(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-04
(45)【発行日】2022-08-15
(54)【発明の名称】電気終端を有するキャパシタ
(51)【国際特許分類】
H01G 4/30 20060101AFI20220805BHJP
【FI】
H01G4/30 201H
H01G4/30 513
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019104916
(22)【出願日】2019-06-05
【審査請求日】2020-08-13
(32)【優先日】2018-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】519202843
【氏名又は名称】ノウルズ (ユーケー) リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【氏名又は名称】廣田 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100107733
【氏名又は名称】流 良広
(74)【代理人】
【識別番号】100115347
【氏名又は名称】松田 奈緒子
(72)【発明者】
【氏名】ステファン・ホップウッド
(72)【発明者】
【氏名】アンジェラ・エルモア
(72)【発明者】
【氏名】デヴィッド・ベケット
【審査官】菊地 陽一
(56)【参考文献】
【文献】特開昭53-015558(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0198530(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0190527(US,A1)
【文献】実開平07-014637(JP,U)
【文献】特公昭41-015373(JP,B1)
【文献】特開昭63-211713(JP,A)
【文献】実開昭62-089118(JP,U)
【文献】特開昭64-081306(JP,A)
【文献】特開昭49-008593(JP,A)
【文献】実開昭57-121128(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 4/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のアノード及び複数のカソードが積層体として配された誘電材料の本体と、
前記積層体における前記アノード及び前記カソードとの間に配された
、前記誘電材料のキャパシタンス形成層と、
前記アノードのための第1の電気機械的接続部と、
前記カソードのための第2の電気機械的接続部と、を含むキャパシタであって、
前記第1の電気機械的接続部及び前記第2の電気機械的接続部はそれぞれ、
前記積層体の方向において前記本体内に延在する複数のホールを含み、
前記ホールには、それぞれ電気コネクタが設けられており、それぞれの電気コネクタは、前記アノード又は前記カソードのいずれかと電気的に接触しており、
前記電気コネクタはそれぞれ、コンタクトピンを保持するのに適しており、
前記電気コネクタはそれぞれ、
中空のスリーブと、前記スリーブ内に延在するコンプライアント要素を含み、前記コンプライアント要素は、前記電気コネクタが前記コンタクトピンを保持しているときに前記コンタクトピンにかかる機械的な力の前記本体への伝達を低減するように構成されて
おり、
前記コンプライアント要素が、前記コンタクトピンを保持するためのフィンガを含むことを特徴とするキャパシタ。
【請求項2】
前記第1の電気機械的接続部及び前記第2の電気機械的接続部が、前記キャパシタの対向するエッジに沿って配される請求項1に記載のキャパシタ。
【請求項3】
前記本体が、前記複数のアノード及び前記複数のカソードの周囲を囲むエッジマージンを含む請求項1から2のいずれかに記載のキャパシタ。
【請求項4】
前記第1の電気機械的接続部のホールが前記アノードを通って延在し、前記第2の電気機械的接続部のホールが前記カソードを通って延在する請求項1から3のいずれかに記載のキャパシタ。
【請求項5】
前記アノード及び前記カソードが、前記アノードが前記カソードと平面において重ならない領域を画定するように配され、電気機械的接続部のホールは、前記領域を通って延在する請求項4に記載のキャパシタ。
【請求項6】
前記第1の電気機械的接続部及び前記第2の電気機械的接続部のホールが、導電性ボアを有する請求項1から5のいずれかに記載のキャパシタ。
【請求項7】
2つ以上の電気コネクタが、電気機械的接続部のホールに配される請求項1から6のいずれかに記載のキャパシタ。
【請求項8】
前記ホールが、前記本体の上面と前記本体の底面との間に延在する貫通孔である請求項1から7のいずれかに記載のキャパシタ。
【請求項9】
請求項8に記載の2つ以上の多層キャパシタを積層体として配されて含むキャパシタアセンブリであって、前記キャパシタのホールが、共通の軸に沿って位置決めされ、共通のコンタクトピンが、位置決めされた前記ホールを通って前記軸に沿って延在し、前記多層キャパシタを互いに接続することを特徴とするキャパシタアセンブリ。
【請求項10】
キャパシタを組み立てるためのキットであって、
容量コンポーネントと、
複数の電気コネクタと、
複数のコンタクトピンとを含み、
前記容量コンポーネントは、
誘電材料の本体と、
複数のホールとを含み、
前記本体において、複数のアノードと複数のカソードが、積層体として配され、前記積層体における前記アノードと前記カソードとの間に、前記誘電材料のキャパシタンス形成層が配され、
