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特許7118349c-MET阻害剤の結晶形、及びその塩形、並びに調製方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-05
(45)【発行日】2022-08-16
(54)【発明の名称】c-MET阻害剤の結晶形、及びその塩形、並びに調製方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 401/14 20060101AFI20220808BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20220808BHJP
   A61K 31/506 20060101ALI20220808BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220808BHJP
【FI】
C07D401/14 CSP
A61P35/00
A61K31/506
A61P43/00 111
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020560239
(86)(22)【出願日】2019-04-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-30
(86)【国際出願番号】 CN2019084515
(87)【国際公開番号】W WO2019206268
(87)【国際公開日】2019-10-31
【審査請求日】2021-08-16
(31)【優先権主張番号】201810387693.2
(32)【優先日】2018-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522057917
【氏名又は名称】福建▲広▼生中霖生物科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】FUJIAN AKEYLINK BIOTECHNOLOGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】BUILDING 1‐7, FUYUAN INDUSTRIAL ZONE, ZHERONG COUNTY, NINGDE, FUJIAN 355300, CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】徐 雄彬
(72)【発明者】
【氏名】李 ▲剛▼
(72)【発明者】
【氏名】姚 ▲ティン▼
(72)【発明者】
【氏名】王 坤
(72)【発明者】
【氏名】胡 利▲紅▼
(72)【発明者】
【氏名】丁 照中
【審査官】池上 佳菜子
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-535806(JP,A)
【文献】国際公開第2005/085200(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 401/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:4.54°±0.2°、13.70°±0.2°、17.84±0.2°、21.24°±0.2°及び26.62±0.2°において特徴的な回折ピークを有する、式(I)で表され、A結晶形を有する結晶
【化1】
【請求項2】
粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:4.54°±0.2°、13.70°±0.2°、15.14±0.2°、17.84±0.2°、18.40°±0.2°、21.24°±0.2°、24.06°±0.2°、26.62±0.2°及び27.44±0.2°において特徴的な回折ピークを有し、
及び/又は示差走査熱量曲線は171.90℃±3℃において一つの吸熱ピークの開始点を有し、
及び/又は熱重量分析曲線は223.23℃±3℃の際に重量が0.1870%減少し、305.06℃±3℃の際に重量が10.22%減少する、請求項1に記載のA結晶形を有する結晶
【請求項3】
粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:4.538°、9.021°、11.300°、13.699°、15.141°、16.640°、17.840°、18.399°、19.039°、19.620°、20.441°、21.241°、22.598°、24.060°、24.962°、25.660°、26.621°、27.440°、28.258°、29.159°、31.081°、32.465°、34.780°、35.400°、36.920°及び38.760°において特徴的な回折ピークを有する、請求項1又は2に記載のA結晶形を有する結晶
【請求項4】
式(II)又は式(III)で表される化合物。
【化2】
【請求項5】
粉末X線回折スペクトルは以下の2θ角:4.34°±0.2°、12.99°±0.2°、15.35°±0.2°及び25.50°±0.2°において特徴的な回折ピークを有する、請求項4に記載の式(II)で表され、B結晶形を有する結晶
【化3】
【請求項6】
粉末X線回折スペクトルは以下の2θ角:4.34°±0.2°、6.50°±0.2°、8.65°±0.2°、10.82°±0.2°、12.99°±0.2°、15.35°±0.2°、17.96°±0.2°及び25.50°±0.2°において特徴的な回折ピークを有し、
及び/又は示差走査熱量曲線は43.98℃±3℃及び219.64℃±3℃において吸熱ピークの開始点を有し、
及び/又は熱重量分析曲線は73.64℃±3℃の際に重量が0.5270%減少し、230.90℃±3℃の際に重量が1.542%減少する、請求項5に記載のB結晶形を有する結晶
【請求項7】
粉末X線回折スペクトルは以下の2θ角:4.335°、6.502°、8.645°、10.816°、12.986°、15.349°、15.782°、16.109°、17.955°、18.447°、19.057°、19.534°、19.816°、20.531°、21.16°、22.265°、22.752°、23.907°、24.407°、25.499°、26.248°、26.886°、27.725°、28.004°、28.653°、29.127°、29.779°、30.432°、31.064°、33.734°及び37.02°において特徴的な回折ピークを有する、請求項5又は6に記載のB結晶形を有する結晶
