(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-04
(45)【発行日】2022-08-15
(54)【発明の名称】電子ウォーターポンプ及びそのハウジングアセンブリ
(51)【国際特許分類】
F04D 29/42 20060101AFI20220805BHJP
F04D 13/06 20060101ALI20220805BHJP
F04D 29/22 20060101ALI20220805BHJP
【FI】
F04D29/42 B
F04D13/06 E
F04D29/22 A
F04D29/42 F
(21)【出願番号】P 2021518843
(86)(22)【出願日】2019-07-08
(86)【国際出願番号】 CN2019094988
(87)【国際公開番号】W WO2020042761
(87)【国際公開日】2020-03-05
【審査請求日】2020-12-16
(31)【優先権主張番号】201811014637.0
(32)【優先日】2018-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201821424766.2
(32)【優先日】2018-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520496327
【氏名又は名称】▲広▼▲東▼威▲靈▼汽▲車▼部件有限公司
【氏名又は名称原語表記】GUANGDONG WELLING AUTO PARTS CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Building No.1, No.21 Gangqian Road, Beijiao Residential Council Industrial Park, Beijiao, Shunde Foshan, Guangdong 528311, CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100205785
【氏名又は名称】▲高▼橋 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100203297
【氏名又は名称】橋口 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100135301
【氏名又は名称】梶井 良訓
(72)【発明者】
【氏名】王 ▲東▼
(72)【発明者】
【氏名】葛 笑
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼ ▲華▼江
【審査官】大瀬 円
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0271280(US,A1)
【文献】国際公開第2013/114431(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第105656221(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第104061169(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 29/42
F04D 13/06
F04D 29/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子ウォーターポンプのハウジングアセンブリであって、
前記ハウジングアセンブリは、ステータアセンブリと、回転シャフトと、シャフトベースと、ハウジング射出成形体とを含み、
前記ステータアセンブリは、一体に射出成形されてなり、
前記ハウジングアセンブリは、2次射出成形されてなり、
前記回転シャフトと前記シャフトベースそれぞれは、前記ハウジング射出成形体の内部に嵌め込まれ、前記ステータアセンブリは、前記ハウジング射出成形体の内部に包まれてセルフシールを形成し、
前記ステータアセンブリは、
挿入ピンと、巻線と、絶縁フレームと、ステータコアと
、少なくとも前記ステータコアの外面を覆うステータ射出成形体
と、を含み、
前記絶縁フレームは、前記ステータコアを包み、
前記巻線は、前記絶縁フレームの歯部に巻き付けられ、
前記挿入ピンは、前記絶縁フレームの溝内に固定され、
