特許 7118358 浴室洗い場床構造

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B2)

(11)【特許番号】

(24)【登録日】2022-08-05

(45)【発行日】2022-08-16

(54)【発明の名称】浴室洗い場床構造

(51)【国際特許分類】

   E03C 1/20 20060101AFI20220808BHJP

   E04H 1/12 20060101ALI20220808BHJP

【ＦＩ】

E03C1/20 A

E04H1/12 301

【請求項の数】 2

(21)【出願番号】P 2018092307

(22)【出願日】2018-05-11

(65)【公開番号】P2019196676

(43)【公開日】2019-11-14

【審査請求日】2021-03-30

(73)【特許権者】

【識別番号】000010087

【氏名又は名称】ＴＯＴＯ株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】100108062

【弁理士】

【氏名又は名称】日向寺 雅彦

(74)【代理人】

【識別番号】100168332

【弁理士】

【氏名又は名称】小崎 純一

(74)【代理人】

【識別番号】100146592

【弁理士】

【氏名又は名称】市川 浩

(72)【発明者】

【氏名】栗原 幸二

(72)【発明者】

【氏名】小田切 裕典

【審査官】神尾 寧

(56)【参考文献】

【文献】特開２０１５－０６８０１７（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開２０１６－０６５３９１（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開２０１０－２５５２３０（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開２０１５－０６８０１８（ＪＰ，Ａ）

(58)【調査した分野】(Int.Cl.，ＤＢ名)

Ｅ０３Ｃ １／２０

Ｅ０４Ｈ １／１２

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】

熱可塑性発泡樹脂により形成された床面材と、前記床面材の上に設けられ洗い場床の表面を形成する表面材と、を有し、排水口に向けて下方へ傾斜した排水勾配が表面に形成された床本体と、
金属製の外枠と、前記外枠の内側を格子状に仕切る金属製の格子部と、高さ調整可能な支持脚と、を有し、前記床本体を下方から支持するフレーム体と、
前記床本体の下方かつ前記フレーム体の上方に、前記床本体及び前記フレーム体に対して直接的に固定されることなく設置された支持体と、
を備え、
前記支持体の厚さは、前記床本体の厚さよりも小さく、
前記支持体は、前記床本体の下方かつ前記フレーム体の上方に設置され前記床本体を支持する本体部と、前記本体部の中央部分の沈み込みを抑制する沈み込み抑制部と、を有することを特徴とする浴室洗い場床構造。

【請求項2】

前記沈み込み抑制部は、前記床本体及び前記フレーム体の少なくとも一方との係合によって、前記本体部の水平方向への移動を規制することにより、前記本体部の中央部分の沈み込みを抑制することを特徴とする請求項１記載の浴室洗い場床構造。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、浴室洗い場床構造に関する。

【背景技術】

【0002】

浴室洗い場床構造において、熱可塑性発泡樹脂製の床面材（基材）を、鋼材製のデッキプレートの上、または、樹脂板を２枚の鋼板で挟んで補強したサンドイッチパネルの上に載置する構造が知られている。デッキプレートやサンドイッチパネルは、鋼材製のフレーム体の上に固定されている。フレーム体は、外枠や支持脚などを有し、支持脚を介して建築躯体の上に設置される。

【0003】

こうした浴室洗い場床構造では、デッキプレートやサンドイッチパネルに作業口（点検口）を設け、この作業口から支持脚の調整（床面の水平調整）などを行っている。この際、作業口以外の部分においては、下方のフレーム体が、デッキプレートやサンドイッチパネルによって覆い隠されている。このため、フレーム体の下方（裏側）の広い範囲を視認することが難しい。

【0004】

一方で、デッキプレートやサンドイッチパネルを設置せずに、熱可塑性発泡樹脂製の床面材を直接格子状のフレーム体の上に載置してしまうと、人が浴室洗い場床に載った際の荷重によって、格子間の隙間で大きく床面材が沈み込んでしまい、歩き心地が悪くなる上、浴室洗い場床に必要な排水勾配が適切に維持できなくなってしまう可能性が生じる。

【0005】

そこで、例えば特許文献１では、フレーム体の格子間隔を７ｃｍ以下という狭いものにし、デッキプレートやサンドイッチパネルを設けることなく、熱可塑性発泡樹脂製の床面材をフレーム体によって支える構造が検討されている。

