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特許7118069縦型パワーデバイスのための方法およびシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-04
(45)【発行日】2022-08-15
(54)【発明の名称】縦型パワーデバイスのための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/329 20060101AFI20220805BHJP
   H01L 29/872 20060101ALI20220805BHJP
   H01L 21/338 20060101ALI20220805BHJP
   H01L 29/778 20060101ALI20220805BHJP
   H01L 29/812 20060101ALI20220805BHJP
   H01L 21/337 20060101ALI20220805BHJP
   H01L 29/808 20060101ALI20220805BHJP
   H01L 29/06 20060101ALI20220805BHJP
   H01L 29/861 20060101ALI20220805BHJP
   H01L 29/868 20060101ALI20220805BHJP
   H01L 29/12 20060101ALI20220805BHJP
   H01L 29/78 20060101ALI20220805BHJP
   H01L 29/47 20060101ALI20220805BHJP
   H01L 21/445 20060101ALI20220805BHJP
   C30B 29/06 20060101ALI20220805BHJP
【FI】
H01L29/86 301P
H01L29/80 H
H01L29/80 V
H01L29/86 301D
H01L29/86 301M
H01L29/86 301F
H01L29/06 301V
H01L29/91 F
H01L29/78 652T
H01L29/78 654C
H01L29/48 D
H01L29/48 P
H01L21/445
C30B29/06 Z
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2019534971
(86)(22)【出願日】2017-12-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-02-06
(86)【国際出願番号】 US2017067686
(87)【国際公開番号】W WO2018125723
(87)【国際公開日】2018-07-05
【審査請求日】2020-12-18
(31)【優先権主張番号】62/439,860
(32)【優先日】2016-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/847,716
(32)【優先日】2017-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518137335
【氏名又は名称】クロミス,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100137969
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 憲昭
(74)【代理人】
【識別番号】100104824
【弁理士】
【氏名又は名称】穐場 仁
(72)【発明者】
【氏名】オドノブリュードフ,ウラジミール
(72)【発明者】
【氏名】リスバド,ディリップ
(72)【発明者】
【氏名】アクタス,オズギュル
【審査官】恩田 和彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-299253(JP,A)
【文献】特開2016-072450(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0119394(US,A1)
【文献】特開2015-211186(JP,A)
【文献】特開2015-026664(JP,A)
【文献】国際公開第2010/100709(WO,A1)
【文献】特開2015-056486(JP,A)
【文献】国際公開第2015/012218(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0014772(US,A1)
【文献】特開2010-251505(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/329
H01L 21/338
H01L 21/337
H01L 29/872
H01L 29/06
H01L 29/861
H01L 29/12
H01L 29/78
H01L 29/47
H01L 21/445
C30B 29/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体デバイスを形成する方法であって、前記方法が、
多結晶セラミックコア、
前記多結晶セラミックコアを封入するバリア層、
前記バリア層に結合された接合層、および
前記接合層に結合された実質的に単結晶のシリコン層、
を含む人工基板を用意するステップと、
前記人工基板に結合されたショットキーダイオードを形成するステップであって、前記ショットキーダイオードが頂面および底面を有し、前記底面が前記実質的に単結晶のシリコン層に結合されている、ステップと、
前記ショットキーダイオードの前記頂面に結合されたショットキーコンタクトを形成するステップと、
前記ショットキーコンタクトに結合された金属メッキを形成するステップと、
前記ショットキーダイオードの前記底面を露出させるために前記人工基板を除去するステップと、
前記ショットキーダイオードの前記底面上にオーミックコンタクトを形成するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記ショットキーダイオードを前記形成するステップが、
前記実質的に単結晶のシリコン層に結合された第1のエピタキシャルN型窒化ガリウム層を形成するステップであって、前記第1のエピタキシャルN型窒化ガリウム層が第1のドーピング濃度を有する、ステップと、
前記第1のエピタキシャルN型窒化ガリウム層に結合された第2のエピタキシャルN型窒化ガリウム層を形成するステップであって、前記第2のエピタキシャルN型窒化ガリウム層が前記第1のドーピング濃度よりも少ない第2のドーピング濃度を有する、ステップと、
を含み、
前記ショットキーコンタクトが前記第2のエピタキシャルN型窒化ガリウム層に結合され、前記オーミックコンタクトが前記第1のエピタキシャルN型窒化ガリウム層に結合されている、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1のエピタキシャルN型窒化ガリウム層を形成する前に、前記実質的に単結晶のシリコン層に結合されたバッファ層を形成するステップであって、前記第1のエピタキシャルN型窒化ガリウム層が前記バッファ層に結合されている、ステップをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記バッファ層が窒化アルミニウムガリウムを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記バッファ層が窒化アルミニウム層と、窒化アルミニウムガリウム層と、窒化ガリウム層と、を含む複数の層を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記第2のエピタキシャルN型窒化ガリウム層が約10μmよりも大きな厚さを有する、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記第2のエピタキシャルN型窒化ガリウム層が約20μmよりも大きな厚さを有する、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記金属メッキが約50μm~約100μmの範囲にある厚さを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記多結晶セラミックコアが多結晶窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記実質的に単結晶のシリコン層が(111)表面配向を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
多結晶セラミックコア、
前記多結晶セラミックコアを封入するバリア層、
前記バリア層に結合された接合層、および
前記接合層に結合された実質的に単結晶のシリコン層
を含む人工基板を用意するステップと、
前記実質的に単結晶のシリコン層に結合されたバッファ層を形成するステップと、
前記バッファ層に結合されたパワートランジスタを形成するステップであって、前記パワートランジスタが頂面および底面を有し、前記底面が前記バッファ層に結合されている、ステップと、
前記パワートランジスタの頂面に結合されたゲートコンタクトを形成するステップと、
前記パワートランジスタの前記頂面に結合された第1のソースコンタクトおよび第2のソースコンタクトを形成するステップと、
前記人工基板を除去するステップと、
前記パワートランジスタの前記底面を露出させるために前記バッファ層を除去するステップと、
前記パワートランジスタの前記底面に結合されたドレインコンタクトを形成するステップと、
を含む、
半導体デバイスを形成する方法。
【請求項12】
前記パワートランジスタを形成するステップが、
前記バッファ層に結合された第1のエピタキシャルN型窒化ガリウム層を形成するステップであって、前記第1のエピタキシャルN型窒化ガリウム層が第1のドーピング濃度を有する、ステップと、