前記ステータ射出成形体は、前記ステータアセンブリの外周が前記ステータ射出成形体で被覆されるように、前記挿入ピンと、前記巻線と、前記絶縁フレームと、前記ステータコアとを包み込んで締め付け、
前記ハウジング射出成形体の材料強度は、前記ステータ射出成形体の材料強度よりも大きい電子ウォーターポンプのハウジングアセンブリ。
【請求項2】
前記ステータアセンブリは、熱硬化性材料であるステータ射出成形体を含み、
前記熱硬化性材料は、前記ハウジング射出成形体の射出成形温度以上の硬化性変形温度を有する請求項1に記載の電子ウォーターポンプのハウジングアセンブリ。
【請求項3】
前記ステータアセンブリは、ステータ射出成形体を含み、
前記ステータ射出成形体は、熱硬化性材料であり、
前記ハウジング射出成形体は、PPS材料である請求項1に記載の電子ウォーターポ
ンプのハウジングアセンブリ。
【請求項4】
水動力部と、ブラシレスモータ部と、制御部と、を含む電子ウォーターポンプであって、前記水動力部は、ポンプハウジングと、インペラと、を含み、
前記ブラシレスモータ部は、ロータと、請求項1~
3のいずれか一項に記載のハウジングアセンブリと、を含み、
前記制御部は、制御基板と、リアエンドカバーと、を含み、
前記ブラシレスモータ部は、前記水動力部と前記制御部との間に装着される電子ウォーターポンプ。
【請求項5】
前記インペラと前記ロータとが一体に射出成形されてインペラロータアセンブリとなる請求項
4に記載の電子ウォーターポンプ。
【請求項6】
前記インペラは、インペラ本体と、ブレードとを含み、
前記ロータは、ロータコアと、磁鋼と、ブッシュと、を含み、
前記ロータコアには磁鋼スロットが設けられ、前記磁鋼が前記磁鋼スロット内に取り付けられ、
前記ロータコア及び前記磁鋼は、前記インペラ本体の内部に封着されて第1のインペラロータアセンブリとなり、
前記ブッシュは、前記第1のインペラロータアセンブリの中に2次射出成形されて、
第2のインペラロータアセンブリとなり、
前記第2のインペラロータアセンブリは、前記ブレードと連結されて、前記インペラロータアセンブリとなる請求項
5に記載の電子ウォーターポンプ。
【請求項7】
前記ブレードが射出成形体であり、前記第2のインペラロータアセンブリと前記ブレードは超音波により一体に溶接される請求項
6に記載の電子ウォーターポンプ。
【請求項8】
前記ブッシュの耐摩耗性は、前記インペラ本体の耐摩耗性よりも優れる請求項
6に記載の電子ウォーターポンプ。
【請求項9】
前記ハウジングアセンブリの前記ハウジング射出成形体の前端と前記ポンプハウジングとの間に、第1のシールリングが装着されて、密閉された液圧キャビティを形成し、
前記ハウジングアセンブリの前記ハウジング射出成形体の後端と前記リアエンドカバーとの間に、第2のシールリングが装着されて、密閉された電気制御チャンバを形成する請求項
4~
8のいずれか一項に記載の電子ウォーターポンプ。
【請求項10】
前記水動力部と前記ブラシレスモータ部はネジ止めにより連結され、前記ブラシレスモータ部と前記制御部はネジ止めにより連結される請求項
4~
8のいずれか一項に記載の電子ウォーターポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2018年08月31日に中国特許庁に提出された、出願番号が201811014637.0であり、発明の名称が「電子ウォーターポンプ及びそのハウジングアセンブリ」である中国特許出願、及び2018年08月31日に中国特許庁に提出された、出願番号が201821424766.2であり、発明の名称が「電子ウォーターポンプ及びそのハウジングアセンブリ」である中国特許出願の優先権を主張し、その内容の全てを援用することにより本願に取り入れる。
【0002】
本願は、電子ウォーターポンプの技術分野に関し、具体的には、電子ウォーターポンプのハウジングアセンブリ及びそのハウジングアセンブリを含む電子ウォーターポンプに関する。
【背景技術】
【0003】
エネルギー節約の大きな環境に鑑み、現代の高級自動車及び電気自動車は、従来の機械式ウォーターポンプの代わりに、電子冷却ウォーターポンプを使用することが多く、電子ウォーターポンプは、従来のウォーターポンプよりも制御精度が高く、効率が高いという利点を有する。従来の電子ウォーターポンプは、ステータがハウジングに装着され、ロータとインペラが水動力部にあり、ステータとロータとの間に隔離スリーブを有し、シール機能を果たし、従来の電子ウォーターポンプは、部材が多く、組立が複雑で、コストが高い。
