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特許7118052積層造形用の差分硬化アーチファクトを低減する技法ならびに関係するシステムおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-04
(45)【発行日】2022-08-15
(54)【発明の名称】積層造形用の差分硬化アーチファクトを低減する技法ならびに関係するシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/135 20170101AFI20220805BHJP
   B29C 64/393 20170101ALI20220805BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20220805BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20220805BHJP
   B33Y 50/02 20150101ALI20220805BHJP
【FI】
B29C64/135
B29C64/393
B33Y10/00
B33Y30/00
B33Y50/02
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2019516381
(86)(22)【出願日】2017-09-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-10-17
(86)【国際出願番号】 US2017053376
(87)【国際公開番号】W WO2018058087
(87)【国際公開日】2018-03-29
【審査請求日】2020-09-28
(31)【優先権主張番号】62/399,569
(32)【優先日】2016-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516373915
【氏名又は名称】フォームラブス,インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】FORMLABS,INC.
【住所又は居所原語表記】35 Medford Street, Suite No.1, Somerville, Massachusetts 02143 U. S. A.
(74)【代理人】
【識別番号】100102842
【弁理士】
【氏名又は名称】葛和 清司
(72)【発明者】
【氏名】フランツデール,ベンジャミン
(72)【発明者】
【氏名】ミシュチェンコ,アンドレ―
【審査官】▲高▼村 憲司
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-180882(JP,A)
【文献】特開平06-226861(JP,A)
【文献】特表平04-505729(JP,A)
【文献】特開2004-009574(JP,A)
【文献】特表2007-533480(JP,A)
【文献】特開2008-155480(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0067922(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0145177(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0046125(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0021586(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00-64/40
B33Y 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体を造形するための積層造形装置を構成する方法において、前記積層造形装置が、少なくとも1つの活性光線源を液体フォトポリマー上に誘導することによって、固体材料を形成するように構成される方法であって、
前記積層造形装置による前記物体の造形時に前記物体が可視化すると予測される前記物体の少なくとも第1の領域を、前記物体の3次元モデルに基づいて識別すること;
前記第1の領域と交差する前記物体の少なくとも1つの断面に対する前記物体の前記3次元モデルに基づいて、前記物体の前記少なくとも1つの断面を形成するように、前記少なくとも1つの活性光線源がその上に誘導される経路を生成すること、ただし、前記経路は、
前記少なくとも1つの活性光線源がその上で起動される第1の部分と、
前記少なくとも1つの活性光線源がその上で停止される第2の部分とを含み、
この場合に、前記経路の第2の部分は、前記物体の前記識別された第1の領域に基づいて生成される;および
前記積層造形装置によって実行されると、前記積層造形装置に、前記少なくとも1つの活性光線源を生成された経路の上に誘導するとともに、前記経路の前記第1の部分および前記第2の部分に応じて、生成された経路の上で、前記少なくとも1つの活性光線源を起動または停止させることによって、少なくとも部分的に前記物体を造形させる命令を、少なくとも1つのプロセッサを使用して生成すること、ここで生成された経路が、少なくとも1つの活性光線源が停止されている間に、前記少なくとも1つの活性光線源が、ある期間そこで静止させられる、少なくとも1点をさらに含む、
を含む、方法。
【請求項2】
経路の第2の部分が、物体の識別された第1の領域に隣接して生成される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
生成された経路が経路の第2の部分を含まない場合に、生ずることが予測される時間依存硬化アーチファクトの度合に基づいて、前記経路の第2の部分が生成される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
物体の第1の領域が、前記物体の表面である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
物体の第1の領域が、物体の表面の下方にあり、前記物体の第1の領域と前記物体の表面の間に造形される材料を介して、積層造形装置によって前記物体が造形される時に前記物体が可視化することが予測されると識別される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
経路の第2の部分が、物体の少なくとも1つの断面内部の内部空隙を横断する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
経路の第2の部分が、物体の少なくとも1つの断面の外部にある、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
生成された経路が、少なくとも1つの活性光線源がその上で停止される、第3の部分を含み、前記第3の部分が、前記生成された経路の第2の部分に平行で、かつ隣接して配設されており、前記第3の部分の長さが、前記第2の部分の長さに少なくとも部分的に基づいて決定される、ここで第2の部分と第3の部分とは互いに異なる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
少なくとも1つのプロセッサ;
実行されると、前記少なくとも1つのプロセッサに、物体を造形するための積層造形装置を構成する方法を実行させる、プロセッサ実行可能命令を含む、少なくとも1つのコンピュータ可読媒体を含む、コンピュータシステムであって、前記方法は、
前記積層造形装置によって前記物体を造形したときに前記物体が可視化すると予測される少なくとも前記物体の第1の領域を、前記物体の3次元モデルに基づいて識別すること;
前記第1の領域と交差する前記物体の少なくとも1つの断面に対する前記物体の前記3次元モデルに基づいて、前記物体の前記少なくとも1つの断面を形成するように、前記少なくとも1つの活性光線源がその上に誘導される経路を生成すること;ただし、前記経路は、
なくとも1つの活性光線源がその上で起動される第1の部分と、
前記少なくとも1つの活性光線源がその上で停止される第2の部分とを含み、この場合に、
