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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-04
(45)【発行日】2022-08-15
(54)【発明の名称】住宅空調システム
(51)【国際特許分類】
   F24F 6/18 20060101AFI20220805BHJP
   F24F 3/14 20060101ALI20220805BHJP
   F24F 3/06 20060101ALI20220805BHJP
   F24F 6/14 20060101ALN20220805BHJP
【FI】
F24F6/18
F24F3/14
F24F3/06
F24F6/14
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021007265
(22)【出願日】2021-01-20
(65)【公開番号】P2022111682
(43)【公開日】2022-08-01
【審査請求日】2021-01-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000244958
【氏名又は名称】木村工機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】木村 恵一
(72)【発明者】
【氏名】浦野 勝博
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 英数
【審査官】▲高▼藤 啓
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-093170(JP,A)
【文献】特開平10-267320(JP,A)
【文献】特開2012-154611(JP,A)
【文献】特開2001-304614(JP,A)
【文献】特開2008-116145(JP,A)
【文献】中国実用新案第210951690(CN,U)
【文献】特許第6974557(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 6/00-6/18
F24F 3/14
F24F 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に熱交換コイル(13)と蒸気加湿器(14)を有すると共に住宅の各部屋の室内(S)に空調用空気を供給する空調ユニット(1)と、前記空調ユニット(1)の前記空調用空気を分流させて前記各部屋に送る送風路(7)と、前記空調ユニット(1)の前記空調用空気を前記室内(S)に吹出す吹出ユニット(3)と、前記空調ユニット(1)の前記空調用空気を前記送風路(7)を介して前記吹出ユニット(3)に送風するファンユニット(2)と、前記空調ユニット(1)の前記熱交換コイル(13)の交換熱量と前記蒸気加湿器(14)の加湿量を制御して前記空調用空気を設定温湿度に調整する制御装置(10)と、を備え、前記蒸気加湿器(14)は、蒸気発生器(26)の水容器(40)内の水に浸漬させた電極(41)間への電圧印加で生じる電流によって蒸気を発生させて加湿し、かつ、前記電圧印加を周期的にON・OFFさせるリレー回路(42)を、備え、前記制御装置(10)は、前記電極(41)の浸漬水位が低くなるにしたがって前記リレー回路(42)の前記電圧印加のON時間をOFF時間よりも長くして設定加湿量となるように前記蒸気の発生量を調整する加湿制御部(31)を、備えたことを特徴とする住宅空調システム。
【請求項2】
熱交換コイル(13)は、熱交換用水が流通する伝熱管群(22)を複数のグループ(G)に分配しかつ前記分配の割合を相違させて成る分流回路(20)を、備え、
前記分流回路(20)の最少分配割合の第1のグループG(G1)の前記熱交換用水の通水量と前記第1グループ(G1)を除いた前記分流回路(20)の第2の前記グループ(G2)の前記熱交換用水の通水量とを別個に調整するバルブ(25)を、備え、
前記伝熱管群(22)が前記熱交換コイル(13)を通る空気の気流方向を横切るように蛇行しつつ前記気流方向に向かって延伸し、かつ、前記気流方向から見たときに、前記第2グループ(G2)と前記第1グループ(G1)が重ならない不重複ゾーン(F1)と、前記第2グループ(G2)と前記第1グループ(G1)が重なる重複ゾーン(F2)と、が積層状に形成され、かつ、前記重複ゾーン(F2)が前記不重複ゾーン(F1)で挟まれるように前記分流回路(20)を構成し、
