(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-05
(45)【発行日】2022-08-16
(54)【発明の名称】ソケット
(51)【国際特許分類】
B25B 21/00 20060101AFI20220808BHJP
【FI】
B25B21/00 Q
(21)【出願番号】P 2018174358
(22)【出願日】2018-09-19
【審査請求日】2021-03-12
(31)【優先権主張番号】P 2017181216
(32)【優先日】2017-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】517096084
【氏名又は名称】薪螢企業有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】503200361
【氏名又は名称】株式会社イチネンアクセス
(74)【代理人】
【識別番号】110002044
【氏名又は名称】弁理士法人ブライタス
(72)【発明者】
【氏名】江文宏
(72)【発明者】
【氏名】長船 勝己
【審査官】亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-255261(JP,A)
【文献】特開2011-218454(JP,A)
【文献】特開2006-297508(JP,A)
【文献】特開2018-058141(JP,A)
【文献】特開2011-230208(JP,A)
【文献】実開昭56-104807(JP,U)
【文献】特開2017-64895(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25B 21/00 - 23/18
B25B 13/00
B23B 31/107
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動工具の少なくとも1つの位置決め部が凹設された挿着部に嵌着されるとともに、ソケット本体、切換部材及び少なくとも1つの位置決めユニットを備えたソケットであって、
前記ソケット本体は、軸線と、前記軸線の延伸方向に配置された作動部及び嵌合部と、を有し、前記作動部には、締付け具が接続され、前記嵌合部は、前記挿着部を挿着する嵌合空間を有し、
前記切換部材は、前記軸線の延伸方向で移動可能であるとともに、前記軸線を軸として回動可能に前記嵌合部に取り付けられ、
前記位置決めユニットは、第1の収容部、第2の収容部及び位置決め部材を有し、前記第1の収容部は、前記軸線に対して横向きで前記嵌合部に
形成した貫通
孔であり、前記第2の収容部は、
前記軸線に対して横向きで前記切換部材に
形成した貫通孔であり、前記第2の収容部の孔径は、前記第1の収容部の孔径より小さく、前記位置決め部材は、前記第1の収容部に移動可能に収容され、前記位置決め部材の一部は、前記第1の収容部から突出され、
前記切換部材を回動させて、前記第1の収容部を前記軸線に対して平行に前記第2の収容部に直線配置させた状態で、前記切換部材を前記軸線の延伸方向に移動させて、前記第1の収容部及び前記第2の収容部が前記軸線に対して横向きの方向で重なるとき、前記切換部材が開放位置となり、それ以外のとき、前記切換部材がロック位置となり、
前記切換部材がロック位置にあるとき、前記第1の収容部と前記第2の収容部との位置がずれ、前記切換部材により押圧された前記位置決め部材の一部が前記嵌合空間から突出され、前記位置決め部と係合されて嵌着され、
前記切換部材が開放位置にあるとき
、前記位置決め部材の一部は、前記第2の収容部に
収容されることを特徴とする、
ソケット。
【請求項2】
前記ソケット本体は、第1の表示部を有し、前記第1の表示部は、前記軸線に対して平行であるとともに、前記第1の収容部に対応し、前記切換部材は、第2の表示部を有し、前記第2の表示部は、前記軸線に対して平行であり、前記第2の収容部に対応することを特徴とする請求項1に記載のソケット。
【請求項3】
位置決め
リングをさらに備え、前記位置決め
リングは、前記嵌合部に位置決めされ、前記作動部の外径寸法は、前記嵌合部の外径寸法より大きく、前記作動部と前記嵌合部との交接箇所には、第1の段差が形成され、前記第1の段差と前記位置決め
リングとの間には、前記軸線に対して平行な所定距離が設けられ、前記切換部材は、前記第1の段差と前記位置決め
リングとの間に位置決めされ、前記所定距離は、前記軸線に対して平行な前記切換部材の長さより大きいことを特徴とする請求項1に記載のソケット。
【請求項4】
前記切換部材の両側には、前記軸線に対して平行な第1の当接部及び第2の当接部が設けられ、前記第1の当接部は、前記第2の当接部と前記第1の段差との間に介装され、前記切換部材を回動
させて、前記第1の収容部
を前記軸線に対して平行
に前記第2の収容部に直線配置
