(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-04
(45)【発行日】2022-08-15
(54)【発明の名称】シート状物及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
B26F 1/22 20060101AFI20220805BHJP
B26F 1/44 20060101ALI20220805BHJP
B26D 7/18 20060101ALI20220805BHJP
【FI】
B26F1/22
B26F1/44 G
B26D7/18 F
(21)【出願番号】P 2018558883
(86)(22)【出願日】2017-11-14
(86)【国際出願番号】 JP2017040887
(87)【国際公開番号】W WO2018123302
(87)【国際公開日】2018-07-05
【審査請求日】2020-08-11
(31)【優先権主張番号】P 2016255565
(32)【優先日】2016-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000122313
【氏名又は名称】株式会社ユポ・コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100092978
【氏名又は名称】真田 有
(72)【発明者】
【氏名】岩澤 雄太
(72)【発明者】
【氏名】船戸 孝
(72)【発明者】
【氏名】宇田川 雅生
【審査官】石川 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-103443(JP,A)
【文献】特開2002-337181(JP,A)
【文献】特開平11-292067(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26F 1/22
B26F 1/44
B26D 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
切断部と連続部とが交互に並ぶ切取線に包囲された第1切取領域と、前記第1切取領域とは別の箇所に設けられ前記第1切取領域に対応して切断部と連続部とが交互に並ぶ切取線に包囲された第2切取領域と、を有するシート状物において、
前記連続部の一つ当たりの最大引張荷重ci(N)を、予め測定された第1単位荷重a(N/mm)、予め測定された第2単位荷重b(N/mm)、前記連続部の長さ寸法di(mm)、及び、前記連続部の長手方向
に対する角度θi(°)に基づいて下式[1]より求めることを、前記第1切取領域の全ての前記連続部で行ったとき、
全ての前記連続部の前記最大引張荷重ci(N)の合計値Σciが2~25(N)であるとともに、
前記連続部の一つ当たりの最大引張荷重ci(N)を、前記式[1]より求めることを、前記第2切取領域の全ての前記連続部で行い、前記最大引張荷重ci(N)のうち最小値を有する前記連続部を連続部minとしたときに、
前記第1切取領域には、前記連続部minに対応する位置に前記連続部が設けられていない
ことを特徴とする、シート状物。
【数1】
【請求項2】
切断部と連続部とが交互に並ぶ切取線に包囲された第1切取領域と、前記第1切取領域とは別の箇所に設けられ前記第1切取領域に対応して切断部と連続部とが交互に並ぶ切取線に包囲された第2切取領域と、を有するシート状物において、
前記連続部の一つ当たりの最大引張荷重ci(N)を、予め測定された第1単位荷重a(N/mm)、予め測定された第2単位荷重b(N/mm)、前記連続部の長さ寸法di(mm)、及び、前記連続部の長手方向
に対する角度θi(°)に基づいて下式[1]より求めることを、前記第1切取領域の全ての前記連続部で行ったとき、
全ての前記連続部の前記最大引張荷重ci(N)の合計値Σciが2~25(N)であるとともに、
前記連続部の一つ当たりの最大引張荷重ci(N)を、前記式[1]より求めることを、前記第2切取領域の全ての前記連続部で行い、前記最大引張荷重ci(N)のうち最小値を有する前記連続部を連続部minとしたときに、
前記第1切取領域において、前記連続部minに対応する位置の連続部の長さ寸法が、他の連続部の長さ寸法よりも大きい
ことを特徴とする、シート状物。
【数2】
【請求項3】
切断部と連続部とが交互に並ぶ切取線に包囲された第1切取領域と、前記第1切取領域とは別の箇所に設けられ前記第1切取領域に対応して切断部と連続部とが交互に並ぶ切取線に包囲された第2切取領域と、を有するシート状物において、
前記連続部の一つ当たりの最大引張荷重ci(N)を、予め測定された第1単位荷重a(N/mm)、予め測定された第2単位荷重b(N/mm)、前記連続部の長さ寸法di(mm)、及び、前記連続部の長手方向
に対する角度θi(°)に基づいて下式[1]より求めることを、前記第1切取領域の全ての前記連続部で行ったとき、
全ての前記連続部の前記最大引張荷重ci(N)の合計値Σciが2~25(N)であるとともに、
前記連続部の一つ当たりの最大引張荷重ci(N)を、前記式[1]より求めることを、前記第2切取領域の全ての前記連続部で行い、前記最大引張荷重ci(N)のうち最大値を有する前記連続部を連続部maxとしたときに、
前記第1切取領域には、前記連続部maxに対応する位置に前記連続部が設けられていない
ことを特徴とする、シート状物。
【数3】
【請求項4】
切断部と連続部とが交互に並ぶ切取線に包囲された第1切取領域と、前記第1切取領域とは別の箇所に設けられ前記第1切取領域に対応して切断部と連続部とが交互に並ぶ切取線に包囲された第2切取領域と、を有するシート状物において、
前記連続部の一つ当たりの最大引張荷重ci(N)を、予め測定された第1単位荷重a(N/mm)、予め測定された第2単位荷重b(N/mm)、前記連続部の長さ寸法di(mm)、及び、前記連続部の長手方向
に対する角度θi(°)に基づいて下式[1]より求めることを、前記第1切取領域の全ての前記連続部で行ったとき、
全ての前記連続部の前記最大引張荷重ci(N)の合計値Σciが2~25(N)であるとともに、
前記連続部の一つ当たりの最大引張荷重ci(N)を、前記式[1]より求めることを、前記第2切取領域の全ての前記連続部で行い、前記最大引張荷重ci(N)のうち最大値を有する前記連続部を連続部maxとしたときに、
前記第1切取領域において、前記連続部maxに対応する位置の連続部の長さ寸法が、他の連続部の長さ寸法よりも小さい
ことを特徴とする、シート状物。
【数4】
【請求項5】
前記連続部が3個以上あり、
前記3個以上の前記連続部の各中点を直線で結ぶことにより規定される多角形の内、面積が最大となるものを基準多角形として選択したとき、
前記第1切取領域の重心が前記基準多角形内に位置する、請求項1~4のいずれか1項に記載のシート状物。
【請求項6】
前記長手方向又は短手方向に延在する長尺のフィルムであり、
前記第1切取領域としてのラベルが、前記長手方向又は短手方向に沿って複数配置された、請求項1~5のいずれか1項に記載のシート状物。
【請求項7】
切断部と連続部とが交互に並ぶ切取線に包囲された第1切取領域と、前記第1切取領域とは別の箇所に設けられ前記第1切取領域に対応して切断部と連続部とが交互に並ぶ切取線に包囲された第2切取領域と、を有するシート状物の製造方法であって、
前記連続部の一つ当たりの最大引張荷重ci(N)を、予め測定された第1単位荷重a(N/mm)、予め測定された第2単位荷重b(N/mm)、前記連続部の長さ寸法di(mm)、及び、前記連続部の長手方向
に対する角度θi(°)に基づいて下式[1]より求めることを、前記第1切取領域の全ての前記連続部で行ったとき、
全ての前記連続部の前記最大引張荷重ci(N)の合計値Σciが2~25(N)となるように、前記切取線を配置するとともに、
前記連続部の一つ当たりの最大引張荷重ci(N)を、前記式[1]より求めることを、前記第2切取領域の全ての前記連続部で行い、前記最大引張荷重ci(N)のうち最小値を有する前記連続部を連続部minとしたときに、
前記第1切取領域には、前記連続部minに対応する位置に前記連続部が設けられないように、前記切取線を配置する
ことを特徴とする、シート状物の製造方法。
【数5】
【請求項8】
切断部と連続部とが交互に並ぶ切取線に包囲された第1切取領域と、前記第1切取領域とは別の箇所に設けられ前記第1切取領域に対応して切断部と連続部とが交互に並ぶ切取線に包囲された第2切取領域と、を有するシート状物の製造方法であって、
