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特許7118347重水素化(S)2-(4-(ピペリジン-3-イル)フェニル)-2H-インダゾール-7-カルボキサミド
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-05
(45)【発行日】2022-08-16
(54)【発明の名称】重水素化(S)2-(4-(ピペリジン-3-イル)フェニル)-2H-インダゾール-7-カルボキサミド
(51)【国際特許分類】
   C07D 401/10 20060101AFI20220808BHJP
   A61K 31/454 20060101ALI20220808BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20220808BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220808BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20220808BHJP
   A61P 15/00 20060101ALI20220808BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20220808BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20220808BHJP
【FI】
C07D401/10 CSP
A61K31/454
A61P35/00
A61P43/00 111
A61P35/02
A61P15/00
A61P1/04
A61P13/12
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020504093
(86)(22)【出願日】2018-03-31
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-05-28
(86)【国際出願番号】 US2018025601
(87)【国際公開番号】W WO2018187187
(87)【国際公開日】2018-10-11
【審査請求日】2021-03-31
(31)【優先権主張番号】62/481,144
(32)【優先日】2017-04-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519359549
【氏名又は名称】コンビフォス カタリスツ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】COMBIPHOS CATALYSTS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100170900
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 渉
(72)【発明者】
【氏名】リィ, ジョージ ワイ.
(72)【発明者】
【氏名】タオ,ビン
(72)【発明者】
【氏名】ホウ,ドゥアンジェ
【審査官】水島 英一郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-509252(JP,A)
【文献】特表2010-515715(JP,A)
【文献】Wako Organic Square,日本,2010年,33, September,2頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
【化1】
上記化1で表されるいずれかの化合物、またはその医薬的に許容可能な塩である、化合物
【請求項2】
請求項1に記載の化合物と医薬的に許容可能な媒介物とからなる医薬組成物。
【請求項3】
食と共に、または摂食を伴わずに被検者に経口投与するための医薬組成物の製造における請求項1に記載の化合物の使用
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
この出願は、2017年4月4日に出願された米国仮特許出願番号第62/481,144の優先権を主張し、全内容を本願に参照により援用する。
【0002】
(技術分野)
本開示は、1つまたは複数の水素原子が重水素により置換されたニラパリブの同位体分子種に関する。
【背景技術】
【0003】
ニラパリブ、すなわち(S)-2-(4-(ピペリジン-3-イル)フェニル)-2H-インダゾール-7-カルボキサミドを以下に示す。
【0004】
【化1】
【0005】
ニラパリブならびにその塩類、溶媒和物、水和物、および多形体は、PARP阻害剤(ポリADPリボースポリメラーゼの阻害剤)として知られている。ニラパリブおよびそれを含有する医薬組成物は、BRCA-変異陽性卵巣癌およびBRCA陽性乳房癌の治療において効用を有する。これらの条件の定義および説明は、技能を有する実践者に知られており、種々の特許および特許出願およびそれに含まれる引用文献においてさらに記載されている。Harrison’s Principles of Internal Medicine 16th Edition, Kasper, D. L., et. al. Eds., 2004, McGraw-HillProfessional; Robbins & Cotran Pathologic Basis of Disease, Kumar, V. et. al. Eds., 2004, W.B. Saundersも参照。
【0006】
MK-4827として以前は知られていたニラパリブは、PARP、PARPおよびPARPを含む、ポリADPリボースポリメラーゼ(PARP)酵素の阻害剤である。PARP酵素は、DNA転写、細胞周期規制、およびDNA修復などの通常の細胞のホメオスターシスに含まれる。ニラパリブは、種々の卵巣、乳房、および前立腺の癌を含む、遺伝性のBRCA-1またはBRCA-2変異を有する人における癌の治療に有用な薬剤である。BRCA-1またはBRCA-2変異は、いくつかの形態の癌の発生に対する一般的な疾病素質を引き起こす場合があり、かつ、多くの形態の癌治療に対して耐性がある場合がある。しかしながら、この種の癌細胞は、細胞のDNAを修復するためにPARPに対して上昇した確実性を有しており、癌細胞に分裂の継続を許可し、それゆえ、PARP阻害剤に対して特に脆弱である場合がある。したがって、PARPを選択的に阻害する薬剤は、このような癌の治療に役立つ場合がある。
【0007】
ニラパリブは、それぞれ3.8nMおよび2.1nMのIC50値で、優れたPARPおよびPARP阻害活性を示した。細胞全体定量法において、ニラパリブは、4nMのEC50値でPARP活性を阻害し、10nM~100nMの範囲におけるCC50で、変異体BRCA-1およびBRCA-2を有する癌細胞の増殖を阻害する。
【0008】
ニラパリブは、BRCA-1欠損癌のマウス異種移植モデルにおける単一の薬剤としてのインビボの有効性を実証する。80mg/kg(qd、経口の投薬)で、たった1または2週間の治療の後に腫瘍成長の顕著な阻害が観察された。3または4週間の連続的な日々の投薬は、完全で持続した退縮が4週間の治療後に観察されて、より効果的であり、腫瘍縮小を誘発した。ニラパリブは、2、3、または4週間の80mg/kg(qd、経口の投薬)で~60%腫瘍成長阻害を伴って、CAPAN-1膵臓癌細胞異種移植モデルにおいて活性であるとも示された。さらに、それは種々のヒト腫瘍異種移植、p53野生型およびp53変異体の双方、に対する照射の効果を強く高める。照射応答の促進は、臨床的に関連する照射-投薬の分割スケジュールにおいて観察される。Jones、 P. et al. "Discovery of2-{4-[(3S)-Piperidin-3-yl]phenyl}-2H-indazole-7-carboxamide (MK-4827): A NovelOral Poly(ADP-ribose)polymerase (PARP) Inhibitor Efficacious in BRCA-1 and -2Mutant Tumors、" J. Med. Chem. 2009、 52、 7170-7185; Jones, P. et al. "Niraparib: A Poly(ADP-ribose)Polymerase (PARP) Inhibitor for the Treatment of Tumors with DefectiveHomologous Recombination," J. Med. Chem. 2015, 58, 3302-3314参照。
【0009】
白金ベースの化学療法を受ける再発性卵巣癌を有する500人の登録された患者でのフェーズ3トライアル(NOVA)において、ニラパリブは、0.27の危険率で、生殖細胞系列BRCA変異体患者における無増悪生存率(PFS)のその主要評価項目を顕著に達成した。ニラパリブによって治療された患者についての中央値PFSは、対照についての5.5か月に比べて21.0か月であった。このトライアルも、0.38の危険率で、HRD(同相組み換え欠損)陽性腫瘍を有する患者についてのnon-gBRCAmutコホートにおけるPFSのその主要評価項目の達成に成功した。ニラパリブによって治療されたHRD陽性腫瘍を有する患者についての中央値PFSは、対照についての3.8か月に比べて、12.9か月であった。ニラパリブは、0.45の危険率で、HRD陽性およびHRD陰性の双方の腫瘍を有する患者を含んだ、全体的なnon-生殖細胞系列BRCA変異体コホートにおける統計的有意性も示した。ニラパリブにより治療された患者についての中央値PFSは、対照についての3.9か月と比較して、9.3か月であった。Nasdaq Globe Newswire, "TESARO’s Niraparib Significantly Improved Progression-Free Survival forPatients With Ovarian Cancer in Both Cohorts of the Phase 3 NOVA Trial," June 29, 2016, Waltham, Mass. (available atglobenewswire.com/news-release/2016/06/29/852247/0/en/TESARO-s-Niraparib-Significantly-Improved-Progression-Free-Survival-for-Patients-With-Ovarian-Cancer-in-Both-Cohorts-of-the-Phase-3-NOVA-Trial.html)参照。
【0010】
ニラパリブの現在進行中の研究は、卵巣癌を有する患者におけるフェーズ2トライアル(QUADRAトライアル)と、BRCA陽性乳房癌を有する患者の治療のためのフェーズ3トライアル(BRAVOトライアル)と、初回卵巣癌を有する患者におけるフェーズ3トライアル(PREVIAトライアル)とを含む。ペムブロリズマブ、ベバシズマブ、およびテモゾロミドとの組み合わせにおけるニラパリブのトライアルを含む、いくつかの組み合わせ研究も進行中である。Nasdaq Globe Newswire, "TESARO Provides Pipeline Update at ASCO Investor Briefing," June 4, 2016 (available atir.tesarobio.com/news-releases/news-release-details/tesaro-provides-pipeline-update-asco-investor-briefing)参照。
【0011】
最も一般的な(≧10%)治療-出現等級3/4有害事象は、血小板減少(28.3%)、貧血(24.8%)、および好中球減少(11.2%)であった。中止率は、ニラパリブ治療患者については14.7%であり、対照については2.2%であった。Nasdaq Globe Newswire, "TESARO’s Niraparib Significantly Improved Progression- Free Survival forPatients With Ovarian Cancer in Both Cohorts of the Phase 3 NOVA Trial," June 29, 2016, Waltham, Mass. (available atglobenewswire.com/news-release/2016/06/29/852247/0/en/TESARO-s-Niraparib-Significantly-Improved-Progression-Free-Survival-for-Patients-With-Ovarian-Cancer-in-Both-Cohorts-of-the-Phase-3-NOVA-Trial.html)参照。
