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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-05
(45)【発行日】2022-08-16
(54)【発明の名称】高温処理装置における遮温構造
(51)【国際特許分類】
   B01D 11/02 20060101AFI20220808BHJP
   A47J 31/44 20060101ALI20220808BHJP
   B01J 19/00 20060101ALI20220808BHJP
   F16L 59/06 20060101ALI20220808BHJP
【FI】
B01D11/02 Z
A47J31/44 100
B01J19/00 301Z
F16L59/06
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019183120
(22)【出願日】2019-10-03
(65)【公開番号】P2021058820
(43)【公開日】2021-04-15
【審査請求日】2021-04-22
(73)【特許権者】
【識別番号】595012121
【氏名又は名称】株式会社加藤製缶鉄工所
(74)【代理人】
【識別番号】100086438
【弁理士】
【氏名又は名称】東山 喬彦
(74)【代理人】
【識別番号】100217168
【弁理士】
【氏名又は名称】東山 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】加藤 勉
【審査官】谷本 怜美
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第204074057(CN,U)
【文献】特開2002-219425(JP,A)
【文献】特開昭55-068254(JP,A)
【文献】特開昭62-282634(JP,A)
【文献】米国特許第04540467(US,A)
【文献】中国実用新案第209451842(CN,U)
【文献】特開昭53-048081(JP,A)
【文献】国際公開第2013/143547(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 11/00
B01J 19/00
A47J 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
密閉可能な容器本体を具え、この容器本体内を、液体と気体とのいずれか一方または双方の作動媒体により高温状態とし、容器本体内に収容した被処理材料に対し、所望の処理を施す高温処理装置において、
前記容器本体は、その外周面が断熱間隙を保った状態で外フレームにより覆われ、
且つ前記高温処理装置には、このものを設置面に据え付けるための支脚部材が設けられ、この支脚部材は、容器本体ではなく、外フレームから外周側に張り出すように設けられ
更に前記高温処理装置は、容器本体の底部が設置面を突き抜けたような、埋め込み吊り下げ状態に設置されるものであり、且つ前記支脚部材は、設置面に対する当たり面が、高温処理装置の高さ方向中間位置となるように設けられ、なお且つ前記外フレームの下端は、設置面スラブよりも下方の範囲まで形成されていることを特徴とする 高温処理装置における遮温構造。

【請求項2】
前記容器本体は、底部に開閉蓋を具えるものであり、且つ前記高温処理装置は、当該開閉蓋のシフト装置を支持するブラケットを具え、当該ブラケットが容器本体でなく外フレームに固定支持される構成であることを特徴とする請求項記載の高温処理装置における遮温構造。

【請求項3】
前記容器本体には、外フレームを貫通し、容器本体内部を外部と連通させる外部延長部材が設けられ、この貫通部分では、外フレームに、外部延長部材の外形形状より大きい歪み逃げ間隙を有する受入開口が形成され、且つ外部延長部材を周囲から密に囲むマウスリングが設けられる構成であることを特徴とする請求項1または2記載の高温処理装置における遮温構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば工場レベルでの飲料抽出装置等を構成する高温処理装置に関するものであって、特に外部への断熱を図る遮温構造に係るものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、食品、飲料等のプラントでは、材料(被処理材料)の加熱処理等のため、高温状態とされる容器を主要構成とした高温処理装置が広く用いられている(例えば特許文献1参照)。
これらの装置は、作業環境を安全なものとするため、高温になる装置表面等には断熱材を貼り、これら高温部材を気にすることなく、装置至近でも作業者が管理操作に集中できるようにしている。因みに、このような断熱材で被覆することは、装置内部の保温状態を高め、熱エネルギーの消費も抑えることとなっている。
【0003】