【0004】
従来技術において、電子ウォーターポンプのモータ構造を開示し、ステータアセンブリは、スピンドルと、電機子と、リアスラストワッシャと、ステータ射出成形層とを含み、電機子、スピンドル、及びリアスラストワッシャは、一体に射出成形され、ステータ射出成形層は、モータハウジング、エンドカバー、及びステータ隔離スリーブの役割を有し、ステータ射出成形層は、BMC熱硬化性モールディングコンパウンドブロックであり、以下のような弊害がある。即ち、1)ステータ射出成形層は、BMC熱硬化性モールディングコンパウンドブロックを用い、強度が低く、モータハウジングの強度要件を満たすことができないこと、2)ステータ射出成形層の体積が大きく、射出成形の時間が長く、ステータ射出成形層の内部に包まれた巻線などに損傷を与えやすいこと、及び3)ステータ射出成形層に、強度が高いPPS材料を用いると、製造コストが増加することである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願は、上記技術的課題の少なくとも1つを解決することを目的とする。
【0006】
そのため、本願の第1の態様の目的は、電子ウォーターポンプのハウジングアセンブリを提供することである。
【0007】
本願の第2の態様の目的は、上記ハウジングアセンブリを含む電子ウォーターポンプを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本願の技術的手段は、電子ウォーターポンプのハウジングアセンブリを提供し、ハウジングアセンブリは、ステータアセンブリと、ハウジング射出成形体とを含み、ステータアセンブリは、一体に射出成形されてなり、ハウジングアセンブリは、2次射出成形されてなり、ステータアセンブリは、ハウジング射出成形体の内部に包まれてセルフシールを形成する。
【0009】
上記目的を達成するために、本願の技術的手段は、電子ウォーターポンプのハウジングアセンブリをさらに提供し、ハウジングアセンブリは、ステータアセンブリと、回転シャフトと、シャフトベースと、ハウジング射出成形体とを含み、ステータアセンブリは、一体に射出成形されてなり、ハウジングアセンブリは、2次射出成形されてなり、回転シャフトとシャフトベースは、いずれもハウジング射出成形体の内部に嵌め込まれ、ステータアセンブリは、ハウジング射出成形体の内部に包まれてセルフシールを形成する。
【0010】
本願の上記いずれかの技術的手段にて提供される電子ウォーターポンプのハウジングアセンブリは、ステータアセンブリを一体に射出成形し、さらにステータアセンブリとハウジング射出成形体(即ち、モータのハウジング)を2次射出成形し、ロータとセルフシール作用を実現し、ステータとロータとのエアギャップの間の隔離スリーブを省略し、ハウジング材料コストを低減すると共に、電子ウォーターポンプの組み立て工程を簡素化し、且つステータアセンブリの剛性を向上させ、電子ウォーターポンプの騒音改善に有利であり、電子ウォーターポンプの運転の確実性を高めるため、上記技術的手段の電子ウォーターポンプのハウジングアセンブリは、取り付け工程、コスト及び性能において共に明らかな優位性を有する。
【0011】
次に、ステータアセンブリを一体に射出成形してから、ハウジングアセンブリを2次射出成形することで、ステータアセンブリを射出するステータ射出成形体は、ハウジング射出成形体よりも低いコストの射出材料を使用することができる。これにより、従来技術のステータ射出成形層をモータハウジングとして使用する場合に比べて、上記技術的手段は、材料コストを節減し、さらに、ステータ射出成形体とハウジング射出成形体とを別々に射出成形することで、ステータ射出成形体の体積が小さく、射出成形時間が短く、ステータ射出成形体を射出する際にステータ射出成形体内部の巻線などの部材に損傷を与えることがなく、電子ウォーターポンプの性能の確実性を確保する。
【0012】
また、本願の上記技術的手段にて提供される電子ウォーターポンプのハウジングアセンブリは、以下のような付加的な技術的特徴を有してもよい。
【0013】
上記技術的手段において、好ましくは、ステータアセンブリは、挿入ピンと、巻線と、絶縁フレームと、ステータコアと、ステータ射出成形体とを含み、絶縁フレームは、ステータコアを包み、巻線は、絶縁フレームの歯部に巻き付けられ、挿入ピンは、絶縁フレームの溝内に固定され、ステータ射出成形体は、挿入ピンと、巻線と、絶縁フレームと、ステータコアとを包み込んで締め付ける。
