業に適した状態で作業走行することが可能となる。
【0022】
本発明に係る作業車の特徴構成は、車両本体と、前記車両本体の前後両側部において左右に設けられる走行用の駆動輪と、複数の前記駆動輪を各別に前記車両本体に対して高さ位置変更自在に支持する複数の車体支持部と、前記車体支持部を変更操作可能な駆動操作手段と、複数の前記車体支持部の夫々を縦軸芯周りで向き変更可能に前記車両本体に支持する複数の旋回機構と、が備えられ、前記旋回機構は、車両左右方向に対向配置された前記車体支持部の夫々を前記縦軸芯周りで互いに異なる方向に向き変更可能であり、前記駆動輪は、前記車体支持部に縦軸芯周りで向き変更調節並びに位置固定可能に支持され、車両左右方向に対向配置された前記車体支持部の夫々を前記旋回機構により互いに異なる方向に向き変更させることで当該両車体支持部が支持する両駆動輪の間隔を可変に設定可能であり、且つ、当該両駆動輪の間隔を変更させた状態で、当該両駆動輪を縦軸芯周りで向き変更調節並びに位置固定することにより、当該両駆動輪の回転方向が平面視で前後方向に沿う姿勢となる直進走行状態に設定可能である点にある。
【0023】
本構成によれば、駆動操作手段によって車両本体の左右両側における前後夫々に備えられる走行用の駆動輪の相対高さを変更することができる。その結果、凹凸のある地面を走行するときであっても、複数の駆動輪により安定的に接地支持しながら、車両本体を適正な姿勢に維持した状態で走行することが可能となる。
【0024】
そして、旋回機構の作動によって、左右に対向配置された車体支持部が、車両本体に対して縦軸芯周りで互いに異なる方向(右方向又は左方向)に向き変更させると、車両本体に対する駆動輪の位置が左右方向に位置が異なるので、左右の駆動輪の左右間隔を変更させることが可能となる。そして、駆動輪を車体支持部に対して縦軸芯周りで相対的に向き変更させることができるので、左右の駆動輪の左右間隔を広げた状態、又は、狭めた状態のいずれにおいても、駆動輪の向きを変更することで所望の向きに設定できる。その結果、車体支持部の構成を有効に利用して車輪の左右幅を変更することが可能であり、異なる作業幅に対応できて使い勝手のよいものになって、農作業に適した状態で作業走行することが可能となる。
【0025】
【0026】
本構成によれば、旋回機構の作動によって、左右の車体支持部夫々を車両本体に対して縦軸芯周りで左右方向外方側に向き変更させると、左右の駆動輪の間隔が広がる状態となる。又は、左右の車体支持部夫々を車両本体に対して縦軸芯周りで左右方向内方側に向き変更させると、左右の駆動輪の間隔が狭まる状態となる。そのいずれの状態であっても、左右両側の駆動輪を車体支持部に対して向き変更させることができるので、左右の駆動輪の回転方向を互いに平行に設定した状態、言い換えると、前後方向に向いた直進走行姿勢に設定することができる。その結果、左右の駆動輪の間隔(トレッド幅)を種々変更させた状態で直進走行を行うことができる。
【0027】
従って、車体支持部の構成を有効に利用して車輪の左右幅を変更することができ、異なる作業幅での直進状態で作業走行が可能となり、使い勝手が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図5】取外した状態での屈折リンク機構の取付け状態を示す正面図である。
【
図6】取付けた状態での屈折リンク機構の取付け状態を示す正面図である。
【
図7】旋回機構による左旋回状態を示す平面図である。
【
図8】旋回機構による右旋回状態を示す平面図である。
【
図21】車輪間隔を変更した状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明に係る作業車の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0030】
〔第1実施形態〕