前記複数のホールは、前記積層体の方向において本体内に延在し、且つ、それぞれのホールは、前記アノード又は前記カソードのいずれかと連絡しており、
それぞれの電気コネクタは、前記アノード又は前記カソードと電気的に接触して一つの前記ホール内に配されることができ、且つ前記コンタクトピンを前記ホール内に保持するのに適しており、
前記電気コネクタのそれぞれは、中空のスリーブと、前記スリーブ内に延在するコンプライアント要素を含み、前記コンプライアント要素は、組み立てられたキャパシタにおいて、前記コンタクトピンにかかる機械的な力の前記本体への伝達を低減するように構成されており、
前記コンプライアント要素が、前記コンタクトピンを保持するためのフィンガを含むことを特徴とするキット。
【請求項11】
前記ホールが、貫通孔であり、前記コンタクトピンが、前記容量コンポーネントの高さの2倍よりも大きい長さを有し、前記コンタクトピンが、積層体として配された2つ以上の容量コンポーネントを通って延在することができる請求項10に記載のキット。
【請求項12】
前記コンタクトピンが、コンプライアントコンタクトピンである請求項10に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、キャパシタ、2つ以上のキャパシタを含むキャパシタアセンブリ、キャパシタを組み立てるためのキット、及び機械的ストレスから多層キャパシタを保護するための電気機械的接続部の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
キャパシタは、逆極性の一対の電極間に設けられた誘電材料の少なくとも1つの容量層を含む。各電極対の間に配された複数の容量層を有する多層構造も可能である。キャパシタは、また、回路の他のコンポーネントに電極を電気的に接続するための電気終端を含む。例えば、電極は露出端を有することができ、前記終端が、前記露出端と電気的に接触するエンドキャップの形態をとることができる。
【0003】
キャパシタに使用される誘電材料は、セラミックなどの脆い材料である。その結果、キャパシタは、特に機械的ストレスによる損傷を受けやすい。サイズは、損傷の受けやすさを決める因子である。一般的に言えば、部品が大きいほど、損傷を受けやすくなる。このことは、実際に使用できる部品のサイズを制限し、動作電圧及び最大キャパシタンスに制限を課す。これまで、回路基板に直接実装できる多層キャパシタのサイズは、通常、約6.35mm×12.7mm(即ち、0.25’’×0.5’’)に制限されている。
【0004】
機械的ストレスは、キャパシタを含む回路の組立て中、及び/又はその後の回路の使用中に発生し得る。例えば、回路基板が振動又は動揺に曝され得る。振動は、自動車や航空機に使用される回路基板において特に問題である。
【0005】
多層キャパシタを損傷から保護するための1つのアプローチは、リードフレームを取り付けることである。リードフレームは、キャパシタを保持し、外部からのストレスを吸収することによって、損傷から保護する金属構造体である。このアプローチの潜在的な欠点は、リードフレームを多層キャパシタに取り付けることが困難であり得ることである。 キャパシタをリードフレームに合わせることが、問題となり得る。キャパシタをリードフレームに接続するために高温はんだを使用する必要があることがある。
【0006】
機械的ストレスによる損傷から多層キャパシタを保護する改良されたアプローチが、当技術分野において必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
1つの態様において、本発明は、
誘電材料の本体と、
電気機械的接続部とを含むキャパシタであって、
前記本体において、少なくとも1つのアノードと少なくとも1つのカソードが、積層体として配され、前記積層体における前記少なくとも1つのアノードと前記少なくとも1つのカソードとの間に、前記誘電材料の少なくとも1つのキャパシタンス形成層が配され、
前記電気機械的接続部が、
前記積層体の方向において前記本体内に延在する少なくとも1つのホールを含み、
前記少なくとも1つのホールは、電気コネクタを含み、前記電気コネクタは、前記少なくとも1つのアノード又は前記少なくとも1つのカソードのいずれかと電気的に接触しており、
前記電気コネクタは、コンプライアント要素を含み、コンタクトピンを保持するのに適しており、前記コンプライアント要素は、前記電気コネクタが前記コンタクトピンを保持しているときに前記コンタクトピンにかかる機械的な力から前記本体を分離するように構成されているキャパシタを提供する。
【0008】
キャパシタが回路内においてその場(in situ)にあるとき、電気コネクタはコンタクトピンを保持する。しかし、キャパシタをコンタクトピンとは別に設けてもよく、キャパシタを回路内に組み立てるときにコンタクトピンを回路に組み込んでもよい。コンタクトピンは、キャパシタと同じ供給元又は異なる供給元から提供されてもよい。
【0009】
コンプライアント要素は、キャパシタの本体を損傷から保護するのに役立つ。例えば、キャパシタがコンタクトピンを介して回路基板に実装された後、回路基板が衝撃又は振動を受けた場合、これらの力は、コンタクトピンが本体に対して動くことを可能にするコンプライアント要素によって吸収される。例えば、コンプライアント要素は、曲がったり撓んだりすることができる。コンプライアント要素は、キャパシタの本体に伝達される力の大きさを低減するように作用して、キャパシタに対する損傷を防ぐ。