【請求項8】
粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:6.94°±0.2°、19.08°±0.2°、21.05°±0.2°及び24.73°±0.2°において特徴的な回折ピークを有する、請求項4に記載の式(III)で表され、C結晶形を有する結晶
【化4】
【請求項9】
粉末X線回折スペクトルは以下の2θ角:6.94°±0.2°、9.94°±0.2°、17.29°±0.2°、18.04°±0.2°、19.08°±0.2°、21.05°±0.2°、24.12°±0.2°及び24.73°±0.2°において特徴的な回折ピークを有し、
及び/又は示差走査熱量曲線は198.16℃±3℃において一つの吸熱ピークの開始点を有し、
及び/又は熱重量分析曲線は204.73℃±3℃の際に重量が0.4541%減少する、請求項8に記載のC結晶形を有する結晶
【請求項10】
粉末X線回折スペクトルは以下の2θ角:6.94°、9.94°、13.36°、15.271°、16.83°、17.286°、18.038°、18.767°、19.082°、20.605°、21.054°、21.884°、22.615°、23.228°、24.118°、24.728°、25.182°、25.813°、28.182°、30.757°、31.498°、33.318°、33.77°及び34.595°において特徴的な回折ピークを有する、請求項8又は9に記載のC結晶形を有する結晶
【請求項11】
癌を治療する医薬の製造における請求項1~3のいずれか一項に記載のA結晶形を有する結晶、又は請求項4に記載の化合物、又は請求項5~7のいずれか一項に記載のB結晶形を有する結晶、又は請求項8~10のいずれか一項に記載のC結晶形を有する結晶の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は出願日が2018年4月26日である中国特許出願番号201810387693.2の優先権を主張する。本出願は上記中国特許出願の全文を引用する。
【0002】
本発明はc-MET阻害剤の結晶形、及びその塩形、並びに調製方法に関し、更に腫瘍を治療する医薬の製造における前記結晶形、及び塩形の使用を含む。
【背景技術】
【0003】
プロトオンコジーンMetによってコードされるc-Metは、RONサブファミリーに属する結合性の高い受容体チロシンキナーゼであり、散乱因子又は肝細胞増殖因子(HGF)の唯一の既知の受容体である。HGFはc-Metの細胞外ドメインに結合した後、c-Metのリン酸化を誘導し、C末端多機能領域に、例えばGAB1(成長因子受容体結合タンパク質-1)、GAB2(成長因子受容体結合タンパク質-2)等の様々な細胞間因子を収集し、更に、SHP2、PI3K等の分子と引き付けてここで結合し、これによってRAS/MAPK、PI3K/AKT、JAK/STAT経路等を活性化して、細胞の成長、移動、増殖及び生存を調節する。c-Met経路の異常は、通常、腫瘍の発生及び転移を誘発し、例えば膀胱癌、胃癌、肺癌、乳癌等の様々なヒトの悪性腫瘍で、異常に高いレベルのc-Metが発現された。
【0004】
これ以外に、c-Metは複数のキナーゼ阻害剤に対する腫瘍の医薬に対する耐性にも関する。c-Metは様々な膜受容体との間で相互作用(クロストーク)があり、複雑なネットワークシステムを形成する。c-Metと接着受容体CD44の間の相互作用は、シグナルペプチドの応答を増幅し、脳タンパク質受容体タンパク質との相互作用は、リガンド非依存性HGFのc-Metを活性化させ、侵入効果を高め、アポトーシス促進性受容体FASとの間の相互作用は細胞のアポトーシスを加速し、例えばEGFR、VEGFR等のような様々な受容体チロシンキナーゼとの作用は相互の活性化が調節され、血管新生プロセスが影響を受ける。c-Metとこれらの膜受容体の間の相互作用は、腫瘍の発生と転移を促進し、薬剤耐性を誘発する。
【0005】
現在、c-Met経路に対する抗腫瘍治療薬は2種類があり、1つは抗HGF又はc-Metのモノクローナル抗体であり、もう1つはc-Metに対する小分子阻害剤である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
研究中又は臨床研究に入っているc-Metの小分子阻害剤には、PF-2341066、EMD-1214063、XL-184又はARQ-197等がある。その中で、テポチニブは抗腫瘍活性が最も高く、様々なc-METの高発現の腫瘍細胞に対して非常に強い阻害効果があり(c-MET酵素活性IC50=3.67nM、MHCC97-H細胞IC50=6.2nM)、現在、臨床第II相研究段階に入った。しかし、テポチニブは高い選択性を有しているが、依然として代謝安定性が低く、生体内でのクリアランス率が高いという欠点がある。したがって、この欠点を補うために、代謝的に安定したc-Met阻害剤が緊急に必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明の開示
本発明は、粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:4.54°±0.2°、13.70°±0.2°、17.84±0.2°、21.24°±0.2°及び26.62±0.2°において特徴的な回折ピークを有する式(I)で表される化合物のA結晶形を提供する。
【化1】
【0008】
本発明の幾つかの実施態様において、前記A結晶形の粉末X線回折スペクトルは以下の2θ角:4.54°±0.2°、13.70°±0.2°、15.14±0.2°、17.84±0.2°、18.40°±0.2°、21.24°±0.2°、24.06°±0.2°、26.62±0.2°及び27.44±0.2°において特徴的な回折ピークを有する。
【0009】
本発明の幾つかの実施態様において、前記A結晶形の粉末X線回折スペクトルは図1で示される通りである。
【0010】