前記経路の第2の部分は、前記物体の前記識別された第1の領域に基づいて生成されている;および
前記積層造形装置によって実行されると、前記積層造形装置に、少なくとも1つの活性光線源を、生成された経路の上に誘導するとともに、前記経路の前記第1の部分および前記第2の部分に応じて、生成された経路の上で、前記少なくとも1つの活性光線源を起動または停止させることによって、少なくとも部分的に物体を造形させる命令を、少なくとも1つのプロセッサを使用して生成することを含む、ここで生成された経路が、少なくとも1つの活性光線源が停止されている間に、前記少なくとも1つの活性光線源が、ある期間そこで静止させられる、少なくとも1点をさらに含むコンピュータシステム。
【請求項10】
経路の第2の部分が、物体の識別された第1の領域に隣接して生成される、請求項に記載のコンピュータシステム。
【請求項11】
物体の第1の領域が、前記物体の表面領域である、請求項に記載のコンピュータシステム。
【請求項12】
生成された経路が経路の第2の部分を含まない場合に、生ずることが予測される時間依存硬化アーチファクトの度合に基づいて、前記経路の第2の部分が生成される、請求項に記載のコンピュータシステム。
【請求項13】
物体の第1の領域が、前記物体の表面の下方にあり、前記物体の第1の領域と前記物体の表面の間に造形される材料を介して、積層造形装置によって前記物体が造形される時に前記物体が可視化することが予測されると識別される、請求項に記載のコンピュータシステム。
【請求項14】
経路の第2の部分が、物体の少なくとも1つの断面内部の内部空隙を横断する、請求項に記載のコンピュータシステム。
【請求項15】
経路の第2の部分が、物体の少なくとも1つの断面の外部にある、請求項に記載のコンピュータシステム。
【請求項16】
生成された経路が、少なくとも1つの活性光線源がその上で停止される、第3の部分を含み、前記第3の部分が、前記生成された経路の第2の部分に平行で、かつ隣接して配設されており、前記第3の部分の長さが、前記第2の部分の長さに少なくとも部分的に基づいて決定される、ここで第2の部分と第3の部分とは互いに異なる、請求項15に記載のコンピュータシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には、積層造形(additive fabrication)(例えば、3Dプリンティング)によって製造された物体における、表面仕上げを改善し、差分硬化アーチファクト(differential cure artifacts)を低減する技法に関する。
【背景技術】
【0002】
積層造形、例えば3次元(3D)プリンティングは、典型的には、構築材料の部分を特定の場所で凝固させることによって、物体を製作する技法を提供する。積層造形技術としては、ステレオリソグラフィ、選択的堆積モデリングまたは溶融堆積モデリング(selective or fused deposition modeling)、直接複合材製造(direct composite manufacturing)、積層物体製造(laminated object manufacturing)、選択相エリア堆積(selective phase area deposition)、多相ジェット凝固(multi-phase jet solidification)、弾道粒子製造(ballistic particle manufacturing)、粒子堆積(particle deposition)、レーザ焼結(laser sintering)またはそれらの組み合わせが挙げられる。多くの積層造形技法は、典型的には所望の物体の断面である、連続的な層を形成することによって部体を構築する。典型的には、各層は、先に形成された層、またはその上に物体が構築される基材のいずれかに、それが接着するように形成される。
【0003】
ステレオリソグラフィと呼ばれる、積層造形への一つのアプローチにおいては、典型的には、硬化性高分子樹脂の薄層を、最初は基板上に、次には、互いに重ねて、連続的に形成することによって、固体物体が作成される。活性光線(actinic radiation)への露出によって、液体樹脂の薄層が硬化され、これによって薄層を強化させ、物理的性質を変化させて、先に硬化された層、または構築プラットフォームの底面、に固着させる。ステレオリソグラフィのような技法において、物体は、液体樹脂の層の全体にわたって入射活性光線のエリアを移動させて、形成しようとする物体の断面を完成させることによって形成される。入射活性光線のエリアは、例えばレーザによるなど、任意の光源によって発生させることができる。
【発明の概要】
【0004】
いくつかの観点によれば、物体を造形するための積層造形装置を構成する方法において、前記積層造形装置が、少なくとも1つの活性光線源を液体フォトポリマー上に誘導することによって、固体材料を形成するように構成される方法であって、前記積層造形装置による前記物体の造形時に顕在化すると予測される前記物体の少なくとも第1の領域を、前記物体の3次元モデルに基づいて識別すること;前記第1の領域と交差する前記物体の前記少なくとも1つの断面に対する前記物体の前記3次元モデルに基づいて、前記物体の少なくとも1つの断面を形成するように、前記少なくとも1つの活性光線源がその上に誘導される経路を生成すること、ただしこの場合に、前記経路は、前記少なくとも1つの活性光線源がその上で起動される第1の部分と、前記少なくとも1つの活性光線源がその上で停止される第2の部分とを含み、この場合に、前記経路の第2の部分は、前記物体の前記識別された第1の領域に基づいて生成される;および前記積層造形装置によって実行されると、前記積層造形装置に、少なくとも1つの活性光線源を生成された経路の上に誘導するとともに、前記経路の前記第1の部分および前記第2の部分に応じて、生成された経路の上で、前記少なくとも1つの活性光線源を起動または停止させることによって、少なくとも部分的に前記物体を造形させる命令を、少なくとも1つのプロセッサを使用して生成することを含む、方法が提供される。
【0005】
いくつかの観点によれば、少なくとも1つのプロセッサ;実行されると、前記少なくとも1つのプロセッサに、物体を造形するための積層造形装置を構成する方法を実行させる、プロセッサ実行可能命令を含む、少なくとも1つのコンピュータ可読媒体を含む、コンピュータシステムであって、前記方法は、前記積層造形装置によって前記物体を造形したときに顕在化すると予測される少なくとも前記物体の第1の領域を、前記物体の3次元モデルに基づいて識別すること;前記第1の領域と交差する前記物体の前記少なくとも1つの断面に対する前記物体の前記3次元モデルに基づいて、前記物体の少なくとも1つの断面を形成するように、前記少なくとも1つの活性光線源がその上に誘導される経路を生成すること;ただし、前記経路は、前記少なくとも1つの活性光線源がその上で起動される第1の部分と、前記少なくとも1つの活性光線源がその上で停止される第2の部分とを含み、この場合に、前記経路の第2の部分は、前記物体の前記識別された第1の領域に基づいて生成されている;および前記積層造形装置によって実行されると、前記積層造形装置に、少なくとも1つの活性光線源を生成された経路の上に誘導するとともに、前記経路の前記第1の部分および前記第2の部分に応じて、生成された経路の上で、前記少なくとも1つの活性光線源を起動または停止させることによって、少なくとも部分的に物体を造形させる命令を、少なくとも1つのプロセッサを使用して生成することを含む、コンピュータシステムが提供される。
【0006】
前述の要約は、例証として提供されるものであり、限定を意図するものではない。
添付の図面は縮尺通りにすることを意図していない。分かり易くするために、すべての図面において、各構成要素にはラベルを付していない。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1A図1Aは、いくつかの実施態様による、部品の複数の層を形成するステレオリソグラフィプリンタの概略図である。
図1B図1Bは、いくつかの実施態様による、部品の複数の層を形成するステレオリソグラフィプリンタの概略図である。
図2A図2Aは、いくつかの実施態様による、説明用のステレオリソグラフィプリンタを示す図である。