【0012】
したがって、血小板減少、貧血、および好中球減少、ならびにニラパリブ療法で生じる可能性のある他の潜在的に危険な副作用などの有害事象を除去または最小化するように、患者に対してニラパリブの比較的高い用量を投与する方法について満たされていない臨床的な必要性が残っている。血液における薬剤の濃度を上昇させ、有効な生物学的利用能を向上させることによりその有効な薬理学的生命をさらに延長する低減された代謝性負担を有するニラパリブの有益な活性を示す化合物は、必要な投薬量が比較的少なくなり、それにより、潜在的な毒性および他の副作用が低減される。
【発明の概要】
【0013】
【化2】
の構造を有する重水素化化合物、もしくはその医薬的に許容可能な塩、溶媒和物、またはプロドラッグ、もしくはそのプロドラッグの塩、もしくはその水和物または多形体がここの開示されており、
,Y,Y,Y,Y,Y,Y,Y,Y,Y’,Y10,Y10’,Y11,Y11’,Y12,Y12’およびY13は水素または重水素からなる群から選択され、
,Y,Y,Y,Y,Y,Y,Y,Y,Y’,Y10,Y10’,Y11,Y11’,Y12,Y12’およびY13の少なくとも1つは重水素であり、
各炭素は13Cによって独立して任意に置換される。
【0014】
開示されたニラパリブ同位体分子種は、PARP阻害剤であり、ニラパリブと比較して固有の生医薬的および代謝性な特性を有する。開示された化合物は、体液におけるニラパリブの濃度を正確に判断するために、および、ニラパリブおよびその同位体分子種の代謝パターンを判断するためにも使用されてもよい。BRCA-変異陽性卵巣癌およびBRCA陽性乳房癌を治療するための開示された化合物を含む組成物および方法も、単独で、または、追加の薬剤との組み合わせで、ここに開示されている。
【0015】
何等かの動作理論により拘束されることなく、ニラパリブはCYP3Aおよび酵素を代謝する他の薬剤によって主として代謝されてもよいと信じられている。ニラパリブのための主な代謝経路は、N-酸化、酸化的N-脱アルキル化、リング酸化、および開環を含めて、おそらくはベンジリック炭素において、および/または、電子が豊富な窒素および/またはピペリジンリングα-炭素における酸化を含んでいてもよい。胆管カニューレ着装されたラットへの[14C]-ニラパリブ投薬されたIVによる放射標識生体内分布研究は、親薬物としての45%の回復された放射活性と共に、複数の代謝物を見出した。Jones, P. et al. "Niraparib: A Poly(ADP-ribose) Polymerase (PARP)Inhibitor for the Treatment of Tumors with Defective Homologous Recombination," J. Med. Chem.2015, 58, 3302-3314参照。
【0016】
これらの代謝物の産生を制限することは、ニラパリブおよび関連薬剤の投与の危険性を低下する潜在性を有し、投与量の増加および付随する有効性の上昇さえも可能となる場合がある。これらのトランスフォーメーションの全ては、多形体的に発現した酵素を通して生じてもよく、したがって、患者間多様性を増幅させる。前記理由の全てについて、比較的長い半減期を有する薬剤が前記問題を減少し比較的高い有効性とコスト節約という結果になるという高い可能性がある。
【0017】
様々な重水素化パターンは、(a)不要な代謝物を低減または排除するため、(b)親薬物の半減期を増大するため、(c)所望の効果を達成するために必要な投薬の数を低減するため、(d)所望の効果を達成するために必要な投薬の量を低減するため、(e)活性代謝物が生成されるならばその生成を増大するため、および/または(f)特定の組織において劣化代謝物の産生を低減する、および/またはより有効な薬剤および/または意図的な多薬療法および意図しない多薬療法の双方のためのより安全な薬剤を作成するために使用され得る。重水素化は、種々の酸化的および他の修飾メカニズムを介した薬物代謝を減速する高い可能性を提供する。特に、薬剤の重水素化は、癌を患う患者に共通している、異なる投薬の組み合わせを使用する場合に利点が生じる。
【0018】
開示された化合物および組成物は、溶液におけるニラパリブの濃度を判断するための分析用試薬としても有用である。本願において使用される場合、ニラパリブは、化合物を指し、この場合、全ての水素原子およびすべての炭素原子がそれらの天然同位体存在度の近似百分率で存在する。天然同位体存在度のいくつかの変形例は化学的出発物質および試薬の起源に応じて生じる一方で、この変形例にもかかわらず、天然に豊富に存在する安定水素および炭素の同位体の濃度は低く、ここに開示される化合物の安定した同位体的置換の程度に対しては無関係である。例えば、Wada, E. et al. Seikagaku, 1994 66, 15; Ganes, L. Z. et al. Comp. Biochem. Physiol. A Mol. Integr. Physiol. 1998, 119, 725参照。
【0019】
開示された化合物の変更された特性は、それらのタンパク質標的に結合するそれらの能力に顕著に影響しない。なぜなら、このような結合は、主として、タンパク質と阻害剤との間の非共有結合性の結合に依存しており、含まれる特定の置換に依存した同位体的置換により正および負の双方に影響されてもよく、開示された化合物とそれらの標的化されたタンパク質との間の非常に最適化された非共有結合性の結合に対して、開示された化合物における比較的重い原子が有し得る何らかの負の影響は比較的小さくなるためである。小分子およびそれらの間の結着力の非共有結合性の認識に寄与する主因子は、ファンデルワールス力、水素結合、イオン結合、分子的再構成、小分子の脱溶媒和エネルギー、疎水性相互作用、および、いくつかの状況においては、既存の結合されたリガンドのための変位エネルギーを含む。例えば、Goodman & Oilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics,Tenth Edition, Hardman, J. G. et al, Eds. 2001, McGraw-Hill; The OrganicChemistry of Drug Design and Drug Action, Silverman, R. B., 2004, Academic Press参照。
【0020】
開示された化合物は、ニラパリブに非常に類似した分子トポロジーを有し、なぜなら、水素を重水素に交換することは感知できるほど分子構造を変化させず、13Cを12Cに交換することは立体配座的に中立であるためである。Holtzer, M. E. et al. Biophys. J. 2001, 80, 939を参照。重水素置換は、ファンデルワールス半径の若干の減少を引き起こす(Wade, D. Chem. Biol. Interact. 1999, 117, 91を参照)が、このような減少は、ニラパリブと比べて、開示された化合物とそれらの受容体との間の結合能を感知できるほど減少させないだろう。さらに、ニラパリブよりもやや小さい開示された重水素化化合物のサイズは、結合タンパク質とのさらなる不都合な立体相互作用を防止する。
【0021】
開示された化合物における重水素も13C原子も、タンパク質受容体とのイオン性相互作用または水素結合に顕著に寄与しない。これは、ニラパリブにより形成される、その標的化されたタンパク質とのイオン性相互作用および主な水素結合は、ニラパリブ内の酸素、窒素、およびアミン結合水素により媒介されるためである。アミン窒素に付着した任意の重水素原子は、生理学的条件下でバルク溶媒プロトンにより迅速に交換される。タンパク質再構成または側鎖動作は、開示される化合物とニラパリブとの間で同一である。開示される化合物の脱溶媒和エネルギーは、ニラパリブの脱溶媒和エネルギー以下となり、受容体のための中立または増大した結合能という結果になる。Turowski, M. et al. J. Am. Chem. Soc. 2003, 125, 13836を参照。開示された化合物における13Cによる12Cの置換は、脱溶媒和エネルギーにおける顕著な変化を引き起こさなくなる。したがって、開示された化合物は、代謝物生成の低減された率を有する実質的にPARP規制性の活性を維持することが有利である。
【0022】
開示された化合物および組成物は、溶液におけるニラパリブの濃度を判断するための分析用試薬としても有用である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
【化3】
の構造を有する重水素化化合物、もしくはその医薬的に許容可能な塩、溶媒和物、またはプロドラッグ、もしくはそのプロドラッグの塩、もしくはその水和物または多形体がここに開示され、
,Y,Y,Y,Y,Y,Y,Y,Y,Y’,Y10,Y10’,Y11,Y11’,Y12,Y12’、およびY13は水素または重水素からなる群より選択され、
,Y,Y,Y,Y,Y,Y,Y,Y,Y’,Y10,Y10’,Y11,Y11’,Y12,Y12’、およびY13の少なくとも1つは重水素であり、
各炭素は13Cで独立して任意に置換されてもよい。
【0024】
式(I)の開示された化合物における特定の原子Y,Y,Y,Y,Y,Y,Y,Y,Y,Y’,Y10,Y10’,Y11,Y11,Y12,Y12、またはY13が重水素として説明される本願において使用する場合、これは、
化合物は少なくとも5%の重水素を重水素として識別される位置Y,Y,Y,Y,Y,Y,Y,Y,Y,Y’,Y10,Y10’,Y11,Y11’,Y12,Y12’、またはY13の少なくとも1つに組み込み、
好ましくは少なくとも約10%の重水素が重水素として識別される位置Y,Y,Y,Y,Y,Y,Y,Y,Y,Y’,Y10,Y10’,Y11,Y11’,Y12,Y12’、またはY13の少なくとも1つに組み込み、
より好ましくは少なくとも20%の重水素を重水素として識別される位置Y,Y,Y,Y,Y,Y,Y,Y,Y,Y’,Y10,Y10’,Y11,Y11’,Y12,Y12’、またはY13の少なくとも1つに組み込み、
さらに好ましくは、少なくとも50%の重水素を重水素として識別される位置Y,Y,Y,Y,Y,Y,Y,Y,Y,Y’,Y10,Y10’,Y11,Y11’,Y12,Y12’、またはY13の少なくとも1つに組み込み、
さらに好ましくは、少なくとも70%の重水素を重水素として識別される位置Y,Y,Y,Y,Y,Y,Y,Y,Y,Y’,Y10,Y10’,Y11,Y11’,Y12,Y12’、またはY13の少なくとも1つに組み込み、
さらに好ましくは、少なくとも80%の重水素を重水素として識別される位置Y,Y,Y,Y,Y,Y,Y,Y,Y,Y’,Y10,Y10’,Y11,Y11’,Y12,Y12’、またはY13の少なくとも1つに組み込み、
さらに好ましくは、少なくとも90%の重水素を重水素として識別される位置Y,Y,Y,Y,Y,Y,Y,Y,Y,Y’,Y10,Y10’,Y11,Y11’,Y12,Y12’、またはY13の少なくとも1つに組み込み、
最も好ましくは、最良の結果のために、少なくとも98%の重水素を重素水として識別される位置Y,Y,Y,Y,Y,Y,Y,Y,Y,Y’,Y10,Y10’,Y11,Y11’,Y12,Y12’、またはY13の少なくとも1つに組み込むことを意味し、
この場合、化合物は重水素であるとして記載された位置Y,Y,Y,Y,Y,Y,Y,Y,Y,Y’,Y10,Y10’,Y11,Y11’,Y12,Y12’、またはY13の少なくとも1つに少なくとも具体的な割合の重水素を組み込む、という説明は、重水素が観察可能であるか、または、核磁気共鳴(NMR)分光法などによる、分析的に測定可能な時間尺度において観察されないとして具体的に識別可能であることを意味する。
【0025】
式(I)の開示された化合物における特定の原子Y,Y,Y,Y,Y,Y,Y,Y,Y,Y’,Y10,Y10’,Y11,Y11’,Y12,Y12’、またはY13が水素であるとして記載されている本願において使用される場合、これは、
