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特許7118090滅菌条件下の製剤用容器への固形物の重量法による充填プロセス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-04
(45)【発行日】2022-08-15
(54)【発明の名称】滅菌条件下の製剤用容器への固形物の重量法による充填プロセス
(51)【国際特許分類】
   B65B 1/06 20060101AFI20220805BHJP
   A61J 1/00 20060101ALI20220805BHJP
   B65B 1/34 20060101ALI20220805BHJP
   B65B 1/46 20060101ALI20220805BHJP
【FI】
B65B1/06
A61J1/00 370Z
B65B1/34
B65B1/46
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2019553986
(86)(22)【出願日】2018-03-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-05-28
(86)【国際出願番号】 EP2018056968
(87)【国際公開番号】W WO2018177800
(87)【国際公開日】2018-10-04
【審査請求日】2021-03-17
(31)【優先権主張番号】P201730587
(32)【優先日】2017-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】ES
(73)【特許権者】
【識別番号】519346804
【氏名又は名称】ラボラトリオス ファーマシューティコス ロヴィ エス.エー.
(74)【代理人】
【識別番号】100133503
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 一哉
(72)【発明者】
【氏名】セバデラ ミランダ,エレナ
(72)【発明者】
【氏名】グティエロ アドゥリズ,イボン
(72)【発明者】
【氏名】ガルシア アモ,マリア
【審査官】吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/185230(WO,A2)
【文献】特開2007-045498(JP,A)
【文献】実開平05-084601(JP,U)
【文献】実開平06-078201(JP,U)
【文献】特開平05-162701(JP,A)
【文献】特表2004-512146(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 1/06
A61J 1/00
B65B 1/34
B65B 1/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器(1)内への固形製品の重量充填方法であって、
A) ほぼ円筒形の本体(2)を含み、その上部に容器(1)の本体(2)の直径よりわずかに大きい直径の隆起部(3)を備えた容器(1)を用意する工程、
B) 容器(1)を中空のシリンダー(4)に挿入し、その内部空洞(5)は容器(1)の本体(2)の直径よりわずかに大きい直径を有し、 内側空洞(5)の上部領域にある凹部(6)が備え付けられ、容器(1)の隆起部(3)がシリンダーの内部空洞(5)の上部領域の凹部(6)内に位置できるようにし、それは容器(1)の隆起部(3)とシリンダー(4)の内部空洞(5)の上部領域の凹部(6)との間の接触領域であり、容器(1)とシリンダー(4)間の唯一の接触領域である。容器(1)がシリンダー(4)の内部空洞(5)内に懸架され、その上面(7)がシリンダーの上面(8)のわずかに下に位置するようにする工程、
C) シリンダー(4)と容器(1)のユニットを、その秤量面(10)に、シリンダー(4)の内部空洞(5)の直径より小さい直径を有する突起(11)を備えた秤量セル(9)の上方に配置し、秤量面(10)は、シリンダー(4)の内部空洞(5)の直径よりも小さい直径と、容器(1)を十分な高さ(h)だけ上昇させるのに適した高さとを有し、これによって、容器の隆起部(3)がもはやシリンダー(4)の内部空洞(5)の、上部領域の凹部(6)と接触しないようにするが、ただし、容器(1)の上面(7)がシリンダー(4)の上面(8)の高さを超えないようにする。容器(1)が秤量セル(9)の前記表面(10)に設けられた突起(11)の上方に完全に載せられているので、その上にその全重量が載るようにする工程、
D) オリフィス(13)を備えた蓋(12)によって気密にシリンダー(4)の上面(8)を覆うことにより、投与要素またはノズル(14)によって固体製品を加えることが可能にする工程、
E) 秤量セル(9)の表面(10)に設けられた突起(11)の上方に載せられている間に容器(1)を所望の精度で秤量し、その上に前記容器(1)の全重量を載せる、および
F) 蓋(12)のオリフィス(13)を通して容器(1)に固体製品を充填し、秤量セル(9)によってそれに添加される製品の量を重量測定する工程。
【請求項2】
容器(1)とシリンダー(4)との間に、シリンダー(4)の内部空洞(5)内での容器(1)の垂直性および吊り下げを保証するように設計された容器(1)を覆う少なくとも1つのスリーブを設け、容器(1)もそのカバースリーブもシリンダー(4)の内壁に触れないようにする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
2つ以上の固体製品を容器(1)に投入する場合には、段階c)~f)を必要な回数繰り返す、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
ここで、段階a)~f)のいずれかに先立って、続いてまたは同時に、容器(1)および/またはシリンダー(4)のイオン化段階を導入してその静電荷を中和する、請求項1~3のいずれか記載の方法。
【請求項5】
前記イオン化段階が、前記容器(1)内および/または前記シリンダー(4)内にイオン化バー、針またはリングを導入することによって行われる、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
圧縮空気または滅菌N 2の流れが、イオン化と同時に容器(1)および/またはシリンダー(4)に導入され、投与を助け、必要な滅菌条件を提供する、請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
工程f)の容器(1)への固形製品の充填は、エンドレススクリュー、ホッパーと高精度ノズル、シングルスレッドドーザ、ダブルスレッドドーザ、振動チャネル、振動ホッパを備えたドーザ、コンベヤベルトを備えたドーザ、圧縮システムを備えたドーザを装備した減量式重量測定装置によって行われる、請求項1~6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記ホッパーが、前記容器(1)内の前記固体生成物を一定に供給することを保証するための攪拌機を備えている、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記シリンダー(4)が、それぞれが前記容器(1)を受け入れることができる多数の内部空洞(5)を備えている、請求項1から8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記秤量セル(9)は、前記シリンダー(4)の前記多数の内部空洞(5)に備えられた多数の前記容器(1)を秤量するという目的のため複数である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記容器(1)が、固形物質を収容するように設計された注射器、バイアル、カプセル、アンプル、単回投与装置、吸入器、瓶、毛嚢ブリスター、サシェまたは袋である、請求項1~10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記容器(1)がシリンジまたはカープルである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記シリンダー(4)が、チタン、鋼、プラスチック、水晶、ガラス、石または樹脂のシリンダである、請求項1から12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
シリンダー(4)がプライヤまたはクランプによって支持されることができるか、またはシリンダー(4)が、いくつかの地点から他の充填箇所にレールによって移動されることができるように設計された、外側隆起部をシリンダ(4)が備える、 請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記秤量セル(9)の表面(10)に設けられた突起部(11)がほぼ円筒形であり、その上面が実質的に平坦、円錐形、円錐台形である、請求項1~14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
前記容器(1)に充填される前記固形製品が、以下の粒径分布を有する、請求項1から15のいずれかに記載の方法。
- 粒子の全体積の10%以下が20ミクロン未満で、
- 230ミクロン超、140ミクロン未満ではない粒子は総量の10%以下
- 60~160ミクロンの範囲での値はd0.5
ここで、d 0.5は、母集団を正確に2等分する2つの半分に分割する粒子サイズの平均値を示し、分布の50%がこの値より上、50%下になる。
【請求項17】
前記容器(1)に充填される前記固形製品が、以下の粒径分布を有する、請求項1~15のいずれかに記載の方法。
- 粒子の全体積の10%以下が20ミクロン未満で、
- 粒子の全体積の10%以下が325ミクロンより大きく、245ミクロンより下にならない、
- 100~155ミクロンの範囲内の値はd 0.5。
【請求項18】
前記容器(1)に充填されるべき固形製品はリスペリドン、パリペリドン、フェンタニル、オランザピン、レトロゾール、アリピプラゾール、アナストロゾール、アセナピン、ブレクスピプラゾール、カリプラジン、クロザピン、イロペリドン、ルラシドン、クエチアピン、ジプラシドン、それらの誘導体、代謝産物、塩、これらが単独または組み合わせたものからなる群から選択される、 請求項16または17に記載の方法。
【請求項19】
層流キャビン内の無菌環境において行われる、請求項1~18のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
今回の開発は、小さな寸法の製剤用容器への滅菌条件下の固形物の重量法による充填プロセスに関連しており、容器とは、シリンジ、バイアル、カプセル、アンプル、単回使用機器、吸入器、ボトル、カープルブリスター、小袋または袋で、粉末、凍結乾燥物、顆粒、ペレット、ナノ粒子あるいは微粒子から形成されたグループから選択した固形物質を入れるための容器です。特に、1つ以上の滅菌固形医薬物質または滅菌賦形剤を含み、無菌環境.で調製された製剤用容器への重量法による充填プロセスに関連しています。
【背景技術】
【0002】
製薬工業界の法律は、製剤用容器への医薬物質の充填に関して厳しい安全基準を定めています。現在、シリンジ、バイアル、カプセルなどの小さな寸法の製剤用容器へ医薬物質を充填する際は、Good Manufacturing Practices (適正製造基準:GMP)を遵守する必要があります。そのためには、滅菌環境出の作業には制御された気流が通常使用されます。
【0003】
組織的で、階層化され、穏やかなな場合、液体あるいはガスの移動は制御された気流.と呼ばれます。層流では、液体は薄層に並行して移動し、混合されることはなく、それぞれの流体粒子はストリームラインと呼ばれる軌道を流れます。制御された気流は薄層状または乱流.と考えられます。レイノルズは、レイノルズ数と呼ばれる寸法パラメータを用いて気流の種類を予測し、液体の動きにおける粘度と慣性の比を表しました。これは以下の式で求められます。
Re= Vs x D/ Vc
略語の意味
Vc = 運動粘度.