【0014】
ステータアセンブリ全体をステータ射出成形体で包み込んで締め付けることで、ステータアセンブリ全体を一体に射出成形する。
【0015】
上記技術的手段において、好ましくは、ステータアセンブリは、熱硬化性材料であるステータ射出成形体を含み、熱硬化性材料は、ハウジング射出成形体の射出成形温度以上の硬化性変形温度を有する。
【0016】
ステータ射出成形体は、熱硬化性材料、好ましくはBMC熱硬化性材料を使用し、材料コストが低く、熱硬化性材料の硬化性変形温度は、ハウジングアセンブリの2次射出成形時に1次射出成形されたステータ射出成形体を溶融させるリスクを回避するために、ハウジング射出成形体の射出成形温度以上である。
【0017】
上記技術的手段において、好ましくは、ステータアセンブリは、ステータ射出成形体を含み、ステータ射出成形体は、熱硬化性材料であり、ハウジング射出成形体は、PPS材料である。
【0018】
ステータ射出成形体は、コストが比較的低い熱硬化性材料、好ましくはBMC熱硬化性材料を使用し、ハウジング射出成形体は、強度が比較的高いPPS材料を使用することで、ハウジング射出成形体の強度を確保しつつ、材料コストを節約することができる。
【0019】
上記技術的手段において、好ましくは、ステータアセンブリは、ステータ射出成形体を含み、ハウジング射出成形体の材料強度は、ステータ射出成形体の材料強度よりも大きい。
【0020】
当該技術的手段において、ステータアセンブリを一体に射出成形してから、ハウジングアセンブリを2次射出成形する。これにより、ステータアセンブリを射出するステータ射出成形体とハウジングアセンブリを射出するハウジング射出成形体とは、異なる射出材料を使用することができ、ハウジング射出成形体に要求される強度が高く、コストの高い射出材料を使用することができ、ステータ射出成形体に要求される強度が低く、コストの低い射出材料を使用することができる。従来技術のステータ射出成形層をモータハウジングとして使用する場合に比べて、ハウジング射出成形体の強度を確保しつつ、材料コストを節減することができる。
【0021】
本願の第2の態様の技術的手段は、水動力部と、ブラシレスモータ部と、制御部とを含む電子ウォーターポンプを提供し、水動力部は、ポンプハウジングと、インペラとを含み、ブラシレスモータ部は、ロータと、上記いずれかの技術的手段に記載のハウジングアセンブリとを含み、制御部は、制御基板と、リアエンドカバーとを含み、ブラシレスモータ部は、水動力部と制御部との間に装着される。
【0022】
本願の上記技術的手段にて提供される電子ウォーターポンプは、上記いずれかの技術的手段のハウジングアセンブリを含むため、上記いずれかの技術的手段のハウジングアセンブリの有益な効果を有する。
【0023】
上記技術的手段において、好ましくは、インペラとロータとが一体に射出成形されてインペラロータアセンブリとなる。
【0024】
水動力部のインペラとブラシレスモータ部のロータとを一体に射出成形し、ポンプハウジングとハウジングの内部にそれぞれ装着することで、インペラロータアセンブリの製造が容易で、低コスト化が図られる。
【0025】
上記技術的手段において、好ましくは、インペラは、インペラ本体と、ブレードとを含み、ロータは、ロータコアと、磁鋼と、ブッシュとを含み、ロータコアには磁鋼スロットが設けられ、磁鋼が磁鋼スロット内に取り付けられ、ロータコア及び磁鋼は、インペラ本体の内部に封着されて第1のインペラロータアセンブリとなり、ブッシュは、第1のインペラロータアセンブリの中に2次射出成形されて、第2のインペラロータアセンブリとなり、第2のインペラロータアセンブリは、ブレードと連結されて、インペラロータアセンブリとなる。
【0026】
当該技術的手段のインペラロータアセンブリは、インペラと、ロータとの2つの部分を含み、インペラは、インペラ本体と、ブレードとを含み、ロータは、コアと、磁鋼と、ブッシュとを含み、インペラロータアセンブリは、インペラ本体を射出成形する第1の射出成形工程と、ブッシュを射出成形する第2の射出成形工程により成形され、インペラ本体がブッシュよりも安価な材料で作製することできる。これにより、ブッシュがインペラ本体と一体に射出成形されるインペラロータアセンブリと比較して、製造コストを節約することができる。次に、コア、磁鋼がインペラ本体内に封着され、粘着が強固であり、ブッシュは、体積が小さく、重量が軽く、インペラロータアセンブリが回転する際に、ブッシュを回転させるためのトルクが小さく、ブッシュが滑りにくい。さらに、インペラ本体の体積が大きく、ブッシュの体積が小さく、ブッシュを射出するときの速度が速く、第1のインペラロータアセンブリに影響を与えず、つまり、ブッシュを2次射出成形するとき、1次射出成形されたインペラ本体を溶融しないため、コアと磁鋼が変位するリスクを良好に回避する。