【0006】

しかしながら、特許文献１の構造では、フレーム体の下方の視認性は確保できるものの、格子間隔が狭いものであるため、施工者の体はおろか、腕も入り難い。従って、せっかく視認ができたとしても、格子を介して作業を行うことが難しく、依然として施工性に検討の余地が残されていた。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0007】

【文献】特開２０１５－０６８０１８号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0008】

本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、洗い場床にかかる荷重で熱可塑性発泡樹脂製の床面材の下方への沈み込みを抑制しつつ、施工性をより向上させた浴室洗い場床構造を提供することを目的とする。

【課題を解決するための手段】

【0009】

第１の発明は、熱可塑性発泡樹脂により形成された床面材と、前記床面材の上に設けられ洗い場床の表面を形成する表面材と、を有し、排水口に向けて下方へ傾斜した排水勾配が表面に形成された床本体と、金属製の外枠と、前記外枠の内側を格子状に仕切る金属製の格子部と、高さ調整可能な支持脚と、を有し、前記床本体を下方から支持するフレーム体と、前記床本体の下方かつ前記フレーム体の上方に、前記床本体及び前記フレーム体に対して直接的に固定されることなく設置された支持体と、を備えたことを特徴とする浴室洗い場床構造である。

【0010】

この浴室洗い場床構造によれば、床本体の下方かつフレーム体の上方に支持体を設けたことにより、格子部の格子間隔の広いフレーム体の上方に、熱可塑性発泡樹脂により形成された床面材を配置した際にも、人が浴室洗い場床に載った際の荷重によって、格子間の隙間で大きく床面材が沈み込んでしまうことを抑制することができる。また、間隔の狭い格子などをフレーム体に設ける必要が無く、フレーム体の下方の視認性を確保し、かつ支持脚の調整などをし易くすることができる。従って、格子間の隙間に大きく床面材が沈み込んでしまうことで歩き心地が悪くなる問題や、浴室洗い場床に必要な排水勾配が適切に維持できないといった問題を解決しつつ、施工性を向上させることができる。また、床面材の沈み込みを抑制する支持体が、床本体及びフレーム体に対して直接的に固定されることなく設置されているため、施工時には、床本体と支持体を別々に持ち上げて作業することができ、施工性をより向上させることができる。

【0011】

第２の発明は、第１の発明において、前記支持体の厚さは、前記床本体の厚さよりも小さいことを特徴とする浴室洗い場床構造である。

【0012】

この浴室洗い場床構造によれば、支持体の存在によって必要以上に洗い場床の床面が高くなってしまうことを抑制することができ、より制約が少ない状態で浴室ユニットを設置することができる。

【0013】

第３の発明は、第２の発明において、前記支持体は、前記床本体の下方かつ前記フレーム体の上方に設置され前記床本体を支持する本体部と、前記本体部の中央部分の沈み込みを抑制する沈み込み抑制部と、を有することを特徴とする浴室洗い場床構造である。

【0014】

支持体を床本体及びフレーム体に対して直接的に固定することなく設置すると、人が浴室洗い場床に載った際の荷重などによって、薄い支持体が撓んでしまい、沈み込んでしまう可能性がある。これに対して、この浴室洗い場床構造によれば、支持体自体の沈み込みを沈み込み抑制部によって抑制することができるため、格子間の隙間で大きく床面材が沈み込んでしまうことを、より確実に抑制することができる。

【0015】

第４の発明は、第３の発明において、前記沈み込み抑制部は、前記床本体及び前記フレーム体の少なくとも一方との係合によって、前記本体部の水平方向への移動を規制することにより、前記本体部の中央部分の沈み込みを抑制することを特徴とする浴室洗い場床構造である。

【0016】

この浴室洗い場床構造によれば、支持体自体の沈み込みをより抑制できるため、格子間の隙間で大きく床面材が沈み込んでしまうことを、より確実に抑制することができる。

【発明の効果】

【0017】

本発明によれば、洗い場床にかかる荷重で熱可塑性発泡樹脂製の床面材の下方への沈み込みを抑制しつつ、施工性をより向上させた浴室洗い場床構造を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【0018】