化合物は少なくとも95%の水素を、水素として識別された位置Y,Y,Y,Y,Y,Y,Y,Y,Y,Y’,Y10,Y10’,Y11,Y11’,Y12,Y12’、またはY13の全てに組み込むことを意味し、
この場合、化合物は水素であると説明される位置Y,Y,Y,Y,Y,Y,Y,Y,Y,Y’,Y10,Y10’,Y11,Y11’,Y12,Y12’、またはY13の全てに少なくとも特定の割合の水素を組み込む、という説明は、水素が観察可能であり、具体的には、観察されていない、または、核磁気共鳴(NMR)分光法などにより分析的に測定可能な時間尺度において観察され得ないとして具体的に識別可能であることを意味する。
【0026】
ここに開示される式(I)の重水素化化合物は、炭素の13Cまたは14C置換、窒素の15N置換、および酸素の17Oまたは18O置換を含むがこれに限定されない、他の要素について比較的一般的でない同位体も含有していてもよい。
【0027】
本願において使用される場合、「化合物」という用語は、式Iの化合物の塩類、プロドラッグ、およびプロドラッグ塩類を含む。「化合物」という用語は、前記のいずれかの任意の溶媒和物、水和物、および多形体も含んでいてもよい。本願に記載の「プロドラッグ」、「プロドラッグ塩」、「溶媒和物」、「水和物」、または「多形体」の具体的な列挙は、「化合物」という用語がこれら他の形態を列挙せずに使用されるこれらの形態の意図的な省略として解釈されるべきではない。
【0028】
式(I)の化合物の塩は、アミノ官能基などの化合物の酸と塩基性基との間、または、カルボキシル官能基などの化合物の塩基と酸性基との間に形成される。他の好ましい実施形態において、化合物は医薬的に許容可能な酸付加塩である。
【0029】
本願において使用されている場合、特記されない限り、「プロドラッグ」という用語は、化合物の誘導体を意味し、加水分解し、酸化し、またはそれ以外の場合は生物学的条件(インビトロのまたはインビボの)において反応することで、式(I)の開示された化合物を提供することができる。プロドラッグは生物学的条件下でのこのような反応時にのみ活性になるか、または、プロドラッグはそれらの未反応形態において活性を有していてもよい。本開示において検討されるプロドラッグの例としては、生加水分解可能なアミド、生加水分解可能なエステル、生加水分解可能なカルバミン酸塩、生加水分解可能な炭酸塩、生加水分解可能なウレイド、または生加水分解可能なリン酸塩類似体生などの加水分解可能な部分を含むここに記載の式のいずれか1つの化合物の類似体または誘導体を含むがこれらに限定されない。プロドラッグの他の例は、-NO、-NO、-ONO、または-ONO部分を含むここに記載の式のいずれか1つの化合物の誘導体を含む。プロドラッグは、Burger 's Medicinal Chemistry and Drug Discovery, Wolff, M. E., Ed.5th ed, 1995, 172-78, 949-82に記載の方法のような周知の方法を用いて典型的には調製されてもよい。"Biotransformation of Drugs," Goodman and Oilman 's ThePharmacological Basis of Therapeutics, 8th ed., 1992, McGraw-Hill, Int. Edも参照。
【0030】
本願において使用されている場合、特記されない限り、「生加水分解可能なアミド」「生加水分解可能なエステル」「生加水分解可能なカルバミン酸塩」「生加水分解可能な炭酸塩」「生加水分解可能なウレイド」および「生加水分解可能なリン酸塩類似体」は、アミド、エステル、カルバミン酸塩、炭酸塩、ウレイド、またはリン酸塩類似体であって、これは、(1)化合物の生物活性を破壊せず、吸尽、活性の継続、または活性の開始などのインビボで有利な特性を化合物に与えるか、または、(2)それ自体生物学的に不活性であるがインビボで生物学的活性体に変換されるものを意味する。生加水分解可能なアミドの例は、低級アルキルアミド、α-アミノ酸アミド、アルコキシアシルアミド、およびアルキルアミノアルキルカルボニルアミドであるが、これらに限定されない。生加水分解可能なエステルの例は、低級アルキルエステル、アルコキシアシロキシエステル、アルキルアシルアミノアルキルエステル、およびコリンエステルを含むが、これらに限定されない。生加水分解可能なカルバミン酸塩の例は、低級アルキルアミン、置換エチレンジアミン、アミノ酸、ヒドロキシアルキルアミン、ヘテロ環式およびヘテロ芳香族アミン、およびポリエーテルアミンを含むが、これらに限定されない。
【0031】
プロドラッグ塩は、アミノ官能基などのプロドラッグの酸と塩基性基との間、または、カルボキシル官能基などのプロドラッグの塩基と酸性基との間に形成された化合物である。いくつかの好ましい実施形態において、プロドラッグ塩は、医薬的に許容可能な塩である。いくつかの他の好ましい実施形態では、式Iの化合物の塩形成可能なプロドラッグに対する対イオンは、医薬的に許容可能である。医薬的に許容可能な対イオンは、医薬的に許容可能な塩類を形成するために適しているとされるここに記載の酸類および塩基類を含むが、これらに限定されない。特に好ましいプロドラッグおよびプロドラッグ塩類は、哺乳類にこのような化合物が(例えば、血液により簡単に吸収されるように経口投与される化合物を許容することにより)投与された場合、式(I)の開示された化合物の生物学的利用能を増大するか、または親種に対して生物学的区画(例えば、脳または中枢神経系)への親化合物の搬送を向上するものである。好ましいプロドラッグは、基が水性溶解性を向上する誘導体を含み、または、腸膜を介した活性輸送は、ここに記載の式の構造に追加される。例えば、Alexander, J. et al. J. Med. Chem. 1988, 31, 318-322; Bundgaard, H.Design of Prodrugs, 1985, Elsevier: Amsterdam, 1-92; Bundgaard, H. et al.J.Med. Chem. 1987, 30, 451-454; Bundgaard, H. A Textbook of Drug Design andDevelopment, 1991, Harwood Academic Publ. : Switzerland, 113-191; Digenis, G.A. et al. Handbook of Experimental Pharmacology, 1975, 28, 86-112; Friis, G. J.et al. A Textbook of Drug Design and Development, 2nd ed., 1996, Overseas Publ.: Amsterdam, 351-385; Pitman, I. U. Med. Res. Rev. 1981, 1, 189-214を参照。
【0032】
本願において使用される場合、「医薬的に許容可能な」という表現は、診断医学的判断の範囲内において、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、または他の類似の負の相互作用がなく、ヒトおよび他の哺乳類の組織に接触した使用に適し、かつ、妥当なリスク/利益率にふさわしい成分である。「医薬的に許容可能な塩」は、受容者への投与時に、直接的または間接的に式(I)の開示された化合物のプロドラッグまたは化合物のいずれかを提供することができる、任意の非毒性塩を意味する。「医薬的に許容可能な対イオン」は、受容者への投与時に塩から放出される場合に毒性が無い塩のイオン性部分である。
【0033】
医薬的に許容可能な塩類を形成するために一般に使用される酸類は、水素ビスルフィド、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、およびリン酸などの無機酸、パラトルエンスルホン酸、サリチル酸、酒石酸、二酒石酸、アスコルビン酸、マレイン酸、ベシル酸、フマル酸、グルコン酸、グルクロン酸、ギ酸、グルタミン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、乳酸、シュウ酸、パラブロモフェニルスルホン酸、炭酸、琥珀酸、クエン酸、安息香酸、および酢酸などの有機酸、ならびに関連の無機酸および有機酸を含む。したがって、このような医薬的に許容可能な塩類は、硫酸塩、ピロ硫酸塩、重硫酸塩、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、リン酸塩、リン酸一水素塩、リン酸二水素塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、酢酸塩、プロピオン酸塩、デカン酸塩、カプリル酸塩、アクリル酸塩、ギ酸塩、イソ酪酸塩、カプリン酸塩、ヘプタン酸、プロピオール酸、シュウ酸塩、マロン酸塩、琥珀酸塩、スベレート、セバシン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、ブチン-1,4-二酸塩、ヘキシン-1,6-二酸塩、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、メトキシ安息香酸塩、フタル酸塩、テレフタル酸塩、スルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩、酢酸フェニル、フェニルプロピオン酸塩、フェニル酪酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、β-ヒドロキシ酪酸塩、グリコール酸塩、マレイン酸塩、酒石酸、メタンスルホン酸塩、プロパンスルホン酸塩、ナフタレン-1-スルホン酸塩、ナフタレン-2-スルホン酸塩、マンデル酸塩、および他の関連または類似の塩を含む。好ましい医薬的に許容可能な酸付加塩は、塩酸および臭化水素酸などの鉱酸と共に形成されるもの、および、特に、マレイン酸など有機酸と共に形成されるものを含む。
【0034】
本願において使用される場合、「水和物」という用語は、非共有結合性の分子間力により結合された化学量論的または非化学量論的な量の水を更に含む化合物を意味する。
【0035】
本願において使用される場合、「溶媒和物」という用語は、化学量論的または非化学量論的量の水、アセトン、エタノール、メタノール、ジクロロメタン、2-プロパノールなどの溶媒、または非共有結合性の分子間力により結合される他の溶媒を更に含む化合物を意味する。
【0036】
本願において使用される場合、「多形体」という用語は、例えば、X線粉末回析図形または赤外線分光法などの物理的手段によって特徴付けられてもよい、化合物またはその複合体の固体の結晶形態を意味する。同じ化合物の異なる多形体は、異なる物理的、化学的、または分光的な性質を示してもよい。
【0037】
異なる物理的性質は、安定度(例えば、熱、光、または、水分安定度)、圧縮性および密度(製剤および製品製造において重要な場合がある)、吸湿性、溶解性(生物学的利用能に影響する可能性がある)、および溶解速度であるが、これらに限定されない。安定度の相違は、化学的反応性(例えば、剤形がある多形体を有する場合は別の多形体を有する場合よりも迅速に変色するなどの示差酸化)または機械的特徴(例えば、動的に好ましい多形体が熱力学的により安定した多形体に変換するため保管時に錠剤が崩壊する)または両方(例えば、1つの多形体の錠剤は高い湿度でより崩壊しやすい)における変化から生じる可能性がある。多形体の異なる物理的特性は、それらの処理に影響し得る。例えば、1つの多形体は、例えばその粒子の形状またはサイズ分布により、他の多形体よりも溶媒和物を形成しやすい場合があり、または、不純物が無いように濾過または洗浄することがより困難である場合がある。
【0038】
開示されたニラパリブ同位体分子種は、PARP阻害剤であり、ニラパリブと比較して固有の生医薬的および代謝性の特性を有する。開示された化合物は、体液におけるニラパリブの濃度を正確に決定するために、および、ニラパリブおよびその同位体分子種の代謝パターンを決定するためにも使用されてもよい。BRCA-変異陽性卵巣癌およびBRCA陽性乳房癌を治療するための開示された化合物を含む組成および方法は、単独で、または追加の薬剤との組み合わせで、ここに開示もされる。
【0039】