前記第1のエピタキシャルN型窒化ガリウム層に結合された第2のエピタキシャルN型窒化ガリウム層を形成するステップであって、前記第2のエピタキシャルN型窒化ガリウム層が前記第1のドーピング濃度よりも少ない第2のドーピング濃度を有する、ステップと、
前記第2のエピタキシャルN型窒化ガリウム層内部に第1のP型窒化ガリウム領域および第2のP型窒化ガリウム領域を形成するステップであって、前記第1のP型窒化ガリウム領域および前記第2のP型窒化ガリウム領域がトレンチによって互いに分離されており、前記トレンチの上方の、前記第2のエピタキシャルN型窒化ガリウム層の一部がチャネル領域を形成する、ステップと、
前記チャネル領域に結合されたエピタキシャル窒化アルミニウムガリウム層を形成するステップと、
前記エピタキシャル窒化アルミニウムガリウム層に結合されたゲート誘電体層を形成するステップと、
前記ゲートコンタクトが前記ゲート誘電体層に結合され、前記第1のソースコンタクトが前記第1のP型窒化ガリウム領域に結合され、前記第2のソースコンタクトが前記第2のP型窒化ガリウム領域に結合され、前記ドレインコンタクトが前記第1のエピタキシャルN型窒化ガリウム層の背面に結合されている、
請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1のP型窒化ガリウム領域および前記第2のP型窒化ガリウム領域を形成するステップが、前記第2のエピタキシャルN型窒化ガリウム層の第1の領域および第2の領域にP型ドーパントを注入するステップを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第1のP型窒化ガリウム領域および前記第2のP型窒化ガリウム領域を形成するステップが、
前記第2のエピタキシャルN型窒化ガリウム層上にエピタキシャルP型窒化ガリウム層を形成するステップと、
前記エピタキシャルP型窒化ガリウム層の一部を除去して前記第2のエピタキシャルN型窒化ガリウム層の一部を露出させる前記トレンチを形成するステップであって、前記トレンチが、前記エピタキシャルP型窒化ガリウム層の残りの部分を前記第1のP型窒化ガリウム領域と前記第2のP型窒化ガリウム領域とに分離する、ステップと、
前記第2のエピタキシャルN型窒化ガリウム層の前記露出した部分、および前記エピタキシャルP型窒化ガリウム層の前記残りの部分に再成長エピタキシャルN型窒化ガリウム層を形成するステップと、
を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記第2のエピタキシャルN型窒化ガリウム層が約10μmよりも大きな厚さを有する、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記第2のエピタキシャルN型窒化ガリウム層が約20μmよりも大きな厚さを有する、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記多結晶セラミックコアが多結晶窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記実質的に単結晶のシリコン層が(111)表面配向を有する、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記バッファ層が窒化アルミニウムガリウムを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項20】
前記バッファ層が、窒化アルミニウム層と、窒化アルミニウムガリウム層と、窒化ガリウム層と、を含む複数の層を含む、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]本出願は、2016年12月28日に申請された米国仮特許出願第62/439,860号、および2017年12月19日に申請された米国非仮特許出願第15/847,716号の利点を主張するものであり、それらの開示は、その全体が参照により組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
[0002]窒化ガリウム系パワーデバイスは、典型的には、サファイア基板上にエピタキシャル成長により形成される。サファイア基板上での窒化ガリウム系パワーデバイスの成長は、基板およびエピタキシャル層が異なる材料から構成されているため、ヘテロエピタキシャル成長プロセスである。ヘテロエピタキシャル成長プロセスに起因して、エピタキシャル成長させた材料は、均一性の低下およびエピタキシャル層の電子的/光学的性質に関連付けられたメトリックの低下を含む様々な悪影響を呈することがある。したがって、当技術分野においてエピタキシャル成長プロセスおよび基板構造に関連する改善された方法ならびにシステムに対する必要性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
[0003]本発明の一実施形態によると、半導体デバイスを形成する方法は、人工基板を用意するステップを含む。人工基板は、多結晶セラミックコアと、多結晶セラミックコアを封入するバリア層と、バリア層に結合された接合層と、接合層に結合された実質的に単結晶のシリコン層と、を含む。本方法は、人工基板に結合されたショットキーダイオードを形成するステップをさらに含む。ショットキーダイオードは、頂面および底面を有する。底面は、実質的に単結晶のシリコン層に結合されている。本方法は、ショットキーダイオードの頂面に結合されたショットキーコンタクトを形成するステップと、ショットキーコンタクトに結合された金属メッキを形成するステップと、ショットキーダイオードの底面を露出させるために人工基板を除去するステップと、ショットキーダイオードの底面上にオーミックコンタクトを形成するステップと、をさらに含む。一部の実施形態では、ショットキーダイオードを形成するステップは、実質的に単結晶のシリコン層に結合された第1のエピタキシャルN型窒化ガリウム層を形成するステップと、第1のエピタキシャルN型窒化ガリウム層に結合された第2のエピタキシャルN型窒化ガリウム層を形成するステップと、を含む。ショットキーコンタクトは、第2のエピタキシャルN型窒化ガリウム層に結合されており、オーミックコンタクトは、第1のエピタキシャルN型窒化ガリウム層に結合されている。
【0004】
[0004]本発明の別の実施形態によると、半導体デバイスを形成する方法は、人工基板を用意するステップを含む。人工基板は、多結晶セラミックコアと、多結晶セラミックコアを封入するバリア層と、バリア層に結合された接合層と、接合層に結合された実質的に単結晶のシリコン層と、を含む。本方法は、実質的に単結晶のシリコン層に結合されたバッファ層を形成するステップと、バッファ層に結合されたパワートランジスタを形成するステップと、をさらに含む。パワートランジスタは、頂面および底面を有する。底面は、バッファ層に結合されている。本方法は、パワートランジスタの頂面に結合されたゲートコンタクトを形成するステップと、パワートランジスタの頂面に結合された第1のソースコンタクトおよび第2のソースコンタクトを形成するステップと、人工基板を除去するステップと、パワートランジスタの底面を露出させるためにバッファ層を除去するステップと、パワートランジスタの底面に結合されたドレインコンタクトを形成するステップと、をさらに含む。一部の実施形態では、パワートランジスタを形成するステップは、バッファ層に結合された第1のエピタキシャルN型窒化ガリウム層を形成するステップと、第1のエピタキシャルN型窒化ガリウム層に結合された第2のエピタキシャルN型窒化ガリウム層を形成するステップと、第2のエピタキシャルN型窒化ガリウム層内部に第1のP型窒化ガリウム領域および第2のP型窒化ガリウム領域を形成するステップと、を含む。第1のP型窒化ガリウム領域および第2のP型窒化ガリウム領域は、トレンチによって互いに分離されている。トレンチの上方の第2のエピタキシャルN型窒化ガリウム層の一部は、チャネル領域を形成する。パワートランジスタを形成するステップは、チャネル領域に結合されたエピタキシャル窒化アルミニウムガリウム層を形成するステップと、エピタキシャル窒化アルミニウムガリウム層に結合されたゲート誘電体層を形成するステップと、をさらに含む。ゲートコンタクトは、ゲート誘電体層に結合され、第1のソースコンタクトは、第1のP型窒化ガリウム領域に結合され、第2のソースコンタクトは、第2のP型窒化ガリウム領域に結合され、ドレインコンタクトは、第1のエピタキシャルN型窒化ガリウム層の背面に結合されている。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】本発明の一部の実施形態による人工基板構造を示す簡略化された概略断面図である。
図2】本発明の一部の実施形態によるショットキーバリアダイオード(SBD)を形成する方法を示す簡略化された流れ図である。
図3A】本発明の一部の実施形態による図2に示す方法の中間ステップを示す概略断面図である。
図3B】本発明の一部の実施形態による図2に示す方法の中間ステップを示す概略断面図である。
図3C】本発明の一部の実施形態による図2に示す方法の中間ステップを示す概略断面図である。
図3D】本発明の一部の実施形態による図2に示す方法の中間ステップを示す概略断面図である。
図3E】本発明の一部の実施形態による図2に示す方法の中間ステップを示す概略断面図である。
図3F】本発明の一部の実施形態による図2に示す方法の中間ステップを示す概略断面図である。
図3G】本発明の一部の実施形態による図2に示す方法の中間ステップを示す概略断面図である。
図3H】本発明の一部の実施形態による図2に示す方法の中間ステップを示す概略断面図である。
図4】本発明の一部の実施形態によるショットキーダイオードの概略斜視図である。
図5】本発明の一部の実施形態による縦型パワートランジスタを形成する方法を示す簡略化された流れ図である。
図6A】本発明の一部の実施形態による図5に示す方法の中間ステップを示す概略断面図である。