しかしながら、現状の高温処理装置は、容器本体内の圧力や装置設置時の強度等を考慮して、容器本体を充分な機械強度を持たせて形成し、更に容器本体に支脚部材や補機装置のブラケット等を溶接固定する手法が採られており、この結果、それらの部位では充分な断熱乃至は遮熱構造が採られていない。
具体的には、例えば図5に示すように、容器本体2’を、充分な機械強度を発揮する厚鋼板で構成し、この容器本体2’の側面に数カ所、支脚部材4’を張り出すように設け、その設置当たり面4S’を設置面Sに置くようにして、装置全体を設置面Sに半ば埋め込みながら、設置面Sから吊り下げ状態に設けている。そして、前記断熱材Dは、容器本体2’において設置面Sの上方部位に貼り付けられ、作業の安全性を確保している。
【0004】
しかしながら、このような構成では、支脚部材4’は、高温となる容器本体2’に直接固定されているため、容器本体2’の熱が直に支脚部材4’に伝わり、例えば露出している支脚部材4’は、装置形態によっては、容器本体2’の内部と同程度の140℃ほどの高温となり、作業にあたって作業者Mは、足元に位置する支脚部材4’に充分な注意を払う必要があった。このため現場では、上記図5に示すように、容器本体2’の外周側に張り出す支脚部材4’についても、その周囲を断熱材Dやカバーで覆う等の対策が採られることがあり、このような断熱材Dやカバーが作業者Mの足の置場を狭めることにつながり、作業者Mとしては、一層、足元に注意を払う必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2001-300205号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような背景を認識してなされたものであって、充分な断熱乃至は遮温を図ることのできる高温処理装置における新規な遮温構造の開発を技術課題としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
まず請求項1記載の高温処理装置における遮温構造は、
密閉可能な容器本体を具え、この容器本体内を、液体と気体とのいずれか一方または双方の作動媒体により高温状態とし、容器本体内に収容した被処理材料に対し、所望の処理を施す高温処理装置において、
前記容器本体は、その外周面が断熱間隙を保った状態で外フレームにより覆われ、
且つ前記高温処理装置には、このものを設置面に据え付けるための支脚部材が設けられ、この支脚部材は、容器本体ではなく、外フレームから外周側に張り出すように設けられ
更に前記高温処理装置は、容器本体の底部が設置面を突き抜けたような、埋め込み吊り下げ状態に設置されるものであり、且つ前記支脚部材は、設置面に対する当たり面が、高温処理装置の高さ方向中間位置となるように設けられ、なお且つ前記外フレームの下端は、設置面スラブよりも下方の範囲まで形成されていることを特徴として成るものである。
【0008】
また請求項記載の高温処理装置における遮温構造は、前記請求項記載の要件に加え、
前記容器本体は、底部に開閉蓋を具えるものであり、且つ前記高温処理装置は、当該開閉蓋のシフト装置を支持するブラケットを具え、当該ブラケットが容器本体でなく外フレームに固定支持される構成であることを特徴として成るものである。
【0009】
また請求項記載の高温処理装置における遮温構造は、前記請求項1または2記載の要件に加え、
前記容器本体には、外フレームを貫通し、容器本体内部を外部と連通させる外部延長部材が設けられ、この貫通部分では、外フレームに、外部延長部材の外形形状より大きい歪み逃げ間隙を有する受入開口が形成され、且つ外部延長部材を周囲から密に囲むマウスリングが設けられる構成であることを特徴として成るものである。
【発明の効果】
【0010】
これら各請求項記載の発明の構成を手段として前記課題の解決が図られる。
まず請求項1記載の発明によれば、高温となる容器本体を被覆するように、断熱間隙を保って外フレームが設けられ、この外フレームに対し、支脚部材が設けられているため、支脚部材には直接、容器本体の熱が伝わることがない。このため、従来のように支脚部材が高温となることによる作業環境の悪化が避けられる。因みに、この構成によって例えば容器本体内が140℃程度になっても、支脚部材は概ね40℃程度に抑えることができ、室温とほぼ変わりないか、わずかに高い程度の温度になることが本出願人によって確認されている。
また本発明によれば、設置面に対し半ば埋め込み状に高温処理装置を設置するため、装置の操作にあたっての要操作箇所が、作業者の手許位置近くとすることができ、操作性に優れた装置が得られる。また、遮温作用(遮熱作用)を奏する外フレームは、設置面より下方まで充分に容器本体を覆う構造であるから、設置面上に位置する部位は、高温になることがない。
【0011】
また請求項記載の発明によれば、容器本体底部に開閉扉が設けられ、そのシフト装置を支持するブラケットも容器本体ではなく、外フレームに取り付けられることから、このブラケットも高温になることがない。
