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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-04
(45)【発行日】2022-08-15
(54)【発明の名称】レゾルバのステータの芯出し方法
(51)【国際特許分類】
   G01D 5/20 20060101AFI20220805BHJP
【FI】
G01D5/20 110Q
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019085107
(22)【出願日】2019-04-26
(65)【公開番号】P2020180913
(43)【公開日】2020-11-05
【審査請求日】2021-10-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000149066
【氏名又は名称】オークマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柴田 伸二
【審査官】榮永 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-83355(JP,A)
【文献】特開2015-36645(JP,A)
【文献】特開2017-83357(JP,A)
【文献】特開2006-23210(JP,A)
【文献】特開2010-112899(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 5/00 - 5/252
G01B 7/00 - 7/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周に、円周方向に沿って凹凸が複数周期で配列されたロータプレートを有し、回転軸線周りに回転する検出ロータと、
前記ロータプレートの外周に対向して配置されたステータであって、それぞれが前記ロータプレートの外周とのギャップの大きさに応じた検出信号であり、前記凹凸の周期における90°の位相差を有する2相の検出信号を出力するステータと、
を有するレゾルバにおける前記ステータの芯出し方法であって、
前記検出ロータを停止した状態で、当該検出ロータと前記ステータを相対的に並進移動させ、前記2相の検出信号の出力値が示すリサジュー半径が小さくなるように前記ステータを位置決めするステップと、
前記検出ロータを回転させて、1回転分の前記2相の検出信号を取得し、前記リサジュー半径の1回転周期成分の振幅を算出するステップと、
前記リサジュー半径の前記振幅に基づき芯出しの完了と再芯出し要の判定をするステップと、
を有する、ステータの芯出し方法。
【請求項2】
請求項1に記載のレゾルバのステータの芯出し方法であって、芯出しの完了と再芯出し要の判定をする前記ステップにおいて、前記リサジュー半径の前記振幅は、前記リサジュー半径の1周期成分の振幅と当該レゾルバの検出精度の関係に基づきあらかじめ定められている判定基準値と比較される、方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載のレゾルバのステータの芯出し方法であって、再芯出しを所定回数行っても芯出しが完了しない場合、前記検出ロータの製品不良を判定する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、レゾルバのステータの芯出し方法、特にレゾルバの出力する2相の検出信号により形成されるリサジュー図形を用いた芯出し方法に関する。
【背景技術】
【0002】
機械の回転部の角度位置を検出するレゾルバが知られている。レゾルバは、円周方向に沿って凹凸が配列されたロータプレートを有する検出ロータと、検出ロータの回転に伴ってロータプレートの凹凸に応じた正弦波の検出信号を出力するステータとを有する。検出信号は、ロータプレートの凹凸周期に対して90°の位相差をもった2相の検出信号である。2相の検出信号の比の逆正接に基づき検出ロータの凹凸周期内の角度位置を得ることができる。2相の検出信号の出力値をそれぞれ直交座標系の2軸の座標とする点の軌跡がいわゆるリサジュー図形である。レゾルバの2相の検出信号は、振幅および角周波数は等しく、位相差は90°であるので、リサジュー図形は基本的に円となる。以下、2相の検出信号の出力値を直交座標系の座標とする点を「リサジュー点」と記す。
