(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-05
(45)【発行日】2022-08-16
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20220808BHJP
【FI】
A63F7/02 320
(21)【出願番号】P 2018121144
(22)【出願日】2018-06-26
【審査請求日】2021-06-11
(73)【特許権者】
【識別番号】599104196
【氏名又は名称】株式会社サンセイアールアンドディ
(74)【代理人】
【識別番号】110002158
【氏名又は名称】特許業務法人上野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 葵
【審査官】目黒 光司
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-308722(JP,A)
【文献】特開2001-079199(JP,A)
【文献】特開2003-111927(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示領域を有する表示装置と、
前記表示領域の左右方向における一方側に表示される第一識別図柄、他方側に表示される第二識別図柄、および、当該第一識別図柄と第二識別図柄の間に表示される中識別図柄の組み合わせにより当否判定結果を報知する報知手段と、
前記第一識別図柄の種類が示された後、前記第二識別図柄の種類が前記第一識別図柄と同じとなる
成功結末に至るか同じとはならない失敗結末に至るかを、前記表示領域の中央にて示す図柄演出を実行する演出実行手段と、
を備え
、
前記図柄演出は、前記第一識別図柄の種類が示された後、
前記第二識別図柄となる可能性がある前記第一識別図柄と同種の候補図柄が前記表示領域の左右方向における他方側に表示される第一段階と、
前記第一段階の後、前記候補図柄が前記表示領域の中央に移動する第二段階と、
前記第二段階の後、前記表示領域の中央にて前記候補図柄が前記第二識別図柄として選択されたことが示される前記成功結末に至るか、前記候補図柄が前記第二識別図柄として選択されなかったことが示される前記失敗結末に至る第三段階と、
を経るものであることを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、いわゆる「リーチ」が成立するかどうかを示すテンパイ煽り演出が実行可能な遊技機が記載されている。一般的な「リーチ」は左の図柄と右の図柄が同じ種類の図柄となることにより構築されるため、各図柄が表示される領域で「煽り」が実行される。つまり、先に左の図柄が停止する構成であれば、右の図柄が左の図柄と同じ種類となるかどうかの「煽り」が、表示装置の表示領域の右側で実行される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、当否判定結果を示す識別図柄を分かりやすく示すことが可能な遊技機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためになされた本発明にかかる遊技機は、表示領域を有する表示装置と、前記表示領域の左側に表示される左識別図柄、右側に表示される右識別図柄、および、当該左識別図柄と右識別図柄の間に表示される中識別図柄の組み合わせにより当否判定結果を報知する報知手段と、前記中識別図柄がどのようなものとなるかが示されるよりも前に、前記左識別図柄および右識別図柄の一方である対象識別図柄がどのようなものとなるかを、前記表示領域の中央にて示す図柄演出を実行する演出実行手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明にかかる遊技機によれば、当否判定結果を示す識別図柄を分かりやすく示すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】表示装置(表示領域)に表示された識別図柄および保留図柄を示した図である。
【
図3】図柄演出を説明するための図(その一)である。
【
図4】図柄演出を説明するための図(その二)である。
【
図5】図柄演出を説明するための図(その三)である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明にかかる遊技機1(ぱちんこ遊技機)の一実施形態について図面を参照して詳細に説明する。まず、
図1を参照して遊技機1の全体構成について簡単に説明する。
【0009】
遊技機1は遊技盤90を備える。遊技盤90は、ほぼ正方形の合板により成形されており、発射装置908(発射ハンドル)の操作によって発射された遊技球を遊技領域902に案内する通路を構成するガイドレール903が略円弧形状となるように設けられている。
【0010】
遊技領域902には、表示装置91、始動入賞口904、大入賞口906、アウト口907などが設けられている。かかる表示装置91の表示領域911は、遊技盤90に形成された開口901を通じて視認可能となる領域である。なお、表示領域911の形状等は適宜変更可能である(開口901の形状や大きさ、表示装置91自体の形状や大きさを変更することで表示領域911の形状等を変更することができる)。
【0011】
また、遊技領域902には、流下する遊技球が衝突することにより遊技球の流下態様に変化を与える障害物としての遊技釘が複数設けられている。遊技領域902を流下する遊技球は、遊技釘に衝突したときの条件に応じて様々な態様に変化する。
【0012】
このような遊技機1では、発射装置908を操作することにより遊技領域902に向けて遊技球を発射する。遊技領域902を流下する遊技球が、始動入賞口904や大入賞口906等の入賞口に入賞すると、所定の数の賞球が払出装置により払い出される。
【0013】
