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特許7118158コンテナの密封及び開封をリモートでモニタリングするためのタンパリング防止システム及び方法
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  • 特許-コンテナの密封及び開封をリモートでモニタリングするためのタンパリング防止システム及び方法 図1
  • 特許-コンテナの密封及び開封をリモートでモニタリングするためのタンパリング防止システム及び方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-04
(45)【発行日】2022-08-15
(54)【発明の名称】コンテナの密封及び開封をリモートでモニタリングするためのタンパリング防止システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G21C 19/32 20060101AFI20220805BHJP
   G21F 9/36 20060101ALI20220805BHJP
   G21F 5/008 20060101ALI20220805BHJP
   G21F 5/12 20060101ALI20220805BHJP
   B65D 90/48 20060101ALN20220805BHJP
【FI】
G21C19/32 080
G21F9/36 511P
G21F9/36 541A
G21F9/36 521Z
G21F5/008
G21F5/12 E
B65D90/48 Z
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020537607
(86)(22)【出願日】2018-12-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-04-22
(86)【国際出願番号】 EP2018084751
(87)【国際公開番号】W WO2019137731
(87)【国際公開日】2019-07-18
【審査請求日】2021-10-28
(31)【優先権主張番号】18151217.9
(32)【優先日】2018-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】510304715
【氏名又は名称】ザ ヨーロピアン ユニオン、リプレゼンテッド バイ ザ ヨーロピアン コミッション
【氏名又は名称原語表記】The European Union,represented by the European Commission
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リットマン,フランソワ
【審査官】右▲高▼ 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/140575(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/182398(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0254949(US,A1)
【文献】特表2016-533977(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21C 19/32
G21F 9/36
G21F 5/008
G21F 5/12
B65D 90/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯蔵ユニット(10)を備えるタンパリング防止システム(1)であって、前記貯蔵ユニット(10)は、
コンテナ(50)用のシール要素(40)を収納するための少なくとも1つの貯蔵コンパートメント(11)であって、前記少なくとも1つの貯蔵コンパートメント(11)はオープン及びクローズされるように配設される、少なくとも1つの貯蔵コンパートメント(11)と、
前記少なくとも1つの貯蔵コンパートメント(11)のオープンを検出するように構成された制御システム(13)と、を有し、
各貯蔵コンパートメント(11)はリーシュ要素(12)を含み、前記リーシュ要素(12)は前記制御システム(13)に接続され、前記リーシュ要素(12)は、前記貯蔵コンパートメント(11)に収納されるべきシール要素(40)に接続されるために設けられ、
前記制御システム(13)は、前記リーシュ要素(12)の完全性をモニタリングするように構成され、
前記タンパリング防止システム(1)は、前記貯蔵ユニット(10)の移動を検出及び/又は防止するように構成された移動保護手段を備え、
前記貯蔵ユニット(10)は、前記少なくとも1つの貯蔵コンパートメント(11)のリモートでのオープン及びクローズを少なくとも可能にするためにリモート操作されるように構成され、前記タンパリング防止システム(1)は、前記貯蔵ユニット(10)をリモートで操作及びモニタリングするためのリモート制御ユニット(30)をさらに備え、前記制御システム(13)は、前記リモート制御ユニット(30)と通信するように構成されること、
及び/又は、前記貯蔵ユニット(10)は、所定の位置に配置され、前記タンパリング防止システム(1)は、
前記貯蔵ユニット(10)が、ビデオ監視システム(20)の視野(21)内に配置されるように、及び各貯蔵コンパートメント(11)の前記リーシュ要素(12)が、前記ビデオ監視システム(20)の前記視野(21)内でのみ移動されることができるように、位置決め及び配向された前記ビデオ監視システム(20)と、
コンテナ(50)用のシール要素(40)であって、前記シール要素は、前記シール要素(40)のステータスをモニタリングするためのステータスモニタリングシステム(41)を有する、シール要素(40)と、を備えること、
を特徴とする、
タンパリング防止システム。
【請求項2】
前記貯蔵ユニット(10)は、前記移動保護手段を用いて前記所定の位置に固定される、請求項1に記載のタンパリング防止システム。
【請求項3】
前記リーシュ要素(12)は、前記リーシュ要素(12)に接続されたときに前記シール要素(40)の移動を前記貯蔵ユニット(10)の周囲の所定の領域(14)範囲内に制限するための所定の長さを有する、請求項1又は2に記載のタンパリング防止システム(1)。
