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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-05
(45)【発行日】2022-08-16
(54)【発明の名称】紙製ファイル及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B42F 7/00 20060101AFI20220808BHJP
【FI】
B42F7/00 J
B42F7/00 L
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2017097013
(22)【出願日】2017-05-16
(65)【公開番号】P2018192663
(43)【公開日】2018-12-06
【審査請求日】2020-05-15
(73)【特許権者】
【識別番号】505266570
【氏名又は名称】株式会社パック・ロード
(74)【代理人】
【識別番号】100105809
【弁理士】
【氏名又は名称】木森 有平
(72)【発明者】
【氏名】中桐 英策
【審査官】藤井 達也
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3103213(JP,U)
【文献】特開2001-088484(JP,A)
【文献】特開2002-144449(JP,A)
【文献】登録実用新案第3116429(JP,U)
【文献】米国特許第05141485(US,A)
【文献】特開2006-218713(JP,A)
【文献】登録実用新案第3192504(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B42F 7/00- 7/14
B42D 15/04-15/08
B65D 27/00-27/38
G03G 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
A4サイズやB4サイズなどの紙の規格サイズよりも大きな長方形状の紙であって、A4サイズやB4サイズなどの紙の規格サイズに対応した箇所よりも外側に拡幅部が設けられて前記A4サイズやB4サイズなどの所定の大きさに折り畳まれる紙製ファイルにおいて、前記拡幅部を切り取るための切取り部が形成されており、この切取り部を介して前記拡幅部を切取るとともに、残された拡幅部に折り畳み線が形成されており、この折り畳み線を介して残された拡幅部を折り畳むものであり、前記紙製ファイルの長辺側のY辺に拡幅部が設けられているとともに切取り部が設けられており、前記切取り部を複写機・複合機による複写・印刷方向の前方側に設けて、複写や印刷をすることを特徴とする紙製ファイル。
【請求項2】
A4サイズやB4サイズなどの紙の規格サイズよりも大きな長方形状の紙であって、A4サイズやB4サイズなどの紙の規格サイズに対応した箇所よりも外側に拡幅部が設けられて前記A4サイズやB4サイズなどの所定の大きさに折り畳まれる紙製ファイルにおいて、前記拡幅部を切り取るための切取り部が形成されており、この切取り部を介して前記拡幅部を切り取るとともに、残された拡幅部に折り畳み線が形成されており、この折り畳み線を介して残された拡幅部を折り畳むものであり、前記紙製ファイルの長方形サイズの隣接する短辺側のX辺と長辺側のY辺の一方に紙製ファイルとして組み立てたときに、表紙側を係止するための係止溝が形成されているか、及び/又は、前記紙製ファイルの長方形サイズの隣接する短辺側のX辺と長辺側のY辺に各々対応する名刺やカードを挟み込むための係止溝が設けられていることを特徴とする紙製ファイル。
【請求項3】
前記長方形サイズの一方の隣接する短辺側のX辺と長辺側のY辺のみ所定幅の略長方形状に拡幅されており、前記切取り部を切り取る切取り線や折畳み線は、前記拡幅部に形成することを特徴とする請求項1又は2記載の紙製ファイル。
【請求項4】
前記長方形サイズの一方の隣接する短辺側のX辺と長辺側のY辺のみ所定幅の略長方形状に拡幅されており、かつ、前記X辺とY辺の一方に係止用凸部が設けられており、前記X辺とY辺の他方に対応する係止溝が形成されており、これら係止用凸部と係止溝を印刷や複写をする後方側に設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の紙製ファイル。
【請求項5】