冷房時に前記熱交換用水を前記熱交換コイル(13)の前記分流回路(20)の前記第1グループG(G1)に通水させて前記第2グループ(G2)に通水させないように前記バルブ(25)を制御する制御装置(10)を、備えた請求項1に記載の住宅空調システム。
【請求項3】
前記吹出ユニット(3)が、前記ファンユニット(2)から送風された前記空調用空気で室内空気を誘引して混合すると共にこの混合空気を前記室内(S)に給気しつつ前記混合空気の熱を放射する誘引放射ユニット(29)、である請求項1又は2に記載の住宅空調システム。
【請求項4】
前記空調ユニット(1)の前記熱交換コイル(13)の伝熱管群(22)を楕円管にて構成した請求項1から3のいずれかに記載の住宅空調システム。
【請求項5】
屋外空気及び室内空気の混合空気と熱交換用水とをヒートポンプを介して熱交換して前記熱交換用水の温度を調整する熱源装置(9)を、備えた請求項1から4のいずれかに記載の住宅空調システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は住宅空調システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1のように住宅の天井に冷温水式の放射空調機を設けて、各部屋の室内を空調する住宅空気システムが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-67200号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この放射空調機は、加湿機能がないため室内の湿度が成り行きになる問題があった。また、近年、在宅ワークが急増するなかで、住宅空気システムのさらなる快適性と省エネ性の向上の要求が高まっている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記課題を解決するため、内部に熱交換コイルと蒸気加湿器を有すると共に住宅の各部屋の室内に空調用空気を供給する空調ユニットと、前記空調ユニットの前記空調用空気を分流させて前記各部屋に送る送風路と、前記空調ユニットの前記空調用空気を前記室内に吹出す吹出ユニットと、前記空調ユニットの前記空調用空気を前記送風路を介して前記吹出ユニットに送風するファンユニットと、前記ファンユニットの送風量の増減により室内温度を調整する風量スイッチと、前記空調ユニットの前記熱交換コイルの交換熱量と前記蒸気加湿器の加湿量を制御して前記空調用空気を設定温湿度に調整する制御装置と、を備え、前記蒸気加湿器が、前記空調ユニットの下部に設けた蒸気発生器と、前記空調ユニットの上部に設けた加湿ノズルと、前記蒸気発生器と前記加湿ノズルを上下に連通連結して下から上に向かって蒸気を送る蒸気ホースと、を備えたことを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明によれば、空調ユニットが熱交換コイルと蒸気加湿器を有しているので室内の温湿度制御ができ快適性が向上する。1つのファンユニットが故障しても、それ以外の室内空調を継続可能なので、リスクを最小限に抑え、かつ、住宅全体の空調を止めずに故障対応でき、住宅の全館空調に好適である。一般的な電極式蒸気加湿器の加湿量(蒸気発生量)は水に触れる電極の表面積(浸漬水位)を給排水により増減させることで電流値を変化させて制御しており、蒸気発生等に伴って電極の浸漬水位が増減して電流値が変化すると蒸気発生量も変動し、加湿量が安定せず制御性が悪くなるが、本発明では電極の浸漬水位が増減して電流値が変化しても、加湿制御部によって蒸気発生量が安定するので設定加湿量と実加湿量の差が少なくなり、高精度に加湿量を制御できる。しかも、無接点の半導体リレーなので長寿命で信頼性が高い。
【0007】