図6B】本発明の一部の実施形態による図5に示す方法の中間ステップを示す概略断面図である。
図6C】本発明の一部の実施形態による図5に示す方法の中間ステップを示す概略断面図である。
図7】本発明の一部の実施形態によるパワートランジスタの概略斜視図である。
図8】本発明の他の一部の実施形態によるパワートランジスタの概略斜視図である。
図9】本発明の一部の実施形態による人工基板構造を示す簡略化された概略図である。
図10】本発明の他の一部の実施形態による人工基板構造を示す簡略化された概略図である。
図11】本発明の一部のさらなる実施形態による人工基板構造を示す簡略化された概略図である。
図12】本発明の一部の実施形態による人工基板を製造する方法を示す簡略化された流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
[0017]本発明は、一般に、人工基板上に形成されたショットキーダイオードおよびパワートランジスタに関する。より詳細には、本発明は、エピタキシャル成長プロセスを使用して縦型ショットキーダイオードおよび縦型パワートランジスタを製造するのに適した方法ならびにシステムに関する。単に一例として、本発明は、エピタキシャル成長によって基板上に縦型ショットキーダイオードおよび縦型パワートランジスタを製造する方法ならびにシステムに適用されており、基板は、縦型ショットキーダイオードおよび縦型パワートランジスタを形成するエピタキシャル層と実質的に一致する熱膨張係数(CTE)を特徴とする。本方法および技法は、様々な半導体処理操作に適用することができる。
【0007】
[0018]図1は、本発明の一部の実施形態による人工基板構造を示す簡略化された概略図である。図1に示すように、人工基板構造は、様々な電子的および光学的用途に適している可能性がある。人工基板構造は、人工基板構造上に、例えば、剥離されたシリコン(111)層125上に成長させるエピタキシャル材料の熱膨張係数(CTE)と実質的に一致するCTEを有することができるコア110(例えば、AlN基板)を含む。
【0008】
[0019]窒化ガリウム(GaN)系材料(GaN系層を含むエピタキシャル層)の成長を含む用途については、コア110は、多結晶セラミック材料、例えば、酸化イットリウムなどの結合材料を含むことができる多結晶窒化アルミニウム(AlN)とすることができる。多結晶窒化ガリウム(GaN)、多結晶窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)、多結晶炭化ケイ素(SiC)、多結晶酸化亜鉛(ZnO)、多結晶三酸化ガリウム(Ga)などを含む他の材料をコアに利用することができる。
【0009】
[0020]コア110の厚さは、100~1,500μm程度、例えば750μmとすることができる。コア110は、シェルまたは封入シェルと呼ばれることがある接着層112に封入される。一実施形態において、接着層112は、厚さが1,000Å程度のテトラエチル・オルトシリケート(TEOS)酸化物層を含む。他の実施形態では、接着層112の厚さは、例えば100Åから2,000Åまで変化する。TEOS酸化物は、一部の実施形態では接着層112に利用されるが、本発明の一実施形態によると、後で堆積させる層とその下の層または材料(例えば、セラミック、特に多結晶セラミック)との間の接着をもたらす他の材料を利用することができる。例えば、SiOまたは他の酸化ケイ素(Si)は、セラミック材料によく付着し、例えば、導電性材料のその後の堆積に適した表面を提供する。接着層112は、一部の実施形態において、コア110を完全に取り囲んで完全に封入されたコア110を形成し、半導体処理、特に多結晶または複合基板および層と両立することができるLPCVDプロセスあるいは他の適切な堆積プロセスを使用して形成され得る。接着層112は、表面を提供し、その上に後続の層が付着して人工基板構造の要素を形成する。
【0010】
[0021]封入接着層を形成するためのLPCVDプロセス、スピンオンガラス/誘電体、炉ベースのプロセスなどの使用に加えて、CVDプロセスまたは同様の堆積プロセスを含む他の半導体プロセスを本発明の実施形態に従って利用することができる。一例として、コア110の一部を被覆する堆積プロセスを利用することができ、コア110を裏返すことができ、堆積プロセスを繰り返してコア110のさらなる部分を被覆することができる。したがって、一部の実施形態では、完全に封入された構造を提供するためにLPCVD技法が利用されるが、特定の用途に応じて他の膜形成技法が利用されてもよい。
【0011】
[0022]図9は、本発明の一部の実施形態による人工基板構造を示す、別の簡略化された概略図である。図1および図9を参照すると、導電層114が接着層112を取り囲んで形成されている。一実施形態において、導電層114は、ポリシリコンがセラミック材料に対して乏しい接着力を呈することがあるため、接着層112を取り囲んで形成されたポリシリコン(すなわち、多結晶シリコン)のシェルである。導電層114がポリシリコンである実施形態では、ポリシリコン層の厚さは、500~5,000Å程度、例えば2,500Åとすることができる。一部の実施形態では、ポリシリコン層は、接着層112(例えば、TEOS酸化物層)を完全に取り囲むようにシェルとして形成することができ、それによって完全に封入された接着層112を形成し、LPCVDプロセスを使用して形成され得る。他の実施形態では、以下に論じるように、導電性材料は、接着層112の一部に、例えば、基板構造の下半分に形成されてもよい。一部の実施形態では、導電性材料は、完全封入層として形成され、その後、基板構造の片面で除去されてもよい。
【0012】
[0023]一実施形態において、導電層114は、高導電性材料を提供するためにドープされた、例えば、p型ポリシリコン層を提供するために、ホウ素でドープされたポリシリコン層とすることができる。一部の実施形態では、ホウ素によるドーピングは、高い導電性を提供するために1×1019cm-3~1×1020cm-3のレベルにある。異なるドーパント濃度の他のドーパント(例えば、1×1016cm-3~5×1018cm-3の範囲にあるドーパント濃度のリン、ヒ素、ビスマスなど)を利用して、導電層114で使用するのに適したn型またはp型半導体材料を提供することができる。当業者は、多くの変形形態、修正形態、および代替形態を認識されるであろう。
【0013】
[0024]導電層114の存在は、人工基板を、半導体処理ツール、例えば静電チャック(ESCまたはeチャック)を有するツールに静電チャックする際に有用である。導電層は、半導体処理ツールにおいて処理した後の迅速なチャッキング解除を可能にする。本発明の実施形態では、導電層114は、ボンディングを含む将来の処理中に、チャックとの電気的接触またはeチャックへの容量結合を可能にする。したがって、本発明の実施形態は、従来のシリコンウエハと共に利用されるやり方で処理することができる基板構造を提供する。当業者は、多くの変形形態、修正形態、および代替形態を認識されるであろう。加えて、静電チャッキングと組み合わせて高い熱伝導率を有する基板構造を有することは、その後の加工層およびエピタキシャル層の形成のために、ならびにその後のデバイス製造工程のためによりよい堆積条件を与えることができる。例えば、これは、その後の層形成を通して、より低い応力、より均一な堆積厚、およびより良好な化学量論制御をもたらすことができる望ましい熱プロファイルを提供することができる。
【0014】
[0025]第2の接着層116(例えば、厚さが1,000Å程度のTEOS酸化物層)は、導電層114を取り囲むように形成されている。第2の接着層116は、一部の実施形態では、導電層114を完全に取り囲んで完全に封入された構造を形成し、スピンオン誘電体の堆積を含む、LPCVDプロセス、CVDプロセス、または任意の他の適切な堆積プロセスを使用して形成され得る。
【0015】
[0026]バリア層118、例えば窒化ケイ素層は、第2の接着層116を取り囲んで形成される。一実施形態において、バリア層118は、厚さが2,000Å~5,000Å程度の窒化ケイ素層である。バリア層118は、一部の実施形態では、第2の接着層116を完全に取り囲んで完全に封入された構造を形成し、LPCVDプロセスを使用して形成され得る。窒化ケイ素層に加えて、SiCN、SiON、AlN、SiCなどを含む非晶質材料をバリア層118として利用することができる。一部の実施態様では、バリア層118は、バリア層118を形成するために構築された、いくつかの副層から構成される。したがって、バリア層という用語は、単一の層または単一の材料を意味するのではなく、複合的に積層された1つまたは複数の材料を包含することが意図されている。当業者は、多くの変形形態、修正形態、および代替形態を認識されるであろう。
【0016】
[0027]一部の実施形態では、バリア層118、例えば窒化ケイ素層は、例えば高温(例えば1,000℃)エピタキシャル成長プロセス中に、コア内に存在する元素、例えばイットリウム(元素の)、酸化イットリウム(すなわちイットリア)、酸素、金属不純物、他の微量元素などの、人工基板が存在することができる半導体処理チャンバの環境への拡散および/またはガス放出を防止する。本明細書に記載された封入層を利用して、非クリーンルーム環境用に設計された多結晶AlNを含むセラミック材料を、半導体プロセスフローおよびクリーンルーム環境において利用することができる。
【0017】
[0028]典型的には、コアを形成するために利用されるセラミック材料は、1,800℃の範囲の温度で焼成される。このプロセスは、セラミック材料内に存在するかなりの量の不純物を追い出すことが予想される。これらの不純物は、焼結剤としてのイットリアの使用から生じるイットリウム、カルシウム、ならびに他の元素および化合物を含むことがある。続いて、800℃~1,100℃の範囲のはるかに低い温度で行われるエピタキシャル成長プロセス中、これらの不純物のその後の拡散は、微々たるものであることが予想される。しかしながら、従来の予想に反して、本発明者らは、セラミック材料の焼成温度よりもはるかに低い温度でのエピタキシャル成長プロセス中でさえも、人工基板の層を通して元素の有意な拡散が存在することを突き止めた。したがって、本発明の実施形態は、この望ましくない拡散を防止するためにバリア層118を人工基板構造に一体化する。