本発明の幾つかの実施態様において、前記A結晶形の粉末X線回折スペクトルは以下の2θ角:4.538°、9.021°、11.300°、13.699°、15.141°、16.640°、17.840°、18.399°、19.039°、19.620°、20.441°、21.241°、22.598°、24.060°、24.962°、25.660°、26.621°、27.440°、28.258°、29.159°、31.081°、32.465°、34.780°、35.400°、36.920°及び38.760°において特徴的な回折ピークを有する。
【0011】
本発明の幾つかの実施態様において、前記A結晶形のXRPDスペクトル解析データは表1に示す通りである。
【0012】
【表1】
【0013】
本発明の幾つかの実施態様において、前記A結晶形はDSCによって特徴付けることができ、開始温度は171.90℃であり、ピーク温度は173.09℃である。
【0014】
本発明の幾つかの実施態様において、前記A結晶形の示差走査熱量曲線は171.90℃±3℃において一つの吸熱ピークを有する。
【0015】
本発明の幾つかの実施態様において、前記A結晶形の示差走査熱量曲線スペクトルは図2で示される通りである。
【0016】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記A結晶形は、TGAによって特徴付けることもでき、TGAスペクトルは、223.23℃に加熱する場合、重量が0.1870%減少し、305.06℃に加熱する場合、重量が又10.03%減少し、205.06℃以降からは、大幅な重量減少が現れることを示している。
【0017】
本発明の幾つかの実施態様において、前記A結晶形の熱重量分析曲線は223.23℃±3℃の際に重量が0.1870%減少し、305.06℃±3℃の際に重量が10.22%減少する。
【0018】
本発明の幾つかの実施態様において、前記A結晶形の熱重量分析曲線スペクトルは図3で示される通りである。
【0019】
本発明の幾つかの実施態様において、前記A結晶形の赤外線スペクトルは3046cm-1±5cm-1、2938cm-1±5cm-1、2914cm-1±5cm-1、2884cm-1±5cm-1、2849cm-1±5cm-1、2780cm-1±5cm-1、2734cm1±5cm-1、2679cm-1±5cm-1、2242cm-1±5cm-1、1732cm-1±2cm-1、1716cm-1±2cm-1、1671cm-1±2cm-1、1631cm-1±2cm-1、1595cm-1±2cm-1、1556cm-1±2cm-1、1547cm-1±2cm-1、1507cm-1±2cm-1、1482cm-1±2cm-1、1387cm-1±2cm-1、1070cm-1±2cm-1及び1196cm-1±2cm-1における特徴的な吸収ピークを含む。
【0020】
本発明は、更に、式(II)で表される示化合物を提供する。
【化2】
【0021】
本発明は、更に、粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:4.34°±0.2°、12.99°±0.2°、15.35°±0.2°及び25.50°±0.2°において特徴的な回折ピークを有する式(II)で表される化合物のB結晶形を提供する。
【0022】
本発明の幾つかの実施態様において、前記B結晶形の粉末X線回折スペクトルは以下の2θ角:4.34°±0.2°、6.50°±0.2°、8.65°±0.2°、10.82°±0.2°、12.99°±0.2°、15.35°±0.2°、17.96°±0.2°及び25.50°±0.2°において特徴的な回折ピークを有する。
【0023】
本発明の幾つかの実施態様において、前記B結晶形の粉末X線回折スペクトルは図4で示される通りである。
【0024】
本発明の幾つかの実施態様において、前記B結晶形の粉末X線回折スペクトルは以下の2θ角:4.335°、6.502°、8.645°、10.816°、12.986°、15.349°、15.782°、16.109°、17.955°、18.447°、19.057°、19.534°、19.816°、20.531°、21.16°、22.265°、22.752°、23.907°、24.407°、25.499°、26.248°、26.886°、27.725°、28.004°、28.653°、29.127°、29.779°、30.432°、31.064°、33.734°及び37.02°において特徴的な回折ピークを有する。
【0025】
本発明の幾つかの実施態様において、前記B結晶形のXRPDスペクトル解析データは表2に示す通りである。
【0026】
【表2】
【0027】
本発明の幾つかの実施態様において、前記B結晶形の示差走査熱量曲線は43.98℃±3℃及び219.64℃±3℃において吸熱ピークを有する。
【0028】
本発明の幾つかの実施態様において、前記B結晶形の示差走査熱量曲線スペクトルは図5で示される通りである。
【0029】
本発明の幾つかの実施態様において、前記B結晶形の熱重量分析曲線は73.64℃±3℃の際に重量が0.5270%減少し、230.90℃±3℃の際に重量が1.542%減少する。
【0030】
本発明の幾つかの実施態様において、前記B結晶形の熱重量分析曲線スペクトルは図6で示される通りである。
【0031】
本発明は、更に、式(III)で表される示化合物を提供する。
【化3】
【0032】
本発明は、更に、粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:6.94°±0.2°、19.08°±0.2°、21.05°±0.2°及び24.73°±0.2°において特徴的な回折ピークを有する式(III)で表される化合物のC結晶形を提供する。
【0033】
本発明の幾つかの実施態様において、前記C結晶形の粉末X線回折スペクトルは以下の2θ角:6.94°±0.2°、9.94°±0.2°、17.29°±0.2°、18.04°±0.2°、19.08°±0.2°、21.05°±0.2°、24.12°±0.2°及び24.73°±0.2°において特徴的な回折ピークを有する。
【0034】
本発明の幾つかの実施態様において、前記C結晶形の粉末X線回折スペクトルは図7で示される通りである。
【0035】
本発明の幾つかの実施態様において、前記C結晶形の粉末X線回折スペクトルは以下の2θ角:6.94°、9.94°、13.36°、15.271°、16.83°、17.286°、18.038°、18.767°、19.082°、20.605°、21.054°、21.884°、22.615°、23.228°、24.118°、24.728°、25.182°、25.813°、28.182°、30.757°、31.498°、33.318°、33.77°及び34.595°において特徴的な回折ピークを有する。