させた状態で、前記切換部材を前記軸線の延伸方向に移動させて、前記第1の当接部と前記第1の段差とが当接
させると、前記切換部材が開放位置となり、前記第2の当接部と前記位置決め
リングとが当接されると、前記切換部材がロック位置となるとを特徴とする請求項3に記載のソケット。
【請求項5】
前記嵌合部は、第2の段差を有し、前記切換部材は、ベース部を有し、前記第2の段差及び前記ベース部には
、弾性部材の両端がそれぞれ当接されているため、前記第2の当接部は常時、前記位置決め
リングへ向かう付勢力を有することを特徴とする請求項4に記載のソケット。
【請求項6】
前記切換部材の外周壁は、前記第2の収容部が設けられた凹部を少なくとも1つ有することを特徴とする請求項1に記載のソケット。
【請求項7】
前記切換部材は、指部が押し付けられる滑り止め構造を有することを特徴とする請求項1に記載のソケット。
【請求項8】
前記切換部材は、前記嵌合部に嵌設され、前記切換部材の外周壁から前記軸線までの距離は、前記作動部の外周壁から前記軸線までの距離に略等しいことを特徴とする請求項1に記載のソケット。
【請求項9】
前記位置決め部の数は2であり、前記2つの位置決め部は、対称配置されて互いに連通した開口であり、前記位置決めユニットの数は2であり、前記2つの位置決めユニットは、前記軸線を中心として対称配置され、前記切換部材がロック位置にあるとき、前記2つの位置決め部材は、前記2つの位置決め部にそれぞれ嵌設されることを特徴とする請求項1~8の何れか1項に記載のソケット。
【請求項10】
前記ソケット本体は、第1の表示部を有し、前記第1の表示部は、前記軸線に対して平行であり、前記第1の収容部に対応し、前記切換部材は、第2の表示部を有し、前記第2の表示部は、前記軸線に対して平行であり、前記第2の収容部に対応し、前記切換部材の外周壁は、前記第2の収容部が設けられた凹部を少なくとも1つ有し、前記切換部材は、指部が押し付けられる滑り止め構造を有し、前記切換部材は、前記嵌合部に嵌設され、前記切換部材の外周壁から前記軸線までの距離は、前記作動部の外周壁から前記軸線までの距離に略等しく、前記位置決め部の数は2であり、前記2つの位置決め部は、対称配置されて互いに連通した開口であり、前記位置決めユニットの数は2であり、前記2つの位置決めユニットは、前記軸線を中心として対称配置され、前記切換部材がロック位置にあるとき、前記2つの位置決め部材は、前記2つの位置決め部にそれぞれ嵌設され、前記軸線に対して平行な前記嵌合部の長さが前記作動部の長さに対して占める比値は0.4~0.6であり、前記第1の収容部及び前記第2の収容部は貫通孔であり、前記第2の収容部の孔径は、前記第1の収容部の孔径より小さく、前記嵌合部には、2つの穿設孔が穿設され、前記2つの穿設孔は、前記軸線を中心として対称配置され、前記位置決め
リングは、前記嵌合部にクランプされるリングであり、前記切換部材は
、遮蔽部を有し、前記遮蔽部は、前記第2の当接部に横向きに接続され、前記第2の当接部と前記位置決め
リングとが当接されると、前記遮蔽部が前記軸線に対して横方向で前記位置決め
リングを覆い、前記第1の当接部は、前記ベース部に横方向に接続されるとともに、前記第2の段差を覆い、前記第1の当接部、前記ベース部及び前記嵌合部には、内部空間が画成され、前記弾性部材は、前記内部空間に収容され、前記凹部は、数が1である上、環溝であることを特徴とする請求項5に記載のソケット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソケットに関する。
【背景技術】
【0002】
ソケットは、駆動工具(例えば、トルクレンチ、エアポンプ、電動工具など)を組み合わせて使用すると、ボルト、ねじ、ナットなどの締付け具をねじ込み、狭い空間でも使用することができる(例えば、特許文献1)。
【0003】
上述した特許文献1では、ソケットと駆動工具(ラチェットレンチ)の挿着部とを嵌合する技術が開示されている。このソケットは、ボルト等の締付けを行なう作動部と、駆動工具に接続する嵌合部とを備え、嵌合部の内壁には凹部を備える。一方、駆動工具は、ソケットを接続する挿着部を備え、挿着部は、出し入れ可能な位置決め球を有している。そして、この技術では、位置決め球を凹部に係合することにより、ソケットの駆動工具からの脱落を防止している。
【0004】
しかし、この技術は、位置決め球又はソケットの内壁が磨耗し易く、ソケットを挿着部に安定的に連結させることができない上、意図せずに緩んだり外れたりする予期できない危険性があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