【0018】
[0029]図1をもう一度参照すると、接合層120(例えば酸化ケイ素層)は、バリア層118の一部、例えばバリア層118の頂面に堆積し、続いて、実質的に単結晶の層125(例えば図1に示す剥離されたシリコン(111)層などの単結晶シリコン層)の接合中に使用される。接合層120は、一部の実施形態では、厚さがほぼ1.5μmであってもよい。一部の実施形態では、接合層120の厚さは、接合誘起ボイド軽減のために20nm以上である。一部の実施形態では、接合層120の厚さは、0.75~1.5μmの範囲にある。
【0019】
[0030]実質的に単結晶の層125(例えば、剥離されたSi(111))は、エピタキシャル材料の形成のためのエピタキシャル成長プロセス中に成長層として使用するのに適している。一部の実施形態では、エピタキシャル材料は、厚さが2μm~10μmのGaN層を含むことができ、このGaN層を光電子、RF、およびパワーデバイスにおいて利用される複数の層のうちの1つとして利用することができる。一実施形態において、実質的に単結晶の層125は、層転写プロセスを使用して接合層120に取り付けられた単結晶シリコン層を含む。
【0020】
[0031]図1を参照すると、一部の実施形態では、実質的に単結晶のシリコン層122は、接合層120に接合され得る。実質的に単結晶の層122は、エピタキシャル材料130の形成のためのエピタキシャル成長プロセス中に成長層として使用するのに適している。一部の実施形態では、エピタキシャル材料130は、厚さが2μm~10μmのGaN層を含み、このGaN層を光電子デバイス、RFデバイス、およびパワーデバイスなどにおいて利用される複数の層のうちの1つとして利用することができる。他の実施形態では、エピタキシャル材料130は、厚さが10μmを上回り、複数のエピタキシャル層を含むエピタキシャル構造とすることができる。一実施形態において、実質的に単結晶の層122は、層転写プロセスを使用して接合層120に取り付けられた実質的に単結晶のシリコン層を含む。
【0021】
[0032]人工基板構造に関するさらなる記載は、2017年6月13日に申請された米国特許出願第15/621,335号、および2017年6月13日に申請された米国特許出願第15/621,235号に提供され、それらの開示は、すべての目的のためのそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0022】
[0033]図2は、本発明の一部の実施形態によるショットキーバリアダイオード(SBD)を形成する方法200を示す簡略化された流れ図を示す。図3A図3Hは、本発明の一部の実施形態による方法200の中間ステップを示す概略断面図を示す。
【0023】
[0034]図2および図3Aを参照すると、方法200は、202において、人工基板(QST)302を用意するステップを含む。一部の実施形態によると、人工基板302は、多結晶セラミックコア、多結晶セラミックコアを封入するバリア層、バリア層に結合された接合層、および接合層に結合された実質的に単結晶のシリコン層を含むことができる。
【0024】
[0035]一部の実施形態では、人工基板の多結晶セラミックコアは、多結晶窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)、多結晶窒化ガリウム(GaN)、多結晶窒化アルミニウム(AlN)、多結晶炭化ケイ素(SiC)、またはそれらの組合せを含むことができる。一部の実施形態では、バリア層は、Si、Si、Si、SiCN、SiON、AlN、SiC、またはそれらの組合せを含むことができる。一部の実施形態では、接合層は、酸化ケイ素層などの酸化物層を含むことができる。一実施形態において、単結晶シリコン層は、以下に論じるようにエピタキシャル材料の形成のためのエピタキシャル成長プロセス中に成長層として使用するのに適している可能性があるシリコン(111)層を含む。
【0025】
[0036]一部の実施形態では、図1を参照して上で論じたように、人工基板302は、多結晶セラミックコアに結合された第1の接着層、第1の接着層に結合された導電層、および導電層に結合された第2の接着層をさらに含むことができ、第1の接着層、導電層、および第2の接着層が、多結晶セラミックコアとバリア層との間に配置されている。一部の実施形態では、第1の接着層は、第1のテトラエチル・オルトシリケート(TEOS)酸化物層を含むことができ、第2の接着層は、第2のTEOS酸化物層を含むことができる。導電層は、ポリシリコン層を含むことができる。一部の実施形態では、人工基板302は、エピタキシャル・デバイス層の形成を容易にするために実質的に単結晶のシリコン層に結合された核形成層をさらに含むことができる。
【0026】
[0037]図2および図3A図3Bを参照すると、方法200は、204において、実質的に単結晶のシリコン層に結合された第1のエピタキシャルN型窒化ガリウム(GaN)層312(「NGaN」層と呼ばれることがある)を形成するステップをさらに含む。第1のエピタキシャルN型GaN層312は、背面および前面を有する。背面は、人工基板302に結合されている。方法200は、206において、第1のエピタキシャルN型GaN層312の前面に結合された第2のエピタキシャルN型GaN層314(「NGaN」層と呼ばれることがある)を形成するステップをさらに含む。
【0027】
[0038]第1のN型GaN層312は、オーミックコンタクトの形成を容易にすることができ、例えば、約1×1018cm-3のオーダの比較的高いN型ドーピング濃度を有することができる。例えば、第2のN型GaN層314は、ドリフト領域として働くことができ、約1×1016cm-3のオーダの比較的低いドーピング濃度を有することができる。一部の実施形態では、第2のN型GaN層314は、約20μmを上回る厚さを有することができる。CTEが一致した人工基板302を使用することよって、低い転位密度を有する比較的厚いドリフト領域のエピタキシャル成長が可能である場合がある。より厚いドリフト領域は、ショットキーダイオードに、より低いリーク電流およびはるかに高い降伏電圧、ならびに他の多くの利点を与えることができる。
【0028】
[0039]一部の実施形態によると、方法200は、第1のエピタキシャルN型GaN層312および第2のエピタキシャルN型GaN層314を形成する前に、実質的に単結晶の層に結合されたバッファ層316を形成するステップをさらに含むことができる。続いて、バッファ層316上に第1のエピタキシャルN型GaN層312および第2のエピタキシャルN型GaN層314を形成する。一部の実施形態では、バッファ層316は、複数の層を含む超格子を含むことができる。例えば、バッファ層316は、単結晶シリコン層に結合された窒化アルミニウム層、窒化アルミニウム層に結合された窒化アルミニウムガリウム層、および窒化アルミニウムガリウム層に結合された窒化ガリウム層を含むことができる。別の実施形態では、バッファ層316は、窒化アルミニウムガリウムの単一層を含むことができる。図3Bに示すように、バッファ層316と、第1のエピタキシャルN型GaN層312と、第2のエピタキシャルN型GaN層314と、を含むエピタキシャル層310全体は、GaNエピタキシャル層310と呼ばれることがある。
【0029】
[0040]一部の実施形態によると、第1のエピタキシャルN型GaN層312、第2のエピタキシャルN型GaN層314、およびバッファ層316は、(有機金属CVD(MOCVD)、減圧CVD(LPCVD)、プラズマ促進CVD(PECVD)、原子層CVD(ALCVD)を含む)化学気相堆積CVD、ハイドライド気相エピタキシー(HVPE)、原子層堆積(ALD)、分子線エピタキシー(MBE)、またはそれらの組合せなどの薄膜堆積技法によって形成されてもよい。
【0030】
[0041]図2および図3Cを参照すると、方法200は、208において、第2のエピタキシャルN型GaN層314に結合された1つまたは複数のショットキーコンタクト320を形成するステップをさらに含む。ショットキーコンタクト320は、適切なメタライゼーション・プロセスによって形成されてもよい。一部の実施形態では、ショットキーコンタクト320は、ニッケル・プラチナ(Ni/Pt)合金、ニッケル金(Ni/Au)合金などを含むことができる。図3Dを参照すると、ショットキーコンタクト320が形成された後、方法200は、複数の素子分離領域330を形成するステップをさらに含むことができる。素子分離領域330は、隣接する素子間の領域のGaNエピタキシャル層310の一部をエッチング除去することによって形成することができる。
【0031】
[0042]図2および図3Eを参照すると、方法200は、210において、1つまたは複数のショットキーコンタクト上に金属メッキ・メッシュ340を形成するステップをさらに含む。一部の実施形態では、金属メッキ・メッシュ340は、銅(Cu)または他の適切な金属を含むことができる。一部の実施形態では、金属メッキ・メッシュ340は、約50μm~約100μmの範囲にある厚さを有することができる。
【0032】
[0043]図2および図3Fを参照すると、方法200は、212において、第1のエピタキシャルN型GaN層312の背面を露出させるために人工基板302を除去するステップをさらに含む。人工基板302は、例えば、機械研磨、ドライ・エッチング、ウェット・エッチング、またはフッ化水素酸(HF)もしくは硫酸(HSO)などのエッチング薬液を用いたリフトオフプロセスによって除去されてもよい。エピタキシャル窒化ガリウム層310は、実質的にCTEが一致した人工基板302上に形成されるため、GaNエピタキシャル層310は、人工基板302が除去された後、応力下でカールしない可能性がある。
【0033】