前記連続部の一つ当たりの最大引張荷重ci(N)を、予め測定された第1単位荷重a(N/mm)、予め測定された第2単位荷重b(N/mm)、前記連続部の長さ寸法di(mm)、及び、前記連続部の長手方向
に対する角度θi(°)に基づいて下式[1]より求めることを、前記第1切取領域の全ての前記連続部で行ったとき、
全ての前記連続部の前記最大引張荷重ci(N)の合計値Σciが2~25(N)となるように、前記切取線を配置するとともに、
前記連続部の一つ当たりの最大引張荷重ci(N)を、前記式[1]より求めることを、前記第2切取領域の全ての前記連続部で行い、前記最大引張荷重ci(N)のうち最小値を有する前記連続部を連続部minとしたときに、
前記第1切取領域において、前記連続部minに対応する位置の連続部の長さ寸法が、他の連続部の長さ寸法よりも大きくなるように、前記切取線を配置する
ことを特徴とする、シート状物の製造方法。
【数6】
【請求項9】
切断部と連続部とが交互に並ぶ切取線に包囲された第1切取領域と、前記第1切取領域とは別の箇所に設けられ前記第1切取領域に対応して切断部と連続部とが交互に並ぶ切取線に包囲された第2切取領域と、を有するシート状物の製造方法であって、
前記連続部の一つ当たりの最大引張荷重ci(N)を、予め測定された第1単位荷重a(N/mm)、予め測定された第2単位荷重b(N/mm)、前記連続部の長さ寸法di(mm)、及び、前記連続部の長手方向
に対する角度θi(°)に基づいて下式[1]より求めることを、前記第1切取領域の全ての前記連続部で行ったとき、
全ての前記連続部の前記最大引張荷重ci(N)の合計値Σciが2~25(N)となるように、前記切取線を配置するとともに、
前記連続部の一つ当たりの最大引張荷重ci(N)を、前記式[1]より求めることを、前記第2切取領域の全ての前記連続部で行い、前記最大引張荷重ci(N)のうち最大値を有する前記連続部を連続部maxとしたときに、
前記第1切取領域には、前記連続部maxに対応する位置に前記連続部が設けられないように、前記切取線を配置する
ことを特徴とする、シート状物の製造方法。
【数7】
【請求項10】
切断部と連続部とが交互に並ぶ切取線に包囲された第1切取領域と、前記第1切取領域とは別の箇所に設けられ前記第1切取領域に対応して切断部と連続部とが交互に並ぶ切取線に包囲された第2切取領域と、を有するシート状物の製造方法であって、
前記連続部の一つ当たりの最大引張荷重ci(N)を、予め測定された第1単位荷重a(N/mm)、予め測定された第2単位荷重b(N/mm)、前記連続部の長さ寸法di(mm)、及び、前記連続部の長手方向
に対する角度θi(°)に基づいて下式[1]より求めることを、前記第1切取領域の全ての前記連続部で行ったとき、
全ての前記連続部の前記最大引張荷重ci(N)の合計値Σciが2~25(N)となるように、前記切取線を配置するとともに、
前記連続部の一つ当たりの最大引張荷重ci(N)を、前記式[1]より求めることを、前記第2切取領域の全ての前記連続部で行い、前記最大引張荷重ci(N)のうち最大値を有する前記連続部を連続部maxとしたときに、
前記第1切取領域において、前記連続部maxに対応する位置の連続部の長さ寸法が、他の連続部の長さ寸法よりも小さくなるように、前記切取線を配置する
ことを特徴とする、シート状物の製造方法。
【数8】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切断部と連続部とが交互に並ぶ切取線に包囲された切取領域を有するシート状物に関し、特に、前記切取領域の切取荷重が最適化されたシート状物及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(段落[0014],[0020]、
図3参照)には、ミシン目で囲まれたインモードラベル(5)を、打抜きステーション(10)でシート材(2)から打ち抜き、この打ち抜いたインモードラベル(5)を第1ロボットアーム(20)で、次工程に運ぶ装置が記載されている。なお、括弧付きの符号は特許文献1で使用されている符号である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された装置では、インモードラベル(5)の打ち抜き(切離工程)と、打ち抜いたインモードラベル(5)の搬送(搬送工程)とを別々に行わなければならない。ロボットアームによりインモードラベルを引っ張って切り離し、そのままロボットアームにより次工程に搬送すれば、ラベルの切離工程と搬送工程とが一体的に行われるようになるので、装置を簡略化できる。
しかしながら、ラベルを引っ張ってシート材から切り離す際に、ラベルを一端側から他端側に徐々に切り離すと、切離部(以下「連続部」又は「非切断部」ともいう)への力の作用にムラが生じ、バリが生じたり、ミシン目から外れた位置で切れたりしてしまう可能性がある。また、打ち抜き機構が複雑になり、コストアップの要因になる可能性がある。
このため、ラベル全体に力を掛けて、ラベル全体を一気に切り取る、すなわち切取線全周を同時に切断するのが好ましい。そのためには、ラベル全体を一気に切り取るのに要する力(以下「切取荷重」という)を、予め、ロボットアームの引き抜きの力よりも小さく、且つ、ラベルが自重によりシート材から脱落してしまわないようにラベル重量よりも大きく設定する必要がある。また、シート材に切離部を形成した後に、印刷工程や搬送工程が行われることがある。このような工程では、シート材に張力が付与されるため、この張力よりも切取荷重が小さいと、切離部が切断され、ラベルが脱落するおそれがある。そこで、ラベルの切取荷重を、予め精度良く算出し、ラベルの切取荷重を最適化したシート材が要望されている。
【0005】
本発明は、上記のような要望に応えて創案されたもので、切取荷重を精度良く算出して、この切取荷重が適切になるように切取線の仕様を設定したシート状物、その製造方法、切取荷重の算出方法、及びシート状物における切取線の設定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)切断部と連続部とが交互に並ぶ切取線に包囲された第1切取領域を有するシート状物において、前記連続部の一つ当たりの最大引張荷重ci(N)を、予め測定された第1単位荷重a(N/mm)、予め測定された第2単位荷重b(N/mm)、前記連続部の長さ寸法di(mm)、及び、前記連続部の第1方向に対する角度θi(°)に基づいて下式[1]より求めることを、前記第1切取領域の全ての前記連続部で行ったとき、全ての前記連続部の前記最大引張荷重ci(N)の合計値Σciが2~25(N)であることを特徴とする、シート状物。
【数1】
【0007】
(2)前記連続部が3個以上あり、前記3個以上の前記連続部の各中点を直線で結ぶことにより規定される多角形の内、面積が最大となるものを基準多角形として選択したとき、前記第1切取領域の重心が前記基準多角形内に位置する、(1)に記載のシート状物。
【0008】
(3)前記第1方向に延在する長尺のフィルムであり、前記第1切取領域としてのラベルが、前記第1方向に沿って複数配置された、(1)または(2)に記載のシート状物。
【0009】
(4)前記第1切取領域に対応し、切断部と連続部とが交互に並ぶ切取線に包囲された第2切取領域を有する切取線設定用シートにおいて、前記連続部の一つ当たりの最大引張荷重ci(N)を、前記式[1]より求めることを、前記第2切取領域の全ての前記連続部で行い、前記最大引張荷重ci(N)のうち最小値を有する前記連続部を連続部minとしたときに、前記第1切取領域には、前記連続部minに対応する位置に前記連続部が設けられていない、(1)~(3)のいずれか1項に記載のシート状物。
【0010】
(5)前記第1切取領域に対応し、切断部と連続部とが交互に並ぶ切取線に包囲された第2切取領域を有する切取線設定用シートにおいて、前記連続部の一つ当たりの最大引張荷重ci(N)を、前記式[1]より求めることを、前記第2切取領域の全ての前記連続部で行い、前記最大引張荷重ci(N)のうち最小値を有する前記連続部を連続部minとしたときに、前記第1切取領域において、前記連続部minに対応する位置の連続部の長さ寸法が、他の連続部の長さ寸法よりも大きい、請求項1~3のいずれか1項に記載のシート状物。
【0011】
(6)前記第1切取領域に対応し、切断部と連続部とが交互に並ぶ切取線に包囲された第2切取領域を有する切取線設定用シートにおいて、前記連続部の一つ当たりの最大引張荷重ci(N)を、前記式[1]より求めることを、前記第2切取領域の全ての前記連続部で行い、前記最大引張荷重ci(N)のうち最大値を有する前記連続部を連続部maxとしたときに、前記第1切取領域には、前記連続部maxに対応する位置に前記連続部が設けられていない、(1)~(5)のいずれか1項に記載のシート状物。