何等かの動作理論に拘束されることなく、ニラパリブはCYP3Aおよび他の薬剤を代謝する酵素によって主として代謝されてもよい、という事が信じられている。ニラパリブの主な代謝経路は、N-酸化、酸化的N-脱アルキル化、リング状酸化、および開環を含む、おそらく、ベンジリック炭素における、および/または、電子が豊富な窒素および/またはピペリジン環のα-炭素における酸化を含んでいてもよい。胆管カニューレ装着ラットに対する[14C]-ニラパリブ投薬されたIVによる放射標識生体内分布研究は、親薬物として45%の回復された放射活性を伴って、複数の代謝物を見出した。Jones, P. et al. "Niraparib: A Poly(ADP-ribose) Polymerase(PARP) Inhibitor for the Treatment of Tumors with Defective HomologousRecombination," J. Med. Chem. 2015, 58, 3302-3314を参照。
【0040】
これらの代謝物の産生を制限することは、ニラパリブおよび関連薬剤の投与の危険性を低下する潜在性を有し、投与量の増加および付随する有効性の上昇さえも可能となる場合がある。これらのトランスフォーメーションの全ては、多形体的に発現した酵素を通して生じてもよく、したがって、患者間多様性を増幅させる。前記理由の全てについて、比較的長い半減期を有する薬剤が前記問題を減少し比較的高い有効性とコスト節約という結果になるという高い可能性がある。
【0041】
様々な重水素化パターンは、(a)不要な代謝物を低減または排除するため、(b)親薬物の半減期を増大するため、(c)所望の効果を達成するために必要な投薬の数を低減するため、(d)所望の効果を達成するために必要な投薬の量を低減するため、(e)活性代謝物が生成されるならばその生成を増大するため、および/または(f)特定の組織において劣化代謝物の産生を低減する、および/またはより有効な薬剤および/または意図的な多薬療法および意図しない多薬療法の双方のためのより安全な薬剤を作成するために使用され得る。重水素化は、種々の酸化的および他の修飾メカニズムを介した薬物代謝を減速する高い可能性を提供する。特に、薬剤の重水素化は、癌を患う患者に共通している、異なる投薬の組み合わせを使用する場合に利点が生じる。
【0042】
開示された化合物および組成物は、溶液におけるニラパリブの濃度を判断するための分析用試薬としても有用である。本願において使用される場合、ニラパリブは、化合物を指し、この場合、全ての水素原子およびすべての炭素原子がそれらの天然同位体存在度の近似百分率で存在する。天然同位体存在度のいくつかの変形例は化学的出発物質および試薬の起源に応じて生じる一方で、この変形例にもかかわらず、天然に豊富に存在する安定水素および炭素の同位体の濃度は低く、ここに開示される化合物の安定した同位体的置換の程度に対しては無関係である。例えば、Wada, E. et al. Seikagaku, 1994 66, 15; Ganes, L. Z. et al. Comp. Biochem.Physiol. A Mol. Integr. Physiol. 1998, 119, 725を参照。
【0043】
開示された化合物の変更された特性は、それらのタンパク質標的に結合するそれらの能力に顕著に影響しない。なぜなら、このような結合は、主として、タンパク質と阻害剤との間の非共有結合性の結合に依存しており、含まれる特定の置換に依存した同位体的置換により正および負の双方に影響されてもよく、開示された化合物とそれらの標的化されたタンパク質との間の非常に最適化された非共有結合性の結合に対して、開示された化合物における比較的重い原子が有し得る何らかの負の影響は比較的小さくなるためである。小分子およびそれらの間の結着力の非共有結合性の認識に寄与する主因子は、ファンデルワールス力、水素結合、イオン結合、分子的再構成、小分子の脱溶媒和エネルギー、疎水性相互作用、および、いくつかの状況においては、既存の結合されたリガンドのための変位エネルギーを含む。例えば、Goodman & Oilman 's The Pharmacological Basis of Therapeutics,Tenth Edition, Hardman, J. G. et al., Eds. 2001, McGraw-Hill; The OrganicChemistry of Drug Design and Drug Action, Silverman, R. B., 2004, AcademicPressを参照。
【0044】
開示された化合物は、ニラパリブに非常に類似した分子トポロジーを有し、なぜなら、水素を重水素に交換することは感知できるほど分子構造を変化させず、13Cを12Cに交換することは立体配座的に中立であるためである。Holtzer, M. E. et al. Biophys. J. 2001, 80, 939を参照。重水素置換は、ファンデルワールス半径の若干の減少を引き起こす(Wade, D. Chem. Biol. Interact. 1999, 117, 91を参照)が、このような減少は、ニラパリブと比べて、開示された化合物とそれらの受容体との間の結合能を感知できるほど減少させないだろう。さらに、ニラパリブよりもやや小さい開示された重水素化化合物のサイズは、結合タンパク質とのさらなる不都合な立体相互作用を防止する。
【0045】
開示された化合物における重水素も13C原子も、タンパク質受容体とのイオン性相互作用または水素結合に顕著に寄与しない。これは、ニラパリブにより形成される、その標的化されたタンパク質とのイオン性相互作用および主な水素結合は、ニラパリブ内の酸素、窒素、およびアミン結合水素により媒介されるためである。アミン窒素に付着した任意の重水素原子は、生理学的条件下でバルク溶媒プロトンにより迅速に交換される。タンパク質再構成または側鎖動作は、開示される化合物とニラパリブとの間で同一である。開示される化合物の脱溶媒和エネルギーは、ニラパリブの脱溶媒和エネルギー以下となり、受容体のための中立または増大した結合能という結果になる。Turowski, M. et al. J. Am. Chem. Soc. 2003, 125, 13836を参照。開示された化合物における13Cによる12Cの置換は、脱溶媒和エネルギーにおける顕著な変化を引き起こさなくなる。したがって、開示された化合物は、代謝物生成の低減された率を有する実質的にPARP規制性の活性を維持することが有利である。
【0046】
開示された化合物および組成物は、溶液におけるニラパリブの濃度を判断するための分析用試薬としても有用である。
【0047】
いくつかの好ましい実施形態において、ここに開示される重水素化化合物は、対応する非同位元素的に強化された分子の有益な特性を維持し、一方、最大限許容された投薬を実質的に増加し、毒性を低減し、半減期(T1/2)を増大し、最小の効果的な投薬(MED)の最大プラズマ濃度(Cmax)を低下し、効果的な投薬を低下し、そのため、非機械関連毒性を低減し、および/または、薬剤-薬物相互作用の可能性を低下する。
【0048】
いくつかの好ましい実施形態において、式(I)の化合物のY,Y’,Y10、およびY10’はそれぞれ重水素であり、Y,Y,Y,Y,Y,Y,Y,Y,Y11,Y11’,Y12,Y12’、およびY13はそれぞれ水素である。
【0049】
いくつかの好ましい実施形態において、式(I)の化合物のY,Y’,Y10,Y10’,Y11,Y11’,Y12,Y12’、およびY13はそれぞれ重水素であり、Y,Y,Y,Y,Y,Y,Y、およびYはそれぞれ水素である。
【0050】
いくつかの好ましい実施形態において、式(I)の化合物のY,Y10’,Y11、およびY12はそれぞれ重水素であり、Y,Y,Y,Y,Y,Y,Y,Y,Y’,Y10’,Y11’,Y12’、およびY13はそれぞれ水素である。
【0051】
いくつかの好ましい実施形態において、式(I)の化合物のY,Y10’,Y11,Y12、およびY13はそれぞれ重水素であり、Y,Y,Y,Y,Y,Y,Y,Y,Y’,Y10’,Y11’、およびY12はそれぞれ水素である。
【0052】
いくつかの好ましい実施形態において、式(I)の化合物のYおよびY13はそれぞれ重水素であり、Y,Y,Y,Y,Y,Y,Y,Y,Y’,Y10,Y10’,Y11,Y11’,Y12、およびY12’はそれぞれ水素である。
【0053】
いくつかの好ましい実施形態において、式(I)の化合物のYは、重水素であり、Y,Y,Y,Y,Y,Y,Y,Y,Y’,Y10,Y10’,Y11,Y11’,Y12,Y12’、およびY13はそれぞれ水素である。
【0054】
いくつかの好ましい実施形態において、式(I)の化合物のY,Y,Y、およびYはそれぞれ重水素であり、Y,Y,Y,Y,Y,Y’,Y10,Y10’,Y11,Y11’,Y12,Y12’、およびY13はそれぞれ水素である。
【0055】
いくつかの好ましい実施形態において、式(I)の化合物のY,Y,Y,Y,Y、およびY13はそれぞれ重水素であり、Y,Y,Y,Y,Y’,Y10,Y10’,Y11,Y11’,Y12、およびY12’はそれぞれ水素である。
【0056】
いくつかの好ましい実施形態において、式(I)の化合物のY,Y,Y,Y,Y,Y10,Y11、およびY12はそれぞれ重水素であり、Y,Y,Y,Y,Y’,Y10’,Y11’,Y12’、およびY13はそれぞれ水素である。
【0057】
いくつかの好ましい実施形態において、式(I)の化合物のY,Y,Y,Y,Y,Y10,Y11,Y12、およびY13はそれぞれ重水素であり、Y,Y,Y,Y,Y’,Y10’,Y11’、およびY12’はそれぞれ水素である。
【0058】
いくつかの好ましい実施形態において、式(I)の化合物のY,Y,Y,Y,Y,Y’,Y10,Y10’,Y11,Y11’,Y12,Y12’、およびY13はそれぞれ重水素であり、Y,Y,Y、およびYはそれぞれ水素である。
【0059】
いくつかの好ましい実施形態において、式(I)の化合物のY,Y,Y,Y、およびYはそれぞれ重水素でありY,Y,Y,Y,Y’,Y10,Y10’,Y11,Y11’,Y12,Y12’、およびY13はそれぞれ水素である。
【0060】
いくつかの好ましい実施形態において、式(I)の化合物のY,Y,Y’,Y10,Y10’,Y11,Y11’,Y12,Y12’、およびY13はそれぞれ重水素であり、Y,Y,Y,Y,Y,YおよびYはそれぞれ水素である。
【0061】
いくつかの好ましい実施形態において、式(I)の化合物のY,Y,Y10,Y11、およびY12はそれぞれ重水素であり、Y,Y,Y,Y,Y,Y,Y,Y’,Y10’,Y11’,Y12’、およびY13はそれぞれ水素である。
【0062】
いくつかの好ましい実施形態において、式(I)の化合物のY,Y,Y10,Y11,Y12、およびY13はそれぞれ重水素であり、Y,Y,Y,Y,Y,Y,Y,Y’,Y10’,Y11’、およびY12’はそれぞれ水素である。
【0063】
いくつかの好ましい実施形態において、式(I)の化合物のYおよびY13はそれぞれ重水素であり、Y,Y,Y,Y,Y,Y,Y,Y,Y’,Y10,Y10’,Y11,Y11’,Y12、およびY12’はそれぞれ水素である。
【0064】
いくつかの好ましい実施形態において、式(I)の化合物のY,Y、およびY13はそれぞれ重水素であり、Y,Y,Y,Y,Y,Y,Y,Y’,Y10,Y10’,Y11,Y11’,Y12、およびY12’はそれぞれ水素である。
【0065】
いくつかの好ましい実施形態において、式(I)の化合物のY13は、重水素であり、Y,Y,Y,Y,Y,Y,Y,Y,Y,Y’,Y10,Y10’,Y11,Y11’,Y12、およびY12’はそれぞれ水素である。
【0066】
いくつかの好ましい実施形態において、式(I)の化合物のY,Y’,Y12、およびY12’はそれぞれ重水素であり、Y,Y,Y,Y,Y,Y,Y,Y,Y10,Y10’,Y11,Y11’、およびY13はそれぞれ水素である。
【0067】
いくつかの好ましい実施形態において、式(I)の化合物のYは、重水素であり、Y,Y,Y,Y,Y,Y,Y,Y,Y’,Y10,Y10’,Y11,Y11’,Y12,Y12’、およびY13はそれぞれ水素である。
【0068】
いくつかの好ましい実施形態において、式(I)の化合物のY,Y,Y,Y,Y,Y’,Y10、およびY10’はそれぞれ重水素であり、Y,Y,Y,Y,Y11,Y11’,Y12,Y12’、およびY13はそれぞれ水素である。
【0069】
いくつかの好ましい実施形態において、式(I)の化合物のY,Y,Y9',Y10、およびY10’はそれぞれ重水素であり、Y,Y,Y,Y,Y,Y,Y,Y11,Y11’,Y12,Y12’、およびY13はそれぞれ水素である。
【0070】