【図1】実施形態に係る浴室ユニットを模式的に表す斜視図である。

【図2】実施形態に係る浴室ユニットの洗い場床構造を模式的に表す斜視図である。

【図3】図３（ａ）及び図３（ｂ）は、実施形態に係る浴室ユニットの洗い場床構造を模式的に表す断面図である。

【図4】実施形態に係る浴室ユニットの洗い場床構造の変形例を模式的に表す断面図である。

【発明を実施するための形態】

【0019】

以下、実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図１は、実施形態に係る浴室ユニットを模式的に表す斜視図である。
図１に表したように、浴室ユニット２は、洗い場床１０と、浴槽６０と、壁パネル７１ａ～７１ｆと、を備える。

【0020】

浴槽６０の底部の裏面における四隅近傍には、支持脚６１が設けられ、その支持脚６１を介して、浴槽６０は浴室設置面（例えば、建物の床）１００の上に設置される。支持脚６１の先端側（下端側）にはボルト部が設けられ、そのボルト部を回転させることで支持脚６１の高さが調整可能となっている。

【0021】

浴槽６０の横の空間における底部に、洗い場床１０が設置されている。洗い場床１０の表面１５ａは、浴室外部に水を漏出させない防水性を有する。なお、本願明細書において「水」という場合には、冷水のみならず、加温されたお湯も含むものとする。

【0022】

洗い場床１０の裏側（下方側）において、浴槽６０との境界部近傍には排水配管６２が設けられている。洗い場床１０において、例えば浴槽６０との境界部近傍には、排水配管６２に連通する排水口（図１では、着脱自在の蓋６３で塞がれている）が形成されている。排水口が設けられた部分はくぼんでおり、洗い場床１０の表面１５ａには、排水口に向けて下向き傾斜した排水勾配が付けられている。また、浴槽６０の底部に設けられた図示しない排水口も、排水配管６２に接続されている。

【0023】

図１において２点鎖線で表すように、浴槽６０のリムの上には壁パネル７１ａ～７１ｃが設置されている。また、洗い場床１０の周縁部の上には、壁パネル７１ｄ～７１ｆが設置されている。また、壁パネル７１ｆには図示しないドア取付枠を介してドアが取り付けられる。

【0024】

浴槽６０と洗い場床１０との境界には、浴槽６０における洗い場床１０側の側面を覆い隠すバスエプロン６７が設けられている。なお、浴槽６０の構造によっては、バスエプロン６７を設けなくてよいものもある。

【0025】

また、バスエプロン６７の長手方向の一端側と、壁パネル７１ｄとの間には小パネル６５ｂが設けられている。また、バスエプロン６７の長手方向の他端側と、壁パネル７１ｆとの間には小パネル６５ａが設けられている。小パネル６５ａ、６５ｂは、必要に応じて設けられ、省略可能である。

【0026】

図２は、実施形態に係る浴室ユニットの洗い場床構造を模式的に表す斜視図である。
図３（ａ）及び図３（ｂ）は、実施形態に係る浴室ユニットの洗い場床構造を模式的に表す断面図である。
図２、図３（ａ）及び図３（ｂ）に表したように、洗い場床１０は、床本体１５と、フレーム体３０と、支持体５０と、を備える。床本体１５は、床面材１１と、クッション層１２と、表面材１３とを有する。床面材１１、クッション層１２、及び表面材１３は、いずれも樹脂により形成されている。

【0027】

床本体１５の床面材１１は、フレーム体３０の上に載置され、フレーム体３０に支持される。床面材１１は、周縁部が上側に折り曲げられた浅底の器状（パン状）に形成されている。

【0028】

床面材１１は、熱可塑性発泡樹脂により形成されている。熱可塑性発泡樹脂としては、例えば発泡ポリプロピレン、発泡ポリスチレン、発泡ポリエチレン、発泡ポリウレタンなどが挙げられる。本実施形態では、一例として発泡ポリプロピレンが用いられている。

【0029】

床面材１１には、排水口用の開口部２１が形成されている。開口部２１が設けられた部分は、凹形状に形成されている。また、床面材１１の表面には、開口部２１に向けて下方に傾斜した排水勾配が形成されている。

【0030】

表面材１３は、クッション層１２を介して床面材１１の上に設けられている。クッション層１２は、床面材１１と表面材１３との間に設けられている。クッション層１２の弾力性は、床面材１１及び表面材１３の弾力性よりも高い。クッション層１２には、排水口用の開口部２２が形成されている。