図1,2に示すように、作業車には、車両全体を支持する略矩形枠状の車両本体1と、複数(具体的には4個)の走行装置2と、複数の走行装置2の夫々に対応して設けられた複数の補助輪3と、複数の走行装置2を各別に位置変更自在に車両本体1に支持する車体支持部としての屈折リンク機構10と、屈折リンク機構10を変更操作可能な駆動操作手段としての油圧駆動式の駆動機構5と、駆動機構5に作動油を供給する作動油供給装置6とが備えられている。複数の走行装置2は、駆動輪7と、駆動輪7の軸支部に内装された油圧モータ9とを備えている。
【0031】
この実施形態で、車体の前後方向を定義するときは、車体進行方向に沿って定義し、車体の左右方向を定義するときは、機体進行方向視で見た状態で左右を定義する。すなわち、
図1に符号(A)で示す方向が車体前後方向であり、
図2に符号(B)で示す方向が車体左右方向である。
【0032】
駆動機構5は、複数の屈折リンク機構10の姿勢を各別に変更可能である。複数の屈折リンク機構10夫々の中間屈折部11(
図4参照)に自由回転自在に補助輪3が支持されている。従って、屈折リンク機構10、駆動輪7及び補助輪3の夫々が、車両本体1の前後両側に夫々左右一対ずつ備えられている。
【0033】
車両本体1は、車両本体1の全周を囲うとともに、全体を支持する矩形枠状の支持フレーム13を備えている。作動油供給装置6は車両本体1の内部に収納して支持されている。詳述はしないが、作動油供給装置6には、車両に搭載されるエンジンにて駆動されるとともに、駆動機構5に向けて作動油を送り出す油圧ポンプ、油圧ポンプから駆動機構5に供給される作動油を制御する複数の油圧制御弁、作動油タンク等が備えられ、駆動機構5に対する作動油の給排あるいは流量の調節等を行う。
【0034】
車両本体1の内部には、作動油供給装置6の動作を制御する制御装置15が備えられている。制御装置15の制御動作については詳述はしないが、図示しない手動入力装置にて入力される制御情報、あるいは、予め設定して記憶されている制御情報に基づいて、駆動機構5及び油圧モータ9に対する作動油の供給状態を制御する。
【0035】
次に、駆動輪7を車両本体1に支持するための支持構造について説明する。
複数(具体的には4個)の駆動輪7は、屈折リンク機構10を介して車両本体1に対して各別に昇降自在に支持されている。4組の屈折リンク機構10は各別に旋回機構16により縦軸芯周りで向き変更可能に車両本体1に支持されている。すなわち、左右の旋回機構16は、車両左右方向に対向配置された屈折リンク機構10の夫々を縦軸芯周りで互いに異なる方向に向き変更可能である。
【0036】
屈折リンク機構10は、旋回機構16を介して縦軸芯Y周りで揺動自在に支持フレーム13に支持されている。旋回機構16には、支持フレーム13に連結されるとともに、屈折リンク機構10を揺動自在に支持する車体側支持部17(
図3、
図4参照)と、屈折リンク機構10を旋回操作させる旋回用油圧シリンダ(以下、旋回シリンダと称する)18とが備えられている。
【0037】
説明を加えると、
図3~
図6に示すように、車体側支持部17は、支持フレーム13における横側箇所に備えられた上下一対の角筒状の前後向きフレーム体19に対して、横側外方から挟み込む状態で嵌め合い係合するとともに、取外し可能にボルト連結される連結部材20と、連結部材20の車体前後方向外方側箇所に位置する外方側枢支ブラケット21と、連結部材20の車体前後方向の内方側箇所に位置する内方側枢支ブラケット22と、外方側枢支ブラケット21に支持される縦向きの回動支軸23とを備え、回動支軸23の軸芯Y周りで回動自在に屈折リンク機構10を支持している。
【0038】
屈折リンク機構10には、上下方向の位置が固定された状態で且つ縦軸芯Y周りで回動自在に車体側支持部17に支持される基端部24と、一端部が基端部24の下部に横軸芯X1周りで揺動自在に支持された第一リンク25と、一端部が第一リンク25の他端部に横軸芯X2周りで揺動自在に支持され且つ他端部に駆動輪7が支持された第二リンク26とが備えられている。
【0039】
説明を加えると、基端部24は、平面視で矩形枠状に設けられ、車体横幅方向内方側に偏倚した箇所において、回動支軸23を介して縦軸芯Y周りで回動自在に、車体側支持部17の外方側枢支ブラケット21に支持されている。旋回シリンダ18は、一端部が、内方側枢支ブラケット22に回動自在に連結され、他端部が、基端部24における回動支軸23に対して横方向に位置ずれした箇所に回動自在に連結されている。