図2B図2Bは、いくつかの実施態様による、説明用のステレオリソグラフィプリンタを示す図である。
図3A-B】図3A-Bは、従来式の活性光線の応用を使用して形成された物体と、いくつかの実施態様による本明細書に記載の技法による活性光線の応用を使用して形成された同じ物体の、説明用の表面仕上げを対比する図である。
図4A-B】図4A-Bは、いくつかの実施態様による、物体の断面エリアにわたる入射活性光線のサンプル経路を示す図である。
図5図5は、いくつかの実施態様による、物体が複数の空隙を含む場合の、物体の断面エリアにわたる入射活性光線のサンプル経路を示す図である。
図6図6は、いくつかの実施態様による、走査線間に高デルタ(high delta)を有する、物体の断面エリアにわたる入射活性光線のサンプル経路を示す図である。
図7図7は、いくつかの実施態様による、本発明の観点を実施するのに適するシステムのブロック図である。
図8】本発明の観点がその上で実現される、コンピューティングシステム環境の例を示す図である。
【0008】
詳細な説明
積層造形によって製造される物体における、表面仕上げを改善し、差分硬化アーチファクトを低減し、それによって物体忠実性を向上させる技法が提供される。上述のように、積層造形においては、1層または複数層を、先に形成された層の上、または物体がその上に形成される基板の上のいずれかに形成してもよい。いくつかの実施態様によると、これらの層は、液体樹脂のエリアが活性光線のエリアに露出されるときに形成される。各層内部での硬化用に選択される液体樹脂のエリアは、造形されている物体の断面に対応する。使用事例によっては、活性光線に露出されるエリアは、前記断面のエリアよりも小さく、したがって、前記断面の全エリアを範囲に含めるために移動させなくてはならない。場合によっては、物体の断面は、材料が硬化されないが、材料が硬化されるエリアによって包囲されている、内部封入された(encapsulated)領域を含む。これらの領域は、本明細書においては、「空隙(voids)」または「内部空隙(interior voids)」と呼ばれ、空隙を含む断面を形成するためには、空隙のエリア(単数または複数)内部の液体樹脂を実質的に露出させることなく、意図するように断面の領域を硬化するように、入射活性光線のエリアを断面上で移動させなくてはならない。
【0009】
空隙を含む断面エリアを硬化する従来式の技法は、空隙エリアを回避しながら、固体材料を連続的に製作する。例えば、ステレオリソグラフィデバイスは、空隙エリアを回避し、それによって空隙エリア以外の場所で固体材料を製作するように、活性光線露出のエリアを移動させることによって、連続的な活性光線露出を維持することもできる。別の例として、溶融堆積モデリングデバイスは、空隙エリアを回避しながら、材料を連続的に堆積させることができる。そのようなアプローチについての1つの問題は、結果として得られる物体における時間依存性を生じさせる、材料収縮と運動制御ヒステレシスの可能性があることである。断面のエリアが、異なる時点において、(例えば、フォトポリマーを硬化することによって、堆積された熱可塑性プラスチックの冷却によって、その他によって)凝固するので、第1の時点で凝固した材料と、十分に遅い時間に凝固した、隣接する材料との界面において、アーチファクトが生じることがある。これらのアーチファクトは、エッジまたはその他の顕在化する不連続として現われ、それによって、結果として所望するよりも低い品質を示す造形部品が得られる。
【0010】
本発明者らは、活性光線源を同時に停止させながら、入射活性光線のエリアが空隙の上を移動するように装置を構成することによって、上記の時間依存性アーチファクトの顕在化するインスタンスの数が少なく、かつ/または見え難い物体を造形するように、積層造形装置を構成できることを認識し、理解した。入射活性光線のエリアを空隙エリア上で移動させると、造形中にそのエリアが横断する経路が長くなり、それによって造形時間が増大する可能性があるが、そのようなアプローチは、隣接する固体領域が時間的に互いに近接して形成されることを確実にし、それによって上記したそのようなタイプの顕在化するアーチファクトを軽減する。この明細書において言及されるときには、活性光線のエリアとは、源が起動されているか、停止されているかに関わらず、活性光線源が向けられるエリアである。
【0011】
いくつかの実施態様によれば、活性光線源としては、それに限定はされないが、レーザまたは発光ダイオード(LED)の配列などの、任意好適な放射源が挙げられる。実施態様によっては、LEDの配列を、造形エリアの幅と等しい幅を有する活性光線バーに配設してもよい。造形エリアの幅に沿った点を、選択的に照明して、それによって、それらの場所において固体材料、および造形エリアを横断してこのバーを連続的に移動させることによって形成される、物体の層を形成してもよい。
【0012】
いくつかの実施態様によれば、積層造形装置は、隣接する固体材料の領域の形成の間における時間差を低減するように、活性光線源が停止されている間に、活性光線のエリアを移動させるように構成してもよい。いくつかの使用事例においては、活性光線のエリアが、走査線を横断することによって断面をラスター走査してもよく、場合によっては、2本の走査線を互いに隣接させながら、大きく異なる長さを持たせてもよい。活性光線のエリアが移動するのに時間を要するデバイスに対して、このことは、活性光線が1本の走査線において固体材料を製作するのに要する時間が、隣接する走査線において固体材料を製作する時間の量と実質的に異なることがあり、この差が、結果として得られる物体における顕在化するアーチファクトを発生させることがある。実施態様によっては、活性光線がその間に停止される、走査線の追加の部分を添付することによって、走査線を延長してもよい。すなわち、追加の材料は造形されないが、それでも隣接する走査線の製作のための持続時間における差は、顕在化するアーチファクトを軽減するのに十分に低減することができる。
【0013】
以下は、積層造形によって製造される物体において、表面仕上げを改善し、差分硬化アーチファクトを低減する技法に関する様々な構想、およびその実施態様についてのより詳細な説明である。本明細書に記載される様々な観点は、多数の方法のいずれでも実現してもよいことを理解すべきである。特定の実現形態の例が、本明細書において、説明目的だけで提示される。さらに、以下の実施態様に記載される様々な観点は、単独で、または任意の組合せで使用してもよく、本明細書に明示的に記載された実施態様に限定されない。
【0014】
1つの例示的な積層造形技法を説明するために、逆ステレオリソグラフィプリンタが図1A~Bに示されている。例示的なステレオリソグラフィプリンタ100では、部品の層が、先に硬化された層または構築プラットフォームと接触するのに加えて、コンテナの表面と接触して形成されるように、構築プラットフォーム上に下向き方向に部品が形成される。図1A~Bの例においては、ステレオリソグラフィプリンタ100は、構築プラットフォーム104、コンテナ106、軸108および液体樹脂110を含む。下向きの構築プラットフォーム104は、コンテナ106の床と対向し、コンテナは、液体フォトポリマー110で充填されている。図1Aは、構築プラットフォーム104上に部品の層を形成する前の、ステレオリソグラフィプリンタ100の構成を表わす。
【0015】
図1Bに示されるように、部品112は、最初の層が構築プラットフォーム104に取り付けられた状態で、層状に形成することができる。コンテナの床を活性光線に対して透過性として、活性光線を、コンテナの床上に載置された液体光硬化性樹脂の薄層の部分に当てることができる。活性光線への露出によって、液体樹脂の薄層が硬化されて、これによって薄層を強化させる。層114は、形成されるときに、先に形成された層と、コンテナの106の表面の両方に、少なくとも部分的に接触している。硬化された樹脂層の上端側は、通常、コンテナの透過性の床に加えて、構築プラットフォーム104の底表面に、または先に硬化された樹脂層と接合されている。層114の形成に続いて、追加の部品の層を形成するためには、コンテナの透過性の床とその層の間に発生する接合があればそれを破壊しなくてはならない。例えば、後続の層の形成の前に固着が除去されなくてはならないように、層114の表面の1部分または2部分以上(または全表面)を、コンテナに接着させてもよい。