請求項2の発明によれば、冷房時に熱交換用水を熱交換器の分流回路の第1グループに通水させて第2グループに通水させないようにし、重複ゾーンで過冷却除湿した空気を、前記過冷却除湿空気よりも高温の不重複ゾーンのバイパス空気で再熱し、不快な冷感がないドライエアーを得ることができる。このとき、重複ゾーンが不重複ゾーンで積層状に挟まれるので、過冷却除湿空気とバイパス空気の接触時間が長くなり、混合が促進されて確実に再熱することができる。そのため、湿度が高くてジメジメする中間期でも、コールドドラフトのないカラッとした気流で空調ができ快適性が向上する。しかも、バイパスダンパ等の機器が不要でコストダウンとコンパクト化を図れる。
【0008】
請求項3の発明によれば、吹出ユニットで空調用空気と室内空気を誘引混合して、混合空気の温度を室内の温度に近づけることができるため、冷房時はコールドドラフトがなくて結露防止効果が得られ、暖房時は室内上部の熱溜りと室内温度ムラの抑制を図れる。誘引放射ユニットの熱放射の作用によりドラフト感や温度ムラがなく快適性が向上する。
【0009】
請求項4の発明によれば、伝熱管群の通風抵抗が小さくてさらに省エネとなり、熱交換効率が向上するので、熱交換コイル及び空調ユニットの小型化を図れる。
請求項の発明によれば、熱源装置が、エクセルギーの高い室内空気を混ぜて熱源用空気として利用するので、デフロスト運転の軽減と熱交換用水の温度調整能力の高効率化を図れる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の住宅空調システムを正面から見た簡略説明図である。
図2】空調ユニットの側面断面図である。
図3】熱交換コイルを示す斜視図である。
図4図3のD矢視の簡略説明図である。
図5図3のE矢視の簡略説明図である。
図6】誘引放射ユニットの斜視図である。
図7】誘引放射ユニットの断面図である。
図8】蒸気加湿器の説明図である。
図9】蒸気加湿器の加湿制御の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0011】
図1図2は本発明の住宅空調システムの一実施例で、この住宅空調システムは、空調ユニット1、ファンユニット2、吹出ユニット3、風量スイッチ4、空調スイッチ5、排気ファン6、送風路7、水配管8、熱源装置9及び制御装置10を備えている。空調ユニット1は住宅内の所定場所に設置し、ファンユニット2及び吹出ユニット3は各部屋に分散設置する。住宅は、一戸建住宅やマンションなどの集合住宅が該当する。
【0012】
送風路7は、分岐チャンバ11及び送風ダクト12を備えている。この送風路7にて、空調ユニット1とファンユニット2、ファンユニット2と吹出ユニット3、排気ファン6と熱源装置9、の間で空気が流れるように接続する。室内空気(還気)、屋外空気(外気)、給気、排気などの空気の流れる方向は太い点線の矢印で図示する。図中の符号RAは室内空気、OAは屋外空気、SAは空調用空気(給気)、EAは排気を示し、住宅Hの内壁、外壁、床、天井等に穴部(図示省略)を設けて、これらの空気が通るようにする。
【0013】
空調ユニット1は、二部屋以上の住宅の各部屋の室内Sに、送風路7、ファンユニット2及び吹出ユニット3を介して、空調用空気を供給する。空調ユニット1は、ケーシングの内部に熱交換コイル13、蒸気加湿器14及びフィルタ15を備えており、設置面積をとらない縦長形状にする。図例では、1台のファンユニット2に2台の吹出ユニット3を接続した例と、1台のファンユニット2に1台の吹出ユニット3を接続した例と、を示しているが接続台数の増減や、分岐チャンバ11の省略も自由である。
【0014】
空調ユニット1の上下中間部には、室内空気を取入れる還気口16と、送風ダクト12を介して屋外空気を取入れる外気口17と、を設ける。還気口16及び外気口17から空調ユニット1の内部に取入れた室内空気と屋外空気は、フィルタ15及び熱交換コイル13を通過して、空調ユニット1の上面に設けた給気口18から空調ユニット1の外部へ出る。熱交換コイル13は、空調ユニット1の上部に設け、内部を流れる熱交換用水で、室内空気と屋外空気の混合空気を冷却又は加熱する。
【0015】
ファンユニット2は、ケーシング内に送風ファンを設けたもので、送風路7を介して室内空気と屋外空気の一方又は両方(図例では両方)を空調ユニット1に取込んで熱交換コイル13の熱交換用水で熱交換して空調用空気として吹出ユニット3に送風する。ファンユニット2の送風量の増減は、公知のインバーターモータによる方式や、公知の多段階切換モータによる方式を用いるが、コストや設備の簡略化の点から多段階切換モータ方式が好適である。風量スイッチ4は各部屋に設け、ファンユニット2の送風量の増減により室内温度を調整する。