【0003】
レゾルバを製作する際、検出ロータとレゾルバの磁気的中心を一致させる芯出し作業が必要となる。下記特許文献1には、リサジュー図形を利用したレゾルバの芯出し方法が示されている。図5には、設計値によるリサジュー図形、この場合はリサジュー円が破線で示されている。検出ロータを停止した状態のリサジュー点が白丸「○」および黒丸「●」で示されている。これらのリサジュー点が設計値によるリサジュー円上になるように、ステータをロータに対して移動させることで芯出しが行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-36645号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1において芯出し過程で利用されるリサジュー円は設計値に基づくものであり、各部品の寸法精度のために現実のものとは差異がある。このため、リサジュー点を設計値によるリサジュー円上に合わせると、正確に芯出しがなされない場合がある。また、検出ロータの磁気的中心がその回転中心からずれていた場合、芯出しをした角度位置においてリサジュー点を設計値によるリサジュー円上に位置させたとしても、他の角度位置ではリサジュー円からずれてしまう場合がある。これらの理由から所定の検出精度が得られなかった場合、後工程である検出精度の検査工程で不具合が発見される。
【0006】
本発明は、位置検出精度が所定の値に達しない製品をステータの芯出し工程で見つけ出すことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るレゾルバのステータの芯出し方法においては、リサジュー図形を用いて位置検出精度を推定する。リサジュー図形は、レゾルバの2相の検出信号の出力値それぞれを直交座標系の2軸の座標とする点の軌跡である。前述のようにこの点が「リサジュー点」であり、リサジュー点と、この直交座標系の原点の距離を「リサジュー半径」と記す。
【0008】
本発明の方法において、まず、検出ロータを停止した状態で、検出ロータとステータを相対的に並進移動させ、2相の検出信号の出力値が示すリサジュー半径が小さくなるようにステータの位置決めを行う。次に、検出ロータを回転させて、検出ロータの1回転分の2相の検出信号を取得し、この検出信号に基づき、リサジュー半径の1回転周期成分の振幅を算出する。そして、リサジュー半径のこの振幅に基づき芯出しの完了を判定する。振幅が所定の値以下であれば芯出しが完了したと判定し、所定の値を超えていれば再度芯出しが必要であると判断し、上述の作業を再度実行する。
【0009】
芯出し完了の判定に用いる値は、リサジュー半径の1回転周期成分の振幅とレゾルバの位置検出精度の関係をあらかじめ求めて、定めることができる。
【0010】
芯出し作業を所定回数繰り返しても、芯出しが完了しない場合、検出ロータの製品の不良と判定するようにできる。
【発明の効果】
【0011】
位置検出精度と関係のあるリサジュー半径の1回転周期成分の振幅を用いることで、ステータの芯出しの工程で、このレゾルバの位置検出精度が推定でき、位置検出精度が所定の値に達しない製品をこの工程で見出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】レゾルバとレゾルバのステータの芯出し装置の構成を模式的に示す図である。
図2】リサジュー図形の説明図である。
図3】芯振れのない検出ロータのロータプレートと磁極の位置関係を示す図である。
図4】芯振れのある検出ロータのロータプレートと磁極の位置関係を示す図であり、特にステータの芯出し作業後の位置関係を示す図である。
図5】芯振れのある検出ロータのロータプレートと磁極の位置関係を示す図であり、特にロータプレートを図4に示す位置から180°回転させた状態を示す図である。
図6】リサジュー円の実例を示す図である。
図7】リサジュー半径の1回転周期成分の変動を示す図である。
図8】芯振れのある検出ロータのロータプレートと磁極の位置関係を示す図であり、特に、ロータプレートの位置が図4とは異なる場合のステータ芯出し作業後の位置関係を示す図である。