[0044]人工基板302を除去した後、デバイス構造を裏返すことができ、図3Fに示すように、エポキシを使用して任意選択のキャリア基板304を金属メッキ・メッシュ340に一時的に接合することができる。図2および図3Gを参照すると、方法200は、第1のエピタキシャルN型GaN層312にアクセスするためにバッファ層316を除去するステップを含むことができる。図2および図3Hを参照すると、方法200は、214において、第1のエピタキシャルN型GaN層312の背面上に1つまたは複数のオーミックコンタクト350を形成するステップをさらに含む。
【0034】
[0045]一実施形態によると、キャリア基板304を除去することができ、1つまたは複数のチップスケールパッケージ(CSP)ショットキーダイオードを製造するために、デバイス構造をダイシングすることができる。図4は、本発明の実施形態による、上記の方法200を使用して作ることができるショットキーダイオード400の斜視図を概略的に示す。ショットキーダイオード400は、カソード電極としてオーミックコンタクト350に電気的に結合されたボンドパッド352を含むことができる。一部の実施形態では、ショットキーダイオード400は、約20μmを上回る厚さを有するGaNドリフト領域314(すなわち第2のN型GaN層)を有することができる。低い転位密度を有する比較的厚いドリフト領域314を堆積させる能力は、ショットキーダイオード400に、低いリーク電流およびはるかに高い降伏電圧、ならびに他の多くの利点を与えることができる。
【0035】
[0046]図2に示す具体的なステップは、本発明の実施形態による特定の方法200を提供していることを認識されたい。他の順序のステップも代替の実施形態に従って実行されてもよい。例えば、本発明の代替の実施形態は、上で概説されたステップを異なる順番で実行することができる。さらに、図2に示す個々のステップは、個々のステップに適切なように様々な順序で実行することができる複数のサブステップを含むことができる。さらに、さらなるステップが、特定の用途に応じて、追加され、または除去されてもよい。当業者は、多くの変形形態、修正形態、および代替形態を認識されるであろう。
【0036】
[0047]一部の実施形態によると、方法200と同様の方法を使用して縦型P-Nダイオードを製造することができる。例えば、第1および第2のエピタキシャルN型窒化ガリウム層312、314を形成した後、エピタキシャルP型窒化ガリウム層を第2のエピタキシャルN型窒化ガリウム層上に形成することができ、オーミックコンタクトをエピタキシャルP型窒化ガリウム層上に形成することができる。
【0037】
[0048]図5は、本発明の一部の実施形態による縦型パワートランジスタを形成する方法500を示す簡略化された流れ図を示す。図6A図6Cは、本発明の一部の実施形態による方法500の中間ステップを示す概略断面図を示す。
【0038】
[0049]図5および図6Aを参照すると、方法500は、502において、人工基板(QST)602を用意するステップを含む。一部の実施形態によると、人工基板602は、多結晶セラミックコア、多結晶セラミックコアを封入するバリア層、バリア層に結合された接合層、および接合層に結合された実質的に単結晶のシリコン層を、実質的に上述したように含むことができる。
【0039】
[0050]図5および図6Aをさらに参照すると、方法500は、504において、実質的に単結晶のシリコン層に結合されたバッファ層610を形成するステップをさらに含む。一部の実施形態では、バッファ層610は、複数の層を含む超格子を含むことができる。例えば、バッファ層610は、単結晶シリコン層に結合された窒化アルミニウム層、窒化アルミニウム層に結合された窒化アルミニウムガリウム層、および窒化アルミニウムガリウム層に結合された窒化ガリウム層を含むことができる。別の実施形態では、バッファ層610は、窒化アルミニウムガリウムの単一層を含むことができる。
【0040】
[0051]図5および図6Aをさらに参照すると、方法500は、506において、バッファ層610に結合された第1のエピタキシャルN型窒化ガリウム層620(「NGaN」と呼ばれる)を形成するステップをさらに含む。第1のエピタキシャルN型窒化ガリウム層620は、バッファ層610に結合された背面、および前面を有する。一部の実施形態では、第1のN型窒化ガリウム層620は、例えば、約1×1018cm-3のオーダの比較的高いドーピング濃度を有することができる。以下に記載されるように、第1のN型窒化ガリウム層620は、ドレイン電極のためのオーミックコンタクトの形成を容易にすることができる。方法500は、508において、第1のエピタキシャルN型窒化ガリウム層620の前面に結合された第2のエピタキシャルN型窒化ガリウム層630(「Nドリフト」層と呼ばれる)を形成するステップをさらに含む。第2のエピタキシャルN型窒化ガリウム層630は、パワートランジスタのためのドリフト領域として働くことができる。一部の実施形態では、第2のエピタキシャルN型窒化ガリウム層630は、例えば、約1×1016cm-3のオーダの比較的低いドーピング濃度を有することができる。一部の実施形態では、第2のエピタキシャルN型窒化ガリウム層630は、約20μmを上回る厚さを有する。
【0041】
[0052]図5および図6Aをさらに参照すると、方法500は、510において、第2のエピタキシャルN型窒化ガリウム層630内部に第1のP型窒化ガリウム領域642および第2のP型窒化ガリウム領域644(「PGaN」と呼ばれる)を形成するステップをさらに含む。第1のP型窒化ガリウム領域642および第2のP型窒化ガリウム領域644は、パワートランジスタの電流阻止層として働くことができる。第1のP型窒化ガリウム領域642および第2のP型窒化ガリウム領域644は、トレンチ646によって分離されている。
【0042】
[0053]一実施形態によると、第1のP型窒化ガリウム領域642および第2のP型窒化ガリウム領域644は、第2のエピタキシャルN型窒化ガリウム層630の第1の領域および第2の領域にMgまたは他のアルカリ土類金属(例えば、Be、Sr、BaおよびRa)などのP型ドーパントを注入することによって形成することができる。
【0043】
[0054]別の実施形態による、第1のP型窒化ガリウム領域642および第2のP型窒化ガリウム領域644は、第2のエピタキシャルN型窒化ガリウム層630上にエピタキシャルP型窒化ガリウム層を形成し、次いで、エピタキシャルP型窒化ガリウム層の一部を除去して狭いトレンチ646を形成することによって形成することができる。一部の実施形態では、トレンチ646は、誘導結合プラズマ(ICP)プロセスまたは他の適切なエッチング・プロセスにおいてClベースの化学物質を使用してエッチングすることによって形成されてもよい。次いで、再成長エピタキシャルN型窒化ガリウム層630-1が、トレンチ646内およびその上に、ならびにエピタキシャルP型窒化ガリウム層の残りの部分に形成される。再成長エピタキシャルN型窒化ガリウム層630-1は、パワートランジスタのチャネルを形成する。
【0044】
[0055]図5および図6Aをさらに参照すると、方法500は、512において、チャネル領域に結合されたエピタキシャル窒化アルミニウムガリウム層(AlGaN)650を形成するステップをさらに含む。エピタキシャル窒化アルミニウムガリウム層(AlGaN)650と再成長エピタキシャルN型窒化ガリウム層630-1との間の界面(AlGaN/GaN界面と呼ばれる)は、ヘテロ界面での分極誘導電荷に起因して、二次元電子ガス(2DEG)をもたらすことができる。方法500は、514において、エピタキシャル窒化アルミニウムガリウム層650に結合されたゲート誘電体層660を形成するステップと、516において、ゲート誘電体層660に結合されたゲートコンタクト662を形成するステップと、をさらに含む。方法500は、ゲートコンタクト662に結合されたゲート電極(図6Aには示されていない)を形成するステップをさらに含むことができる。ゲート電極は、Cu、Au、Ti、または他の適切な金属を含むことができる。
【0045】
[0056]図5および図6Aをさらに参照すると、方法500は、518において、第1のP型窒化ガリウム領域642に結合された第1のソースコンタクト672および第2のP型窒化ガリウム領域644に結合された第2のソースコンタクト674を形成するステップをさらに含む。一部の実施形態では、埋め込まれた第1および第2のP型窒化ガリウム領域642、644は、バイアを形成することによってアクセスされ得る。一部の実施形態では、第1のソースコンタクト672および第2のソースコンタクト674のそれぞれは、埋め込み体P型GaN層との良好なオーミックコンタクトを形成するために、Au、Pd、Pt、Sc、またはそれらの組合せなどの適切な金属を含むことができる。方法500は、第1のソースコンタクト642および第2のソースコンタクト644に結合されたソース電極(図6Aには示されていない)を形成するステップをさらに含むことができる。一部の実施形態では、ソース電極は、Cu、Au、Ti、または他の適切な金属を含むことができる。
【0046】
[0057]図5および図6B図6Cを参照すると、方法500は、520において、人工基板602を除去するステップをさらに含む。人工基板602は、例えば、フッ化水素酸(HF)または硫酸(HSO)などのエッチング薬液を使用して、機械研磨、ドライ・エッチング、ウェット・エッチングまたはリフトオフプロセスによって除去されてもよい。方法500は、522において、第1のエピタキシャルN型窒化ガリウム層620の背面にアクセスするためにバッファ層610を除去するステップと、524において、第1のエピタキシャルN型窒化ガリウム層620の背面に結合されたドレインコンタクト680を形成するステップと、をさらに含む。方法500は、図6Cに示すようにドレインコンタクト680に結合された電極682を形成するステップをさらに含むことができる。次いで、1つまたは複数のチップスケールパッケージ(CSP)パワートランジスタを製造するために、デバイス構造をダイシングすることができる。