いくつかの好ましい実施形態において、式(I)の化合物のY,Y,Y,Y,Y,Y,Y’,Y10、およびY10’はそれぞれ重水素であり、Y,Y,Y,Y11,Y11’,Y12,Y12’、およびY13はそれぞれ水素である。
【0071】
いくつかの好ましい実施形態において、式(I)の化合物のY,Y,Y,Y,Y,Y’,Y12、およびY12’はそれぞれ重水素であり、Y,Y,Y,Y,Y10,Y10’,Y11,Y11’、およびY13はそれぞれ水素である。
【0072】
いくつかの好ましい実施形態において、式(I)の化合物のY,Y,Y’,Y12、およびY12’はそれぞれ重水素であり、Y,Y,Y,Y,Y,Y,Y,Y10,Y10’,Y11,Y11’、およびY13はそれぞれ水素である。
【0073】
いくつかの好ましい実施形態において、式(I)の化合物のY,Y,Y,Y,Y,Y,Y’,Y12、およびY12’はそれぞれ重水素であり、Y,Y,Y,Y10,Y10’,Y11,Y11’、およびY13はそれぞれ水素である。
【0074】
いくつかの好ましい実施形態において、式(I)の化合物のY,Y,Y,Y,Y,Y,Y,Y,Y,Y’,Y10,Y10’,Y11,Y11’,Y12,Y12’、およびY13は、それぞれ重水素である。
【0075】
本願に置いて以下の省略形を用いる。
省略形
Ac アセチル
ACN アセトニトリル
AcOHまたはHOAc 酢酸
aq. 水性
anhyd. 無水
ATP アデノシン三重リン酸塩
Bn ベンジル
Bu ブチル
BocまたはBOC tert-ブトキシカルボニル
BOP ベンゾトリアゾール-1-イル-オキシ-トリス-(ジメチルアミノ)-ホスホニウムヘキサフルオロリン酸塩
CDI カルボニルジイミダゾール
°C 摂氏度
Cbz カルボベンジルオキシ
Conc. 濃度
d 日数
DAST (ジエチルアミノ)硫黄三フッ化ホウ素
DBU 1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデス-7-エン
DCE 1,2-ジクロロエタン
DCM ジクロロメタン
DEA ジエチルアミン
DIEAまたはDIPEA ジイソプロピルエチルアミン
DMAP ジメチルアミノピリジン
DMA N,N-ジメチルアセトアミド
DME 1,2-ジメトキシエタン
DMF ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
DPPA ジフェニルリン酸アジド
dppf 1,-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン
DTT ジチオスレイトール
EDCまたはEDCIまたはEDAC l-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩
EDTA エチレンジアミン四酢酸
ee 鏡像体過剰率
EGTA エチレングリコール四酢酸
eq.またはEq.またはequiv. 当量
EtOAcまたはEA エチルアセテート
Et エチル
EtOH エタノール
Ex 実施例
GST グルタチオンS-トランスフェラーゼ
HATU N,N,N,N-テトラメチル-O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)ウロニウムヘキサフルオロリン酸塩
Hex ヘキサン
HIS ヒスチジン
hまたはhr 時間
i イソ
IPA イソプロパノール
Hz ヘルツ
MHz メガヘルツ
HPLC 高圧液体クロマトグラフィー
RP-HPLC 逆相高圧液体クロマトグラフィー
HOBT 1-ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物
ローソン試薬 [2,4-ビス(4-メトキシフェニル)-1,3-ジチア-2,4-ジホスフェタン-2-4-ジスルフィド
LC 液体クロマトグラフィー
LCMSまたはLC/MS 液体クロマトグラフ質量分析
LDA リチウムジイソプロピルアミド
m-CPBAまたはMCPBA メタクロロ過安息香酸
Me メチル
MeOH メタノール
min. 分
(M+H)
+1 (M+H)+1
MS 質量分析
MSA メタンスルホン酸
MTBE メチルtert-ブチルエーテル
m/z 質量電荷比
N 通常の
NMP N-メチルピロリジノン
NMR 核磁気共鳴
PBMC 抹消血単核細胞
PhCONCS ベンゾイルイソチオシアネート
Pd/C パラジウム炭素
Ph フェニル
Pr プロピル
PHA 植物性凝集素
ppm 100万分の1
PSIまたはpsi ポンド/平方インチ
quant. 定量
RetTimeまたはRt 滞留時間
rtまたはRT 室温
sat.またはsat’d. 飽和した
sec 秒
S-Tol-BINAP (S)-(-)-2,2’-ビス(ジ-p-トリルホスフィノ)-1,1’-ビナプチル
SMまたはsm 出発物質
t tert
TEA トリエチルアミン
TFA トリフルオロ酢酸
THF テトラヒドロフラン
TLC 薄層クロマトグラフィー
TMS-IまたはTMSI ヨードトリメチルシラン
p-TSA パラ-トルエンスルホン酸
W/Vまたはw/v 比重量
Xantphos (9,9-ジメチル-9H-キサンテン-4,5-diyl)ビス[ジフェニルホスフィン、]
X-Phos ジシクロヘキシル(2’,4’,6’-トリイソプロピルビフェニル-2-イル)ホスフィン、
t 三重線
m 多重線
s 一重線
d 二重線
br.s. 幅広一重線
dd ダブルダブレット
tt トリプルトリプレット
ddd ダブルダブルダブレット
q 四重線
quin. 五重線
【0076】
以下の実施例は、具体的な例示として提供されている。しかしながら、発明は実施例に規定される具体的な詳細に限定されないと理解されるものとする。実施例における全ての部および割合、ならびに、本開示の残りの部分は、特記されない限り重量によるものである。
【0077】
さらに、特性の特定のセットを表す範囲、測定の単位、条件、物理的状態または割合などの、本発明の種々の観点を説明または請求する上記または以下の段落で引用される数の任意の範囲、または、それ以外の場合は、引用された任意の範囲内に含まれる任意のサブセットの数または範囲を含めて、このような範囲内の任意の数は、参照により本願に文字通り明確に組み込まれるものとする。「約」という用語は、修飾詞としてまたは変数と組み合わせて使用される場合は、ここに記載される数および範囲が当業者により理解されるような柔軟なものであってもよく、文字通りの範囲外である温度、濃度、量、内容、炭素数、および性質を用いる当業者により開示される発明の実施が、所望の結果、つまり、BRCA-変異陽性卵巣癌およびBRCA陽性乳房癌を患う患者の治療におけるPARP阻害剤として式(I)の開示された化合物を用いることを達成する、ということを伝えようとするものである。
【0078】
化合物の調製
実施例1
調製および分析の方法
式(I)の化合物は、反応図式Aにおいてここで説明されるプロセスにより調製されてもよい。適した試薬およびこれらの反応を行うための手順の例は、以下および本願に含まれる作業例において示される。本願における図式における保護および脱保護は、当技術において一般に知られている手順により行われてもよい。例えば、Greene, T. W. et al. Protecting Groups in Organic Synthesis, 4thEd., 2007, Wileyを参照。
【0079】
【化4】
【0080】
式(I)の化合物は、図式1において記載のような式(II)の化合物から調製されてもよい。Org. Process Res. Dev. 2014,18, 215-227を参照。
【0081】
式(II)の化合物の式(IV)の化合物への変換は、最先端の知識を有する化学者に知られている手順を用いる加水分解およびアミノ化反応を介して達成されてもよい。式(IV)の化合物および式(V)の化合物の反応(この場合、PがN-保護基であり、好ましくはBOC基である)を、参考文献(Org. Dev. 2014, 18, 215-227を参照)に記載の手順と同様の手順、およびそこに記載の参考文献に従って行い、位置選択的なC-N共役反応を介して式(VI)の化合物を形成する。この反応は、有機溶媒、好ましくはDMAにおいて、CuBrなどの銅(I)触媒とKCOなどの塩基との存在下で、上昇された温度、好ましくは約110℃で行われてもよい。
【0082】
酸性条件下でBOC保護基の除去は、式(I)の化合物を産出してもよい。
あるいは、式(I)の化合物は、反応図式Bに示される式(VII)および(VIII)の化合物から調製されてもよい。
【0083】
【化5】
【0084】
式(IV)の化合物の式(VII)の化合物への変換は、最先端の知識を有する化学者に知られている手順を用いる銅触媒によるC-N共役反応を介して達成されてもよい。
【0085】
式(VII)の化合物および式(VIII)の化合物の反応(この場合、Pは、N-保護基であり、好ましくはBOC基であり、Gは、連結基であり、好ましくはボロン酸またはエステル基、または金属含有基である)を、参考文献(Org. Process Res. Dev. 2014, 18, 215-227参照)に記載の手順と同様の手順、およびそこに記載の参考文献により行い、カップリング生成物を形成し、続いて、酸性条件下で水素化およびBOC保護基の除去を行って式(I)の化合物を生成する。
【0086】
分析的LCMS条件:
方法A:HPLC:島津社のLC-2010/LCMS:サーモフィッシャー社のLTQXL。カラム:HypersilGold2.1×50mm、3μm;移動相:0.5分間3%溶媒B/A、5分後に勾配3%~95%B/A、95%B/Aで0.2分保持、0.01分後に勾配95%~3%B/A、3%B/Aで2.5分保持;流量:0.4mL/分;溶媒A:0.1%のギ酸を有する5/95のMeOH/水;溶媒B:0.1%のギ酸を有する5/9のMeOH/アセトニトリル;正のイオン化モードにより220nMまたは254nMの波長で検出された生成物。
【0087】
分析的GCMS条件:
方法B:島津社のGC-2010/GCMS-QP2010S。一次カラム:SLB-5ms30m×0.25mm、0.25μm;GCオーブン温度プログラム合計15分、40℃/分で45℃~300℃、10分300℃で保持;媒介物ガスHe;入力圧50kPa;カラム流量1.0ml/分。電子イオン化モードにより検出された生成物。
【0088】
実施例2
2-(4-(ピペリジン-3-イル-2,2,3,4,4,5,5,6,6-d)フェニル-2,3,5,6-d)-2H-インダゾール-7-カルボキサミド
ステップ1:tert-ブチル3-(4-(7-(tert-ブチルカルバモイル)-2H-インダゾール-2-イル)フェニル-2,3,5,6-d)ピペリジン-1-カルボキシレート-2,2,3,4,4,5,5,6,6-d
【0089】
【化6】
【0090】
4mLのDMAcにおけるtert-ブチル3-(4-ブロモフェニル-2,3,5,6-d)ピペリジン-1-カルボキシレート-2,2,3,4,4,5,5,6,6-d(200mg、0.566mmol、市販)の溶液に、文献の手順(Chung、C. K. et al. Org. Process Res. Dev. 2014, 18, 215-27を参照)にしたがって、メチルlH-インダゾール-7-カルボキシレートから調製されたN-(tert-ブチル)-lH-インダゾール-7-カルボキサミド(130mg、0.598mmol)とKCO(250mg、1.81mmol)とを室温で添加した。混合物を5分間に亘ってNにより脱気した。CuBr(10mg、0.0696mmol)および8-ヒドロキシキノリン(20mg、0.138mmol)を添加し、Nパージを10分間続けた。その後、混合物を24hの間110℃に加熱した。40℃に冷却後、セライトを添加し、濾過前に混合物を1hの間攪拌し、濾塊をDMAc(1×10mL)で洗浄した。組み合わせられた濾液を、35℃に調整し、その後、DMAc(5mL)および10%aq.クエン酸(1mL)を添加した。結果として生じるスラリーを35℃で2hの間放置し、20℃~25℃で一晩置いた。濾過、2:1v/vのDMAc/水(1×10mL)による洗浄、そしてその後、水(1×3mL)による洗浄、および真空での乾燥は、単黄色の粉末として135mgのtert-ブチル3-(4-(7-(tert-ブチルカルバモイル)-2H-インダゾール-2-イル)フェニル-2,3,5,6-d)ピペリジン-l-カルボキシレート-2,2,3,4,4,5,5,6,6-dを産出した(49%産出)。
【0091】