駆動工具としては、インパクトドライバ、インパクトレンチなどが良く知られている。インパクトドライバは、六角ビット(φ6.35mm)を差し込んで装着するための挿着部(チャック)を備えている。一方、インパクトドライバにはソケットなどの先端工具も挿着される。そのような先端工具は、インパクトドライバに挿着するための六角ビットを備えており、この六角ビットをインパクトドライバのチャックに挿入し、ロックすることにより、使用可能とされる。しかし、ソケットなどの先端工具には使用時に大きなトルクが掛かるため、六角ビットが折れるという問題がある。
【0007】
次に、
図3を参照して、駆動工具としてのインパクトレンチについて説明する。
図3に示すように、インパクトレンチ7は、ソケットなどの先端工具を挿着するための挿着部71を備えている。挿着部71には、位置決め部(貫通孔)72が設けられている。通常、インパクトレンチ用先端工具(図示省略)は、インパクトレンチ7の挿着部71の外周面形状に対応する内周面形状を有する嵌合部を備え、嵌合部には、その軸に対して横方向(直角方向)に貫通孔が設けられている。そして、インパクトレンチ用先端工具をインパクトレンチ7に挿着するときには、インパクトレンチ7の貫通孔72の位置と、インパクトレンチ用先端工具の嵌合部の貫通孔の位置とを合わせた状態で、金属製のピン(図示省略)が両方の貫通孔に挿入され、さらに、嵌合部の貫通孔には、ゴム製のOリング(図示省略)が覆い被せられる。これによって、インパクトレンチ用先端工具の抜け落ちが防止される。
【0008】
しかし、従来のインパクトレンチ用先端工具では、抜け落ちを防止するためには、このようなピンとOリングが必要であるため、挿着に時間が掛かり、作業性が悪いという問題がある。また、Oリングが劣化して、インパクトレンチ7の使用中に破損すると、抜け落ちが生じやすくなり、安全性の問題が生じる。なお、ピンおよびOリングを用いなくても、ボルトやナットなどの締付け具の脱着作業を行なっているときには、インパクトレンチ用先端工具を締付け具に押さえつけているため抜け落ちは生じにくいが、空回転させると、インパクトレンチ用先端工具が抜け落ちる。よって、従来のインパクトレンチ用先端工具においては、ピンおよびOリングを用いるのが一般的である。
【0009】
本発明の目的は、駆動工具の挿着部に速やかに嵌着可能であるソケットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の第1の形態によれば、駆動工具の少なくとも1つの位置決め部が凹設された挿着部に嵌着されるとともに、ソケット本体、切換部材及び少なくとも1つの位置決めユニットを備えたソケットであって、前記ソケット本体は、軸線と、前記軸線の延伸方向に配置された作動部及び嵌合部と、を有し、前記作動部には、締付け具が接続され、前記嵌合部は、前記挿着部を挿着する嵌合空間を有し、前記切換部材は、前記軸線の延伸方向で移動可能であるとともに、前記軸線を軸として回動可能に前記嵌合部に取り付けられ、前記位置決めユニットは、第1の収容部、第2の収容部及び位置決め部材を有し、前記第1の収容部は、前記軸線に対して横向きで前記嵌合部に貫通され、前記第2の収容部は、前記切換部材に形成されて前記嵌合部に対向し、前記位置決め部材は、前記第1の収容部に移動可能に収容され、前記位置決め部材の一部は、前記第1の収容部から突出され、前記切換部材がロック位置にあるとき、前記第1の収容部と前記第2の収容部との位置がずれ、前記切換部材により押圧された前記位置決め部材の一部が前記嵌合空間から突出され、前記位置決め部と係合されて嵌着され、前記切換部材が開放位置にあるとき、前記第1の収容部及び前記第2の収容部が前記軸線に対して横向きの方向で重なり、前記位置決め部材の一部は、前記第2の収容部に延ばし入れられるが、前記嵌合空間には延ばし入れられないことを特徴とするソケットが提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、駆動工具の挿着部に速やかに嵌着可能であるソケットを提供することができる。この発明は、インパクトレンチへの挿着に特に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態に係るソケットを示す斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るソケットの使用状態の説明図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係るソケットの使用状態の説明図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係るソケットの使用状態の説明図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係るソケットの使用状態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、これによって本発明が限定されるものではない。
【0014】
図1~
図6を参照する。
図1~