【0012】
(7)前記第1切取領域に対応し、切断部と連続部とが交互に並ぶ切取線に包囲された第2切取領域を有する切取線設定用シートにおいて、前記連続部の一つ当たりの最大引張荷重ci(N)を、前記式[1]より求めることを、前記第2切取領域の全ての前記連続部で行い、前記最大引張荷重ci(N)のうち最大値を有する前記連続部を連続部maxとしたときに、前記第1切取領域において、前記連続部maxに対応する位置の連続部の長さ寸法が、他の連続部の長さ寸法よりも小さい、(1)~(5)のいずれか1項に記載のシート状物。
【0013】
(8)切断部と連続部とが交互に並ぶ切取線に包囲された第1切取領域を有するシート状物の製造方法であって、前記連続部の一つ当たりの最大引張荷重ci(N)を、予め測定された第1単位荷重a(N/mm)、予め測定された第2単位荷重b(N/mm)、前記連続部の長さ寸法di(mm)、及び、前記連続部の第1方向に対する角度θi(°)に基づいて下式[1]より求めることを、前記第1切取領域の全ての前記連続部で行ったとき、全ての前記連続部の前記最大引張荷重ci(N)の合計値Σciが2~25(N)となるように、前記切取線を配置することを特徴とする、シート状物の製造方法。
【数2】
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、切取領域の切取荷重を精度良く算出することができる。そして、この算出された切取荷重に基づいて、シート状物における切取領域の切取荷重が適切になるように切取線の仕様を設定できる。そのため、シート状物に印刷工程や搬送工程等を行う際に、切取領域が脱落することを防止できる。また、シート状物から切取領域の分離を適切な応力で行うことができるため、ラベルの製造効率に優れると共に、切取領域の外周におけるヒゲ状やバリ状の異形部の形成が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図2】製造装置の全体構成を模式的に示す平面図である。
【
図4】曲線形状の切取線の連続部について説明するための模式図である。
【
図6】ラベルの引張荷重の試験について説明するための模式図であって、(a)は試験装置の要部側面図、(b),(c)はフィルム及びラベルを示す平面図である。
【
図7】(a),(b)は、連続部の引張荷重の計算値と実測値とをプロットしたグラフである。
【
図8】実施例について説明するための模式的な打ち抜き型の平面図である。
【
図9】ラベルの連続部の引張荷重の計算値をプロットしたグラフである。
【
図10】x軸(長手方向)及びy軸(短手方向)において規格化された引張荷重を算出するためのグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図面を参照して、本発明について説明する。なお、以下に示す実施形態はあくまでも例示に過ぎず、以下の実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。本実施形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。また、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせることができる。
【0017】
以下の実施形態では、シート状物の一例として、ヒートシール層、基層および印刷層の順に少なくとも三層が積層されたフィルムを例に説明する。このフィルムは、切取領域(ラベル)を有し、ラベルが切断部(以下「不連続部」ともいう)と連続部とを交互に並べた切取線に包囲されている。
本実施形態では、所定の方向(以下「第1方向」ともいう)に延在する長尺のフィルムを示す。このフィルムには、切取領域としてのラベルが、所定の方向に沿って複数配置される。なお、第1方向と直交する第2方向に沿って複数のラベルを配置してもよい。
所定の方向は特に限定されないが、
図3には長手方向MD(以下、単に「MD」という)に延在するフィルム1を例示する。また、
図3では、一つのラベル(切取領域)11のみ示すが、長尺(帯状)のフィルム1の一方の主面のMDに沿って、
図1に示すようなラベル10(ラベル11,12)が規則的に複数配列されている。これらのラベル10は、後述するようにフィルム1から分離可能となっている。
このフィルム1では、裏側(
図3では紙面手前側)の面から表側(
図3では紙面奥側)の面に向けて、それぞれ樹脂層からなるヒートシール層1a、基層1bおよび印刷層1cの順に少なくとも三層が積層されて形成される。
【0018】
ヒートシール層1aは、
図1に示すラベル10と容器2とを接合する接着剤の働きをするものであり、低融点樹脂により形成される低融点樹脂層である。
ヒートシール層1aは、常温では固体状であるが、金型内で被着体(容器2)を成形する際に溶融した樹脂の熱で活性化し、被着体と溶融接着して、冷却後は再度固体状となり強固な接着力を発揮する。
【0019】
フィルム1は、一部分がラベル11,12(
図1参照)であり、その他の部分が余白部13(
図3参照)である。ラベル11,12がフィルム1から脱落しないように、フィルム1が繰り出された状態においてラベル11,12と余白部13とが一部で繋がっており、ラベル11,12と余白部13とが完全には分離していない。すなわち、予め設定されたラベル11,12の輪郭形状に沿って、切断部15aと連続部(非切断部)15bとが交互に並ぶ切取線15が設けられ、この切取線15を介してラベル11,12が、フィルム1から切り取り可能に構成されている。
【0020】
図3のフィルム1及びラベル11を例に各寸法を説明する。
フィルム1の短手方向TD(以下、単に「TD」という)に沿った長さ寸法は特に限定されないが、例えば100~500mmである。また、フィルム1のMDに沿った長さ寸法は特に限定されないが、例えば10~500mである。また、フィルム1の厚み寸法(以下「フィルム厚t」ともいう)は特に限定されないが、例えば30~100μmである。
ラベル11のTDに沿った長さ寸法は特に限定されないが、例えば50~300mmである。また、ラベル11のMDに沿った長さ寸法は特に限定されないが、例えば50~300mmである。
フィルム1に複数配置されるラベル同士の間隔は特に限定されないが、例えば10~30mmである。また、平面視におけるフィルム1の面積に対するラベル11の面積の比率は特に限定されないが、例えば30~90%である。
フィルム1を構成する材料は特に限定されないが、例えば紙又は熱可塑性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート樹脂やポリブチレンテレフタレート樹脂等のポリエステル系樹脂;が挙げられる。
【0021】
また、フィルム1の引張弾性率は特に限定されないが、例えば0.5~4GPaである。フィルム1の引張強さは特に限定されないが、例えば20~200MPaである。引張強さひずみは特に限定されないが、例えば70~700%である。引張弾性率、引張強さ及び引張強さひずみはいずれもJIS K7161-1:2014及びJIS K7161-2:2014に準拠して測定できる。
【0022】
まず、本発明の大きな特徴である切取線15の設定方法について、
図3を参照し、ラベル11に着目して説明する。
【0023】
[1.切取線の設定方法]
ラベル11の切取荷重Prを超えた引張荷重が作用すると、切取線15に囲まれた切取領域すなわちラベル11がフィルム1から切り取られる。
ラベル11は、アーム部61によりフィルム1から引っ張られて切り取られるので、ラベル11の切取荷重Prがアーム部61の引張荷重Parmよりも大きいと、フィルム1から切り取ることができなくなってしまう。そこで、ラベル11の切取荷重Prが、アーム部61の引張荷重Parmよりも小さくなるように設定されている。アーム部61の引張荷重Parmは、機構的に上限はないが、引張荷重Parmが高すぎると、ラベル11をフィルム1から切り取る際に、フィルム1に衝撃を与えるほか、切取線15に含まれる連続部15bに応力が集中し、予期しない方向にフィルム1が裂けるためラベル形状が悪化したりフィルム1が破断すること(以下、「ラベルの異方向引き裂き」という)がある。ラベルの異方向引き裂きは、いわゆるヒゲ状やバリ状の異形部(以下、単に「異形部」という)がラベル外周に生じる原因にもなり得る。また、ラベルの異方向引き裂きが発生すると、フィルム1からラベル11の切り取りが困難になるおそれがある。つまり、吸引引取り性が低下する可能性がある。