【0016】
いくつかの実施態様によれば、説明用の積層造形システムが図2A~Bに示されている。説明用のステレオリソグラフィプリンタ200は、支持ベース201、ディスプレイ/コントロールパネル208、およびフォトポリマー樹脂用の貯蔵・分注システム204を含む。支持ベース201は、システムを使用して物体を造形する動作が可能な、様々な、機械式、光学式、電気式、および電子式の構成要素を収納することができる。動作中に、フォトポリマー樹脂は、分注システム204からコンテナ202中に分注してもよい。造形されている物体の底向き層(bottom facing layer)、または構築プラットフォーム205自体の底向き層が、コンテナ202の底部211から所望の距離となるように、構築プラットフォーム205を、縦軸203に沿って配置してもよい。コンテナ202の底部211と、構築プラットフォーム205の底向き部分、またはその上で造形されている物体との間に位置する、液体フォトポリマー樹脂が放射線に露出されるように、コンテナ202の底部211は、有利には、支持ベース(図示せず)の内部に位置する源によって生成される活性光線に対して透過性とすることができる。そのような活性光線に露出されると、液体フォトポリマーは、構築プラットフォーム205の底向き部分に、またはその上で造形されている物体に対して、 露出された樹脂を実質的に凝固させて付着させる、「硬化(curing)」と呼ばれることのある、化学反応を起こすことができる。(図2A~Bは、構築プラットフォーム205上に物体の層を形成する前の、ステレオリソグラフィプリンタ201の構成を表わす。)
【0017】
図3Aおよび3Bは、以下に記述して図4Aおよび4Bに図示した露出技法を使用して実現可能な成果の説明用の視覚的概観を提示する。4Aによって記述され図示された技法では、物体301(「掃引塗りつぶしなし(without swept fill)」)が結果として得られ、これに対して、4Bによって記述され図示された技法では、物体313(「掃引塗りつぶし(swept fill)」)が結果として得られる。図3Aから明白なように、従来式のアプローチでは、物体301の表面上の線として現われるアーチファクト302のような、アーチファクトを生ずる。上述のように、空隙を回避しながら、連続的な材料製作を維持する、従来式アプローチは、互いに接触しているが、異なる時間に形成される固体材料の異なる領域が生ずることがある。使用されている特定の積層造形技法に応じた、温度、硬化時間、材料タイプ、冷却時間、その他における差異によって、そのような領域間の界面に、そのようなアーチファクトが現われることがある。対照的に、下記の掃引塗りつぶし技法により製造された物体313は、そのようなアーチファクトを含まない。
【0018】
図4Aおよび4Bは、物体の層を製造するときの、活性光線の入射エリアの移動に対応する、サンプル塗りつぶしパターンを示す。掃引塗りつぶし技法を説明する目的で、ステレオリソグラフィによる物体の造形について記述する。しかしながら、この技法は、溶融堆積モデリング、選択的レーザ焼結、その他のような、その他のタイプの積層造形にも使用できることに気付くであろう。
【0019】
図4Aおよび4Bの例において、図示された断面は、例えば、各層が中空リング401または環の形状を有する、構築軸に沿って配向された厚肉管であってもよい、物体に対応させることができる。それぞれのアプローチにおいて、入射活性光線のエリアは、いくらかの距離だけ間隔を空けられた、一連の実質的に平行な経路403において、物体の断面を描き出す。実施態様によっては、その距離は100μmとすることができるが、距離は、それよりも大きくすることも、小さくすることもできる。
【0020】
図4Aに示す従来式アプローチにおいて、環401を描き出すために、入射活性光線のいくつかの経路は、環の「頂部」と「底部」を通り全幅に延びているのに対して、その他の経路は、中央の空隙402によって中断されている。図4Aの図解例において、入射活性光線は、環の頂部で始まり、左右両側に至り、空隙402の左側を下りて、環の底部に達する経路を描く。次いで、経路は、経路セグメント404に沿って上昇し、空隙402の右方に経路セグメント405を描き出すことによって、環を完成する。
【0021】
いくつかの種類の積層造形において、入射活性光線を、硬化しようとする材料の全体にわたり移動させるのは時間を要することがある。図4Aに描かれているアプローチは、エリアの塗りつぶしに対して時間効率の良いアプローチであるが、このアプローチよって、液体樹脂が異なる時間に強化または硬化された領域間の界面において、アーチファクトが生ずることもある。図4Aの例において、顕在化する差異は、ライン404において明白であり、かつ/または経路セグメント403によって塗りつぶされたエリアと、経路セグメント405によって塗りつぶされたエリアの間の性質の差異において明白であり、それによってそれらのエリア間で視覚的な不連続が生ずる。上述のように、図3Aは、図4Aによって記述され、かつ図示された塗りつぶし技法を使用する、物体301の一部として、いくつかの差分硬化アーチファクト302を示す。
【0022】
図4Bは、図4Aと関係して上述した塗りつぶし技法によって作成された、顕在化するシーム(seam)またはその他のアーチファクト(例えば、アーチファクト302)の低減への説明用のアプローチを示す。この「掃引塗りつぶし」アプローチにおいて、入射活性光線のエリアは、断面401の全領域を横切って移動される。活性光線は、硬化されるエリア上で起動され、空隙を含む、硬化されないエリア上では停止される。すなわち、放射源がこの動作の間に起動されているという仮定の下で、断面のカバレージを最適化する経路を選択するよりも、掃引塗りつぶしアプローチは、その外縁に基づいて全断面にわたる効率的な経路を選択して、放射源が空隙領域を指すときに、放射源を切断することによって空隙を硬化するのを回避する。
【0023】
図4Bの例において、このアプローチは、蛇行(serpentine)パターンを生成し、この場合には、空隙エリア402上で活性光線が停止されている間に、環401は塗りつぶされる。活性光線源の経路は連続的であって、放射源がオフにされている間に経路上を誘導される経路の部分が破線406によって表わされ、放射源がオンにされている間に経路上を誘導される経路の部分が実線403によって表わされている。少なくともいくつかの場合において、このアプローチは、時間最適ではないかもしれないが、液体樹脂の時間依存性の、差分硬化特性により生ずる、顕在化するアーチファクトまたは不連続部(例えば、アーチファクト302)を制限することができる。この技法は、「掃引塗りつぶし」技法とも呼ばれることがある。この技法の、結果として得られる平滑な表面仕上げは、図3において掃引塗りつぶし物体313上で観察することができる。
【0024】
図4Bに示す掃引塗りつぶし技法は、少なくともいくつかの使用事例において、全体造形工程をより長びかせる。実施態様によっては、図4Bの掃引塗りつぶし技法は、造形された物体において顕在化すると予測される層にだけ、および/または層の部分にだけ適用することができる。説明を容易にするために、造形された物体において顕在化すると予測される層は、以下では、単に「可視層(visible layer)」と呼ぶ。
【0025】
実施態様によっては、可視層は、表面向きの層(surface facing layer)または層の部分として定義することができる。別の実施態様においては、可視層は、N層の表面向きの層または層の部分の内部の全層として定義することもできる。実施態様によっては、層の数、または層の部分の数Nは、使用される材料の種類、可視層または可視部分が、上向きであるか、または底向きであるか、ユーザ入力、またはこれらの任意好適な組合せ、および/またはその他の因子などの、様々な因子に基づいて特定することもできる。3次元物体を解析して、積層造形装置に対する命令を生成するように構成されたソフトウェアアプリケーションは、物体の形状と表面を解析して、可視層(または表面に最も近いN層)におけるアーチファクトを避けるように、各層において生成すべき経路を決定することができる。
【0026】