A4サイズやB4サイズなどの所定の規格サイズよりも大きな長方形状の紙であって、長方形サイズの外周に拡幅部を設けるとともに、前記拡幅部に切取り線や折畳み線を形成して、複写機・複合機により複写・印刷してから、前記拡幅部に沿って切り取ったり折畳むようにして所定サイズの紙製ファイルとして組み立てるものであり、前記紙製ファイルの長辺側のY辺に拡幅部が設けられているとともに切取り部が設けられており、前記切取り部を複写機・複合機による複写・印刷方向の前方側にして複写や印刷をすることを特徴とする紙製ファイルの製造方法。
【請求項6】
前記長方形サイズの一方の隣接する短辺側のX辺と長辺側のY辺のみ所定幅の略長方形状に拡幅されており、前記切り取り部を切り取る切取り線前記折畳み線は、前記拡幅部に形成することを特徴とする請求項記載の紙製ファイルの製造方法。
【請求項7】
市販の複写機により複写・印刷するに際して、前記長方形サイズの一方の隣接する短辺側のX辺と長辺側のY辺のみ所定幅の略長方形状に拡幅されており、かつ、前記X辺とY辺の一方に係止用凸部が設けられており、前記X辺とY辺の他方に対応する係止溝が形成されており、これら係止用凸部と係止溝の位置を印刷や複写をする後方側にすることを特徴とする請求項5又は6記載の紙製ファイルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙や書類をファイルするときに使用する紙製ファイル及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コピー機などの複写機や複合機では、紙のサイズは大きく分けてA判とB判の2つの系列のものが通常使用されている。身近によくある規格サイズとしてはA3・A4・B5・A6であり、A3・A4はコピー用紙やプリンタの出力用紙として、B5は週刊誌や漫画雑誌のサイズとして、A6は文庫本のサイズなどで使用されることが多い。
一方、紙や書類をファイルする簡易的な紙製ファイルが各種事務処理等において多用されている。この紙製ファイルは、長方形からなる一方の長辺側において折畳み線を介して連設され、長辺側と短辺側が係止されるものもある。そして、長辺と短辺に設けられた拡幅部(重ね合わせ部)にファイルする書類や紙を挿入して、書類をファイルさせて保存したり、本やノートのカバーとしても使用される。
【0003】
次に、コピー用紙に関する特許文献としては次のものが開示されている。
特許文献1は、A列又はB列の定形サイズ用紙1をその長手方向に二分するように、用紙中央に沿ってミシン目2が形成されている。用紙中央に形成されたミシン目2に沿って簡単且つ的確に裁断することができ、これにより例えばA3サイズの用紙1から2枚のA4サイズの用紙3,4を得ることができる。A4サイズの原稿10,11を複写する場合、このA3サイズの用紙1を用い、複写機の原稿設定部に2枚の原稿を並置して複写することにより、2枚分の原稿内容が複写される。
特許文献2は、定型コピー用紙の一辺に拡幅用紙領域12を付加してなる拡幅型のコピー用紙10を用い、該拡幅型のコピー用紙10のうち定型コピー用紙領域11を空白にすると共に拡幅用紙領域12に広告20を表示してある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実用新案第3004890号公報
【文献】特開2009-145511号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、複写機(コピー機)や複合機では、はがきサイズや封筒サイズのものを手差しトレイから印刷されているが、一般に複写・印刷できる最大はA3サイズと認識されている。そして、A3等の所定サイズの規格よりも大きなサイズをコピーすると、紙詰まりになると認識されている。また、ファイルや容器のような厚紙を使用すると紙詰まりになると認識されている。このため、従来公報のように、二枚分を同時に複写・印刷できるとするものや(特許文献1)や定型コピー用紙の一辺に拡幅用紙領域12を付加してなる拡幅型のコピー用紙10を用い、拡幅用紙領域12に広告20を表示するものが開示されているが(特許文献2)、それ以上にコピー用紙を使用して組み立てられるファイルや容器などは未だ開示されていない。すなわち、紙の大きさや厚紙を使用したり、又は、ミシン目や折畳み線を入れると、その入れ方によっては紙詰まりの危険があり、所定よりも大きいものや折畳み線などの入れからによっては紙詰まりのために、複写機等で多様な印刷が可能にもかかわらず、紙製ファイルや紙製の容器の複写印刷が行われていない。また、A3のびなどの「のび領域」まで印刷等を施して(のび領域を活用して)組み立てる紙製ファイルは開発されていない。そのため、A4等の規格サイズの用紙を入れることができるA4等の規格のフルサイズの紙製ファイルを製造することができなかった。
