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特許7118094塗装剤で構成部品を塗装するための適用装置
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  • 特許-塗装剤で構成部品を塗装するための適用装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-04
(45)【発行日】2022-08-15
(54)【発明の名称】塗装剤で構成部品を塗装するための適用装置
(51)【国際特許分類】
   B05C 5/00 20060101AFI20220805BHJP
   B05B 1/32 20060101ALI20220805BHJP
   B05B 12/00 20180101ALI20220805BHJP
   B05C 11/10 20060101ALI20220805BHJP
【FI】
B05C5/00 101
B05B1/32
B05B12/00 A
B05C11/10
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019562306
(86)(22)【出願日】2018-04-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-07-02
(86)【国際出願番号】 EP2018060824
(87)【国際公開番号】W WO2018206309
(87)【国際公開日】2018-11-15
【審査請求日】2021-02-22
(31)【優先権主張番号】102017110316.3
(32)【優先日】2017-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】505056845
【氏名又は名称】アーベーベー・シュバイツ・アーゲー
【氏名又は名称原語表記】ABB Schweiz AG
【住所又は居所原語表記】Bruggerstrasse 66, 5400 Baden, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】グンター・ベルナー
【審査官】河内 浩志
(56)【参考文献】
【文献】特表2000-516526(JP,A)
【文献】特開2007-216108(JP,A)
【文献】特開平01-139173(JP,A)
【文献】特開2015-204330(JP,A)
【文献】特開平07-228036(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 1/00- 3/18
12/00-12/14
B05C 5/00- 5/04
7/00-21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗装剤で構成部品を塗装するための適用装置(1)であって、いくつかのノズル(3)を伴う印刷ヘッド(2)を備え、前記ノズル(3)から前記塗装剤を排出させることができ、ノズル弁(4)が各々の個別のノズル(3)に取り付けられ、前記ノズル弁(4)は、それぞれの前記ノズル(3)から前記塗装剤を排出するために弁開時間にわたって開けることができ、各々のノズル弁(4)には、各々の場合でノズル弁供給配管(5)が割り当てられ、前記ノズル弁供給配管(5)は、その出口開口(6)において、前記塗装剤をそれぞれの前記ノズル弁(4)へと供給し、
各々のノズル弁供給配管(5)は、規定量の塗装剤、または、規定の体積の塗装剤が、前記ノズル弁供給配管(5)内で閉止された手法で収容され得るような手法で閉止または遮断され得る入口開口(7)を有しており、
前記ノズル弁供給配管(5)は、弾性的におよび/または可逆的に変形可能に構成されることを特徴とする適用装置(1)。
【請求項2】
前記ノズル弁供給配管(5)内の前記塗装剤は、加圧されていないかまたは周囲圧力の下にある前記ノズル弁供給配管(5)の内部の体積を膨張体積によって増加させる圧力の下にあり、前記塗装剤は、前記ノズル弁(4)を開けることで、圧力の低下を伴ってノズル(3)を通じて排出させることができ、前記塗装剤の排出体積は前記膨張体積に対応することを特徴とする、請求項1に記載の適用装置(1)。
【請求項3】
前記ノズル弁(4)は、前記ノズル弁供給配管(5)の内部における圧力を周囲圧力まで低下させ、塗装剤の前記膨張体積を排出させるために必要とされる前記塗装剤の排出時間より長い弁開時間の間に開けられ得ることを特徴とする、請求項2に記載の適用装置(1)。
【請求項4】
前記入口開口(7)には、開状態において、前記ノズル弁供給配管(5)への塗装剤の進入を可能にし、閉状態において、前記ノズル弁供給配管(5)への塗装剤の進入を妨げる充填弁(8)が割り当てられることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の適用装置(1)。
【請求項5】