実施態様によっては、掃引塗りつぶし技法は、造形しようとする層の一部分だけに使用することができる。(可視層の部分であるか、完全に可視であるとは予測されない層の可視部分である、)そのような部分のそれぞれにおいて、積層造形装置は、掃引塗りつぶし技法を使用して、入射活性光線のエリアを移動させてもよく、一方で、層の残部では、入射活性光線のエリアを移動させるために、より時間最適な経路を使用してもよい。
【0027】
実施態様によっては、時間依存硬化アーチファクトを回避するために、可視層および/または顕在化する層の部分をさらに細密化してもよい。例として、可視層または層の可視部分を、入射活性光線の経路のより細かい間隔で、ラスター走査してもよい。例えば、可視領域に対して、入射活性光線のエリアを、100μm未満離れた実質的に平行線に、移動させることができるのに対して、物体の残部は、100μmまたはそれよりも離れた実質的に平行なラインにおける、入射活性光線のエリアの移動によって形成することもできる。ラスター走査中の間隔をより細密にすると、より平滑な全体断面に対する層仕上げを改善することができる。このようなより平滑な仕上げは、向上したモデルエスセティック(model aesthetic)のための全体表面仕上げを強化することができる。増大された露出によって、硬化された、または強化された層を増強するとともに、材料を歪み難くすることもできる。
【0028】
本明細書において使用されるときには、「ラスター(raster)」という用語は、活性光線のエリアを、造形しようとするエリアの全断面を包含するのに十分な線形であるか、または大きさである、実質的に平行な走査線で構成された経路上に誘導することも包含する。
【0029】
実施態様によっては、活性光線のエリアの移動と造形の時間とをさらに最適化するために、上向き表面と底向き表面を区別することが有利なことがある。そのような場合には、上向き可視層に対して、より良好な表面仕上げをすることが有利であるのに対して、時間依存性の硬化アーチファクトを底向き表面上に残すことのできる、より高速のラスター走査技法を使用することが望ましい。代替的に、表面仕上げが問題でないが、構築プレートへの固着が問題である場合には、活性光線への露出を増大させて、それによって構築プラットフォームへの凝着を向上させるために、より間隔の狭いラスター走査を実現するのが有利なことがある。
【0030】
実施態様によっては、掃引塗りつぶし技法に指定されているが、可視または可視層のN層として指定されていない断面の部分に隣接している、領域を組み合わせることによって、入射活性光線のエリアの移動をさらに最適化するのが有利なことがある。この実施態様において、目標は、入射活性光線のエリアの合計時間および移動を低減する努力において、可視層の部分を含む層のできる限り多くに対して、入射活性光線のエリアの移動を維持することである。
【0031】
実施態様によっては、層内部において、入射活性光線のエリアが横断する経路セグメントの長さが、同一層内部で実質的に変化することがある。図4Bにおいて、例えば、円形断面エリアの上端および下端において横断される、直線経路セグメントは、(これらの経路セグメントの部分に対して活性光線源が切断されているのにもかかわらず)層の中央内部にある直線径路セグメントよりも、大幅に短い。アーチファクトは、ヒステレシスまたは収縮などの、時間依存性の硬化特性によって生じるので、それぞれの実質的に平行な走査線が、実質的に一定の期間内に達成されるように、活性光線(または走査線)の移動に遅延を導入するのが有利であることがある。したがって、いくつかの実施態様によれば、各走査線に対して、初期最大経路セグメント時間は、活性光線源のための経路を識別するのに続いて、経路の最長である断面エリアをまたぐ経路セグメントを識別することによって、決定してもよい。造形されている、断面エリアをそれぞれにまたぐ隣接する経路セグメントに対して、積層造形装置は、これらの経路セグメントを、同じ時間量で、横断するように構成してもよい。経路セグメンを横断するのに要する時間量を調節することには、入射線のエリアの速度を低減すること、および/または入射線のエリアがその間に移動しない休止を経路中に導入することを含めてもよい。
【0032】
いくつかの実施態様によれば、材料の層の形成には、断面エリアの外周の全体にわたり入射活性光線のエリアを移動させることを含み、断面エリアには、外縁ならびに断面エリア内の任意の空隙の外周が含まれることがある。このようにして外周を生成することは、より平滑な垂直方向の物体表面を製造することができる一方で、そのようなアプローチはまた、上記で観察されたような差分時間硬化アーチファクトを生成することがあり、このアーチファクトは、露出およびその他の因子と共に、外周の縁端および空隙化エリアの縁端において「リップ(lip)」アーチファクトを生成することがある。造形された外周を顕在化するようにできる、いくつかの実施態様においては、可視層の造形が断面エリアの内部における入射活性光線の移動だけを含むように、外周の造形を省略することができる。結果として、可視層または可視領域は、入射活性光線のエリアの内部移動が、物体の全断面エリアを横断する状態で、外周リップを含まないか、または制限された外周リップを含むようにできる。いくつかの実施態様によれば、領域が可視層または層の可視部分、およびN層内の任意の層または部分である、可視領域内であると判定されたエリア全体に対して、外周を削除してもよい。実施態様によっては、外周の造形は、N層の下位セクションに対して省略してもよい。例えば、外周の造形は、可視層に対してのみ省略してもよい。代替的に、外周の造形は、nがN未満である可視領域内部において、任意の層数nに対して省略してもよい。
【0033】
複数の空隙エリア502を含む事例において、図4Aにおいて適用された、従来式の塗りつぶし技法の別の例が図5に示されている。この場合には、入射活性光線のエリアは、物体の全長に延びるが、2つの空隙の先導側507だけを範囲に含む、実質的に平行な経路503において移動される。入射活性光線のエリアは、次いで、後続の空隙の追従側506を範囲に含め続ける前に、第1の空隙の追従側505を標的として移動される。このプロセスは、すべての後続の空隙に対して継続されてもよい。入射活性光線のエリアの初期通過は、断面の先導側507を塗りつぶし、充填追従側508を1回または2回以上の後続の通過で塗りつぶすことも可能である。これらの後続の通過のそれぞれは、材料の時間依存性の硬化品質(curing quality)に基づく、硬化アーチファクト(例えば、硬化アーチファクト302に類似する)を残す可能性がある。
【0034】
時間依存性の硬化アーチファクトを制御するために、上述のように、停止状態移動または移動の遅延を実施することのできる、断面エリアの説明図である。図6の例において、隣接する水平セクションによって図示される経路は、図の下端から図の上端まで横断している。説明用の経路セグメント603に対して、活性光線のエリアは、オンであるか作動中であり、それによって、固体材料がこれらの経路セグメントに沿って形成される。活性光線のエリアの移動の持続時間は、同じ長さである、これらの経路セグメントまたは「走査線(scanline)」のそれぞれに対して、同一としてもよい。
【0035】
しかしながら、形状の幾何学形態が、図6の説明用の断面において変化するにつれて、経路セグメント607aおよび607bの長さは、経路セグメント603の長さと異なる。結果として、活性光線のエリアは、普通は、経路セグメント607aおよび607bに対しては、経路セグメント603に対するよりもより迅速に図示の断面を横切って移動する。上述のように、活性光線のエリアが、断面をまたぐ隣接する経路セグメントを横断するときの持続時間の差によって、結果として、造形された材料における顕在化するアーチファクトを生じることがある。図6の例において、そのようなアーチファクトは、経路セグメント607aおよび607bが経路セグメント606によって延長されるように、活性光線のエリアの移動を継続させることによって、軽減することができる。活性光線源は、それらの場所に材料を形成しないように、エリアが経路セグメント606を横切るときに、遮断してもよい。なお、図6の例において、セグメント606は、経路の長さを最小化し、同時に隣接する経路セグメントの長さにおける差を低減するために、経路が前進するにつれて、漸進的に短くなる。