【0036】
本発明の幾つかの実施態様において、前記C結晶形のXRPDスペクトル解析データは表3に示す通りである。
【0037】
【表3】
【0038】
本発明の幾つかの実施態様において、前記C結晶形の示差走査熱量曲線は198.16℃±3℃において一つの吸熱ピークを有する。
【0039】
本発明の幾つかの実施態様において、前記C結晶形の示差走査熱量曲線スペクトルは図8で示される通りである。
【0040】
本発明の幾つかの実施態様において、前記C結晶形の熱重量分析曲線は204.73℃±3℃の際に、重量が0.4541%減少する。
【0041】
本発明の幾つかの実施態様において、前記C結晶形の熱重量分析曲線スペクトルは図9で示される通りである。
【0042】
本発明は、更に、癌を治療する医薬の製造における前記化合物又は結晶形の使用を提供する。
【0043】
本発明は、更に、癌を治療するために使用される前記化合物又は結晶形を提供する。
【0044】
本発明は、更に、前記化合物又は結晶形を投与することで、癌を治療する方法を提供する。
【0045】
本発明において、用語の癌は好ましくは肝臓癌である。
【0046】
技術効果
本発明に記載の式(I)で表される化合物の塩形及び結晶形の製造工程が簡単で、かつ、前記結晶形は比較的に安定し、高温高湿度に耐え、製剤化に便利である。
【0047】
定義及び説明
別途に説明しない限り、本明細書で用いられる以下の用語及び連語は以下の意味を含む。一つの特定の連語又は用語は、特別に定義されない場合、不確定又は不明瞭ではなく、普通の定義として理解されるべきである。本明細書で商品名が出た場合、相応の商品又はその活性成分を指す。
【0048】
本発明の中間体化合物は当業者に熟知の様々な合成方法によって製造することができ、以下に挙げられた具体的な実施形態、ほかの化学合成方法と合わせた実施形態及び当業者に熟知の同等の代替方法を含み、好適な実施形態は本発明の実施例を含むが、これらに限定されない。
【0049】
本発明の具体的な実施形態の化学反応は適切な溶媒で完成され、前記溶媒は本発明の化学変化及びそれに必要な試薬と材料に適するべきである。本発明の化合物を得るため、当業者が既存の実施形態に基づいて合成工程又は反応スキームを変更又は選択することが必要であることもある。
【0050】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらの実施例は本発明の何らの制限にもならない。
【0051】
本発明に使用されたすべての溶媒は市販品で、更に精製せずにそのままで使用してもよい。
【0052】
本発明は下記の略語を使用する。
(R)-CBS:(3aR)-1-メチル-3,3-ジフェニル-3a,4,5,6-テトラヒドロピロロ[1,2-c][1,3,2]オキサゾボラン、
DIEA:N,N-ジイソプロピルエチルアミン、
DMF:N,N-ジメチルホルムアミド、
THF:テトラヒドロフラン、
Pd(dppf)Cl:1,1´-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド、
Pd(PPhCl:ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド。
【0053】
化合物は手作りで名付けられ、又はChemDraw(R)ソフトウェアで名付けられ、市販化合物はカタログ名を用いる。
【0054】
本発明の粉末X線回折(X-raypowderdiffractometer、XRPD)方法
計器の型番:ブルカーD8advanceX線回折計
測定方法:約10~20mgの試料をXRPDの検出に用いる。
詳細なXRPDパラメーターは下記の通りである。
X線管:Cu、kα、(λ=1.54056Å)
管電圧:40kV、管電流:40mA
発散スリット:0.60mm
センサスリット:10.50mm
散乱防止スリット:7.10mm
走査範囲:3又は4~40deg
ステップ角:0.02deg
ステップ幅:0.12秒
試料パン回転速度:15rpm
【0055】
本発明の示差熱分析(DifferentialScanningCalorimeter、DSC)方法
計器の型番:TADSCQ2000示差走査熱量計
測定方法:試料(0.5~1mg)をDSCアルミニウム製坩堝に量り取り測定を行い、50mL/minのN条件で、10℃/minの昇温速度で、試料を室温(25℃)から300℃又は350℃まで加熱する。
【0056】
本発明の熱重量分析(ThermalgravimetricAnalyzer、TGA)方法
計器の型番:TAQ5000熱重量分析計
測定方法:試料(2~5mg)をTGA白金坩堝に量り取り測定を行い、25mL/minのN条件で、10℃/minの昇温速度で、試料を室温(25℃)から300℃、350℃又は重量が20%減少するまで加熱する。
【0057】
本発明の動的水蒸気吸着機(DVS)
計器の型番:DVSAdvantage-1(SMS)
測定条件:約10~15mgの試料を測定に使用する。
平衡化dm/dt:0.01%/min:(時間:10min~最長180min)
乾燥:0%RHで、120min
RH(%)勾配の測定:10%
RH(%)勾配の測定範囲:0%~90%~0%
【0058】
以下の表4は吸湿性の判断基準である。
【表4】
【0059】
本発明の高速液体クロマトグラフ(High Performance Liquid Chromatograph、HPLC)方法
計器の型番:Agilent1200高速液体クロマトグラフ
【0060】
分析方法は以下の通りである。
【表5】
【図面の簡単な説明】
【0061】
図1図1は式(I)の化合物のA結晶形のXRPDスペクトルである。
図2図2は式(I)の化合物のA結晶形のDSCスペクトルである。
図3図3は式(I)の化合物のA結晶形のTGAスペクトルである。
図4図4は式(II)の化合物のB結晶形のXRPDスペクトルである。
図5図5は式(II)の化合物のB結晶形のDSCスペクトルである。
図6図6は式(II)の化合物のB結晶形のTGAスペクトルである。
図7図7は式(III)の化合物のC結晶形のXRPDスペクトルである。
図8図8は式(III)の化合物のC結晶形のDSCスペクトルである。