【0016】
図3から図5に示すように、熱交換コイル13は、フィン群19と分流回路20とを備えている。フィン群19は、空気が通る隙間をあけて配置した多数のプレートフィン21から成る。分流回路20は、熱交換用水が通水される伝熱管群22を複数のグループGに分配しかつ一部又は全部のグループGの熱交換用水の限界通水量(熱交換量)の割合が異なるように分配して構成する。たとえば、太い一点鎖線で示す第1のグループG(G1)と、細い一点鎖線で示す第2のグループG(G2)と、に分け、第1グループG1は最少の限界通水量となるように構成し、第1グループG1を除いた第2グループG2は、第1グループG1よりも限界通水量が多くなるように構成する。
【0017】
第1グループG1の熱交換用水の入口は第1の分岐ヘッダ23に接続し、第2グループG2の熱交換用水の入口は第2の分岐ヘッダ23に接続する。第1グループG1と第2グループG2の熱交換用水の出口は両方とも合流ヘッダ24に接続する。分岐ヘッダ23はバルブ25を介して水配管8の往管に接続し、合流ヘッダ24は水配管8の還管に接続する。バルブ25は、第1グループG1の熱交換用水の通水量と、第2グループG2の熱交換用水の通水量とを別個に調整する。
【0018】
伝熱管群22は、熱交換コイル13を通る空気の気流方向を横切るように蛇行しつつ前記気流方向に向かって延伸し、かつ、前記気流方向から見たときに、第2グループG2と第1グループG1が重ならない不重複ゾーンF1と、第2グループG2と第1グループG1が重なる重複ゾーンF2と、が積層状に形成され、かつ、重複ゾーンF2が不重複ゾーンF1で挟まれるように分流回路20を構成する。伝熱管群22はフィン群19と接続する。伝熱管群22の直管部は楕円管にて構成するのが望ましいが円形管としてもよい。なお、図例では分流回路20のグループGを2つのグループG1とG2に分配しているが、3つ以上のグループGに分配してそのうちの1つのグループGを最少限界通水量とするも自由である。
【0019】
図1から図5に示すように、熱交換用水は、熱源装置9にて、屋外空気及び室内空気の混合空気と、熱交換用水と、を内蔵のヒートポンプ(図示省略)を用いて熱交換して熱交換用水の温度を調整し、冷房用の冷水又は暖房用の温水にする。この冷水と温水を季節に応じて切換えて水配管8を介して熱交換コイル13と熱源装置9の間で循環させる。熱源装置9は屋外に設置し、排気ファン6と送風ダクト12を介して、室内からの排気(室内空気)を取り入れる。
【0020】
蒸気加湿器14は、室内Sに給気される空調用空気を蒸気で加湿する。蒸気加湿器14は、空調ユニット1の下部に設けられて蒸気を発生させる蒸気発生器26と、空調ユニット1の上部に設けられて熱交換コイル13を通過した空調用空気に蒸気を放出する加湿ノズル27と、蒸気発生器26と加湿ノズル27を上下に連通連結して下から上に向かって蒸気を送る蒸気ホース28と、を備えている。
【0021】
このように縦長形状の空調ユニット1の内部空きスペースを有効活用して蒸気加湿器14を収める。空調ユニット1の上面の給気口18から空調用空気と蒸気が出るように構成してあるので、蒸気の上昇する力を利用して空調用空気と蒸気の混合を促進し、蒸発吸収距離を短くできる。そのため、加湿効率が良くて飽和効率を高めることができ、湿度制御範囲が広がって快適性が向上する。
【0022】
制御装置10は、空調ユニット1の熱交換コイル13の交換熱量と蒸気加湿器14の加湿量を制御して空調用空気を設定温湿度に調整すると共に、冷房時に熱交換用水を熱交換コイル13の分流回路20の第1グループG(G1)に流通させて第2グループG2に流通させないようにバルブ25を制御する。例えば、空調ユニット1に取入れる還気の温湿度を図示省略のセンサーで検出し、この検出温湿度が設定温湿度となるように制御する。
【0023】
制御装置10は、加湿制御部31、空調負荷対応部32と、熱源装置9と空調ユニット1の運転・停止と空調用空気の温湿度を設定する空調スイッチ5と、を備える。バルブ25は通水量(弁開度)を無段階に調整することができる電動の比例制御弁とし、分流回路20のグループGごとに設ける。空調負荷対応部32は、室内Sが低空調負荷の場合に分流回路20の最少限界通水量の第1グループG1で熱交換水の通水量を増減させる。