【0036】
図6の例において見ることができるように、経路セグメント606の長さは、走査線607aと607bの間で系統的に低減されるが、一方で、活性光線源がその間に起動される、経路セグメントの長さは、607aと607bの間で変化しない。隣接する経路セグメント606の長さの差が一定である場合には、活性光線源がその間に停止されている、経路セグメント606の長さは、最初に横断された経路セグメント606から十分な距離によって、起動状態の経路セグメントが、対応する停止状態の経路セグメントを必要としないように、直線状に低減される。図6の例において、そのような経路セグメントは、607bとして示されており、この場合に、活性光線のエリアは、停止状態の走査線606において移動し続けることがない。走査線持続時間における最大変化を決定することは、時間依存性の硬化アーチファクトに対する、材料特性およびその性向に依存することがある。それはまた、最適表面仕上げ、または最適時間要件などの、様々なユーザ選択入力に依存することもある。経路セグメントを横断するのに要する時間の量を調節することには、さらに、入射線のエリアの速度を低減すること、および/または入射線のエリアがその間、移動しない休止を経路に導入することを含めてもよい。
【0037】
図7は、いくつかの実施態様による、本発明の実施の観点を実施するのに好適なシステムのブロック図である。上述のように、積層造形装置は、掃引塗りつぶし技法を適用する経路に沿って固体材料を造形し、それによってプリント品質を向上させるように構成することができる。システム700は、このような方法で固体材料を造形する、積層造形装置を構成するのに好適なシステムを図解する。いくつかの実施態様によれば、コンピュータシステム710は、物体の3次元モデルの複数の2次元層を決定する(「スライシング(slicing)」とも呼ばれる)、ソフトウェアを実行してもよい。結果として、それぞれが物体の断面を含む、2次元層を記述する、データが生成される。上述した掃引塗りつぶし技法を使用して、これらの断面を横断する経路を生成してもよい。次いで、これらの経路から命令を生成して、積層造形装置720のような、積層造形装置に与えてもよく、この命令は、装置によって実行されると、生成された経路に従って層を造形し、それによって物体を造形する。そのような命令は、リンク715を介して通信されてもよく、このリンクには、任意好適な有線および/または無線通信接続を含めてもよい。実施態様によっては、リンク715が、システム700のハウジング内部で2つのモジュールを接続する内部リンクとなるように、単独ハウジングが、コンピュータデバイス710および積層造形装置720を保持する。
【0038】
図8は、本明細書に記載された技法をその上で実現することのできる、好適なコンピュータシステム環境800の例を示す。例えば、コンピューティングシステム環境800は、図7に示すコンピュータシステム710の一部または全部を形成してもよい。コンピューティングシステム環境800は、好適なコンピューティング環境の一例にすぎず、本明細書に記載の技法の使用または機能の範囲に対していかなる制限をも示唆するものではない。また、コンピューティング環境800は、例示的動作環境800において示された構成要素のいずれか一つ、または組合せに関して何らかの依存性または要件を有するものと解釈されるべきではない。
【0039】
本明細書に記載の技法は、多数のその他汎用または専用のコンピューティングシステム環境または構成と共に動作可能である。本明細書に記載の技法との使用に適する、よく知られているコンピューティングシステム、環境、および/または構成の例としては、それに限定はされないが、パーソナルコンピュータ、サーバコンピュータ、ハンドヘルドまたはラップトップデバイス、マルチプロセッサシステム、マイクロプロセッサベースのシステム、セットトップボックス(set top boxes)、プログラマブル家電、ネットワークPC、ミニコンピュータ、メインフレームコンピュータ、上記のシステムまたはデバイスのいずれかを含む分散コンピューティング環境、その他が挙げられる。
【0040】
コンピューティング環境は、プログラムモジュールのような、コンピュータ実行可能命令を実行してもよい。一般的に、プログラムモジュールは、特定のタスクを実施するか、または特定の抽象データ型を実装する、ルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造、その他を含む。本明細書に記載の技法は、通信ネットワークを介してリンクされたリモート処理装置によってタスクが実施される、分散コンピューティング環境において実施してもよい。分散コンピューティング環境において、プログラムモジュールは、メモリ記憶装置を含む、ローカルおよびリモートのコンピュータ記憶媒体の両方に位置してもよい。
【0041】
図8を参照すると、本明細書に記載の技法を実現するための例示的システムは、コンピュータ810の形式の汎用コンピューティング装置を含む。コンピュータ810のコンポーネントとしては、それに限定はされないが、処理ユニット820、システムメモリ830、および処理ユニット820に対するシステムメモリを含む、様々なシステムコンポーネントを結合する、システムバス821を挙げることができる。システムバス821は、メモリバスまたはメモリコントローラ、周辺バス、および多様なバスアーキテクチャのいずれかを使用するローカルバスを含む、いくつかのタイプのバス構造のいずれかとしてもよい。例としてであって、限定ではなく、そのようなアーキテクチャとしては、業界標準アーキテクチャ(ISA:Industry Standard Architecture)バス、マイクロチャネルアーキテクチャ(MCA)バス、拡張ISA(EISA)バス、ビデオエレクトロニクス規格協会(VESA)ローカルバス、およびメザニンバス(Mezzanine bus)とも呼ばれるPCI(Peripheral Component Interconnect)バスがある。
【0042】
コンピュータ810は、通常、多様なコンピュータ可読媒体を含む。コンピュータ可読媒体は、コンピュータ810によってアクセスが可能であって、揮発性および不揮発性の媒体、リムーバブルおよびノンリムーバブルな媒体を含む、任意の利用可能な媒体とすることができる。例としてであって、限定ではなく、コンピュータ可読媒体は、コンピュータ記憶媒体および通信媒体を含めてもよい。コンピュータ記憶媒体は、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュールまたはその他のデータなどの情報の記憶のための任意の方法または技術において実現される、揮発性および不揮発性の、およびリムーバブルおよびノンリムーバブルな媒体を含む。コンピュータ記憶媒体としては、それに限定はされないが、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリまたは他のメモリ技術、CD-ROM、デジタル多用途ディスク(DVD)またはその他の光ディスク記憶装置、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク記憶装置または他の磁気記憶装置、あるいは所望の情報を記憶するために使用され、コンピュータ810によってアクセス可能である、その他の媒体が含まれる。通信媒体は、通常、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、または搬送波または他のトランスポート機構などの変調データ信号内の他のデータを具現するとともに、任意の情報配信媒体を含む。「変調データ信号」の用語は、その信号内に情報を符号化するような方法で、設定または変更された、その特徴の1つまたは2つ以上を有する信号を意味する。例としてであって、限定ではなく、通信媒体には、有線ネットワークまたは直接有線接続などの、有線媒体、および音響、RF、赤外線およびその他の無線媒体などの無線媒体を含む。上記の任意のものの組合せも、コンピュータ可読媒体の範囲に含めるべきである。
【0043】
