(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-04
(45)【発行日】2022-08-15
(54)【発明の名称】組電池管理システム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/10 20060101AFI20220805BHJP
H02J 7/02 20160101ALI20220805BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20220805BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20220805BHJP
【FI】
H02J7/10 L
H02J7/02 H
H01M10/48 301
H01M10/44 Q
(21)【出願番号】P 2018553324
(86)(22)【出願日】2016-12-30
(86)【国際出願番号】 GB2016054090
(87)【国際公開番号】W WO2017115091
(87)【国際公開日】2017-07-06
【審査請求日】2019-12-20
(32)【優先日】2015-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2016-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】518232618
【氏名又は名称】ハイパードライブ イノベーション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100141173
【氏名又は名称】西村 啓一
(72)【発明者】
【氏名】アイリッシュ スティーヴン
(72)【発明者】
【氏名】ショー ロビン
【審査官】清水 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-288150(JP,A)
【文献】特開2011-205827(JP,A)
【文献】特開2012-023840(JP,A)
【文献】特開2011-130560(JP,A)
【文献】特開2010-114988(JP,A)
【文献】特許第3939546(JP,B2)
【文献】特開2009-296873(JP,A)
【文献】特開2015-082967(JP,A)
【文献】特開2014-027867(JP,A)
【文献】特表2015-532575(JP,A)
【文献】特表2012-532428(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00 - 7/12
H02J 7/34 - 7/36
H01M 10/44 - 10/667
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電式組電池の充電に使用する組電池管理システムであって、
前記組電池管理システムは、
制御部と、
温度センサと、
充電指示部と、
を備え、
前記温度センサは、前記充電式組電池の温度に基づいて、温度信号を提供するように構成され、
前記充電指示部は、前記充電式組電池の複数の単電池における充電レベルの指示を提供するように構成され、
前記制御部は、
前記温度が第1閾値温度を超えていることを示す前記温度信号に応答し、上昇する前記温度の関数として充電電流が漸減するように、前記温度信号に基づいて前記充電式組電池を充電する前記充電電流を制御するように構成され、
前記充電式組電池に供給される前記充電電流が充電電流閾値を超えたとき、複数の前記単電池それぞれにおける前記充電レベルの指示に基づいて、複数の前記単電池間のバランスをとるように構成される、
ことを特徴とする組電池管理システム。
【請求項2】
前記温度が第2閾値温度を超えているとき、前記充電電流は前記充電式組電池に供給されない、
請求項1記載の組電池管理システム。
【請求項3】
制御部と、
温度センサと、
充電指示部と、
を備える組電池管理システムであって、
前記充電指示部は、充電式組電池の複数の単電池における充電レベルの指示を提供するように構成され、
前記温度センサは、前記充電式組電池の温度に基づいて、温度信号を提供するように構成され、
前記制御部は、第1モードと第2モードとで動作するように構成され、
前記第1モードでは、前記制御部は、前記温度信号に基づいて、前記充電式組電池を充電する充電電流を制御し、
前記第2モードでは、前記制御部は、複数の前記単電池それぞれにおける充電レベルの指示に基づいて、複数の前記単電池間のバランスをとるように構成され、
前記制御部は、前記充電式組電池に供給される前記充電電流が充電電流閾値を超えたとき、充電中に前記第2モードで複数の前記単電池間のバランスをとるように構成される、
ことを特徴とする組電池管理システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記第1モードにおいて前記温度が第1閾値温度を超えていることを示す前記温度信号に応答し、上昇する前記温度の関数として前記充電電流が漸減するように構成される、
請求項3記載の組電池管理システム。
【請求項5】
前記温度が第2閾値温度を超えているとき、前記充電電流は前記充電式組電池に供給されない、
請求項4記載の組電池管理システム。
【請求項6】
前記制御部は、前記温度が第3閾値温度を下回っていることを示す前記温度信号に応答し、低下する前記温度の関数として前記充電電流を漸減するように構成される、
請求項5記載の組電池管理システム。
【請求項7】
前記温度が第4閾値温度を下回っているとき、前記充電電流は前記充電式組電池に供給されない、
請求項6記載の組電池管理システム。
【請求項8】
前記温度に基づく前記充電電流の前記漸減は、ルックアップテーブルに格納された関係情報に従い、
前記制御部は、前記関係情報に基づいて、前記充電電流を制御するように構成される、
請求項1
、2、4、5、6、7のいずれかに記載の組電池管理システム。
【請求項9】
前記制御部は、放電中の第3モードにおいて、複数の前記単電池間のバランスをとるように構成される、
請求項1乃至8のいずれかに記載の組電池管理システム。
【請求項10】
前記制御部は、前記充電式組電池に供給される充電電圧が充電電圧閾値を超えたとき、複数の前記単電池間のバランスをとるように構成される、
請求項1乃至9のいずれかに記載の組電池管理システム。
【請求項11】
前記制御部は、前記充電式組電池の前記単電池の電圧が電圧閾値に到達する、および/または、超えたとき、複数の前記単電池間のバランスをとるように構成される、
請求項1乃至10のいずれかに記載の組電池管理システム。
【請求項12】
前記電圧閾値は、3.9V以上である、
請求項11記載の組電池管理システム。
【請求項13】
前記制御部は、放電中の前記第3モードにおいて、複数の前記単電池それぞれからの放電を制御するように構成される、
請求項9
、または、請求項9の従属項としての請求項10乃至12のいずれかに記載の組電池管理システム。
【請求項14】
前記制御部は、前記充電式組電池の前記温度が選択範囲内に収まるように、前記充電式組電池の充電中に前記充電式組電池への前記充電電流の流れを制御するように構成される、
請求項1乃至13のいずれかに記載の組電池管理システム。
【請求項15】
前記選択範囲は、前記第2閾値温度と前記第4閾値温度とに対応する、
請求項7の従属項としての請求項14記載の組電池管理システム。
【請求項16】
前記第1閾値温度は、42℃である、
請求項1または4記載の組電池管理システム。
【請求項17】
前記第2閾値温度は、45℃である、
請求項2または5記載の組電池管理システム。
【請求項18】
前記第3閾値温度は、5℃である、
請求項6記載の組電池管理システム。
【請求項19】
前記第4閾値温度は、0℃である、
請求項7記載の組電池管理システム。
【請求項20】
前記温度センサは、直列に配置された複数の前記単電池の積層体全体の温度を前記温度として監視する、
請求項1乃至19のいずれかに記載の組電池管理システム。
【請求項21】
前記温度センサは、複数の前記単電池のうち最高温度の前記単電池に載置されている、
請求項20記載の組電池管理システム。
【請求項22】
前記充電指示部は、
電圧センサ、
を備え、
前記充電レベルの前記指示は、電圧レベルに関する、
請求項1乃至21のいずれかに記載の組電池管理システム。
【請求項23】
前記制御部は、前記充電式組電池の複数の前記単電池を電圧順でランキングし、前記ランキングに基づいて、前記充電式組電池の複数の前記単電池それぞれへの前記充電電流を制御するように構成される、
請求項22記載の組電池管理システム。
【請求項24】
前記制御部は、複数の前記単電池のうち最高電圧の前記単電池と最低電圧の前記単電池との間のオフセットに基づいて、複数の前記単電池それぞれへの前記充電電流を制御するように構成される、
請求項23記載の組電池管理システム。
【請求項25】
前記制御部は、前記オフセットが所定の閾値に到達するまで複数の前記単電池それぞれへの前記充電電流を制御するように構成される、
請求項24記載の組電池管理システム。
【請求項26】
前記制御部は、充電器に対して、前記充電式組電池に前記充電電流を供給するために要求を送信するように構成される、
請求項1乃至25のいずれかに記載の組電池管理システム。
【請求項27】
前記充電式組電池の複数の前記単電池は、直列に配置され、
複数の前記単電池それぞれは、前記単電池に並行に配置される前記単電池に対応する抵抗器、