【0024】
空調負荷対応部32は、高空調負荷の場合に全グループGで熱交換用水の通水量を増減させると共に、高空調負荷と低空調負荷域との間の通常空調負荷の場合に第2グループG2で熱交換用水の通水量を増減させる。これにより真夏や真冬などのように最大の熱交換量が必要となる高空調負荷の場合から、中間期などのように僅少な熱交換量で足りる低空調負荷の場合まで幅広く対応できる。
【0025】
吹出ユニット3は、ファンユニット2から送風された空調用空気を室内Sに吹出す。吹出ユニット3は、誘引放射ユニット29や誘引レジスタ30、従来公知の空気吹出口を用いる。誘引放射ユニット29は、ファンユニット2から送風された空調用空気で室内空気を誘引して混合すると共にこの混合空気を室内Sに給気しつつ混合空気の熱を放射する。誘引レジスタ30は、ファンユニット2から送風された空調用空気で室内空気を誘引して混合すると共にこの混合空気を室内Sに給気する。
【0026】
図6図7に示すように、誘引放射ユニット29は、空気供給部33、空気誘引部34及び空気混合部35を備え、天井板の開口部から空気混合部35の底面を室内Sに向けた状態で設置する。空気供給部33はファンユニット2から送風された空調用空気を噴流し、空気誘引部34は噴流空気の誘引作用にて室内Sの還気を引き込んで空調用空気と混合する。空気混合部35は、混合空気の熱を蓄熱するプレート36と貫孔37の群を備え、貫孔37を介してプレート36から熱を室内Sへ放射しつつ混合空気を室内Sへ放出する。
【0027】
図8に示すように、蒸気加湿器14は電極式とする。蒸気発生器26は、水容器40、電極41、リレー回路42、給水部43と、排水部44を、備えている。水容器40の内部には、複数の電極41…を隔てて設け、加湿用の水を入れて電極41…を浸漬させる。この電極41…間に電圧印加して電流を発生させ、電流値に応じた量の加湿用蒸気をジュール熱で発生させて加湿する。
【0028】
水容器40で発生させた加湿用の蒸気は、蒸気ホース28を介して管状の加湿ノズル27から放出する。給水部43は、水容器40へ水を送る給水管45に電磁弁46を設けて成り、電磁弁46を介して水を給水する。排水部44は、水容器40から水を排出する排水管47にポンプ48を設けて成り、ポンプ48で排水する。
【0029】
リレー回路42は、ソリッドステートリレーなどの無接点の半導体リレー等で構成し、電圧印加を周期的にON・OFFさせる。加湿制御部31は、電流値検出器49、水位検出器50及び設定器51を備え、電極41の浸漬水位と、電圧印加のON・OFF時間と、を制御する。
【0030】
電流値検出器49は、電極41間に流れる電流値を検出する。水位検出器50は、水容器40の浸漬水位を検出する。加湿量、電極41の浸漬上限水位及び浸漬下限水位等の設定は、設定器51で行う。浸漬上限水位と浸漬下限水位は、設定加湿量を超える蒸気を発生させる電流値となるように設定する。
【0031】
図8図9に示すように、加湿制御部31によって、電極41の浸漬下限水位から浸漬上限水位になるまで給水を続け、浸漬上限水位から浸漬下限水位になるまで給水を停止する。このサイクルを蒸気加湿器14の稼働中繰り返す。稼働中は、電圧印加による蒸気発生に伴い電極41の浸漬水位が低くなるにしたがって、リレー回路42の電圧印加のON時間をOFF時間よりも長くして設定加湿量となるように蒸気発生量を調整する。
【0032】
なお、本発明は上述の実施例に限定されない。例えば、空調ユニット1を、外気が入る住宅の物置部屋などに設置して、空調ユニット1に外気を直接導入し、室内空気をダクトを介して導入するように構成してもよい。また、蒸気加湿器14の電極41の数の増減や位置、形状などの構造を変更したり、リレー回路42を、電磁開閉器等で構成してもよい。
【符号の説明】
【0033】
1 空調ユニット
2 ファンユニット
3 吹出ユニット
4 風量スイッチ
7 送風路
9 熱源装置
10 制御装置
13 熱交換コイル
14 蒸気加湿器
20 分流回路
22 伝熱管群
26 蒸気発生器
27 加湿ノズル
28 蒸気ホース
29 誘引放射ユニット
31 加湿制御部
32 空調負荷対応部
F1 不重複ゾーン
F2 重複ゾーン
G グループ
S 室内
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9