前記ノズル弁供給配管(5)はホースまたは管として形成されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の適用装置(1)。
【請求項6】
前記ノズル弁供給配管(5)は、プラスチックから成るホースまたは管として形成されることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の適用装置(1)。
【請求項7】
前記印刷ヘッド(2)は、すべての充填弁(8)に合同で流体連通する手法で連結されるかまたは連結され得る主塗装剤供給配管(9)に連結されることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の適用装置(1)。
【請求項8】
前記主塗装剤供給配管(9)は圧力制御ユニット(10)に連結されることを特徴とする、請求項7に記載の適用装置(1)。
【請求項9】
前記圧力制御ユニット(10)は空気圧力制御ユニット(11)に連結されることを特徴とする、請求項8に記載の適用装置(1)。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の適用装置(1)と、前記適用装置(1)が収容されるロボットとを備える機構。
【請求項11】
前記ロボットは、いくつかの軸の周りで枢動可能および/もしくは移動可能であるロボットアームを有すること、ならびに/または、前記適用装置(1)は、前記ロボットの前記ロボットアームのツールセンターポイントにおいて収容されることを特徴とする、請求項10に記載の機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルによる、塗装剤で構成部品を塗装するための適用装置に関する。このような適用装置は、塗装剤が排出され得るいくつかのノズルを伴う印刷ヘッドを備え、ノズル弁が各々の個別のノズルに取り付けられ、そのノズル弁は、それぞれのノズルから塗装剤を排出するために弁開時間にわたって開けることができ、各々のノズル弁には、各々の場合で、塗装剤をそれぞれのノズル弁へと出口開口において供給するノズル弁供給配管が割り当てられる。
【背景技術】
【0002】
この背景に対して、特許文献1は、塗装剤の排出のために並列に配置されたいくつかのノズルを有する適用装置を開示している。各々のノズルにはノズル弁が割り当てられている。それぞれのノズル弁は、滴またはある体積の塗装剤がそれぞれのノズルを出て行くと考えられる場合に開けられる。ノズル弁は、定められた弁開時間の間に開けられる。弁開時間の後、ノズル弁は再び閉じられる。
【0003】
塗装剤は、主塗装剤供給配管を介して適用装置へと、具体的には歯車ポンプであるポンプで搬送され、適用装置においてノズルへと均一に分配され得る。この場合、圧力が適用装置内で増大させられ、この圧力は、ノズル弁が閉じられる場合にノズル弁に作用する。圧力は、ノズル弁が開けられる場合、ある体積の塗装剤の放出によって、ノズルにおいて低下させられ得る。
【0004】
均一の放出圧力がすべてのノズルに作用するとしても、異なるノズルにおける塗装剤の異なる漏れの体積、延いては、異なる滴の大きさが、異なるノズルにおける同様に均一な弁開時間の間に起こる可能性がある。
【0005】
複数のノズルが並列に配置されている機構の場合、ノズル直径、ノズル長さの小さな違いでも、または、ノズル形状もしくはノズル特性のさらなる違いが、異なるノズルから出る体積を不均一にする可能性があることは、取りも直さず問題である。
【0006】
これは、一部の塗装剤が圧力に依存する粘性を呈する、つまり揺変性であるという事実に関係し得る。これに関連する問題は、ノズルにおける塗装剤の排出体積の計量が容易に調節できないことである。弁開時間の間、例えば、ノズル形状の違いの結果として、予期しない流体の動的な影響が起こり、予測しているより多くまたは少ない塗装剤が出る可能性がある。
【0007】
しかしながら、塗装剤が実質的に圧力に依存しない粘性を呈する場合であっても、ノズル形状およびノズル特性における違いは、異なるノズルにおいて、塗装剤の体積の不均一または予期できない出る体積をもたらす可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】独国特許出願公開第102017101937.5号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そのため、本発明が基づいている目的は、各々の場合で、塗装剤の可及的に再現可能で予期可能な放出量が、並列に配置された適用装置のいくつかのノズルにおける塗装過程の間に行われるように、前述の種類の適用装置を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は請求項1の特徴で達成される。
【0011】
本発明によれば、各々のノズル弁供給配管は、定められた手法で計量される量の塗装剤、または、定められた手法で計量される体積の塗装剤が、ノズル弁供給配管内で閉止された手法で収容され得るような手法で閉止または遮断され得る入口開口を有する。