を備え、
前記制御部は、複数の前記単電池それぞれに対応する前記抵抗器のうち少なくとも1つの前記抵抗器に電流を流して、複数の前記単電池それぞれへの前記充電電流の流れを制御することで、充電中に複数の前記単電池それぞれへの前記充電電流の流れを制御するように構成される、
請求項1乃至26のいずれかに記載の組電池管理システム。
【請求項28】
前記充電式組電池は、
直列に配置された複数の前記単電池の2つの積層体と、
2つの前記温度センサと、
を備え、
前記温度センサそれぞれは、複数の前記単電池の前記積層体それぞれの温度に基づいて、前記温度信号を提供するように配置され、
前記制御部は、2つの前記温度センサそれぞれに監視される最高温度または最低温度に基づいて、前記充電式組電池への前記充電電流を制御するように構成される、
請求項1乃至27のいずれかに記載の組電池管理システム。
【請求項29】
前記制御部は、
前記充電式組電池からの複数の入力信号を受信する複数の入力部、
を備え、
前記入力信号に基づいて、前記単電池の数を判断するように構成される、
請求項1乃至28のいずれかに記載の組電池管理システム。
【請求項30】
前記制御部は、複数の前記単電池それぞれの電圧の測定値に基づいて、前記単電池の数を判断するように構成される、
請求項29記載の組電池管理システム。
【請求項31】
前記制御部は、判断された前記単電池の数に基づいて、前記単電池間のバランスをとるように構成される、
請求項29または30記載の組電池管理システム。
【請求項32】
前記制御部は、
ネットワークを介して通信するインタフェースを備え、
前記ネットワーク上で前記充電式組電池の充電および放電に関する情報を通信するように構成される、
請求項1乃至31のいずれかに記載の組電池管理システム。
【請求項33】
前記制御部は、コントローラエリアネットワーク(CAN)を介して、前記充電式組電池の充電および放電に関する情報を、充電ステーションと通信するように構成される、
請求項32記載の組電池管理システム。
【請求項34】
前記制御部は、前記CANを介して、前記充電式組電池の温度、前記充電式組電池の充電レベルの指示、前記充電式組電池への前記充電電流、および、前記充電式組電池の電圧のうちの少なくとも1つを、通信するように構成される、
請求項33記載の組電池管理システム。
【請求項35】
前記制御部は、
前記CANを介して受信された命令に基づいて、前記充電式組電池の充電または放電を制御するように構成される、
請求項
33または34記載の組電池管理システム。
【請求項36】
前記制御部は、前記CANを介して受信された充電停止要求を示す命令に応答して、前記充電電流が選択された充電電流閾値より低下するまで前記充電式組電池への前記充電電流を少なくし、前記充電式組電池の前記充電が終了したことを示すメッセージを前記CANを介して送信するように構成される、
請求項35記載の組電池管理システム。
【請求項37】
選択された前記充電電流閾値は、前記充電式組電池への前記充電電流が存在しない場合に相当する、
請求項36記載の組電池管理システム。
【請求項38】
前記制御部は、前記温度信号に基づいて、前記充電式組電池を加熱または冷却するために、温度制御システムを制御するように構成される、
請求項1乃至37のいずれかに記載の組電池管理システム。
【請求項39】
前記制御部は、前記第1閾値温度を超えた前記温度に応答して、前記温度制御システムを起動して前記充電式組電池を冷却するように構成される、
請求項
1の従属項としての請求項38
、または、請求項4の従属項としての請求項38記載の組電池管理システム。
【請求項40】
前記制御部は、前記第3閾値温度を下回った前記温度に応答して、前記温度制御システムを起動して前記充電式組電池を加熱するように構成される、
請求項6
の従属項としての請求項38記載の組電池管理システム。
【請求項41】
前記制御部は、
前記充電式組電池への前記充電電流を制御する電流制限器、
を備え、
前記電流制限器は、
電界効果トランジスタ、
を備える、
請求項1乃至40のいずれかに記載の組電池管理システム。
【請求項42】
前記充電式組電池が充電中か否かを検知する充電検知器、
を備え、
前記制御部は、車両駆動装置と通信するように構成され、
前記制御部は、前記充電式組電池が充電中であることを前記充電検知器が検知したとき、前記車両駆動装置の動作を抑制するための信号を送信するように構成される、
請求項1乃至41のいずれかに記載の組電池管理システム。
【請求項43】
前記制御部は、ネットワークを介して通信するように構成され、
前記制御部は、前記ネットワークを介して受信した命令に応答して、前記車両駆動装置の動作を抑制するための前記信号を無効にする信号を前記車両駆動装置に送信するように構成される、
請求項
42記載の組電池管理システム。
【請求項44】
前記制御部は、前記ネットワークを介して反復充電通知を前記車両駆動装置に送信することで、前記車両駆動装置の動作を抑制するように構成される、
請求項42
または43記載の組電池管理システム。
【請求項45】
前記充電式組電池の充電レベルの指示を提供するように構成される充電指示部、
を備え、
前記制御部は、前記充電レベルが充電閾値を下回っていることを前記充電指示部が示すことに応答して、前記ネットワークを介して充電通知を送信するように構成され、
前記制御部は、前記充電レベルが前記充電閾値を超えていることを前記充電指示部が示すことに応答して、前記ネットワークを介して前記充電通知を送信しなくなる、
請求項
44記載の組電池管理システム。
【請求項46】
前記充電指示部は、
電圧センサ、
を備え、
前記充電閾値は、3.6Vである、
請求項
45記載の組電池管理システム。
【請求項47】
前記制御部は、前記ネットワーク上で充電点に反復電流要求メッセージを送信するように構成され、前記電流要求メッセージに対する応答を受信したことに応答して、前記車両駆動装置の動作を抑制するために前記信号を送信する、
請求項
43乃至
46のいずれかに記載の組電池管理システム。
【請求項48】
前記制御部は、同報配信された電流要求に続く一定の期間内に、前記ネットワークに対して繰り返しポーリングを行い、前記同報配信された前記電流要求に対する応答を求めるように構成される、
請求項
47記載の組電池管理システム。
【請求項49】
前記充電検知器は、
電流センサ、
を備える、
請求項42乃至
48のいずれかに記載の組電池管理システム。
【請求項50】
前記充電式組電池の電圧を測定する電圧センサ、
を備え、
前記制御部は、電圧閾値を超える測定された前記充電式組電池の電圧に応答して、前記充電式組電池への充電電流を切断するように構成され、
前記電圧閾値は、前記充電式組電池の名目動作電圧範囲より高い、
請求項43乃至
49のいずれかに記載の組電池管理システム。
【請求項51】
前記充電式組電池は、
複数の単電池、
を備え、
前記単電池のそれぞれは、
前記単電池の単電池電圧を測定する電圧センサ、
を備え、
前記制御部は、閾値を超える測定された前記単電池電圧の少なくとも1つに応答して、前記充電式組電池への前記充電電流を切断するように構成される、
請求項
50記載の組電池管理システム。
【請求項52】
充電式組電池を充電する充電点であって、
前記充電式組電池と電気的に接続される充電ポートと、
前記充電式組電池の少なくとも1つのパラメータを受信するインタフェースと、
請求項1乃至
51のいずれかに記載の組電池管理システムと、
を備え、
少なくとも1つの前記パラメータは、
前記充電式組電池の温度および前記充電式組電池の電圧のうちの少なくとも1つ、
を含み、
前記制御部は、
少なくとも1つの前記パラメータに基づいて、前記充電式組電池の充電中に前記充電式組電池への前記充電電流を制御するように構成される、
ことを特徴とする充電点。
【請求項53】
前記制御部は、ネットワークを介して前記インタフェースにより通信するように構成され、
前記充電点は、少なくとも1つの他の前記パラメータに関する情報を要求するメッセージを前記充電式組電池に送信するように構成される、
請求項
52記載の充電点。
【請求項54】
前記充電点は、前記インタフェースにより第1メッセージを受信したとき前記充電式組電池へ前記充電電流を送って充電を開始し、前記インタフェースにより第2メッセージを受信したとき前記充電式組電池への前記充電電流を抑制して充電を停止するように構成される、
請求項
52または
53記載の充電点。
【請求項55】
前記制御部は、前記インタフェースにより通知メッセージを繰り返し送信するように構成され、
前記充電点は、前記通知メッセージの受信確認を受信したとき、前記充電式組電池への前記充電電流を制御するように構成される、
請求項
52乃至
54のいずれかに記載の充電点。
【請求項56】
複数の充電式電池の充電に使用される請求項1乃至
51のいずれかに記載の組電池管理システムであって、
前記制御部は、
複数の前記充電式組電池のうちの第1充電式組電池に接続されるように構成され、
複数の前記充電式組電池のうちの第2充電式組電池に接続される第2組電池管理システムの第2制御部と通信するように構成され、
前記制御部は、前記第2組電池管理システムと通信するときに、自身をマスター制御部またはスレーブ制御部のいずれかとして指定するように構成され、
前記マスター制御部は、複数の前記充電式組電池の前記第2充電式組電池のパラメータに関する情報を前記スレーブ制御部から受信し、前記受信された情報に基づいて、複数の前記充電式組電池への充電電流を制御するように構成される、
組電池管理システム。