Vs = 液体の特性速度
D= 液体が円運動をするセクションの径
つまり、
・Re<2000の場合、「層流」と呼ばれ、すなわち、粘性力が慣性力より比例的に強くなり、そのため、粒子はストリームラインを移動する傾向にあります。
・Re>4000の場合は、「乱流」とよばれ、すなわち、粘性力は慣性力に比べて弱くなり、そのため、粒子は不規則な経路を動きます。
・2000<Re<4000の場合は、「遷移流」と呼ばれ、すなわち、モデル化することができません。
参照する法律では、制御気流は、一方向に流れるストリームラインはほぼ平行でその流速は清浄域の横断面を通して一定であると定義されています。したがって、GMPは流速を0.36 m/s~0.54 m/s (0.45 m/s ±20%)と示しており、欧州医薬品庁(EMA)による「ヒト用および動物用医薬品の適正製造基準の滅菌薬の製造」に関連する付録1に従って「一方向流動」と定義しています。この指針によると、開放環境の作業場つまり、薬注入作業を実施する場所では、層流系統は同一の流速(前述の範囲)でなければいけません。
【0004】
一方向/層流の主な機能は、粒子や汚染の存在しない作業環境を提供することで、それらの環境では、重要なプロセスの保護を保証し、プロセス作業中の製品の完全な保護と周辺環境の隔離を保証します。
【0005】
保護は、「プロセスコア」、つまり、プロセスと、環境とプロセスの相互作用が生じる場所で行われます。これは、HEPAと呼ばれるフィルターを用いることで粒子がなくなるため、達成されます。HEPAはHigh Efficiency Particle Arresting.の略です。これは高性能フィルターで、花粉やイエダニ、たばこの煙などの粒子を捕集します。HEPAフィルターを使用後、フィルターした空気の流速は法律に従って一定に制御されなければいけません(GMP:0.36~0.54 m/s)。この一定性には3要素が介在します:使用した大気拡散スクリーン、ファン流速の規制、空気のチャネリングと戻り。
【0006】
層流の使用とデザインによると、製品の保護、操作者の保護、あるいは両方の保護を保証することができます。いずれの場合でも、制御された気流により、滅菌環境でのプロセスの制御が可能で、最終滅菌などの追加プロセスが不要な点が利点です。
【0007】
容器に充填する製品が液体の場合、容積測定 重量測定法を用いて実施すると、その充填は固形製品に比べて簡便です。いずれの場合でも、容積測定法では、決定すべきことは重量でなく、容器に充填する製品の量であり、製品の注入ははるかに簡便です。それは、充填や注入の精度を調整し、気流の影響により変化する可能性のある計量セルの存在を必要としないからです。
【0008】
さらに、微粒子、ナノ粒子、顆粒、ペレット、粉末などの固形物質を小さな寸法の製剤用容器に充填する際の参照を作成する場合、問題はより大きくなります。それは、この場合、あらゆる種類の乱流に妨げられることなく粉末が一定して予想通りに流れることが不可欠で、そのため、製剤用容器内の固形の医薬物質の容量や重量が適切であることが保証できます。また、充填を薄層状気流下で行う場合は、問題はさらに大きくなります。というのは、固形粒子は容器の底に沈殿するため、層流 は、秤の測定精度と固形粒子の流速の両方に影響を及ぼす可能性があります。そんのため、秤で測定する結果が変わることがあり、その結果、容器に充填される製品の量が変わることがあります。
【0009】
この関連で、製薬工業は、有効成分の充填の誤りにより患者さんが不適切な量の薬剤を投与される可能性があることを考慮する必要があります。これは、非常に危険で、極端な場合は命にかかわることがあります。このため、最先端のセクションで述べたプロセスでは、これまでに認可を受けているさまざまなプロセスやあらゆる製剤用容器の有効な充填量を用いて規制のチェックが必要で、医薬物質(薬剤、有効成分、あるいは賦形剤)の量が範囲外の場合は、廃棄する必要があります。
【0010】
これらの検査には、破壊的検査と非破壊的検査があります。非破壊的検査の場合、重量測定法で充填した容器の100%で制御を行い、事前に設定した仕様外の場合のみ廃棄します。しかし、通常容積測定充填プロセスで使用される破壊的検査の場合、プロセスの注入を制御する目的でどんな短い時間でも統計的秤量を用いて制御します。これにより、充填プロセスの収率が非常によく調節できます。これは、破壊的方法.のため、確認した事実にもかかわらず、すべての制御装置が廃棄されるためです。
【0011】
その結果、コストの高さと取り扱う医薬物質の価値、それらが大量に生産されるという事実により、製品の注入精度を制御するための製薬企業に対する財務的なコストが非常に大きくなるため、非破壊的な制御方法が好まれます。しかし、これとは逆に、最先端セクションの文書では小さな容器への充填プロセスを示唆し、通常破壊的制御プロセスを行う容積測定充填プロセスを示唆し、生産性の低下につながったり、異なる工程や段階で複数の軽量制御を要するため、プロセスの費用が非常に高くなります。さらに、最先端セクション書類は、今回の開発で使用されている寸法よりも大きな機器や容器の剤形を示唆します。
【0012】
VANRX Pharmasystems INCによる米国特許(2016/0200461 A1)の文献では、容積測定充填と制御環境容器の液体または凍結乾燥された固形医薬製品(充填プロセスを液相で実施することを意味する)の入った容器(バイアル、ボトル、シリンジ、アンプル)の無菌密閉法法を公開しています。この開発の長所は、多くの容器に同時に充填し、容器を密閉できる点です。この密閉済容器は、密閉箱に導入され、密閉済容器か密閉箱のいずれかは消毒する必要があります。容器は真空状態で密閉されるか大気条件下に置かれます。
【0013】
一方、IMA LIFE S.R.Lによる国際的文献(WO 2006/074904)では、滅菌や脱パイロジェンにより、滅菌環境で注入用液体製品を容器(バイアル、シリンジ、ボトルがより望ましい)に注入について述べています。より具体的には、容器のクリーニングと汚染除去を目的とする容器の洗浄工程と洗浄工程以外の容器を滅菌するための滅菌工程から成る滅菌包装の完全かつコンパクトなシステムに関連しており、この滅菌工程には2つの滅菌モジュールがあります。それぞれのモジュールには、上部の適切な導管と分離バッフルがあり、ボトルに影響を及ぼす気流に達することができます。その気流は、ベルへ進むコンベヤーの上を流れます、その下には、HEPAフィルターが設置され、両方の滅菌方法は、低温滅菌あるいは高温滅菌として使用可能で、最後に、容器への液体の充填と密閉工程へと進みます。
【0014】
また、Grifols Worldwide Operations Ltd.による欧州特許(EP 2 832 648 A1)の文献では、液体医薬品用容器の充填用の機械と方法を公開しています。
【0015】
これにより、製薬工業の規制範囲外の医薬物質の量の製剤用容器(おそらくバイアルい)を却下するという問題を取り除くことができ、機械への投資という観点から膨大な追加コストがかかることを防ぎ、生産性を向上させます。この文献の方法では、空容器の計量期、医薬物質の容器への充填、その後の充填済容器の計量から成り、充填済容器計量工程では医薬物質の量を確認します。
【0016】