【請求項4】
前記リーシュ要素(12)は導体を含み、前記制御システム(13)は、前記導体の第1の端に接続された送信器と、前記導体の第2の端に接続された検出器とを含み、前記制御システム(13)は、前記導体を通して前記送信器から前記検出器に送信される信号の変異に基づいて、前記リーシュ要素(12)の完全性をモニタリングするように構成される、請求項1から3のいずれか一項に記載のタンパリング防止システム(1)。
【請求項5】
前記導体は光ファイバを含み、前記送信器は光送信器を含み、前記検出器は光検出器を含み、前記光ファイバを通して送信される信号は光信号である、請求項4に記載のタンパリング防止システム(1)。
【請求項6】
前記制御システム(13)は、前記少なくとも1つの貯蔵コンパートメント(11)に収納されるべきシール要素(40)のステータスモニタリングシステム(41)と通信をするように構成される、請求項1から5のいずれか一項に記載のタンパリング防止システム(1)。
【請求項7】
前記制御システム(13)は、セキュア通信をするように構成される、請求項1から6のいずれか一項に記載のタンパリング防止システム(1)。
【請求項8】
前記移動保護手段は、前記貯蔵ユニット(10)を表面に固定するための固定手段を有する、請求項1から7のいずれか一項に記載のタンパリング防止システム(1)。
【請求項9】
請求項6と少なくとも組み合わせた、請求項1から8のいずれか一項に記載のタンパリング防止システム(1)を使用してコンテナ(50)を密封するための方法であって、前記シール要素(40)は、前記貯蔵ユニット(10)のクローズされた第1の貯蔵コンパートメント(11)内に収納され、前記シール要素(40)は、前記第1の貯蔵コンパートメント(11)の前記リーシュ要素(12)に接続され、前記方法は、
現地オペレータが、前記コンテナ(50)を前記ビデオ監視システム(20)の前記視野(21)内に位置決めするステップと、
リモートオペレータが、前記リモート制御ユニット(30)を用いて前記第1の貯蔵コンパートメント(11)をオープンするステップと、
前記現地オペレータが、前記第1の貯蔵コンパートメント(11)から前記シール要素(40)を取り出すステップと、
前記現地オペレータが、前記コンテナ(50)上に前記シール要素(40)を取り付けることによって前記コンテナ(50)を密封するステップと、
前記リモートオペレータが、前記リモート制御ユニット(30)及び前記制御システム(13)を介して、前記シール要素(40)が前記コンテナ(50)上に正しく取り付けられていることを検証するために、前記シール要素(40)の前記ステータスモニタリングシステム(41)から前記シール要素(40)のステータスを読み出すステップと、
前記現地オペレータが、前記リーシュ要素(12)を前記シール要素(40)から切り離し、前記リーシュ要素(12)を前記第1の貯蔵コンパートメント(11)に入れるステップと、
前記リモートオペレータが、前記リモート制御ユニット(30)を用いて前記第1の貯蔵コンパートメント(11)をクローズするステップと
を含み、
これらのステップは、前記現地オペレータによって実行される前記ステップを、前記リモートオペレータが前記ビデオ監視システム(20)を介して観察しながら、かつ、前記リーシュ要素(12)の完全性を前記リモートオペレータが前記リモート制御ユニット(30)及び前記制御システム(13)を介してモニタリングしながら実行される、
方法。
【請求項10】
請求項6と少なくとも組み合わせた、請求項1から8のいずれか一項に記載のタンパリング防止システム(1)を使用してコンテナ(50)を開封するための方法であって、前記シール要素(40)は、前記コンテナ(50)上に取り付けられており、前記貯蔵ユニット(10)のクローズされた前記第1の貯蔵コンパートメント(11)に収納されている前記シール要素(40)はなく、前記方法は、
現地オペレータが、前記コンテナ(50)を前記ビデオ監視システム(20)の前記視野(21)内に位置決めするステップと、
リモートオペレータが、前記リモート制御ユニット(30)を用いて前記第1の貯蔵コンパートメント(11)をオープンするステップと、
前記現地オペレータが、前記リーシュ要素(12)を前記第1の貯蔵コンパートメント(11)から取り出すステップと、
前記現地オペレータが、前記リーシュ要素(12)を前記コンテナ(50)上の前記シール要素(40)に接続するステップと、
前記現地オペレータが、前記シール要素(40)を前記コンテナ(50)から取り外すステップと、
前記現地オペレータが、前記シール要素(40)を、前記シール要素(40)に接続された前記リーシュ要素(12)と共に前記第1の貯蔵コンパートメント(11)に収納するステップと、
前記リモートオペレータが、前記リモート制御ユニット(30)を用いて前記第1の貯蔵コンパートメント(11)をクローズするステップと、
前記リモートオペレータが、前記リモート制御ユニット(30)及び前記制御システム(13)を介して、前記シール要素(40)の前記ステータスモニタリングシステム(41)から前記シール要素(40)のステータスを読み出すステップと、
を含み、
これらのステップは、前記現地オペレータによって実行される前記ステップを、前記リモートオペレータが前記ビデオ監視システム(20)を介して観察しながら、かつ、前記リーシュ要素(12)の完全性を前記リモートオペレータが前記リモート制御ユニット(30)及び前記制御システム(13)を介してモニタリングしながら実行される、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用済み核燃料用の乾式貯蔵キャスクなどの、コンテナの密封及び開封に使用するためのタンパリング防止システムに関する。さらに、本発明は、本発明に係るタンパリング防止システムを使用してコンテナを密封及び開封するための方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