【0031】

クッション層１２は、使用者に床面の柔らかい使用感を与える。クッション層１２の材料としては、例えば発泡ポリウレタン等の軟質素材が用いられている。クッション層１２の硬さ（柔らかさ）を変えることで、床面の硬さ（柔らかさ）の仕様を変更することができる。なお、クッション層１２は必要に応じて設けられ、省略可能である。

【0032】

表面材１３は、床面材１１及びクッション層１２の上面を覆い、床本体１５（洗い場床１０）の表面１５ａを形成する。表面材１３は、床本体１５の表面１５ａに外観意匠性および防水性を与える。

【0033】

表面材１３の材料としては、防水性及び可撓性を有する軟質樹脂シート材が用いられている。表面材１３の表面には、床本体１５の表面１５ａの意匠性や水はけ性を向上させるために、凹凸加工や柄模様を施したりすることも可能である。

【0034】

表面材１３には、排水口用の開口部２３が形成されている。また、表面材１３の表面には、開口部２３に向けて下方に傾斜した排水勾配が形成されている。床面材１１の排水勾配及び表面材１３の排水勾配により、排水口に向けて下方へ傾斜した排水勾配が、床本体１５の表面１５ａに形成される。

【0035】

フレーム体３０は、床本体１５を下方から支持する。フレーム体３０は、金属製の外枠３１と、金属製の格子部３２と、金属製の支持脚３３とを有する。外枠３１及び格子部３２は、例えば鋼材を組み合わせて形成され、樹脂から形成されている床本体１５よりも十分に高い強度を有する。

【0036】

外枠３１は、４本のフレーム３１ａ～３１ｄを有する。４本のフレーム３１ａ～３１ｄは、四角形状に組み合わされ、外枠３１の外形（アウトライン）を形成する。フレーム３１ａとフレーム３１ｂとが平行に延び、フレーム３１ｃとフレーム３１ｄとが平行に延びている。４本のフレーム３１ａ～３１ｄが形成する四角形状領域の面積は、床本体１５が形成する四角形状領域の面積とほぼ同じである。

【0037】

フレーム３１ａ、３１ｂの長さは、フレーム３１ｃ、３１ｄの長さよりも長い。外枠３１は、例えば、上面視において長方形状である。フレーム３１ａ、３１ｂは、第１水平方向ＨＤ１に延びる。フレーム３１ｃ、３１ｄは、第１水平方向ＨＤ１と直交する第２水平方向ＨＤ２に延びる。第１水平方向ＨＤ１は、例えば、長方形状の外枠３１の長手方向であり、第２水平方向ＨＤ２は、例えば、長方形状の外枠３１の短手方向である。第１水平方向ＨＤ１は、換言すれば、洗い場床１０と浴槽６０とが並ぶ方向と直交する方向であり、第２水平方向ＨＤ２は、換言すれば、洗い場床１０と浴槽６０とが並ぶ方向と平行な方向である。

【0038】

格子部３２は、外枠３１の内側を格子状に仕切る。格子部３２は、例えば、床本体１５の外枠３１よりも内側の部分を支持することにより、床本体１５の撓みを抑制する。このように、格子部３２を設けることにより、フレーム体３０によって、より適切に床本体１５を支持することができる。

【0039】

格子部３２は、例えば、複数の第１延在部４１と、複数の第２延在部４２と、を有する。また、格子部３２には、排水口用の開口部３４が形成されたプレートが設けられている。各第１延在部４１は、第１水平方向ＨＤ１に延び、第２水平方向ＨＤ２に並ぶ。各第２延在部４２は、第２水平方向ＨＤ２に延び、第１水平方向ＨＤ１に並ぶ。これにより、格子部３２は、複数の矩形状の隙間が第１水平方向ＨＤ１及び第２水平方向ＨＤ２に並ぶように、外枠３１の内側を仕切る。複数の第１延在部４１の一部の間隔ＰＴ１は、例えば、１４ｃｍ以上である。また、複数の第２延在部４２の一部の間隔ＰＴ２は、例えば、１４ｃｍ以上である。

【0040】

また、複数の第１延在部４１の一部４１ａは、フレーム３１ｃとフレーム３１ｄとの間に設けられる。複数の第１延在部４１の別の一部４１ｂは、第２延在部４２の間に設けられる。このように、延在部は、外枠３１のフレーム間の全体に延びてもよいし、外枠３１のフレーム間の一部分のみに延びてもよい。