さらに、IMA Industria Macchine Automatiche S.P.Aによる国際出願(WO 2012/023118 A1)では、総重量チェックシステムを搭載した充填機械と個々の計量ユニットについての方法に言及しています。さらに具体的には、文献では、医薬製品を充填したカプセルの総重量チェックシステムを搭載し、カプセルの充填に適した充填機械に言及しています。これは、あらゆるカプセルの計量装置を搭載し、充填機械から計量装置にカプセルを移動します。この機械には、マイクロドーズ計量の場合、空のカプセルの計量用に複数のロードセルが付いた追加の電子てんびんが付属しており、カプセルは充填機械に移動し、充填済のカプセルは複数のロードセルが付いた電子てんびんが搭載された他の計量装置へ運ばれ、それぞれの充填済のカプセルはの重量を軽量することができます。この特許では、決してプロセスで層流を使用せず、無菌充填条件も考慮しません。
【0017】
Cozzoli Machine Co.が出願したUS 特許(US4640322)では、一定の流動性のある粒子状物質(粉末や同様の物質)を充填する容器用の機械を公開していま。基本的に、機械は大気圧より低い圧力をフィルター全体にかけて粒子状物質を吸引します。あるいは、測定容器に充填後、大気圧より低い圧力をフィルター全体にかけて粒子状物質が製剤用容器の下へ落とします。この特許では、充填対象となる製品の特定の特性を考慮しない容積測定充填プロセスを公開していますが、層流の対象となる充填プロセスの影響については言及していません。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
しかし、今回の開発では、固形医薬物質を充填する製剤用容器の代替手段、特に無菌環境.での重量法による充填プロセスを提案しています。
【課題を解決するための手段】
【0019】
最先端セクションの文書では、IMA Industria Macchine Automatiche SPAによる 国際出願(WO 02/092430)について記載しており、それは、ボトルへの固形物質(粉末または顆粒)の自動充填に関連しており、特に、粉末状態の医薬物質のボトルへの充填用の機械と機械の一部を形作る充填推進メカニズムに関連しています。このプロセスには、いくつかの段階があり、最初の段階は空のボトルの計量である最初の工程です。その後、粉末注入ディスクと粉末医薬品注入機器から成るボトル充填工程で粉末を充填され、これらのボトルは第2ボトル計量工程へ送られ、充填済ボトルの計量を行います。最後にボトルの打栓工程があります。これらすべてが容積測定充填システムです。このシステムには、調整メカニズムを取り外す必要がなく、注入ディスクへの迅速で容易なアクセスという長所があります。また、機械のメンテナンスやクリーニングが簡便で、プロセスは迅速に処理可能で労力も多くかかりません。論理的には、このプロセスでは実は、粒度分布が均等で見掛け密度が一定な粉末医薬品の容積測定しかできません。というのは、異なるバッチの異なる化学的性質の充填ができないだけではなく、何らか特定の粒子サイズを保証しないからです。さらに、滅菌条件で作用すると言及されているにもかかわらず、当該滅菌性に達するために使用する方法(打栓後の最終滅菌を前提とする)については指定されていません。
【0020】
Harro Hofliger Verpackungsmaschinen GmbHが適用した欧州特許の文献(EP 2902327 B1)は、粉末医薬品の注入用の容積測定の注入機器と容器(カプセルおよびブリスターなど)への粉末の同時充填に関連しています。機器には、粉末容器への注入工程、充填工程と携帯用測定要素があり、測定要素は、注入工程から充填工程へ、またはその逆に入れ替えることができます。密閉材料もあり、それは弾性、柔軟性、密閉性、があり、多孔質で通気性があります。測定要素は、負差圧を維持しながら注入工程から充填工程へ移動し、充填工程では注入腔に製剤用容器が積載されます。これにより、負差圧が排除され、粉末が注入腔から製剤用容器へ移動します。測定要素は注入工程へ移動します。この場合、容積法による充填ですので、特定の粒度分布がないコンポーネントの注入はより簡便です。
【0021】
さらに、IMA Industria Macchine Automatiche S.P.Aによる国際出願(WO 2010/128455 A1)では、注入器具及び注入ユニットに言及しています。
【0022】
これらは、あらかじめ設定した正確な量の製品を製剤用容器に分注する自動充填機械に関連しています。この機械には、液体と固形物質の両方を注入できます。このために、この注入方法は、粉末あるいは顆粒用の容積測定ピストンポンプ、蠕動ポンプ、隔膜あるいは膜ポンプ、時間制約注入システム、流速制御注入システム、流速測定注入システム、容積測定注入システムから成ります。この場合、容積法による充填ですので、特定の粒度分布がないコンポーネントの注入はより簡便です。
【0023】
さらに、3P Innovation Ltdによる国際出願(WO 2012/004606 A2)では、粉末医薬物質の注入器を公開しており、これは、柔軟な素材でできたかくはん器や粉末をかき混ぜるホッパーからなる分注システムを搭載しています。このホッパーは2つの部品に分けることができます。i1つは柔軟な素材からできており、もう1つは堅い素材でできています。圧電振動子機器は、粉末の充填中ホッパーや製剤用容器の計量機器を振動させます。3P Innovationは国際特許(WO 2016/185230 A2)も出願しており、粉末製剤用容器(シリンジ、バイアル、カプセル、カープル、ブリスター)の充填用の振動器具や方法を公開しています。この器具は製剤用容器の補助用で、製剤用容器へ粉末医薬物質を充填する充填針と接触する粉末医薬物質用のタンクと圧電振動子機器を付属しています。
【0024】
いずれの場合でも、3P Innovation Ltdが公表している文献では、処方成分の物理化学的やレオロジー的な特性には言及されていません。また、常に振動充填システムに着目しているため、技術的問題について提案されている解決策は、振動充填機械と薬剤注入の際の振動の危険な影響の排除方法に極端に限定されています。この文献は、粉末充填プロセスを制御する振動の不可欠な要素を公開しているため、振動以外の充填の種類には決して言及されていません。
【0025】
さらに、この特許出願では具体例が含まれておらず、提案されている充填システムの適性を検証できません。さらに、流速や流量と共にシステムに施される振動の程度は、その計量や容器に正確に粉末を充填するプロセスを実に不安定にします。容器の垂直性が損なわれるのを防ぐ要素がありませんが、そのままの状態にあります。容器間のノズルは注入をしやすくするため、容器は垂直のまま保たれます(振動バッファー部分の壁に接触することなく)。したがって、計量機器は事前に設定した用量を確保できます。
【0026】
最先端のセクションを続けます。I.M.A Industria Macchine Automatiche S.P.Aによる欧州特許文献(EP 2138447 A1)では、バイアルやボトルの製造機械に言及しています。特に、バイアルやボトルへの液体あるいは粉末医薬製品の充填について記載しています。この機械は、上部あるいは口部が開口状態のバイアルあるいはボトルへの充填工程、事前に決定した用量の製品のバイアルまたはボトルへの充填工程、バイアルまたはボトルの開口部の一連の密閉工程、バイアルあるいはボトルに密閉を施し収集エリアに運ぶ工程があり、オプションとして、バイアルやボトル.のさらなる計量工程があります。すべての器具は滅菌環境にあり、密閉ユニットはバイアルあるいはボトル製造用機械の滅菌環境を作成するために用いられます。この開発は、粉末を容器(一般に、ボトルやバイアル)へ充填するシステム、つまり、処方成分の必要な粒度分布を考慮しない振動充填プロセスを示唆しています。
