(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-04
(45)【発行日】2022-08-15
(54)【発明の名称】ノンコートエアバッグ用基布およびエアバッグ
(51)【国際特許分類】
D03D 1/02 20060101AFI20220805BHJP
B60R 21/235 20060101ALI20220805BHJP
【FI】
D03D1/02
B60R21/235
(21)【出願番号】P 2019545635
(86)(22)【出願日】2018-09-27
(86)【国際出願番号】 JP2018036071
(87)【国際公開番号】W WO2019065895
(87)【国際公開日】2019-04-04
【審査請求日】2021-08-23
(31)【優先権主張番号】P 2017192246
(32)【優先日】2017-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000107907
【氏名又は名称】セーレン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124039
【氏名又は名称】立花 顕治
(74)【代理人】
【識別番号】100179213
【氏名又は名称】山下 未知子
(74)【代理人】
【識別番号】100170542
【氏名又は名称】桝田 剛
(72)【発明者】
【氏名】小寺 翔太
(72)【発明者】
【氏名】蓬莱谷 剛士
【審査官】春日 淳一
(56)【参考文献】
【文献】特開平7-54238(JP,A)
【文献】特開平6-184856(JP,A)
【文献】特表2013-540906(JP,A)
【文献】特開平8-134721(JP,A)
【文献】特表2013-528719(JP,A)
【文献】特開2015-17356(JP,A)
【文献】国際公開第2017/057300(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D03D1/00-27/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノンコートエアバッグ用基布であって、
ポリエチレンテレフタレートを主原料とする糸による織物により構成され、
前記織物の、糸の単糸強度が、7.30~8.50cNであり、
前記織物の、糸の単糸繊度が1.6~3.9dtexであり、
カバーファクターが2400~2800である、ノンコートエアバッグ用基布。
【請求項2】
前記単糸強度が7.55cN以上である、請求項1に記載のノンコートエアバッグ用基布。
【請求項3】
前記単糸繊度が3.3dtex以下である、請求項1または2に記載のノンコートエアバッグ用基布。
【請求項4】
前記単糸繊度が2.5dtex以上3.0dtex以下であり、且つ前記単糸強度を7.70cN以上である、請求項1に記載のノンコートエアバッグ用基布。
【請求項5】
前記単糸繊度が3.0dtex未満であり、且つ前記カバーファクターが2500以上である、請求項1に記載のノンコートエアバッグ用基布。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の少なくとも2枚のノンコートエアバッグ用基布と、
前記2枚のノンコートエアバッグ用基布の周縁部同士を縫製するための糸と、
を備えている、エアバッグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両衝突時の乗員保護装置として普及しているエアバッグに用いられる基布に関し、特にノンコートエアバッグ用基布およびそれを用いてなるエアバッグに関する。
【背景技術】
【0002】
車両が衝突した時の衝撃から乗員を保護する乗員保護用の安全装置として、車両へのエアバッグ装置搭載が普及している。従来は、インフレーターから放出されるガスがバッグ内より漏れ出さないように、樹脂材料によりコーティングされた織物が主流であったが、燃費改善等の要求から軽量であること、ステアリングホイールデザインの流行などからコンパクトに収納できることが要求されており、ノンコート布の採用が広がっている。