【0027】
上記技術的手段において、好ましくは、ブレードが射出成形体であり、第2のインペラロータアセンブリとブレードは超音波により一体に溶接される。
【0028】
インペラは、超音波溶接工程により成形され、ブレードと第2のインペラロータアセンブリは超音波により一体に溶接され、インペラ一体射出成形の射出金型は、構造が複雑でメンテナンスコストが高いため、インペラをインペラ本体とブレードの2つの部材に分けて別々に射出成形し、さらに超音波で溶接して成形され、射出金型の構造がシンプルで、射出金型のメンテナンスコストを大幅に低減させる。
【0029】
上記技術的手段において、好ましくは、ブッシュの耐摩耗性は、インペラ本体の耐摩耗性よりも優れる。
【0030】
インペラロータアセンブリは、インペラ本体を射出成形する第1の射出成形工程と、ブッシュを射出成形する第2の射出成形工程により成形される。これにより、インペラ本体とブッシュをそれぞれ射出成形する時に、異なる射出材料を用いることができ、インペラ本体を射出する材料は、高強度、耐酸耐アルカリ性であることが要求され、ブッシュを射出する材料は、耐摩耗、高強度、耐酸耐アルカリ性であることが要求され、ブッシュを射出することに用いる材料は、高コストであり、インペラ本体を射出することに用いる材料は、低コストであり、ブッシュとインペラ本体が一体に射出成形されるインペラロータアセンブリと比較して、製造コストを節減することができる。
【0031】
上記いずれかの技術的手段において、好ましくは、ハウジングアセンブリのハウジング射出成形体の前端とポンプハウジングとの間に、第1のシールリングが装着されて、密閉された液圧キャビティを形成し、ハウジングアセンブリのハウジング射出成形体の後端とリアエンドカバーとの間に、第2のシールリングが装着されて、密閉された電気制御チャンバを形成する。
【0032】
制御部の制御基板は、ハウジングとリアエンドカバーで囲まれた電気制御チャンバの内部に装着され、ブラシレスモータ部は、水動力部と制御部との間に装着され、ブラシレスモータ部のステータアセンブリが一体に射出成形されてなり、且つハウジングと2次射出成形され、ブラシレスモータ部のハウジングとポンプハウジング、ブラシレスモータ部のハウジングとリアエンドカバーとの間にはシールリングがそれぞれ装着され、この電子ウォーターポンプの密閉が図られる。
【0033】
上記いずれかの技術的手段において、好ましくは、水動力部とブラシレスモータ部はネジ止めにより連結され、ブラシレスモータ部と制御部はネジ止めにより連結され、組み立てやすく、連結が強固となる。
【0034】
本願の付加的な態様及び利点は、以下の説明によって明確になり、又は本願を実施することで理解できる。
【0035】
本願の上記及び/又は付加的な態様及び利点は、下記の図面を参照した実施例を説明することで明確になり、容易に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】本願の一実施例に係るステータアセンブリの断面構造の模式図である。
【
図2】本願の一実施例に係るハウジングアセンブリの断面構造の模式図である。
【
図3】本願の一実施例に係る電子ウォーターポンプの断面構造の模式図である。
【
図4】本願の一実施例に係るインペラロータアセンブリの断面構造の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本願の上記目的、特徴及び利点をより明確に理解できるように、以下、図面及び具体的な実施形態を参照しながら本願についてさらに詳しく説明する。なお、矛盾しない限り、本願の実施例及び実施例における特徴を互いに組み合わせることができる。
【0038】
本願を十分に理解するために、下記の説明において多くの具体的な詳細を説明するが、本願は、ここで説明する形態と異なる形態で実施することもできるので、本願の保護範囲は以下で開示する具体的な実施例に限定されない。
【0039】
以下、
図1~
図4を参照しながら本願のいくつかの実施例に係る電子ウォーターポンプ及びそのハウジングアセンブリについて説明する。