【0012】
本発明によれば、各々のノズルが、排出される塗装剤およびノズルの特性の面で個別に検討されなければならないことが、最初に認識されている。これが、定められた手法で計量された量の塗装剤がそれぞれのノズル弁供給配管内で隔離された手法で収容され、ノズル弁供給配管が貯留部として作用する場合に、特に簡単な手法で実行され得ることが、ここでは特定されている。その中で支配的である圧力条件の結果として、このような貯留部は、出口開口が流体連通する手法でノズルに連結される限り、明確に定められた体積の塗装剤を排出できる。本発明によれば、ノズル弁と、関連するノズル弁供給配管とを備える各々個別のシステム内の圧力条件は、それぞれのノズルからの再現可能で予期可能な塗装剤の排出を生成するために使用できる。本発明によれば、ノズルからの再現可能で予期可能な体積の塗装剤が、実際、実質的にその技術的な特性の関数として排出できる。したがって、安定した製作方法が可能とされる。
【0013】
ノズル弁供給配管内の塗装剤は、好ましくは、加圧されていないかまたは周囲圧力もしくは大気圧の下にあるノズル弁供給配管の内部の体積を膨張体積によって増加させる圧力の下にあり、塗装剤は、ノズル弁を開けることで、圧力の低下を伴ってノズルを通じて排出され、塗装剤の排出体積は膨張体積に対応する。この結果として、塗装剤の滴または液滴は、同じ体積、つまり、膨張体積を常に有することが保証される。
【0014】
本発明の1つの有利な構成によれば、ノズル弁は、ノズル弁供給配管の内部における圧力を周囲圧力または大気圧まで低下させ、塗装剤の膨張体積を排出させるために必要とされる塗装剤の排出時間より長い弁開時間の間に開けられる。全体の膨張体積が完全に排出されることが、弁開時間の適切な選択によって保証される。
【0015】
本発明の1つの有利な構成によれば、入口開口には、開状態において、ノズル弁供給配管への塗装剤の進入を可能にし、閉状態において、ノズル弁供給配管への塗装剤の進入を妨げる充填弁が割り当てられる。この結果として、ノズル弁供給配管またはノズル弁供給配管の関連するノズル弁に適した均一な圧力または圧力が、各々の充填弁を個別に作動させることができる弁制御ユニットを用いて、各々のノズル弁供給配管において増大させられ得る。したがって、均一な圧力または異なる圧力のいずれかが、塗装剤排出のためのそれぞれのノズル弁が開けられる前に、ノズル弁供給配管において広がることができる。ノズル弁または各々の個別のノズル弁を開けることは、同じ弁制御ユニットまたはさらなる弁制御ユニットで実行され得る。
【0016】
本発明のさらなる有利な構成によれば、ノズル弁供給配管は、弾性的に変形可能であるように、可逆的に変形可能であるように、および/または、可逆的に変化可能な体積を有するように構成される。この結果として、ノズル弁供給配管は、その内径および/または外径が膨張させられ、膨張体積を追加の体積として有することができる。ノズル弁供給配管が長くさせられることも考えられる。それぞれのノズル弁供給配管の材料特性は、その内部における圧力条件を決定する。それぞれのノズル弁を開けるとき、ノズル弁供給配管の内部における圧力または過度の圧力は、その形の特性の可逆性の結果として、再現可能な手法で低下させられ得る。したがって、それぞれのノズルがその直径または他の特性の面で他のノズルと異なる場合であっても、塗装剤の実質的に同じ体積、つまり、膨張体積または追加の体積が、それぞれのノズルから常に放出されることが保証される。
【0017】
本発明のさらなる有利な構成によれば、ノズル弁供給配管はホースまたは管として形成される。ホースまたは管は加工するのが容易である。したがって、円筒形のホースまたは管の形における圧力によって引き起こされる変化、延いては膨張体積は、計算の面で比較的容易にさらに決定することができる。
【0018】
本発明のさらなる有利な構成によれば、ノズル弁供給配管は、プラスチックから成るホースまたは管として形成される。プラスチックは、小さい度合いのヒステリシス挙動を呈し、圧力の低下の後、それらの初期の形を比較的正確に取る。ノズル弁供給配管は、好ましくは、弾性プラスチックから製造される。
【0019】
しかしながら、この背景に反して、圧力の低下の後に初期の形への適切な復元特性を呈する金属の場合、その金属からノズル弁供給配管を製造することも考えられる。
【0020】
本発明のさらなる有利な構成によれば、印刷ヘッドは、すべての充填弁に合同で流体連通する手法で連結されるかまたは連結され得る主塗装剤供給配管に連結される。結果として、塗装剤は容器から充填弁へと中心的に搬送され得るが、弁制御ユニットは、どの充填弁がノズル弁供給配管内で適切な圧力を増大させるために、延いては計量のために開けられるかを制御する。
【0021】