【0047】
[0058]図5に示す具体的なステップは、本発明の実施形態による特定の方法500を提供していることを認識されたい。他の順序のステップも代替の実施形態に従って実行されてもよい。例えば、本発明の代替の実施形態は、上で概説されたステップを異なる順番で実行することができる。さらに、図5に示す個々のステップは、個々のステップに適切なように様々な順序で実行することができる複数のサブステップを含むことができる。さらに、さらなるステップが、特定の用途に応じて、追加され、または除去されてもよい。当業者は、多くの変形形態、修正形態、および代替形態を認識されるであろう。
【0048】
[0059]図7は、本発明の一部の実施形態によるパワートランジスタ700の斜視図を概略的に示す。パワートランジスタ700は、例えば、図6A図6Cに示すように、第1のエピタキシャルN型窒化ガリウム層620(「NGaN」と呼ばれる)と、第2のエピタキシャルN型窒化ガリウム層630(「Nドリフト」層と呼ばれる)と、エピタキシャル窒化アルミニウムガリウム層(AlGaN)650と、を含むことができる複数のエピタキシャル・デバイス層702を含むことができる。パワートランジスタ700は、ソースコンタクト710およびゲートコンタクト720をさらに含む。図示するように、ソースコンタクト710およびゲートコンタクト720は、互いにかみ合ってレイアウトされている。パワートランジスタ700は、ソースコンタクト710に電気的に結合されたソース電極712、およびゲートコンタクト720に電気的に結合されたゲート電極722をさらに含むことができる。パワートランジスタ700は、複数のエピタキシャル・デバイス層702の背面に結合されたドレインコンタクト(オーミックコンタクト)730、およびドレインコンタクト730に電気的に結合されたドレイン電極(ボンドパッド)732をさらに含むことができる。
【0049】
[0060]図8は、本発明の他の一部の実施形態によるソースコンタクトおよびゲートコンタクトの異なるレイアウトを有するパワートランジスタ800の概略斜視図を示す。図示するように、パワートランジスタ800は、ソース電極812およびゲート電極822にそれぞれ電気的に結合された、埋め込みソースコンタクト810および埋め込みゲートコンタクト820を含むことができる。
【0050】
[0061]上記したように、本発明の実施形態は、比較的厚いNGaNドリフト領域を有することができる縦型パワートランジスタを形成する方法を提供する。厚いドリフト領域は、例えば約1200Vよりも高い、より高い降伏電圧をもたらすことができる。CTEが一致した人工基板を使用することによって、エピタキシャルGaN層は、欠陥の数を減少させることができ、これによりパワートランジスタに改善された信頼性を与えことができる。縦型パワートランジスタでは、ブレークダウンが表面ではなくバルク内で起こり、これによりアバランシェ耐量が提供され得る。加えて、電流は、表面に平行ではなく垂直に流れる。(例えば、20Aを上回る)比較的高い電流を実現することができる。
【0051】
[0062]図9は、本発明の一実施形態による人工基板900を示す簡略化された概略断面図である。図9に示す人工基板900は、様々な電子的および光学的用途に適している。人工基板900は、人工基板900上に成長させるエピタキシャル材料の熱膨張係数(CTE)と実質的に一致するCTEを有することができるコア910を含む。エピタキシャル材料930は、人工基板900の要素として必要ではないが、典型的には人工基板900上に成長させるためオプションとして示されている。
【0052】
[0063]窒化ガリウム(GaN)系材料(GaN系層を含むエピタキシャル層)の成長を含む用途については、コア910は、酸化イットリウムなどの結合材料を含むことができる多結晶窒化アルミニウム(AlN)などの多結晶セラミック材料とすることができる。多結晶窒化ガリウム(GaN)、多結晶窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)、多結晶炭化ケイ素(SiC)、多結晶酸化亜鉛(ZnO)、多結晶三酸化ガリウム(Ga)などを含む他の材料をコア910において利用することができる。
【0053】
[0064]コア910の厚さは、100μm~1,500μm程度、例えば725μmとすることができる。コア910は、シェルまたは封入シェルと呼ばれることがある接着層912に封入されている。一実施形態において、接着層912は、厚さが1,000Å程度のテトラエチル・オルトシリケート(TEOS)酸化物層を含む。他の実施形態では、接着層の厚さは、例えば100Åから2,000Åまで変化する。TEOS酸化物は、一部の実施形態では、接着層に利用されるが、本発明の実施形態によると、後で堆積させる層とその下の層または材料との間の接着をもたらす他の材料(例えば、セラミック、特に多結晶セラミック)が利用されてもよい。例えば、SiOまたは他の酸化ケイ素(Si)は、セラミック材料によく付着し、例えば、導電性材料のその後の堆積に適した表面を提供する。一部の実施形態では、接着層912は、コア910を完全に取り囲んで完全に封入されたコアを形成する。接着層912は、低圧化学気相堆積(LPCVD)プロセスを使用して形成され得る。接着層912は、表面を提供し、その上に後続の層が付着して、人工基板900構造の要素を形成する。
【0054】
[0065]封入する第1の接着層912を形成するためのLPCVDプロセス、炉ベースのプロセスなどの使用に加えて、CVDプロセスまたは同様の堆積プロセスを含む他の半導体プロセスを本発明の実施形態に従って利用することができる。一例として、コアの一部を被覆する堆積プロセスを利用することができ、コア910を裏返すことができ、堆積プロセスを繰り返してコアのさらなる部分を被覆することができる。したがって、一部の実施形態では、完全に封入された構造を提供するためにLPCVD技法が利用されるが、特定の用途に応じて他の膜形成技法が利用されてもよい。
【0055】
[0066]導電層914は、接着層912を取り囲んで形成されている。一実施形態において、導電層914は、ポリシリコンがセラミック材料に対して乏しい接着力を呈する可能性があるため、第1の接着層912を取り囲んで形成されるポリシリコン(すなわち、多結晶シリコン)のシェルである。導電層914がポリシリコンである実施形態では、ポリシリコン層の厚さは、500~5,000Å程度、例えば2,500Åとすることができる。一部の実施形態では、ポリシリコン層は、第1の接着層912(例えばTEOS酸化物層)を完全に取り囲むシェルとして形成することができ、それによって完全に封入された第1の接着層912を形成し、LPCVDプロセスを使用して形成され得る。他の実施形態では、以下に論じるように、導電性材料は、接着層の一部に、例えば基板構造の下半分に形成することができる。一部の実施形態では、導電性材料は、完全封入層として形成され、その後、基板構造の片面で除去されてもよい。
【0056】
[0067]一実施形態において、導電層914は、高導電性材料を提供するためにドープされた、例えば、P型ポリシリコン層を提供するために、ホウ素でドープされたポリシリコン層とすることができる。一部の実施形態では、ホウ素によるドーピングは、高い導電性を提供するために1×1019cm-3~1×1020cm-3のレベルにある。異なるドーパント濃度での他のドーパント(例えば、1×1016cm-3~5×1018cm-3の範囲にあるドーパント濃度のリン、ヒ素、ビスマスなど)を利用して、導電層914で使用するのに適したN型またはP型半導体材料を提供することができる。当業者は、多くの変形形態、修正形態、および代替形態を認識されるであろう。
【0057】
[0068]導電層914の存在は、人工基板900を半導体処理ツール、例えば静電放電チャック(ESC)を有するツールに静電チャックする際に有用である。導電層914は、半導体処理ツールにおいて処理した後の迅速なチャッキング解除を可能にする。したがって、本発明の実施形態は、従来のシリコンウエハと共に利用されるやり方で処理することができる基板構造を提供する。当業者は、多くの変形形態、修正形態、および代替形態を認識されるであろう。
【0058】
[0069]第2の接着層916(例えば、厚さが1,000Å程度のTEOS酸化物層)が導電層914を取り囲んで形成されている。一部の実施形態では、第2の接着層916は、導電層914を完全に取り囲んで完全に封入された構造を形成する。第2の接着層916は、スピンオン誘電体の堆積を含む、LPCVDプロセス、CVDプロセス、または他の適切な堆積プロセスを使用して形成され得る。
【0059】
[0070]バリア層918、例えば窒化ケイ素層が第2の接着層916を取り囲んで形成されている。一実施形態において、バリア層918は、厚さが4,000Å~5,000Å程度の窒化ケイ素層である。バリア層918は、一部の実施形態では、第2の接着層916を完全に取り囲んで完全に封入された構造を形成し、LPCVDプロセスを使用して形成され得る。窒化ケイ素層に加えて、SiCN、SiON、AlN、SiCなどを含む非晶質材料をバリア層として利用することができる。一部の実施態様では、バリア層は、バリア層を形成するために構築されるいくつかの副層から構成されている。したがって、バリア層という用語は、単一の層または単一の材料を意味するのではなく、複合的に積層された1つまたは複数の材料を包含することが意図されている。当業者は、多くの変形形態、修正形態、および代替形態を認識されるであろう。
【0060】