【0041】

但し、格子部３２の構成は、上記に限定されるものではない。格子部３２は、例えば、複数の第１延在部４１のみを有する構成でもよいし、複数の第２延在部４２のみを有する構成でもよい。また、複数の延在部の延びる方向は、第１水平方向ＨＤ１及び第２水平方向ＨＤ２と異なる方向でもよい。格子部３２の構成は、外枠３１の内側を格子状に仕切り、床本体１５を適切に支持することができる任意の構成でよい。

【0042】

フレーム体３０は、例えば、長方形状の外枠３１の四隅に対応して設けられた４本の支持脚３３を有する。各支持脚３３は、格子部３２の下面に設けられている。各支持脚３３は、格子部３２の下面から下方（設置面側）に向かって延びている。各支持脚３３は、外枠３１の下面に設けてもよい。

【0043】

フレーム体３０は、各支持脚３３を介して設置面１００の上に設置される。各支持脚３３の先端側（下端側）にはボルト部が設けられ、そのボルト部を回転させることで各支持脚３３の高さが調整可能となっている。各支持脚３３の高さ調整により、フレーム体３０の上に支持される床本体１５の設置高さや水平度が調整される。

【0044】

支持体５０は、床本体１５の下方かつフレーム体３０の上方に、床本体１５及びフレーム体３０に対して直接的に固定されることなく設置される。換言すれば、支持体５０は、床本体１５とフレーム体３０との間に設けられる。支持体５０は、床本体１５を下方から支持し、格子部３２の格子間の隙間における床本体１５の沈み込みを抑制する。なお、本発明において、支持体５０が床本体１５又はフレーム体３０に対して「直接的に固定されている」とは、支持体５０が床本体１５又はフレーム体３０に螺子止め固定されていたり、接着剤等で接着固定されていること等である。一方で、本発明において、支持体５０が床本体１５又はフレーム体３０に対して「直接的に固定されていない」とは、支持体５０が床本体１５又はフレーム体３０に対して「間接的にのみ固定されている」ものも定義に含まれる。例えば、支持体５０が、床本体１５又はフレーム体３０に嵌合しているものも、定義に含まれる。

【0045】

支持体５０は、例えば、本体部５２と、沈み込み抑制部５４と、を有する。本体部５２は、床本体１５の下方かつフレーム体３０の上方に設置され、床本体１５を支持する。本体部５２の平面形状（上から見た形状）は、フレーム体３０の平面形状に対応する。本体部５２の平面形状は、例えば、フレーム体３０の平面形状と実質的に同じである。本体部５２の平面形状は、例えば、フレーム体３０の平面形状に対応した長方形状である。本体部５２は、例えば、フレーム体３０の平面形状に対応した略長方形の平板状である。

【0046】

なお、本体部５２の構成は、平板状に限ることなく、例えば、フレーム体３０のような格子状の構成などとしてもよい。但し、本体部５２を格子状とする場合には、格子の間隔を１０ｃｍ以下とすることが好ましい。これにより、二足歩行可能な年齢以上の人の足のサイズよりも格子の間隔を小さくすることができる。従って、洗い場床１０上に人が立って荷重がかかっても、足の裏からの荷重をフレーム体３０及び支持体５０で受けることができ、大きく撓まないようにすることができる。ここで、格子の間隔とは、格子の間に空く隙間内に収まることが可能な円の最大直径を表す。

【0047】

格子の間隔は、子供の足のサイズを鑑みると、７ｃｍ以下がより好ましい。但し、洗い場床１０では、支持体５０を設けることにより、格子の間隔を７ｃｍ～１０ｃｍの範囲に設定したとしても、比較的体重の軽い７ｃｍ程度の足のサイズの子供の荷重によって、床面材１１が大きく沈み込んでしまうことを抑制することができる。

【0048】

支持体５０の厚さｔ１は、床本体１５の厚さｔ２よりも小さい（図３（ａ）参照）。より詳しくは、本体部５２の厚さｔ１は、床本体１５の厚さｔ２よりも小さい。例えば、本体部５２の厚さｔ１は、排水勾配を有する床本体１５の最小の厚さｔ２よりも小さい。本体部５２は、床面材１１よりも高い剛性を有する。本体部５２には、例えば、アルミニウム、ステンレス、鉄などの金属材料、あるいはＦＲＰなどの硬質な樹脂材料などが用いられる。これにより、本体部５２は、床面材１１の沈み込みを抑制する。