図9図9は式(III)の化合物のC結晶形のTGAスペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0062】
本発明の内容をよりよく理解するために、以下では具体的な実施の形態を参照しながら更に説明するが、具体的な実施形態は本発明の内容を制限するものではない。
【0063】
実施例1:式(I)の化合物のA結晶形の製造
【化4】
【0064】
1-Bの製造
-30℃の窒素ガスの保護下で、攪拌しながら化合物1-A(4Kg、25.19mol)のジクロロメタン(20L)溶液にジイソプロピルエチルアミン(2.9Kg、22.67mol)及びメタンスルホニルクロリド(2.2Kg、19.51mol)を滴下した。滴下完了後、-10℃下で1時間攪拌した。LCMSにより反応が完了したことを検出した。反応液を飽和塩化アンモニウム溶液(12L×2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮して、中間体1-Bを得、精製せず、直接的に次のステップで使用した。LCMS(ESI)m/z:316.0[M+Na]
【0065】
1-Cの製造
窒素ガスの保護下で、中間体1-B(5.45Kg、18.58mol)及び2-クロロピリミジン-5-オール(2.42Kg、18.56mol)のDMF(25L)溶液に、炭酸カリウム(1.54Kg、11.15mol)を添加した。反応液を90℃下で16時間反応させ、LCMSにより反応が完了したことを検出した。反応液を水(75L)に注ぎ、16時間攪拌した後濾過し、ケーキを水(20L)に入れ、16時間攪拌し、濾過し、ケーキを乾燥させて中間体1-Cを得た。LCMS(ESI)m/z:328.1[M+H]HNMR(400MHz、CDCl)δppm1.21~1.36(m、2H)1.44~1.49(m、9H)1.81(brd、J=12.10Hz、2H)1.91~2.08(m、1H)2.75(brt、J=11.98Hz、2H)3.90(d、J=6.24Hz、2H)4.01~4.37(m、2H)8.28(s、2H)。
【0066】
1-Eの製造
-30℃、窒素ガスの保護下で、(R)-CBS(12.5L、1mol/L)及びボランジメチルスルフィド(5L、10mol/L)の混合溶液の中に、化合物1-D(5Kg、25.19mol)のテトラヒドロフラン(5L)溶液を添加した。反応液を-30℃下で1時間反応させ、LCMSにより反応が完了したことを検出した。反応液にメタノール(10L)を滴下して反応をクエンチングさせた後、減圧濃縮し、残留物に酢酸エチル(2L)及びn-ヘキサン(20)を添加して溶解させた後、塩酸(10L、2mol/L)を添加して1時間攪拌し、濾過し、濾液を塩酸(12L×3、2mol/L)及び飽和食塩水(15L)で洗浄した後、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮して中間体1-Eを得た。HNMR(400MHz、DMSO-d)δppm1.31(d、J=6.53Hz、3H)、4.61~4.84(m、1H)、5.30(d、J=4.39Hz、1H)、7.25~7.31(m、1H)、7.31~7.37(m、1H)、7.41(brd、J=7.65Hz、1H)、7.53(s、1H)。
【0067】
1-Fの製造
窒素ガスの保護下で、中間体1-E(1.2Kg、5.97mol)のトルエン(30L)溶液に、順次に3-フルオロ-1-ヒドロ-ピリジン-2-オン(723.39g、6.4mol)、トリブチルホスフィン(1.39Kg、6.88mol)及びアゾジカルボニルジピペリジン(1.74Kg、6.89mol)を添加した。反応液を90℃に昇温させ、2時間反応させ、LCMSにより反応が完了したことを検出した。反応液を室温に冷却させた後遠心分離し、濾液を塩酸(9L×2、4mol/L)で洗浄した後減圧濃縮し、残留物にメチルtert-ブチルエーテル(12L)を添加して溶解させた後、塩酸(9L×3、4mol/L)及び飽和食塩水(9L×2)でそれぞれ洗浄し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過した後減圧濃縮し、残留物にn-ヘキサン(10L)を添加して16時間攪拌した後濾過し、ケーキを乾燥させ、中間体1-Fを得た。LCMS(ESI)m/z:297.9[M+H]HNMR(400MHz、DMSO-d)δppm1.74(d、J=7.09Hz、3H)、6.10(td、J=7.24、4.58Hz、1H)、6.46(q、J=7.01Hz、1H)、6.95(dt、J=7.09、1.53Hz、1H)、7.08(ddd、J=9.20、7.43、1.71Hz、1H)、7.22~7.32(m、2H)、7.43~7.53(m、2H)。
【0068】
1-Gの製造
窒素ガスの保護下で、中間体1-F(2kg、6.75mol)、ビス(ピナコラト)ジボロン(1.89kg、7.43mol)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(48.51g、67.54mmol)及び酢酸カリウム(1.34kg、13.51mol)の1,4-ジオキサン(20L)溶液を90℃に昇温させて2時間反応させ、LCMSにより反応が完了したことを検出した。化合物1-Gの反応液を精製せず、直接的に次のステップで使用した。
【0069】
1-Hの製造
窒素ガスの保護下で、化合物1-Gの反応液に、順次に中間体1-C(2.44kg、7.43mol)、炭酸ナトリウム(1.43kg、13.51mol)、Pd(dppf)Cl(299.60g、405.22mmol)及び水(4L)を添加し、反応液を100℃に昇温させ、16時間反応させた。LCMSにより反応が完了したことを検出した。反応液を80℃に冷却した後濾過し、攪拌しながら濾液に水(12L)を滴下し、16時間攪拌した後、濾過し、ケーキを水で洗浄し、乾燥させた後、メチルtert-ブチルエーテル(35L)及びアセトン(1L)を添加し、16時間攪拌し、濾過し、ケーキを収集して乾燥させ、中間体1-Hを得た。LCMS(ESI)m/z:531.1[M+Na]HNMR(400MHz、DMSO-d)δppm1.10~1.26(m、2H)1.40(s、9H)1.77(brd、J=7.15Hz、5H)1.97(brd、J=3.64Hz、1H)2.63~2.90(m、2H)3.88~4.03(m、2H)4.06(d、J=6.40Hz、2H)、6.17~6.36(m、2H)、7.31~7.63(m、4H)、8.17~8.30(m、2H)、8.64(s、2H)。