【0040】
図2及び
図3に示すように、本願のいくつかの実施例にて提供される電子ウォーターポンプのハウジングアセンブリ1は、ステータアセンブリ11と、回転シャフト12と、シャフトベース13と、ハウジング射出成形体14とを含み、ステータアセンブリ11は、一体に射出成形されてなり、ハウジングアセンブリ1は、2次射出成形されてなり、回転シャフト12とシャフトベース13は、締り嵌めされ、回転シャフト12及びシャフトベース13は、いずれもハウジング射出成形体14の内部に嵌め込まれ、ステータアセンブリ11は、ハウジング射出成形体14の内部に包まれてセルフシールを形成する。
【0041】
本願の上記実施例にて提供される電子ウォーターポンプのハウジングアセンブリ1は、ステータアセンブリ11を一体に射出成形し、さらにステータアセンブリ11とハウジングを2次射出成形し、ロータとセルフシール作用を実現し、ステータとロータとのエアギャップの間の隔離スリーブを省略し、ハウジング材料コストを低減すると共に、電子ウォーターポンプの組み立て工程を簡素化し、且つステータアセンブリ11の剛性を向上させ、電子ウォーターポンプの騒音改善に有利であり、電子ウォーターポンプの運転の確実性を高めるため、上記技術的手段の電子ウォーターポンプのハウジングアセンブリ1は、取り付け工程、コスト及び性能において共に明らかな優位性を有する。
【0042】
次に、ステータアセンブリ11を一体に射出成形してから、ハウジングアセンブリ1を2次射出成形する。これにより、ステータアセンブリ11を射出するステータ射出成形体114と、ハウジングアセンブリ1を射出するハウジング射出成形体14とは、異なる射出材料を使用することができ、ハウジング射出成形体14に要求される強度が高く、コストの高い射出材料を使用することができ、ステータ射出成形体114に要求される強度が低く、コストの低い射出材料を使用することができる。従来技術のステータ射出成形層をモータハウジングとして使用する場合に比べて、上記技術的手段は、ハウジング射出成形体14の強度を確保しつつ、材料コストを節減し、さらに、ステータ射出成形体114とハウジング射出成形体14とを別々に射出成形することで、ステータ射出成形体114の体積が小さく、射出成形時間が短く、ステータ射出成形体114を射出する際にステータ射出成形体114の内部の巻線112などの部材に損傷を与えることがなく、電子ウォーターポンプの性能の確実性を確保する。
【0043】
本願の一実施例において、
図1に示すように、ステータアセンブリ11は、挿入ピン111と、巻線112と、絶縁フレーム115と、ステータコア113と、ステータ射出成形体114とを含み、絶縁フレーム115は、ステータコア113を包み、巻線112は、絶縁フレーム115の歯部に巻き付けられ、挿入ピン111は、絶縁フレーム115の溝内に固定され、ステータ射出成形体114は、挿入ピン111と、巻線112と、絶縁フレーム115と、ステータコア113とを包み込んで締め付け、ステータアセンブリ11全体をステータ射出成形体114で包み込んで締め付けることで、ステータアセンブリ11全体を一体に射出成形する。
【0044】
好ましくは、ステータアセンブリ11は、ハウジング射出成形体14の射出成形温度以上の硬化性変形温度を有する熱硬化性材料であるステータ射出成形体114を含む。
【0045】
ステータ射出成形体114は、熱硬化性材料、好ましくはBMC熱硬化性材料を使用し、材料コストが低く、熱硬化性材料の硬化性変形温度は、ハウジングアセンブリ1の2次射出成形時に1次射出成形されたステータ射出成形体114を溶融させるリスクを回避するために、ハウジング射出成形体14の射出成形温度以上である。
【0046】
好ましくは、ステータアセンブリ11は、ステータ射出成形体114を含み、ステータ射出成形体114は、熱硬化性材料であり、ハウジング射出成形体14は、PPS材料である。
【0047】
ステータ射出成形体114は、コストが比較的低い熱硬化性材料、好ましくはBMC熱硬化性材料を使用し、ハウジング射出成形体14は、強度が比較的高いPPS材料を使用することで、ハウジング射出成形体14の強度を確保しつつ、材料コストを節約することができる。
【0048】