【0049】

本体部５２は、排水用の開口部５６を有する。フレーム体３０、支持体５０、床面材１１、クッション層１２および表面材１３は、それぞれの開口部２１、２２、２３、３４、５６の位置を合わせて重ねられる。各開口部２１、２２、２３、３４、５６の内側には、排水ピットが設けられる。排水ピットは、樹脂により形成され、非透水性を有する。排水ピットの内側には、排水口が設けられる。この排水口は、排水配管６２と接続される。これにより、床本体１５（洗い場床１０）の表面１５ａに流れた水が、排水ピットなどを介して排水配管６２に排水される。

【0050】

沈み込み抑制部５４は、本体部５２の中央部分の沈み込みを抑制する。支持体５０は、例えば、長方形状の本体部５２の長手方向の両端に設けられた一対の沈み込み抑制部５４を有する。換言すれば、各沈み込み抑制部５４は、本体部５２の第１水平方向ＨＤ１の両端に設けられている。各沈み込み抑制部５４は、フレーム体３０との係合によって、本体部５２の水平方向（第１水平方向ＨＤ１）への移動を規制することにより、本体部５２の中央部分の沈み込みを抑制する。

【0051】

一方の沈み込み抑制部５４は、本体部５２の一端から下方に向かって延び、外枠３１のフレーム３１ｃの外側端に係合する。他方の沈み込み抑制部５４は、本体部５２の他端から下方に向かって延び、外枠３１のフレーム３１ｄの外側端に係合する。これにより、図３（ｂ）に表したように、洗い場床１０に人が載った際の荷重などで本体部５２が下方に沈み込もうとした際に、各沈み込み抑制部５４とフレーム３１ｃ、３１ｄとの係合によって本体部５２が張った状態（本体部５２の両端が水平方向に引っ張られた状態）となる。これにより、各沈み込み抑制部５４とフレーム体３０との係合によって、本体部５２の中央部分の沈み込みを抑制することができる。

【0052】

このように、支持体５０は、ネジ止めや接着などによって直接的に床本体１５及びフレーム体３０に固定されるものではない。直接的に固定されていない状態とは、例えば、工具などを用いることなく、床本体１５及びフレーム体３０に対して容易に着脱できる状態である。例えば、支持体５０は、フレーム体３０の上に載っているだけの状態であり、床本体１５は、支持体５０の上に載っているだけの状態である。支持体５０は、床本体１５及びフレーム体３０に対して着脱可能である。

【0053】

但し、支持体５０は、浴室ユニット２を組み上げた状態においては、例えば、床面材１１及び床本体１５の排水口に設けられた締付フランジ（排水ピットと排水配管６２との接続部材）などを介して間接的に床本体１５又はフレーム体３０に固定されている可能性はある。支持体５０は、少なくとも床本体１５及びフレーム体３０の施工の段階においては、床本体１５及びフレーム体３０に対して固定されることなく着脱可能である。

【0054】

各沈み込み抑制部５４は、本体部５２と一体に設けられる。各沈み込み抑制部５４は、例えば、本体部５２と一体成形によって形成される。各沈み込み抑制部５４は、本体部５２と別の部材とし、ネジ止めや接着などで本体部５２に固定してもよい。

【0055】

以上、説明したように、本実施形態にかかる洗い場床１０（浴室洗い場床構造）によれば、床本体１５の下方かつフレーム体３０の上方に支持体５０を設けたことにより、格子部３２の格子間隔の広いフレーム体３０の上方に、熱可塑性発泡樹脂により形成された床面材１１を配置した際にも、人が洗い場床１０に載った際の荷重によって、格子間の隙間で大きく床面材１１が沈み込んでしまうことを抑制することができる。

【0056】

また、間隔の狭い格子部３２などをフレーム体３０に設ける必要が無く、フレーム体３０の下方の視認性を確保し、かつ支持脚３３の調整などをし易くすることができる。例えば、上記のように、複数の第１延在部４１の一部の間隔ＰＴ１、及び複数の第２延在部４２の一部の間隔ＰＴ２を、１４ｃｍ以上にすることができる。これにより、施工者の腕などをフレーム体３０の下方に入れ易くし、施工性をより向上させることができる。