すべての充填弁は好ましくは同時に開けられ、同じ圧力がすべてのノズル弁供給配管において増大させられる。すべてのノズル弁供給配管が同一に形成される場合、すべてのノズル弁供給配管の受入容量は、同じ膨張体積または追加の体積によって、各々の場合で増加させられる。したがって、並列に配置されたすべてのノズルは、塗装剤の等しい大きさの滴を排出する。
【0022】
本発明のさらなる有利な構成によれば、主塗装剤供給配管は圧力制御ユニットに連結される。結果として、弁制御ユニットがすべての充填弁を同時に開ける場合に、各々のノズル弁供給配管が同じ圧力で作用させられることが、容易に調節できる。
【0023】
本発明のさらなる有利な構成によれば、圧力制御ユニットは空気圧力制御ユニットに連結される。この結果として、塗装剤の信頼できる排出が実施されるような適切な手法で、ノズル弁供給配管内に、周囲圧力または大気圧、つまり空気圧を超える圧力が広がることが保証される。
【0024】
本発明のさらなる有利な構成によれば、機構が、本明細書に記載されている種類の適用装置が収容されるロボットを備え得る。ロボット、具体的には産業用ロボットは、塗装ライン、具体的には自動車産業において、使用され得る。
【0025】
本発明のさらなる有利な構成によれば、ロボットは、いくつかの軸の周りで枢動可能および/もしくは移動可能であるロボットアームを有する。代替または追加で、適用装置は、ロボットのロボットアームのツールセンターポイント(TCP)において収容される。結果として、適用装置は、すべての空間方向に容易に移動可能であり、複数の軸の周りで容易に枢動可能である。
【0026】
本明細書に記載されている適用装置は、ノズルからの塗装剤の圧力制御された排出が、圧力が周囲圧力まで低下され、周囲圧力と同一になるまで実施される方法を実行するために使用されてもよい。適用装置は、デジタル塗装またはオーバースプレーのために好ましくは使用される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】各々のノズルにノズル弁と充填弁とが割り当てられ、ホースの形態でのノズル弁供給配管が各々のノズル弁と充填弁との間に配置されている、互いと並列に配置されている32個のノズルを伴う印刷ヘッドを伴う適用装置の概略図である。
図2】上から下へと、充填弁およびノズル弁の動作の時間に依存したモードの概略的な描写および比較と、ホースにおける圧力および塗装剤供給の固有の経時的なプロフィールの描写と、ノズルを通る塗装剤の流れまたは材料の流れの描写とが示されている図である。
図3】左手側が、減圧されて緩んだ状態において内部が第1の半径(内径)を有するホースの断面図であり、右手側が、加圧されて引っ張られた状態において内部が第2の半径(拡大した内径)を有するホースの断面図である。
図4】本明細書に記載されているホースが製造され得る様々な材料の弾性係数およびポアソン比が列記された表である。
図5】異なる半径を伴う様々なホースのホース形状因子が内側および外側について計算および測定されている、プラスチックの弾性係数およびポアソン比が列記された表である。
図6】異なる半径を伴う様々なホースのホース形状因子が内側および外側について計算されており、塗装剤についてのノズル抵抗および排出時間が大まかな推定に基づいて指示されており、塗装剤の一滴の圧力および体積が指示されている、プラスチックの弾性係数およびポアソン比が列記された表である。
図7】異なる半径を伴う様々なホースのホース形状因子が内側および外側について計算されており、塗装剤についてのノズル抵抗および排出時間が大まかな推定に基づいて指示されており、塗装剤の一滴の圧力および体積が指示されている、プラスチックの弾性係数およびポアソン比が列記された表である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1は、塗装剤で構成部品を塗装するための適用装置1を示している。
【0029】
適用装置1は、並列に配置されたいくつかのノズル3を伴う印刷ヘッド2を備え、ノズル3から塗装剤を排出させることができ、ノズル弁4が各々の個別のノズル3に取り付けられ、ノズル弁は、それぞれのノズル3から塗装剤を排出するために弁開時間にわたって開けることができる。
【0030】
各々のノズル弁4には、各々の場合で、出口開口6において、塗装剤をそれぞれのノズル弁4へと供給するノズル弁供給配管5が割り当てられる。
【0031】
各々のノズル弁供給配管5は、定められた手法で計量される量の塗装剤、または、定められた手法で計量される体積の塗装剤が、ノズル弁供給配管5内で閉止された手法で収容され得るかまたは収容されるような手法で閉止または遮断され得る入口開口7を有する。
【0032】
定められた手法で計測される収容される体積は、周囲圧力または大気圧を超える圧力の下にある。
【0033】
ノズル弁供給配管5内の塗装剤は、この点において、加圧されていないかまたは周囲圧力の下にあるノズル弁供給配管5の内部の体積を膨張体積によって増加させる圧力の下にある。
【0034】
塗装剤は、ノズル弁4を開けることでノズル3を通じて排出され得る一方で圧力を低下させ、塗装剤の排出体積は膨張体積に対応する。