【0070】
1-Iの製造
30℃、窒素ガスの保護下で、中間体1-H(2.63kg、5.17mol)のDMF(27L)溶液に1,3-ジブロモ-5,5-ジメチルイミダゾリン-2,4-ジオン(1kg、3.5mol)を添加し、反応液を30℃で1時間反応させ、LCMSにより反応が完了したことを検出した。反応液に水(16.2L)を滴下した後16時間攪拌し、濾過し、ケーキを水で洗浄した後乾燥させ、ケーキをアセトン(17.6L)の中に入れ、加熱して還流し、1時間撹拌した後、水(12L)を滴下して16時間撹拌し、濾過し、ケーキを乾燥させ、中間体1-Iを得た。LCMS(ESI)m/z:611.1[M+Na]HNMR(400MHz、DMSO-d)δppm1.10~1.27(m、2H)、1.40(s、9H)、1.71~1.87(m、5H)、1.93~2.06(m、1H)、2.67~2.85(m、2H)、3.99(brd、J=11.67Hz、2H)、4.07(brd、J=6.27Hz、2H)、6.23(q、J=6.86Hz、1H)、7.42~7.57(m、2H)、7.71(dd、J=9.29、1.76Hz、1H)、7.85(s、1H)、8.18~8.30(m、2H)、8.65(s、2H)。
【0071】
1-Jの製造
窒素ガスの保護下で、中間体1-I(2.1kg、3.58mol)、ビス(ピナコラト)ジボロン(1.82kg、7.17mol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(127.09g、110mmol)及び酢酸カリウム(719.68g、7.16mol)の1,2-ジメトキシエタン(21L)の溶液を85℃に昇温させて2時間反応させ、LCMSにより反応が完了したことを検出した。化合物1-Kの反応液を精製せず、直接的に次のステップで使用した。
【0072】
1-Kの製造
窒素ガスの保護下で、化合物1-Jの反応液に順次に2-ブロモピリジン-4-カルボニトリル(707g、3.86mol)、炭酸ナトリウム(741g、6.99mol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(163g、141mmol)及び水(4.2L)を添加し、反応液を85℃に昇温させ、16時間反応させた。LCMSにより反応が完了したことを検出した。反応液を50℃に冷却させた後反応液に水(12.6L)を滴下し、16時間攪拌し、濾過し、ケーキを乾燥させた後イソプロパノール:水=30:1の混合溶媒を添加して3回スラリー化し、固体を収集して乾燥させ、中間体1-Kを得た。LCMS(ESI)m/z:633.2[M+Na]HNMR(400MHz、DMSO-d)δppm1.09~1.26(m、2H)、1.40(s、9H)、1.76(brd、J=11.17Hz、2H)、1.91(d、J=7.15Hz、3H)、1.93~2.05(m、1H)、2.57~2.92(m、2H)3.98(brd、J=10.92Hz、2H)、4.05(d、J=6.40Hz、2H)、6.35(q、J=7.03Hz、1H)、7.47~7.56(m、2H)、7.73(dd、J=5.02、1.00Hz、1H)、8.19(dd、J=11.29、2.13Hz、1H)、8.22~8.27(m、1H)、8.30(s、1H)、8.40(s、1H)、8.48(s、1H)、8.64(s、2H)、8.79(d、J=5.02Hz、1H)。
【0073】
式(I)の化合物の製造
窒素ガスの保護下で、中間体1-K(2.4kg、3.93mol)をバッチにメタンスルホン酸(758.66g、7.89mol)のメタノール(7.2L)溶液に添加し、反応液を50℃に昇温させ、2時間攪拌し、LCMSにより中間体1-Kの消耗が完了した後ことを検出した後、順次に反応液にメタノール(16.8L)、酢酸ナトリウム(645.54g、7.87mol)、ホルムアルデヒド(639.63g、7.88mol、37%の水溶液)及びナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(1.25kg、5.91mol)を添加し、反応溶液を16時間撹拌反応させ、LCMSにより反応が完了したことを検出した。反応液を濾過し、濾液に順次にアンモニア水(3L)及び水(4.5L)を滴下し、6時間攪拌し、濾過し、ケーキを水で洗浄した後乾燥させた。固体をテトラヒドロフラン(13L)に入れ、50℃に昇温させて溶解させ、チオ尿素樹脂(650g)を添加して2時間撹拌した後、濾過し、濾液にチオ尿素樹脂(650g)を添加し、50℃で2時間撹拌した後濾過し、濾液にチオ尿素樹脂(650g)を添加し、50℃で16時間撹拌した後濾過し、更に濾液に活性炭素粉末(150g)を添加し66℃に昇温させ、2時間攪拌した。濾過し、濾液を減圧濃縮し、残留物に酢酸エチル(16.8L)を添加し、全部溶解するまで還流温度下で攪拌し、熱いうちに濾過し、濾液をゆっくりと20℃に冷却させた後濾過し、ケーキを収集して乾燥させ、式(I)の化合物を得た。LCMS(ESI)m/z:525.2[M+H]HNMR(400MHz、CDOD)δppm8.72(d、J=5.01Hz、1H)、8.52(s、2H)、8.38(s、1H)、8.24~8.33(m、2H)、8.06~8.15(m、2H)、7.46~7.57(m、3H)、6.49(q、J=7.17Hz、1H)、4.03(d、J=5.75Hz、2H)、2.95(brd、J=11.74Hz、2H)、2.31(s、3H)、2.04~2.14(m、2H)、1.96(d、J=7.09Hz、3H)、1.80~1.92(m、3H)、1.40~1.58(m、2H)。
【0074】
式(I)の化合物のA結晶形の製造
式(I)の化合物(850g)を酢酸エチル(6.8L)に添加し、還流温度まで昇温させ、2時間攪拌した後、反応液をゆっくりと35℃に冷却させて16時間攪拌し、濾過し、ケーキを収集して乾燥させ、式(I)の化合物のA結晶形を得た。HNMR(400MHz、DMSO-d)δppm1.23~1.40(m、2H)、1.65~1.78(m、3H)、1.79~1.89(m、2H)、1.91(d、J=7.21Hz、3H)、2.15(s、3H)、2.78(brd、J=11.25Hz、2H)、4.03(d、J=5.99Hz、2H)、6.35(d、J=7.09Hz、1H)、7.46~7.58(m、2H)、7.73(dd、J=5.01、1.22Hz、1H)、8.18(dd、J=11.31、2.14Hz、1H)、8.21~8.27(m、1H)、8.30(s、1H)、8.40(d、J=1.34Hz、1H)、8.48(s、1H)、8.63(s、2H)、8.79(d、J=5.01Hz、1H)。