【0010】
少なくとも1つのアノードは、複数のアノードを含むことができ、少なくとも1つのカソードは、複数のカソードを含むことができる。この構成では、アノードとカソードが交互積層体として配され、誘電材料の層が、各アノード-カソード対の間に配される。換言すれば、キャパシタは、多層キャパシタであることができる。多層キャパシタは、同じキャパシタンスの単層キャパシタよりも平面上、よりコンパクトであることができる。
【0011】
少なくとも1つのホールは、複数のホールであることができる。複数のホールとそれに対応する複数の電気コネクタは、機械的な力をより大きな面積に分布させることができ、これにより、キャパシタに対する損傷のリスクを更に低減する。ホールは、それぞれの電極の一端から間隔を空けて一列に配することができる。
【0012】
前記キャパシタは、更に、第2の電気機械的接続部を含むことができ、前記第2の電気機械的接続部は、前記積層体の方向において前記本体内に延在する少なくとも1つの第2のホールを含み、前記少なくとも1つの第2のホールに第2の電気コネクタが設けられており、前記第2の電気コネクタは、前記少なくとも1つのアノード及び前記少なくとも1つのカソードのうちの他方に電気的に接触しており、前記第2の電気コネクタは、コンプライアント要素を含み、更なるコンタクトピンを保持するのに適しており、前記コンプライアント要素は、前記第2の電気コネクタが前記更なるコンタクトピンを保持しているときに前記更なるコンタクトピンにかかる機械的な力から前記本体を分離するように構成されている。第1の電気機械的接続部及び第2の電気機械的接続部は、キャパシタの対向するエッジに沿って配することができる。本明細書に記載されるように、両方の組の電極に電気機械的接続部を設けることにより、キャパシタに対する損傷をよりよく防ぐことができる。両方の組の電極に同じ種類の終端を使用することにより、キャパシタの構成を単純化することもできる。
【0013】
例えば、キャパシタは、少なくとも1つのアノードのための第1の電気機械的接続部と、少なくとも1つのカソードのための第2の電気機械的接続部とを含むことができる。第1の電気機械的接続部及び第2の電気機械的接続部はそれぞれ、積層体の方向において本体内に延在する複数のホールを含むことができる。ホールには、それぞれ電気コネクタが設けられている。電気コネクタはそれぞれ、コンタクトピンを保持するのに適しており、且つ電気コネクタがコンタクトピンを保持しているときにコンタクトピンにかかる機械的な力から本体を分離するように構成されているコンプライアント要素を含む。第1の電気終端及び第2の電気終端は、キャパシタの対向するエッジに沿って配することができる。
【0014】
本体は、少なくとも1つのアノード及び少なくとも1つのカソードの周囲を囲むエッジマージンを含むことができる。電極の電気終端は、ホールと電気コネクタを使用して達成されるので、電極が本体の外側に露出したエッジを有する必要はない。
【0015】
誘電材料は、セラミックであることができる。換言すれば、キャパシタは、セラミックキャパシタであることができる。好ましい誘電材料の一例としては、WO2015/124698に詳細に記載されているように、ビスマスフェライト、チタン酸ストロンチウム、及びチタン酸バリウムが挙げられる。多くのセラミック材料は脆く、機械的ストレスによって容易に損傷を受ける。したがって、本明細書に記載の電気終端は、セラミック材料から構成されたキャパシタに特に適している。
【0016】
少なくとも1つのホールは、少なくとも1つのアノード又は少なくとも1つのカソードのいずれかを通って延在することができる。ホールが、関連する電極を通って延在する場合、電極と電気コネクタとの間の接触に利用可能な表面積が最大化される。或いは、少なくとも1つのホールは、電極のエッジと連絡してもよい。
【0017】
電極は、少なくとも1つのアノードが平面上において少なくとも1つのカソードと重ならない領域を画定するように配することができ、ホールはこの領域を通って延在する。例えば、少なくとも1つのアノードは、前記領域を画定するように少なくとも1つのカソードから水平方向に部分的にオフセットされていてもよい。この構成は、製造中にホールの簡単な形成を可能にし得る。
【0018】
ホールは、導電性のボアを有していてもよい。例えば、ホールのボアに導電性スリーブ又はコーティングを設けることができる。導電性のボアは、積層体の同一極性(アノード又はカソード)の複数の電極を終端処理することを可能にする。電気コネクタが更なるコンポーネントとして提供されるときに、導電性ボアは、電気コネクタとの良好な電気的接触をもたらすことができる。或いは、導電性ボアは、コンプライアントな導電性要素を含むことができ、この場合、導電性ボアは電気コネクタとして作用する。例えば、導電性ボアは、導電性ポリマーなどの圧縮性導電材料のコーティングを含むことができる。或いは、ボアに、1つ以上のコンプライアント導電性要素を含む導電性スリーブを設けることができる。
【0019】
コンプライアント要素は、コンタクトピンを保持するためのフィンガを含むことができる。コンプライアント要素の様々な例としては、フラップ;フィンガ;及びフラットスプリング、特に、フラットカンチレバースプリング(傾斜バネとも称される)などが挙げられる。
【0020】
電気コネクタは、スリーブを含むことができる。スリーブは、中空管の形態をとることができる。スリーブは、電極との良好な電気的接触を提供することができ、ボアに導電性コーティングが存在する場合には導電性コーティングを介してもよい。