原子力発電所の段階的廃止に伴い、ヨーロッパ及び世界中において、多くの使用済み核燃料が乾式貯蔵キャスクに収納される必要がある。保障措置機関の検査官は、これらすべてのキャスクに必要な密封作業に物理的に立ち会うことはできない。第1には、人件費と移動とに多大なコストがかかるためであるが、オペレータが処理速度に応じてランダムな間隔でこれらのキャスクを充填しているためでもある。したがって、検査官の物理的な立会いを必要としない、貯蔵キャスクを密封するためのシステム及び方法が必要である。
【0003】
貯蔵キャスクを密封するためのシールボルトは、特許文献1から知られている。こうしたシールボルトは、それを介してシールボルトの識別子及びステータス情報がリモートで読み取られることができる通信手段が備えられている。これによって、ビデオ監視システムを用いて検査官によってリモートでモニタリングされながら、現地オペレータが貯蔵キャスクにシールボルトを取り付けることを可能にする。ビデオ監視システムを介して取付けをフォローしながら、検査官は通信手段を介してシールボルトの識別子及びステータス情報をリモートでチェックすることもできる。ただし、ビデオ監視システムを用いてリモートモニタリングすることでは、自身が識別したシールボルトが、ビデオ監視システム上で見られているキャスクに取り付けられているのか、それとも異なったキャスクに取り付けられているのかを、検査官が確信できないため、シールボルトのタンパリングを完全に防止することにはならない。たとえば、検査官によって識別されたシールボルトが、ビデオ監視システムの視野の外側で別の貯蔵キャスクに取り付けられていく一方で、異なるシールボルトがビデオ監視システムに表示される恐れがある。
【0004】
シールボルトのタンパリングを防止するためのシステムは、特許文献2から知られている。このタンパリング防止システムは、その内部にキャスク又はコンテナ用のシールボルト又は他のシール要素を収納できるエンクロージャを含む。エンクロージャを真空にし得るようなタンパリング防止システムが提供される。そして、エンクロージャ内の圧力センサを用いて検知された圧力変化によってエンクロージャの不正なオープンが検出されることができる。このシステムは、エンクロージャに収納されている限り、シールボルトのタンパリングを防止するが、上記のようにビデオ監視システムでのリモートモニタリングの間にシールボルトのタンパリングを防止することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】欧州特許出願公開第3206211号明細書
【文献】欧州特許出願公開第3205996号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、ビデオ監視システム上で検査官によってリモートでモニタリングされる、現地オペレータによるシール要素を用いたコンテナのタンパリング防止密封を可能にするタンパリング防止システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、本発明に従って、第1の独立請求項に記載のタンパリング防止システムを用いて達成される。
【0008】
したがって、本発明は、タンパリング(不正取引、改ざん)防止システムを提供する。タンパリング防止システムは、貯蔵ユニットを備える。貯蔵ユニットは、コンテナ用のシール要素を収納するための少なくとも1つの貯蔵コンパートメントを有する。少なくとも1つの貯蔵コンパートメントがオープン及びクローズされるように配設される。貯蔵ユニットは、少なくとも1つの貯蔵コンパートメントのオープンを検出するように構成された制御システムを有する。各貯蔵コンパートメントは、リーシュ要素を含む。リーシュ要素は制御システムに接続される。リーシュ要素は、貯蔵コンパートメントに収納されるべきシール要素に接続されるために設けられる。制御システムは、リーシュ要素の完全性をモニタリングするように構成される。タンパリング防止システムは、貯蔵ユニットの移動を検出及び/又は防止するように構成された移動保護手段を備える。
【0009】
本発明のタンパリング防止システムによって、検査官は、コンテナが密封されていく場所に検査官がいる時点で、事前に、検査官に既知の識別子を有するシール要素を貯蔵ユニットの少なくとも1つの貯蔵コンパートメントに収納して、シール要素を少なくとも1つの貯蔵コンパートメント内のリーシュ要素と接続することができる。
【0010】
それによって、少なくとも1つの貯蔵コンパートメントのオープンを検出するように構成されている制御システムは、検査官が知ることなく少なくとも1つのコンパートメントがオープンされることができないという利点を提供する。貯蔵コンパートメントのオープンは、たとえば、貯蔵ユニットをモニタリングしているビデオ監視システムから見ることができる、少なくとも1つの貯蔵コンパートメントと関連付けられた警告灯を用いて検査官に合図され得るか、又はたとえば、貯蔵ユニットの制御システムとの通信を通して検査官によってリモートでモニタリングされ得る。これによって、少なくとも1つのコンパートメントからシール要素が取り出され、それがコンテナ上に取り付けられる前にタンパリングされることができる、ということを防止する。
【0011】
リーシュ要素は、少なくとも1つの貯蔵コンパートメントから、リーシュ要素に接続されたシール要素が取り出されたとき、貯蔵ユニットの周囲におけるシール要素の移動範囲はリーシュ要素の長さによって制限される、という利点を提供する。これによって、検査官が気付かないままにシール要素がタンパリングされ得るか又はシール要素が別のコンテナ上に取り付けられ得る、ビデオ監視システムの視野の外側に、シール要素が移動されることができないように、ビデオ監視システムが位置決めされることを可能にする。
【0012】
リーシュ要素の完全性をモニタリングするように構成されている制御システムは、検査官が知ることなくシール要素がリーシュ要素から切り離されることができない、という利点を提供する。切断、制御ユニット又はシール要素からの切り離し、などのリーシュ要素の完全性の変化は、たとえば、貯蔵ユニットをモニタリングしているビデオ監視システムから見ることができる、少なくとも1つの貯蔵コンパートメントと関連付けられた警告灯、を用いて検査官に合図され得るか、又はたとえば、貯蔵ユニットの制御システムとの通信を通して検査官によってリモートでモニタリングされ得る。これによって、たとえば、シール要素とビデオ監視システムとの間に立っている現地オペレータによってビデオ監視システムの視野が妨害されている間に、既知の識別子を有するシール要素をリーシュ要素から切り離してリーシュ要素を別のシール要素に再び接続することによって、既知の識別子を有するシール要素が別のシール要素用に切り替えられることができる、ということを防止する。このようにして、ビデオ監視システムの視野の外側において、既知の識別子を有するシール要素で別のコンテナを密封することが不可能になる。