図6に示すように、本発明の一実施形態に係るソケットは、駆動工具7の挿着部71に嵌着される。挿着部71には、少なくとも1つの位置決め部72が凹設される。ソケットは、少なくともソケット本体1、切換部材2及び少なくとも1つの位置決めユニット3から構成されてなる。
【0015】
ソケット本体1は、軸線11と、軸線11の延伸方向に配置された作動部12及び嵌合部13と、を有する。作動部12には、ボルト、ナットなどの締付け具が接続される。嵌合部13は、挿着部71を挿着する嵌合空間131を有する。切換部材2は、軸線11の延伸方向で移動可能であるとともに、軸線11を軸として回動可能に嵌合部13に取り付けられる。
【0016】
軸線11に対して平行な嵌合部13の長さが作動部12の長さに対して占める比値は0.4~0.6である。切換部材2は、嵌合部13に嵌設される。切換部材2の外周壁25から軸線11までの距離は、作動部12の外周壁25Aから軸線11までの距離に略等しい。
【0017】
少なくとも1つの位置決めユニット3は、第1の収容部31、第2の収容部32及び位置決め部材33をそれぞれ有する。第1の収容部31は、軸線11に対して横向き(軸線11に直角方向)で嵌合部13に貫通される。第2の収容部32は、切換部材2に形成されて嵌合部13に対向する。
位置決め部材33は、第1の収容部31に移動可能に収容される。位置決め部材33の一部は、第1の収容部31から突出される。ここで位置決め部材33はボール(球体)である。第1の収容部31及び第2の収容部32は貫通孔である。第2の収容部32の孔径は、位置決め部材33が外れることを防ぐために、第1の収容部31の孔径より小さい。
【0018】
切換部材2がロック位置にあるとき、第1の収容部31と第2の収容部32との位置(軸線11に垂直な方向における相対的な位置)がずれる。切換部材2は、第1の収容部31の開口を覆って位置決め部材33に押し当てられる。切換部材2により押圧された位置決め部材33の一部が嵌合空間131から突出され、位置決め部72と係合されて嵌着される。
切換部材2が開放位置にあるとき、第1の収容部31及び第2の収容部32が軸線11に対して横向きの方向で重なる。位置決め部材33が嵌合空間131からの作用力を受けると、位置決め部材33の一部は、第2の収容部32に延ばし入れられるが、嵌合空間131には延ばし入れられない。つまり、位置決め部材33は、嵌合空間131において軸線11に垂直な方向の力を受けると、その一部が第2の収容部32内に移動する。位置決め部72が位置決め部材33から外されると、嵌合空間131から挿着部71を抜き取ることができる。
【0019】
位置決め部72は少なくとも一つあればよいが、本実施形態において、位置決め部72の数は2である。2つの位置決め部72は、対称配置されて互いに連通した開口である。また、位置決めユニット3は少なくとも一つあればよいが、本実施形態において、位置決めユニット3の数は2である。2つの位置決めユニット3は、軸線11を中心として対称配置される。切換部材2がロック位置にあるとき、2つの位置決め部材33は、2つの位置決め部72にそれぞれ嵌設される。
【0020】
挿着部71及び位置決め部72の態様はこれだけに限定されない。
【0021】
図1~
図6を参照する。
図1~
図6に示すように、切換部材2は、ソケット本体1の軸線11に平行な方向に移動可能であり、かつ、軸線11周りに回転(すなわち、嵌合部13の周方向に回転)可能に取り付けられている。例えば、切換部材2のロック位置と開放位置との切換は、切換部材2を軸線11に平行な方向に移動することによって、第1の収容部31および第2の収容部32の相対的な位置を変更することができる。しかし、駆動装置7の使用時の振動などに起因して第1の収容部31および第2の収容部32の相対的な位置が重なると、切換部材2が意図せずに開放位置に移動し、ソケットが駆動装置7から脱落することがある。一方、切換部材2がソケット本体1の軸線11周りに回転可能に取り付けられている構成であれば、第1の収容部31および第2の収容部32の相対的な位置を、軸線11に平行な方向だけでなく、嵌合部13の周方向においても変更することができる。このように、2種類の異なる作動により第1の収容部31と第2の収容部32との位置がずれるため、切換部材2が意図せずに開放位置に移動することを抑制できる。
【0022】
ソケットは、位置決め部材51を含む。位置決め部材51は、嵌合部13に位置決めされる(本実施形態の位置決め部材51は、嵌合部13にクランプされるリングである)。作動部12の外径寸法は、嵌合部13の外径寸法より大きく、作動部12と嵌合部13との交接箇所には、第1の段差61が形成され、軸線11に対して平行な方向にあり、第1の段差61と位置決め部材51との間に所定距離が設けられる。切換部材2は、第1の段差61と位置決め部材51との間に位置決めされる。所定距離は、軸線11に対して平行な切換部材2の長さより大きい。切換部材2は、軸線11の方向で摺動可能である。
【0023】