図3に示すように、本願の第2の態様の実施例にて提供される電子ウォーターポンプは、水動力部と、ブラシレスモータ部と、制御部とを含み、水動力部は、ポンプハウジング2と、インペラとを含み、ブラシレスモータ部は、ロータと、上記いずれかの実施例に記載のハウジングアセンブリ1とを含み、制御部は、制御基板6と、リアエンドカバー7とを含み、ブラシレスモータ部は、水動力部と制御部との間に装着される。
【0049】
本願の上記実施例にて提供される電子ウォーターポンプは、上記いずれかの実施例のハウジングアセンブリ1を含むため、上記いずれかの実施例のハウジングアセンブリ1の有益な効果を有し、ここでは説明を省略する。
【0050】
好ましくは、
図3及び
図4に示すように、インペラとロータとが一体に射出成形されてインペラロータアセンブリ3となる。
【0051】
水動力部のインペラとブラシレスモータ部のロータとを一体に射出成形し、ポンプハウジング2とハウジングの内部にそれぞれ装着することで、インペラロータアセンブリ3の製造が容易で、低コスト化が図られる。
【0052】
本願の一実施例において、
図4に示すように、インペラは、インペラ本体34と、ブレード35とを含み、ロータは、ロータコア33と、磁鋼32と、ブッシュ31とを含み、ロータコア33には磁鋼32スロットが設けられ、磁鋼32が磁鋼32スロット内に取り付けられ、ロータコア33及び磁鋼32は、インペラ本体34の内部に封着されて第1のインペラロータアセンブリとなり、ブッシュ31は、第1のインペラロータアセンブリの中に2次射出成形されて、第2のインペラロータアセンブリとなり、第2のインペラロータアセンブリは、ブレード35と連結されて、インペラロータアセンブリ3となる。
【0053】
上記技術的手段のインペラロータアセンブリ3は、インペラと、ロータとの2つの部分を含み、インペラは、インペラ本体34と、ブレード35とを含み、ロータは、ロータコア33と、磁鋼32と、ブッシュ31とを含み、インペラロータアセンブリ3は、インペラ本体34を射出成形する第1の射出成形工程と、ブッシュ31を射出成形する第2の射出成形工程により成形される。これにより、インペラ本体34とブッシュ31をそれぞれ射出成形する時に、異なる射出材料を用いることができ、インペラ本体34を射出する材料は、高強度、耐酸耐アルカリ性であることが要求され、ブッシュ31を射出する材料は、耐摩耗、高強度、耐酸耐アルカリ性であることが要求され、ブッシュ31を射出することに用いる材料は、高コストであり、インペラ本体34を射出することに用いる材料は、低コストであり、ブッシュ31がインペラ本体34と一体に射出成形されるインペラロータアセンブリ3と比較して、製造コストを節減することができる。次に、コア、磁鋼32がインペラ本体34内に封着され、粘着が強固であり、ブッシュ31は、体積が小さく、重量が軽く、インペラロータアセンブリ3が回転する際に、ブッシュ31を回転させるためのトルクが小さく、ブッシュ31が滑りにくい。さらに、インペラ本体34の体積が大きく、ブッシュ31の体積が小さく、ブッシュ31を射出するときの速度が速く、第1のインペラロータアセンブリに影響を与えず、つまり、ブッシュ31を2次射出成形するとき、1次射出成形されたインペラ本体を溶融しないため、コアと磁鋼32が変位するリスクを良好に回避することができる。
【0054】
さらに、
図4に示すように、ブレード35が射出成形体であり、第2のインペラロータアセンブリとブレード35は超音波により一体に溶接され、インペラロータアセンブリ3となる。
【0055】
インペラは、超音波溶接工程により成形され、ブレード35と第2のインペラロータアセンブリは超音波により一体に溶接され、インペラ一体射出成形の射出金型は、構造が複雑でメンテナンスコストが高いため、インペラをインペラ本体34とブレード35の2つの部材に分けて別々に射出成形し、ブレード35に溶接ワイヤが設置され、インペラ本体34に溶接スロットが設置され、さらに超音波で溶接して成形され、射出金型の構造がシンプルで、射出金型のメンテナンスコストを大幅に低減させる。
【0056】
具体的には、ハウジングアセンブリ1のハウジング射出成形体14の前端とポンプハウジング2との間に、第1のシールリング4が装着されて、密閉された液圧キャビティを形成し、ハウジングアセンブリ1のハウジング射出成形体14の後端とリアエンドカバー7との間に、第2のシールリング5が装着されて、密閉された電気制御チャンバを形成する。
【0057】