代替の精製方法:生成物混合物を水およびジクロロメタンにおいて分離した。分離後、有機質層をかん水で洗浄し、乾燥し、濃縮した。結果として生じる残基を、フラッシュカラム(CombiflashRF+、DCMを85%のDCM/10%のMeOH/5%のNHOHへ)により浄化して単黄色の粉末としてtert-ブチル3-(4-(7-(tert-ブチルカルバモイル)-2H-インダゾール-2-イル)フェニル-2,3,5,6-d)ピペリジン-l-カルボキシレート-2,2,3,4,4,5,5,6,6-dを提供した。
【0092】
ステップ2:2-(4-(ピペリジン-3-イル-2,2,3,4,4,5,5,6,6-d)フェニル-2,3,5,6-d)-2H-インダゾール-7-カルボキサミド
【0093】
【化7】
【0094】
キシレン(1.0mL)におけるtert-ブチル3-{4-[7-(アミノカルボニル)-2H-インダゾール-2-イル]フェニル}ピペリジン-l-カルボキシレート(135mg、0.276mmol)の攪拌された溶液に、CHSOH(1.5mL)を添加し、反応混合物を2.5hの間40℃で攪拌し、その後、HO(3.5mL)およびKCOを0℃で添加した。溶媒を減圧下およびEtOにより粉砕により精製された粗生成物の下で蒸発させて黄色の固体として所望の生成物(35mg、38%)を産出した。HNMR(300MHz、DMSO-d):δ9.31(s、1H)、8.58(s、1H)、8.05~7.95(m、3H)、7.27(br.1H)。LCMS(方法A):m/z334.3([M+H])、HPLC Rt0.85分。
【0095】
代替の精製方法:その後、層を分離し、水性層をエチルエーテルにより洗浄し、濾過し、pH7を上回るように調節した。生成物混合物を水およびジクロロメタンにおいて分離した。分離後、有機質層をかん水で洗浄し、乾燥し、濃縮した。結果として生じる残基を、フラッシュカラム(Combiflash RF+、DCMを85%のDCM/10%のMeOH/5%のNHOHに)で精製して白色の粉末(35mg、38%産出)として実施例2の表題の化合物を提供した。
【0096】
実施例3
2-(4-(ピペリジン-3-イル-2,2,3,4,4,5,5,6,6-d)フェニル)-2H-インダゾール-7-カルボキサミド
【化8】
【0097】
実施例2について記載の手順にしたがって実施例3をN-(tert-ブチル)-lH-インダゾール-7-カルボキサミド(380mg、1.75mmol)およびtert-ブチル3-(4-ブロモフェニル)ピペリジン-l-カルボキシレート-2,2,3,4,4,5,5,6,6-d(600mg、1.72mmol、市販)から実施例2におけるステップ1および2と同様の条件下で調製し、230mg(40%産出)の表題の生成物を提供した。HNMR(300MHz、DMSO-d):δ9.28(s、1H)、8.58(s、1H)、8.07~8.01(m、4H)、7.89(s、1H)、7.48(d、J=8.4Hz、2H)、7.27(dd、J=7.5Hz、7.8Hz、1H)。LCMS(方法A):m/z330.2([M+H])、HPLC Rt6.98分。
【0098】
実施例4
2-(4-(ピペリジン-3-イル-2、3、4、5、6-d)フェニル-2,3,5,6-d)-2H-インダゾール-7-カルボキサミド
【化9】
【0099】
実施例2について記載の手順にしたがって実施例4をN-(tert-ブチル)-lH-インダゾール-7-カルボキサミド(1.3g、5.99mmol)およびtert-ブチル3-(4-ブロモフェニル-2,3,5,6-d)ピペリジン-l-カルボキシレート-2、3、4、5、6-d(2.0g、5.73mmol、市販)から実施例2におけるステップ1および2と同様の条件下で調製し、0.51g(27%産出)の表題の生成物を提供した。HNMR(300MHz、DMSO-d):δ9.28(s、1H)、8.58(s、1H)、8.08~8.01(m、2H)、7.90(s、1H)、7.27(dd、J=7.5Hz、7.8Hz、1H)、3.08~2.95(m、1H)、2.64(m、1H)、1.68~1.60(m、2H)。LCMS(方法A):m/z330.3([M+H])、HPLC Rt6.93分。
【0100】
実施例5
2-(4-(ピペリジン-3-イル-2、3、4、5、6-d)フェニル)-2H-インダゾール-7-カルボキサミド
【化10】
【0101】
実施例2について記載の手順にしたがって実施例5をN-(tert-ブチル)-lH-インダゾール-7-カルボキサミド(1.32g、6.1mmol)およびtert-ブチル3-(4-ブロモフェニル)ピペリジン-l-カルボキシレート-2、3、4、5、6-d(2.1g、6.1mmol、市販)から実施例2のステップ1および2と同様の条件下で調製し、35g(18%産出)の表題の生成物を提供した。HNMR(300MHz、DMSO-d):δ9.29(s、1H)、8.58(s、1H)、8.09~8.01(m、4H)、7.90(s、1H)、7.49(d、J=8.4Hz、2H)、7.27(dd、J=7.5Hz、7.8Hz、1H)、3.08~2.95(m、1H)、2.71(m、1H)、1.71~1.62(m、2H)。LCMS(方法A):m/z326.2([M+H])、HPLC Rt6.78分。
【0102】
実施例6
2-(4-(ピペリジン-3-イル-2,4,5,6-d)フェニル-2,3,5,6-d)-2H-インダゾール-7-カルボキサミド
【化11】
【0103】
実施例2について記載の手順にしたがって実施例6をN-(tert-ブチル)-lH-インダゾール-7-カルボキサミド(300mg、0.86mmol)およびtert-ブチル3-(4-ブロモフェニル-2,3,5,6-d)ピペリジン-l-カルボキシレート-2,4,5,6-d(190mg、0.88mmol、市販)から実施例2のステップ1および2と同様の条件下で調製し、200mg(71%産出)の表題の生成物を提供した。HNMR(300MHz、DMSO-d):δ9.28(s、1H)、8.58(s、1H)、8.07~8.01(m、2H)、7.89(s、1H)、7.28(dd、J=7.5Hz、7.8Hz、1H)、3.07~2.94(m、1H)、2.76~2.66(m、1H)、1.96~1.89(m、1H)、1.65~1.56(m、2H)。LCMS(方法A):m/z329.2([M+H])、HPLC Rt6.97分。
【0104】
実施例7
2-(4-(ピペリジン-3-イル-2,4,5,6-d)フェニル)-2H-インダゾール-7-カルボキサミド
【化12】
【0105】
実施例2について記載の手順にしたがって実施例7をN-(tert-ブチル)-lH-インダゾール-7-カルボキサミド(190mg、0.87mmol)およびtert-ブチル3-(4-ブロモフェニル)ピペリジン-l-カルボキシレート-2,4,5,6-d(300mg、0.87mmol、市販)から実施例2のステップ1および2と同様の条件下で調製し、100mg(35%産出)の表題の生成物を提供した。HNMR(300MHz、DMSO-d):δ9.28(s、1H)、8.58(s、1H)、8.08~8.01(m、4H)、7.89(s、1H)、7.48(d、J=8.4Hz、2H)、7.27(dd、J=7.5Hz、7.8Hz、1H)、3.07~2.94(m、1H)、2.76~2.66(m、1H)、1.96~1.89(m、1H)、1.65~1.56(m、2H)。LCMS(方法A):m/z325.2([M+H])、HPLC Rt6.97分。
【0106】
実施例8
2-(4-(ピペリジン-3-イル)フェニル-2,3,5,6-d)-2H-インダゾール-7-カルボキサミド
【化13】
【0107】
スキームA
実施例2について記載の手順にしたがって実施例8をN-(tert-ブチル)-lH-インダゾール-7-カルボキサミド(4.8g、22.1mmol)およびtert-ブチル3-(4-ブロモフェニル-2,3,5,6-d)ピペリジン-l-カルボキシレート(8.0g、23.2mmol、市販)から実施例2のステップ1および2と同様の条件下で調製し、1.15g(16%産出)の表題の生成物を提供した。
【0108】
スキームB
ステップ1:2-(4-ブロモフェニル-2,3,5,6-d)-N-(tert-ブチル)-2H-インダゾール-7-カルボキサミド
DMAc(80mL)における1、4-ジブロモベンゼン-2,3,5,6-d(5.5g、22.9mmol、市販)、N-(tert-ブチル)-lH-インダゾール-7-カルボキサミド(5.0g、23.0mmol)、KCO(9.6g、69.5mmol)、CuBr(0.23g、1.6mmol)、および8-ヒドロキシキノリン(0.5g、3.44mmol)の混合物を、110℃で20h加熱した。40℃に冷却後、セライト(10g)を添加し、濾過前に混合物を1h攪拌し、DMAc(1×50mL)により濾塊を洗浄した。50mLのHOを添加後、相を分離し、水性層をEtOAc(2×100mL)で2度抽出した。組み合わせられた有機質層を水(50mL)およびかん水(50mL)で洗浄し、MgSOに翳して乾燥した。有機相を、減圧下で濃縮し、粗生成物を、溶出剤としてヘキサン/エチルアセテート(8:1)の混合物を用いてシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィにより精製して、固体として3.8gの2-(4-ブロモフェニル-2,3,5,6-d)-N-(tert-ブチル)-2H-インダゾール-7-カルボキサミド(44%産出)を産出した。
【0109】
ステップ2:tert-ブチル5-(4-(7-(tert-ブチルカルバモイル)-2H-インダゾール-2-イル)フェニル-2,3,5,6-d)-3,4-ジヒドロピリジン-l(2H)-カルボキシレート
ジオキサン(30mL)における2-(4-ブロモフェニル-2,3,5,6-d)-N-(tert-ブチル)-2H-インダゾール-7-カルボキサミド(3.8g、10.1mmol)、tert-ブチル5-(4、4、5、5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-3,4-ジヒドロピリジン-l(2H)-カルボキシレート(3.1g、10.0mmol、市販)、[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(0.38g、0.46mmol)、および炭酸カリウム(3.0g、21.7mmol)の混合物を、110℃で16h攪拌した。飽和した水性塩化アンモニウム溶液による急冷後、混合物をエチルアセテートおよび水間で分離し、有機相からの粗生成物を、エチルアセテートおよびヘキサンの1:9混合物を有するシリカゲル溶出においてクロマトグラフィーして、固体として2.2g(46%産出)のtert-ブチル5-(4-(7-(tert-ブチルカルバモイル)-2H-インダゾール-2-イル)フェニル-2,3,5,6-d)-3,4-ジヒドロピリジン-l(2H)-カルボキシレートを産出した。
【0110】
ステップ3:tert-ブチル3-(4-(7-(tert-ブチルカルバモイル)-2H-インダゾール-2-イル)フェニル-2,3,5,6-d)ピペリジン-1-カルボキシレート
EtOAc(10mL)においてtert-ブチル5-(4-(7-(tert-ブチルカルバモイル)-2H-インダゾール-2-イル)フェニル-2,3,5,6-d)-3,4-ジヒドロピリジン-l(2H)-カルボキシレート(1.1g、2.30mmol)、10%パラジウム/炭素(0.1g)の懸濁液は、H(50psi)の下で磁性により攪拌した。反応の進行は、GC/MSにより監視した。出発物質は5h以内に消滅した。固体をセライトのパッドを通して濾過し、有機相を減圧下で濃縮して、表題の生成物(0.86g、78%産出)を産出した。
【0111】
ステップ4:2-(4-(ピペリジン-3-イル)フェニル-2,3,5,6-d)-2H-インダゾール-7-カルボキサミド
実施例2のステップ2の手順と同様の手順を使用して、tert-ブチル3-(4-(7-(tert-ブチルカルバモイル)-2H-インダゾール-2-イル)フェニル-2,3,5,6-d)ピペリジン-l-カルボキシレート(0.86g、1.79mmol)とCHSOH(3.0mL)およびキシレン(2.0mL)との反応から表題の化合物を合成した。結果として生じる残基をフラッシュカラム(CombiflashRF+、DCMを85%のDCM/10%のMeOH/5%のNHOHに)で精製して、粉末(0.39g、67%産出)として表題の化合物を提供した。HNMR(300MHz、DMSO-d6):δ9.28(s、1H)、8.58(s、1H)、8.08~8.01(m、2H)、7.89(s、1H)、7.27(dd、J=7.5Hz、7.8Hz、1H)、3.08~3.03(m、2H)、2.72~2.51(m、2H)、1.94~1.90(m、1H)、1.73~1.49(m、4H)。LCMS(方法A):m/z325.2([M+H])、HPLC Rt6.93分。