【0035】
ノズル弁4は、塗装剤の排出時間より長い弁開時間の間に開けられる。排出時間は、ノズル弁供給配管5の内部における圧力を周囲圧力または大気圧まで低下させ、塗装剤の膨張体積を排出させるために必要とされる。
【0036】
入口開口7には、開状態において、ノズル弁供給配管5への塗装剤の進入を可能にし、閉状態において、ノズル弁供給配管5への塗装剤の進入を妨げる充填弁8が割り当てられている。
【0037】
ノズル弁供給配管5は、弾性的および/または可逆的に変形可能であるように構成されている。ノズル弁供給配管5はホースとして形成されている。ノズル弁供給配管5は、具体的には、プラスチックから成るホースとして形成されている。
【0038】
印刷ヘッド2は、すべての充填弁8に合同で流体連通する手法で連結されるかまたは連結され得る主塗装剤供給配管9に連結されている。主塗装剤供給配管9は圧力制御ユニット10に連結されている。圧力制御ユニット10は空気圧力制御ユニット11に連結されている。
【0039】
適用装置1は、図示されていないロボットに収容され得る。具体的に言えば、ロボットは、いくつかの軸の周りで枢動可能および移動可能であるロボットアームを有することができ、適用装置1は、ロボットアームのツールセンターポイントにおいて収容される。
【0040】
図2は、様々な経時的なプロフィールに基づく適用装置1の動作のモードを示している。一番上の線図は、充填弁8が、おおよそ5ミリ秒(ms)の時間間隔の間に2回開閉されていることを示している。直列に連結された関連する充填弁8が閉じられる場合に、関連するノズル弁4は同じ時間間隔で1回開けられ、ノズル弁4を開ける前に、定められた手法で計量される量の塗装剤、または、定められた手法で計量される体積の塗装剤が、ノズル弁供給配管5において閉止され、加圧されて収容される。
【0041】
図2において上から3番目の線図は、ノズル弁4が閉じられ、充填弁8が開けられた場合の、ノズル弁供給配管5の内部において圧力の増加が起こるところを示している。ノズル弁供給配管5内の圧力は、圧力制御ユニット10によってあらかじめ定められる値まで上昇する。ホースとして形成されたノズル弁供給配管5は、圧力によって膨張させられる。圧力下にないホースの体積は、膨張体積によって増加させられる。
【0042】
膨張体積、延いては、ホース内で圧力下において追加的に収容され得る塗装剤の体積は、圧力制御ユニット10のあらかじめ定められた圧力に依存し、ホースの特性に依存する。
【0043】
充填時間は、弁の構成、具体的には、弁の抵抗と、塗装剤の粘性とに依存する。そのため、充填時間は、異なる粘性を考慮するために十分に長くあるべきである。
【0044】
充填弁8は、端領域の充填を含むノズル弁供給配管5の所望の充填の後に閉じる。両方の弁4、8は、比較的短い時間の期間にわたって閉じられる。
【0045】
ノズル弁4が開けられる場合、塗装剤は、ノズル弁供給配管5における圧力が周囲圧力または大気圧と等しくなるまでノズル3を介して漏れる。塗装剤の計量された放出は、疑似的な圧力制御または力制御の手法で実施される。
【0046】
図2から、排出時間が、ノズル弁4が開かれている弁開時間より短いことが推測できる。排出時間は、それぞれのノズル弁4の構成と、塗装剤の粘性とに依存する。塗装剤の膨張体積、または、ノズル3を通じて漏れる塗装は、塗装剤または塗装の粘性に依存しない。そのため、異物または摩耗の影響の他に、粘性における違いまたは変動も、滴体積または液滴体積にまったくまたはほとんど影響しない。
【0047】
ノズル3から漏れる塗装剤の膨張体積は、図3および以下の数式に基づいて決定できる。
【0048】
以下の数式は、ホースの内径の大きさの増加がどのように決定されるかを示している。
【0049】
【数1】
【0050】
数式において、
vはポアソン比であり、
Eは弾性係数であり、
riは内径であり、
raは外径であり、
Δriは圧力を増加させることによる内部での半径の大きさの増加であり、
piはノズル弁供給配管5の内面における圧力であり、
Δvは圧力における増加の結果としての膨張体積であり、
C*は低圧の場合のホース形状因子である。
【0051】
膨張体積、つまり、加圧下にないホースと比較した体積の増加であって、延いては、ホース内で追加的に収容され得る塗装剤の量は、以下の数式に基づいて決定できる。ホース形状因子がさらに決定できる。
【0052】
【数2】
【0053】
100・pi<Eについては、
【0054】
【数3】
【0055】
材料データと、計算または算術によって決定されたデータとを列記する表が、図4図7に示されている。
【符号の説明】
【0056】
1 適用装置
2 印刷ヘッド
3 ノズル
4 ノズル弁
5 ノズル弁供給配管
6 出口開口
7 入口開口
8 充填弁
9 主塗装剤供給配管
10 圧力制御ユニット
11 空気圧力制御ユニット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7