【0075】
実施例2:式(II)の化合物のB結晶形の製造
【化5】
【0076】
400mgの式(I)の化合物を秤量して40mLのバイアルに入れ、6mLのTHFを添加し、試料を磁気攪拌機(40℃)に置き、5分間攪拌して溶解させ、適量の塩酸(式(I)の化合物と塩酸のモル比は1:1.05であり、THFは希釈してから添加する)をゆっくりと添加し、現象を観察した。試料を磁気攪拌機(40℃)に置き、一晩攪拌した。反応液に白色の固体が析出した。試料溶液を素早く遠心分離し、上澄みを廃棄し、得られた固体を30℃の真空乾燥箱に置き、一晩乾燥させ、式(II)の化合物のB結晶形を得た。
【0077】
実施例3:式(III)の化合物のC結晶形の製造
【化6】
400mgの式(I)の化合物を秤量して40mLのバイアルに入れ、6mLのTHFを添加し、試料を磁気攪拌機(40℃)に置き、5分間攪拌して溶解させ、適量のリン酸(式(I)の化合物とリン酸のモル比は1:1.05であり、THFは希釈してから添加する)をゆっくりと添加し、現象を観察した。試料を磁気攪拌機(40℃)に置き、一晩攪拌した。反応液に白色の固体が析出した。試料溶液を素早く遠心分離し、上澄みを廃棄し、得られた固体を30℃の真空乾燥箱に置き、一晩乾燥させ、式(III)の化合物のC結晶形を得た。HNMR(400MHz、DMSO-d)δppm1.49(q、J=10.88Hz、2H)、1.71~2.05(m、6H)、2.28~2.49(m、6H)、3.07(brd、J=10.79Hz、2H)、4.06(brd、J=6.27Hz、2H)、6.34(q、J=6.94Hz、1H)、7.44~7.62(m、2H)、7.73(dd、J=4.89、1.13Hz、1H)、8.18(dd、J=11.29、2.26Hz、1H)、8.21~8.27(m、1H)、8.29(s、1H)、8.40(s、1H)、8.47(s、1H)、8.64(s、2H)、8.78(d、J=5.02Hz、1H)。
【0078】
実施例4:式(I)の化合物のA結晶形の安定性試験
式(I)の化合物のA結晶形を約10mg秤量し、安定性試験条件下に置き、それぞれ10日目、1ヶ月目と2ヶ月目でサンプリングして分析し、実験結果は表6に示したとおりであった。
【0079】
【表6】
【0080】
実験結果から、式(I)の化合物のA結晶形は、高温及び高湿度の条件下で不純物含有量に有意な変化がなく、良好な安定性を有することが分かった。
【0081】
実施例5:式(II)の化合物のB結晶形の安定性試験
式(II)の化合物のB結晶形を約10mg秤量し、安定性試験条件下に置き、それぞれ5日間、10日間と1ヶ月目でサンプリングして分析し、実験結果は表7に示した通りであった。
【0082】
【表7】
【0083】
実験結果から、式(II)の化合物のB結晶形は、高温及び光照射の条件下で安定であることが分かった。
【0084】
実施例6:式(III)の化合物のC結晶形の安定性試験
式(III)の化合物のC結晶形を約10mg秤量し、安定性試験条件下に置き、それぞれ5日間、10日間と1ヶ月目でサンプリングして分析し、実験結果は表8に示した通りであった。
【0085】
【表8】
【0086】
実験結果から、式(III)の化合物のC結晶形は、高温及び高湿度の条件下で相対的に安定であることが分かる。
【0087】
実施例7:式(I)の化合物のA結晶形の吸湿性に関する研究
3本の乾いた栓付きのガラス計量ボトル(外径は50mmであり、高さは30mmである)を下部に飽和塩化アンモニウム溶液を置いた乾燥機に入れ、計量ボトルは開口して置き、乾燥機の蓋を覆い、乾燥機を25℃のサーモスタットに入れ、一晩放置した。
【0088】
計量ボトルを一晩放置した後、取り出して正確に計量し、それぞれm1、m2及びm3とした。
【0089】
式(I)の化合物のA結晶形を適量取り、既に秤量した計量ボトル(試料の厚さは約1mmである)に平らに広げ、正確に計量し、それぞれm1、m2及びm3とした。
【0090】
計量ボトルを開口して置き、蓋と一緒に下部に飽和塩化アンモニウム溶液を置いた乾燥機に入れ、乾燥機の蓋を覆い、乾燥機を25℃のサーモスタットに入れ、24時間放置した。
【0091】
24時間放置した後、計量ボトルの栓を閉め、取り出して正確に計量し、それぞれm1、m2及びm3と記録した。
【0092】
吸湿重量増加を計算し、計算式は以下の通りであった。
重量増加の百分率=100%×(m-m)/(m-m
【0093】
【表9】
【0094】
吸湿性試験の結果により、式(I)の化合物のA結晶形の吸湿平均値は0.060%(<0.2%)であったため、式(I)の化合物のA結晶形は吸湿性がないかほとんどないことが分かった。
【0095】
実施例8:式(I)の化合物のA結晶形の溶解度試験
式(I)の化合物のA結晶形10mgを秤量してガラス瓶入れ、溶媒1mLを添加し、25℃±2℃で5分ごとに30秒間激しく振とうし、30分以内の溶解を観察した。対応するデータを表に記録した。
【0096】
不溶性試料に対しては、他に式(I)の化合物の結晶形1mgを秤量してガラス瓶に入れ、適切な溶媒を添加し、25℃±2℃で5分ごとに30秒間激しく振とうし、30分以内の溶解を観察した。対応するデータは表10に記録した通りであった。
【0097】
【表10】
【0098】
実験結果から、式(I)の化合物のA結晶形は、水又はN-メチルピロリドンに容易に溶解し、0.1NHC1に溶解し、テトラヒドロフラン又はトリフルオロ酢酸にわずかに溶解し、酢酸エチル、アセトニトリル又はエタノールに非常にわずかに溶解し;n-ヘキサン、ジエチルアミン、又は0.1N水酸化ナトリウム溶液にほとんど溶解しない又は溶解しないことが分かった。
【0099】
実施例9:式(I)の化合物の酵素活性試験
試薬と消耗品
c-MET(InvItrogenPV3143)
Tracer236(LotNumber:10815978)
Eu-AntI-HIsAB(MAbAntI6HIS-K)
PerkInElmer社のEnvIson 665nm及び615nmで検出
384ウェルプレート_検出プレート(PerkInElmer#6007299)