【0040】
基端部24の左右両側部に亘って第一リンク25の一端側に備えられた支持軸27が回動自在に架設支持され、第一リンク25は基端部24の下部に対して支持軸27の軸芯周りで回動自在に連結されている。
【0041】
図4に示すように、第一リンク25は、基端側アーム部25bと他端側アーム部25aとを有している。第一リンク25の一端側箇所には、斜め上外方に向けて延びる基端側アーム部25bが一体的に形成されている。第一リンク25の他端側箇所には、斜め上外方に向けて延びる他端側アーム部25aが一体的に形成されている。
【0042】
図3に示すように、第二リンク26は、左右一対の帯板状の板体26a,26bを備えて平面視で二股状に形成されている。第二リンク26の第一リンク25に対する連結箇所は一対の板体26a,26bが間隔をあけている。一対の板体26a,26bで挟まれた領域に、第一リンク25と連結するための連結支軸28が回動自在に支持されている。第二リンク26の第一リンク25に対する連結箇所とは反対側の揺動側端部には駆動輪7が支持されている。
図4に示すように、第二リンク26の揺動側端部は車両本体1から離れる方向に略L字状に延びるL字状延設部26Aが形成され、L字状延設部26Aの延設側端部に駆動輪7が支持されている。
【0043】
図1,3,5に示すように、駆動輪7は、屈折リンク機構10に対して左右方向の車体内方側に位置する状態で支持されている。具体的には、第二リンク26の揺動側端部において、左右方向の車体内方側に位置する状態で支持されている。油圧モータ9は、第二リンク26の揺動側端部において、左右方向の車体外方側(駆動輪7とは反対側)に位置する状態で支持されている。
【0044】
複数の屈折リンク機構10の夫々に対応して駆動機構5が備えられている。
図1,4に示すように、駆動機構5には、車両本体1に対する第一リンク25の揺動姿勢を変更可能な第一油圧シリンダ29と、第一リンク25に対する第二リンク26の揺動姿勢を変更可能な第二油圧シリンダ30とが備えられている。第一油圧シリンダ29及び第二油圧シリンダ30は、夫々、第一リンク25の近傍に集約して配置されている。
【0045】
第一リンク25、第一油圧シリンダ29及び第二油圧シリンダ30が、平面視において、第二リンク26の一対の板体26a,26bの間に位置する状態で配備されている。
図3,4に示すように、第一油圧シリンダ29は、第一リンク25に対して車体前後方向内方側に位置して、第一リンク25の長手方向に沿うように設けられている。第一油圧シリンダ29の一端部が円弧状の第一連動部材31を介して基端部24の下部に連動連結されている。第一油圧シリンダ29の一端部は、別の第二連動部材32を介して第一リンク25の基端側箇所に連動連結されている。第一連動部材31及び第二連動部材32は、両側端部が夫々、相対回動可能に枢支連結されている。第一油圧シリンダ29の他端部は、第一リンク25に一体的に形成された他端側アーム部25aに連動連結されている。
【0046】
第二油圧シリンダ30は、第一油圧シリンダ29とは反対側、すなわち、第一リンク25に対して車体前後方向外方側に位置して、第一リンク25の長手方向に略沿うように設けられている。第二油圧シリンダ30の一端部が第一リンク25の基端側に一体的に形成された基端側アーム部25bに連動連結されている。第二油圧シリンダ30の他端部は、第3連動部材34を介して第二リンク26の基端側箇所に一体的に形成されたアーム部35に連動連結されている。第二油圧シリンダ30の他端部は、別の第4連動部材36を介して第一リンク25の揺動端側箇所にも連動連結されている。第3連動部材34及び第4連動部材36は、両側端部が夫々、相対回動可能に枢支連結されている。
【0047】
第二油圧シリンダ30の作動を停止した状態で第一油圧シリンダ29を伸縮操作すると、第一リンク25、第二リンク26及び駆動輪7の夫々が、相対姿勢を一定に維持したまま一体的に、基端部24に対する枢支連結箇所の横軸芯X1周りで揺動する。第一油圧シリンダ29の作動を停止した状態で第二油圧シリンダ30を伸縮操作すると、第一リンク25の姿勢が一定に維持されたまま、第二リンク26及び駆動輪7が、一体的に、第一リンク25と第二リンク26との連結箇所の横軸芯X2周りで揺動する。