そこで、ラベル11の異方向引き裂きを抑制し、吸引引取り性に優れるという観点から、ラベル11の切取荷重Prは25N以下であり、20N以下が好ましく、15N以下がより好ましい。
一方、フィルム1の製造時に切取線15を設けた後、印刷、スリット等の加工のためにフィルム1を移送する工程でフィルム1に張力がかかると、切取線15に含まれる連続部15bに応力が集中することから連続部15bが切断することがある。切取線15に含まれる連続部15bが全部切断した場合、ラベル11がフィルム1から自重により不意に分離する。したがって、ラベル11の切取荷重Prを特定の下限値以上に設定することによって、ラベル11の脱落が抑制される。実験から求められたラベル11の切取荷重Prは2N以上であり、2.5N以上が好ましく、3N以上がより好ましく、4N以上が特に好ましい。
【0024】
詳しくは、切取線15は上述したように切断部15aと連続部15bとが交互に並んで形成されており、ラベル11の切取荷重Prは、切断部15aと連続部15bとの配分(換言すれば切取線15における連続部15bの長さ寸法と配置)により決定されるため、この配分に基づいてラベル11の切取荷重Prを算出し、切取荷重Prが特定の範囲になるように、切断部15aと連続部15bとの配分を設定している。
ラベル11の切取荷重Pr[N]は下式[1],[2]により求める。すなわち、下式[1]により、各連続部15bの最大引張荷重ci[N]を、それぞれ、予め測定された第1単位荷重a[N/mm]、予め測定された第2単位荷重b[N/mm]、各連続部15bの長さ寸法di[mm]、及び、各連続部15bのフィルム1のMDに対する角度θi[degree]に基づいて求める。そして、下式[2]に示すように、各連続部15bの最大引張荷重ciの合計値をラベル11の切取荷重Prとする。
【0025】
【0026】
ここで、第1単位荷重aは、第1方向に沿った単位長さの連続部である第1単位連続部を、フィルム1に対して設けた場合の、第1単位連続部における最大引張荷重である。つまり、
図6(b)に示すように、第1単位荷重aは、フィルム1のMDに沿って第1単位連続部(=アンカット部)を設けた場合の、第1単位連続部一つかつ単位長さ(=1mm)当たりの最大引張荷重であり、単位はN/mmである。
また、第2単位荷重bは、第1方向と直交する第2方向に沿った単位長さの連続部である第2単位連続部を、フィルム1に対して設けた場合の、第2単位連続部における最大引張荷重である。つまり、
図6(c)に示すように、第2単位荷重bは、フィルム1のTDに沿って第2単位連続部(=アンカット部)を設けた場合の、第2単位連続部一つかつ単位長さ(=1mm)当たりの最大引張荷重であり、単位はN/mmである。
これらの第1単位荷重a及び第2単位荷重bは、[3.第1単位荷重a及び第2単位荷重bの設定]の欄で説明するとおり、あらかじめ実測によって求められたものである。第1単位荷重a及び第2単位荷重bは、フィルム1の材質、厚み寸法、密度、延伸方向及び延伸倍率等に依存する値である。
【0027】
さらに、
図7(a)に示すように、MDに対する角度θiをとる単位長さ(=1mm)の連続部15bを設定したとき、連続部15bの引張荷重の値(1mmあたりの荷重に規格化してある)をMDに沿った成分とTDに沿った成分とに分解し、この分解した成分から、それぞれ実測や解析に基づく第1単位荷重a(MDに沿った単位長さにおける最大引張荷重)及び第2単位荷重b(TDに沿った単位長さにおける最大引張荷重)に基づいて、MD及びTDに沿った最大引張荷重をそれぞれ求め、これらを合成することで、各連続部15bの最大引張荷重ciをそれぞれ算出するものである。
【0028】
なお、
図3の例では、アーム部61や自重の作用により引張荷重が作用すると各連続部15bには
図3に白抜きの矢印で示す方向に引張荷重が生じる。つまり、連続部15bのうち、MDに沿って延在する連続部15b
1,15b
2,15b
4,15b
5にはTDに沿って引張荷重が作用し、TDに沿って延在する連続部15b
3,15b
6にはMDに沿って引張荷重が作用する。
また、
図4に示すように、切取線15が曲線の場合も、連続部15bを、切断部15aの相互間を結んだ直線とし、その長さ寸法di及びMDに対する角度θiを使用して上式[1]により最大引張荷重ciを計算する。
【0029】
連続部15bにおける、単位長さに規格化された最大引張荷重の算出方法としては、具体的には、
図10に示すように、x,y直交座標系でフィルムのMDをx軸方向、フィルムのTDをy軸方向におき、x軸から反時計回りに角度θiの線上にある点F(x、y)に向かって原点から長さ寸法ciのベクトルを置く。同座標系において、θi=0°のときx=aであり、θi=90°のときy=bである。
【0030】
また、tanθi=y/x と書いてもよい。これを変形すると
y=xtanθi ・・・(1)
となる。
後述の実施例によれば、F(x、y)の軌跡は長軸の長さ寸法を2a,短軸の長さ寸法を2bとする楕円に近似できる。そこで、次の楕円の方程式
【数5】
に上記式(1)を代入して変形すると式(3)が得られる。
【数6】
【数7】
式(1)に式(3)を代入して式(4)が得られる。
【数8】
ここで、単位長さに規格化された最大引張荷重は原点から座標F(x、y)までの距離であるから、式(5)である。
【数9】
式(5)に式(3)および式(4)を代入すると式(6)が得られる。
【数10】
これまで単位長さに規格化された連続部15bにおける最大引張荷重を算出したが、実施例によると連続部15bにおける最大引張荷重ciは連続部15bの長さ寸法diに比例することから、最終的に上式[1]が求まる。
【数11】
【0031】
なお、各連続部15bの長さ寸法diは大きすぎると、フィルム1からラベル11を切り取った時に、ラベル11の外周に異形部が生じやすくなるため、好ましくは5mm以下、より好ましくは2.5mm以下、さらに好ましくは1.2mm以下であり、最大引張荷重ciは好ましくは2.0N以下、より好ましくは1.0N以下である。
【0032】
ラベルの外周に異形部が生じる理由として、次の原因が考えられる。
図4に示すように長さ寸法diの連続部15bと、該連続部15bに接する不連続部(切断部)15aとの接続部に最大引張荷重ciがかかり、連続部15bが破断することによってラベルが切り取られる。ところが、仮にTDに沿ったラベルの引張強度がMDに沿ったラベルの引張強度より有意に低い場合、連続部15bの方向(すなわち角度θi)でなく、TDに沿って裂けるようにラベルの破断が進行しやすい。特に最大引張荷重ciがTDに沿ったラベルの引張強度(第2単位荷重b)の2倍以上になるとTDに沿った破断が起きやすくなり、異形部が生じ易くなると考えられる。上述のとおり最大引張荷重ciは連続部15bの長さ寸法diに比例するから、長さ寸法diを小さくすることによって異形部の発生を抑制することができる。
【0033】
一方、各連続部15bの長さ寸法diが小さすぎると、最大引張荷重ciが小さくなり、連続部15bの切断が起こりやすくなることがあるため、連続部15bの長さ寸法diは好ましくは0.3mm以上、より好ましくは0.4mm以上、さらに好ましくは0.5mm以上であり、最大引張荷重ciは好ましくは0.18N以上、より好ましくは0.2N以上、さらに好ましくは0.3N以上である。
【0034】
また、
図5に示すように、ラベル11の各連続部15bの中点Cを直線で結ぶことにより規定される多角形の内、網点を付して示す面積が最大となる多角形(換言すれば、切断部15a及び連続部15bにより形成されるラベル11の仮想的な輪郭線に沿う多角形)を基準多角形16として選択し、ラベル11の重心CGが基準多角形16内に位置するように、各連続部15bの配置を設定している。
これによりラベル11に対して連続部15bの配置を偏りのないバランスの良い位置とすることができる。
なお、
図5に二点鎖線で示す中点Cを直線で結ぶ三角形は、面積が最大ではないので基準多角形とはならない。
【0035】
切取荷重Pr(全ての連続部15bの最大引張荷重ciの合計値)が所定範囲となるように切取線15を設定できれば、切取線15に含まれる各連続部15bの長さ寸法diは、同じであっても互いに異なっていてもよい。
【0036】
好ましい切取線15の設定としては、以下に示す(1)~(4)の設定が挙げられる。