【0021】
電気コネクタは、傾斜バネの形態であることができる。電気コネクタは、ベリリウム-銅合金製であることができる。ベリリウム-銅合金は、優れた導電性及び繰り返し機械的ストレスに対する耐性を有することができ、コンプライアントな導電性要素を構成するのに特に適している。他の可撓性のバネ金属(flexible sprung metals)を使用してもよい。
【0022】
電気コネクタは、摩擦嵌合によってホールに保持することができる。これにより、製造を単純化することができる。或いは、電気コネクタは、はんだ又は接着剤によってホール内に保持される。これにより、電気コネクタとホールとの間に強固な接合をもたらすことができる。
【0023】
コンプライアントな導電性要素は、摩擦嵌合によってコンタクトピンを保持するように構成することができる。これにより、製造を単純化することができる。或いは、コンタクトピンは、はんだ又は接着剤によって電気コネクタ内に保持することができる。これにより、コンタクトピンと電気コネクタとの間に強固な接合をもたらすことができる。
【0024】
2つ以上の電気コネクタをホールに配することができる。複数のコネクタを使用することにより、コンタクトピンをより確実に保持することが可能になり得る。
【0025】
ホールは、本体の上面と本体の底面との間に延在する貫通孔であることができる。貫通孔としてホールを構成することは、積層体として配される2つ以上のキャパシタを含むキャパシタアセンブリの構成を可能にする。アセンブリにおいて、キャパシタのホールは、共通の軸に沿って位置決めされ、共通のコンタクトピンは、位置決めされたホールを通って軸に沿って延在し、多層キャパシタを互いに接続する。キャパシタアセンブリは、本発明の更なる態様である。
【0026】
更なる態様において、本発明は、キャパシタを組み立てるためのキットであって、
容量コンポーネントと、
電気コネクタと、
コンタクトピンとを含み、
前記容量コンポーネントは、
誘電材料の本体と、
少なくとも1つのホールとを含み、
前記本体において、少なくとも1つのアノードと少なくとも1つのカソードが、積層体として配され、前記積層体における前記少なくとも1つのアノードと前記少なくとも1つのカソードとの間に、前記誘電材料の少なくとも1つのキャパシタンス形成層が配され、
前記少なくとも1つのホールは、前記積層体における本体内に延在し、且つ前記少なくとも1つのアノード又は前記少なくとも1つのカソードのいずれかと連絡しており、
前記電気コネクタは、前記少なくとも1つのアノード又は前記少なくとも1つのカソードのいずれかと電気的に接触して前記ホール内に配されることができ、且つ前記コンタクトピンを前記ホール内に保持するのに適しており、
前記電気コネクタは、コンプライアント要素を含み、前記コンプライアント要素は、組み立てられたキャパシタにおいて、前記コンタクトピンにかかる機械的な力から前記本体を分離するように構成されているキットを提供する。前記キットは、本明細書に記載のキャパシタを組み立てるのに有用である。
【0027】
理解されるように、上述したキャパシタの各種特徴は、キットにおいても具現化することができる。
【0028】
例えば、少なくとも1つのホールは貫通孔であることができ、コンタクトピンは、容量コンポーネントの高さの2倍よりも大きい長さを有することができ、その結果、コンタクトピンは、積層体として配された2つ以上の容量コンポーネントを通って延在することができる。このキットは、本明細書に記載されるキャパシタアセンブリを組み立てるのに有用であろう。
【0029】
本発明の別の態様は、機械的な力によってもたらされるストレスからキャパシタを保護するための電気機械的接続部の使用であって、前記電気機械的接続部は、キャパシタの本体に延在するホールと、前記ホールに設けられる電気コネクタとを含み、前記本体内は、誘電材料から形成され、少なくとも1つのアノードと少なくとも1つのカソードが、前記本体に積層体として配され、前記積層体における前記少なくとも1つのアノードと前記少なくとも1つのカソードとの間に、前記誘電材料の少なくとも1つのキャパシタンス形成層が配され、
前記電気コネクタは、前記少なくとも1つのアノード又は前記少なくとも1つのカソードのいずれかと電気的に接触しており、
前記電気コネクタは、コンタクトピンを保持し、且つコンプライアント要素を含み、前記コンプライアント要素は、前記本体を前記機械的ストレスから分離する使用を提供する。
【0030】
機械的ストレスは、例えば、振動によって引き起こされ得る。振動は、自動車及び航空機の移動中、移動体エンジン又は移動体の動きにより一般に遭遇される。本明細書に記載のキャパシタは、自動車、特にハイブリッド自動車又は電気自動車において特に有用である。
【0031】
電気機械的接続部が使用されるキャパシタは、本発明のキャパシタの態様に関して上述した各種特徴のいずれかを有することができる。特に、キャパシタは、複数のアノードと複数のカソードを有する多層キャパシタであることができる。
【0032】
本発明は、詳細な説明及び添付図面からより完全に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1a】
図1aは、本発明の実施形態に係る多層キャパシタの2つの電気機械的接続部を通る断面図であり、電気機械的接続部の内部構造を示す。
【
図1b】
図1bは、
図1aの多層キャパシタの更なる断面図であり、電気機械的接続部から離れたキャパシタの内部構造を示す。
【
図2b】
図2bは、