【0048】
複数の屈折リンク機構10夫々の中間屈折部11に自由回転自在に補助輪3が支持されている。
図1,2に示すように、補助輪3は駆動輪7と略同じ外径の車輪にて構成されている。
図3に示すように、第一リンク25と第二リンク26とを枢支連結する連結支軸28が、第二リンク26よりも車体横幅方向外方側に突出するように延長形成されている。
連結支軸28の延長突出箇所に補助輪3が回動自在に支持されている。つまり、第一リンク25と第二リンク26とを枢支連結する連結支軸28が、補助輪3の回動支軸を兼用する構成となっており、部材の兼用により構成の簡素化を図っている。
【0049】
図7,8に示すように、屈折リンク機構10、駆動輪7、補助輪3、及び、駆動機構5の夫々が、一体的に、回動支軸23の軸芯Y周りで回動自在に外方側枢支ブラケット21に支持されている。そして、旋回シリンダ18を伸縮させることにより、それらが一体的に回動操作される。駆動輪7が前後方向に向く直進状態から左旋回方向及び右旋回方向に夫々、約45度ずつ旋回操作させることができる。
【0050】
前後向きフレーム体19に対する連結部材20のボルト連結を解除すると、旋回機構16、屈折リンク機構10、駆動輪7、補助輪3、及び、駆動機構5の夫々が、一体的に組付けられた状態で、車両本体1から取り外すことができる。又、前後向きフレーム体19に対して連結部材20をボルト連結することで、上記各装置が一体的に組付けられた状態で、車両本体1に取付けることができる。
【0051】
作動油供給装置6から複数の屈折リンク機構10夫々の第一油圧シリンダ29及び第二油圧シリンダ30に作動油が供給される。油圧制御弁により作動油の給排が行われて、第一油圧シリンダ29及び第二油圧シリンダ30を伸縮操作させることができる。油圧制御弁は制御装置15によって制御される。
【0052】
又、油圧モータ9に対応する油圧制御弁により作動油の流量調整が行われることで、油圧モータ9すなわち駆動輪7の回転速度を変更することができる。油圧制御弁は、手動操作にて入力される制御情報あるいは予め設定記憶されている制御情報等に基づいて制御装置15によって制御される。
【0053】
図1に示すように、この作業車は種々のセンサを備える。具体的には、それぞれの第一油圧シリンダ29に設けられた第一ヘッド側圧力センサS1及び第一キャップ側(反ヘッド側)圧力センサS2、それぞれの第二油圧シリンダ30に設けられた第二キャップ側圧力センサS3及び第二ヘッド側(反キャップ側)圧力センサS4を備える。第一ヘッド側圧力センサS1は、第一油圧シリンダ29のヘッド側室の油圧を検出する。第一キャップ側圧力センサS2は、第一油圧シリンダ29のキャップ側室の油圧を検出する。第二キャップ側圧力センサS3は、第二油圧シリンダ30のキャップ側室の油圧を検出する。第二ヘッド側圧力センサS4は、第二油圧シリンダ30のヘッド側室の油圧を検出する。又、図示はしていないが、上記各油圧シリンダ18,29,30は、伸縮ストローク量を検出可能なストロークセンサを内装しており、操作状態を制御装置15にフィードバックするように構成されている。
【0054】
なお、各圧力センサS1,S2,S3,S4の取り付け位置は上記した位置に限られるものではない。各圧力センサS1,S2,S3,S4は、対応するキャップ側室又はヘッド側室の油圧を検出(推定)可能であればよく、弁機構から対応するキャップ側室又はヘッド側室の間の配管に設けられてもよい。
【0055】
これらのセンサの検出結果に基づいて、車両本体1を支持するために必要な力が算出され、その結果に基づいて、それぞれの第一油圧シリンダ29及び第二油圧シリンダ30への作動油の供給が制御される。具体的には、第一ヘッド側圧力センサS1の検出値と第一キャップ側圧力センサS2の検出値とに基づき、第一油圧シリンダ29のキャップ側室とヘッド側室との差圧から、第一油圧シリンダ29のシリンダ推力が算出される。また、第二キャップ側圧力センサS3の検出値と第二ヘッド側圧力センサS4の検出値とに基づき、第一油圧シリンダ29と同様に、第二油圧シリンダ30のシリンダ推力が算出される。