【0013】
移動保護手段は、シール要素をタンパリングすることが再び可能になり得るように、ビデオ監視システムの視野の外側に貯蔵ユニット全体が移動されることができる、ということを防止する。
【0014】
移動保護手段は、たとえば、貯蔵ユニットに組み込まれた大きな重量であり得、貯蔵ユニットを移動することを非常に困難にする。移動保護手段は、たとえば、貯蔵ユニットを床又は壁など、表面に固定するための、EP 3206211A1のシールボルトなどの固定手段であってもよい。移動保護手段は、たとえば、貯蔵ユニットのあらゆる移動を検出及び報告することができる光学追跡手段であってもよい。
【0015】
リーシュ要素の完全性をモニタリングするために、リーシュ要素は導体を含み得、制御システムは、導体の第1の端に接続された送信器及び導体の第2の端に接続された検出器を含み得る。そして、制御システムは、導体を通して送信器から検出器に送信される信号の変異に基づいて、リーシュ要素の完全性をモニタリングすることができる。導体を送信器及び検出器に接続するために、少なくとも1つの貯蔵コンパートメントの内部にコネクタが設けられ得る。
【0016】
好ましくは、導体は光ファイバを含み、送信器は光送信器を含み、検出器は光検出器を含む。そして、制御システムは、光ファイバを通過する光信号の変異に基づいて、リーシュ要素の完全性をモニタリングすることができる。光信号のモニタリングされる特性は、たとえば、その光強度であり得る。
【0017】
あるいは、導体は電気ケーブルを含み、送信器は電気的送信器を含み、検出器は電気的検出器を含む。そして、制御システムは、電気ケーブルを通過する電気信号の変異に基づいて、リーシュ要素の完全性をモニタリングすることができる。電気信号のモニタリングされる特性は、たとえば、その電圧又は電流であり得る。
【0018】
本発明に係るタンパリング防止システムの一実施形態では、リーシュ要素は、リーシュ要素に接続されたときにシール要素の移動を貯蔵ユニットの周囲の所定の領域範囲内に制限するための所定の長さを有する。
【0019】
リーシュ要素に接続されたときにシール要素が移動されることができる貯蔵ユニットの周囲の所定の領域は、シール要素がビデオ監視システムの視野の外側に移動されることができないような、貯蔵ユニットとの関係におけるビデオ監視システムの取付けを容易にする。
【0020】
リーシュ要素は、それが固定長を有するように配設されてもよい。リーシュ要素はまた、最大で所定の長さまで長手方向に沿って伸張可能であるように配設されてもよい。
【0021】
本発明に係るタンパリング防止システムの一実施形態では、貯蔵ユニットは、リモートで操作されるように構成される。好ましくは、貯蔵ユニットは、少なくとも1つの貯蔵コンパートメントのリモートでのオープン及びクローズを少なくとも可能にするように構成される。タンパリング防止システムは、貯蔵ユニットをリモートで操作及びモニタリングするためのリモート制御ユニットをさらに備える。制御システムは、リモート制御ユニットと通信するように構成される。
【0022】
リモートで操作可能な貯蔵ユニット、及びリモート制御ユニットは、検査官がコンテナをクローズ及び/又はオープンする処理を詳細に制御でき、それによってタンパリングのリスクを低減する、という利点を提供する。リモート制御ユニットは、たとえば、正しい貯蔵コンパートメントがオープンされていることを、検査官が常に確信するように、検査官によって貯蔵ユニットの少なくとも1つの貯蔵コンパートメントをリモートでオープン及びクローズするために使用され得る。
【0023】
この実施形態はまた、少なくとも1つのコンパートメントが検査官の許可なしにオープンされていないかどうか、又は少なくとも1つの貯蔵コンパートメントのリーシュ要素の完全性が損なわれていないかどうか、又は少なくとも1つの貯蔵コンパートメントのリーシュ要素が検査官の許可なしに切り離されていないかどうかを、制御システムを介して検査官がリモートでモニタリングすることも可能にする。
【0024】
本発明に係るタンパリング防止システムの一実施形態では、制御システムは、少なくとも1つの貯蔵コンパートメントに収納されるべきシール要素のステータスモニタリングシステムと通信するように構成される。シール要素のステータスモニタリングシステムは、シール要素の識別子、コンテナ上へのシール要素の正しい取付けに関する情報、シール要素の完全性に関する情報など、シール要素のステータスをモニタリングするように構成される。
【0025】
シール要素のステータスモニタリングシステムと通信するように構成されている制御システムは、リモート制御ユニット及び制御システムを介して検査官がリモートでシール要素のステータスをモニタリングでき、それによってシール要素のタンパリングのリスクをさらに低減する、という利点を提供する。
【0026】
本発明に係るタンパリング防止システムの一実施形態では、制御システムは、リモート制御ユニット、及び/又は、少なくとも1つの貯蔵コンパートメントに収納されるべきシール要素のステータスモニタリングシステムとセキュアな通信、すなわち認証及び暗号化された通信をするように構成される。
【0027】
制御システムと、リモート制御ユニット、及び/又はシール要素のステータスモニタリングシステムとの間でセキュアな通信を提供することは、一方の貯蔵ユニットと、もう一方のリモート制御ユニット及び/又はステータスモニタリングシステムとの間で送信される通信のタンパリングを防止するのに有益である。
【0028】
本発明に係るタンパリング防止システムの一実施形態では、移動保護手段は、貯蔵ユニットを表面に固定するための固定手段を有する。好ましくは、固定手段は、固定手段のタンパリングが検出されることを可能にするタンパリング防止固定手段である。
【0029】