【0003】
また、これまではナイロン66(PA66)製のエアバッグが主流であったが、コストの低減を目的として、ポリエチレンテレフタレート(PET)製のエアバッグが採用され始めている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、エアバッグは、複数のエアバッグ用基布を縫製することにより形成される。しかしながら、本発明者は、従来のポリエチレンテレフタレート製のエアバッグ用基布を縫製すると、ヒケが生じたり、糸切れが生じることを見出した。このようにヒケなどが生じると、エアバッグの外観の品質が低下し、ひいては空気の漏れなどの性能の低下に繋がる可能性もある。本発明は、この問題を解決するためになされたものであり、縫製時のヒケや糸切れなどを防止することができる、ノンコートエアバッグ用基布、及びこれを備えたエアバッグを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のノンコートエアバッグ用基布は、ポリエチレンテレフタレートを主原料とする糸による織物により構成され、前記織物の、糸の単糸強度が、7.30~8.50cNであり、前記織物の、糸の単糸繊度が1.6~3.9dtexであり、カバーファクターが2400~2800である。
【0007】
上記ノンコートエアバッグ用基布では、前記単糸強度を7.55cN以上とすることができる。
【0008】
上記各ノンコートエアバッグ用基布では、前記単糸繊度を3.3dtex以下とすることができる。
【0009】
本発明に係るエアバッグは、上述したいずれかのノンコートエアバッグ用基布により形成されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、縫製時のヒケや糸切れなどを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】実施例、比較例の物性値及び評価試験結果を示す表である。
【
図3】比較例における糸切れの状態を示す拡大写真である。
【
図4】比較例におけるヒケ及び糸切れの状態を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明のノンコートエアバッグ用基布は、主として、ポリエチレンテレフタレートを主原料とする糸により製織された織物により構成されている。この織物を形成する糸の単糸強度は、7.30~8.50cNであり、糸の単糸繊度は、1.6~3.9dtexである。また、この織物のカバーファクターは2400~2800である。
【0013】
以下、このノンコートエアバッグ用基布について、さらに詳細に説明する。まず、織物のカバーファクターは2400以上であることが肝要であり、2430以上が好ましく、2460以上がさらに好ましく、2500以上が特に好ましい。カバーファクターを2400以上とすることで、織糸間の隙間が小さくなり、優れた低通気性を得ることが出来る。また、カバーファクターが2800以下であると織物の柔軟性を損ないにくく、良好な折り畳み性を得ることが出来、好ましい。この観点から、カバーファクターは、2600以下が好ましい。なお、本発明において、カバーファクター(CFともいう)は以下の式で算出される値である。
カバーファクター(CF)=織物の経密度×√経糸の総繊度+織物の緯密度×√緯糸の総繊度
【0014】
本発明の基布の通気性は、フラジール法によって測定される通気性が0.5ml/cm2・sec以下であることが好ましく、0.3ml/cm2・sec以下であることがより好ましい。上記の値とすることで、本発明の織物でエアバッグ用の基布を形成した場合、その基布表面からのガス漏れが少なくなり、インフレーターの小型化や迅速な展開が可能となる。
【0015】
本発明の基布を構成する糸の総繊度は280dtex以上であることが好ましい。糸の総繊度が280dtex以上であると、織物の強度がエアバッグとして優れた水準となる。また、軽量な織物が得られやすい面で、総繊度は560dtex以下であることが好ましく、470dtex以下であることがより好ましい。
【0016】