まず、フィルム1と材質、厚み寸法、密度、延伸方向及び延伸倍率が同じフィルムに、切断部と連続部とが交互に並ぶ切取線に包囲された切取領域(以下、「第2切取領域」ともいう)が形成された切取線設定用シートを想定する。そして、切取線設定用シートにおける各連続部の最大引張荷重ci(N)を、上記式[1]により求める。切取線設定用シートにおける切取線の設定は特に限定されないが、連続部の長さ寸法は全て同じであることが好ましく、同長さ寸法の連続部を等間隔で配置することがより好ましい。このような切取線設定用シートを用いることで、フィルム1において連続部15bの配置のバランスに優れた切取線15の設定が容易になる。そして、このように設定された切取線15によれば、切取荷重Prの調整が容易である。
【0037】
[1-1.設定(1)]
切取線設定用シートにおける各連続部の最大引張荷重ci(N)のうち、最小値を有する連続部を連続部minとする。そして、第2切取領域に対応させて、フィルム1に、切断部15aと連続部15bとが交互に並ぶ切取線15に包囲された切取領域(以下、「第1切取領域」ともいう)を配置する。ただし、第1切取領域を配置する際に、連続部minに対応する位置に連続部15bが形成されないようにする。つまり、連続部minの有無以外は、第1切取領域を包囲する切取線15と第2切取領域を包囲する切取線は同じである。換言すれば、第1切取領域では、第2切取領域における連続部minに対応する位置に連続部15bが設けられていない。
最大引張荷重ciが最小値の連続部minは、他の連続部と比較して切断されやすい傾向にある。そのため、切断されやすい連続部minを予め切断しておき、第1切取領域においては切断部15aとする。このように設定された切取線15によれば、比較的少ない数の連続部15bでラベル11が保持されるため、ラベル11に所定の引張荷重をかけた際にはラベル11の切取が容易になる。また、各連続部15bはそれぞれある程度の最大引張荷重ciを有するため、印刷工程や搬送工程における張力では切断されにくく、ラベル11の脱落が防止される。さらに、連続部15bの数が比較的少ないため、ヒゲ状やバリ状の異形部の発生を抑制し得る。
【0038】
また、フィルム1において、連続部minに対応する位置に連続部15bが形成されないように、第2切取領域を構成する切取線に含まれる各連続部を所定の角度回転させた第1切取領域を配置してもよい。第1切取領域における連続部15bの最大引張荷重ciは、連続部15bのMDに対する角度θiにより調整されるため、第2切取領域に対して所定の角度回転させた第1切取領域を配置することで、最小値の連続部minをなくし、各連続部15bにおける最大引張荷重ciを平均化することができる。その結果、印刷工程や搬送工程における張力では各連続部15bは切断されにくくなり、ラベル11の脱落が防止されると共に、ラベル11の異方向引き裂きを抑制できる。また、異形部の発生も抑制できる。
なお、各連続部の回転角度は同一であっても、互いに異なっていてもよいが、切取荷重Prの調整が容易である観点から、全ての連続部の回転角度は同じであることが好ましい。
【0039】
[1-2.設定(2)]
設定(2)では、フィルム1において、連続部minに対応する位置の連続部15bの長さ寸法diが、他の連続部15bの長さ寸法diよりも大きくなるように、第2切取領域に対応させて切取線15が設定され、第1切取領域が配置される。つまり、連続部minに対応する位置の連続部15bの長さ寸法di以外は、第1切取領域を包囲する切取線15と第2切取領域を包囲する切取線は同じである。
最大引張荷重ciは、連続部15bの長さ寸法diに比例する。フィルム1において、連続部minに対応する位置に配置された連続部15bの長さ寸法diを他の連続部15bの長さ寸法diと比較して大きくすることで、連続部minに対応する位置の連続部15bが切断されにくくなる。つまり、第1切取領域においては各連続部15bにおける最大引張荷重ciが平均化される。そのため、切取線15の全周をほぼ同時に切断でき、ラベル11の切取が容易になると共に、切取線15に沿ってラベル11を綺麗に切断できる。また、印刷工程や搬送工程における張力では各連続部15bは切断されにくく、ラベル11の脱落が防止される。
【0040】
[1-3.設定(3)]
切取線設定用シートにおける各連続部の最大引張荷重ci(N)のうち、最大値を有する連続部を連続部maxとする。そして、第2切取領域に対応させて、フィルム1に、第1切取領域を配置する。ただし、第1切取領域を配置する際に、連続部maxに対応する位置に連続部15bが形成されないようにする。つまり、連続部maxの有無以外は、第1切取領域を包囲する切取線15と第2切取領域を包囲する切取線は同じである。換言すれば、第1切取領域では、第2切取領域における連続部maxに対応する位置に連続部15bが設けられていない。
最大引張荷重ciが最大値の連続部maxでは、ラベル11のTDに沿った引張強度と、MDに沿った引張強度との差に起因して、連続部15bの方向(すなわち角度θi)ではなく、引張強度の小さい方向にラベル11が破断することがある。このような意図しない方向へのラベル11の破断、つまりラベル11の異方向引き裂きの発生は、ラベル11の外周に異形部が生じる原因となる。そのため、最大引張荷重ciが最大となる連続部maxを予め切断しておき、第1切取領域においては切断部15aとすることで、ラベル11における異方向引き裂きの発生、及び異形部の発生を抑制できる。
【0041】
[1-4.設定(4)]
設定(4)では、フィルム1において、連続部maxに対応する位置の連続部15bの長さ寸法diが、他の連続部15bの長さ寸法diよりも小さくなるように、第2切取領域に対応させて切取線15が設定され、第1切取領域が配置される。つまり、連続部maxに対応する位置の連続部15bの長さ寸法di以外は、第1切取領域を包囲する切取線15と第2切取領域を包囲する切取線は同じである。
最大引張荷重ciが最大となる連続部maxは、他の連続部と比較して切断されにくい傾向がある。フィルム1において、連続部maxに対応する位置に配置される連続部15bの長さ寸法diを他の連続部15bの長さ寸法diと比較して小さくすることで、連続部maxに対応する位置の連続部15bが切断されやすくなる。つまり、第1切取領域においては、各連続部15bにおける最大引張荷重ciが平均化される。そのため、切取線15の全周をほぼ同時に切断でき、ラベル11の切取が容易になると共に、切取線15に沿ってラベル11を綺麗に切断できる。また、印刷工程や搬送工程における張力では各連続部15bは切断されにくく、ラベル11の脱落が防止される。さらに、ラベル11の外周における異形部の発生も抑制される。
【0042】
なお、設定(1)又は(2)のいずれか一方と、設定(3)又は(4)のいずれか一方とを組み合わせて、切取線15を設定することもできる。
【0043】
フィルム1の製造方法は、切取荷重Pr(全ての連続部15bの最大引張荷重ciの合計値)が所定範囲となるように切取線15が設定されれば特に限定されない。
【0044】
[2.効果]
本発明の一実施形態によれば、以下のような効果が得られる。
上式[1],[2]に基づいて、ラベル11の切取荷重Prを精度良く求めることができる。そして、この求めた切取荷重Prに基づいて、アーム部61によりフィルム1からラベル11を確実に取り出すことができるように、また、フィルム1からラベル11が搬送時の張力等により意図せず脱離してしまうことを防止できるように、切取線15における切断部15aと連続部15bとの配分を設定できる。
ラベル11の重心が基準多角形16内となるように各連続部15bを配置しているので、ラベル11に対して連続部15bの位置を偏りのないバランスの良い位置とすることができる。したがって、ラベル11を、アーム部61により引っ張ったときに、切取線15に沿って綺麗に切断することができる。
【0045】
[3.第1単位荷重a及び第2単位荷重bの設定]
図6(a),(b),(c)に示す試験装置100に、目的のシート状物と同種の素材からなる試験片としてフィルム1A,1Bをセットして荷重試験を行って、その試験結果に基づいて、上式[1]の第1単位荷重a及び第2単位荷重bを設定した。フィルム1A,1Bには、ラベル11A,11Bの輪郭形状に沿って、それぞれ切断部15a,連続部15bからなる切取線15A,15Bが設けられている。
ここで、切取線15A,15Bは角丸の形状をしているが、荷重試験において2箇所の連続部15bのみに荷重がかかるように切断部15a,連続部15bが設けられていれば、切取線15A,15Bの形状は特に限定されない。
【0046】