【0027】
最後に、IMA Industria Macchine Automatiche SPAによる国際出願(WO 2006/075227 A2)では、容器(主にボトル)の滅菌および脱パイロジェン用ユニットについて述べています。この滅菌と脱パイロジェンは、4つの考え得る複合滅菌モデル(ホット-コールド、ホット-ホット、コールド-ホット、コールド-コールド)から選択して実行します。このプロセスは空のボトルを用いて行い、このボトルはプロセス後に充填期へ転送されて液体あるいは粉末を充填しますが、この文書には言及されていません。したがって、この文献では、空の容器の滅菌や脱パイロジェン工程について述べられているだけです。空の容器はその後のプロセスで充填されますが、言及されていません。
【0028】
一般論としては、上記の文献は、製剤用容器への充填を公開していますが、製品の物理化学的あるいはレオロジー的な特性を考慮していません(そのため、異なる特性を有するさまざまな製品を同一の注入プロセスや器具で充填することを考慮していません)。さらに、医薬製品の無菌充填に必要で標準化したプロセス条件も考慮されていません。特に、プロセスを実施する環境が無菌環境で、層流の対象となる重量法による充填である場合を考慮していません。容積測定で充填する上記文献の場合、このプロセスには、注入された製品が固形の場合増強されるいくつかの欠点があります。それは、プロセスの不正確性、物質の粒度分布や特性が異なる場合の物質注入の信頼性の欠如、材料によっては使用のたびに注入器を常に校正する必要性、材料の特性が異なる場合の自動補填能力の欠落、複数の異なる製品を同一の器具あるいはプロセス(梱包済製品の見掛け密度での振動など)への充填防止などです。したがって、容積測定法は、内部バッチ間で見掛け密度にばらつきがある場合や、単一の製品で粒度分布にばらつきがある場合は適していません。それは、バッチ全体の内容の同一性が保証できないからです。さらに、容積測定法は、製品の特性によっては注入された物質の完全性を損なうことがあります。そのため、製品が凝集することがあり、さらには、プロセスが大きく充填温度や製品の粘度に依存すると考えられる場合、注入の精度において克服できない変化が生じます。
【0029】
しかし、計量および注入コントロールはある種類の薬剤には不可欠です。これは、有効成分および/または成分の一部である固形賦形剤の粒子サイズの分布に加えて固形の特性を重視する容器への重量法による充填プロセスが必要だからです。
【0030】
これらの側面は、一部の種類の薬剤(徐放性製剤、吸入器)について調整します。それぞれの成分の適量を測定するには、容積測定法は使用できないため、重量法による充填プロセスが必要です。有効成分の制御解放現象に起源を有する除放システムでは、薬剤の有効成分の拡散現象以外に、有効成分の分注があります。さらに、徐放性システムや吸入器を考えると、これらの薬剤には、時間の経過とともに成分の確かなリリースおよび/または活性が必要です。これは、粒度分析的特性を持つ成分の注入のコントロールが可能な場合は、より必要となります。処方時間全体を通して、成分の活性を保証する必要があります。そのため、変動が小さいと、処方よりも活性が上がったり、短くしなったり、長くなったりするため、そのような成分は製品ラインから排除しなくてはいけません。
【0031】
ここに記載されている開発は、あらゆる特性の粉末の固形化合物に適用可能です。ただし、次のような粒子サイズの分布を持つ固形物に適用するのが理想的です。
- 粒子の全体積の10%以下が20ミクロン未満で、
- 230超、140未満ではない粒子は総量の10%以下。
- 60~160ミクロンの範囲での値はd0.5。
【0032】
ここで、d 0.5は、母集団を正確に2等分する2つの半分に分割する粒子サイズの平均値を示し、分布の50%がこの値より上、50%下になる。一般に、仕様全体で、「d0.X」という値は、粒子サイズが指定されたサイズ未満の薬剤の塊のほんの一部を示しており、その範囲は0.0~1.0です。
【0033】
この定義に従うと、値がd0.1の10ミクロンでであれば、薬剤の総粒子塊の10%の粒子サイズは10ミクロンということになります。
【0034】
したがって、この開発の目標の1つは、粉末、凍結乾燥物、顆粒、ペレット、ナノ粒子あるいは微粒子のグループから選択した固形物質を小さな寸法の製剤用容器(シリンジ、バイアル、カプセル、アンプルなどの機器、単回使用機器、吸入器、ボトル、カープルブリスター、小袋および袋など)に重量法による充填あるいは注入するプロセスで、特に、気流を制御した無菌環境で注入および調製された1つ以上の滅菌固形医薬物質の製剤用容器への重量法による充填のプロセスに関連しています。そのため、重量の測定は正確で、層流.に影響されることはありません。
【0035】
この開発のプロセスのさらなる長所は、注入工程以外の工程では、固形医薬物質の充填の前後に計量をする必要がないことです。これは、この開発では、重量法による充填プロセスを、計量細胞を容器に充填する工程と定義しており、これは容器と正確に充填された固形医薬物質の重量を測定後に確認できます。
このプロセスは、あらゆる段階の無菌環境で使用することが可能で、重量プロセスによる容器の充填は制御薄層状あるいは乱流の影響を受けます。使用した空気に達しても製品の計量に影響を与えず、そのため、気流によってもたらされる擾乱のような障害あるいは製剤用容器への正確な固形充填の妨げを回避することができます。
【0036】
この開発のプロセスの目的には、さらに長所があり、異なる特性を有するいくつかの物質を単一容器に正確に充填することができます。そのため、異なる特性を有する複数の固形化合物を相互作用させることなく充填し、管理できます。それは、最終製品が固形で、湿度が10%未満だからです。湿度は計量を変化させ、製品の成分を凝集させる原因となることがあり、容器中の注入物の重量を変化させ、容器に分注された化合物のレオロジーを変化させるため、この長所は非常に重要です。
【0037】
さらなる長所は、プロセス全体で、最終医薬製品の滅菌性を保証する無菌環境を維持することが可能なことです。.現在、医薬製品の滅菌性を達成するために、製剤用容器は通常最終滅菌プロセスの対象となります。これは、一般には、高温多湿の状態の加圧滅菌器を用いて製剤用容器を滅菌します。しかし、この種類の滅菌では水蒸気が発生するため、このプロセスは固形医薬製品の滅菌には適していません。子の滅菌方法では、固形製品画質度を吸収して完全性が損なわれます。さらに、この種類の滅菌では、粉末への染み込みを管理できないため、製剤用容器内の医薬製品を滅菌には使用できません。
【0038】
したがって、製剤用容器の固形製品を滅菌するには、乾熱を用いた最終滅菌が必要です。しかし、他の滅菌プロセスにもいくつかの欠点があります。例えば、プロセスで使用する材料の劣化、プロセス中のモニタリングコントロールの困難さ、製品の物理化学的性質を変化させることがある滅菌時間の長さなどです。
【0039】
両方の種類のの種類で認められるこれらの欠点のすべては、今回の開発で解消できます。この種類の滅菌が不要だからです。今回の開発では、滅菌固形医薬物質の製剤用容器への充填中、無菌環境が維持されます。つまり、プロセス中、およびプロセス後の医薬製品の滅菌性が保証されます。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】容器の一般的な外観(1)今回の開発で使用、本体(2)、頭部(3).