織物を構成する糸は、同一のものを使用しても異なっていてもいずれでもよい。例えば、単糸繊度(=総繊度/フィラメント数)の異なる糸により織物を構成することができる。具体的には、例えば、1.6~3.9dtexの範囲の単糸繊度の糸を用いることが肝要であり、1.6~3.3dtexであることがさらに好ましい。単糸繊度を3.9dtex以下にすることにより、糸自体が柔軟でほぐれやすく、織物の中での動きの自由度が大きくなる。その結果、織物の柔軟性が向上する。また、上記のように、基布のカバーファクターが大きくても、縫製の際に、縫製糸により織物の糸が引っ張られやすくなるため、縫製時の負荷を逃がしやすくなる。そのため、糸切れを防止することができる。特に、単糸繊度が3.3dtex以下であれば、糸切れ防止効果が向上する。これに対して、基布のカバーファクターが大きく、さらに単糸繊度が3.9dtexより大きい場合には、糸が引っ張られにくいため、負荷を吸収できずに糸切れが発生するおそれがある。但し、単糸繊度が大きくても、カバーファクターを小さくすれば、糸の自由度が大きくなるため、糸切れやヒケを抑制することができる。この観点からすると、例えば、単糸繊度が3.0dtex以上である場合には、カバーファクターを2500以下にすることが好ましい。一方、例えば、単糸繊度が3.0dtex未満である場合には、カバーファクターを2500以上にすることが好ましい。
【0017】
一方、単糸繊度が1.6dtexより小さいと、エアバッグに必要な強度が得られず、且つ糸が細すぎて製織時に糸切れが発生しやすい。さらに、毛羽が発生しやすいという問題もある。したがって、単糸繊度は、2.0dtex以上であることがさらに好ましく、2.5dtex以上であることが特に好ましい。
【0018】
また、単糸の断面形状は、円形、楕円、扁平、多角形、中空、その他の異型などから選定すればよい。必要に応じて、これらの混繊、合糸、併用、混用(経糸と緯糸で異なる)などを用いればよく、紡糸工程、織物の製造工程、あるいは織物の物性などに支障のない範囲で適宜選定すればよい。
【0019】
これらの糸(繊維)には、紡糸性や、加工性、耐久性などを改善するために通常使用されている各種の添加剤、たとえば、耐熱安定剤、酸化防止剤、耐光安定剤、老化防止剤、潤滑剤、平滑剤、顔料、撥水剤、撥油剤、酸化チタンなどの隠蔽剤、光沢付与剤、難燃剤、可塑剤などの1種または2種以上を使用してもよい。
【0020】
単糸強度は、7.30~8.50cNであることが好ましく、7.55~8.50cNであることがさらに好ましい。上記のように、単糸繊度が3.9dtex以下のように低いと、縫製により、糸が引っ張られやすく、ヒケが生じやすいが、単糸強度を7.30cN以上とすることで、ヒケの発生を抑制することができ、糸切れもさらに抑制することができる。特に、単糸強度が7.55cN以上であれば、単糸繊度が低くてもヒケの発生をより抑制することができ、高密度の織物を作製することができる。また、単糸強度が7.30cNより小さいと、糸の強度が低いため、製織時に毛羽が発生しやすい。一方、単糸強度が8.50cNより大きいと、原糸製造時に毛羽が発生し、糸としての品位が低下するおそれがある。
【0021】
また、単糸繊度と単糸強度とのバランスからすると、例えば、単糸繊度が2.5dtex以上3.0dtex以下であれば、単糸強度を7.70cN以上とすることが好ましく、単糸繊度が3.0dtexより大きく3.5dtex以下であれば、単糸強度を7.60cN以下とすることが好ましい。
【0022】
織物の組織は、平織、斜子織(バスケット織)、格子織(リップストップ織)、綾織、畝織、絡み織、模紗織、あるいはこれらの複合組織などいずれでもよい。必要に応じて、経糸、緯糸の二軸以外に、斜め60度を含む多軸設計としてもよく、その場合の糸の配列は、経糸または緯糸と同じ配列に準じればよい。なかでも構造の緻密さ、物理特性や性能の均等性が確保できる点で、平織が好ましい。
【0023】