【0056】
車両本体1には、例えば、三軸加速度センサ等からなる加速度センサS5が備えられている。加速度センサS5の検出結果に基づき、車両本体1の前後左右の傾きが検知され、その結果に基づいて車両本体1の姿勢が制御される。つまり、車両本体1の姿勢が目標の姿勢となるよう、それぞれの第一油圧シリンダ29及び第二油圧シリンダ30への作動油の供給が制御される。
【0057】
駆動輪7には、駆動輪7の回転速度を検出する回転センサS6を備える。回転センサS6にて算出された駆動輪7の回転速度に基づいて、駆動輪7の回転速度が目標の値となるように、油圧モータ9への作動油の供給が制御される。
【0058】
上述したように、本実施形態の作業車は、屈折リンク機構10を介して駆動輪7を支持する構成とし、油圧駆動式の駆動機構5としての油圧シリンダ29,30により、屈折リンク機構10の姿勢を変更操作する構成であり、しかも、走行駆動も油圧モータにて行う構成であるから、水分や細かな塵埃等による影響を受け難く、農作業に適したものになる。
【0059】
このような構成の作業車の使用例として、次のような走行形態がある。
〈平坦地での走行形態〉
平坦地を走行する場合、
図9,10,11に示すように、複数種の異なる走行形態のいずれかにて走行することができる。すなわち、
図9に示すように、4個の駆動輪7が全て接地し且つ4個の補助輪3が全て地面から浮上する4輪走行状態と、
図10に示すように、車体前後方向の一方側に位置する駆動輪7が浮上し且つその駆動輪7に対応する補助輪3が接地するとともに、車体前後方向の他方側に位置する駆動輪7が接地し且つその駆動輪7に対応する補助輪3が浮上する2輪走行状態である。
【0060】
2輪走行状態として、駆動輪7と補助輪3との関係が車体前後方向で反対となる状態、すなわち、
図11に示すように、車体前後方向一方側に位置する駆動輪7が接地し且つその駆動輪7に対応する補助輪3が地面から浮上するとともに、車体前後方向他方側に位置する駆動輪7が浮上し且つその駆動輪7に対応する補助輪3が接地する状態もある。
【0061】
上記したような走行形態の他、
図12に示すように、4組全ての駆動輪7を浮上させた自由移動状態に切り換えて使用することもできる。この場合には、駆動走行することはできないが、手動で楽に押し移動させることができる。
【0062】
この作業車では、上記したような平坦面での走行の他にも、独特の使用形態として、次のような形態で使用することが可能である。
【0063】
〈2脚直立形態〉
車両本体1を大きく傾斜させて、駆動輪7を高所に乗せることができる。
すなわち、
図13に示すように、車体前後方向一方側の2組の駆動輪7と補助輪3とを全て接地させている状態で、車体前後方向他方側の2組の駆動輪7と補助輪3とを支持する屈折リンク機構10を用いて、他方側が上昇するように車両本体1を大きく傾斜させる。そして、車両本体1の重心位置Wが一方側の2組の駆動輪7と補助輪3とによる接地幅L内に位置するまで傾斜すると、他方側の2組を支持する屈折リンク機構10を大きく伸長させて、駆動輪7を高い所にある地面に乗せることができる。
【0064】
この2脚直立形態においては、高い所へ乗り上げる形態以外にも、
図14,15に示すように、他の物体を持ち上げる動作も行うことが可能である。すなわち、上記したように、車体前後方向一方側の2組の駆動輪7と補助輪3とを接地させている状態で車両本体1を大きく傾斜させ、車両本体1の重心位置Wが一方側の2組の駆動輪7と補助輪3とによる接地幅L内に位置するまで傾斜させる。さらに、車体前後方向他方側の2組について、左右両側の駆動輪7が互いに近づくように旋回作動させる。車体前後方向他方側の2組の駆動輪7によって、搬送対象となる物体Mを把持して持ち上げる。物体Mを把持している状態で、車体前後方向一方側の2組の駆動輪7と補助輪3とにより車両本体1の姿勢を維持しながら走行して移動することができ、物体Mの搬送を行える。