【0112】
実施例9
2-(4-(ピペリジン-3-イル-2、3-d)フェニル-2,3,5,6-d)-2H-インダゾール-7-カルボキサミド
【化14】
【0113】
実施例8(スキームB)における手順によると、実施例9をtert-ブチル3-(4-(7-(tert-ブチルカルバモイル)-2H-インダゾール-2-イル)フェニル-2,3,5,6-d)ピペリジン-l-カルボキシレート-2,3-d(0.65g、1.35mmol)から実施例8における図式Bのステップ4と同様の条件下で調製して、0.37g(84%産出)の表題の生成物を影響した。HNMR(300MHz、DMSO-d):δ9.27(s、1H)、8.59(s、1H)、8.08~8.00(m、2H)、7.90(s、1H)、7.27(dd、J=7.5Hz、7.8Hz、1H)、3.02~2.93(m、2H)、2.64~2.51(m、2H)、1.67~1.43(m、3H)。LCMS(方法A):m/z327.2([M+H])、HPLC Rt6.93分。
【0114】
実施例10
2-(4-(ピペリジン-3-イル-2、3-d2)フェニル)-2H-インダゾール-7-カルボキサミド
【化15】
【0115】
実施例8について記載の手順にしたがって実施例10をtert-ブチル3-(4-(7-(tert-ブチルカルバモイル)-2H-インダゾール-2-イル)フェニル)ピペリジン-l-カルボキシレート-2,3-d2(2.6g、5.43mmol)から、実施例8における図式Bのステップ4と同様の条件下において調製し、1.28g(73%産出)の表題の生成物を提供した。HNMR(300MHz、DMSO-d):δ9.29(s、1H)、8.58(s、1H)、8.10~8.01(m、4H)、7.90(s、1H)、7.50(d、J=8.4Hz、2H)、7.27(dd、J=7.5Hz、7.8Hz、1H)、3.18~3.09(m、2H)、2.83~2.70(m、2H)、1.78~1.72(m、3H)。LCMS(方法A):m/z323.2([M+H])、HPLC Rt6.93分。
【0116】
実施例11
2-(4-(ピペリジン-3-イル)フェニル-2,3,5,6-d)-2H-インダゾール-3-d-7-カルボキサミド
【化16】
【0117】
実施例2について記載の手順にしたがって実施例11をN-(tert-ブチル)-lH-インダゾール-3-d-7-カルボキサミド(300mg、1.37mmol、市販)およびtert-ブチル3-(4-ブロモフェニル-2,3,5,6-d)ピペリジン-l-カルボキシレートから実施例2のステップ1および2と同様の条件下で調製し、150mg(34%産出)の表題の生成物を提供した。m/z326.2([M+H])。
【0118】
実施例12
2-(4-(ピペリジン-3-イル-2、3-d)フェニル)-2H-インダゾール-3-d-7-カルボキサミド
【化17】
【0119】
実施例2について記載の手順にしたがって2-(4-(ピペリジン-3-イル-2、3-d2)フェニル)-2H-インダゾール-3-d-7-カルボキサミドを、N-(tert-ブチル)-lH-インダゾール-3-d-7-カルボキサミドおよびtert-ブチル3-(4-ブロモフェニル)ピペリジン-l-カルボキシレート-2、3-d2から実施例2のステップ1および2と同様の条件下で調製し、2-(4-(ピペリジン-3-イル-2、3-d2)フェニル)-2H-インダゾール-3-d-7-カルボキサミドを提供した。m/z324.2([M+H])。
【0120】
実施例13
(S)-2-(4-(ピペリジン-3-イル)フェニル)-2H-インダゾール-3-d-7-カルボキサミド
【化18】
【0121】
ステップ1:(S)-3-(4-ブロモフェニル)ピペリジン
N-ブロモ琥珀酸イミド(800mg、4.5mmol)を、50%硫酸(11ml)において0.96g(5.96mmol)の(S)-3-フェニルピペリジン(市販)の溶液を添加し、混合物を70℃で30分攪拌した。飽和した水性炭酸カリウム溶液を、氷で冷やしながら溶液に添加し、混合物をジエチルエーテルにより2度抽出した。有機質層を、無水硫酸ナトリウムに翳して乾燥し、濾過し、その後、減圧下で濃縮した。残基を、シリカゲル(クロロホルム:メタノール:濃縮されたアンモニア水=9:0.6:0.06)においてカラムクロマトグラフィにより精製して、1.0g(産出72%)の粗製の表題の化合物を産出した。MS(GC)m/z239M
【0122】
ステップ2:tert-ブチル(S)-3-(4-ブロモフェニル)ピペリジン-l-カルボキシレート
CHCl(13mL)における(S)-3-(4-ブロモフェニル)-ピペリジン(1.35g、5.62mmol)、およびトリエチルアミン(1.14g、11.2mmol)の懸濁液に、ジ-tert-ブチル-二炭酸塩(1.5g、6.74mmol)を室温で添加した。15h攪拌後、結果として生じる懸濁液を、エチルアセテートおよび水酸化ナトリウム間で区分けした。水性層をエチルアセテートにより抽出した。組み合わせられた有機質層を、かん水で洗浄し、硫酸マグネシウムに翳して乾燥し、真空で濃縮した。残基を、ヘキサンで洗浄して固体としての生成物(S)-3-(4-ブロモフェニル)-ピペリジン-l-カルボキシル酸tert-ブチルエステルを仕上げた。
【0123】
ステップ3:(S)-2-(4-(ピペリジン-3-イル)フェニル)-2H-インダゾール-3-d-7-カルボキサミド
実施例2について記載の手順にしたがって実施例13をN-(tert-ブチル)-lH-インダゾール-3-d-7-カルボキサミド(1.1g、5.0mmol、市販)およびtert-ブチル(、S)-3-(4-ブロモフェニル)ピペリジン-l-カルボキシレート(1.8g、5.3mmol)から実施例2のステップ1および2と同様の条件下で調製し、160mg(10%産出)の表題の生成物を提供した。LCMS(方法A):m/z322.2([M+H])。
【0124】
実施例14
(S)-2-(4-(ピペリジン-3-イル-2,2,3,4,4,5,5,6,6-d)フェニル)-2H-インダゾール-7-カルボキサミド
【化19】
【0125】
Jones, P. et al. J. Med. Chem. 2009, 52, 7170-85に記載の文献手順によると、キラルSFCによるラセミの2-(4-(ピペリジン-3-イル-2,2,3,4,4,5,5,6,6-d)フェニル)-2H-インダゾール-7-カルボキサミド(実施例3)の分離は、鏡像異性体(S)-2-(4-(ピペリジン-3-イル-2,2,3,4,4,5,5,6,6-d)フェニル)-2H-インダゾール-7-カルボキサミドおよび(R)-2-(4-(ピペリジン-3-イル-2,2,3,4,4,5,5,6,6-d)フェニル)-2H-インダゾール-7-カルボキサミドを産出した。ラセミ化合物は、超臨界溶出剤としてCOを用いるキラルSFC精製により分離された:カラム、ChiralpakAS-H、1mm×25mm;流動=10mL/分;Tcol=35℃;Pcol=100バール;変更因子、55%のPrOHを含有する4%EtNH。第1溶出鏡像異性体の滞留時間は、4.80分であった。凍結乾燥法が続く溶媒の蒸発は、(R)-2-(4-(ピペリジン-3-イル-2,2,3,4,4,5,5,6,6-d)フェニル)-2H-インダゾール-7-カルボキサミドを白色粉末(ee>98.0%)として産出した。第2溶出鏡像異性体の滞留時間は、6.51分であった。凍結乾燥法が続く溶媒の蒸発は、(S)-2-(4-(ピペリジン-3-イル-2,2,3,4,4,5,5,6,6-d)フェニル)-2H-インダゾール-7-カルボキサミドを、白色の粉末(ee>98%)として産出した。
【0126】
実施例15
(S)-2-(4-(ピペリジン-3-イル)フェニル-2,3,5,6-d)-2H-インダゾール-3-d-7-カルボキサミド
【化20】
【0127】
実施例14について記載の手順にしたがって実施例15をラセミの2-(4-(ピペリジン-3-イル)フェニル-2,3,5,6-d)-2H-インダゾール-3-d-7-カルボキサミド(400mg、1.23mmol、実施例11)から実施例14と同様の条件下で調製し、140mg(35%産出)の表題の生成物を提供した。
【0128】
ミクロソーム定量法
インビトロでの肝臓代謝研究は既に説明されている。Obach, R. S. "Prediction of human clearance of twenty-ninedrugs from hepatic microsomal intrinsic clearance data: An examination of invitro half-life approach and nonspecific binding to microsomes," DrugMetab. Disp. 1999, 27, 1350; Houston, J. B. et al. "Prediction of hepaticclearance from microsomes, hepatocytes, and liver slices," Drug Metab. Rev.1997, 29, 891; Houston, J. B. "Utility of in vitro drug metabolism data inpredicting in vivo metabolic clearance," Biochem. Pharmacol. 1994, 47,1469; Iwatsubo, T. et al. "Prediction of in vivo drug metabolism in thehuman liver from in vitro metabolism data," Pharmacol. Ther. 1997, 73,147; Lave, T. et al. "The use of human hepatocytes to select compoundsbased on their expected hepatic extraction ratios in humans," Pharm. Res.1997, 14, 152を参照。
【0129】
実施例16~20における以下に記載の研究は、プール肝臓ミクロソーム培養における試験化合物の代謝性安定度を決定するために行われた。上記実施例2~3、5~9、および15から得られる試験化合物のサンプル、および、ラセミのニラパリブを、プールラット肝臓ミクロソームに曝露させ、その後、UPLCLC-MS/MS検出を用いて分析した。
【0130】
実施例16~20において以下で説明されるミクロソーム定量法研究は、下記の実験的手順に従って行われた。
1. バッファ溶液を以下のように調製した。
a.バッファA:1.0mMのEDTAを含有する0.1Mの一塩基のリン酸カリウムバッファ
b.バッファB:1.0mMのEDTAを含有する0.1Mの二塩基のリン酸カリウムバッファ
c.バッファC:1.0mMのEDTAを含有する0.1Mのリン酸カリウムバッファを、pH測定器で監視しつつ700mLのバッファBをバッファAで滴定することによって、pH7.4に調節した。
2. NADPHをバッファCに溶解することによりNADPH原液(6mM)を調製した。
3. 参照化合物(ケタンセリン)および試験化合物のためにスパイク溶液を以下のように調製した。
a.参照化合物(ケタンセリン)の500μΜスパイク溶液を、DMSOにおける10μLの10mM原液のケタンセリンを190μLアセトニトリルに添加することにより生成した。ミクロソーム(0.75mg/mL)における1.5μΜスパイク溶液を1.5μLの500μΜスパイク溶液および18.75μLの20mg/mLラット肝臓ミクロソームを479.75μLのバッファCに氷で冷却しつつ添加することにより生成した。