また、連続部15bの個々の長さ寸法は任意であるが、荷重試験で連続部15bに作用した荷重を1mm当たりの荷重に規格化して第1単位荷重a及び第2単位荷重bを求めるので、誤差を少なくする観点から連続部15bの個々の長さ寸法は0.8~1.2mmであることが特に好ましい。また、
図6(b)に示すラべル11Aの場合、連続部15bの角度は、フィルム1AのMDにできる限り平行であることが好ましく、MDに対し±0.5°(degree)以内であることが好ましい。
図6(c)に示すラベル11Bの場合、連続部15bの角度は、フィルム1BのTDにできる限り平行であることが好ましく、TDに対し±0.5°(degree)以内であることが好ましい。
なお、連続部15bの長さ寸法とは、連続部15bを挟む切断部15aの端部を結んだ線分の長さ寸法として規定され、連続部15bの角度とは、前記線分の角度として規定される。
【0047】
試験装置100では、
図6(a)に示すように、フィルム1A,1Bを粘着テープ101により台座102に貼りつけて、このフィルム1A,1Bのラベル11A,11Bをつかみ部103に固定し、このつかみ部103を介して図示しない引張試験機により上方に引っ張り上げることでラベル11A,11Bをフィルム1A,1Bから切り取る。
ラベル11A,11Bを引張試験機に固定する方法は、つかみ部103に固定する方法に限定されず種々の方法が使用でき、例えば接着剤で固定する方法も使用できる。
ラベル11A,11Bがフィルム1A,1Bから切り取られたときの引張荷重(すなわち最大引張荷重)を、ラベル11A,11Bの切取荷重Prとし、これを連続部15bの個数(この場合は2個)で割ったものを各連続部15bの最大引張荷重ciとした。連続部15bの個数は2個が最も好ましいが、1個または3個以上であってもよい。
【0048】
フィルム1Aの切取線15Aには、
図6(b)に示すように、ラベル11Aの各長辺に連続部15bが設けられており、引張試験機に上方に引っ張られたときには白抜きの矢印で示すようにTDに沿って引張荷重が作用する。フィルム1Bの切取線15Bには、
図6(c)に示すように、ラベル11Bの各短辺に連続部15bが設けられており、MDに沿って引張荷重が作用する。
なお、フィルム1A,1Bの面に対して垂直にラベル11A,11Bを切り取るように力が作用するのであれば、下方に押し込むことでラベル11A,11Bをフィルム1A,1Bから切り取るように構成してもよく、また、フィルム1A,1Bを水平に配置しなくてもよい。
荷重試験の引張(または押し込み)速度は、アーム部(取出装置)61(
図3参照)の没入駆動速度と同じとすることが最も好ましいが、通常10~500m/minとする。
【0049】
フィルム1A,1Bは、切取線15Bの配置以外の仕様は同一であり、主な仕様は下表1のとおりである。
【表1】
【0050】
下表2に、(1)試験により測定された連続部15bの最大引張荷重ciと、(2)ラベル11A,11Bを切り取った際の切取部の状態を示す。切取部の状態は目視により異形部が確認された場合は「×」とし、異形部が確認されない場合は「○」としている。
【表2】
【0051】
第1単位荷重aは、すなわちMDに沿った単位長さ(=1mm)の連続部15bにおける最大引張荷重ciであるから、1.5N/mmとなる。第2単位荷重bは、すなわちTDに沿った単位長さ(=1mm)の連続部15bにおける最大引張荷重ciであるから、0.6N/mmとなる。
また、連続部15bが5mmを超えると切取部に異形部が確認されたことから、上述のとおり、連続部15bの長さ寸法は5mm以下が好ましい。
【0052】
図7(a),(b)において、曲線L1,L2は、第1単位荷重aに1.5N/mm、第2単位荷重bに0.6N/mmを用いて上式[1]により計算した計算値であり、ドットは実測値である。
図7(a)は、横軸をTDの引張荷重とし、縦軸をMDの引張荷重としたグラフであり、連続部15bが切り取られたときに連続部15bに作用した引張荷重(詳細には連続部15bの延在する方向と直交する方向に作用した引張荷重)をMDの成分とTDの成分とに分解して示すものである。θ1~θ6は、MDに対する角度θiに相当するものであり、この順に大きな角度となる。θ1が0(ゼロ)度、すなわちMDに沿った角度であり、θ6が90度、すなわちTDに沿った角度である。
図7(b)は、横軸をMDに対する角度θiとし、縦軸を、連続部15bが切り取られたときに連続部15bに作用した引張荷重(詳細には連続部15bの延在する方向と直交する方向に作用した引張荷重)としたグラフである。
図7(a),(b)から、計算値が実測値を精度良く再現していることが分かる。
【0053】
[4.ラベル付き容器]
以下において、フィルム1から切り取られたラベル10を用いたラベル付き容器と、ラベル付き容器の製造装置について説明する。本実施形態では、ラベル付き容器の製造工程を基準に上流および下流を定め、重力の作用方向を下方とし、下方の反対方向を上方とする。
図1に示すように、ラベル付き容器は、外壁2aにラベル10が貼着されている中空の容器2である。このラベル付き容器では、インモールドラベリング(インモールド成形)でラベル10が容器2に貼着されている。
ここでは、側面視で複数のラベル10(ラベル群)が容器2の外壁2aに貼着されている。さらに、容器2に貼着される前のラベル10は、裏面(貼着面)に予めヒートシール層1a(
図3参照)を有している。
【0054】
図1では、容器2における表側の外壁2aに、一対の第一ラベル11および第二ラベル12からなるラベル10を例示する。
また、ラベル11,12は、互いに異なる形状に形成されている。ここでは、略長方形の第一ラベル11を例示し、三角形の第二ラベル12を例示する。
【0055】
[5.製造装置]
つぎに、
図2及び
図3を参照して、本発明の一実施形態に係るラベル付き容器を製造する装置を説明する。
この製造装置は、
図2に示すように、上流から下流に向けてそれぞれ設けられた繰り出し機構20,搬送機構50および成形機構90の三つの機構に大別される。
【0056】
繰り出し機構20は、ラベル10が配列されたフィルム1を繰り出し、搬送機構50は、繰り出されるフィルム1からラベル10を分離してから金型91に配置するまで搬送する。成形機構90は、金型91内に成形材料を供給し、金型91の内部に配置されたラベル10を外壁2a(
図1参照)に貼着させて、容器2を成形する。
ここでは、本製造装置にフィルム1が配設される前に、ラベル10の絵柄などがフィルム1に予め印刷されている。
【0057】
搬送機構50には、搬送するラベル10をフィルム1から分離して保持し、また、搬送されたラベル10を金型91の内部に配置するアーム部60と、搬送中のラベル10を帯電させる帯電部80とが備えられている。
金型91は、二つの割り金型91a,91bから構成され、装置の一側(
図2では上方)に第一割り金型91aを配置し、他側(
図2では下方)に第二割り金型91bを配置している。
【0058】
そのため、製造装置が水平方向に対称(
図2では上下対称)に設けられており、二系統の製造工程を同時に実施することができる。具体的には、容器2における表側の外壁2aに貼着されるラベル10を装置の一側で扱うと同時に、容器2における裏側の外壁に貼着されるラベルを装置の他側で扱うことができる。
ここでは、二組の金型91が設けられ、二つのラベル付き容器を同時に成形する製造装置を例示する。
以下の説明では、おもに装置の一側に着目して説明する。
【0059】
[5-1.繰り出し機構]
まず、繰り出し機構20の繰り出しに関する構成を説明する。
繰り出し機構20は、フィルム1を繰り出すことで、ラベル10を所定の位置に繰り出す機構である。この繰り出し機構20には、二つの回転軸21,22が設けられる。これらの回転軸21,22のうち、上流側に配置された第一回転軸21ではラベル10が分離される前のフィルム1が巻回された状態から引き出され、下流側に配置された第二回転軸22ではラベル10が分離された後のフィルム1(残部)が巻き取られる。
【0060】
[5-2.搬送機構]
つぎに、搬送機構50の搬送に関する構成を説明する。
搬送機構50では、繰り出し機構20および成形機構90に跨るように延びるスライドレール51に沿って車台部52がスライド上を水平移動する。
【0061】
ここでは、水平方向のうち、スライドレール51が延びる方向を「X方向」(
図2では左右方向)とし、このX方向に直交する方向を「Y方向」(
図2では上下方向)とする。さらに、X方向のうち一方(
図2では左方)を「X1」とするとともに他方を「X2」とし、Y方向のうち一方(