そして、製品としては、正確にA4サイズやB5サイズなどの規格サイズの大きさの紙製ファイルとして製造する必要があるが、従来そのような正確な製品として製造することはできなかった。すなわち、複写・印刷が紙の加工サイズや拡幅部(重ね合わせ部)や切取り線(ミシン目)等の施し方によって位置がずれてしまって、正確な複写・印刷ができないなどの問題を有していた。
【0006】
そこで本発明の目的は、所定サイズに加工した用紙(規格外の大きさの厚紙)を用いて複写機や複合機により複写・印刷して、正確にA4サイズやB5サイズなどの規格サイズの大きさの紙製ファイル及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、A4サイズやB4サイズなどの紙の規格サイズよりも大きな長方形状の紙であって、A4サイズやB4サイズなどの紙の規格サイズに対応した箇所よりも外側に拡幅部が設けられているとともに、前記拡幅部に切取り線又は折畳み線が形成されており、長方形サイズの長辺側のY辺に拡幅部の他に切取り部が設けられており、この切取り部から前記長辺側の拡幅部を除去して、前記拡幅部の切取り線を介して切取ったり、又は、前記拡幅部の折畳み線を介して折り畳むことを特徴とする紙製ファイルである。また、A4サイズやB4サイズなどの紙の規格サイズよりも大きな長方形状の紙であって、長方形サイズの隣接する短辺側のX辺と長辺側のY辺の一方に係止用凸部が設けられており、前記X辺とY辺の他方に対応する係止溝が形成されており、これらを係止してコーナーにポケット部を形成したり、名刺やカードを挟み込む挟み込み部を切り欠き部により形成したりしながら紙製ファイルとして組み立てられ、長方形サイズの長辺側のY辺に拡幅部の他に切取り部が設けられており、この切取り部から前記長辺側の拡幅部を除去して、前記拡幅部の切取り線を介して切取ったり、又は、前記拡幅部の折畳み線を介して折り畳むことを特徴とする。
本発明によれば、市販の複写機等で複写・印刷した紙製ファイルを容易に製造することができる。そして、A3等ののび領域まで印刷・複写の行き届いた紙製ファイルが組立可能になる。
【0008】
また、本発明は、前記紙製ファイルは、長方形サイズの隣接する短辺側のX辺と長辺側のY辺の一方に係止用凸部が設けられており、前記X辺とY辺の他方に対応する係止溝が形成されており、これらを係止してコーナーにポケット部を形成して紙製ファイルとして組み立てられることを特徴とする。
本発明によれば、A3のびやB4のびなどの拡幅部を利用して前記係止用の凸部や係止溝が形成されるので、本来のA3サイズやB5サイズの領域に前記係止用の凸部や係止溝を形成せずに、本来の領域の複写・印刷に影響を与えることがない。
【0009】
本発明としては、前記紙製ファイルは、長方形サイズの隣接する短辺側のX辺と長辺側のY辺に各々対応する名刺やカードを挟み込むための係止溝が設けられていることを特徴とする。
本発明によれば、A3のびやB4のびなどの拡幅部を利用して名刺やカードを挟み込む前記係止溝が形成されるので、本来のA3サイズやB5サイズの領域に前記係止溝を形成せずに、本来の領域の複写・印刷に影響を与えることがない。
【0010】
本発明としては、前記紙製ファイルは、長方形サイズの隣接する短辺側のX辺と長辺側のY辺の一方に紙製ファイとしての組み立てたときに、表紙側を係止するための係止溝が形成されていることを特徴とする。
本発明によれば、A3のびやB4のびなどの拡幅部を利用して表紙側を挟み込む前記係止溝が形成されるので、本来のA3サイズやB5サイズの領域に前記係止溝を形成せずに、本来の領域の複写・印刷に影響を与えることがない。
【0011】
本発明としては、A4サイズやB4サイズなどの所定の規格サイズにはカラー印刷などの色調等を高めるための印刷用コーティング剤が塗布されていることを特徴とする。
本発明によれば、A4のびなどの拡張領域を利用してA4フルサイズ等のA4規格の紙製ファイルを組み立てるが、少なくともA4フルサイズの規格大きさ部分には印刷用コーティング剤が塗布されていることにより、その規格サイズ部分の色調が冴える印刷等が可能になる。また、前記拡幅部にのみ切取り部を切り取る切取り線や折畳み線が形成されているので、A4所定サイズの大きさの領域における複写・印刷が前記切取り前記折畳み線によって影響を受けることがない。