図9】芯振れのある検出ロータのロータプレートと磁極の位置関係を示す図であり、特にロータプレートを図8に示す位置から180°回転させた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明に係るレゾルバのステータの芯出し方法の実施の形態を説明する。図1は、レゾルバ10と、レゾルバの芯出しのための装置(芯出し装置12)を模式的に示す図である。レゾルバ10は、回転角度の検出対象となる機械の回転部に取り付けられて、この回転部と一体に回転する検出ロータ14と、検出対象の静止した部分に対して固定されるステータ16と、軸受18を介して検出ロータ14を回転可能に支持するハウジング20を含む。
【0014】
検出ロータ14は、軸受18に支持される円柱形状のロータ軸部22と、ロータ軸部22に固定され、これと一体となって回転するロータプレート24を含む。ロータ軸部22は、ハウジング20と軸受18で規定される回転軸線Aの周りに回転可能に支持される。ロータ軸部22が、対象となる機械の回転部に結合される。ロータプレート24は、概略円板形状であって回転軸線Aに直交する平面内に配置され、その円板形状の円周に沿って、所定ピッチで凹凸が形成されている。以降、この凹凸の周期を「凹凸周期」と記す。
【0015】
ステータ16は、ロータプレート24の外周に対向するように配置された磁極26,28を有するステータコア30と、磁極26,28に巻回された励磁コイル(不図示)および検出コイル(不図示)を有する。磁極26,28は、周方向に、凹凸周期の四分の1の間隔をもって配置される。励磁コイルに交流電流を供給することにより、磁極26,28とロータプレート24の間のギャップに応じた電流が検出コイルに誘導される。磁極26,28とロータプレート24のギャップが大きいと検出コイルに流れる電流は小さくなり、ギャップが小さいと電流は大きくなる。ロータプレート24の外周には凹凸が形成されているので、ロータプレート24が回転すると、検出コイルに流れる電流は、凹凸の周期で変化する。よって、検出コイルからの出力は、ロータプレート24の凹凸の周期に応じた検出信号として利用できる。また、磁極26と磁極28が凹凸周期の四分の1の間隔で配置されているため、これらの磁極26,28の検出コイルからの検出信号S,Cは、位相差が90°となる。検出信号S,Cが正弦波状の信号であれば、検出信号S,Cの逆正接に基づき、その時の、検出ロータの凹凸周期内の角度位置を取得することができる。
【0016】
ステータ16は、回転軸線Aに直交する平面内でハウジング20に対して並進移動可能であり、任意の位置でハウジング20に固定することができる。この並進移動により、検出ロータ14とステータ16の磁気的中心を一致させる。この作業がステータの芯出しである。
【0017】
芯出し装置12は、検出ロータ14を回転させる回転機32と、回転機32が載置され、回転機32を回転軸線Aに直交する平面内で並進移動させるXYテーブル34とを含む。回転機32の出力軸に検出ロータ14のロータ軸部22が同時に固定されている。回転機32がXYテーブル34に並進移動されると、これに伴い検出ロータ14およびハウジング20が並進移動し、検出ロータ14とステータ16が回転軸線Aに直交する平面内で相対移動する。XYテーブル34は、柱36と共にベース38上に配置される。柱36の上端には、押さえ40が固定されている。押さえ40は、ゴム板42を介してステータ16をハウジング20に向けて押圧する。芯出し装置12は、さらに制御装置44を備える。制御装置44は、ステータ16からの2相の検出信号S,Cを受け、後述するリサジュー図形を表示する。また、回転機32の回転およびXYテーブル34の並進移動を制御する。
【0018】
図2は、リサジュー図形の説明図である。検出信号S,Cの出力値を、直交座標系の座標値とすると点Pを得る。この点Pが前述のリサジュー点である。リサジュー点Pと座標系の原点Oとの距離rが前述のリサジュー半径である。検出ロータ14が回転するとリサジュー点Pも回転する。前述のように、検出信号S,Cは、周期および振幅が等しいので、リサジュー点Pの軌跡は原点Oを中心とする円となる。この円がリサジュー円である。あるリサジュー点Pと原点Oを結ぶ半径が横軸となす角φが、検出ロータ14の角度位置に関連する。