【0065】
〈法面走行形態〉
図16に示すように、4組全ての屈折リンク機構10の姿勢を、駆動輪7及び補助輪3の夫々が車体前後方向外端部よりも車体前後方向外側に位置する伸展姿勢に変更操作する。駆動輪7と補助輪3とが全て接地している状態で、第一リンク25及び第二リンク26をできるだけ水平姿勢に近付けて車両本体1の高さを低い位置に下げる。このような状態で、法面を乗り上がりながら走行する。この走行形態では、車体前後方向に沿う接地幅が広くなり、大きく傾斜している法面であっても、転倒することなく安定した状態で走行することができる。
【0066】
〈段差乗り越え形態〉
3組の駆動輪7と補助輪3とが全て接地して、車両本体1を地面に安定的に接地支持している状態で、残り1組の駆動輪7と補助輪3を支持する屈折リンク機構10を大きく伸長させて、例えば、
図13に示すように、駆動輪7を段差の上部面に乗せる。そして、各組の屈折リンク機構10を伸縮させながら、1組ずつ駆動輪7を段差の上部面に乗り移りながら移動することで、段差を乗り越えることが可能となる。
図13では、段差が高い場合を示しているが、低い段差であれば、車両本体1が乗り上がることができる。
【0067】
〈跨ぎ走行形態〉
図17に示すように、4組の屈折リンク機構10を大きく伸長させて車両本体1を接地面から大きく上昇させる。例えば、畝を跨いだ状態で車両本体1を畝の上方に位置させた状態で作業を行うことができる。畝に植えられている作物が成長しても、作物の上方側から例えば、薬剤散布や収穫作業等を行うことができる。
【0068】
尚、詳細な説明は省略するが、上記したような各種の形態で走行する場合、手動操作にて入力される制御情報あるいは予め設定記憶されている制御情報等に基づいて、指令された内容に対応する形態となるように、制御装置15が各油圧シリンダ18,29,30及び各油圧モータ9の作動を制御する。
【0069】
〔第2実施形態〕
次に第2実施形態を説明する。
この実施形態では、車体支持部(屈折リンク機構10)による駆動輪7の支持構造が異なるが、その他の構成は第1実施形態と同じであり、異なる構成について説明し、第1実施形態と同じ構成については説明は省略する。
【0070】
この実施形態では、複数の駆動輪7が夫々、屈折リンク機構10における第二リンク26の他端部としての揺動側端部に縦軸芯Y2周りで向き変更可能に支持される構成となっている。又、この実施形態では、複数の駆動輪7が車体支持部(屈折リンク機構10)に対して左右方向の車体外方側に位置する状態で支持されている。ただし、これに限らず、複数の駆動輪7が車体支持部(屈折リンク機構10)に対して左右方向の車体外方側に位置する状態で支持されていてもよく、車体外方側と車体内方側とに任意に着脱可能であってもよい。
【0071】
説明を加えると、
図18,19に示すように、第二リンク26の揺動側端部に縦向き姿勢の軸受けボス40が備えられ、この軸受けボス40により縦軸芯Y2周りで回動可能に車輪用基台41が支持されている。車輪用基台41の左右方向の車体外方側に位置する状態で、駆動輪7が横軸芯周りで回転可能に支持されている。車輪用基台41の左右方向の車体内方側に位置する状態で油圧モータ9が支持されている。車輪用基台41には上方に延びる状態で一体的に支軸43が設けられ、支軸43が軸受けボス40を挿通して回転可能に支持され、且つ、上部からネジ44により締め付けることにより、軸受けボス40に固定支持されている。
【0072】
図20に示すように、車輪用基台41の上部側の支軸43の径方向外方側に、縦向き姿勢の一対の係止板45が設けられている。一方、軸受けボス40の下端面には、係止板45が入り込み係合可能な凹溝46が形成されている。凹溝46は、支軸43の周方向に位置を異ならせて複数形成されている。ネジ締結を緩めて係止板45を異なる凹溝46に選択的に係合させることで、第二リンク26に対する駆動輪7の縦軸芯Y2周りでの向きを変更することができる。
【0073】
この構成では、車両左右方向に対向配置された屈折リンク機構10の夫々を旋回機構16により互いに異なる方向に向き変更させることで当該両屈折リンク機構10の駆動輪7の間隔を可変に設定可能であり、且つ、当該両駆動輪7を縦軸芯Y2周りで向き変更させることにより当該両駆動輪7の回転方向を互い平行に設定可能である。