図2では上方)を「Y1」とするとともに他方を「Y2」とする。製造装置のY1方向側では、フィルム1や第一割り金型91aよりもY2方向側にスライドレール51および車台部52が設けられる。反対に、製造装置のY2方向側では、フィルム1や第二割り金型91bよりもY1方向側にスライドレール51および車台部52が設けられる。
スライドレール51上の車台部52は、X1方向からX2方向に向けて、ラベル10を分離する原点位置P1,ラベル10を帯電部80で帯電させる帯電位置P3,ラベル10を第一割り金型91aに配置して容器2を成形する成形位置P4の順に並ぶ各位置に移動する。
【0062】
車台部52には、上述したアーム部60が設けられる。アーム部60は、伸縮するようにY方向に駆動される。具体的には、アーム部60の先端部60aがフィルム1や第一割り金型91aに当接するように突出した挿抜位置と、先端部60aがフィルム1や第一割り金型91aから離隔した搬送位置との二つの位置を切り替えるように、アーム部60が車台部52から出没駆動(往復駆動)される。さらに、アーム部60の先端部60aには、ラベル10を吸い付ける吸引機構(吸盤)が設けられている。
【0063】
ここでは、二つのラベル10が同時に分離される。そのため、二つのラベル10のそれぞれに対応して二組のアーム部60がX方向に並んで設けられる。さらに、一つのラベル10には二枚のラベル11,12が設けられることから、一組のアーム部60には、第一ラベル11に対応する第一アーム部61と、第二ラベル12に対応する第二アーム部62とが設けられる。敷衍して言えば、一つのラベル10におけるラベル11,12の枚数に応じた数のアーム部61,62が車台部52に設けられる。
つぎに、位置P1,P3,P4のそれぞれに車台部52が位置するときの搬送機構50について順を追って述べる。
【0064】
〈取出部〉
以下、
図2及び
図3を参照して、ラベル11及びアーム部61に特に着目して説明する。
図2に示すように、原点位置P1に車台部52が位置するときには、車台部52のアーム部61が、フィルム1からラベル11を分離して取り出す。このときの車台部52は、原点位置P1に停止している。
アーム部61は、
図3に示すように、搬送位置から挿抜位置に突出駆動され、先端部60aがラベル11に接触する。それから、吸引機構が作動して先端部60aにラベル11が吸い付けられる。その後、矢印A1で示すように、挿抜位置から搬送位置にアーム部(取出装置)61が没入駆動される。このとき、先端部60aに吸い付けられたラベル11がフィルム1から引っ張られて、フィルム1から分離される。この分離時には、ラベル11と余白部13とを繋ぐ箇所、すなわち切断線15を形成する連続部15bが引きちぎられる。本実施形態のフィルム1では、上述したように切取線15が設定されているため、フィルム1からラベル11の分離が適切な応力で行われ、切取線1に沿ってラベル11を綺麗に取り出すことができ、ラベル11の製造効率に優れる。
【0065】
〈帯電部〉
金型91の内部にラベル10を配置後、金型91内でラベル10が動かないようにする必要があり、ここでは、ラベル10を帯電させるようにしている。つまり、
図2に示すように、帯電位置P3に車台部52が位置するときには、アーム部60に保持された搬送中のラベル10が、帯電部80の近傍を通過する。これにより、ラベル10は、帯電して、第一割り金型91a内に配置された後もクーロン力により第一割り金型91aに張り付いて位置が保持される。なお、金型内でラベルを固定する方式が真空吸引等の帯電によらない方式の場合は、帯電部を設けなくてもよい。
【0066】
〈配置部〉
成形位置P4に車台部52が位置するときには、車台部52のアーム部60が、第一割り金型91aの内部にラベル10を配置する。このときの車台部52は、第一割り金型91aの内部に対向するように、成形位置P4に停止している。アーム部60は、搬送位置から挿抜位置に突出駆動され、先端部60aに保持されたラベル10が第一割り金型91aの内部に挿入されて押し当てられる。
【0067】
その後、挿抜位置から搬送位置にアーム部60が没入駆動されて、車台部52が原点位置P1に移動する。
なお、ラベル10が第一割り金型91aに配置されると、繰り出し機構20がフィルム1を再び繰り出して、ラベル10が二つ分だけ繰り出される。
【0068】
[5-3.成形機構]
つぎに、
図2を参照して、成形機構90を説明する。
成形機構90は、金型91内に成形材料を供給し、インモールドラベリングで外壁2aにラベル10を貼着させることで、容器2をインモールド成形する。
【0069】
この成形機構90には、二組のアーム部60と同様に、二組の金型91がX方向に並んで配置される。さらに、Y方向に二分割された割り金型91a,91bから各組の金型91が構成されることから、割り金型91a,91bを結ぶようにY方向に延びるスライドレール92が敷設され、このスライドレール92に沿って割り金型91a,91bが互いに接離する。
また、成形機構90のY方向中央には、溶融したパイプ状の成形材料(プラスチック原料、いわゆる「パリソン」や「プリフォーム」)を金型91に供給する供給口93と、型閉め時の金型91に空気を吹き込み吹込口94とが設けられる。
【0070】
ラベル付き容器は、次のような手順で成形される。
供給口93から割り金型91a,91b内に成形材料を導入し、割り金型91a,91bを接近させて型閉めしてブロー成形する。そして、冷却された割り金型91a,91bを互いに離隔させて型開きし、成形されたラベル付き容器が取り出される。
【0071】
[6.実施例]
高さ0.25mm、角度50°の刃を有するロータリーダイカッターを制作した。ロータリーダイカッターのシリンダー面には、各連続部の長さ寸法をそれぞれ0.2mm,0.3mm,0.4mm,0.5mm,0.7mm,1.5mm及び2.0mmとする打ち抜き型が1つずつ設けられている。打ち抜き型104は、
図8に示すように直径70mmの円形(MDに沿った径DS=70mm、TDに沿った径DL=70mm)である。この打ち抜き型104は、フィルム1Cの打ち抜き時には、径DLがフィルム1CのTDに沿うように、径DSがMDに沿うように配置される。なお、
図8では打ち抜き型104を便宜的に一本の連続した線で示している。
打ち抜き型104の連続部に対応する箇所(すなわち刃が設置されていない箇所)は、前記円の中心から放射状に30°毎に12本の補助線H1~H12(破線で図示)を引いたとき、補助線H1~H12が前記円と交差する12カ所が中点となるように設けられている。連続部の場所の番号(以下「場所番号」という)nは、フィルムの上流側を右、下流側を左としたとき、最も上流側の径DSと交差する場所を1番とし、これを起点に反時計回りに12番までとした。
【0072】
上記フィルム1A,1Bと同一仕様のフィルム1C(上表1の材料,フィルム厚t,フィルム長Lf及びフィルム幅Wfを参照)をこのロータリーダイカッターに通し、下表3のとおり実施例1~7及び比較例1の、ラベルを含むシート状物を作成した。また、実施例8~12及び比較例2では、フィルムとしてユポIHC75〔(株)ユポ・コーポレーション製、フィルム厚t:75μm、フィルム長Lf:100m、フィルム幅Wf:150mm〕を用いて、ラベルを含むシート状物を作成した。また、実施例13では、フィルムとしてユポIDS80〔(株)ユポ・コーポレーション製、フィルム厚t:80μm、フィルム長Lf:100m、フィルム幅Wf:150mm〕を用いて、ラベルを含むシート状物を作成した。
【0073】
下表3の実施例1~7及び比較例1では、第1単位荷重a及び第2単位荷重bに前記で決定した値(a=1.5N/mm,b=0.6N/mm)を使用した。
また、実施例8~13及び比較例2では、前記と同様の手法により第1単位荷重a及び第2単位荷重bを決定した。具体的には、実施例8~12及び比較例2における第1単位荷重aは3.45N/mmであり、第2単位荷重bは0.5N/mmであった。また、実施例13における第1単位荷重aは2.35N/mmであり、第2単位荷重bは0.56N/mmであった。
【0074】
下表3及び表4に、場所番号nにおけるMDに対する角度θn、連続部の長さ寸法dn、上式[1],[2]より計算した連続部の最大引張荷重cn、切取荷重Pr(=Σcn)及び、各評価(ラベル脱落、連続部破断、吸引引取り性、ラベルの異方向引き裂き及び異形部)を示す。
なお、下表3において「-」が記入されているのは、対応する場所番号nに連続部を設けなかった(すなわち切断部を設けた)ことを示す。
すなわち、実施例5では、連続部が、場所番号nで1~3番,5~9番、11番及び12番に設けられ、実施例6では、連続部が、2~6番,8~12番に設けられている。また、比較例1では、連続部が2,4,6,8,10,12番に設けられている。