【0019】
ステータの芯出し工程の概略について説明する。ステータの芯出し工程は、検出ロータ14の磁気的中心とステータ16の磁気的中心を位置させる芯出し作業と、芯出し作業後のレゾルバ10が所定の検出精度を得られるかを判定する判定作業を含む。芯出し作業では、まず、検出ロータ14を回転させずに停止した状態で、XYテーブル34により検出ロータ14およびハウジング20を並進移動させてリサジュー半径rが小さくなるように、検出ロータ14とステータ16の相対位置を定める。具体的には、リサジュー点Pを表示装置に表示させて、リサジュー点Pが原点Oに最も近くなるように、ステータ16に対する検出ロータ14の位置を定める。この状態で、ステータ16をハウジング20にねじ留めする。
【0020】
次に、判定作業が行われる。まず、回転機32を駆動して検出ロータ14を回転させて少なくとも検出ロータ14の1回転分の検出信号S,Cを取得する。この検出信号S,Cから検出ロータ14の1回転分のリサジュー半径rを得て、さらに検出ロータ14の1回転を1周期とするリサジュー半径rの1周期成分を取得する。この成分を、リサジュー半径rの1回転周期成分と記す。リサジュー半径rの1回転周期成分は、理想的には変動しない。リサジュー半径rの1回転周期成分の振幅があらかじめ定められた基準値以下であれば、芯出し作業を終了する。基準値を超えていた場合、ステータ16を留めていたねじを緩め、ハウジング20に対して移動可能として、再度芯出し作業を行う。芯出し作業を所定回数繰り返しても、リサジュー半径rの1回転周期成分の振幅が基準値以下とならない場合、検出ロータ14の不良を判定する。リサジュー半径rの1回転周期成分の変動(振幅)がレゾルバの検出精度と関連することが知られている。前記の基準値は、求める製品に要求される精度に基づきあらかじめ定めておくことができる。
【0021】
検出ロータ14は、ロータ軸部22の中心軸線周りに回転する。ロータ軸部22の中心軸線にロータプレート24の中心軸線が一致していないと、検出ロータ14が回転するときロータプレート24は偏心して回転する。偏心があると、偏心のために磁極26,28とギャップが変動し、レゾルバの検出精度が低下する。上記の判定作業を行うことで、芯出し工程において、検出ロータ14の寸法精度を把握することができ、レゾルバ製作過程の早い段階で製品不良を把握することができる。
【0022】
芯出し工程について、より詳細に説明する。図3は、検出ロータ14とステータ16の回転軸線Aに直交する平面内の位置関係を模式的に示す図である。検出ロータ14は、外周の凹凸が省略されたロータプレート24のみが示され、ステータ16は、磁極26のみが示されている。概略円形のロータプレート24の中心Rは磁気的中心であり、また回転軸線A、つまりロータ軸部22の中心軸線に一致している。したがって、検出ロータ14が回転するとき、ロータプレート24は図3に示された位置からずれることなく回転する。磁極26は、ロータプレート24を挟んで互いに対向するように配置された2つの磁極26A,26Bから構成される。ステータ16の中心Mは、各磁極の先端を通る円の中心であり、また磁気的な中心である。図3は、ステータ16の中心Mが、検出ロータの回転軸線Aからずれた状態、つまり芯ずれした状態を示している。一方の磁極26Aから出力された信号に、他方の磁極26Bから出力された信号の正負を逆転した信号を加算して検出信号が生成される。このように磁極26を構成することで、芯ずれによって一方の磁極26Aの信号が小さくなっても、他方の磁極26Bの信号が大きくなるので、加算された検出信号がギャップの変化による影響を受けにくくしている。ただし、ギャップに対する磁極26A,26Bの出力は、ギャップが小さくなると急激に大きくなり、1次関数とならないため、芯ずれの影響は完全には相殺されない。加算された検出信号が最小となるのは、2つの磁極26A,26Bのギャップが一致したときである。
【0023】
前述のように芯出し作業を行うことによって、つまり検出ロータ14が停止した状態でリサジュー半径rを小さくすることによって、対向配置される2つの磁極26A,26Bのギャップは等しくなる。磁極28に関しても同様であり、ステータ16の芯ずれが解消される。
【0024】