本発明に係るタンパリング防止システムの一実施形態では、貯蔵ユニットは所定の位置に配置される。タンパリング防止システムは、ビデオ監視システムをさらに備える。ビデオ監視システムは、貯蔵ユニットが、ビデオ監視システムの視野内に配置されるように、及び各貯蔵コンパートメントのリーシュ要素が、ビデオ監視システムの視野内でのみ移動されることができるように、位置決め及び配向される。好ましくは、ビデオ監視システムの位置及び向きは、そのように固定される。タンパリング防止システムは、コンテナ用のシール要素を備える。シール要素は、シール要素のステータスをモニタリングするように構成されたステータスモニタリングシステムを有する。シール要素のステータスは、シール要素の識別子、コンテナ上へのシール要素の取付けに関する情報、シール要素の完全性に関する情報などを含み得る。
【0030】
本発明は、ビデオ監視システムを備える、本発明の実施形態に係るタンパリング防止システムを使用してコンテナを密封するための方法をさらに提供する。シール要素は、貯蔵ユニットのクローズされた第1の貯蔵コンパートメントに収納される。シール要素は、第1の貯蔵コンパートメントのリーシュ要素に接続される。方法は、現地オペレータがコンテナをビデオ監視システムの視野内に位置決めするステップを含む。方法は、リモートオペレータがリモート制御ユニットを用いて第1の貯蔵コンパートメントをオープンするステップを含む。使用済み核燃料用のシールコンテナの場合、リモートオペレータは検査官であることが好ましい。方法は、現地オペレータが第1の貯蔵コンパートメントからシール要素を取り出すステップを含む。方法は、現地オペレータがコンテナ上にシール要素を取り付けることによってコンテナを密封するステップを含む。方法は、リモートオペレータが、リモート制御ユニット及び制御システムを介して、シール要素がコンテナ上に正しく取り付けられていることを検証するために、シール要素のステータスモニタリングシステムからシール要素のステータスを読み出すステップを含む。方法は、リモートオペレータの承認を得て、現地オペレータがリーシュ要素をシール要素から切り離し、リーシュ要素を第1の貯蔵コンパートメントに入れるステップを含む。方法は、リモートオペレータがリモート制御ユニットを用いて第1の貯蔵コンパートメントをクローズするステップを含む。これらのステップは、現地オペレータによって実行されるステップを、リモートオペレータがビデオ監視システムを介して観察しながら実行される。これらのステップは、リーシュ要素の完全性をリモートオペレータがリモート制御ユニット及び制御システムを介してモニタリングしながら実行される。
【0031】
本発明は、ビデオ監視システムを備える、本発明の実施形態に係るタンパリング防止システムを使用してコンテナを開封するための方法をさらに提供する。シール要素がコンテナ上に取り付けられている。貯蔵ユニットのクローズされた第1の貯蔵コンパートメントに収納されているシール要素はない。方法は、現地オペレータがコンテナをビデオ監視システムの視野内に位置決めするステップを含む。方法は、リモートオペレータがリモート制御ユニットを用いて第1の貯蔵コンパートメントをオープンするステップを含む。方法は、現地オペレータがリーシュ要素を第1の貯蔵コンパートメントから取り出すステップを含む。方法は、現地オペレータがリーシュ要素をコンテナ上のシール要素に接続するステップを含む。方法は、現地オペレータがシール要素をコンテナから取り外すステップを含む。
【0032】
方法は、現地オペレータが、シール要素に接続されたリーシュ要素と共に、シール要素を第1の貯蔵コンパートメントに収納するステップを含む。方法は、リモートオペレータがリモート制御ユニットを用いて第1の貯蔵コンパートメントをクローズするステップを含む。方法は、リモートオペレータが、リモート制御ユニット及び制御システムを介して、シール要素のステータスモニタリングシステムからシール要素のステータスを読み出すステップを含む。これらのステップは、現地オペレータによって実行されるステップを、リモートオペレータがビデオ監視システムを介して観察しながら実行される。これらのステップは、リーシュ要素の完全性をリモートオペレータがリモート制御ユニット及び制御システムを介してモニタリングしながら実行される。
【0033】
本発明は、以下の説明及び添付図面を用いてさらに明かにされる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明の一実施形態に係るタンパリング防止システムの貯蔵ユニットの概略図を示す。
図2】本発明の一実施形態に係るタンパリング防止システムの概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明は、特定の実施形態に関して、及びある一定の図面を参照して説明されるが、本発明はそれに限定されず、特許請求の範囲によってのみ限定される。説明されている図面は、単なる概要であり、限定するものではない。図面において、いくつかの要素のサイズは、例示目的のために誇張され、縮尺どおりに描かれていない場合がある。寸法及び相対寸法は、本発明の実践に対する実際の縮尺に必ずしも対応していない。
【0036】
さらに、説明及び特許請求の範囲における第1の、第2の、第3のなどの用語は、類似の要素を区別するために使用され、必ずしも連続的又は時間的順序を説明するためではない。これらの用語は、適切な状況下で互いに交換可能であり、本発明の実施形態は、本明細書で説明又は図示されている以外の順序で動作することができる。
【0037】
さらに、説明及び特許請求の範囲におけるトップ、ボトム、上、下などの用語は、説明の目的で使用されており、必ずしも相対的な位置を説明するためではない。そのように使用される用語は、適切な状況下で互いに交換可能であり、本明細書で説明される本発明の実施形態は、本明細書で説明又は図示される以外の配向で動作することができる。
【0038】
特許請求の範囲で使用される「備える」、「有する」、及び「含む」という用語は、その後に列挙される手段に限定されると解釈されるべきではなく、他の要素又はステップを除外するものではない。これは、参照される、記載された特徴、完全体、ステップ、又はコンポーネントの存在を指定するものとして解釈される必要はあるが、1又は複数の他の特徴、完全体、ステップ、コンポーネント、又はそれらのグループの存在又は追加を排除するものではない。したがって、「手段A及びBを備える(有する、含む)デバイス」という表現の範囲は、コンポーネントA及びBのみからなるデバイスに限定されるべきではない。これは、本発明に関しては、関係するデバイスのコンポーネントがA及びBのみであることを意味する。