[0071]一部の実施形態では、バリア層918、例えば窒化ケイ素層は、例えば高温(例えば1,000℃)エピタキシャル成長プロセス中に、コア910内に存在する元素の、人工基板900が存在することができる半導体処理チャンバの環境への拡散および/またはガス放出を防止する。コア910内に存在する元素は、例えば、酸化イットリウム(すなわちイットリア)、酸素、金属性不純物、他の微量元素などを含むことができる。コア910から拡散された元素は、加工層920/922において意図しないドーピングを引き起こす可能性がある。コア910からガス放出された元素は、チャンバを通って移動し、ウエハの他の場所に吸着し、加工層920/922およびエピタキシャル材料930内の不純物の原因となる可能性がある。本明細書に記載された封入層を利用して、非クリーンルーム環境用に設計された多結晶AlNを含むセラミック材料を、半導体プロセスフローおよびクリーンルーム環境において利用することができる。
【0061】
[0072]接合層920(例えば酸化ケイ素層)を、バリア層918、例えばバリア層の頂面の一部に堆積させ、その後、単結晶層922の接合中に使用する。接合層920は、一部の実施形態では、厚さがほぼ1.5μmであってもよい。単結晶層922は、例えば、Si、SiC、サファイア、GaN、AlN、SiGe、Ge、ダイヤモンド、Ga、AlGaN、InGaN、InN、および/またはZnOを含むことができる。一部の実施形態では、単結晶層922は、0~0.5μmの厚さを有することができる。単結晶層922は、エピタキシャル材料930の形成のためのエピタキシャル成長プロセス中に成長層として使用するのに適している。エピタキシャル材料930の結晶層は、単結晶層922に関連付けられた下層の半導体格子の延長部分である。人工基板900の独特のCTE一致特性は、既存の技術よりも厚いエピタキシャル材料930の成長を可能にする。一部の実施形態では、エピタキシャル材料930は、厚さが2μm~10μmの窒化ガリウム層を含み、この層を光電子デバイス、パワーデバイスなどで利用される複数の層のうちの1つとして利用することができる。一実施形態において、接合層920は、層転写プロセスを使用して酸化ケイ素バリア層918に取り付けられた単結晶シリコン層を含む。
【0062】
[0073]図10は、本発明の実施形態による人工基板構造を示す簡略化された概略図である。図10に示す人工基板1000は、様々な電子的および光学的用途に適している。人工基板は、人工基板1000上に成長させるエピタキシャル材料930のCTEと実質的に一致する熱膨張係数(CTE)を有することができるコア1010を含む。エピタキシャル材料930は、人工基板構造の要素として必要ではないが、典型的には人工基板構造上に成長させるためオプションとして示されている。
【0063】
[0074]窒化ガリウム(GaN)系材料(GaN系層を含むエピタキシャル層)の成長を含む用途については、コア1010は、多結晶セラミック材料、例えば多結晶窒化アルミニウム(AlN)とすることができる。コア1010の厚さは、100~1,500μm程度、例えば725μmとすることができる。コア1010は、シェルまたは封入シェルと呼ばれることがある第1の接着層1012に封入されている。本実施態様では、第1の接着層1012は、コアを完全に封入するが、これは、図11に関してさらに詳細に論じるように、本発明によって必要とされない。
【0064】
[0075]一実施形態において、第1の接着層1012は、厚さが1,000Å程度のテトラエチル・オルトシリケート(TEOS)層を含む。他の実施形態では、第1の接着層1012の厚さは、例えば、100Åから2,000Åまで変化する。TEOSは、一部の実施形態では、接着層に利用されるが、本発明の一実施形態によると、後で堆積させる層とその下の層または材料との間の接着をもたらす他の材料を利用してもよい。例えば、SiO、SiONなどは、セラミック材料によく付着し、例えば、導電性材料の、その後の堆積に適した表面を提供する。第1の接着層1012は、一部の実施形態では、コア1010を完全に取り囲んで完全に封入されたコアを形成し、LPCVDプロセスを使用して形成され得る。接着層1012は、表面を提供し、その上に後続の層が付着して人工基板構造の要素を形成する。
【0065】
[0076]封入接着層1012を形成するためのLPCVDプロセス、炉ベースのプロセスなどの使用に加えて、本発明の実施形態に従って他の半導体プロセスを利用することができる。一例として、コア1010の一部を被覆する堆積プロセス、例えばCVD、PECVDなどを利用することができ、コア1010を裏返すことができ、堆積プロセスを繰り返してコアのさらなる部分を被覆することができる。
【0066】
[0077]導電層1014は、第1の接着層1012の少なくとも一部の上に形成される。一実施形態において、導電層1014は、コア/接着層構造の下部(例えば、下半分または裏側)に堆積プロセスによって形成されたポリシリコン(すなわち、多結晶シリコン)を含む。導電層1014がポリシリコンである実施形態では、ポリシリコン層の厚さは、数千オングストローム程度、例えば3,000Åとすることができる。一部の実施形態では、ポリシリコン層は、LPCVDプロセスを使用して形成され得る。
【0067】
[0078]一実施形態において、導電層1014は、高導電性材料を提供するためにドープされたポリシリコン層とすることができ、例えば、導電層1014は、p型ポリシリコン層を提供するためにホウ素をドープすることができる。一部の実施形態では、ホウ素によるドーピングは、高い導電性を提供するために約1×1019cm-3~1×1020cm-3の範囲にあるレベルにある。導電層1014の存在は、人工基板を半導体処理ツール、例えば静電チャック(ESC)を有するツールに静電チャックする際に有用である。導電層1014は、処理した後の迅速なチャッキング解除を可能にする。したがって、本発明の実施形態は、従来のシリコンウエハと共に利用されるやり方で処理することができる基板構造を提供する。当業者は、多くの変形形態、修正形態、および代替形態を認識されるであろう。
【0068】
[0079]第2の接着層1016(例えば第2のTEOS層)は、導電層1014(例えばポリシリコン層)を取り囲んで形成されている。第2の接着層1016は、厚さが1,000Å程度である。第2の接着層1016は、一部の実施形態では、導電層1014ならびに第1の接着層1012を完全に取り囲んで完全に封入された構造を形成することができ、LPCVDプロセスを使用して形成され得る。他の実施形態では、第2の接着層1016は、例えば、導電層1014の頂面と整列してもよい平面1017によって示される位置において終了する導電層1014を部分的にのみ取り囲む。本例では、導電層1014の頂面は、バリア層1018の一部と接触している。当業者は、多くの変形形態、修正形態、および代替形態を認識されるであろう。
【0069】
[0080]バリア層1018(例えば窒化ケイ素層)は、第2の接着層1016を取り囲んで形成されている。バリア層1018は、一部の実施形態では、厚さが4,000Å~5,000Å程度である。一部の実施形態では、バリア層1018は、第2の接着層1016を完全に取り囲んで完全に封入された構造を形成し、LPCVDプロセスを使用して形成され得る。
【0070】
[0081]一部の実施形態では、窒化ケイ素バリア層の使用は、コア1010内に存在する元素、例えば、酸化イットリウム(すなわちイットリア)、酸素、金属性不純物、他の微量元素などの、例えば、高温(例えば1,000℃)エピタキシャル成長プロセス中に、人工基板が存在することがある半導体処理チャンバの環境への拡散および/またはガス放出を防止する。本明細書に記載された封入層を利用して、非クリーンルーム環境用に設計された多結晶AlNを含むセラミック材料を、半導体プロセスフローおよびクリーンルーム環境において利用することができる。
【0071】
[0082]図11は、本発明の別の実施形態による人工基板構造を示す簡略化された概略図である。図11に示す実施形態では、第1の接着層1112は、コア1110の少なくとも一部に形成されるが、コア1110を封入しない。本実施態様では、第1の接着層1112は、以下でより完全に説明されるように、その後に形成される導電層1114の接着を強化するために、コア1110の下面(コア1110の裏側)に形成される。接着層1112は、図11ではコア1110の下面にのみ示されているが、コア1110の他の部分への接着層材料の堆積は、人工基板構造の性能に悪影響を及ぼさず、そのような材料は、様々な実施形態に存在し得ることを認識されるであろう。当業者は、多くの変形形態、修正形態、および代替形態を認識されるであろう。
【0072】
[0083]導電層1114は、第1の接着層1112およびコア1110を封入しないが、第1の接着層1112と実質的に整列している。導電層1114は、第1の接着層1112の底部または裏側に沿って、そして側面の一部の上方に延在するように示されているが、垂直面に沿った延長部分は、本発明によって必要とされない。したがって、実施形態は、基板構造の片面への堆積、基板構造の片面のマスキングなどを利用することができる。導電層1114は、第1の接着層1112の片面、例えば底部/裏側の一部に形成することができる。導電層1114は、人工基板構造の片面に導電性を提供し、これは、RFおよび高電力用途において有利になる可能性がある。導電層1114は、図10の導電層1014に関連して論じたようにドープされたポリシリコンを含むことができる。
【0073】
[0084]コア1110の一部、第1の接着層1112の一部、および導電層1114は、バリア層1118の、その下の材料への接着を強化するために第2の接着層1116で覆われている。バリア層1118は、上で論じたように、封入構造を形成してその下の層からの拡散を防止する。
【0074】
[0085]半導体ベースの導電層に加えて、他の実施形態では、導電層1114は、金属層、例えば500Åのチタンなどである。
【0075】
[0086]図11をもう一度参照すると、実施態様に応じて、1つまたは複数の層が除去されてもよい。例えば、層1112および層1114を除去して、単一の接着シェル1116およびバリア層1118のみを残すことができる。別の実施形態では、層1114のみを除去することができる。本実施形態では、層1112は、層1118の上に堆積させた層920によって引き起こされる応力とウエハの反りとのバランスをとることもできる。コア1110の頂面に絶縁層を有する(例えば、コア1110と層920との間に絶縁層のみを有する)基板構造の構築は、高い絶縁性基板が望ましい電力/RF用途に恩恵をもたらす。