【0012】
また請求項記載の発明によれば、容器本体には、容器本体内を外部(装置外部)と連通させ得る外部延長部材が、外フレームを貫通するように設けられるが、この貫通部分において外部延長部材と外フレームとの間に歪み逃げ間隙(受入開口)が確保され、また外部延長部材の外周側にマウスリングが設けられるため、外部延長部材の位置における効果的な断熱を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係る高温処理装置を示す縦断側面図である。
図2】同上平面図である。
図3】高温処理装置における外フレームと外部延長部材との組立部位における拡大断面図である。
図4】スタンドタイプの高温処理装置を示す縦断側面図である。
図5】従来の高温処理装置を示す縦断側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明を実施するための形態は、以下の実施例に述べるものをその一つとするとともに、更にその技術思想内において改良し得る種々の手法をも含むものである。
なお、説明にあたっては、本発明の遮温構造を適用した高温処理装置1(以下、単に「高温処理装置1」とする)について説明しながら、併せて遮温構造(高温処理装置における遮温構造)について説明する。
【実施例
【0015】
本発明に係る高温処理装置1は、一例として図1に示すように、密閉可能な容器本体2を主要部材とし、その内部に被処理材料を収容し、容器本体内を給湯(熱水)等によって高温状態として、適宜の処理を施すようにした装置であり、例えば当該処理の一つとして供給した熱水(高温水)によって、被処理材料に含まれるエキス分(うま味成分)を抽出する処理が挙げられる。とりわけコーヒー粉や茶葉等を被処理材料とし、ここからコーヒーや茶などを抽出する飲料抽出処理が想定される。
【0016】
もちろん、高温処理装置1は、このような飲料抽出機の他、レトルト加温装置など、タンクたる容器本体2が高温となる種々の処理装置として適用することができる。
また、被処理材料を加温するための作動媒体としては、液体と気体のいずれか一方または双方が想定できる。ここで液体としては高温水(湯)、加圧熱水などが適用可能であり、気体としては、湿り蒸気や乾き蒸気などが適用可能である。
【0017】
また高温処理装置1の構成部材としては、上述した容器本体2の他、容器本体2の外周側にほぼ一定の間隔を維持して設けられる外フレーム3と、高温処理装置1(容器本体2)を設置面(取付面)Sに据え付けるための支脚部材4とを具えて成る(図2参照)。ここで容器本体2と外フレーム3との間に形成される間隙(空間)は、高温状態となる容器本体2の熱が、外フレーム3に伝わるのを防ぐ間隙であることから、ここを断熱間隙3Sとする。
また、本発明においては、上記支脚部材4が、高温となる容器本体2ではなく、このものの外側に断熱間隙3Sを維持して設けられる外殻状の外フレーム3から外周側に張り出すように設けられるものであり、これが大きな特徴の一つである。つまり支脚部材4は、容器本体2ではなく、その外側の外フレーム3に対し、溶接等によって固定設置される。
【0018】
また容器本体2は、底部に開閉蓋21を具えるものであり、特に、本実施例では容器本体2の底部が開閉蓋21として形成され、底部全体が開閉するように形成される。これに因み、高温処理装置1は、当該開閉蓋21のシフト装置22を支持するブラケット5を具えるものであり、本実施例では当該ブラケット5も容器本体2ではなく、外フレーム3に固定支持されている。
【0019】
更に高温処理装置1には、一例として図1図3に示すように、外フレーム3を貫通し、容器本体2の内部を外部と連通させる外部延長部材6が、例えば容器本体2の上部に傾斜状態に設けられる。このため、外フレーム3には、この貫通部分で、外部延長部材6の外形形状より大きい歪み逃げ間隙を有する受入開口31が形成される。また、外部延長部材6の外周には、このものを密に囲むマウスリング32が設けられる。
なお、外部延長部材6の外方先端(突出先端)部にも開閉扉61が設けられているが、これは上記開閉蓋21よりも小さく、主に被処理材料を容器本体内に投入する際に開放されるが、メンテナンス時には、ここから作業者Mが容器本体内に入り込むこともある(いわゆるマンホール)。
【0020】
次に、このような高温処理装置1の基本的な設置態様について説明する。
高温処理装置1は、一例として上記図1に示すように、容器本体2の底部が設置面Sを突き抜けたような、突き刺し状に設置される。このため、設置階が一階であれば、容器本体2の底部は地下空間に突出し、あたかも吊り下げられたような状態で設けられる。これに因み、このような取付状態を、本明細書では、「埋め込み吊り下げ状態」または「埋め込みタイプ」と称することがある。また、このような設置形態であることから、支脚部材4の設置当たり面4S(設置面Sに対する設置当たり面4S)が、高温処理装置1の高さ方向中間位置となるように設けられる。