【請求項57】
前記マスター制御部は、複数の前記充電式組電池の最高温度または最低温度に基づいて、複数の前記充電式組電池への前記充電電流を制御するように構成される、
請求項
56記載の組電池管理システム。
【請求項58】
前記充電式組電池の前記パラメータは、パック温度、パック電圧、パックへの充電電流の流れ、パックごとの単電池の数、各単電池への充電電流の流れ、各単電池の電圧、のうちの少なくとも1つを含む、
請求項
56または57記載の組電池管理システム。
【請求項59】
前記マスター制御部は、前記スレーブ制御部に対し命令を送信するように構成される、
請求項
56乃至
58のいずれかに記載の組電池管理システム。
【請求項60】
前記組電池管理システムは、
インタフェース、
を備え、
前記制御部は、ネットワークを介して前記インタフェースにより通信するように構成される、
請求項
56乃至
59のいずれかに記載の組電池管理システム。
【請求項61】
前記温度センサは、
前記充電式組電池のうちの少なくとも1つの単電池の前記温度を測定する第1温度センサと、
前記組電池管理システムの複数の要素の前記温度を測定する第2温度センサと、
を含む、
請求項1乃至42のいずれかに記載の組電池管理システム。
【請求項62】
複数の前記要素の前記温度が閾値温度を超えていることを前記第2温度センサが示したことに応答して、前記充電式組電池への、および/または、前記充電式組電池からの電流の流れを停止するように構成される、
請求項
61記載の組電池管理システム。
【請求項63】
複数の前記要素は、
少なくとも1つの電圧制御インピーダンス発生器、
を含み、
前記電圧制御インピーダンス発生器は、前記充電式組電池に供給される前記充電電流を制御するために前記制御部により操作可能である、
請求項
61または
62記載の組電池管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、組電池管理システム、例えば、充電式組電池の組電池管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
充電式組電池は、多くの技術、例えば、道路と非道路との両方で使用する電気自動車またはハイブリッド車に一般的に使用される。具体的には、充電式組電池は、自動車用途(道路)、海洋用途(非道路)、倉庫環境(例えば、フォークリフトトラックなどの機械的操縦装置や、例えば、WO98/49075に開示されるような自律誘導車両との併用(非道路))、エネルギー貯蔵用途(商用と家庭用の両方(非道路))にしばしば使用される。
【0003】
このような用途に使用される充電式組電池の性能を監視・制御するために、組電池管理システム(BMS)が使用されてもよい。
【0004】
組電池駆動の自律誘導車両またはロボットの使用に用いる充電システムに関連するWO2015/104263に開示されるように、組電池の充電中にロボットが停止するという好ましくない事態が発生することがある。このような事態は、例えば、8時間の充電時間を確保するため、充電システムの動作サイクル全体を、一般的に1日16時間に短縮させる。この問題に対処するため、WO2015/104263は、対応する充電ステーションへの解除可能な接続を可能にする受電手段を備えた組電池を開示している。WO2015/104263は、第1組電池と第2組電池とが交換可能であるため、第1組電池が充電ステーションにより充電されているときにロボットが使用できる状態であることを開示している。
【発明の概要】
【0005】
本発明の様態は独立請求項に記載されているとおりであり、任意に加えられる特徴事項は従属請求項に記載されているとおりである。本発明の様態は互いに連動する形で提供され、1つの様態の特徴事項は他の様態に応用されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0006】
ここで、添付の図面を参照して、単なる例示として、本開示の実施形態について説明する。
【0007】
【
図1】
図1は、組電池管理システムの一例を備える充電式組電池パックの概略図である。
【
図2】
図2は、
図1に示されるような充電式組電池パックに含まれる充電式組電池の単電池の概略図である。
【
図3】
図3は、
図1に示されるような充電式組電池パックを備える電気自動車の一例である。
【
図5】
図5は、組電池管理システムを含む
図1に示される組電池パックなどの充電式組電池パックを充電する充電点の一例である。
【
図6】
図6は、
図1に示される組電池パックなどの複数の組電池パックを充電する組電池管理システムの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
請求項の実施形態は、例えば、充電式組電池を充電する組電池管理システム(BMS)に関する。
図1に示されるように、充電式組電池パック100は、BMS101と充電式組電池105とを備える。BMS101は、制御部103と、充電式組電池103の温度に基づいて温度信号を提供する温度センサ105と、を備える。充電式組電池パック100は、BMS101を介して充電式組電池105を充電するために、充電ステーションなどの電源に接続可能である。BMSの制御部103は、温度センサ107により提供される温度信号に基づいて、電源により充電式組電池105に供給される充電電流を制御するように構成される。温度が第1閾値温度信号値を超えていることを示す温度信号に応答して、充電電流は、上昇する温度の関数として徐々に減少(漸減)する。
【0009】
例えば、充電式組電池105は、10℃-40℃のような名目動作範囲を有してもよい。充電式組電池105の温度が閾値温度(例えば、42℃)に到達することを示す温度信号を温度センサ107が提供する場合、制御部103は、組電池105の温度が継続的に上昇することを防ぐために、充電式組電池105に供給される電流を制限してもよい。温度信号が充電式組電池105の温度がさらに上昇している(例えば、43℃または44℃)ことを示している場合、制御部103は、電流をさらに制限してもよく、それにより、例えば、42℃のときより低い電流が組電池105に供給される。温度信号が充電式組電池105の温度がさらに上昇していることを示し、それにより充電式組電池105の温度が第2閾値温度、例えば、45℃に到達する場合、制御部は、電流を完全に制限してもよく、それにより、充電式組電池105への電流供給が停止し、充電式組電池105の温度が第2閾値温度を超えないようにすることで、充電式組電池105の損傷を防ぐ。
【0010】
組電池105に供給される電流は温度の関数として制御されるため、組電池105は、組電池105を損傷することなく、より迅速に充電される。充電式組電池105の温度が用いられるため、南極用または砂漠用に設計された車両など、特に高温または低温の環境での用途の場合でも、組電池105の性能は、維持される。
【0011】
図に示される実施形態は、単なる例示に過ぎず、これらの実施形態には、本明細書に記載され、本請求項に記載されるように、一般化され、削除され、または、置換されてもよい特徴事項が含まれることが上記の考察から理解されよう。
図1に示される実際の例は、充電式組電池105に接続されているBMS101を備える組電池パック100を備える。充電式組電池は、少なくとも1つのLiFeP04単電池を備える。BMS101は、制御部103と、電流センサ109と、
温度センサ107と、電圧センサ111と、を備え、これらは全て制御部103に直列に接続される。
【0012】
本例における制御部103と、電圧センサ111と、電流センサ109とは、印刷回路基板に配置される。温度センサ107は、単電池積層体の正極端に接続される。ペルチェ効果により使用中における単電池積層体の正極端は負極端よりも高温になるため、温度センサは、積層体中の最高温の単電池に接続される。
【0013】
制御部103は、さらに、格納された関係情報を含むデータストアを備える。
図1に示される例では、この格納された関係情報は、電流値が温度の関数として設定されているルックアップテーブルを含む。
【0014】
BMS101は、例えば、充電点300などの充電電流の電源に接続可能である。制御部103は、充電電流を組電池105に供給する充電点300に対し、要求を送信するように構成される。温度センサ107は、充電式組電池105の温度に基づいて、温度信号を提供するように構成される。
図1に示される例では、電流センサ109は、充電式組電池105に対する充電電流を監視し、電流信号を制御部103に提供する。制御部103は、温度信号に基づいて、充電式組電池105に充電する電流を制御(例えば、制限)するように構成される。例えば、制御部は、組電池105への充電を制御する電流制限器を備える。電流制限器は、例えば、電界効果トランジスタなどのトランジスタである。
【0015】
図1に示される例では、制御部103は、組電池105の充電中に組電池105への充電電流の流れを制御(または制限)するように構成される。
図1に示される例では、制御部103は、温度信号と電流信号とに基づいて、充電電流を制御するように構成されるが、他の例では、制御部103は、温度信号のみに基づいて、充電電流を制御してもよい。温度に基づく電流の漸減は、例えば、ルックアップテーブルなどの格納された関係情報に従う。制御部103は、格納された関係情報に基づいて、充電電流を制御するように構成される。
【0016】