【0100】
実験原理
本実験はLantha Screen TMEuキナーゼ結合実験(Lantha Screen TMEu KInase BIndIng Assay)を利用し、図1に示すように、Eu標識抗体を添加することによりAlexaFluorコンジュゲート又はキナーゼ「トレーサー」の結合を検出した。トレーサーと抗体をキナーゼと組み合わせると、高度なFRETが得られるが、トレーサーの代わりにキナーゼ阻害剤化合物を使用すると、FRETの損失を引き起こした。
【0101】
実験方法
1)抗体Eu-Anti-HisAB、酵素c-MET、トレーサーTracer236を希釈した。
2)化合物の調製:10mMの試験化合物と参照化合物を100%のDMSOで0.667mMに希釈し、全自動マイクロプレート前処理システムECHOを使用して、8個濃度勾配で3倍に希釈し、同じ条件で2つのウェルを調製し、ウェルあたり75nLであった。
3)化合物プレートに7.5μL抗体(1/375nM)とキナーゼ(10nM)の混合物を添加し、更に7.5uLのTracer(60nM)を添加した。反応の最終の濃度:c-MET:5nM、Tracer236:30nM、Eu-Anti-HisAB(MAbAnti6HIS-K):1/750nM。
4)4℃で60分間インキュベートした後、マルチラベルマイクロプレート検出器EnvisIonによってデータを読み取った(665nm/615nmの信号値はPrism5でデータを分析し;Ex励起光:Lasermirror446、Em放射光:615and665nMである)。
【0102】
実験結果:表11に示す通りであった。
【0103】
【表11】
【0104】
実験結果は、式(I)の化合物がc-MET酵素に対して強い阻害活性を有することを示した。
【0105】
実施例10:式(I)の化合物の細胞増殖に対する抑制試験
本実験は、AKTを過剰発現する前立腺癌細胞LNCaPに対する式(I)の化合物の阻害効果を研究することを目的としている。
【0106】
試薬と消耗品
1.細胞の培養:DMEM培地、ウシ胎児血清、DPBS
2.細胞株:MHCC97-H
3.検出試薬:生細胞検出キットCellTIter-Glo
4.その他の主な消耗品と試薬:化合物希釈プレート、ミドルプレート、検出プレート、DMSO
【0107】
実験方法
1.細胞プレートの製造
MHCC97-H細胞を、各ウェルに500個の細胞が含まれるように384ウェルプレートに接種した。細胞プレートを二酸化炭素インキュベーターで一晩培養した。
【0108】
2.化合物の準備
Echoで9個の化合物濃度で4倍に希釈し、同じ条件で2つのウェルを設置した。
【0109】
3.化合物で細胞を処理
化合物を細胞プレートに移し、化合物の初期濃度は10μMであった。細胞プレートを二酸化炭素インキュベーターに入れ、3日間培養した。
【0110】
4.検出
Promega Cell Titer-Glo試薬を細胞プレートに添加し、室温で10分間インキュベートして発光信号を安定させた。Perkin Elmer EnvisIonマルチマーカーアナライザーでデータを読み取った。
【0111】
実験結果:表12に示す通りであった。
【0112】
【表12】
【0113】
実験結果は、式(I)の化合物がMHCC97H細胞に対して良好な阻害活性を有することを示した。
【0114】
実施例11:式(I)の化合物的生体内の有効性研究
細胞の培養
MHCC97H細胞を体外で単層培養し、培養条件はRPMI1640培地に10%の熱不活化ウシ胎児血清、1%のペニシリン-ストレプトマイシン二重抗体を添加し、37℃の5%のCOで培養した。週2回でトリプシン-EDTAを使用して従来の消化処理して継代した。細胞が指数増殖期にあるとき、細胞を収集し、数を数え、播種した。
【0115】
動物
BALB/cヌードマウス、オス。6~8週齢、体重は18~22gであった。
【0116】
腫瘍の接種
5×10個のMHCC97H細胞を含む0.2mlの細胞懸濁液を各マウスの右背部に皮下接種した。平均腫瘍体積が約172mmに達した場合、グループ投与を開始した。
【0117】
実験のためのグループ分けと投与方法は以下の表に示す通りである。
【0118】
実験の指標
実験指標は、腫瘍の成長が阻害されるか、遅延又は治癒されるかを調査するものである。
【0119】
週に2回ノギスで腫瘍の直径を測定した。腫瘍体積の計算式は:V=0.5a×bであり、aとbは、それぞれ腫瘍の長径と短径を表す。化合物の抗腫瘍効果(TGI)は、T-C(日)およびT/C(%)で評価した。
【0120】
実験結果:表13に示す通りであった。
【0121】
【表13】
【0122】
結論:式(I)の化合物は、MHCC97H肝癌細胞の皮下異種移植腫瘍モデルの薬力学的実験において、テポチニブよりも優れた腫瘍抑制効果を示した。
【0123】
式(I)の化合物は、テポチニブよりも優れた代謝安定性を有する。ヒト、ラット、およびマウスの肝臓微粒子代謝における式(I)の化合物のt1/2は、それぞれ62.1分、36.5分、49.1分であるが、同じ条件下で、テポチニブはヒト、ラット、およびマウスの肝臓微粒子代謝におけるt1/2は、それぞれ48.3分、10.5分、12.4分であった。本発明の化合物は、半減期が増加し、標的に対する作用時間が延長され、代謝安定性が増強され、より優れた阻害活性を有する。半減期が長くなると、血中の薬の濃度を長期間維持でき、これにより、当該化合物が腫瘍治療に使用される場合、類似薬に比べて患者の服用量又は投薬頻度を減らし、患者のコンプライアンスが大幅に改善できることが予想できた。
【0124】
c-METはHGFと結合した後、MAPK、PI3K/AKT、Cdc42/Rac1等の経路を活性化させるため、癌細胞の生存と増殖をもたらし、それによって腫瘍の成長を促進する。したがって、c-MET阻害剤であるピリドン系化合物は、肝臓癌、非小細胞肺癌、胃癌等の標的療法薬において大きな応用の見通しがある。特に肝がんの治療において、これらの化合物はc-METの高発現による肝がんに対して正確な治療効果を有する。したがって、式(I)の化合物は、ピリドン系のc-MET阻害剤として、その生体内および体外での有意な阻害活性および良好な代謝安定性から、同様の製品よりも優れた治療効果を有する新薬になると予想される。
図1
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図9