【0076】
[0087]別の実施形態では、バリア層1118は、コア1110を直接封入し、続いて導電層1114および後続の接着層1116を封入することができる。本実施形態では、層920は、頂面から接着層1116に直接堆積させることができる。さらなる別の実施形態では、接着層1116は、コア1110に、続いてバリア層1118に、続いて導電層1114および別の接着層1112に堆積させることができる。
【0077】
[0088]図12は、本発明の実施形態による人工基板を製造する方法1200を示す簡略化された流れ図である。方法1200は、基板上に成長させたエピタキシャル層のうちの1つまたは複数とCTEが一致した基板を製造するために利用することができる。方法1200は、多結晶セラミックコアを用意するステップ(1210)、シェル(例えば、テトラエチル・オルトシリケート(TEOS)酸化物シェル)を形成する第1の接着層に多結晶セラミックコアを封入するステップ(1212)、および導電性シェル(例えば、ポリシリコン・シェル)に第1の接着層を封入するステップ(1214)によって支持構造体を形成するステップを含む。第1の接着層は、TEOS酸化物の単一層として形成することができる。導電性シェルは、ポリシリコンの単一層として形成することができる。
【0078】
[0089]方法1200はまた、第2の接着層(例えば、第2のTEOS酸化物シェル)に導電性シェルを封入するステップ(1216)と、バリア層シェルに第2の接着層を封入するステップ(1218)と、を含む。第2の接着層は、TEOS酸化物の単一層として形成することができる。バリア層シェルは、窒化ケイ素の単一層として形成することができる。
【0079】
[0090]支持構造体がプロセス1210~1218によって形成されると、方法1200は、接合層(例えば、酸化ケイ素層)を支持構造体に接合するステップ(1220)と、実質的に単結晶の層(例えば、単結晶シリコン層)を酸化ケイ素層に接合するステップ(1222)と、をさらに含む。本発明の実施形態によると、SiC、サファイア、GaN、AlN、SiGe、Ge、ダイヤモンド、Ga、ZnOなどを含む他の実質的に単結晶の層を使用することができる。接合層の接合は、接合材料の堆積とこれに続く本明細書に記載されるような平坦化プロセスを含むことができる。以下に記載されるような一実施形態において、実質的に単結晶の層(例えば、単結晶シリコン層)を接合層に接合するステップは、層がシリコンウエハから転写される単結晶シリコン層である層転写プロセスを利用する。
【0080】
[0091]図9を参照すると、接合層920は、厚い(例えば、4μm厚の)酸化物層を堆積させることによって、続いて酸化物を厚さ約1.5μmにまで薄くする化学機械研磨(CMP)プロセスによって形成することができる。厚い初期酸化物は、多結晶コアの製造後に存在することがあり、図9に示す封入層が形成されるために存在し続けることがある支持構造体上に存在するボイドおよび表面フィーチャを充填するのに役立つ。酸化物層は、デバイスのための誘電体層としても働く。CMPプロセスは、単結晶層922(例えば、単結晶シリコン層)を接合層920に接合するためにウエハ転写プロセス中に使用することができる、ボイド、粒子、または他のフィーチャがない実質的に平坦な表面を提供する。接合層は、原子的に平らな表面を特徴とする必要はないが、所望の信頼性を有する単結晶層(例えば、単結晶シリコン層)の接合を支持する実質的に平坦な表面を提供すべきであることを認識されるであろう。
【0081】
[0092]層転写プロセスは、単結晶層922(例えば単結晶シリコン層)を接合層920に接合するために使用される。一部の実施形態では、実質的に単結晶の層922(例えば、単結晶シリコン層)を含むシリコンウエハは、劈開面を形成するために注入される。本実施形態では、ウエハ接合後、シリコン基板は、劈開面の下の単結晶シリコン層部分と共に除去され、剥離された単結晶シリコン層を得ることができる。単結晶層922の厚さは、様々な用途の仕様を満たすように変えることができる。さらに、単結晶層922の結晶方位は、用途の仕様を満たすように変えることができる。加えて、単結晶層のドーピングレベルおよびプロファイルは、特定用途の仕様を満たすように変えることができる。一部の実施形態では、注入の深さは、単結晶層922の所望の最終厚さよりも大きくなるように調整することができる。追加の厚さは、損傷を受けた転写される実質的に単結晶の層の薄い部分の除去を可能にし、所望の最終厚さの損傷を受けていない部分を残す。一部の実施形態では、表面粗さは、高品質のエピタキシャル成長のために修正することができる。当業者は、多くの変形形態、修正形態、および代替形態を認識されるであろう。
【0082】
[0093]一部の実施形態では、単結晶層922は、その後の1つまたは複数のエピタキシャル層を成長させるための高品質の格子テンプレートを提供するのに十分に厚いが、非常に柔軟であるように十分に薄くてもよい。単結晶層922は、単結晶層922が比較的薄く、それによりその物理的性質があまり制約されず、結晶欠陥を生成する傾向があまりなく、単結晶層922を取り囲む材料の物理的性質を模倣することができる場合に、「柔軟である」と言うことができる。単結晶層922の柔軟性は、単結晶層922の厚さに反比例することがある。柔軟性が高いほど、テンプレート上に成長させたエピタキシャル層の欠陥密度が低くなり、より厚いエピタキシャル層成長が可能になる。一部の実施形態では、単結晶層922の厚さは、剥離されたシリコン層上のシリコンのエピタキシャル成長によって増加させることができる。
【0083】
[0094]一部の実施形態では、単結晶層922の最終厚さの調整は、剥離されたシリコン層の頂部の熱酸化によって、続いてフッ化水素(HF)酸による酸化物層ストリップによって達成されてもよい。例えば、0.5μmの初期厚を有する剥離されたシリコン層を熱酸化して、厚さが約420nmの二酸化ケイ素層を作成することができる。成長させた熱酸化物を除去した後、転写された層の残りのシリコン厚は、約53nmであってもよい。熱酸化中に、注入された水素は、表面に向かって移動することがある。したがって、その後の酸化物層ストリップは、いくらかの損傷を除去することができる。また、熱酸化は、典型的には、1000℃以上の温度で実行される。高い温度は、格子損傷を修復することもできる。
【0084】
[0095]熱酸化中に単結晶層の頂部に形成された酸化ケイ素層は、HF酸腐食を使用して剥がすことができる。HF酸による、酸化ケイ素とシリコン(SiO:Si)との間のエッチング選択比は、HF溶液の温度および濃度、ならびに酸化ケイ素の化学量論比および密度を調整することによって調整することができる。エッチング選択比は、ある材料の別の材料に対するエッチング速度を指す。HF溶液の選択比は、(SiO2:Si)については約10:1~約100:1の範囲にある場合がある。高いエッチング選択比は、初期の表面粗さから同様の倍数だけ表面粗さを減少させることができる。しかしながら、結果として得られる単結晶層122の表面粗さは、依然として所望のものよりも大きい可能性がある。例えば、バルクSi(111)表面は、追加の処理の前に、2μm×2μm原子間力顕微鏡(AFM)走査によって決定されるように、0.1nm未満の二乗平均平方根(RMS)表面粗さを有することがある。一部の実施形態では、Si(111)上に窒化ガリウム材料をエピタキシャル成長させるための所望の表面粗さは、30μm×30μmAFM走査領域上で、例えば、1nm未満、0.5nm未満、または0.2nm未満であってもよい。
【0085】
[0096]熱酸化および酸化物層ストリップ後の単結晶層922の表面粗さが所望の表面粗さを超える場合、追加の表面平滑化を実行することができる。シリコン表面を平滑化するいくつかの方法がある。これらの方法は、水素アニール、レーザートリミング、プラズマ平滑化、およびタッチ研磨(例えばCMP)を含むことができる。これらの方法は、高アスペクト比の表面ピークの優先的攻撃を含むことができる。したがって、表面の高アスペクト比フィーチャは、低アスペクト比フィーチャよりも速やかに除去され、したがって、より平滑な表面が得られる。
【0086】
[0097]図12に示す具体的なステップは、本発明の実施形態による人工基板を製造する特定の方法を提供していることを認識されたい。他の順序のステップも代替の実施形態に従って実行されてもよい。例えば、本発明の代替の実施形態は、上で概説されたステップを異なる順番で実行することができる。さらに、図5に示す個々のステップは、個々のステップに適切なように様々な順序で実行することができる複数のサブステップを含むことができる。さらに、さらなるステップが、特定の用途に応じて、追加され、または除去されてもよい。当業者は、多くの変形形態、修正形態、および代替形態を認識されるであろう。
【0087】
[0098]一部の実施形態は、層に関して論じたが、層という用語は、層が、対象とする層を形成するために構築されるいくつかの副層を含むことができるように、理解されるべきである。したがって、層という用語は、単一の材料から構成される単一の層を意味するのではなく、所望の構造を形成するために複合的に積層された1つまたは複数の材料を包含することが意図されている。当業者は、多くの変形形態、修正形態、および代替形態を認識されるであろう。
【0088】
[0099]また、本明細書に記載された実施例および実施形態は、例示を目的としたものにすぎないこと、ならびにそれらを考慮した様々な修正形態または変更形態が、当業者に示唆され、本出願の精神および範囲ならびに添付された特許請求の範囲の範囲内に含まれるべきであることが理解されよう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7
図8
図9
図10
図11
図12