システムメモリ830は、読取り専用メモリ(ROM)831およびランダムアクセスメモリ(RAM)832などの、揮発性および/または不揮発性のメモリの形態でのコンピュータ記憶媒体を含む。スタートアップ時など、コンピュータ810内部の要素間の情報の転送を助ける基本ルーチンを包含する、ベーシックインプット/アウトプットシステム833(BIOS)は、通常、ROM831に記憶される。RAM832は、通常、処理ユニット820に直ちにアクセス可能であって、かつ/または現在、それによって動作されているデータおよび/またはプログラムモジュールを収納する。例示としてであって、限定ではなく、図8は、オペレーティングシステム834、アプリケーションプログラム835、その他のプログラムモジュール836、およびプログラムデータ837を示す。
【0044】
コンピュータ810にはまた、その他のリムーバブル/ノンリムーバブルな、揮発性/不揮発性のコンピュータ記憶媒体を含めてもよい。例示にすぎないが、図8は、ノンリムーバブルな不揮発性磁気媒体との間で読み書きを行うハードディスクドライブ841、フラッシュメモリなどのリムーバブルな不揮発性メモリ852との間で読み書きを行う、フラッシュドライブ851、またはCD-ROMまたは他の光学媒体のような、リムーバブルな不揮発性光ディスク856との間で読み書きを行う、光ディスクドライブ855を示す。例示的なオペレーティング環境において使用することのできる、その他のリムーバブル/ノンリムーバブル、揮発性/不揮発性のコンピュータ記憶媒体としては、それに限定はされないが、磁気テープカセット、フラッシュメモリカード、デジタル多用途ディスク、デジタルビデオテープ、ソリッドステートRAM、ソリッドステートROM、その他が挙げられる。ハードディスクドライブ841は、通常、インターフェイス840のような、ノンリムーバブルメモリインターフェイスを通して、システムバス821に接続されており、磁気ディスクドライブ851および光学ディスクドライブ855は、通常、インターフェイス850のような、リムーバブルメモリインターフェイスによってシステムバス821に接続されている。
【0045】
上記で考察され、図8に示されたドライブと、関連するコンピュータ記憶媒体は、コンピュータ810用のコンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、およびその他のデータの記憶を提供する。図8において、例えば、ハードディスクドライブ841は、オペレーティングシステム844、アプリケーションプログラム845、その他のプログラムモジュール846、およびプログラムデータ847を記憶しているのが図示されている。なお、これらのコンポーネントは、オペレーティングシステム834、アプリケーションプログラム835、その他のプログラムモジュール836、およびプログラムデータ837と同じであるか、または異なる可能性があることに留意されたい。オペレーティングシステム844、アプリケーションプログラム845、その他のプログラムモジュール846、およびプログラムデータ847は、ここでは、少なくとも異なるコピーであることを示すために、異なる番号が与えられている。ユーザは、キーボード862、および一般にマウス、トラックボールまたはタッチパッドと呼ばれるポインティングデバイス861などの、入力デバイスを介してコマンドおよび情報をコンピュータ810に入力することができる。その他の入力デバイス(図示せず)としては、マイクロフォン、ジョイスティック、ゲームパッド、衛星放送受信アンテナ、スキャナ、その他が挙げられる。これら、およびその他の入力デバイスは、システムバスに結合されたユーザ入力インターフェイス860を介して処理ユニット820に接続されることが多いが、パラレルポート、ゲームポートまたはユニバーサルシリアルバス(USB)などの、その他のインターフェイスおよびバスアーキテクチャによって接続してもよい。モニタ891およびその他のタイプのディスプレイデバイスはまた、ビデオインターフェイス890のようなインターフェイスを介してシステムバス821に結合されている。コンピュータには、モニタに加えて、スピーカ897およびプリンタ896などのその他の周辺出力装置も含めることができ、これらは出力周辺インターフェイス895を介して接続することができる。
【0046】
コンピュータ810は、リモートコンピュータ880のような、1つまたは2つ以上のリモートコンピュータへの論理接続を使用してネットワーク化された環境で動作することができる。リモートコンピュータ880は、パーソナルコンピュータ、サーバ、ルータ、ネットワークPC、ピアデバイス、またはその他の一般的なネットワークノードとすることができ、図8にはメモリ記憶装置881だけが示されているが、典型的には、コンピュータ810に関して上述した要素の多くまたはすべてを含む。図8に示された論理接続は、ローカルエリアネットワーク(LAN)871およびワイドエリアネットワーク(WAN)873を含むが、他のネットワークも含んでもよい。そのようなネットワーキング環境は、オフィス、企業規模のコンピュータネットワーク、イントラネット、およびインターネットにおいて普及している。
【0047】
LANネットワーキング環境において使用されるときには、コンピュータ810は、ネットワークインターフェイスまたはアダプタ870を介してLAN871に接続される。WANネットワーキング環境において使用されるときには、コンピュータ810は、通常、インターネットのようなWAN873上で通信を確立するための、モデム872またはその他の手段を含む。モデム872は、内蔵でも外付けでもよく、ユーザ入力インターフェイス860またはその他の適切な機構を介して、システムバス821に接続することができる。ネットワーク環境においては、コンピュータ810に関して示したプログラムモジュール、またはその部分を、リモートメモリ記憶装置に格納することができる。例としてであって、限定ではなく、図8は、リモートアプリケーションプログラム885を、メモリ装置881に常駐するものとして示している。図示のネットワーク接続は例示的なものであり、コンピュータ間で通信リンクを確立するその他の手段を使用できることが理解されるであろう。
【0048】
このように本発明の少なくとも1つの実施態様のいくつかの観点について説明してきたが、当業者であれば、様々な変更、修正、および改良を容易に思い付くであろうことを理解されたい。
【0049】
そのような変更、修正、および改良は、この開示の一部であることを意図しており、本発明の趣旨と範囲内に含めることを意図している。さらに、本発明の利点が示されているが、本明細書に記載の技術のすべての実施態様が、すべての記載された利点を含むとは限らないことを理解されたい。いくつかの実施態様は、本明細書において有利であるとして記載されたいずれの特徴も実現しなくてもよく、場合によっては、さらに別の実施態様を達成するために、記載された特徴のうちの1つまたは2つ以上を実現してもよい。したがって、前述の説明および図面は、例示にすぎない。
【0050】
本明細書に記載された技術の上述の実施態様は、多数の方法のうちの任意の方法で実現することができる。例えば、それらの実施態様は、ハードウェア、ソフトウェア、またはそれらの組合せを使用して実現することができる。ソフトウェアで実現されるとき、ソフトウェアコードは、単一のコンピュータにおいて提供されるか、複数のコンピュータに分散されるかにかかわらず、任意の適切なプロセッサまたはプロセッサの集合体上で実行することができる。そのようなプロセッサは、CPUチップ、GPUチップ、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、またはコプロセッサなどの名称で、当該技術分野で知られている市販の集積回路部品を含む、集積回路コンポーネントにおける1つまたは2つ以上のプロセッサと共に、集積回路として実装してもよい。あるいは、プロセッサは、ASICのようなカスタム回路、またはプログラマブルロジックデバイスを構成して得られるセミカスタム回路、に実装してもよい。さらに代替として、プロセッサは、市販されているか、セミカスタムであるか、またはカスタムであるかにかかわらず、より大きな回路または半導体デバイスの一部分としてもよい。具体的な例として、いくつかの市販のマイクロプロセッサは、それらのコアのうちの1つまたはサブセットがプロセッサを構成し得るように、複数のコアを有する。しかしながら、プロセッサは、任意適切なフォーマットの回路を使用して実現することができる。