操作中、組電池パック100は、充電点300に接続される。充電点300に対し要求を送信した制御部103に応答して、組電池105の充電が始まる。組電池パック100のBMS101の制御部103は、組電池105の少なくとも1つのパラメータ、例えば、組電池105の電圧に基づいて、要求される組電池105を充電するか否かの判断に対応する電流要求を送信してもよい。
【0017】
充電中、温度センサ107は組電池105の温度を監視し、電流センサ109は組電池105への充電電流を監視する。温度センサ107は制御部103に温度信号を送信し、電流センサ109は制御部103に電流信号を送信する。温度が第1閾値温度信号値を超えていることを示す温度信号に応答して、制御部103は、上昇する温度の関数として充電電流を漸減(または制限)する。第1閾値温度は、42℃でもよい。この漸減は、例えば、電流と温度との間の線形関係に従ってもよい。
【0018】
実施例によっては、制御部103は、温度が第2閾値温度を超えていることを示す温度信号に応答して、組電池105に充電電流が供給されないように充電電流を制御または制限する。第2閾値温度は、45℃でもよい。
【0019】
実施例によっては、制御部103は、温度が第3閾値を下回っていることを示す温度信号に応答して、下降する温度の関数として充電電流を漸減するように構成される。第3閾値温度は、5℃でもよい。この漸減は、例えば、電流と温度との間の線形関係に従ってもよい。
【0020】
制御部103は、温度が第4閾値を下回っていることを示す温度信号に応答して、組電池105に充電電流が供給されないように充電電流を制御または制限するように構成されてもよい。第4閾値温度は、0℃でもよい。
【0021】
制御部103は、組電池の温度が選択された範囲内になるように、組電池105の充電中に組電池105への充電電流の流れを制御するように構成されてもよい。例えば、選択された範囲は、前述の第2閾値温度と第4閾値温度とに対応する終端点を有してもよい。
【0022】
請求項の他の実施形態は、2つのモードで動作できるBMS、例えば、
図2に示されるBMS101に関する。第1モードでは、制御部103は、温度センサ107から受信した温度信号に基づいて、充電式組電池105を充電するための充電電流を制御する。充電式組電池105は、複数の単電池106を備えてもよい。第2モードでは、制御部103は、示された各単電池106の充電レベル、例えば、電圧センサ111により提供される電圧信号、に基づいて、充電式組電池105の単電池106間のバランスをとるように構成される。このように、複数の単電池106を備える充電式組電池105は第1モード中に急速に充電され、充電式組電池105が一定のレベル、例えば、電圧センサ111により示される特定の電圧レベル、まで充電されたら、BMS101は、それぞれの充電レベルに基づいて、単電池106間のバランスをとり、例えば、全ての単電池106が同じレベルにまで充電される。
【0023】
前述のとおり、図に示される実施形態は、単なる例示に過ぎず、これらの実施形態には、本明細書に記載され、本請求項に記載されるように一般化され、削除され、または、置換されてもよい特徴事項が含まれることが上記の考察から理解されよう。
図2に示される実際の例は、
図1に示される組電池パックと同様な組電池パック100を示す。
図2に示される組電池パック100は、充電式組電池105に接続されたBMS101を備える。BMS101は、直列に配置され、組電池105に接続される制御部103と、電圧センサ111と、電流センサ109と、組電池105と制御部103とに接続される温度センサ107と、を備える。
【0024】
図2に示されるように、充電式組電池105は、積層して直列に配置される3つの単電池106を備える。組電池105の各単電池106は対応する抵抗器104を有し、各抵抗器104は各単電池106に平行に配置される。スイッチ102は、各抵抗器104と各単電池106との間で直列に配置される。
【0025】
制御部103と、電圧センサ111と、電流センサ109と、温度センサ106とは、
図1に関連して前述した制御部103と、電圧センサ111と、電流センサ109と、温度センサ106と、ほぼ同様に動作する。
図1に示される組電池パック100と同様に、制御部103は、組電池105に充電電流を供給するための充電点に対し、要求を送信するように構成される。温度センサ107は、充電式組電池105の温度に基づいて、温度信号を提供するように構成される。電圧センサ111は、組電池105の単電池106の充電レベルの指示を提供するための充電指示部として機能するための電圧信号を提供するように動作可能である。
【0026】
制御部は、少なくとも2つのモードで動作するように構成される。第1モードでは、制御部103は、温度センサ107からの温度信号に基づいて、例えば、
図1に関連して前述した方法で組電池105を充電するための充電電流を制御する。第2モードでは、制御部103は、各単電池106の指示された充電レベルに基づいて、組電池105の単電池106間のバランスをとるように構成される。
【0027】
組電池105の単電池106間のバランスをとるため、制御部103は、組電池105の各単電池106への充電電流を制御するように構成される。このため、制御部103は、各スイッチ102を制御して各抵抗器104への電流を制御するように動作可能であり、これにより、各単電池106への充電電流の流れを制御することができる。
【0028】
制御部103は、組電池105の充電中の第1モードおよび第2モードと、組電池105の放電中の第3モードと、における組電池105の単電池106間のバランスをとるように構成されてもよい。制御部103は、放電中の第3モード中に各単電池106からの放電を制御するように構成されてもよい。
【0029】
図1の組電池パック100と同様に、操作中、組電池パック100は、充電点に接続される。充電点に要求を送信した制御部103に応答して、組電池105の充電が始まる。充電中、温度センサ107は、組電池105の温度を監視し、制御部103に温度信号を送信する。電流センサ109は、組電池105への充電電流を監視し、制御部103に電流信号を送信する。
【0030】
制御部は、第1モードで温度が第1閾値温度を超えていることを示す温度信号に応答して、上昇する温度の関数として充電電流を漸減(または制限)する。
【0031】
BMS101は、選択された閾値に到達すると、第2モードで動作する。例えば、電圧センサ111により提供される電圧信号により示されるように、選択された電圧閾値に到達すると、BMS101は、第2モードで動作する。電圧信号は、前述のとおり、組電池105の充電レベルを表すことができるため、組電池105の充電レベルが一定のレベルに到達したら、BMS101は、第2モードで動作してもよい。電圧閾値は、例えば、3.1V、3.3V、3.6Vでもよい。
【0032】
第2モードでは、制御部103は、指示された各単電池106の充電レベル、例えば、各単電池106の電圧に基づいて、単電池106間のバランスをとる。単電池106間のバランスをとるため、制御部103は、各単電池106に対応するスイッチ102を制御する。制御部103は、各スイッチ102を開閉することにより、対応する各抵抗器104を通過する電流の量を制御する。各抵抗器104は、各単電池106に平行に配置されているため、各抵抗器104に流れる電流を制御することにより、各単電池106への電流も制御する。
【0033】
組電池105に供給される充電電流が選択された充電電流閾値(例えば、0.5A)を超えたことに応答して、制御部103は、充電中に第2モードで動作してもよい。組電池105に供給される充電電圧が選択された充電電圧閾値(例えば、3.0V)を超えたことに応答して、制御部103は、充電中に第2モードで動作してもよい。
【0034】
第2モードでは、制御部103は、組電池105の各単電池106を電圧順にランキングし、このランキングに基づいて、組電池105の各単電池106への充電電流を制御してもよい。制御部103は、単電池106の最高電圧と最低電圧との間のオフセットに基づいて、各単電池106への充電電流を制御してもよい。例えば、制御部は、選択された数の各単電池106、例えば、電圧で上位1つの単電池106、電圧で上位2つの単電池106、電圧で上位3つの単電池106または電圧で上位4つの単電池106への充電電流を、これらの各単電池106と電圧で最下位の1つの単電池106との間のオフセットが閾値(0.002Vなど)に到達するまで、制御してもよい。
【0035】
充電が完了し、組電池が(例えば、負荷に接続することにより)放電に使用されると、制御部103は、第3モードで動作してもよい。第3モードでは、制御部103は、組電池105の単電池106の電圧が選択された電圧閾値(例えば、3.6V以上、3.9V以上または4.2V以上)に到達および/または超えたことに応答して、放電中に組電池105の単電池106間のバランスをとるだけでよい。電圧が選択された電圧閾値に到達および/または超えるときに、単電池106間のバランスをとることのみにより、単電池106が十分な充電レベルになったときの単電池106間のバランスがとられる。驚くことに、発明者は、充電レベルが低すぎるときに単電池106間のバランスをとることが非効率的であることを見出した。
【0036】
第1モードでは、制御部103は、
図1のBMSと同様に機能してもよい。例えば、制御部103は、組電池の温度が選択された範囲内に収まるように、組電池105の充電中に組電池105への充電電流を制御するように構成されてもよい。例えば、選択された範囲は、第2閾値温度および第4閾値温度に対応してもよい。