次に、検出ロータ14に芯振れがある場合の芯出し工程について説明する。図4には、ロータ軸部22の中心軸線、すなわち回転軸線Aに対し、ロータプレートの中心Rがずれている、いわゆる芯振れのある検出ロータ14と、ステータ、特に磁極26の位置関係が模式的に示されている。ロータプレート24の中心Rは、検出ロータ14の回転軸線Aからずれている。この中心Rが回転軸線Aからずれている状態が芯振れである。芯振れのある検出ロータ14に対し、芯出し作業を行うと、2つの磁極26A,26Bは、ロータプレート24に対してギャップが等しくなるように配置され、ロータプレート24の中心Rとステータ16の中心Mが一致する。この状態が図4に示されている。
【0025】
判定作業のために、検出ロータ14を回転させると、検出ロータを180°回転した位置において、図5に示すように磁極28Bのギャップが狭くなる。前述のように、ギャップが狭くなるとその磁極が出力する信号が急激に大きくなり、反対側の磁極の出力する信号では増加分を相殺しきれない。このため、芯振れがある検出ロータ14の場合、対向する2つの磁極の出力を加えた検出信号S,Cは検出ロータ14の回転周期で変動し、この結果、リサジュー半径rが検出ロータ14の回転周期と同じ周期で変動する。図6は、リサジュー円の一例であり、図7は、横軸が検出ロータ14の角度位置、縦軸がリサジュー半径rであり、リサジュー半径rの1回転周期成分を示す図である。実線が検出ロータ14に芯振れがある場合を示し、破線が芯振れがない場合を示す。検出ロータ14の1回転当たりのリサジュー円の数は、ロータプレート24の凹凸の数となる。検出ロータ14に芯振れがある場合、リサジュー円は大きくなり、かつ検出ロータ14が1回転する間に変動する。
【0026】
リサジュー半径rの1回転周期成分の振幅から、検出ロータ14の芯振れの量をある程度推定できる。リサジュー半径rの1回転周期成分が大きければ、検出ロータ14の芯振れも大きい。芯振れが大きい場合、レゾルバ10の検出精度が悪化することが知られており、リサジュー半径rの1回転周期成分に基づき、検出ロータ14の芯振れに関する不良品を排除することができる。
【0027】
リサジュー半径rの1回転周期成分の振幅は、芯出し作業における検出ロータ14の停止した角度位置に影響を受ける。前述の図4に示される位置は、芯出し作業中、対向する磁極26A,26Bを結ぶ直線上にロータプレート24の中心Rがあり、この場合、リサジュー半径rの1回転周期成分の振幅が大きくなる。一方、図8は、ロータプレートの中心Rが、対向する磁極26A,26Bを結ぶ直線に直交し、かつ回転軸線Aを通る直線上に位置しており、この場合、図9に示すように、磁極26Bのギャップは、図5に示す場合ほどには狭くならない。したがって、リサジュー半径rの1回転周期成分の振幅も図4,5に示す場合に比べて小さくなり、レゾルバの検出精度の要求が満たされる場合がある。このように、芯出し作業における検出ロータ14の角度位置が異なると、リサジュー半径rの1回転周期成分の振幅が変化するので、1回の判定作業により、振幅が基準値を満たさなかったとしても、検出ロータ14を異なる角度位置にして、再度芯出し作業、判定作業を行う。芯出し作業を所定回数行っても、振幅が基準値を満たさなかった場合、検出ロータ14の不良を判定する。
【0028】
このように、リサジュー図形、特にリサジュー半径rの1回転周期成分の振幅を利用することで、ステータの芯出し工程において、検出ロータ14の不良を判定することができる。これにより、ステータの芯出し工程より後の工程となる位置検出精度の検査工程よりも早い段階で不良判定をすることができ、検査工程で不良となったために再度芯出し工程に戻るという組立工程の無駄を減らすことができる。
【符号の説明】
【0029】
10 レゾルバ、12 芯出し装置、14 検出ロータ、16 ステータ、18 軸受、20 ハウジング、22 ロータ軸部、24 ロータプレート、26,28 磁極、30 ステータコア、32 回転機、34 XYテーブル、36 柱、38 ベース、40 押さえ、42 ゴム板、44 制御装置、r リサジュー半径、P リサジュー点、A 回転軸線、R ロータプレートの中心(磁気的中心)、M ステータの中心(磁気的中心)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9