図2】シリンダーの一般的な外観(4)今回の開発で使用、内腔(5)収納部(6)内腔の上部に位置している(5)。
図3】容器の外観(1)シリンダーに挿入(4)すると、容器の頭部(3)がシリンダー(4)の収納部に収まる(6)。この部分で容器(1)とシリンダー(4)のみが接触する。
図4】シリンダー(4)の外観と、両方の部分が計量細胞(9)の上に配置される際に、そこへ挿入された容器(1)ユニット。計量細胞は秤面(10)に突起(11)と共に取り付けられている。シリンダー(4)と容器(1)ユニットを突起まで下げると、容器(1)はその位置より少し上にあり、シリンダー(4)の収納部(6)に収まっている。全体的に突起(11)の上に吊り下げられている状態となり、重量をその上にかけている。そのため、計量細胞(9)により、容器(1)の重量が正確に測定できる。ユニットを覆うように設計された蓋(12)。これにより、外部から密閉して隔離できる。
図5】異なる段階の図式化。この開発に基づく充填プロセスを表し、図式化した例によると、以下の構成要素から成る。(1):イオン化バーを用いた容器の帯電の除去(2):イオン化ニードルを用いた容器の帯電の除去(3)製品Aの帯電の除去、および注入(4):製品A注入後の容器の帯電の除去(5)注入された製品Bの帯電の除去、および注入(6):製品B注入後の容器の帯電の除去(7):容器の打栓。
【発明を実施するための形態】
【0041】
医療機器あるいは製剤用容器内の固形医薬品の充填プロセスには、いくつかの克服すべき課題があります。まず、多くの場合、非常に少ない量の製品を非常に正確に注入する必要があります。この点に関し、さまざまな国際薬局方で指定されている無菌充填に関する法律に準拠してきました。プロセスにとって異物であり、最終製品を汚染させる恐れのあるあらゆる粒子を除去するために大きな気流(一方向あるいは乱流)の存在を必要とします。
【0042】
目標(医療機器における固形物の無菌充填)に達するためには、これらの2つの条件は必須ですが、大きな気流の存在は正確な注入の妨げとなり、影響を及ぼすため、多くの場合、達成は実現不可能です。
【0043】
測定し、用量を制御するのが重量だけである重量法による充填プロセスの場合、事実はさらに複雑です。注入中あるいは注入後の機器内の気流の事故は固形物の移動、
壁への含浸、外部への漏れ(注入の精度の妨げ)の原因となることがあります。大気はセンサー素子に影響を及ぼし、測定結果をゆがめるため、この障害は、重量測定(重量で)の充填の場合、増強されます。
【0044】
充填システムの基本機能は、事前に決定した量の固形物を一定の時間で正確に注入することであるため、この事実は重要です。したがって、重要なことは、重量ではなく注入する製品の質量です。反対に、注入量の結果は、バルク製品の物理化学的性質や固形物の粒度分布、環境条件、選択した注入体に関連した注入プロセスなど他の要因に左右されます。プロセスに関しては、容積測定注入の原則は、重量法による注入とは異なるはずです。
【0045】
容積測定注入では、量に基づいて材料はもっぱら排出されます。つまり、粉末注入の開始前に量を明確にします。このようにして、容量分析的に作用する注入器は質量を測定しないため、材料によっては毎回の使用前に注入本体を校正する必要があります。本体ごとに、指定した時間枠で注入する量を決定しなければいけません。同様のことが、材料やバッチが変更になった場合にも当てはまります。さらに、容積測定注入システムは、材料の性質(見掛け密度の振動、粘度、粒子サイズの分布、異なる固形製品の性質)の変更を自動的に補うことができません。したがって、注入重量における考え得る振動を補完する目的で、容積測定システムは過剰注入となることがしばしばあります。それは、その操作は量に左右され、注入器本体は常に均一に充填されるからです。これが、容積測定注入システムの計量がより層流システムに適合する理由ですこれは、最新の薬剤で決められた粒度分析と物理化学的性質を有する場合、まったく実現不可能になります。
【0046】
そのため、容積測定充填には注入した製品が固形の場合いくつかの欠点があります。それは、プロセスの不正確性、物質の粒度分布や特性が異なる場合の物質注入の信頼性の欠如、材料によっては使用のたびに注入器を常に校正する必要性、材料の特性が異なる場合の自動補填能力の欠落、複数の異なる製品を同一の器具あるいはプロセス(梱包済製品の見掛け密度での振動など)への充填防止などです。したがって、容積測定法は、単一の製品の内部バッチ間で見掛け密度にばらつきがある場合や、単一の製品で粒度分布にばらつきがある場合は適していません。それは、バッチ全体の内容の同一性が保証できないからです。さらに、容積測定法は、製品の特性によっては注入された物質の完全性を損なうことがあります。それは、製品が凝集することがあり、さらには、プロセスが大きく充填温度や製品の粘度に依存すると考えられる場合、注入の精度において克服できない変化が生じるからです。
【0047】
しかし、重量注入の原則では、あるいは重量に基づくと、プロセスに組み入れられた1つあるいは複数の計量細胞により、使用する材料を測定(秤量)します。したがって、測定の唯一の単位は重量です。実際の重量により注入が制御されます。つまり、重量システムにより、固形物の粒子サイズの分布などの製品の本質的な特性に加えて、起こりうる見掛け密度の逸脱が自動的に補完されます。論理的には、重量注入システムは実質的に、層流システムには適合していません。それは、機器内の気流の発生は、特に、注入中と注入後の計量細胞の周辺領域上あるいは中に、プロセスのいくつかの欠点の原因となることがあります。それは、固形物の移動による壁への含浸したり、外部の漏れ(注入の精度を妨げる)、センサー素子あるいは計量細胞の気流の影響、測定のゆがみ、機器内部のクリーニングへの影響、充填した内容物の完全性の変化とそれによる汚染、気流が小さなサイズの粒子をまき散らすことによる粒子サイズ分布の変化が生じ、バッチの同一性が損なわれることなどです。
【0048】
したがって、無菌充填を実施する際の克服すべき課題の1つは、薬剤(非経口製剤)の場合、無菌条件を要する充填プロセスを気流の発生から保護することです。そのため、注入プロセスを上記のような気流から保護する排除区域を設けることが必要です。これにより、プロセスの滅菌性と秤量による精度の高い注入の両方が保たれます。これは、一方では、計量細胞(正確な重量ベースの注入が可能)を探し出します。この小さな排除区域(充填中の医療機器周辺の限定的な環境)の周りでは、気流の影響(乱流あるいは一方向気流の)が広がり続け、いかなる生物粒子(微生物コロニーを作る、あるいは作らない)の機器あるいは容器の内部へのアクセスも防ぎあるいは実行不可能(製品製品にとって異物となる不純物あるいは粒子)にします。
【0049】
充填プロセス周りの大気の排除区域は、充填プロセス中のみ設けるべきです。そのため、残りの時間は、あらゆるシステム面で気流が発生しても構いません。そのため、可能である場合は、製剤処方の無菌特性を保ち、汚染リスクを最小限にし、微生物汚染を排除しま。
【0050】
結果として、今回の開発で解決する問題は、粉末、凍結乾燥物、顆粒、ペレット、ナノ粒子あるいは微粒子のグループから選択した固形物質を小さな寸法の製剤用容器(シリンジ、バイアル、カプセル、アンプルなどの機器、単回使用機器、吸入器、ボトル、カープルブリスター、小袋および袋など)に重量法による充填あるいは注入するプロセスで、特に、気流を制御した無菌環境で注入および調製された1つ以上の滅菌固形医薬物質の製剤用容器への重量法による充填のプロセスに関連しています。そのため、重量の測定は正確で、層流.に影響されることはありません。
【0051】
解決策は、容器内の固形製品の重量法による充填法で、次ような段階(図1~4参照)から成ります。
a) 容器(1)は通常円筒体から成り(2)、上部には収納部(3)があります。頭部の径は容器(1)本体(2)の径よりも若干大きくなっています。