なお、このような埋め込み吊り下げ状態の設置態様を採るのは、容器本体2が作業者Mの身長よりも高く形成されることが多く、例えば作業者Mが外部延長部材6から被処理材料を投入する作業や、容器本体2の上部から容器本体内を監視する作業等が行い易いようにするためである。
以下、高温処理装置1を構成する各部材について詳細に説明する。
【0021】
まず容器本体2について説明する。
容器本体2は、上述したように被処理材料や高温湯等を受け入れ、実質的な処理空間となる部位であり、一例として図1に示すように、円筒状を成す胴部の上下を偏平ドーム状とした円胴状耐圧容器として形成される。ここで図中符号2B・2U・2Dは、各々、容器本体2の円筒状の胴部、偏平ドーム状の上部、偏平ドーム状の下部を示している。
容器本体2は、加圧圧力(耐圧力)が0.4~0.6MPa、内容積が3.0m3 程度、温度が140~150℃の場合、一例として板厚8mm程度のステンレス鋼板で形成される。
また、本実施例では、容器本体2の下部2D(底部)は、上述したように全体的に下方に開閉する開閉蓋21として形成されている。この開閉蓋21は、処理後の被処理材料(いわゆる材料カス)を取り出す際に開放されるが、容器本体内をメンテナンスする際にも開放され得る。
容器本体2は、上述したように実質的な処理空間となるため、処理中、容器本体自体の温度も140~150℃程度の高温になる。
【0022】
次に、外フレーム3について説明する。
外フレーム3は、上述したように容器本体2の外側から適宜の断熱間隙3Sを保ちながら容器本体2を被覆する外殻状の部材である。この断熱間隙3Sには、断熱性能に優れたロックウール等の断熱材(格別な断熱材)を充填することが好ましいが、空気そのものも断熱作用を有するため、この空気層だけで所望の断熱性能が得られる場合には、断熱間隙3Sに、上記のような断熱材(格別な断熱材)を充填する必要はない。なお、断熱材(格別な断熱材)としては、上述したロックウールの他、グラスウール、発泡性断熱材(パーライト)等が挙げられる。そして、このような外フレーム3によって、高温となる容器本体2の熱が支脚部材4やブラケット5に伝わり難くなるものである。
【0023】
外フレーム3は、容器本体2において設置面Sから上方に突出する部位を覆うのはもちろん、設置面Sより下方まで幾らか回り込むように容器本体2を覆うものである。このため外フレーム3の下端は、設置面スラブを通過して下方の範囲(具体的には、容器本体2の胴部2Bの中間付近)まで至る構成となっている。
このように本実施例では、外フレーム3が、設置面Sの下方まで回り込み、容器本体2を大きく覆う構造であるため、設置面上に位置する支脚部材4やブラケット5等の部材は、より高温(容器本体2と同程度の高温)になりにくいものである。
【0024】
なお、外フレーム3には、支脚部材4やブラケット5が取り付けられることから、外フレーム3は、フレームとしての強度維持のため、一例として板厚6mm程度のステンレス鋼板で形成される。
また高温処理装置1には、上述したように外フレーム3を貫通するように外部延長部材6が設けられる。このため外フレーム3には、一例として図3に示すように、当該貫通部分で、外部延長部材6の外形形状より大きい歪み逃げ間隙を有する受入開口31が形成される。
ここで外部延長部材6は、容器本体2と直接接続されるため、外部延長部材6自体が、高温となって、歪みを生じ得るが、受入開口31によって外部延長部材6が外フレーム3に干渉することがないものである。
【0025】
次に、支脚部材4について説明する。
支脚部材4は、上述したように、容器本体2(高温処理装置1)を設置面Sに設置するための据え付け部材であり(特にここでは、埋め込み吊り下げ状態)、一例として図1に示すように、垂直プレート41の下部に、水平プレート42を接合して断面T字状(逆T字状)を成すように形成し、この水平プレート42の下部フラット面を設置当たり面4Sとして、設置面Sに当接させるものである。なお、このように組み合わせたプレートを外フレーム3に固定するにあたっては、更に円弧状の取付プレート43を介して外フレーム3の側周面に溶接などで張設(固定設置)するものである。
ここで本発明では、支脚部材4が、高温となる容器本体2ではなく、外殻となる外フレーム3から張り出し状に固定設置されており、容器本体2と直接接触しないものである。このため、上述したように支脚部材4は、容器本体2が高温となっても、これと同程度までの高温にはならないものである。具体的には、容器本体2が140~150℃の場合でも、支脚部材4は、40℃程度に抑えられる。因みに、従来の支脚部材4′は、容器本体2とほぼ同じ140~150℃程度の高温になっていた。
【0026】
次に、ブラケット5について説明する。
ブラケット5は、上述したように、開閉蓋21を開閉するシフト装置22を支持するものであり、このブラケット5も、支脚部材4と同様に、外フレーム3に対し溶接等により固定支持される。