図1の多層キャパシタの斜視図であり、キャパシタの内部構造の一部を示す。
【
図3a】
図3aは、本発明の実施形態に係る多層キャパシタの部分断面図であり、電気コネクタの第1の例の詳細を示す。
【
図3b】
図3bは、多層キャパシタの部分断面図であり、
図3aの電気コネクタの変形例の詳細を示す。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態に係る多層キャパシタの部分断面図であり、電気コネクタの更なる例を示す。
【0034】
図面は模式的であり、正確な縮尺ではない。特に、電気機械的接続部の相対的な比は、接続の詳細を示すために強調されている。
【発明を実施するための形態】
【0035】
「上部」、「下部」、「水平」、及び「垂直」などの方向を表す用語は、説明の便宜のために本明細書に使用されるが、図面中に示される向きにおけるキャパシタに関する。誤解を避けるために、この用語は、外部基準枠(external frame of reference)でのキャパシタの向きを制限することを意図するものではない。
【0036】
「アノード」(又は「正極」)及び「カソード」(又は「負極」)という用語は、多層キャパシタに存在する2組の電極を区別するために説明の便宜上使用される。記載された例では、アノードとカソードは、それらが異なる極性の電気機械的接続部に接続すること、即ち、アノードが第1の電気機械的接続部に接続され、カソードが第2の電気機械的接続部に接続されるという点だけが異なる。本明細書に記載の多層キャパシタは、所望により、直流電源又は交流電源と共に使用することができる。
【0037】
本明細書で使用するとき、「ホール」という用語は、本体内又は本体を通る任意の開口又は通路を意味し、電気コネクタを収容することができる。
【0038】
次に、本発明に係る多層キャパシタの一例を、
図1a、
図1b、
図2a、及び
図2bを参照して説明する。
【0039】
図2a及び
図2bは、キャパシタ100の外部構造を示す。
図2bは、キャパシタ100の斜視図を示す。キャパシタ100は、それを貫通する2組の対向するホール18a、18bを有する誘電材料の本体を有する。以下により詳細に説明されるように、ホールは電気機械的コネクタの一部を形成する。アノード10及びカソード12を含む電極が、キャパシタの本体内に設けられている。
図2bには、最上部のアノード10a(点線)と最上部のカソード12a(破線)のみが示されている。
【0040】
図1bは、多層キャパシタ100の第1の断面図を示し、電極とキャパシタンス形成層の一般的な構成を示している。積層キャパシタ100は、一般に、電極10、12が埋め込まれたセラミック体の形態である。電極は、本明細書中でアノードと称される第1の組の電極10a、10b、10cと、カソードと称される第2の組の電極12a、12b、12cとを含む。電極は平面層の形態である。電極10、12は、任意の好適な導電材料、例えば、金、銀、又はニッケルなどの金属から形成することができる。
【0041】
電極10、12は、垂直な積層体として配されている。電極10、12は、交互に配され、複数対のアノード10及びカソード12を形成する。誘電体14a、14ab、14b、14bc、14cのキャパシタンス形成層が、各対の電極間に配される。電極及びキャパシタンス形成層の厚みは、特に制限されず、適宜選択することができる。
【0042】
多層キャパシタ100の本体は、キャパシタンス形成層14と同じ材料で形成されている。誘電材料の性質は特に限定されず、多層キャパシタを構成するのに有用な各種材料が当技術分野で知られている。誘電材料は、典型的にはセラミックである。例示的な誘電材料としては、WO2015/124698に詳細に記載されているように、ビスマスフェライト、チタン酸ストロンチウム、及びチタン酸バリウムが挙げられる。
【0043】
本体は、更に、エッジマージン26を含む。エッジマージン26は、電極の周囲を取り囲むバルク誘電材料である。換言すれば、図示の例では、電極は、本体のエッジまで延在していない。
【0044】
図1aは、一対の対向するホール18a、18bと交差する多層キャパシタ100の断面図である。多層キャパシタ100は、更に、電気機械的接続部を含む。各電気機械的接続部は、アノード10又はカソード12のいずれかと連絡するが、短絡が生じるので両方には連絡しない。各電気機械的接続部は、ホール18、電気コネクタ22、及びコンタクトピン24を含む。
【0045】
次に、アノード10のための電気機械的接続部について、より詳細に考察する。
図1aは、電気機械的接続部が、領域16aを通って延びるホール18aを含むことを示す。ホール18aは、各アノード10を貫通しているが、カソード12は貫通していない。本例では、ホール18aは、多層キャパシタ100の上面から低面まで全高に延在する貫通孔である。以下により詳細に説明されるように、ホール18aを貫通孔として構成することは、複数のキャパシタがキャパシタアセンブリ内で一緒に組み立てられることを可能にする。
【0046】
導電性コーティング20aが、ホール18aのボアに設けられている。導電性コーティング20aは、アノード10a、10b、10cを電気的に接続する。コーティング20aは、また、電気コネクタ22aとの電気的接触を提供する。
図1aでは、コーティング20aは、導電性スリーブの形態をとる。スリーブは、任意の好適な導電性材料、例えば真鍮であることができる。
【0047】