【0051】
さらに、コンピュータは、ラックマウント型コンピュータ、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、またはタブレット型コンピュータなどの複数の形態のいずれかで具現することができることを理解すべきである。加えて、コンピュータは、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、スマートフォンまたはその他の任意適切な携帯型または固定型の電子デバイスを含む、一般にコンピュータとはみなされないが、適切な処理能力を有するデバイスに埋め込むことができる。
【0052】
また、コンピュータは1つまたは2つ以上の入力デバイスおよび出力デバイスを有してもよい。これらのデバイスは、とりわけ、ユーザインターフェイスを提示するために使用することができる。ユーザインターフェイスを提供するのに使用することのできる、出力デバイスの例としては、出力の視覚提示のためのプリンタまたはディスプレイスクリーン、および出力の聴覚提示のためのスピーカまたはその他の音響生成装置が挙げられる。ユーザインターフェイスに使用することができる入力デバイスの例としては、キーボード、ならびにマウス、タッチパッド、およびデジタイジングタブレットなどの、ポインティングデバイスが挙げられる。別の例として、コンピュータは、音声認識または他の可聴フォーマットで入力情報を受け取ってもよい。
【0053】
そのようなコンピュータは、ローカルエリアネットワーク、あるいは企業ネットワークまたはインターネットなどのワイドエリアネットワークを含む、任意適切な形態での1つまたは2つ以上のネットワークによって相互接続することができる。そのようなネットワークは、任意適切な技術に基づいてもよく、任意適切なプロトコルに従って動作してもよく、また無線ネットワーク、有線ネットワーク、または光ファイバネットワークを含んでもよい。
【0054】
また、本明細書で概説した様々な方法またはプロセスは、様々なオペレーティングシステムまたはプラットフォームのうちの任意のものを採用する1つまたは2つ以上のプロセッサ上で実行可能なソフトウェアとしてコーディングすることができる。さらに、そのようなソフトウェアは、多数の適切なプログラミング言語および/またはプログラミングツールもしくはスクリプトツールのいずれかを使用して書かれてもよく、実行可能な機械語コード、またはフレームワークもしくは仮想マシン上で実行される中間コードとしてコンパイルされてもよい。
【0055】
この点において、本発明は、1つまたは2つ以上のコンピュータまたは他のプロセッサ上で実行されると、上述の本発明の様々な実施態様を実現する方法を実行する1つまたは2つ以上のプログラムで符号化された、コンピュータ可読記憶媒体(または複数のコンピュータ可読媒体)(例えばコンピュータメモリ、1つまたは2つ以上のフロッピーディスク、コンパクトディスク(CD)、光ディスク、デジタルビデオディスク(DVD)、磁気テープ、フラッシュメモリ、フィールドプログラマブルゲートアレイにおける回路構成、またはその他の半導体デバイス、あるいはその他の有形のコンピュータ記憶媒体)として具現することができる。前述の例から明らかなように、コンピュータ可読記憶媒体は、コンピュータ実行可能命令を非一時的形態で提供するのに十分な時間にわたって情報を保持することができる。そのような1つまたは2つ以上のコンピュータ可読記憶媒体は、その上に記憶された1つまたは2つ以上のプログラムを1つまたは2つ以上の異なるコンピュータまたは他のプロセッサにロードして、上述のような本発明の様々な観点を実施できるように可搬型とすることができる。本明細書で使用されるとき、用語「コンピュータ可読記憶媒体」は、製品(すなわち、製造物品)または機械と見なすことができる、非一時的コンピュータ可読媒体のみを包含する。代替的または追加的に、本発明は、伝搬信号のようなコンピュータ可読記憶媒体以外のコンピュータ可読媒体として具現することができる。
【0056】
「プログラム」または「ソフトウェア」という用語は、本明細書で使用されるときには、上述のような本発明の様々な観点を実現するように、コンピュータまたはその他のプロセッサをプログラムするために使用することのできる、任意のタイプのコンピュータコードまたはコンピュータ実行可能命令の集合を指して総称的に使用される。さらに、この実施態様の一観点によれば、実行時に本発明の方法を実行する1つまたは2つ以上のコンピュータプログラムは、単一のコンピュータまたはプロセッサ上に常駐する必要はなく、本発明の様々な観点を実現するために多数の異なるコンピュータまたはプロセッサの間に、モジュール方式で分散させてもよいことを理解すべきである。
【0057】
コンピュータ実行可能命令は、1つまたは2つ以上のコンピュータまたは他のデバイスによって実行されるプログラムモジュールのような、多くの形態としてもよい。一般に、プログラムモジュールは、特定のタスクを実行するか、または特定の抽象データ型を実装するルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造、その他を含む。通常、プログラムモジュールの機能は、様々な実施態様において、必要に応じて組み合わせ、または分散させることができる。
【0058】
また、データ構造は、任意の適切な形態でコンピュータ可読媒体に記憶することができる。説明を簡単にするために、データ構造は、データ構造における場所を介して、関係するフィールドを有するように示すことができる。そのような関係は、フィールド用の記憶域に、フィールド間の関係を伝達するコンピュータ可読媒体内の場所を割り当てることによっても同様に達成することができる。しかし、ポインタ、タグ、またはデータ要素間の関係を確立する他のメカニズムの使用を含む、データ構造のフィールド内の情報間の関係を確立するために、任意適切なメカニズムを使用することができる。
【0059】
本発明の様々な態様は、単独で、組み合わせて、または前述の実施態様において具体的に説明されていない、さまざまな配設において使用してもよく、したがってその応用において、前述の説明に記載されるか、または図面に示された詳細および配設に限定されない。例えば、一実施態様に記載された観点は、任意の方法で、その他の実施態様に記載された観点と組み合わせてもよい。
【0060】
また、本発明は、その例を提示した方法として具現してもよい。本方法の部分として実施される動作は、任意適当に順序付けしてもよい。したがって、説明用の実施態様では逐次動作として示されていても、動作が図示された順序とは異なる順序で実行される実施態様を構成することが可能であり、それはいくつかの動作を同時に実行することを含むことができる。
【0061】
さらに、いくつかの動作は「ユーザ」によって行われるものとして説明される。「ユーザ」は単一の個人である必要はなく、実施態様によっては、「ユーザ」に起因する動作は、コンピュータ支援ツールまたはその他のメカニズムと組み合わせて、個人のチームおよび/または個人によって実行されてもよいことを理解すべきである。
【0062】
クレーム要素を修飾するためにクレームにおいて「第1」、「第2」、「第3」などの序数の用語を使用することは、それ自体では、あるクレーム要素の別のクレーム要素に対する優先度、優先順位、順序、あるいはメソッドの動作が実行される時系列順序を暗示するものではなく、クレーム要素を区別するために、特定の名前を持つ1つのクレーム要素を、同じ名前を持つ別の要素と区別するための(ただし序数用語の使用のための)ラベルとして使用される。
【0063】
また、本明細書で使用されている表現および用語は説明を目的としており、限定と見なされるべきではない。本明細書における、「含む(including)」、「備える(comprising)」、「有する(having)」、「包含する(containing)」、「involving(伴う)」、およびそれらの変形形態を使用することは、その後に列挙される項目およびその等価物、ならびに追加の項目を包含することを意味する。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A-B】
図4A-B】
図5
図6
図7
図8