【0012】
本発明としては、市販の複写機により複写・印刷するに際して、前記長辺側のY辺に拡幅部の他に切取り部が設けられており、この切取り部を複写機による複写・印刷方向の前方側にすることを特徴とする。
本発明によれば、前記切取り部、係止凸部や係止溝を複写・印刷方向の前方側にすることにより、市販の複写機にかけると、切取り線やミシン目に沿って切り取りやすくなる。
本発明としては、市販の複写機により印刷するに際して、前記一方の隣接するX辺とY辺の一方に係止用凸部が設けられており、前記X辺とY辺の他方に対応する係止溝が形成されており、これら係止用凸部と係止溝の位置を印刷方向の後方側にすることを特徴とする。また、前記長辺側のY辺に拡幅部の他に切取り部が形成され、前記長辺側のY辺に拡幅部の他に切取り部が形成され、この切取り部は末広がりの外側に広がる広い角度でミシン目として鎖状の連結間隔が形成されていることを特徴とする。
本発明によれば、前記切取り部、係止凸部や係止溝を複写・印刷方向の後方側にすることにより、市販の複写機を使用しても、折畳み線や切取り部を切り取る切取り線(ミシン目等)等に起因する紙詰まりを防止するために有効である。
【0013】
本発明としては、A4サイズやB4サイズなどの所定の規格サイズには、カラー印刷などの色調等を高めるための印刷用コーティング剤が塗布され、複写機・複合機による複写・印刷することを特徴とする。
本発明によれば、前記拡幅部にのみ切取り線や折畳み線が形成されているので、A4所定サイズの大きさの領域における複写・印刷が切取り線や折畳み線によって影響を受けることがない。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、所定サイズに加工した用紙(規格外の大きさの厚紙)を用いて複写機や複合機により複写・印刷して、正確にA4サイズやB5サイズなどの規格サイズの大きさの紙製ファイルを製造することができる。すなわち、A4等の規格サイズの用紙を入れることができるA4等の規格のフルサイズの紙製ファイルを製造できる。そして、紙詰まりには影響がないように、拡幅部(重ね合わせ部)に切取り線(ミシン目)等の施されているために、A4等のフルサイズに複写・印刷を施すことができる。
また、前記拡幅部に切取り線や折畳み線が形成されているので、A4所定サイズの大きさの領域における複写・印刷が切取り線や折畳み線によって影響を受けることがない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係る第1の実施の形態の紙製ファイルを作るための厚紙を示す平面図である。
図2】上記第1の実施の紙製ファイルを折り畳んで組み立てた状態の斜視図である。
図3】上記第1の実施の紙製ファイルを折り畳んで組み立てた状態の斜視図である
図4】上記第1の実施の紙製ファイルに名刺やカードを差し込んだ状態を示す斜視図である。
図5】本発明に係る第2の実施の形態の紙製ファイルを作るための厚紙を示す平面図である。
図6】上記各実施の形態の差込み用の切欠き線を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態を図に従って説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態を示す平面図であり、図2図3は、紙製ファイルを組立状態の斜視図である。本実施の形態では、紙製ファイルの例で説明するが、プラスチック製などの合成樹脂製のファイル(クリアファイル)にも適用が可能である。また、段ボール、厚紙、薄紙、合成紙、合成樹脂シート等にも適用可能である。
本実施の形態の紙製ファイル1は、市販のコピー用紙よりも厚い厚紙を使用して、A3サイズよりも一回り用紙が用いられる。長方形状の用紙を二分するように、用紙中央に沿って折畳み線5sが形成されており、この線を介して折りたたむと、A4サイズ部分の表裏2a,2bが重ね合わされ、厚紙の外周には長辺側のY辺拡幅部4と短辺側のX辺拡幅部3が設けられており、紙や書類を挟み込む紙製のファイル1である。A3ノビの大きさは通常(329×483)であり、A3の大きさの297×420より大きく、B3(364×515)より小さいサイズである。なお、紙中央に沿って折畳み線5sは、折り畳み線としているが、この折り畳み線は必ずしも必要ではなく、紙製ファイルを組み立てるときの過程で折り畳んでも良い。