【0037】
実施例によっては、組電池105は、直列に配置された単電池106の2つの積層体と、2つの温度センサ107と、を備え、各温度センサ107は各積層体の単電池106の温度に基づいて、温度信号を提供するように配列される。制御部103は、2つの温度センサ107により監視される最高温度または最低温度のそれぞれに基づいて、組電池105への充電電流を制御するように構成されてもよい。
【0038】
請求項の他の実施形態、例えば、
図3に示される実施形態は、車両200が充電中に誤って走行することを防止できる電気自動車またはハイブリッド車200のBMS101に関する。
図3に示されるBMSは、例えば、インタフェース113を介して車両駆動装置201と通信するように構成される制御部103を備える。BMS101は、さらに、充電式組電池105が充電されているか否かを検知する充電検知器、例えば、電流センサ109、を備える。制御部103は、充電式組電池105が充電されていることを充電検知器が検知したことに応答して、車両駆動装置201の動作を禁止するためにインタフェース113を介して車両駆動装置201に信号を送信するように構成される。
【0039】
図3は、
図1に示される組電池パック100などの組電池パック100を備える車両200を示す。組電池パック100は、インタフェース113を備える。組電池パック100は、インタフェース113を介して車両駆動装置201に接続される。車両駆動装置201は、例えば、電動機でもよい。
【0040】
前述のとおり、図に示される実施形態は、単なる例示に過ぎず、これらの実施形態には、本明細書に記載され、本請求項に記載されるように、一般化され、削除され、または、置換されてもよい特徴事項が含まれることが上記の考察から理解されよう。
図3に示される実際の例は、インタフェース113と充電式組電池105とに接続されたBMS101を備える組電池パック100を示す。インタフェース113は、コントローラエリアネットワーク(CAN)インタフェースでもよい。BMS101は、制御部103と、充電検知器(ここに示す例では電流センサ109)と、温度センサ107と、電圧センサ111と、を備え、これらは全て制御部103に接続される。
【0041】
制御部103は、インタフェース113を介して車両駆動装置201と通信するように構成される。電流センサ109は、組電池105が充電中か否かを検知するように構成される。
【0042】
制御部103は、組電池105が充電中であることを検知する電流センサ109に応答して、車両駆動装置201の動作を禁止するための信号を送信するように構成される。制御部103は、例えば、CANバスなどのネットワーク上で通信するように構成されてもよい。制御部103は、車両駆動装置201の動作を禁止するための信号をCANバス上で送信してもよい。例えば、制御部103は、CANバス上で充電広告を同報配信してもよい。
【0043】
図1および
図2の組電池パック100と同様に、動作中、組電池パック100は、充電点に接続される。充電点に要求を送信する制御部103に応答して、組電池105の充電が始まる。充電中、電流センサ109は、組電池105への充電電流を監視する。電流センサ109は、制御部103に電流信号を送信する。組電池105に充電電流が供給されていることを示す電流信号を受信したことに応答して、制御部103は、インタフェース113を介して車両駆動装置201の動作を禁止するための信号を送信する。
【0044】
図3の例では、BMS101は、充電指示部として機能する任意選択の電圧センサ111を備える。電圧センサ111は、制御部に対し、組電池105の充電レベルの指示を提供するように構成される。例えば、電圧センサ111は、制御部103に電圧信号を送信する。
【0045】
制御部103は、充電レベルが充電閾値を下回っていることを示す電圧信号を制御部103に送信する電圧センサ111に応答して、例えば、CANバスなどのネットワーク上で充電広告を送信するように構成される。充電広告は、反復広告や、単一メッセージでもよい。充電広告は、ネットワーク上で同報配信され、または、制御部103に接続されている特定の装置に送信されてもよい。充電広告が反復広告である場合、制御部103は、充電レベルが充電閾値を上回っていることを示す電圧信号に応答して、ネットワーク上で充電広告を送信しなくてもよい。この充電閾値は、例えば、3.6Vでもよい。
【0046】
制御部103がネットワーク上で通信を行うように構成される実施例では、制御部103は、ネットワーク上で反復電流要求メッセージを充電点に送信してもよい。制御部103は、電流要求メッセージに対する応答受信に応答して、車両駆動装置201の動作を禁止するための信号を送信してもよい。制御部103は、同報配信された電流要求に続くある一定の期間内に、ネットワークに対し繰り返しポーリングを行って、同報配信された電流要求に対する応答を求めるように構成されてもよい。制御部103は、ネットワーク上で受信された命令に応答して、車両駆動装置201の動作を禁止するための信号を取り消す信号を車両駆動装置201に送信するように構成されてもよい。実施例によっては、制御部103は、車両駆動装置201に対し、ネットワーク上で反復充電広告を送信することで、車両駆動装置の動作を禁止するように構成される。
【0047】
請求項の他の実施形態、例えば、
図4に示されるような実施形態は、電圧閾値を超える測定された電池電圧に応答して、組電池105への充電電流を切断できる制御部103と電圧センサ111とを備えるBMS101に関する。BMS101は、例えば、短絡回路またはアーク放電による電圧スパイクに応答して、充電電流を切断するように構成されてもよい。このように、BMS101は、ヒューズと同様の機能を果たしてもよい。
【0048】
前述のとおり、図に示される実施形態は、単なる例示に過ぎず、これらの実施形態には、本明細書に記載され、本請求項に記載されるように一般化され、削除され、または、置換されてもよい特徴事項が含まれることが上記の考察から理解されよう。
図4に示される実際の例は、
図1の組電池パックと同様な組電池パック100を示す。
図4の組電池パック100は、BMS101に接続された充電式組電池105を備える。BMS101は、制御部103と電圧センサ111とを備える。
【0049】
電圧センサ111は、組電池105の電圧を測定し、電圧信号を制御部103に送信するように構成される。制御部103は、電圧センサ111からの電圧信号を受信するように構成される。制御部103は、電圧閾値を超えている電圧信号(測定された電池電圧を示す信号)に応答して、組電池105への充電電流を切断するように構成される。
【0050】
図1、
図2および
図3の組電池パック100と同様に、組電池パック100は、動作中、充電点に接続される。充電点に要求を送信した制御部103に応答して、組電池105の充電が始まる。
【0051】
電圧センサ111は、組電池105の電圧を常時監視しているが、実施例によっては、組電池105の充電時にのみ組電池105の電圧を監視してもよい。電圧センサ111は、制御部103に電圧信号を送信する。制御部103は、電圧センサ111が組電池105の電圧を監視するタイミングを制御してもよい。
【0052】
制御部103は、電圧閾値を超えている電圧信号を受信したことに応答して、組電池105への充電電流を切断する。例えば、BMS101は電界効果トランジスタを備えてもよく、制御部103は充電電流を切断または制限するように電界効果トランジスタを制御してもよい。
【0053】
電圧閾値は、組電池105の名目動作電圧範囲より高くなるように選択される。例えば、電圧閾値は、4V、8V、10V、15Vまたは20Vより高くてもよい。電圧閾値は、例えば、組電池パック100の充電接点と、充電点と、の間のアーク放電により発生する電圧スパイクに対応するように選択されてもよい。
【0054】
実施例によっては、組電池105は、複数の単電池106を備える。各単電池106は、制御部103に各電圧信号を送信する電圧センサ111を備えてもよい。制御部103は、少なくとも1つの電圧信号が閾値を超えていることに応答して、組電池105への充電電流を切断するように構成されてもよい。
【0055】
例えば、
図5に示されるような請求項の他の実施形態は、温度または電圧などの組電池105のパラメータに基づいて、組電池105の充電を制御できる充電式組電池105用の充電点300に関する。例えば、充電点300は、充電式組電池パック100の充電式組電池105と、電気的に接続する充電ポート305と、を備える。充電点300も、制御部303と、充電式組電池105の少なくとも1つのパラメータを受信するインタフェース313と、を備える。この少なくとも1つのパラメータは、例えば、温度センサ107を使用して測定された少なくとも1つの組電池105の温度と、例えば、電圧センサ111を使用して測定された組電池105の電圧と、を含んでもよい。充電点303の制御部303は、少なくとも1つのパラメータに基づいて、組電池105の充電中に組電池105への充電電流を制御するように構成される。
【0056】
前述のとおり、図に示される実施形態は、単なる例示に過ぎず、これらの実施形態には、本明細書で記載され、本請求項に記載されるように一般化され、削除され、または、置換されてもよい特徴事項が含まれることが上記の考察から理解されよう。
図5に示される実際の例は、
図1、
図2または
図4の充電式組電池パック100などの充電式組電池パック100を充電する充電点300を示す。