【0039】
図1は、本発明の一実施形態に係るタンパリング(不正取引、改ざん)防止システム1の貯蔵ユニット10の概略図を示している。タンパリング防止システム1のさらなる一実施形態では、貯蔵ユニット10は、図2に示されるような、貯蔵ユニットを観察するためのビデオ監視システム20、貯蔵ユニット10をリモートで操作及びモニタリングするためのリモート制御ユニット30、並びに少なくとも1つのシール要素40と組み合わせて使用される。
【0040】
貯蔵ユニット10は、たとえば、EP 3 206 211A1に記載されているようなシールボルトなどの、コンテナ50用のシール要素40を収納するための複数の貯蔵コンパートメント(区画)11を有する。貯蔵コンパートメント11は、その中にシール要素40が自身を貯蔵コンパートメント11に収納するために位置決めされるべきエンクロージャ111を含む。貯蔵コンパートメント11は、貯蔵コンパートメント11のエンクロージャ111のオープン及びクローズのための扉112を含む。貯蔵コンパートメント11には、扉112がリモートでオープン及びクローズされることを可能にする扉操作ユニットがさらに設けられていてもよい。貯蔵コンパートメント11には、扉112をクローズ状態でロックするため、及びクローズ状態でロックされているときに扉112をロック解除するために設けられた扉ロックユニットがさらに設けられていてもよい。
【0041】
貯蔵ユニット10はまた、貯蔵コンパートメント11の不正なオープンが検出及び防止されことができるように、貯蔵ユニット10の貯蔵コンパートメント11がオープンされていくときを検出するように構成されている制御システム13も有する。貯蔵コンパートメント11のオープンの検出は、たとえば、貯蔵ユニット10の環境における気圧に対して貯蔵コンパートメント11のクローズされたエンクロージャ111内の圧力を変化させることによって、及び、EP 3 205 996A1に記載されているタンパリング防止システムと同様に、貯蔵コンパートメント11のエンクロージャをオープンすることによって引き起こされる圧力変化をモニタリングすることによって、行われ得る。しかしこれは、たとえば、貯蔵ユニット10の貯蔵コンパートメント11の扉操作ユニット又は扉ロックユニットのステータスをモニタリングすることによっても行われ得る。
【0042】
貯蔵ユニット10の各貯蔵コンパートメント11は、エンクロージャ111の内部で貯蔵ユニット10の制御システム13に接続されているリーシュ要素(紐要素)12を含む。リーシュ要素12を制御システム13に接続するために、リーシュ要素12は、エンクロージャ111の側壁の開口部を通されて制御システム13に直接接続され得る。貯蔵コンパートメント11のエンクロージャ111の内側に1又は複数のコネクタも設けられ得、そのコネクタにリーシュ要素12が接続されることができ、そのコネクタからさらなる接続が貯蔵ユニット10の内部の制御システム13に提供される。
【0043】
リーシュ要素12は、貯蔵コンパートメント11に収納されるべきシール要素40に接続されるために設けられる。リーシュ要素12は、第1の端においてエンクロージャ111の内側から制御システム13に接続されて、第2の端においてシール要素40に接続されるために設けられている、長手方向要素であり得る。リーシュ要素12はまた、第1の端及び第2の端の両方においてエンクロージャ111の内側から制御システム13に接続されていて、それによってループを形成する、長手方向要素であってもよい。この構成では、リーシュ要素12は、シール要素40の開口部にリーシュ要素12を通すことによってシール要素40に接続され得、その開口部は、特にこの目的のためにシール要素40に設けられ得る。
【0044】
図2に示されるように、シール要素40が、リーシュ要素12に接続されたときに、貯蔵ユニット10の周囲の所定の領域14の外側に移動されることができないように、リーシュ要素(紐要素)12は所定の長さを有する。
【0045】
これによって、シール要素40がタンパリングされ得る、貯蔵ユニット10をモニタリングするビデオ監視システム20の視野21の外側に、シール要素40が移動されることを防止する。
【0046】
貯蔵ユニット10の制御システム13は、リーシュ要素12の完全性をモニタリングするために設けられている。したがって、リーシュ要素12は、長手方向の導体を含み得る。そして、制御システム13は、導体の第1の端に接続された送信器を含む。送信器は、導体を通して信号を送信するように構成される。制御システム13は、導体の第2の端に接続された検出器も含む。検出器は、送信器によって導体を通して送信された信号を検出するように構成される。そして、制御システム13は、導体を通して送信器から検出器に送信される信号の変異に基づいて、リーシュ要素12の完全性をモニタリングすることができる。
【0047】
導体は光ファイバであってもよく、その場合、送信器及び検出器はそれぞれ光送信器及び光検出器である。そして、制御システム13は、光ファイバを通過する光信号の変異に基づいて、リーシュ要素12の完全性をモニタリングすることができる。光信号のモニタリングされる特性は、たとえば、その光強度であり得る。
【0048】
導体は電気ケーブルであってもよく、その場合、送信器及び検出器はそれぞれ電気的送信器及び電気的検出器である。そして、制御システム13は、電気ケーブルを通過する電気信号の変異に基づいて、リーシュ要素12の完全性をモニタリングすることができる。電気信号のモニタリングされる特性は、たとえば、その電圧又は電流であり得る。
【0049】
タンパリング防止システム1はまた、移動保護手段(図示せず)も備えられる。これらの移動保護手段は、貯蔵ユニット10が、貯蔵ユニットが観察されているビデオ監視システム20の視野の外側に、又は少なくとも検出されることなしに、移動されることができないように、貯蔵ユニット10の移動を検出及び/又は防止するように構成される。これによって、ビデオ監視システム20の視野21の外側の貯蔵ユニット10に収納されたシール要素40をタンパリングすることを防止する。
【0050】
移動保護手段は、それを用いてたとえば壁又は床など、表面に貯蔵ユニット10が取り付けられる固定手段であり得る。