【0057】

従って、格子間の隙間に大きく床面材１１が沈み込んでしまうことで歩き心地が悪くなる問題や、洗い場床１０に必要な排水勾配が適切に維持できないといった問題を解決しつつ、施工性を向上させることができる。また、床面材１１の沈み込みを抑制する支持体５０が、床本体１５及びフレーム体３０に対して直接的に固定されることなく設置されているため、施工時には、床本体１５と支持体５０を別々に持ち上げて作業することができ、施工性をより向上させることができる。

【0058】

また、洗い場床１０では、支持体５０の厚さｔ１が、床本体１５の厚さｔ２よりも小さい。これにより、支持体５０の存在によって必要以上に洗い場床１０の床面が高くなってしまうことを抑制することができ、より制約が少ない状態で浴室ユニット２を設置することができる。

【0059】

支持体５０を床本体１５及びフレーム体３０に対して直接的に固定することなく設置すると、人が洗い場床１０に載った際の荷重などによって、薄い支持体５０が撓んでしまい、沈み込んでしまう可能性がある。これに対して、洗い場床１０では、支持体５０自体の沈み込みを沈み込み抑制部５４によって抑制することができるため、格子間の隙間で大きく床面材１１が沈み込んでしまうことを、より確実に抑制することができる。

【0060】

また、洗い場床１０では、沈み込み抑制部５４が、床本体１５及びフレーム体３０の少なくとも一方との係合によって、本体部５２の水平方向への移動を規制することにより、本体部５２の中央部分の沈み込みを抑制する。これにより、支持体５０自体の沈み込みをより抑制できるため、格子間の隙間で大きく床面材１１が沈み込んでしまうことを、より確実に抑制することができる。

【0061】

図４は、実施形態に係る浴室ユニットの洗い場床構造の変形例を模式的に表す断面図である。
なお、上記実施形態と機能・構成上実質的に同じものについては、同符号を付し、詳細な説明は省略する。
図４に表したように、洗い場床１０ａでは、沈み込み抑制部５４が、上方に向かって延び、床本体１５と係合することによって、本体部５２の沈み込みを抑制する。このように、沈み込み抑制部５４は、床本体１５及びフレーム体３０の少なくとも一方と係合する構成でよい。

【0062】

床本体１５及びフレーム体３０の少なくとも一方との係合によって本体部５２の沈み込みを抑制する沈み込み抑制部５４は、例えば、床本体１５及びフレーム体３０の少なくとも一方の中央領域よりも外側に位置している端部領域に複数個所設けられる。中央領域とは、例えば、床本体１５又はフレーム体３０の対角線の交点から半径３００ｍｍ以内の領域である。

【0063】

なお、沈み込み抑制部５４の構成は、上記に限定されるものではない。沈み込み抑制部５４は、例えば、本体部５２を横切るように水平方向に延び、本体部５２を補強することによって本体部５２の沈み込みを抑制する棒状（フレーム状）の構成などでもよい。このように、沈み込み抑制部５４の構成は、係合によって本体部５２の沈み込みを抑制する構成に限ることなく、本体部５２の沈み込みを適切に抑制することができる任意の構成でよい。また、本体部５２が十分な強度を有する場合には、沈み込み抑制部５４を省略してもよい。沈み込み抑制部５４は、必要に応じて設けられ、省略可能である。

【0064】

本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。

【符号の説明】

【0065】

２ 浴室ユニット、 １０、１０ａ 洗い場床、 １１ 床面材、 １２ クッション層、 １３ 表面材、 １５ 床本体、 １５ａ 表面、 ２１ 開口部、 ２２ 開口部、 ２３ 開口部、 ３０ フレーム体、 ３１ 外枠、 ３１ａ～３１ｄ フレーム、 ３２ 格子部、 ３３ 支持脚、 ３４ 開口部、 ４１ 第１延在部、 ４２ 第２延在部、 ５０ 支持体、 ５２ 本体部、 ５４ 沈み込み抑制部、 ５６ 開口部、 ６０ 浴槽、 ６１ 支持脚、 ６２ 排水配管、 ６３ 蓋、 ６５ａ 小パネル、 ６５ｂ 小パネル、 ６７ バスエプロン、 ７１ａ～７１ｆ 壁パネル、 １００ 設置面

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】