【0074】
説明を加えると、旋回シリンダ18を用いて屈折リンク機構10を縦軸芯Y1周りで回動させて、
図21に示すように、屈折リンク機構10を横側外方側に向けて回動させる。
次に、手動操作によって、車輪用基台41を縦軸芯Y2周りで回動させて、駆動輪7が前後方向に沿う姿勢(直進走行状態)になるように設定することができる。このとき、左右の屈折リンク機構10を縦軸芯Y1周りで、互いに左右方向外方側に回動させると、左右の駆動輪7の間隔が広くなり、互いに左右方向内方側に回動させると、左右の駆動輪7の間隔が狭くなる。従って、
図21に示すように、作業車が直進走行するときにおける駆動輪7の左右間隔(トレッド幅)を設定範囲内で複数種の幅に変更することができ、畝の横幅W1,W2が異なる複数の作業形態に対応することができる。
【0075】
この第2実施形態の別の構成として、次のような構成にしてもよい。
駆動輪7を縦向き軸芯Y2周りで手動にて向き変更する構成に代えて、油圧モータや電動モータ等のアクチュエータを用いて向き変更並びに固定する構成としてもよい。
駆動輪7が、車体支持部(屈折リンク機構10)に対して左右方向の車体内方側に位置する状態で支持される構成としてもよい。
旋回機構として、旋回シリンダに代えて、内方側枢支ブラケット22と基端部24とに亘って架設するロッドを設け、そのロッドを長さの異なる複数種のものに付け替えることによって、車体支持部(屈折リンク機構10)を旋回させる構成としてもよい。この場合、駆動輪7を縦向き軸芯Y2周りで向き変更させることで、ステアリング操作させるようにしてもよい。
車輪用基台41が、車体支持部(屈折リンク機構10)に対して横向き軸芯周りで回動調節可能に支持され、駆動輪の相対的な前後位置を変更可能に構成するものでもよい。
【0076】
〔別実施形態〕(1)上記各実施形態では、屈折リンク機構10の姿勢変更のために、駆動操作部として、第一油圧シリンダ29と第二油圧シリンダ30とを備える構成としたが、この構成に代えて、屈折リンク機構10の揺動支点部に油圧モータを備えて、その油圧モータによって屈折リンク機構10の姿勢を変更する構成でもよい。
【0077】
(2)上記各実施形態では、車体支持部として屈折リンク機構10が備えられる構成としたが、この構成に代えて、車体支持部として、例えば、任意の方向に折れ曲がり自在なロボットアーム等を用いて、駆動輪7を支持する構成でもよく、要するに、駆動輪7を各別に車両本体1に対して高さ位置変更自在に支持するとともに、車両本体を姿勢保持可能に支持する構成であればよく、具体構造は種々変更して実施することができる。
【0078】
(3)上記各実施形態では、第一油圧シリンダ29は、シリンダチューブ側が車両本体側の被連結部(基端部24)に枢支連結され、ピストンロッド側が第一リンク側の被連結部(アーム部35)に枢支連結される構成としたが、この構成に代えて、第一油圧シリンダ29は、シリンダチューブ側が第一リンク側の被連結部(アーム部35)に枢支連結され、ピストンロッド側が車両本体側の被連結部(基端部24)に枢支連結される構成としてもよい。
【0079】
(4)上記各実施形態では、駆動輪7が油圧モータ9により駆動される構成としたが、この構成に代えて、例えば、車両に搭載されたエンジンの動力がチェーン伝動機構等の機械式伝動機構を介して駆動輪7に供給される構成でもよい。
【0080】
(5)上記各実施形態では、旋回操作手段として、屈折リンク機構10の全体を旋回操作可能な旋回用油圧シリンダ18が備えられる構成としたが、旋回操作を電動モータや油圧モータにより行うものでもよい。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明は、凹凸の多い路面を走行するのに適した作業車に適用できる。
【符号の説明】
【0082】
1 車両本体
3 補助輪
5 駆動操作手段
7 駆動輪
10 車体支持部
16 旋回機構
18 旋回操作手段
25 第一リンク
26 第二リンク