ここで容器本体2における開閉蓋21の開閉機構について説明する。
開閉蓋21を開閉するにあたっては、一例として図1に示すように、ピボット状のヒンジ23に対し、側面から視て、ベルクランク状のアーム24を回動自在に支持させ、このアーム24の一端(ヒンジ23の対向側)に前記開閉蓋21を固定するとともに、他端にシフト装置22(例えば油圧シリンダ)の摺動子を接続させる。そして、当該シフト装置22の基部が、上記ブラケット5に対し回動自在に支持される構成となっており、シフト装置22の摺動子を伸長・収縮させることによって、開閉蓋21を開閉自在としている。
【0027】
次いで、ブラケット5の詳細について説明する。
ブラケット5は、一例として図1に示すように、水平プレート51の両端に垂直プレート52を接合し、これら三枚のプレートで断面H字状を成すように接合して成り、更に当該水平プレート51の上部に補強プレート53を立ち上げ状に設け、この水平プレート51の下方にシフト装置22の基部を回動自在に取り付ける。また、垂直プレート52の下端部にも、内向きに補強プレート54を接合するが、この補強プレート54は、シフト装置22に干渉しない程度の長さ(折り返し長さ)とする。そして、このように組み合わせたプレートを、外フレーム3に固定するにあたっては、支脚部材4と同様に、円弧状の取付プレート55を介して、外フレーム3の外周面に溶接などで固定支持するものである。
なお、垂直プレート52の下端部に接合された内向きの補強プレート54は、設置面Sに固定され、上記設置当たり面4Sを構成する。このためブラケット5は、シフト装置22を支持する作用を担うとともに、上記支脚部材4の作用も兼ねている。
因みに、本実施例では、一例として図2に示すように、一基の容器本体2(高温処理装置1)において支脚部材4が二基、ブラケット5が一基設けられているが、ブラケット5を支脚部材4とみれば、計三基の支脚部材4で容器本体2を設置面Sに据え付ける構成となっている。
もちろん、上述したようにブラケット5も、容器本体2が140~150℃程度の高温となっても、支脚部材4と同様に40℃程度に抑えられる。
【0028】
次に、外部延長部材6について説明する。
外部延長部材6は、上述したように外フレーム3を貫通し、容器本体2の内部を外部と連通させる部材であり、その先端部に設けられた開閉扉61を開放して、被処理材料などが容器本体2の内部に投入される。
外部延長部材6を外フレーム3に貫通させる部分では、一例として上記図3に示すように、外部延長部材6の外形形状より大きい歪み逃げ間隙を有する受入開口31が、外フレーム3に形成される。
また、この受入開口31を被覆するように、外部延長部材6を周囲から密に囲むマウスリング32が設けられる。なお、マウスリング32と外部延長部材6との間(間隙)には、シリコン等によるコーキング33が施され、マウスリング32による気密性を向上させている(マウスリング32によって外部延長部材6を、密に取り囲むようにしている)。もちろん、マウスリング32と外部延長部材6との間(間隙)に、パッキンを挟んでマウスリング32を密に設けることも可能であり、この場合には上記のようなコーキング33は必要ない。
【0029】
なお容器本体2には、上述した部材以外にも、高温処理を行うため、または装置を維持するための種々の配管や機器、例えば加圧管、排気管、温水供給管、洗浄管、圧力センサー、監視窓などが適宜設けられる。
【0030】
なお、上述した基本の実施例では、容器本体2(高温処理装置1)を、設置面Sに対し埋め込み吊り下げ状態(埋め込みタイプ)で設置する形態を基本的に説明した。しかしながら、容器本体2は、高温処理装置1(容器本体2)を据え付ける設置面Sに対し、その下部から床面Fに向かって延びる脚体26を設け(少なくとも三本以上)、この複数の脚体26によって高温処理装置1を適宜の高さ(設置面S)に支持するような設置形態も可能である(これをスタンドタイプとする)が、これは本発明に関連する参考形態である
また、このようなスタンドタイプの設置態様は、容器本体2が比較的小さい場合(図1よりも小さい場合)等に採用し易い構造であり、上記図4もそのような対比(サイズ)で容器本体2(高温処理装置1)と作業者Mとを図示している。
【符号の説明】
【0031】
1 高温処理装置
2 容器本体
2B 胴部
2U 上部
2D 下部
3 外フレーム
3S 断熱間隙
4 支脚部材
4S 設置当たり面
5 ブラケット
6 外部延長部材

21 開閉蓋
22 シフト装置
23 ヒンジ
24 アーム
26 脚体

31 受入開口
32 マウスリング
33 コーキング

41 垂直プレート
42 水平プレート
43 取付プレート

51 水平プレート
52 垂直プレート
53 補強プレート
54 補強プレート
55 取付プレート

61 開閉扉

D 断熱材
M 作業者
S 設置面(取付面)
F 床面
図1
図2
図3
図4
図5