電気機械的接続部は、更に、ホール18a内に配された電気コネクタ22aを含む。この例では、電気コネクタ22aは、導電性コーティング20aを介してアノード10a、10b、10cと電気的に連絡している。電気コネクタは、コンタクトピン24aを保持するように構成されている。
【0048】
電気コネクタ22aは、コンプライアント要素を含み、
図1aの例では、一対のコンプライアントフィンガの形態をとっている。「コンプライアント」とは、コンタクトピンが多層キャパシタ100の本体に対して動くことができるように、要素がある程度の可撓性を有することを意味する。換言すれば、要素は、弾性的に可撓性である、即ち、「弾力性」である。
【0049】
コンプライアント要素の可撓性は、多層キャパシタ100の本体をコンタクトピン24aから機械的に分離する。これにより、本体が受ける機械的ストレスが低減され、それによって本体を損傷から保護する。例えば、多層キャパシタがコンタクトピンを介して回路基板に実装され、回路基板が振動又は物理的衝撃を受けた場合、これらの機械的な力の本体への伝達が低減される。コンプライアント要素は、曲がる又は撓み、機械的ストレスの伝達を低減させる。
【0050】
電気コネクタがそれに関連する電極をコンタクトピンに電気的に接続し、コンタクトピンを多層キャパシタから機械的に分離する限り、電気コネクタの正確な形状は特に限定されない。
【0051】
多層キャパシタの本体を物理的ストレスから分離することは、多層キャパシタのサイズを大きくすることを実用的にすると期待される。本明細書に記載される電気終端を使用して、長さ×幅寸法が最大約5.1cm×2.5cm(即ち、2’’×1’’)、更には最大約7.6cm×5.1cm(3’’×2’’)である有用な多層キャパシタを構成することが可能であると考えられる。多層キャパシタの面積を大きくすることは、より高いキャパシタンスとより高い電圧定格を可能にする。
【0052】
図1aに示す例では、電気コネクタ22aは、中空のスリーブと、スリーブ内に延在するコンプライアントフィンガとを含む。電気コネクタ22aのスリーブは、摩擦嵌合によって電気コネクタ22aをホール18a内に保持する。スリーブは、ホール18aのコーティング20aを介してアノード10と電気的に接触している。電気コネクタ22aのフィンガは摩擦嵌合によってコンタクトピン24aを保持する。フィンガは弾性的に可撓性であり、それによってホール18aに対するコンタクトピン24aの運動を可能にする。
【0053】
コネクタ22aは、弾力性のある導電材料で形成されている。好ましい材料は、ベリリウム銅であり、これは当技術分野で銅ベリリウム、ベリリウムブロンズ、又はスプリング銅とも称されている。ベリリウム銅は、重量で0.5%~3%のベリリウムを含む銅合金で、残部は銅である。ニッケル及び/又はコバルトなどの他の金属も含まれる場合がある。ベリリウム銅は、良好な導電性を有し、繰り返しストレスに耐性を有する。他の材料を使用することもできる。
【0054】
コネクタ22aはコンタクトピン24aを受容し、コンタクトピン24aをホール内に保持する。本実施例では、コンタクトピン24aは摩擦嵌合によって保持されているが、任意の好適な技術を用いてコンタクトピンをコネクタに結合させることができる。コンタクトピン24aは、多層キャパシタ100を電気回路の更なるコンポーネントに接続するためのものである。更なるコンポーネントは、特にプリント回路基板であり得る。コンタクトピン24aは、プリント回路基板上に設けられたソケットの一部であることができる。
【0055】
カソード12のための電気終端は、アノードのためのものと類似の構成である。カソード12のための電気終端は、ボア18b、電気コネクタ22b、及びコンタクトピン24aを含む。ホール、電気コネクタ、及びコンタクトピンは、アノードのための電気終端と同じ一般的な構造を有するが、ボア18bがアノード10ではなくカソード12を通って延在している点で異なっている。
【0056】
図2a及び
図2bに示すように、アノードのための電気機械的接続部及びカソードのための電気機械的接続部はそれぞれ、複数のホール18a及び18bを含む。各組のホールは、キャパシタ100のエッジに向かって一列に配されている。一組の複数のホール及び電気コネクタを含む電気機械的終端を設けることにより、機械的ストレスの散逸を改善することができる。複数のホールを設けることはまた、電極との電気的接触のために利用可能な表面積を増大させる。
図2a及び
図2bは、更に、アノードのための終端とカソードのための終端とがキャパシタ100の対向する側に沿って配されていることを示す。
【0057】
キャパシタは、アノードとカソードが平面上重ならない領域16a、16bを含む。アノード10とカソード12は、水平方向に互いに対して部分的にオフセットして、領域16a、16bを画定する。
図2aでは、非重複領域が網掛けされている。この例では、電気機械的終端は、非重複領域に配されている。
【0058】
【0059】
キャパシタアセンブリは、上述した多層キャパシタから構成することができる。
図1a、
図1b、
図2a、及び
図2bに示される例では、ボアホール18a、18bは、キャパシタの全高を通って延在する貫通孔である。2つ以上のそのようなキャパシタを積層体として配し、ホールを位置決めし、キャパシタの積層体の全高を通って延在するように選択した長さのコンタクトピンをホールに挿入することによってキャパシタを互いに接続することができる。そのようなキャパシタアセンブリは、単一のキャパシタと比較して上昇したキャパシタンスを有するであろう。
【0060】