b) 中が空洞のシリンダー(4)に容器(1)を挿入し、内腔(5)の径は容器(1)本体(2)の径よりも若干大きくなっています。また、内腔(5)の上部には収納部(6)があり、容器(1)の頭部(3)はシリンダー内腔(5)上部の収納部(6)の上にあります。容器(1)の頭部 (3)とシリンダー内腔(5)上部の収納部(6)が接触部分が、容器(1)とシリンダー(4)の唯一の接触部となります。そのため、容器(1)はシリンダー(4)の内腔(5)に吊り下げられた状態となり、その上面(7)はシリンダーの上面(8)の若干下の部分に位置します。
c) 突起(11)の付いた計量面に(10)にある計量細胞(9)より上の部分のシリンダー(4)および容器(1)ユニットを廃棄します。突起の径はシリンダー(4)の内腔(5)の径より小さく、容器(1)を持ち上げるだけの高さ(h)があります。シリンダー(4)の内腔(5)上部の頭部(3)は収納部(6)とは接触しなくなりますが、容器(1)の上部面(7)はシリンダー(4)の上部面(8)を超えることはありません。そのため、容器(1)は、計量細胞(9)面(10)にある突起(11)の上に完全に吊り下げられ、その重量がすべてかかります。
d) シリンダー(4)の上部面(8)の開口部(13)を蓋で(12)密閉します。それを通して、注入成分(14)あるいはノズルを用いて固形製品を加えることができます。
e) 望ましい精度で容器(1)を計量します。容器は、計量細胞(9)の面(10)にある突起(11)の上に吊り下げられ、すべての重量がかかっています。
f) 蓋(12)の開口部(13)から容器(1)に固形製品を充填します。計量細胞(9)を用いて、加えた製品の量を重量測定法でコントロールします。
シリンダー(4)を密閉する可能性がある要素として、一般的には、段階d)の蓋について理解する必要があります。例えば、蓋は、下壁状であることも柔軟性のあるホッパー状(注入成分あるいはノズルを包含)であることもあります。このホッパーをシリンダーに適合させると、気流の流入ができなくなります。
【0052】
段階e)とf)は可能であれば同じ注入工程で実施し、その目的は、最大の計量の正確さを得ることです。ただし、異なる注入工程での実施を防ぐものはありません。
【0053】
説明した方法の段階ととおして、容器(1)の垂直性あるいは吊り下げが達成され、容器(1)は垂直に吊り下げられ、シリンダー(4)の壁に接触することはありません。そのため、計量機器は追加した固形製品の事前に設定した重量を正確に保証できます。さらに、その垂直性により、成分(14)の注入あるいはノズルが容器(1)に入り、注入を容易にします。これらの全ては、外部の振動要素による振動のある環境下でも可能で、今回の開発の具現化により製品を容器(1)に注入しやすくなります。
【0054】
望ましい具現化法としては、プロセスをアイソレーターで行います。他の具現化方法としては、プロセスを、滅菌開放室の分類に基づくグレードAとEN ISO 14644-1で認められている機器に準拠して行います。
【0055】
アイソレーターを使用する場合、また、望ましい具現化法に基づく場合、今回の開発で提唱されている注入操作の前に、懸濁化したあるいは蒸発させた過酸化水素あるいは過酸化水素と過酢酸の混合物で滅菌する必要があります。
このプロセスにより以下の長所が得られます。
1) 前述した特性(容器を内部に吊り下げる、計量前にしっかりと密閉する)を持つシリンダーにより、容器がしっかりと密閉され測定室内の薄層状気流が流入せず、充填済と空の容器の両方の計量の際に層流の存在に影響を受けることがありません。
2) このように、容器に充填する製品とそのアクセスチャンネルは、密閉されて外部から隔離できます。これにより、測定室の層流は容器に充填する固形製品に影響することはありません。
3) 空の容器は、まったく同じ条件で正確に軽量され、固形製品の充填が開始されるまで通常はほんの数秒の差しかありません。そのため、異なるタイミングおよび/またはプロセスの環境で計量する際に、エラーを防ぐことができます。
4) 容器により、見掛け密度、本来の粘度、固形物の粒子サイズの特異的分布などの特性を有する固形物を、層流条件下で非常に正確にかつ無菌的に注入することが可能です。
技術的に熟練した人員にとっては、このプロセスが開発(添付のクレームに基づき開発の範囲に含まれるすべて)の異なる具現化法で実施されることは明確だと思われます。例えば、特性を限定しない場合、今回の開発には、以下のような特別な具現化法があり、すべてはそれぞれ独立したものですが、制限なく組み合わせることもできます。
【0056】
ある具現化法では、容器とシリンダー間に、容器の「スリーブ」を介して1つまたは複数の中間部品を設けることができます。これは、そのスリーブの存在が当該プロセスを変化させ、さらなる長所(容器とシリンダー腔のより良いバランス)が得られる場合のみの可能です。実例として、容器とシリンダー間の「スリーブ」の高さは0.5 mm~10 mmで、望ましい高さは0.5~5 mmです。この「スリーブ」により容器は垂直性と吊り下げを保つことが可能で、適した形を保つことができるため、ディスペンサーニードル(ノズル)が容器に入り、注入を容易にします。加えて、容器が垂直に吊り上げ(振動バッファー部分の壁に接触することなく)られるため、計量機器により事前に設定した容量が保証されます。
【0057】
別の具現化法では、実践的な理由からシリンダーを備え付けています。ある程度おの厚みを持つ外部頭部など追加で外面を備えることで、シリンダーが落ちたりずれたりすることなく保たれ、充填工程の異なるポイント内で一連の上昇したレールを用いて、頭部をある場所から違う場所へ移動することができます。
【0058】
さらに、他の具現化法では、計量面の突起は通常円筒形ですが、四角や六角形など他の形でも構いません。その上部面は平らあるいは円錐状、円すい台状などの他の幾何学的な形です。プロジェクトが継続し、随意に、1つあるいは複数のスリーブで覆われた容器を上昇させる機能を果たし続ける限り、これらはすべて変動します。頭部は、製品のあるなしにかかわらず、シリンダーの上部面の収納部や容器の重量から独立し、秤の突起の上に収まり、実際の秤は正確な計量を保証します。容器の上部面がシリンダーの上部面にとどまるように、突起の高さが高すぎないことも重要です。高すぎると、蓋を用いた気密シーリングの妨げとなります。したがって、秤面の突起.の高さを正確にコントロールすることが重要です。
【0059】
さらに別の具現化法では、製品の充填段階を必要に応じて繰り返します。例えば、複数の異なる製品を容器に充填する場合、異なる製品は、異なる充填段階で容器に充填されます。代わりに異なる固形製品を異なる段階で維持する理由がない場合、事前に異なる製品を混合下し、単一の充填段階でその混合物を充填し、単一の重量測定で計量することができます。
【0060】
さらにほかの具現化法では、充填段階には、容器のイオン化段階が事前に、その後におよび/または同時に伴います。これは、例えば、バー、ニードル、カーテン、フィルター、リングイオナイザー、等を介してその帯電を中和するためです。このプロセスでは、固形製品 が容器中で粉末となるため、それが実施可能です。特に、プラスチック材料の場合、粉末粒子は容器の内壁あるいは外壁に付着せず、底へと落ちます。
【0061】
さらに別の実施形態では、1つまたは複数の製品の充填は、空気流を同時に用いることも可能です。この空気流は、2 または圧縮空気が望ましく、両方とも無菌なので、投与に役立ち、プロセスが必要とする無菌条件を提供します。さらに、空気流が N2 であるとき、それは容器内に存在する酸素を置換し、製品の酸化を防止し、その結果、それに続く劣化を防止します。
【0062】
さらなる実施形態では、容器の充填は、ホッパーおよび高精度ノズルを備えた重量損失による重量測定式投与装置、一条式投与装置、二条式投与装置、バイブレーションチャネルまたはバイブレーションホッパー付きの投与装置、コンベアベルト付き投与装置、圧縮システム付き投与装置などを用いたエンドレススクリューによる投与プロセスによって行うことができます。簡単にスライドできない製品の場合は、固形物質の一定供給を保証するため上部ホッパーにスターラーを追加する必要があります。
【0063】
さらに別の追加の実施形態では、投与装置にはミキサーを備えることも可能です。