【0051】
固定手段は、たとえば、貯蔵ユニット10上に設けられたボルト開口部と、それを用いて貯蔵ユニット10が表面に対してねじ留めされることができるボルトとの組合せであってもよい。貯蔵ユニット10の移動を防止するための移動保護手段はまた、たとえば壁又は床など、表面に貯蔵ユニット10を埋め込むことによって実現されてもよい。移動保護手段はまた、貯蔵ユニット10に組み込まれた大きな重量でもあり得、貯蔵ユニット10を移動することを非常に困難にする。貯蔵ユニット10の動きを検出するための移動保護手段は、たとえば、その移動がビデオ監視システム20又は他の撮像システムを介してモニタリングされる、貯蔵ユニット上の光学追跡装置を用いて実施されてもよい。
【0052】
本発明の一実施形態に係るタンパリング防止システム1は、図2に示される構成で使用され得る。ここで、タンパリング防止システム1は、コンテナ50用のシール要素40用の貯蔵ユニット10と、貯蔵ユニットをモニタリングするためのビデオ監視システム20と、貯蔵ユニット10をリモートで操作及びモニタリングするためのリモート制御ユニットと、コンテナ50用の1又は複数のシール要素40とを備える。
【0053】
貯蔵ユニット10は、シール要素40を収納するための複数の貯蔵コンパートメント11を有する。貯蔵ユニット10は、貯蔵コンパートメント11の扉112をクローズ状態でロックするため、及びクローズ状態でロックされているときに扉112をロック解除するために設けられた少なくとも1つの扉ロックユニットを有する。貯蔵ユニット10の制御システム13は、貯蔵コンパートメント11の扉112が検査官などのリモートオペレータによってリモート制御ユニット30を用いてリモートでロック及びロック解除されることができるように、リモート制御ユニット30と通信するように構成される(矢印A)。貯蔵ユニット10の制御システム13はまた、リモートオペレータが、貯蔵コンパートメント11のリーシュ要素12の完全性をリモートでモニタリングすること、及びリモート制御ユニット30を用いて貯蔵コンパートメント11のオープンを検出すること、を可能にするために、リモート制御ユニット30と通信するためにも設けられる。
【0054】
ビデオ監視システム20は、カメラをタンパリングすることを防止するために、セキュアなハウジング内にカメラを有する。ビデオ監視システム20はまた、検査官などのリモートオペレータがカメラの画像を閲覧すること及びカメラをリモートで制御することを可能にするために、リモート制御ユニット30との通信(矢印B)のためにも設けられる。
【0055】
シール要素40は、たとえば、EP3 206 211A1のシールボルトのモニタリング及び検出ユニットなどの、シール要素40のステータスをモニタリングするためのステータスモニタリングシステム41を有する。モニタリングされているシール要素40のステータスは、シール要素40の識別子、コンテナ50上へのシール要素40の取付けに関する情報、及びシール要素40の完全性に関する情報を含む。
【0056】
貯蔵ユニット10の制御システム13は、リモートオペレータがリモート制御ユニット30を用いてシール要素40のステータスをモニタリングすることを可能にするために、シール要素40のステータスモニタリングシステム41と(矢印C)、及びリモート制御ユニット30と、通信するように構成される。
【0057】
貯蔵ユニット10は、コンテナ50が現地オペレータによって密封されるべき部屋又は空間内の所定の位置に配置される。貯蔵ユニット10は、移動保護手段を用いて当該の位置に固定される。貯蔵コンパートメント11のリーシュ要素12は所定の固定長を有しているため、リーシュ要素12に接続されたシール要素40は、貯蔵ユニット10の周囲の所定の領域14の外側に移動されることができない。ビデオ監視システム20のカメラは、貯蔵ユニット10の貯蔵コンパートメント11のリーシュ要素12の所定の長さによって定義された、貯蔵ユニット10及び貯蔵ユニット10の周囲の所定の領域14が、カメラの視野内に収まるように位置決め及び配向される。このようにして、リーシュ要素12に接続されたシール要素40は、カメラの視野21の外側に移動されることができない。好ましくは、ビデオ監視システム20の位置及び配向は、このようにして固定される。
【0058】
本発明のそのような実施形態に係るタンパリング防止システム1は、以下のように、使用済み核燃料用の乾式貯蔵キャスクなどのコンテナ50を密封するために使用され得る。
【0059】
貯蔵ユニット10の貯蔵コンパートメント11には、コンテナ50が現地オペレータによって密封されることになる場所に検査官がいるときに、EP 3 206 211A1のシールボルトなどのシール要素40が検査官によって最初に入れられる。貯蔵コンパートメント11内で、各シール要素40は、貯蔵コンパートメント11のリーシュ要素12に接続される。次いで、貯蔵コンパートメント11の扉112が、検査官によってクローズされ、ロックされる。これらのステップによって、貯蔵ユニット10を、現地オペレータによってコンテナ50を密封する処理をリモート制御ユニット30及びビデオ監視システム20を介して検査官がリモートでモニタリングすることを可能にする、初期状態にする。
【0060】
コンテナ50の密封を開始するために、現地オペレータは、先ず、コンテナ50を、ビデオ監視システム20の視野21内に、したがって貯蔵ユニット10の周囲の所定の領域14内に、位置決めする。
【0061】
次いで、検査官は、貯蔵コンパートメント11がオープンされることができるように、リモート制御ユニット30でのリモートオペレータとして、リモート制御ユニット30を用いて貯蔵ユニット10の貯蔵コンパートメント11のうちの1つの扉をロック解除する。
【0062】
次いで、現地オペレータは、オープンされた貯蔵コンパートメント11内に配置されたシール要素40を、シール要素40がビデオ監視システム20の視野21の外側に移動されることができないように、リーシュ要素12が依然としてシール要素40に接続されたままで前記貯蔵コンパートメント11から取り出す。このステップの間、検査官は、リモート制御ユニット30、及びシール要素40のステータスモニタリングシステム41を介して、シール要素40のステータスをチェックすることができる。これによって、オープンされた貯蔵コンパートメント11から取り出されたシール要素40が本当に検査官によって貯蔵コンパートメント11に元々収納されたシール要素40であるかどうか、及びシール要素40の完全性が損なわれていないかどうかを検査官がチェックすることを可能にする。