切換部材2の両側には、軸線11に対して平行な第1の当接部21及び第2の当接部22が設けられる。第1の当接部21は、第2の当接部22と第1の段差61との間に介装される。
切換部材2を回動(嵌合部13の周方向に回転)させると、第1の収容部31が軸線11に対して平行に、第2の収容部32に対して直線配置された後、第1の当接部21と第1の段差61とが当接されると、切換部材2が開放位置となり、第2の当接部22と位置決め部材51とが当接されると、切換部材2がロック位置となる。
【0024】
ソケット本体1は、第1の表示部41を有する。第1の表示部41は、軸線11に対して平行であり、第1の収容部31に対応する。切換部材2は、第2の表示部42を有する。第2の表示部42は、軸線11に対して平行であり、第2の収容部32に対応する。そのため使用者は、第1の表示部41及び第2の表示部42を見るだけで、切換部材2の周方向における、第1の収容部31及び第2の収容部32の相対的な位置を知ることができる。そして、切換部材2を回動させると、軸線11方向から見たとき、切換部材2の周方向における、第1の収容部31及び第2の収容部32の相対的な位置を重ねる(一致させる)ことができる。このように切換部材2を回動させただけでは、軸線11に平行方向における、第1の収容部31及び第2の収容部32の相対的な位置は重なっていない(一致していない)ので、ロック位置のままである。切換部材2を回動させて、第1の収容部31及び第2の収容部32の相対的な位置を一致させた状態で、さらに、切換部材2を軸線11に平行な方向に移動させて、軸線11に平行方向における、第1の収容部31及び第2の収容部32の相対的な位置を一致させると、開放位置となる。一方、軸線11方向から見たとき、切換部材2の周方向における、第1の収容部31及び第2の収容部32の相対的な位置を重ねない(一致させない)こともできる。この状態では、切換部材2を軸線11に平行な方向に移動させても、切換部材2の周方向における、第1の収容部31及び第2の収容部32の相対的な位置が一致しないので、常にロック位置のままとなる。
【0025】
好ましくは、嵌合部13は第2の段差62を有し、切換部材2はベース部23を有する。第2の段差62及びベース部23には、弾性部材53の両端がそれぞれ当接され、第2の当接部22は常時、位置決め部材51へ向かう付勢力を有する。切換部材2に外力が作用しなくなると、切換部材2がロック位置に自動的に移動し、ソケットが挿着部71に迅速に装着される。そして、切換部材2を回動させて、切換部材2の周方向における、第1の収容部31及び第2の収容部32の相対的な位置を変更して、重ならないようにすると、意図せずに外れることを防ぐことができる。また、弾性部材53が切換部材2へ支持力を提供するため、意図しない外力作用により移動してしまうことを防ぎ、安定性を高めることができる。
【0026】
また、好ましくは切換部材2は遮蔽部24を有し、遮蔽部24は第2の当接部22に横向きに接続される。第2の当接部22と位置決め部材51とが当接されると、遮蔽部24が軸線11に対して横方向で位置決め部材51を覆い、位置決め部材51が外界から触れられることを防ぐため、位置決め部材51は嵌合部13に安定的に位置決めされる。
【0027】
同じ道理により、第1の当接部21は、ベース部23に横方向に接続される(軸線11に平行な方向において隣り合うように接続される)とともに、第2の段差62を覆う。第1の当接部21、ベース部23及び嵌合部13には、内部空間27が形成される。弾性部材53は、内部空間27に収容される。第1の当接部21は、弾性部材53の変形を保護するため外界からの影響を受けない。
【0028】
また、切換部材2は、指部8が押し付けられる滑り止め構造52を有することが好ましい。さらに、切換部材2の外周壁25は、第2の収容部32が設けられた凹部26を少なくとも1つ有し、指部8により凹部26を押圧して切換部材2を操作する際、凹部26により切換部材2と指部8との間の接触面積が増えるため安定性が高まる。本実施形態において、凹部26の数は1であり、環溝である。凹部26は少なくとも一つあればよい。
【0029】
また、嵌合部13には、2つの穿設孔132が穿設され、2つの穿設孔132が軸線11を中心として対称配置され、異なる種類の装着を行ってもよい。
【符号の説明】
【0030】
1 ソケット本体
2 切換部材
3 位置決めユニット
7 駆動工具
8 指部
11 軸線
12 作動部
13 嵌合部
21 第1の当接部
22 第2の当接部
23 ベース部
24 遮蔽部
25 外周壁
25A 外周壁
26 凹部
27 内部空間
31 第1の収容部
32 第2の収容部
33 位置決め部材
41 第1の表示部
42 第2の表示部
51 位置決め部材
52 滑り止め構造
53 弾性部材
61 第1の段差
62 第2の段差
71 挿着部
72 位置決め部
131 嵌合空間
132 穿設孔