【0064】
別の実施形態では、計量セルは多数であることも可能で、それにより多数の容器を満たすことができるため、本発明のシリンダは、容器本体の直径よりもわずかに大きい直径を有する多数の内部キャビティを備えることが可能です。そして、容器本体には上部領域に陥凹部を備え、容器の隆起部がシリンダのキャビティの上部領域の陥凹部内に静止するようになっています。また、各コンテナの隆起部とシリンダのキャビティの上部領域の各凹部の間の接触領域が容器とシリンダとの唯一の接触領域であるため、各容器は、各容器の上面がシリンダ上面よりわずかに下に位置するように、各キャビティ内で懸垂状態になります。
【0065】
別の実施形態では、計量セルは高精度でなければならず、好ましくは水、環境粉塵、蒸気、消毒剤などに対して不透過性でなければなりません。
【0066】
医薬容器は、広い部分に対して垂直に充填するのが望ましですが、狭い部分の直径が容器内に充填針またはノズルのアクセスを許す場合は、狭い部分に対して垂直に充填することもできます。
【0067】
説明だけの目的を持つプロセスの全体図は、添付の図5に示すようなものとなります。
【0068】
容器は、シリンジ、バイアル、カプセル、アンプル、単回使用機器、吸入器、ボトル、カープルブリスター、小袋、固形物質を含むデザインの袋などの形態を採用できますが、好ましくは、シリンジまたはカプセルが前述の上部隆起部を持つので望ましい。この場合、上記の隆起部は、シリンジまたはカープルが通常その上端部に、すなわちカープルのプランジャまたはプラグがそれぞれ導入される端部に有する隆起部です。ただし、明記されているように、本発明は反対側の端部、すなわち針が通常連結されるより小さな直径を有する端部によって容器を満たすことができる可能性も含む。前述のいずれの場合においても、容器の材料は、異なる組成のプラスチックで形成できます。例えば、ポリオレフィンおよび環状ポリオレフィン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリル、ポリアミドなど、ポリエステル(主鎖にエステル官能基を含む:ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリカーボネート)、アクリル系ポリマー(ポリ(メチルメタクリレート)、ポリアクリロニトリル)、熱可塑性樹脂(ポリアセタールおよびポリハロエチレン)、ポリウレタン、ホルムアルデヒド樹脂(フェノール樹脂、尿素樹脂)、フェノプラスト、 アミノプラスト、チオプラスト、デュロプラスチック樹脂(不飽和ポリエステル、ポリウレタン)、シリコーン、ポリビニリデン、セルロース誘導体、ポリカーボネート、およびそれらのすべての混合物など。あるいは、レセプタクルは金属でも構いません。例えば、薬品の投与に適した鋼またはチタン製、また、ガラス製、クリスタル製なども可能です。
【0069】
次に、シリンダは、鋼またはチタンのような金属材料からなることが望ましいですが、それが異なる材料、例えば、いろいろなプラスチック、ガラス、石、樹脂、クリスタルなどから作ることができる可能性も考慮されています。
【0070】
容器とシリンダに使用される材料はともに、気密性、不活性、不透過性であることが必要で、製品を吸収および/または吸着してはなりません。
【0071】
本発明の容器は、ノズルがねじ付き円錐形(雄型または雌型)または単純な円錐形に仕上げられたシリンジおよびカープルの両方が望ましい。
【0072】
本明細書に記載の発明は、オプションとしてあらゆる性質の粉末状固体化合物に適用可能ですが、以下の粒径分布を有する固体に適用するのが最適です。
- 粒子の全体積の10%以下が20ミクロン未満で、
- 230超、140未満ではない粒子は総量の10%以下。
- 60~160ミクロンの範囲での値はd0.5。
【0073】
ここで、d 0.5は、母集団を正確に2等分する2つの半分に分割する粒子サイズの平均値を示し、分布の50%がこの値より上、50%下になる。一般的に、本明細書を通して、「d0.x」と呼ばれる値は、指定された値より小さい粒子サイズを有する薬物の質量分率を表し、その範囲は、0.0から1.0です。
【0074】
本発明の好ましい実施形態では、粒径分布は以下の通りです。
- 粒子の全体積の10%以下が20ミクロン未満で、
- 230超、140未満ではない粒子は総量の10%以下。
- 60~130ミクロンの範囲での値はd0.5。
【0075】
他の好ましい実施形態によれば、
- 粒子の全体積の10%以下が20ミクロン未満で、
- 粒子の全体積の10%以下が325より大きく、245より下にならない、
- 値d0.5は、100から155ミクロンまでの範囲です。
【0076】
この種の化合物の例は、リスペリドン、パリペリドン、フェンタニル、オランザピン、レトロゾール、アリピプラゾール、アナストロゾール、アセナピン、ブレクスピプラゾール、カリプラジン、クロザピン、イロペリドン、ルラシドン、クエチアピン、ジプラシドンであり、また、任意の誘導体、代謝産物または塩(パモエートまたはパルミテートなど)の単体あるいは組み合わせを含みます。
【0077】
ここに記載された発明は、オプションとしてあらゆる性質の粉末状固形化合物に適用可能ですが、一般的に、40:60から70:30まで、好ましくは45:55から75:25の乳酸/グリコールモノマー比を有する乳酸又はグリコール酸コポリマー(PLGA)の固形物に適用可能です。また、好ましくは、ポリジオキサノン、コポリマーおよびホモポリマーの形態のポリトリメチレンカーボネート、ポリ(e-カプロラクトン)コポリマー、ポリ無水物およびポリオルトエステルなどの他の物質に加えて、ポリ乳酸ポリマー(PLA)を使用し、それら物質は、生物医学的な使用に供する物質として認められています。
【0078】
本発明における好ましいポリマーは、25℃で濃度0.1%クロロホルム中で測定された、好ましくは0.16~0.60dl/g、より好ましくは0.25~0.55dl/gの範囲の固有粘度を有するコポリマーから選択されます。本発明の組成物中のポリマー成分の濃度は、好ましくは25~50%(全ポリマー溶液成分に対するポリマー重量の百分率として表す)の範囲、さらに好ましくは30~40%の範囲に含まれます。
【0079】
本発明の目的のために、本明細書全体を通して、ポリマーの生来のすなわち固有の粘度 (ηinh) という項は、相対粘度の自然対数(ηr)で表され、それはポリマー質量濃度cに対する比として定義されます、すなわち:
ηinh= (In ηr)/c
相対粘度 (ηr) が、溶液粘度 ηの溶媒粘度ηsの比であると考えると、すなわち:
ηr= η/ ηs
さらに、本明細書を通しての固有粘度の値は、濃度0.1%のクロロホルム溶液中、25℃で測定されることは理解されなければなりません。固有粘度という用語は、一般的にポリマーの分子量の間接的な指標と考えられています。このように、ある溶媒中の特定の濃度で、モノマーと末端基が同じ組成で測定されたポリマーの固有粘度の減少は、ポリマーの分子量の減少の指標となります(IUPAC。ポリマー用語の基本的な定義1974年。Pure Appl.Chem.40、477-491 (1974年)に記載。
【0080】
ポリマーは合成、半合成、天然起源のものいずれの可能性もあります。それらにはまた、セルロース誘導体(例えば、セルロースアセテート、エチルセルロース、セルロースアセテートフタレート、セルロースエーテル、例、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、アクリレート誘導体(例えば、Eudragit、ポリ(メチルメタクリレート)、シアノアクリレート)および生体適合性および生分解性ポリマー、例、ポリ無水物、ポリエステル、ポリオルトエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリホスファゼン、ポリアセタール、ポリオキシエチレン - ポリオキシプロピレンなどが含まれます。ポリ乳酸、ポリグリコリド、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシブチレートまたはポリヒドロキシバレレートのようなポリエステルが重要です。さらに、アルギン酸ナトリウム、キトサンまたはキチンなどの多糖類またはタンパク質も使用できます。参考文献には、多数の支持材料が記載されており、それら全てが本発明による調合物として潜在的に考慮されるものです。