図5の充電点300は、インタフェース313を介して制御部303に接続された充電ポート305を備える。
【0057】
図1および
図2に関連して前述した組電池パック100は、充電式組電池105に接続されたBMS101を備える。BMS101は、制御部103と、任意選択の電流センサ109と、温度センサ107と、電圧センサ111と、を備え、これらは全て制御部103に接続される。実施例によっては、BMS101は、電流センサ109と、温度センサ107と、電圧センサ111と、の1つのみまたはこれらの組み合わせを備えてもよい。
【0058】
組電池パック100の制御部103は、組電池105に充電電流を供給するために、充電点300に対し、要求を送信するように構成される。温度センサ107は、充電式組電池105の温度に基づいて、温度信号を提供するように構成される。電流センサ109は、充電式組電池105への充電電流を監視し、制御部103に対し電流信号を提供するように構成される。電圧センサ111は、充電式組電池105の電圧を監視し、制御部103に対し電圧信号を提供するように構成される。
【0059】
充電ポート305は、充電式組電池パック100の充電式組電池105に電気的に接続するように構成される。制御部303は、組電池パック100の充電式組電池105の少なくとも1つのパラメータを、インタフェース313を介して受信するように構成される。この少なくとも1つのパラメータは、BMS101の制御部103を介して温度センサ107から温度信号として受信された組電池の温度の少なくとも1つと、BMS101の制御部103を介して電圧センサ111から電圧信号として受信される組電池105の電圧と、を含む。
【0060】
充電点300の制御部303は、少なくとも1つのパラメータに基づいて、組電池105の充電中に組電池105への充電電流を制御するように構成される。
【0061】
制御部303は、ネットワーク、例えば、CANバス上でインタフェース313を介して組電池パック100のBMS101の制御部103と通信するように構成される。制御部303は、インタフェース313と充電ポート305とを介して充電式組電池パック100と通信するように構成される。制御部303は、ネットワーク上で受信されるメッセージ内の少なくとも1つの他のパラメータに基づいて、組電池105への充電電流を制御するように構成される。
【0062】
充電式組電池パック100は、使用中に充電ポート305を介して充電点300に接続される。充電を開始する方法は、複数ある。例えば、組電池パック100のBMS101の制御部103は、充電点300に電流要求を送信してもよい。充電点300の制御部303は、電流要求の受信に応答して、組電池パック100の組電池105の充電を開始してもよい。組電池パック100のBMS101の制御部103は、少なくとも1つのパラメータに基づいて行われる組電池105を充電するか否かの判断に応答して、電流要求を送信してもよい。
【0063】
他の実施例では、制御部303は、組電池パック100のBMS101の制御部103に対し信号またはメッセージを送信し、少なくとも1つの他のパラメータに関する情報を要求してもよい。この要求に応答して、組電池パック100のBMS101の制御部103は、この少なくとも1つのパラメータに関係する情報を含む信号またはメッセージを充電点300の制御部303に送信してもよい。充電点300の制御部303は、この情報の受信に応答して、組電池パック100の組電池105の充電を開始するか否かを判断してもよい。
【0064】
充電が始まると、充電点300の制御部303は、少なくとも1つのパラメータに基づいて、組電池105の充電中に組電池105への充電電流を制御する。例えば、制御部303は、組電池105の充電レベルが充電閾値に到達したことを示す電圧信号に応答して、組電池105へ供給される充電電流を漸減するか、または切断してもよい。
図3に関連して説明されるように、充電閾値は、例えば、3.6Vでもよい。
【0065】
図1および
図2に関連して前述したとおり制御部103は、温度信号に基づいて、充電式組電池105に充電する電流を制御(または制限)するように構成されてもよい。例えば、制御部は、組電池105への充電電流を制御する電流制限器、例えば、電界効果トランジスタを備える。
【0066】
前記少なくとも1つのパラメータは、電流を送る命令を含んでもよい。例えば、充電点300は、組電池105への充電を開始するように構成されてインタフェース313を介して第1メッセージを受信したときに充電を開始してもよく、組電池105への充電を禁止するように構成されてインタフェース313を介して第2メッセージを受信したときに充電を終了してもよい。
【0067】
充電点300の制御部303は、インタフェース313を介して広告メッセージを繰り返し送信するように構成されてもよい。充電点300は、広告メッセージの受信確認を受信すると、組電池105への充電電流を制御するように構成されてもよい。
【0068】
前述の実施例では、充電点300の制御部303は、インタフェース313と充電ポート305とを介して充電式組電池パック100と通信するように構成されてもよい。他の実施例では、充電点300の制御部303は、充電ポート305を介さずに、インタフェース313を介して充電式組電池パック100と通信するように構成される。例えば、充電点300は、充電式組電池パック100と接続するように動作可能なCANポートなどのネットワークポートを介して充電式組電池パック100と通信するように構成されてもよい。
【0069】
例えば、
図6に示されるような請求項の他の実施形態は、複数の充電式組電池パック100を充電することに使用できるBMS101に関し、それにより、例えば、組電池パック100は、同じレベルに充電される。各組電池パック100は、充電式組電池105と、制御部103を備えるBMS101と、を備える。各組電池パック100は、充電点300に対して直列または並列に接続される。1つの組電池パック100の制御部103は、もう1つの組電池パック100の制御部103と通信するように構成され、各組電池パック100は、互いに通信する際に、自身を「マスター」または「スレーブ」のいずれかとして指定するように構成される。マスター組電池パック100の制御部103は、スレーブ組電池パック100の組電池105に関するパラメータについての情報を受信し、スレーブ組電池パック100から受信した情報に基づいて、充電点300からスレーブ組電池パック100の組電池105への充電電流、または、マスター組電池パック100とスレーブ組電池パック100との両方の組電池105への充電電流を制御するように構成される。
【0070】
前述のとおり、図に示される実施形態は、単なる例示に過ぎず、これらの実施形態には、本明細書に記載され、本請求項に記載されるように一般化され、削除され、または、置換されてもよい特徴事項が含まれることが上記の考察から理解されよう。
図6に示される実際の例は、複数の組電池105a,105bを充電するBMS101aの一例を示す。
【0071】
図6は、2つの組電池パック100aおよび100bを示す。
図6に示される2つの組電池パック100a,100bは、互いに接続され、例えば、前述の
図5の充電点などの充電点300にも接続される。
【0072】
第1組電池パック100aは、充電式組電池105aに接続されるBMS101aを備える。BMS101aは、制御部103aを備える。第2組電池パック100bは、充電式組電池105bに接続されるBMS101bも備える。BMS101bは、制御部103bも備える。
【0073】
第1BMS101aの制御部103aは、例えば、任意選択のインタフェース(不図示)を介して、第2BMS101bの制御部103bと通信するように構成される。第2BMS101bと通信する際には、第1BMS101aの制御部103aは、自身をマスター制御部103aとして指定し、他の制御部をスレーブ制御部103bとして指定するように構成される。
【0074】
マスター制御部103aは、複数の組電池の第2組電池105bのパラメータに関する情報をスレーブ制御部103bから受信するように構成される。これらの組電池105のパラメータは、パック温度、パック電圧、パックへの充電電流、パックごとの単電池の数、各単電池への充電電流、各単電池の電圧のうちの少なくとも1つを含んでもよい。
【0075】
マスター制御部103aは、受信情報と、第1組電池105aのパラメータに関する情報と、に基づいて、充電点300から複数の組電池105a、105bへの充電電流を制御するように構成される。
【0076】
図1および
図2の組電池パック100と同様に、動作中、組電池パック100a,100bは、充電点300に接続される。マスター制御部103aは、第1組電池105a、第2組電池105bまたはその両方の組み合わせに関する、受信情報に基づいて、複数の組電池105a,105bの充電が必要となるタイミングの判断を行ってもよい。
【0077】
充電点に要求を送信したマスター制御部103aに応答して、組電池105a,105bの充電が始まる。マスター制御部103aは、受信情報に基づいて、組電池105a,105bの両方に供給される電流を制御する。例えば、マスター制御部103aは、複数の組電池の最高温度または最低温度に基づいて、組電池105a,105bへの供給電流を制御してもよい。
【0078】