織物の織密度は、経糸および緯糸がともに48~75本/2.54cmであることが、製織性および通気性等の性能面で好ましく、55~68本/2.54cmであることがより好ましい。但し、経糸と緯糸との密度差は小さいことが好ましい。すなわち、経糸と緯糸とが、できるだけ同じ数であることが好ましい。経糸と緯糸との密度の差が大きいと、織物としてのバランスが悪くなり、ヒケが発生しやすくなる恐れがある。
【0024】
本発明のエアバッグは、本発明の基布を所望の形状に裁断した少なくとも1枚の本体基布を接合することによって得られる。エアバッグを構成する本体基布のすべてが、前記基布からなることが好ましいが、一部であってもよい。また、エアバッグの仕様、形状および容量は、配置される部位、用途、収納スペース、乗員衝撃の吸収性能、インフレーターの出力などに応じて選定すればよい。さらに、要求性能に応じて補強布を追加しても良く、補強布に使用する基布としては、本体基布と同等のノンコート織物のほか、本体基布とは異なるノンコート織物、あるいは本体基布とは異なる樹脂のコーティングが施された織物から選択することができる。
【0025】
前記本体基布の接合、本体基布と補強布や吊り紐との接合、他の裁断基布同士の固定などは、主として縫製によって行われるが、部分的に接着や溶着などを併用したり、製織あるいは製編による接合法を用いたりしてもよい。すなわち、エアバッグとしての堅牢性、展開時の耐衝撃性、乗員の衝撃吸収性能などを満足するものであれば、接合方法は特には限定されない。
【0026】
裁断基布同士の縫合は、本縫い、二重環縫い、片伏せ縫い、かがり縫い、安全縫い、千鳥縫い、扁平縫いなどの通常のエアバッグに適用されている縫い方により行えばよい。また、縫い糸の太さは、700dtex(20番手相当)~2800dtex(0番手相当)、運針数は2~10針/cmとすればよい。複数列の縫い目線が必要な場合は、縫い目針間の距離を2mm~8mm程度とした多針型ミシンを用いればよいが、縫合部の距離が長くない場合には、1本針ミシンで複数回縫合してもよい。エアバッグ本体として複数枚の基布を用いる場合には、複数枚を重ねて縫合してもよいし、1枚ずつ縫合してもよい。
【0027】
縫合に使用する縫い糸は、一般に化合繊縫い糸と呼ばれるものや工業用縫い糸として使用されているものの中から適宜選定すればよい。たとえば、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46、ポリエステル、高分子ポリオレフィン、含フッ素、ビニロン、アラミド、カーボン、ガラス、スチールなどがあり、紡績糸、フィラメント合撚糸またはフィラメント樹脂加工糸のいずれでもよい。
【0028】
さらに、必要に応じて、外周縫合部などの縫い目からのガス抜けを防ぐために、シール材、接着剤または粘着材などを、縫い目の上部および/または下部、縫い目の間、縫い代部などに塗布、散布または積層してもよい。
【0029】
本発明のエアバッグは、各種の乗員保護用バッグ、たとえば、運転席および助手席の前面衝突保護用、側面衝突保護用のサイドバッグ、センターバッグ、後部座席着座者保護用(前突、後突)、後突保護用のヘッドレストバッグ、脚部・足部保護用のニーバッグおよびフットバッグ、乳幼児保護用(チャイルドシート)のミニバッグ、エアーベルト用袋体、歩行者保護用などの乗用車、商業車、バス、二輪車などの各用途の他、機能的に満足するものであれば、船舶、列車・電車、飛行機、遊園地設備など多用途に適用することができる。
【実施例】
【0030】
以下、実施例に基づき、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
図2に、実施例1~5及び比較例に係るノンコートエアバッグ用基布の物性値及び評価結果を示す。また、以下に、物性値の測定方法を示す。
【0031】
<糸の総繊度>
JIS L 1013 8.3.1 B法に準じて測定した。
【0032】
<糸のフィラメント数>
JIS L 1013 8.4に準じて測定した。
【0033】
<単糸繊度>
糸の総繊度を、糸のフィラメント数で除することで得た。
【0034】
<単糸強度>
JIS L 1013 8.5 (引張強さ)に準じて測定した。
【0035】
<織物の織密度>
JIS L 1096 8.6.1 A法に準じて測定した。後述する
図2の表中では、経糸の密度/緯糸の密度で表示している。