【0017】
短辺側のX辺拡幅部3は、紙の送り幅方向では間隔を大きく40mm~50mm程度の大きい差でも良い。長辺側のY辺拡幅部4の間隔は20mm以下が好ましい。この程度であれば、市販の複写機では紙詰まりの心配はない。長辺側のY辺拡幅部4には、ミシン目4mと折畳み線5sが施されている。5mm以上であり20mm以下でミシン目として鎖状の連結間隔が形成されている。短辺側のX辺拡幅部3には、折畳み線5sが施されている。
【0018】
また、前記紙製ファイル1としての長方形サイズの隣接する短辺側のX辺3と長辺側のY辺4の一方に係止用凸部3mtが設けられており、前記X辺とY辺の他方に対応する係止溝4mtが形成されている。これらの位置関係は逆の位置になっても良いが、紙の送り側方向(図1の矢印参照)の後方側に形成されており、複写機による紙詰まりに影響を受けないような位置に形成されている。係止用凸部3mtは、円弧形状に形成され、その端部側に切込み3maが形成され、他方、これに対応するY辺に拡幅部4Bの切り欠き4mtの端部には、切り欠き4maが形成されて、差し込むと、抜け差しを防止する構造である。
また、長辺側のY辺に拡幅部4Bの他に切取り部4Aが形成されて、ミシン目4m,4m3により除去することができる。この切取り部4Aは末広がりの外側に広がる広い角度θ1でミシン目として鎖状の連結間隔が形成されている。そして、前記切取り部4Aは、内側から外側に広がる広い角度(鈍角)θ1で切り込み(ミシン目)が形成されている。その角度θ1は、120度から150度程度が好ましい。このような傾斜角度θ1であれば、複写機等にかけても紙詰まりが防止されるのみならず、紙の内側から外側に広がるように適度にミシン目が切り取られて切取りやすくなる。そして、この切取り部4m,4m3としては、その幅が5mm以上であり20mm以下であることが好ましく、前記ミシン目として鎖状の連結間隔が5mm以上であり20mm以下であることが好ましい。剥離防止と、複写機に掛けたときに、所定間隔で、鎖状の連結が切断されて、切り離される状態の両者の均衡から、これらの設定が好ましい。
また、前記短辺側のX辺3の切り欠き3m3の角度θ2は、できるだけ小さく、折畳み線5sに沿うような線が好ましい(図6(a))。つまり図6(b)に示すように、前記差し込みのための切り欠き3m3の傾斜角度θ3に示すように、θ2よりも小さくできるだけ切り欠き線5sに沿うような角度しθ3が好ましい。図6(c)は、欠き3m3を略コ字形状として、左右の端部は切り欠きとして、中央はミシン目絵として形成して、紙詰まりを生じないようにした例である。
【0019】
また、前記短辺側のX辺3と長辺側のY辺4には、名刺やカードを挟むための名刺やカード用切り欠き4m1,4m2と、これらに対応する切り欠き3m1,3m2が形成されている。したがって、これの切り欠きを使用して、名刺やカード9を縦型や横型に差し込んで紙製ファイル1に落ちないようにして取付けることができる(図4)。そして、名刺やカード9を挟み込むと、前記係止用凸部3mt前記係止溝4mtの係止状態が隠れることになる。
名刺やカード入れ用のミシン目としては、20mm以下であれば、市販の複写機では紙詰まりの心配はない。ミシン目としては、点線,一点鎖線もしくは二点鎖線等、種々の形態のものが選ばれる。これらの点線等のピッチ間隔等は、必要に応じて適宜設定可能である。前記隣接するX辺とY辺の一方に係止用凸部が設けられており、前記X辺とY辺の他方に対応する係止溝と、差込み用の切り欠き5sが同時に形成される。
また、前記短辺側のX辺3には、差し込みのための切り欠き3m3が形成されている。差し込みのための切り欠き3m3は、表紙となる部分2aの端部を差込むための切り欠きである。紙の複写機に対する送り側に沿うような曲線として切取り線5sが形成されているので、紙詰まりが生じることを防止できる。すなわち、円弧状の線であるが、できるだけ送り手側のX辺に沿うように形成することで、複写機の紙詰まりが防止できる。また、名刺やカード9を差し込む切り欠き3m1,4m1等は、その長さが20mm以下であれば、その切り欠き長さが短いために、紙詰まりには影響がない。
なお、これらの切り欠き3m3、名刺やカード9を差し込む切り欠き3m1,4m1や前記係止用凸部3mt前記係止溝4mtは、同時に形成することが好ましい。切り欠きのバラツキを防止して、複写機に対する紙詰まりを防止するためである。
【0020】