【0063】
次いで、現地オペレータは、オープンされた貯蔵コンパートメント11から取り出されたシール要素40を、ビデオ監視システム20の視野21内でコンテナ50上に取り付ける。このステップの後、検査官は、シール要素40がコンテナ50上に正しく取り付けられているかどうかをチェックするために、シール要素40のステータスをチェックする。
【0064】
検査官がシール要素40の正しい取付けを検証した後、現地オペレータは、リーシュ要素12をシール要素40から切り離す。図1の貯蔵ユニット10では、リーシュ要素12は、貯蔵コンパートメント11の内側でリーシュ要素12の一端を切り離し、リーシュ要素12をシール要素40から取り出すために、切り離されたリーシュ要素の端をシール要素40に通すことによって、シール要素40から切り離される。リーシュ要素12が切り離されてしまった後、現地オペレータは、リーシュ要素12を、オープンされた貯蔵コンパートメント11に戻す。次いで、オープンされた貯蔵コンパートメント11の扉112がクローズされ、検査官は、リモート制御ユニット30及び扉ロックユニットを用いて前記貯蔵コンパートメント11の扉112をロックする。
【0065】
これらのステップは、現地オペレータによって実行されるステップを、検査官がビデオ監視システム20を介して観察しながら実行される。これらのステップの間、検査官は、シール要素40がコンテナ50上に正しく取り付けられる前のリーシュ要素12の不正な切断又は切離しを検出するために、リモート制御ユニット30及び制御システム13を介してリーシュ要素12の完全性もモニタリングする。
【0066】
コンテナ50を密封するために、必要とされる量のシール要素40をコンテナ50上に取り付けるために、異なる貯蔵コンパートメント11及びシール要素40に対してこれらのステップが複数回繰り返され得る。
【0067】
本発明のそのような実施形態に係るタンパリング防止システム1は、前述の方法に従って1又は複数のシール要素40によって以前に密封されているコンテナ50を開封するためにも使用され得る。
【0068】
初期状態において、貯蔵ユニット10の貯蔵コンパートメント11のうちの少なくとも1つは空であり、その中に収納されているシール要素40がないことを意味する。空の貯蔵コンパートメント11のリーシュ要素12が貯蔵コンパートメント11のエンクロージャ111内に配置され、貯蔵コンパートメント11の扉112が、貯蔵ユニット10の扉ロックユニットを用いてクローズ位置でロックされている。
【0069】
コンテナ50の開封を開始するために、現地オペレータは、先ず、コンテナ50をビデオ監視システム20の視野21内に、したがって貯蔵ユニット10の周囲の所定の領域14内に、位置決めする。
【0070】
次いで、検査官は、貯蔵コンパートメント11がオープンされることができるように、リモート制御ユニット30を用いて貯蔵ユニット10の空の貯蔵コンパートメント11の扉112をロック解除する。
【0071】
次のステップにおいて、現地オペレータは、先ず、オープンされた貯蔵コンパートメント11からリーシュ要素12を取り出し、次いで、前記リーシュ要素12をコンテナ50上のシール要素40に接続する。図1の貯蔵ユニット10では、リーシュ要素12は、貯蔵コンパートメント11の内側でリーシュ要素12の一端を切り離し、切り離されたリーシュ要素の端をシール要素40に通し、切り離された端を貯蔵コンパートメント11の内側で再度接続することによって、シール要素40に接続される。
【0072】
次いで、シール要素40に接続されたリーシュ要素12と共に、現地オペレータは、コンテナ50を開封するためにコンテナ50からシール要素40を取り外し、取り外されたシール要素40をリーシュ要素12と共に、オープンされた貯蔵コンパートメント11に入れる。次いで、オープンされた貯蔵コンパートメント11の扉112がクローズされ、検査官は、リモート制御ユニット30及び扉ロックユニットを用いて前記貯蔵コンパートメント11の扉112をロックする。
【0073】
このステップの後、検査官は、リモート制御ユニット30、及びシール要素40のステータスモニタリングシステム41を介して、シール要素40のステータスをチェックする。これによって、コンテナ50から取り外されたシール要素40が本当に、上述のようにコンテナ50を密封する処理中に元々コンテナ50上に取り付けられたシール要素40のうちの1つであるかどうかを検査官がチェックすることを可能にする。これによって、コンテナ50からの取り外しの前に、シール要素40の完全性が損なわれていないかどうかを検査官がチェックすることも可能にする。
【0074】
これらのステップは、現地オペレータによって実行されるステップを、検査官がビデオ監視システム20を介して観察しながら実行される。これらのステップの間、検査官は、シール要素40がコンテナ50から取り外されていき、貯蔵ユニット10のオープンされた貯蔵コンパートメント11に収納されていく間、リーシュ要素12の不正な切断又は切離しを検出するために、リモート制御ユニット30及び制御システム13を介してリーシュ要素12の完全性もモニタリングする。
【0075】
これらのステップは、すべてのシール要素40がコンテナ50から取り外されてしまうまで、異なる貯蔵コンパートメント11及びシール要素40に対して複数回繰り返され得る。
【0076】
最後に、後の時点で検査官が物理的に貯蔵ユニット10にいる場合、検査官は、ビデオ監視システム20上で見られているシール要素40が正しいコンテナ50上につけられたことを検証するために、リーシュ要素12がシール要素40に正しく接続されているかどうかをチェックすることができる。
【符号の説明】
【0077】
1 タンパリング防止システム
10 貯蔵ユニット
11 貯蔵コンパートメント
111 エンクロージャ
112 扉
12 リーシュ要素
13 制御システム
14 所定の領域
20 ビデオ監視システム
21 視野
30 リモート制御ユニット
40 シール要素
41 ステータスモニタリングシステム
50 コンテナ
図1
図2