マスター制御部103aは、組電池105a,105bに供給される電流を複数の異なる方法で制御してもよい。例えば、実施例によっては、マスター制御部103aは、充電点300から第2組電池パック100bへの電流の流れを直接制御してもよい。他の実施例では、マスター制御部103aは、スレーブ制御部103bに命令を送信するように構成されてもよい。マスター制御部103aは、スレーブ制御部103bに信号を送信し、充電点300から要求するための電流をスレーブ制御部103bに指示する。
【0079】
マスター制御部103aは、組電池105a,105bの両方が同じレベルに充電されるように、組電池105a,105bに供給される電流を制御してもよい。これは、ある組電池が他の組電池よりも充電速度が速いときに役立つことがある。例えば、マスター制御部103aは、組電池105a,105bのどちらか一方が、3.1V、3.3V、3.6Vなどの選択された電圧閾値などの閾値に到達するまで組電池105a,105bの両方に同じ分量の電流を供給するように構成されてもよい。マスター制御部103aは、組電池の1つが選択された電圧閾値に到達すると、両方の組電池が同じ電圧レベルになるまで(例えば、両方の組電池が同じレベルに充電されるまで)、他方の組電池だけに電流を供給するように構成されてもよい。
【0080】
特定の図に関連して前述したBMS101または組電池パック100は、もう1つの実施例の文脈で使用できる特徴事項を含んでもよいことが本開示の文脈から理解される。
【0081】
例えば、
図2、
図3、
図4、
図5および
図6のいずれかの組電池パック100は、例えば、
図1に関して前述のとおり、組電池の温度105に基づいて、組電池105の充電を制御するように構成されてもよい。例えば、組電池パック100のBMS101は、電流センサ109と、制御部103に接続された温度センサ107と、を備える。温度センサ107は、充電式組電池105の温度に基づいて、温度信号を提供するように構成されてもよい。電流センサは、充電式組電池105への充電電流を監視し、制御部103に電流信号を提供する。制御部103は、温度信号と電流信号とに基づいて、充電電流を制御するように構成されてもよい。
【0082】
図1、
図3、
図4、
図5および
図6のいずれかの組電池パック100は、
図2に関連して前述のとおり、2つのモードで動作するように構成されてもよい。例えば、組電池パック100のBMS101は、制御部103と、電圧センサ111と、電流センサ109と、温度センサ107と、を備える。電圧センサ111と電流センサ109とは、直列に配置され、組電池105に接続される。温度センサ107は、組電池105と制御部103とに接続される。温度センサ107は、充電式組電池105の温度に基づいて、温度信号を提供するように構成されてもよい。電圧センサ111は、電圧信号を提供して充電指示部として機能し、組電池105の単電池106の充電レベルの指示を提供するように動作可能でもよい。制御部103は、少なくとも2つのモードで動作するように構成されてもよい。第1モードでは、制御部103は、例えば、温度センサ107からの温度信号に基づいて
図1に関して前述されている方法で、組電池105を充電する充電電流を制御する。第2モードでは、制御部103は、指示された各単電池106の充電レベルに基づいて、組電池105の単組電池106間のバランスをとるように構成される。
【0083】
図1、
図2、
図4、
図5および
図6のいずれかの組電池パック100は、
図1に関連して前述のとおり、車両駆動装置201と通信するように構成されてもよい。例えば、組電池パック100は、インタフェース113を備える。組電池パック100は、インタフェース113を介して車両駆動装置201に接続される。制御部103は、インタフェース113を介して車両駆動装置201と通信するように構成されてもよい。電流センサ109は、組電池105が充電中か否かを検知するように構成されてもよい。制御部103は、組電池105が充電中であることを検知する電流センサ109に応答して、車両駆動装置201の動作を禁止するための信号を送信するように構成されてもよい。
【0084】
図1、
図2、
図3、
図5および
図6のいずれかの組電池パック100は、電圧閾値を超える測定電池電圧に応答して、組電池105への充電電流を切断するように構成されてもよい。例えば、組電池パック100のBMS101は、制御部103と、電圧センサ111と、を備える。電圧センサ111は、組電池105の電圧を測定し、制御部103に電圧信号を送信するように構成されてもよい。制御部103は、電圧閾値を超える電圧信号に応答して、組電池105への充電電流を切断するように構成されてもよい。
【0085】
図1、
図2、
図3、
図4および
図6のいずれかの組電池パック100は、
図5に関連して前述のとおり、充電点300と共に動作するように構成されてもよい。例えば、組電池パック100のBMS101は、組電池105の少なくとも1つのパラメータに関する情報を充電点300の制御部303に提供するように配置される、電流センサ109と、温度センサ107と、電圧センサ111と、のうちの少なくとも1つまたはこれらの組み合わせを備える。例えば、温度センサ107は、充電式組電池105の温度に基づいて、温度信号を提供するように構成されてもよい。電流センサ109は、制御部103に電流信号を提供するように構成されてもよい。電圧センサ111は、制御部103に電圧信号を提供するように構成されてもよい。組電池パック100は、充電点300の充電ポート305と接続するように取り付けられてもよい。充電点300は、インタフェース313を介して充電ポート305に接続される制御部303を備え、少なくとも1つのパラメータに基づいて、組電池105の充電中に組電池105への充電電流を制御するように構成されてもよい。
【0086】
図6の文脈において、各組電池パック100a,100bは、
図1、
図2および
図3に示される組電池パック100の機能を備えてもよい。例えば、各BMS101a,101bは、電流センサ109と、電圧センサ111および/または温度センサ107と、を備えてもよい。制御部103a,103bまたはマスター制御部103aは、
図1および
図2に関して前述のとおり、これらのセンサからの信号に基づいて、各組電池105a,105bへの充電電流を制御するように構成されてもよい。各組電池パック100a,100bは、さらに、インタフェース113と、各制御部103a,103bと、を備えるか、または、マスター制御部103aは、
図3に関して前述のとおり、車両駆動装置201を制御するように構成されてもよい。
【0087】
実施例によっては、BMS101は、電圧センサ111または電流センサ109を備えない。実施例によっては、BMS101は、データストアを備えない。
【0088】
各組電池105は、
図2に関連して前述のとおり、複数の単電池106を備えてもよい。各単電池106は、対応する抵抗器104と、各単電池106への電流を制御するスイッチ102と、を備えてもよい。実施例によっては、組電池105は、例えば、3つの単電池106の2つの積層体など、複数の単電池106の2つの積層体を備える。BMS101は、2つの温度センサ107を備えてもよい。各温度センサ107は、単電池106の各積層体の温度に基づいて、温度信号を提供するように配置されている。このような実施例では、制御部103は、2つの温度センサ107の監視対象の温度の最高値または最低値に基づいて、組電池105(例えば、各積層体および/または個々の単電池106)への充電電流を制御するように構成されてもよい。
【0089】
実施例によっては、BMS101の制御部103は、組電池105からの複数の入力信号を受信する複数の入力部またはチャネルを備える。制御部103は、入力信号に基づいて、単電池106の数を判断するように構成されてもよい。例えば、制御部103は、15個のチャネルを備えてもよい。例えば、BMS101は、各単電池106からの測定電圧に基づいて、単電池106の数を判断するように構成されてもよい。制御部103は、判断された数の単電池106に基づいて、単電池106間のバランスをとるように構成されてもよい。
【0090】
制御部103は、例えば、
図3または
図5に関連して説明されるような、CANバスまたはシリアルバス(RS485バス)などのネットワーク上で通信するインタフェース113,313を備えてもよい。制御部103は、組電池105の充電および放電に関する情報をネットワーク上で通信するように構成されてもよい。制御部103は、充電ステーション300に対する組電池105の充電および放電に関する情報をネットワーク上で通信するように構成されてもよい。制御部103は、組電池の温度、組電池の充電レベルの指示、組電池への充電電流、組電池の電圧のうちの少なくとも1つをネットワーク上で通信するように構成されてもよい。
【0091】
制御部103は、ネットワーク上で受信した命令に基づいて、組電池105の充電または放電を制御するように構成されてもよい。例えば、制御部103は、ネットワーク上で受信した充電の停止要求を示す命令に応答して、充電電流が選択された充電電流閾値を下回るまで組電池105への充電電流を小さくし、組電池105の充電が終了したことを示すメッセージをネットワーク上で送信するように構成されてもよい。この選択された充電電流閾値は、実施例によっては、組電池105への充電電流が存在しない場合に相当してもよい。
【0092】
制御部103は、温度信号に基づいて、組電池105を加熱または冷却する温度制御システムを制御するように構成されてもよい。制御部103は、例えば、
図1に関して説明されるような第1閾値温度などの第1閾値温度を超える温度に応答して、温度制御システムを起動し組電池105を冷却するように構成されてもよい。制御部103は、例えば、