次に、複写機や複合機により複写・印刷するときには、市販の複写機により複写・印刷するに際して、前記長辺側のY辺に拡幅部(残された拡幅部)4Bの他に切取り部4Aが設けられており、この切取り部4Aを複写機による複写・印刷方向の後方側にする。「手差し」による差し込みで複写機に供給する。複写機に紙1を供給するには、この切取り部4Bを複写機による複写・印刷方向の後方側にする(図1の矢印を参照)。
ここで、名刺やカード9を挟み込む切り欠き3m1,4m1等や折畳み線5sには、印刷を施さないことが好ましい。
【0021】
本発明の紙製ファイルを組み立てるには、Y辺の切取り部4Aを切り取って、外周の長辺側のY辺拡幅部4Bのみ残すことになる。なお、X辺拡幅部3には変更はなく、長辺側のY辺拡幅部4A,4Bと短辺側のX辺拡幅部3が残り、これらが係止されることになる。
前記長辺側のY辺拡幅部4B(残された拡幅部)の他に切取り部4Aが形成され、この切取り部4Aは末広がりの外側に広がる広い角度θ1でミシン目として鎖状の連結間隔が形成されており、その角度θ1は40度から60度程度が好ましい。
なお、紙製ファイル用の厚紙1には、離型紙を用いて貼り合わせるようにしても良い。離型紙は、前記X辺とY辺のみを貼り合わせ離型紙でも良い。この離型紙でも印刷用の紙製ファイルが完成する。
【0022】
図5は、本発明の第2の実施の形態の紙製ファイル1を示す図である。
本実施の形態は、折畳み線5sが所定幅で形成しており、厚さのある紙や書類でも挟めるようになっている。本のカバーやノートのカバーとして使用することができる。
また、前記Y辺の端部の係止用凸部3mtの部分が切り欠き線により、切除可能なコーナー部7として構成れている。したがって、係止用凸部3mtのために、複写機等にかけたときに紙詰まりが防止できる。さらに、前記切取り部4Bの位置には、外周側からの切り欠き5kが形成されており、この切り欠き5kにより切り取り部4Bに沿って切り取りし易くされている。
そして、A4サイズの領域(2a,2b)には、カラー印刷などの色調等を高めるための印刷用コーティング剤が塗布されている。印刷する原紙がインクの密着性が悪かったり、適正が無い原紙に対してコーティング剤を塗布することにより、原紙とインクの密着性(接着性)を高めることで印刷複写の際の色調を高めるものであり、アンカーコートとも呼ばれる。色のインク(ペンキ顔料)をPP樹脂に練りこむ方法と、PP(ポリプロピレン)で出来たファイル表面にアンカーコートで塗布する方法等がある。カラーが良く映えるものするためには、白の顔料やアンカーコートする。透明ファイル(合成樹脂シートで出来他製品)は、透明の顔料やアンカーコートすることになる。複写機・複合機で印刷・複写するときは、少なくともA4所定サイズの大きさ(2a,2b)の領域には上記アンカーコートを塗布する。そして、複写機・複合機にかけると、カラー印刷などの色調が冴える印刷が可能になる。すなわち、少なくともA4所定サイズの大きさの部分(フルのA4サイズ部分)には色鮮やかな複写・印刷が可能になる。前記拡幅部にのみ切取り線や折畳み線3m1,3m2,3m3が形成されているので、A4所定サイズの大きさ(2a,2b)の領域における複写・印刷が切取り線や折畳み線3m1,3m2,3m3によって影響を受けることがない。なお、A4所定サイズの大きさ(2a,2b)の領域以外の部分や全体にアンカーコートを塗布しても良い。
【0023】
以上、本実施の形態では、A4サイズの大きさの紙製ファイルを組み立てる例で説明したが、本発明はA4サイズに限らず、B4、B5等のその他のサイズの紙製ファイルにも適用可能なものである。また、本発明の紙製ファイルの製造方法は、市販の複写機・複合機のレーザ印刷機やインクジェット印刷機のほか、近年印刷業界で多用されているようになったプリントオンデマンド(POD)に好適である。
【符号の説明】
【0024】
1 本発明の紙製ファイル(複写・印刷用の厚紙)、
3 短辺側のX辺拡幅部、3m3 切込み線(ミシン目)、
3m1,3m2 名刺やカードを差込む切込み線、
4A 切取り部(長辺側のY辺拡幅部)、
4B 残りの拡幅部(長辺側のY辺拡幅部)、
4m1,4m2 名刺やカードを差込む切込み線、
4m,4m3 切り欠き部(切り欠き)、4m 末広がりのミシン目(切取り線)、
5s 折畳み線、
θ1 末広がりの紙の内側から外側に広がる広い角度、
θ2,θ3 切欠き・切取り線の角度(送り側に沿うような曲線)
図1
図2
図3
図4
図5
図6