使用時に、多層キャパシタ100は、例えば、コンタクトピン24をプリント回路基板にはんだ付けすることにより回路内に組み立てられる。電気機械的接続部によって誘電材料への機械的ストレスの伝達が低減されるので、組み立て中又は結果として得られる回路の使用中でのコンポーネントの不良のリスクが低減される。本明細書に記載される多層キャパシタは、航空宇宙用途及び自動車用途に特に適している。これは、振動によって引き起こされるコンポーネントの不良がこれらの分野における関心事であるからである。多層キャパシタは、サージ保護やリップル平滑化、及び電気自動車での使用に特に有用である。
【0061】
既存の製造技術を使用して、本明細書に記載される多層キャパシタを製造することができる。例えば、スクリーン印刷プロセスを使用することができる。この方法によれば、容量層及び電極を形成するための組成物はスクリーン印刷されて、所謂グリーン部品を形成する。グリーン部品を穿孔することによって、部品の焼成前に、ボアを形成することができる。焼成後、電気終端の残りのコンポーネントをボアに挿入することができる。他の技術を使用することができる。
【0062】
図1及び
図2に示されている多層キャパシタに対して様々な変更を加えることができる。いくつかの例示的な変更を以下に記載する。記載した変更は、任意の適切な組合わせでキャパシタに組み込むことができる。
【0063】
図示の例は、コンタクトピンがホール内に存在することを示しているが、コンタクトピンは別に提供されてもよく、必ずしも存在しない。
【0064】
実施例は多層キャパシタに関するものであるが、同じ構成原理が単層キャパシタにも等しく適用され得る。単層の変形例は、1つのアノード、1つのカソード、及びそれらの間に配された1つの誘電層を有するであろう。
【0065】
図示の多層キャパシタ100は、10個の電極を備えている。ただし、電極の数は特に限定されず、適宜選択することができる。電極の数は、他の要因の中でも特に、必要なキャパシタンス及び多層キャパシタの動作電圧に応じて変えることができる。電極の総数は典型的には20~150である。
【0066】
この例に示されるホールは、多層キャパシタの全高を通って延在している。貫通孔は、穿孔によって容易に形成することができ、貫通孔の使用は、2つ以上のキャパシタを含むキャパシタアセンブリの形成を可能にするので、有利であり得る。変形例では、本体は、それを通ってホールが延在しないバルク材料のキャッピング層を含むことができる。キャッピング層を含めることは、アセンブリにおける上部のキャパシタとされることが意図される、又は単一のコンポーネントとして使用される多層キャパシタにおいて有用であり得る。キャッピング層は、埃又は他の汚染物質がホールに入るのを防ぐことができる。
【0067】
更なる変形例では、埃又は他の汚染物質の混入に対する保護を与えるために、キャップ又はプラグをホールの一端に取り付けることができる。キャップは、例えば、コンタクトピンの端部を受容するための凹部を有するエラストマーキャップであることができる。
【0068】
ホールの数は特に限定されず、例えば、多層キャパシタ100のサイズに応じて適宜選択することができる。例えば、各電気機械的接続部は、1~10個のホール、場合によっては3~7個のホールを含むことができる。
【0069】
この例におけるホール18a、18bは、概ね円筒形である。円筒形のホールは、例えば穿孔によって形成することができるので、製造が容易である。しかし、ホールの形状は特に限定されない。他の形状も使用可能である。例えば、ホールは細長いスロットの形をとることができる。
【0070】
この例では、ホールは電極を貫通して終端している。これにより、ホールと接触している電極の面積が増大し、ホール内の電気コネクタと電極との間の電気的接続の形成がより容易になる。しかし、他の構成も可能である。ホールは、例えば、電極のエッジと交差して終端されていてもよい。
【0071】
この例では、アノードとカソードとが重ならない領域16a、16bが水平方向のオフセットによって形成されている。しかし、他の構成も可能である。例えば、重ならない領域は、一方のエッジから延びるタブを有する電極を使用することによって達成することができ、このタブは逆極性の電極の上には重ならない。
【0072】
図示したホール18は、それらのボアに配された導電性コーティング20を含み、この導電性コーティングはスリーブの形態である。しかし、導電性コーティングが存在する場合、導電性コーティングの性質は特に限定されない。例えば、変形例では、ボアの表面ははんだの層で錫めっきされる。
【0073】
導電性コーティングは、いくつかの変形例では省略することができる。例えば、変形例では、導電性エポキシ樹脂などを使用して、必ずしもコーティングの形態にすることなく、電極と電気コネクタとの間に電気的連絡をもたらすことができる。
【0074】
図1は、各ホールに配された1つの電気コネクタを示す。各ホールに複数の電気コネクタを使用することも考えられる。この例では、各ホールは、1つのコンタクトピンを受容する。1つのホール当たりのコンタクトピンの数は、ホールの構成に応じて適宜調整することができる。一例として、細長いスロットの形態のホールは、2つ以上のコンタクトピンを受容することができ、1つ又は複数の電気コネクタが、2つ以上のコンタクトピンを保持するようになっている。
【0075】
この例では、コネクタは、摩擦嵌合によってホールに保持され、コンタクトピンは、摩擦嵌合によってコネクタに保持される。これらの摩擦嵌合のいずれか又は両方は、はんだ、接着剤、又は他の任意の適切な固定技術によって置き換えられてもよい。いくつかの変形例では、電気コネクタがコンプライアントであり、本体をコンタクトピンから機械的に分離するのであれば、電気コネクタはコンタクトピン及び/又はホールの導電性コーティング(存在する場合)と一体的に形成されてもよい。