制御部の制御基板6は、ハウジングとリアエンドカバー7で囲まれた電気制御チャンバの内部に設置され、モータ部は制御基板6の設置で電流の転流を実現し、それによりモータの連続的な回転を確保し、ブラシレスモータ部は、水動力部と制御部との間に装着され、ブラシレスモータ部のステータアセンブリ11が一体に射出成形されてなり、且つハウジングと2次射出成形され、ブラシレスモータ部のハウジングとポンプハウジング2、ブラシレスモータ部のハウジングとリアエンドカバー7との間にはシールリングがそれぞれ装着され、この電子ウォーターポンプの密閉が図られる。
【0058】
好ましくは、水動力部とブラシレスモータ部はネジ止めにより連結され、ブラシレスモータ部と制御部はネジ止めにより連結され、組み立てやすく、連結が強固となる。
【0059】
1つの具体的な実施例において、
図3に示すように、電子ウォーターポンプは、水動力部と、ブラシレスモータ部と、制御部とを含み、水動力部のインペラとブラシレスモータ部のロータは一体に射出成形されてなり、ポンプハウジング2とハウジングの内部にそれぞれ装着され、制御部の制御基板6は、ハウジングとリアエンドカバー7で囲まれた電気制御チャンバの内部に装着され、ブラシレスモータ部は、水動力部と制御部との間に装着され、ブラシレスモータ部のステータアセンブリ11が一体に射出成形されてなり、且つハウジングと2次射出成形され、ブラシレスモータ部のハウジングとポンプハウジング2、ブラシレスモータ部のハウジングとリアエンドカバー7との間にはシールリングがそれぞれ装着され、該電子ウォーターポンプの密閉が図られる。上記技術的手段は、ステータとハウジングとの一体射出成形技術を利用して、従来の電子ウォーターポンプのハウジングの材料コストを節約しつつ、ステータとロータとのエアギャップの間の隔離スリーブを省略すると共に、電子ウォーターポンプの組み立て工程を簡素化する。また、ステータの剛性の向上により、電子ウォーターポンプの騒音改善に有利であるため、上記技術的手段は、取り付け工程、コスト及び性能において共に明らかな優位性を有する。
【0060】
具体的には、電子ウォーターポンプは、車両用の電子ウォーターポンプである。
【0061】
本願の説明において、「内」、「外」などの用語で示す方位又は位置関係は図面に示す方位又は位置関係であり、本願を説明し易い、又は説明を簡単にするだけに用いられ、示している装置またはセットは必ず特定の方向を有し、特定の方位構造と操作を有することを表す又は暗示することではないことを理解されるべきであり、そのため、本願に対する限定とみなされるべきではない。
【0062】
本願の説明において、特に断らない限り、「取り付け」、「接続」、「接続」、「固定」などの用語はいずれも広義に理解されるべきであり、例えば、「接続」固定的に接続されてもよいし、着脱可能に接続されてもよく、又は一体的な接続、電気的接続であってもよく、直接接続されてもよいし、また中間媒体を介して間接接続されてもよい。当業者であれば、具体的な状況によって上記用語の本願における具体的な意味を理解することができる。
【0063】
本明細書の説明において、用語である「1実施例」、「いくつかの実施例」、「具体的な実施例」などの記述は、当該実施例又は例示に記載された具体的な特徴、構造、材料又は特性を参照して本願の少なくとも1つの実施例又は例示に含まれることを意図する。本明細書において、上記用語に関する例示的な記述は、必ずしも同一の実施例又は例示を言うものとは限らない。また、記載された具体的な特徴、構造、材料又は特性をいずれかの1つ又は複数の実施例又は例示において適当な方式で組み合わせることができる。
【0064】
以上の説明は、本願の好ましい実施例に過ぎず、本願を限定するものではなく、当業者であれば、本願に様々な修正や変更が可能である。本願の趣旨及び原則を逸脱しない範囲でなされたすべての修正、均等置換、改良などは、いずれも本願の保護範囲内に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0065】
図1から
図4における符号と部材名称との間の対応関係は、以下のとおりである。
1 ハウジングアセンブリ
11 ステータアセンブリ
111 挿入ピン
112 巻線
113 ステータコア
114 ステータ射出成形体
115 絶縁フレーム
12 回転シャフト
13 シャフトベース
14 ハウジング射出成形体
2 ポンプハウジング
3 インペラロータアセンブリ
31 ブッシュ、32 磁鋼
33 ロータコア
34 インペラ本体
35 ブレード
4 第1のシールリング
5 第2のシールリング
6 制御基板
7 リアエンドカバー