図1に関して説明されるような第3閾値温度などの第3閾値温度を下回っている温度に応答して、温度制御システムを起動し組電池105を加熱するように構成されてもよい。
【0093】
上記ではLiFeP04(リン酸鉄リチウム)単電池が説明されているが、LiCoO2またはLiMn2O4、チタン酸リチウム、リチウム硫黄、リチウムポリマーまたはリチウムイオンポリマーなどのリチウム単電池化学物質が用いられてもよい。他の単電池化学物質が用いられてもよい。
【0094】
本開示の他の実施形態は、充電式組電池の充電および/または放電に使用するBMSに関してもよい。BMSは、前述するBMS101でもよい。BMS101は、制御部103と、2つの温度センサと、を備える。これらの温度センサは、(i)充電式組電池105の少なくとも1つの単電池106の温度を測定する第1温度センサ107と、(ii)BMSの要素の温度を測定する第2温度センサと、を備える。制御部103は、第1温度センサ107からの温度信号に基づいて、充電式組電池105を充電する充電電流を制御し、BMS101の要素の温度が閾値温度を超えていることを示す第2温度センサに応答して、充電式組電池105に対するおよび/または充電式組電池105からの電流の流れを停止するように構成される。
【0095】
例えば、制御部103は、BMS101の要素の温度が閾値温度を超えていることを示す第2温度センサに応答して、充電式組電池105への充電電流の流れを停止するように構成される。これに加え、または、これに代わって、制御部103は、BMS101の要素の温度が閾値温度を超えていることを示す第2温度センサに応答して、充電式組電池105からの放電の流れを停止するように構成される。充電電流または放電電流の流れの停止は、充電式組電池105に対するおよび/または充電式組電池105から一切電流が流れないように完全な電流の停止を含んでもよい。
【0096】
BMSは、前述したBMS101の機能を含んでいてもよいと理解されるよう。例えば、BMS101の制御部103は、温度が第1温度信号閾値を超えていることを示す第1温度センサ107からの温度信号に応答して、上昇する温度の関数として充電電流が漸減されるように構成されてもよい。
【0097】
BMS101の要素は、充電式組電池105に対するおよび/または充電式組電池105から供給される充電電流を制御するために制御部103により操作可能な少なくとも1つの電圧制御インピーダンス発生器を備えてもよい。電圧制御インピーダンス発生器は、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ、IGBT、電界効果トランジスタ、ジャンクション電界効果トランジスタなどのFET、JFETS、絶縁ゲート電界効果トランジスタ、IGFETS、金属酸化物半導体電界効果トランジスタ、MOSFETなどのあらゆる他のタイプのトランジスタを備えてもよい。
【0098】
制御部103は、第2温度センサの閾値温度に到達したことに応答して、充電式組電池105に対する充電電流および/または充電式組電池105からの放電電流を停止し、電流の再開を許可する前に一定の時間待つように構成されてもよい。これに加え、または、これに代わって、制御部103は、BMS101の要素が閾値温度よりも低い温度、例えば、閾値温度よりも摂氏20度低い温度であることを第2温度センサが示すまで、待つように構成されてもよい。例えば、制御部103は、BMS101の要素が第2温度センサの第2閾値温度より低いことを第2温度センサが示すとき、電流の流れの再開を可能にするように構成されてもよい。
【0099】
第2温度センサは、そのため、第1閾値温度と、第2閾値温度と、の両方を有してもよい。第2温度センサの第1閾値温度は、到達時に充電式組電池105に対する電流の流れおよび/または充電式組電池105からの電流の流れを停止する温度でもよく、第2温度センサの第2閾値温度は、到達時に充電式組電池105に対する電流の流れおよび/または充電式組電池105からの電流の流れの再開を可能にする温度でもよい。第2温度センサの第1閾値温度は、第2温度センサの第2閾値温度より高くてもよい。例えば、第2温度センサの第1閾値温度は摂氏110度でもよく、第2温度センサの第2閾値温度は摂氏90度でもよい。
【0100】
第2温度センサの第1閾値温度と、任意の第2閾値温度とは、第1温度センサ107の閾値温度より高くてもよい。すなわち、BMS101の要素の閾値温度は、充電式組電池105の閾値温度より高くてもよい。充電式組電池105と、特に、充電式組電池105の単電池106とは、BMS101の要素より高い熱容量を有し、BMS101の要素用のヒートシンクとして機能してもよい。BMS101の要素の閾値温度を充電式組電池105の閾値温度より高く設定することは、制御部103が安全装置機能を提供し、BMS101および/または組電池105が高温になりすぎることを防止することを可能にする。
【0101】
第2温度センサの第1閾値温度と、任意の第2閾値温度とは、そのため、制御部103の第5温度信号閾値と、任意の第6温度信号閾値でもよい。第5閾値温度と第6閾値温度とは、第1温度センサ107の第1、第2、第3または第4温度信号閾値のいずれの閾値温度信号値より高くてもよい。実施例によっては、BMS101は、例えば、CAN上で通信するように動作可能なインタフェース103を備えてもよい。いずれの閾値温度は、インタフェース103を介して構成可能でもよく、例えば、閾値温度は、CANを介して構成可能でもよい。
【0102】
前述のどの実施形態と請求項に記載されるどの特徴事項も、道路および/または非道路用途に使用されてもよい。例えば、前述の実施形態と請求項に含まれるどの特徴事項も、道路または非道路の用途でのみ使用されてもよい。前述の実施形態と請求項に記載されるどの特徴事項も、道路または非道路の電気機械または電気機器に使用されてもよい。例えば、前述の実施形態と請求項に記載されるどの特徴事項も、道路および/または非道路で使用する電気自動車またはハイブリッド車に使用されてもよい。例えば、本明細書で説明される組電池パック100は、例えば、道路および/または非道路で使用する電気自動車またはハイブリッド車に使用されてもよい。例えば、前述の実施形態と請求項に記載されるどの特徴事項も、自動車用途(道路)、海洋用途(非道路)、倉庫環境(例えば、フォークリフトトラックなどの機械的操縦装置や、例えば、WO98/49075で開示されるような自律誘導車両との併用(非道路))、エネルギー貯蔵用途(商用と家庭用の両方(非道路))に使用されてもよい。
【0103】
実施例によっては、1つ以上のメモリ要素は、本明細書で記載される操作を実施するために使用されるデータおよび/またはプログラム命令を格納できる。本開示の実施形態は、有形の持続的な格納媒体を提供する。この格納媒体は、本明細書で記載され請求項に記載される方法の1つ以上を実行し、および/または、本明細書で記載され請求項に記載されるデータ処理装置を提供するためのプロセッサをプログラムできるプログラム命令を含む。
【0104】
本明細書で概説される方法と機器とは、制御部および/またはプロセッサを用いて実装されてもよい。これらの制御部および/またはプロセッサは、論理ゲートの集まりなどの固定のロジックによって提供されてもよく、プロセッサにより実行されるソフトウェアおよび/またはコンピュータプログラムの命令などのプログラマブルロジックにより提供されてもよい。他の種類のプログラマブルロジックは、プログラマブルプロセッサ、プログラマブルデジタルロジック(例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EPROM)、電気的消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM))、アプリケーション固有の集積回路、ASIC、他のあらゆる種類のデジタルロジック、ソフトウェア、コード、電子命令、フラッシュメモリ、光ディスク、CD-ROM、DVD ROM、磁気カードまたは光カード、電子命令を格納するのに適したその他の種類の機械可読媒体またはこれらの適切な組み合わせを含む。
【0105】
本開示の実施形態は、コンピュータプログラム製品と、有形の持続的な格納媒体などのコンピュータ可読媒体と、を提供する。このコンピュータ可読媒体は、本明細書で記載される方法の1つ以上を実行するプロセッサをプログラムする命令を格納する。本開示の文脈から、これらの装置の他の変形および改良は、当業者には明らかであろう。
【0106】
一般的に図面を参照すると、本明細書で記載されるシステムおよび装置の機能を示すために機能ブロック概略図が使用されていることが理解されよう。しかし、当然だが、この機能は、このように分割する必要はなく、以下に説明され主張される構造のハードウェア以外の特定の構造のハードウェアを暗示していると解釈すべきではないことが理解されよう。図面に示される1つ以上の要素の機能は、さらに分割されてもよく、本開示の装置に分散されてもよい。実施例によっては、図面に示される1つ以上の要素の機能は、単一の機能単位に統合されてもよい。
【0107】
本書で開示される実施例のいずれか1つの特徴事項は、本明細書で記載されるあらゆる他の実施例のいずれか選択された特徴事項と組み合わされてもよい。例えば、方法の特徴事項は、適切に構成されたハードウェアで実施されてもよいが、本明細書で記載される特定のハードウェアの構成は、他のハードウェアを用いて実装する方法で使用されてもよい。