b.試験化合物のために、DMSOに実施例2~3、5~9、および15の1つからのニラパリブの10mM重水素化同位体分子種を5μL添加し、任意でDMSOに実施例2~3、5~9、および15の1つからのニラパリブの10mMの異なる重水素化同位体分子種を5μL添加し、任意でDMSOにおける10mMラセミのニラパリブのw5μLを185μLまたは190μLのアセトニトリルに添加することにより250μΜのスパイク溶液を生成した。ただし、185μLのアセトニトリルは、3つの試験化合物(ニラパリブおよび/または1つまたは複数のその同位体分子種)が存在する場合に使用され、190μLのアセトニトリルは、2つの試験化合物(ニラパリブおよび/または1つまたは複数のその同位体分子種)が存在する場合に使用された。ミクロソーム(0.75mg/mL)における0.75μΜのスパイク溶液を、1.5μLの250μΜスパイク溶液と18.75μLの20mg/mLラット肝臓ミクロソームを氷で冷却しつつ479.75μLのバッファCに添加することにより生成した。
4. 0.75mg/mLミクロソーム溶液を含有する30μLの1.5μΜスパイク溶液を氷で冷却しつつ異なる時点(以下の表1~5に示す通り0分、5分、15分、30分、および45分;または0分、15分、30分、45分、および60)が指定された定量法プレートに分注した。
5. 0分時点の定量法プレートについて、0分の定量法プレートのウェルに135μLのACN含有ISを添加し、直後に15μLの6mMNADPH原液を添加した。
6. 0分の定量法プレート以外の全ての定量法プレートを37℃で5分プレインキュベートし、その後、15μLの6mMNADPH原液を定量法プレートのウェルに添加して反応と計時を開始した。適切な時間において(5分、15分、30分、45分、または60分)、135μLのACN含有ISを対応する定量法プレートのウェルにそれぞれ添加して反応を停止させた。
7.急冷後、プレートを振動機(IKA、MTS2/4)で10分(600rpm/分)振動させ、その後、5594gを15分(ThermoMultifugex3R)遠心分離した。
8.遠心分離後、50μLの上澄みを、LC/MS分析のために、50μLの超純水(Millipore、ZMQS50F01)を有する96ウェルサンプルプレートへ各ウェルから移した。
【0131】
実施例16
実施例2および3の化合物をラット肝臓ミクロソーム定量法における代謝性安定度に関してラセミのニラパリブと比較した。
表1:ラット肝臓ミクロソームにおける代謝性安定度
【表1】
【0132】
試験化合物を、陽性対照としてのケタンセリンと共に上記ラット肝臓ミクロソーム定量法において評価した。表1の「残留率」の欄は、ラット肝臓ミクロソーム定量法において、0、5、15、30、45、および60分の間隔後に残留する各試験化合物の割合を示す。
【0133】
表1に示すように、実施例3からの重水素化同位体分子種は、ニラパリブについての82.37分に比べて109.30分に延長されたT1/2による時間にわたってより良好な安定度を示し、ニラパリブに比べて、ラット肝臓ミクロソーム代謝性安定度における32%の上昇を提供した。
【0134】
表1に示すように、本発明の実施例2からの重水素化同位体分子種は、ニラパリブについての82.37分に比べて、109.62分に延長されたT1/2での時間に亘って相当な安定度を示し、ニラパリブに比べて、ラット肝臓ミクロソーム代謝性安定度が33%上昇した。
【0135】
表1に示すように、実施例3からの重水素化同位体分子種も、ニラパリブについての30.15mL/min/kgから22.72mL/min/kgへのClintでのクリアランス率の相当な低下を示した。
【0136】
表1に示すように、実施例2からの重水素化同位体分子種も、ニラパリブについての30.15mL/min/kgから22.66mL/min/kgへのClintでのクリアランス率の相当な低下を示した。
【0137】
実施例17
実施例6および7からの化合物を、ラット肝臓ミクロソーム定量法における代謝性安定度に関してラセミのニラパリブと比較した。
表2:ラット肝臓ミクロソームにおける代謝性安定度
【表2】
【0138】
試験化合物を陽性対照としてのケタンセリンと共に上記のラット肝臓ミクロソーム定量法において評価した。表2の「残留率」の欄は、ラット肝臓ミクロソーム定量法において0、5、15、30、および45分の間隔後に残留する各試験化合物の割合を示す。
【0139】
表2に示すように、実施例7からの重水素化同位体分子種は、ニラパリブについての101.67分に比べて、117.75分に延長されたT1/2での時間に亘りより良好な安定度を示し、ニラパリブに比べ絵ラット肝臓ミクロソーム代謝性安定度が16%上昇した。
【0140】
表2に示すように、本発明の実施例6からの重水素化同位体分子種は、ニラパリブについての101.67分に比べて132.26分に延長されたT1/2での時間に亘り相当な安定度を示し、ニラパリブに比べてラット肝臓ミクロソーム代謝性安定度が30%上昇した。
【0141】
表2に示すように、実施例7からの重水素化同位体分子種は、ニラパリブについての24.43mL/min/kgから21.09mL/min/kgにClintでのクリアランス率の相当な低減を提供した。
【0142】
表2に示すように、実施例6からの重水素化同位体分子種は、ニラパリブについての24.43mL/min/kgから18.78mL/min/kgへのClintでのクリアランス率の相当な低下を示した。
【0143】
実施例18
実施例5からの化合物を、ラット肝臓ミクロソーム定量法における代謝性安定度についてラセミのニラパリブと比較した。
表3:ラット肝臓ミクロソームにおける代謝性安定度
【表3】
【0144】
試験化合物を、陽性対照としてのケタンセリンと共にラット肝臓ミクロソーム定量法で評価した。表3において「残留率」の欄は、ラット肝臓ミクロソーム定量法において、0、5、515、30、45、および60分の間隔後に残留する試験化合物の割合を示す。
【0145】
表3に示すように、実施例5から重水素化同位体分子種は、ニラパリブについての52.95分に比べて143.96に延長されたT1/2での時間に亘るより一層良好な安定度を示し、ニラパリブに比べて、ラット肝臓ミクロソーム代謝性安定度が172%上昇した。
【0146】
表3に示すように、実施例5からの重水素化同位体分子種も、ニラパリブについての46.91mL/min/kgから17.25mL/min/kgにClintでのクリアランス率が相当低減した。
【0147】
実施例19
実施例8および9からの化合物をラット肝臓ミクロソーム定量法における代謝性安定度についてラセミのニラパリブと比較した。
表4:ラット肝臓ミクロソームにおける代謝性安定度
【表4】
【0148】
試験化合物を陽性対照としてのケタンセリンと共に、ラット肝臓ミクロソーム定量法で評価した。表4の「残留率」の欄は、ラット肝臓ミクロソーム定量法における0、5、15、30、45、および60分間隔後に残留する各試験化合物の割合を示す。
【0149】
表4に示すように、実施例9からの重水素化同位体分子種は、実施例8からの重水素化同位体分子種についての80.96分に比べて132.40分に延長されたT1/2での時間に亘りより良好な安定度を示し、ラット肝臓ミクロソーム代謝性安定度が64%上昇した。
【0150】
表4に示すように、実施例9からの重水素化同位体分子種は、実施例8からの重水素化同位体分子種についての30.68mL/min/kgから18.76mL/min/kgにClintでのクリアランス率が相当低下した。
【0151】
実施例20
実施例15からの化合物を、ラット肝臓ミクロソーム定量法で代謝性安定度についてラセミのニラパリブと比較した。
表5:ラット肝臓ミクロソームにおける代謝性安定度
【表5】
【0152】
試験化合物を陽性対照としてのケタンセリンと共に上記ラット肝臓ミクロソーム定量法で評価した。表5の「残留率」の欄は、ラット肝臓ミクロソーム定量法における0、5、15、30、45、および60分間隔後に残留する各試験化合物の割合を示す。
【0153】
表5に示すように、実施例15からの重水素化同位体分子種は、ニラパリブについての49.68分に比べて53.52分に延長されてT1/2での時間に亘りより良好な安定度を示し、ニラパリブに比べて、ラット肝臓ミクロソーム代謝性安定度が8%上昇した。
【0154】
表5に示すように、実施例15からの重水素化同位体分子種は、ニラパリブについての50.00mL/min/kgから46.40mL/min/kgにClintでのクリアランス率が相当低下した。
【0155】
ミクロソーム定量法研究の結果は、ニラパリブの開示された重水素化同位体分子種が、患者に投与された場合にニラパリブに比べて有益な特性、例えば、向上した代謝性負担を示す場合があるという事を示す。
【0156】
抗癌活性スクリーニング
実施例21~23に記載の研究は、抗癌活性についての開示された化合物をスクリーニングするために行われた。実施例3、4、および11から得られる試験化合物のサンプルは、以下に記載のように抗癌活性についてスクリーニングされた。
【0157】
試験化合物は、the Development Therapeutic Program(DTP)、National CancerInstitute(NCI)、USAにおいて、適用されたプロトコルに従って、白血病、黒皮腫、ならびに肺、結腸、脳、乳房、卵巣、腎臓、および前立腺の癌として全体で9つのヒトシステムを表す、完全なNCI59細胞系パネル(白血病の6つの細胞系、肺癌の9つの細胞系、結腸癌、の7つの細胞系、CNS癌の6つの細胞系、黒皮腫の9つの細胞系、卵巣癌7つの細胞系、腎臓癌の7つの細胞系、前立腺癌2つの細胞系、および乳房癌6つの細胞系)に対して、抗癌活性についてスクリーニングされた。主なインビトロでの一投薬抗癌定量法は、完全なNCI59細胞系パネルに対して一回量(10μΜ)で行われた。一投薬データは、治療された細胞の成長率の平均グラフとして報告された。一回量定量法について報告された数は、無薬剤の対照に対して、および、時間0での細胞の初期数に対しての成長であった。これにより、成長阻害(0と100との間の値)と死亡率(0未満の値)との双方を検出することができる。例えば、100の値は成長阻害が無いことを意味する。40の値は、60%成長阻害を意味する。0の値は、実験の過程に亘って正価の成長が無いことを意味する。-40の値は、40%死亡率を意味する。-100の値は、全ての細胞の死を意味する。
【0158】
実施例21
実施例11からの化合物は、前記完全NCI59細胞系パネルに対する抗癌活性についてスクリーニングされた。実施例11からの化合物についての一投薬定量法の結果を表6に示す。
【0159】
表6:NCI59細胞一投薬スクリーニングの結果
【表6】
【0160】
結果は、実施例11からの重水素化同位体分子種が、白血病SR(37.42%に低減)、結腸癌SW-620(72.01%に低減)、卵巣癌IGROVl(74.29%に低減)、および腎臓癌ACHN(72.39%に低減)の細胞系の成長を顕著に低減したことを示した。
【0161】
実施例22
実施例4からの化合物は、上記完全NCI59細胞系パネルに対して抗癌活性についてスクリーニングされた。実施例4からの化合物についての一投薬定量法の結果を表7に示す。
【0162】
表7:NCI59細胞一投薬スクリーニングの結果。
【表7】
【0163】
結果は、実施例4からの重水素化同位体分子種が、白血病SR(47.47%に低下)、卵巣癌IGROVl(73.75%に低下)、および乳房癌MCF7(64.30%に低下)の細胞系の成長を顕著に低減したことを示した。
【0164】
実施例23
実施例3からの化合物を、前記完全NCI59細胞系パネルに対する抗癌活性についてスクリーニングした。実施例3からの化合物についての一投薬定量法の結果を、表8に示す。
【0165】
表8:NCI59細胞一投薬スクリーニングの結果。
【表8】
【0166】
結果は、実施例3からの重水素化同位体分子種が、白血病SR(59.44%に低下)、非小細胞性肺癌A549/ATCC(67.74%に低下)、黒皮腫癌LOXIMVI(76.95%に低下))、卵巣癌OVCAR-8(81.93%に低下)、腎臓癌ACHN(77.21%に低下)、および乳房癌MCF7(75.22%に低下)の細胞系の成長を顕著に低下したことを示した。
【0167】
開示された実施形態の前記記載は、当業者がここに開示された発明を実施または使用できるように提供されている。これらの実施形態に対する種々の変更は、当業者には容易に理解され、ここに定義される一般的原則は、本開示の趣旨まあは範囲から逸脱することなく他の実施形態に適用されてもよい。したがって、本開示は、ここに示す実施形態に限定することを意図するものではなく、ここに開示される原則および新規の特徴を備える最大範囲を認めるものとする。
【0168】
ここに記載の全ての引用は、参照により組み込まれる。