実施例7では、実施例1において最大引張荷重ciが最小であった連続部(場所番号nが4番及び10番)の長さ寸法d4及びd10を0.4mmとし、他の連続部の長さ寸法(0.3mm)よりも大きくしている。
実施例9では、実施例8において最大引張荷重ciが最小であった場所番号4番及び10番に連続部を設けなかった。
実施例10では、実施例8における各連続部をそれぞれ時計回りに15°回転させた。
実施例11では、実施例8において最大引張荷重ciが最大であった場所番号1番及び7番に連続部を設けなかった。
実施例12では、実施例10における全ての連続部の長さ寸法を0.4mmから2.0mmに変更した。
最大引張荷重ciは、MDの端部に配置された連続部15b、つまり、場所番号1番及び7番の連続部15bにおいて大きくなる傾向があることから、実施例13では、場所番号1番及び7番の連続部15bの長さ寸法を、他の連続部の長さ寸法と比較して小さくした。
また、比較例2では、実施例8における全ての連続部の長さ寸法を0.4mmから2.0mmに変更した。
なお、下表3の角度θnは、場所番号1番を0[ゼロ]度とした角度であってMDに対する補助線H1~H12の角度(換言すれば連続部の設置個所を示す角度)であり、連続部のMDに対する角度θiではない。例えば、場所番号1番及び7番の連続部の角度θiは90°、場所番号4番及び10番の連続部の角度θiは0°である。また、本実施例では、連続部を時計回りに回転したことがイメージしやすいように円形のラベルを用いたが、ラベルの形状は特に限定されず、楕円形、長方形や不定形でもよいことは明らかである。
【0075】
【0076】
[ラベルの搬送工程評価]
(ラベル脱落)
打ち抜用ラベルに対して、シール印刷機(株式会社太陽機械製作所製)で1000枚のラベルを印刷したとき、張力によるラベルの脱落を次の基準で判定した。
○:ラベルの脱落が全くない。
×:ラベルの脱落が1枚以上あった。
【0077】
(連続部破断)
打ち抜用ラベルに対して、シール印刷機(株式会社太陽機械製作所製)で1000枚のラベルを印刷したとき、張力によるラベル連続部の破断を次の基準で判定した。
◎:連続部の切断が全くない。
○:1~3枚の頻度で連続部の切断があったが、脱落に至らなかった。
△:4~10枚の頻度で連続部の切断があったが脱落に至らなかった。
×:10枚を超える頻度で連続部の切断があった。
-:ラベルの脱落があった。
【0078】
[ラベル切離工程評価]
(吸引引取り性)
自動ラベラー(株式会社マシンメイト製、LIM4-001)で吸引したときの吸引エラー(つまり吸引による切り取り失敗)の有無を次の基準で判定した。自動ラベラーの吸引孔はゴム製吸盤であり、その大きさは直径9mm、吸引孔は37mm離間して2個設置とした。吸引引取り性評価は少なくとも1000枚のラベルに対して実施した。
◎:吸引エラーが全くない。
○:ラベル1000枚当たり1枚以下の頻度でラベル吸引エラーが発生した。
△:ラベル1000枚当たり1枚を超え2枚以下の頻度でラベル吸引エラーが発生した。
×:ラベル1000枚当たり2枚を超える頻度でラベル吸引エラーが発生した。
【0079】
(異方向引き裂き)
吸引引取り性評価を行ったサンプルの中から任意の100枚を抜き出し、連続部からシート状物のMDまたはCDに沿って伸びる異方向引き裂きが起きた頻度に基づいて次の通り判定した。
◎:異方向引き裂きが5個未満。
○:異方向引き裂きが5個以上10個未満。
△:異方向引き裂きが10個以上20個未満。
×:異方向引き裂きが20個以上またはシート状物が破断した。
【0080】
(異形部)
吸引引取り性評価を行ったサンプルの中から任意の10枚を抜き出し、連続部の破断状況を目視により観察した。
◎:ヒゲ状やバリ状の異形部が5か所未満。
○:ヒゲ状やバリ状の異形部が5か所以上10か所未満。
△:ヒゲ状やバリ状の異形部が10か所以上20か所未満。
×:ヒゲ状やバリ状の異形部が20か所以上。
【0081】
実施例1~4から、連続部の長さ寸法diが大きくなると、印刷時等にラベルに掛かる張力によるラベルの脱落が抑制されることが分かる。一方、連続部の長さ寸法diが大きすぎると、最大引張荷重ciが高くなりすぎてラベルが予期せぬ方向に裂けやすくなり、ヒゲ状やバリ状の異形部が生じることによるラベル形状不良がおこりやすくなる。また、実施例1に対する実施例5、および実施例8に対する実施例9,10からわかるとおり、
図9に示すように、前記角度θnを横軸とし、最大引張荷重ciを縦軸とする座標に、上式[1]による計算値(
図9では実施例1の計算値)のグラフを描いたときに、最大引張荷重ciが最小値となる角度θn(
図9では場所番号nで4番および10番)については、連続部を設けるのは避けるのが好ましい。また、実施例7からわかるとおり、最大引張荷重ciが最小値となる場所の連続部の長さ寸法diを大きくすることも好ましい。
一方で実施例8では、最大引張荷重ciが最大値になる角度(
図9の1番および7番)ではフィルムのTDに沿って裂けやすくラベル形状がよくない傾向があったが、実施例11ではここに連続部を設けないことによりラベル形状を向上させることができた。
また、実施例13及び比較例1の結果に基づいて、ラベルの脱落を抑制するためには、切取荷重Prを2N以上にするとよいことが分かる。一方で、実施例12のように切取荷重Prを25N以下にすると、フィルムからラベルを取り外すときの吸引エラーや異方向引き裂きの発生を抑制できた。
また、各実施例で使用したフィルムにおいて、最大引張り荷重ciが0.18Nを超えると連続部が破断しにくくなる傾向があった。
実施例13は、上記の知見を踏まえて各連続部15bの長さ寸法diを最適化したものである。
【0082】
なお、比較例1では、ラベル搬送工程においてラベルが脱落したため、他の評価を行うことができなかった。また、比較例2では、ラベルの吸引エラーの頻度が多いため、ラベル形状の評価(異方向引き裂き評価、及び異形部評価)は行わなかった。
【0083】
かくして、第1単位荷重a及び第2単位荷重bを測定するだけで、フィルムからラベルを取り外したとき、バリ(異形)の原因となる連続部の数を少なくし、小さい力でラベルを取り外すことができ、搬送時の張力によって不意に外れにくく、ラベル外周に異形部が生じにくい長尺のフィルムが得られた。
【0084】
[7.その他]
前記実施形態では、樹脂製の長尺のフィルム1に切取線15を設けることでラベル11を分離して取り出すようにしたが、本発明はこれに限定されない。
例えば、シート状物の形状として、長尺のものに替えて短尺の枚葉状のものを使用してもよい。また、本発明のシート状物とは、紙やフィルムのような折り曲げ可能な剛性の低いものだけでなく、剛性が比較的高く折り曲げできないような板状のものを含み、紙,金属箔,ベニヤ板,セラミック板も含まれる。
また、前記実施形態では、本発明は、ラベルの取出しに適用した例を説明したが、ラベルの取出しに限定されず、例えば、プラスチックからカードを取り出すものにも適用できるし、セラミック板からセラミック基板を取り出すものにも適用できる。
要するに、本実施形態で説明した切取線の設定方法は、切断部と連続部とが交互に設けられてなる切取線を使用して切り取りを行うものであれば適用可能である。
【0085】
また、本実施形態では、搬送機構50にて、フィルム1からラベル11を分離し、取り出す例を説明したが、ラベル11を取り出す方法は特に限定されない。例えば、ラベル11を吸引しておき、ラベル11以外の部位のフィルム(
図3の余白部13)をカス上げしてもよい。
【符号の説明】
【0086】
1,1A,1B,1C フィルム(シート状物)
10,11,11A,11B,12 ラベル(切取領域)
13 余白部
15,15A,15B 切取線
15a 切断部
15b,15b1,15b2,15b3,15b4,15b5,15b6 連続部 16 基準多角形
61 第一アーム部(取出装置)
62 第二アーム部
100 試験装置
101 粘着テープ
102 台座
103 つかみ部
104 打ち抜き型
a 第1単位荷重
b 第2単位荷重
di 連続部15bの長さ寸法
C 連続部15bの中点
CG ラベル11の重心
ci 連続部15bの最大引張荷重
DL 打ち抜き型104のTDに沿った径
DS 打ち抜き型104のMDに沿った径
Parm 引張荷重
Pr 切取荷重
Pg 引張荷重
MD 長手方向(第1方向)
TD 短手方向(第2方向)
θi 連続部15bのフィルム1の長手方向(第1方向)MDに対する角度