【0036】
<織物の厚み>
JIS L 1096 8.4 A法に準じて測定した。
【0037】
<織物の通気性1>
JIS L 1096 8.26.1 A法(フラジール法)に準じて測定した。
【0038】
<織物の通気性2(空気透過量)>
得られた基布の20kPa差圧下における通気量を、
図1に示される生布通気量測定機(京都精工製、流量計6:コスモ計器製DF2810P、層流管5:コスモ計器製LF2-100L、圧力計8:コスモ計器製DP-330BA)を用いて測定した。
図1に示すように、得られた基布を20cm×20cmで裁断したものをサンプル1とし、加圧装置4と接続された内径50mmの円筒状クランプ3aにリング状の留め具2で固定し、層流管5と接続された内径50mmの円筒状クランプ3bで挟んだ。その後、円筒状クランプ3a側より加圧し、圧力計8の表示が20kPaとなる様に圧力調整弁7を操作した。前記の状態においてサンプルを通過する通気量を層流管5に接続された流量計6によって検出し、20kPa差圧下における通気量により、通気性を評価した。
【0039】
<縫製に係る評価>
2枚の基布を重ね合わせ、ナイロン66ミシン糸によりミシンを用いて本縫いにて、2種類の形状の違う縫製、つまり円縫製と直線縫いとを行った。円縫製においては、直径が80mm,180mm,200mmの3種類の円縫製を行った。このとき、ミシンの上糸及び下糸として1400dtexの縫製糸を用い、35針/10cmにて縫製を行った。直線縫いは、10cmの距離で、円縫製と同様の条件で行った。そして、縫製後に、ヒケの発生と糸切れの個数を目視により確認した。ヒケの発生は、以下の基準に基づいて目視結果を規定した。
1:ヒケが無いか、軽度のヒケ(例えば、角度を変えたときに光の反射によってしか見えないヒケ)が1~2点あり
2:上記の軽度のヒケが3点以上あるが、目立つヒケはなし。
3:上記の軽度のヒケが発生するだけでなく、目立つヒケ(外観ですぐにわかり、欠点になりうるもの)が1点以内である状態
4:軽度のヒケが発生するだけでなく、目立つヒケが2点以上ある状態
これら1~4の基準のうち、3以上が許容される。
【0040】
結果は、
図2に示すとおりである。また、実施例及び比較例に関する考察を以下に示す。
(1)実施例1
単糸繊度が低いので、ヒケが生じやすくなるはずであるが、単糸強度が高いので、ヒケの発生が抑制されている。また、単糸繊度が低いので,伸びやすく糸切れがない。また、単糸強度が高いことも糸切れの防止に寄与している。
【0041】
(2)実施例2
単糸繊度が低いので、単糸強度が強くても、ヒケの発生が十分に抑制できていない。但し、発生したヒケを観察すると、目立つヒケは1点以内であった。また、単糸繊維が低く、単糸強度が高いので、糸切れは防止できている。
【0042】
(3)実施例3
単糸繊度は高いが、単糸強度が低くないので、糸切れは生じていない。密度が高くないので、糸の自由度が多少あることにより、ヒケが生じているが、目立つヒケはなかった。
【0043】
(4)実施例4
単糸繊度が高いため、わずかに糸切れが発生している。また、単糸繊度が高いが、単糸強度も高いので、ヒケは発生するものの、目立つヒケはなかった。但し、経糸と緯糸の密度に差があることが、ヒケの発生に起因していると考えられる。
【0044】
(5)実施例5
単糸強度がやや低く、単糸繊度がやや高いので、糸切れが発生しているが、目立つほどではなかった。また、単糸繊度は高くはないが、単糸強度とのバランスにより、ヒケの発生は十分に抑えられている。
【0045】
(6)比較例
単糸繊度が高すぎ、また単糸強度が低いので、糸切れが多数発生している。
図3に糸切れの状態の例を示す。さらに、単糸強度が低すぎるため、目立つヒケが発生している。また、経糸と緯糸の密度に差があることも、ヒケの発生に起因していると考えられる。
図4にヒケの状態の例を示す。特に、
図4中の丸で示す部分は、ヒケが大きくなりすぎて、糸切れも発生している。
【符号の説明】
【0046】
1 通気性測定用サンプル
2 リング状留め具
3a、3b 円筒状クランプ
4 加圧装置
5 層流管
6 流量計
7 圧力調整弁
8 圧力計