【0076】
実施例に示されるコンタクトピンは単純な円筒形部材であるが、変形例では、コンタクトピンは、電気コネクタのコンプライアント要素を受容するように構成された1つ以上の凹部、チャネルなどを含むことができる。コンタクトピンは、代替的又は追加的に、コンプライアント要素と接触するための突起を含んでもよい。凹部、チャネル、及び/又は突起は、例えば、滑りを低減することによって、コンタクトピンを所望の位置に保持するのを助けることができる。
【0077】
この実施例では、コンタクトピンは硬質である。変形例では、コンタクトピンは、コンプライアントコンタクトピンであることができる。コンタクトピンは、コンタクトピンをキャパシタの本体から機械的に分離するコンプライアンスの一部又は全部を提供することができる。
【0078】
本明細書に記載の電気機械的接続部は、容量コンポーネントの損傷の受け易さを低減するための他の技術と組み合わせて使用することができる。例えば、多層キャパシタの本体は、WO2013/186172に記載されているように、多層キャパシタのクラックの伝達性を低減させるよう空気が作用する層を含むことができる。
【0079】
電気コネクタの形態は、
図1に示されたものに限定されない。本発明の実施においては、様々な代替の電気コネクタが有用である。そのようなコネクタの例示的な例を、
図3及び
図4に示す。
【0080】
図3aは、第2の電気コネクタ200を断面図で示している。電気コネクタ200は、容積を画定する中空スリーブ210を含む。コンプライアントフラップ220は、スリーブ部分210から容積内に突出する。スリーブ部分210は、スリーブの第1の端部に(
図3aにおいて円で囲まれた)拡大部分210aを含み、この拡大部分は、多層キャパシタのホールの内径よりも大きい直径を有する。電気コネクタ200がホールに挿入されると、スリーブ210の拡大部分はホールの外側に残る。スリーブの拡大部分は、キャパシタのセラミック本体に対して電気コネクタを位置決めするのに有用である。電気コネクタ200はまた、多層キャパシタの外面にソケットを提供し、これはコンタクトピンの挿入を案内することができる。電気機械的接続部を形成するために、コンタクトピンを中空スリーブに挿入することができる。次いで、コンタクトピンは、スリーブとコンタクトピンとの間で圧縮されるコンプライアントフラップによって保持される。電気コネクタ200は、キャパシタの本体のホールにはんだ付けすることができる。
【0081】
図3bは、電気コネクタ300の第3の例を示す。電気コネクタ200と同様に、電気コネクタ300は、コンタクトピンを保持するためのコンプライアントフラップ320を含む。しかしながら、電気コネクタ300の構造は、電気コネクタ300がスリーブを含まないという点で電気コネクタ200の構造とは異なる。代わりに、ワイヤループ310がコンプライアントフラップを互いに接続する。このように、コネクタ300は、バネクリップの形態をしている。
【0082】
図3aの電気コネクタ200を
図3bの電気コネクタ300と組み合わせて使用することができることが考えられる。拡大部分200を有するスリーブを有する電気コネクタをホールの端部又は各端部に嵌合させることができ、1つ以上の更なる電気コネクタ300をホールの内側に配する。複数の電気コネクタを設けることにより、コンタクトピンへの接触を改善することができ、コンタクトピンが、多層キャパシタのセラミック本体に対して依然として移動することを可能にしつつ、コンタクトピンの不注意による除去に対する更なる抵抗をもたらすことができる。
【0083】
電気コネクタ400の更に別の例を
図4に示す。電気コネクタ400は傾斜コイルバネである。傾斜コイルバネ400は、ループ状に配された螺旋バネの形態である。傾斜コイルバネは、半径方向の力がバネに加えられたときに変形可能であるように配される。これにより、機械的分離がもたらされる。キャパシタを組み立てるとき、傾斜コイルバネ400を圧縮下でキャパシタに挿入して、バネをホールに保持するための拡張力をバネが提供するようにすることができる。傾斜バネコネクタは、当技術分野で「接地リング」と称されることがあるが、本発明の文脈では、コネクタは、接地ではなく、キャパシタの電極への有効な接続を提供するために使用される。
【0084】
電気コネクタの別の例は、容積を画定する細長いスリーブと、スリーブから容積内に延在するコンプライアントフィンガとを備える。そのようなコネクタは、
図1に示される、電気コーティング20bと電気コネクタ22bの機能性を組み合わせるものである。そのようなコネクタは、複数組のコンプライアントフラップを含むことができる。
【0085】
また、多層キャパシタのホールを圧縮性導電材料、例えば、可撓性導電性ポリマーでコーティングすることができることも考えられる。これにより、コーティングが電極に対する電気的接点として作用し、且つコンタクトピンをキャパシタの本体に対して移動可能としつつ、コンタクトピンを保持することを可能にする。
【0086】
本明細書では、多層キャパシタを組み立てるためのキットも提供される。キットは、本明細書に記載のキャパシタが分解された状態、即ち、キャパシタ本体が電気コネクタとは別に設けられた状態で備える。容易に理解されるように、組み立てられた多層キャパシタに関して説明した特徴をキットに組み込んでもよい。