【0081】
(実施例)
以下に、本発明プロセスによる容器充填のいくつかの例を示しますが、これらは単に例示目的と考えるべきであり、本発明の範囲を限定するものではありません。上記の例を説明するために、シリンジがメスまたはオスいずれの接続システムを有する医薬容器として、またPLGAおよびPLA賦形剤、ならびにリスペリドンおよびレトロゾールを活性化合物としてそれぞれ無差別に使用することを言及します。
【0082】
実施例1: シリンジにレトロゾールを50mgの用量で充填。
【0083】
第一の例において、充填される化合物は、活性化合物レトロゾールで、充填用量50mgのプレフィルドシリンジとしてです。充填プロセスは、TesltarAzbil(登録商標)剛性壁無細菌アイソレーター内で行われることを強調します。充填プロセスを開始する前に、全ての装置は清潔で無菌でなければならず、これを行うためには、まず、霧化もしくは気化過酸化水素または過酸化水素と過酢酸との混合物を用いて無菌化を行います。
【0084】
充填を開始するために、私たちは滅菌したシリンジとキャップを取ることから始め、当該キャップをキャッピングステーションにいるオペレーターに渡します。
【0085】
そもそも、イオン化および静電気の除去を達成するために、各シリンジはイオン化された窒素流の下に用意されますが、圧縮空気流を使用することも可能です。それから、シリンジを充填工程に移動させ、シリンダーに導入します(4)。シリンジは計量セルの上に配置され、空のシリンジの重量を測定し、コントロールシステムの重量トラッカーにデータを記録します。この後、50mg±30%のレトロゾールをノズルを用いてシリンジに充填し始めます。シリンジは、充填中に計量されるので、所望の重量、この場合には50mg±30%のレトロゾール、に達すると、充填を停止するようにシステム制御できます。
【0086】
続いて、賦形剤などの第二物質を充填したい場合は、シリンダー(4)とレトロゾールを充填したシリンジを第二充填工程に移動させ、上記と同じステップを行います。
【0087】
レトロゾールを充填した後、シリンダー(4)をシリンジと一緒にキャッピングまたはシーリング工程へ、フルシリンジのイオン化段階を経た後で送ります。一度シリンジ充填プロセスが終了し、それを密封したら、他の充填、密封したシリンジと共にトレイ上に配置できます。
【0088】
この実施例は、50、75、100、200、300、400、500mgのレトロゾール用量について実施され、適切かつ正確に投与されました。
【0089】
例2: シリンジにリスペリドンを100mgの用量で充填する。
【0090】
この例では、充填される化合物は活性化合物リスペリドンであり、充填量は100mgのプレフィルドシリンジとしてです。充填プロセスは、TesltarAzbil(登録商標)剛性壁無細菌アイソレーター内で行われることを強調します。充填プロセスを開始する前に、全ての装置は清潔で無菌でなければならず、これを行うためには、まず、霧化もしくは気化過酸化水素または過酸化水素と過酢酸との混合物を用いて無菌化を行います。
【0091】
充填を開始するために、私たちは滅菌したシリンジとキャップを取ることから始め、当該キャップをキャッピングステーションにいるオペレーターに渡します。
【0092】
そもそも、イオン化および静電気の除去を達成するために、各シリンジはイオン化された窒素流の下に用意されますが、圧縮空気流を使用することも可能です。それから、シリンジを充填工程に移動させ、シリンダーに導入します(4)。シリンジは計量セルの上に配置され、空のシリンジの重量を測定し、コントロールシステムの重量トラッカーにデータを記録します。この後、100 mg±30%のリスペリドンをノズルを用いてシリンジに充填し始めます。シリンジは、充填中に計量されるので、所望の重量、この場合には100 mg±30%のリスペリドン、に達すると、充填を停止するようにシステム制御できます。
【0093】
続いて、賦形剤などの第二物質を充填したい場合は、シリンダー(4)とリスペリドンを充填したシリンジを第二充填工程に移動させ、上記と同じステップを行います。
【0094】
リスペリドンを充填した後、シリンダー(4)をシリンジと一緒にキャッピングまたはシーリング工程へ、フルシリンジのイオン化段階を経た後で送ります。一度シリンジ充填プロセスが終了し、それを密封したら、他の充填、密封したシリンジと共にトレイ上に配置できます。
【0095】
この実施例は、50、75、100、200、300、400、500mgのリスペリドン用量について実施され、適切かつ正確に投与されました。
【0096】
例3: シリンジにポリ乳酸(PLA)を90 mgの用量で充填する。
【0097】
第一の例において、充填される化合物は、医薬製剤用ポリ乳酸(PLA)で、充填用量90 mgのプレフィルドシリンジとしてです。充填プロセスは、TesltarAzbil(登録商標)剛性壁無細菌アイソレーター内で行われることを強調します。充填プロセスを開始する前に、全ての装置は清潔で無菌でなければならず、これを行うためには、まず、霧化もしくは気化過酸化水素または過酸化水素と過酢酸との混合物を用いて無菌化を行います。
【0098】
充填を開始するために、私たちは滅菌したシリンジとキャップを取ることから始め、当該キャップをキャッピングステーションにいるオペレーターに渡します。
【0099】
そもそも、イオン化および静電気の除去を達成するために、各シリンジはイオン化された窒素流の下に用意されますが、圧縮空気流を使用することも可能です。それから、シリンジを充填工程に移動させ、シリンダーに導入します(4)。シリンジは計量セルの上に配置され、空のシリンジの重量を測定し、コントロールシステムの重量トラッカーにデータを記録します。この後、90 mg±30%のPLAをノズルを用いてシリンジに充填し始めます。シリンジは、充填中に計量されるので、所望の重量、この場合には90 mg±30%のPLA、に達すると、充填を停止するようにシステム制御できます。
【0100】
PLAを充填した後、シリンダー(4)をシリンジと一緒にキャッピングまたはシーリング工程へ、フルシリンジのイオン化段階を経た後で送ります。一度シリンジ充填プロセスが終了し、それを密封したら、他の充填、密封したシリンジと共にトレイ上に配置できます。
【0101】
この実施例は、90と1000mgの間のPLA用量について実施され、適切かつ正確に投与されました。
【0102】
例4: 実施例2(リスペリドンの充填)後に100mgの用量でのシリンジにPLGAを充填する。
【0103】
例2の段階を実行した後、シリンジはシリンダー(4)内の2番目の充填ステーションに送られます。シリンジは計量セルの上に配置され、空のシリンジの重量を測定し、コントロールシステムの重量トラッカーにデータを記録します。この後、100 mg±30%のPLGA (Resomer 503(登録商標))をノズルを用いてシリンジに充填し始めます。シリンジは、充填中に計量されるので、所望の重量、この場合には100 mg±30%のResomer 503(登録商標)、に達すると、充填を停止するようにシステム制御できます。
【0104】
続いて、賦形剤または他の活性化合物などの第三の物質を充填したい場合は、シリンダー(4)および以前に充填したシリンジを次の充填工程に必要に応じて送らなければなりません。
【0105】
PLGAを充填した後、シリンダー(4)をシリンジと一緒にキャッピングまたはシーリング工程へ、フルシリンジのイオン化段階を経た後で送ります。一度シリンジ充填プロセスが終了し、それを密封したら、他の充填、密封したシリンジと共にトレイ上に配置できます。
【0106】
この実施例は、100から500mg間のPLGA用量について実施され、適切かつ正確に投与されました。
図1
図2
図3
図4
図5