大当たりの抽選は、図示されない制御基板に設けられた当否判定手段が始動入賞口904への遊技球の入賞を契機として実行する(このような始動入賞口は複数設けられていてもよい)。具体的には、始動入賞口904への遊技球の入賞を契機として乱数源から数値(当否判定情報)が取得され、当該数値が予め定められた大当たりの数値と同じである場合には大当たりとなり、異なる場合にははずれとなる。本実施形態では、当該数値が取得された順に当否判定結果の報知が開始される(いわゆる変動が開始される)こととなるが、ある数値が取得されたときに、それより前に取得された数値に基づく当否判定結果が報知されている際には、当該ある数値に基づく当否判定結果が開始されるまで、図示されない制御基板に設けられた記憶手段に記憶される。未だ当否判定の報知が開始されていない数値(以下単に保留と称することもある)の最大の記憶数(最大保留数)は適宜設定することができる。本実施形態における記憶手段が記憶できる最大保留数は、一種の始動入賞口904につき四つである。記憶手段に上記数値(当否判定情報)が記憶されていることは、保留図柄80として表示される(
図2参照。
図2以外の図面においては、保留図柄80の図示を省略する)。なお、本実施形態では、当否判定の報知が開始される時点で、取得された数値が大当たりとなる数値か否かが判断されることとなるが、数値が取得されたときに当否判定を行い、当否判定結果自体を記憶させておく構成としてもよい(この場合には当否判定結果自体が、当否判定情報に相当することとなる)。また、取得された数値は、当否判定結果を報知する演出の具体的な内容を決定するための数値としても利用される。
【0014】
なお、遊技機1の枠体、遊技球を貯留する下皿や上皿など、本発明に関係のない遊技機1の構成要素は説明を省略する。これらについては公知の遊技機と同様の構造のものが適用できる。
【0015】
本実施形態では、公知の遊技機と同様に、表示装置91の表示領域911に表示される識別図柄10の組み合わせによって当否判定結果を遊技者に報知する。具体的には、
図2(a)に示すように複数種の候補図柄11を含む候補図柄群11g(左候補図柄群11gL、右候補図柄群11gR、中候補図柄群11gC)が変動を開始し、最終的に
図2(b)に示すように各候補図柄群11gから一の候補図柄11が選択されて停止する(当該選択された一の候補図柄11が識別図柄10であるとする)。大当たりに当選している場合には各候補図柄群11gから選択されて停止した識別図柄10の組み合わせは所定の組み合わせ(例えば、同じ識別図柄10の三つ揃い)となる。はずれである場合にはそれ以外(大当たりとなる組み合わせ以外)の組み合わせとなる。以下の説明においては、当否判定結果を示す三つの識別図柄10(最終的に表示される図柄)について、表示領域911の左側に表示されるものを左識別図柄10Lと、表示領域911の右側に表示されるものを右識別図柄10Rと、表示領域911の中央側(左識別図柄10Lと右識別図柄10Rの間)に表示されるものを中識別図柄10Cと称することもある。左識別図柄10Lは左候補図柄群11gLから選択される図柄であり、右識別図柄10Rは右候補図柄群11gRから選択される図柄であり、中識別図柄10Cは中候補図柄群11gCから選択される図柄である。本実施形態における候補図柄11(一の候補図柄群11gに含まれる図柄)は、数字の「1」~「9」のそれぞれを含む図柄である。なお、各図においては、識別図柄10(候補図柄11)を構成する「数字(文字)」のみを図示するが、当該数字とキャラクタ等が組み合わされた図柄を識別図柄10として設定することができる。また、候補図柄11の種類が増減することがあってもよい。
【0016】
当否判定結果を報知する報知演出(候補図柄群11gの変動開始から変動停止(識別図柄10が示される)までの演出)を構成するものとして、種々の演出が実行される。本実施形態では、当該演出の一種として、図柄演出(
図3~
図5参照)を実行することが可能である。以下、当該図柄演出について詳細に説明する。
【0017】
図柄演出は、いわゆる「リーチ」態様が構築されるかどうかを示す演出である。リーチ態様が構築されるかどうかの「煽り」演出であるともいえる。図柄演出は、各候補図柄群11gが変動した状態(
図3(a)参照)から、左候補図柄群11gLの変動が停止(以下、単に「停止」というときには、完全に停止していないものの遊技者には停止しているように見える「擬似停止」(例えば、わずかに揺れている状態)を含むものとする)し、左識別図柄10Lが示された(
図3(b)参照)後開始される。左候補図柄群11gLのうちから選択された左識別図柄10Lが示された状態(以下、図柄演出前に示された状態にある当該左識別図柄10Lを選択済識別図柄101と称することもある)にて、リーチ態様が構築されるかどうかの図柄演出が発生することがある。以下の説明においては、選択済識別図柄101として「3」の左識別図柄10Lが示されたものとする。
【0018】
リーチ態様は、左識別図柄10Lと右識別図柄10Rが同じ種類の図柄となるものである。したがって、図柄演出は、右識別図柄10Rが、左識別図柄10Lとして示された選択済識別図柄101と同じ種類の図柄となるかどうかの演出である。図柄演出において右識別図柄10Rとして最終的に示される図柄を対象識別図柄102とすると、選択済識別図柄101と対象識別図柄102とが同じ種類の図柄となってリーチ態様が成立するか、異なる種類の図柄となってリーチ態様が成立しないかのいずれかの結末に至ることになる。
【0019】
図柄演出が開始された時点においては、選択済識別図柄101(左識別図柄10L)が表示領域911の左側(本実施形態では左上)に、右候補図柄群11gRが変動した状態にある(
図3(c)参照)。なお、中候補図柄群11gCは変動した状態にあることが表示されるようにしてもよいし、図柄演出が終了するまで表示されないようにしてもよい。右候補図柄群11gRは、表示領域911の右側に表示されている。つまり、図柄演出が開始された時点においては、右候補図柄群11gRは表示領域911の右側に表示された状態にある(以下、当該状態を第一状態と称することもある)から、それを見た遊技者は当該右候補図柄群11gRのうちのいずれかの候補図柄11が将来的に右識別図柄10Rとなるものであることを認識することが可能である。本実施形態における第一状態では、表示領域911の右上において、右候補図柄群11gRに含まれる各候補図柄11が一回転する度にその種類が変化するように変動表示されている(
図3(c)参照)。
【0020】
図柄演出は、第一状態から中継状態を経て第二状態に推移する。中継状態は、対象識別図柄102となるかもしれない候補図柄11Xが、表示領域911の右側から中央に向かって移動するような映像が表示される状態である。つまり、本実施形態では、選択済識別図柄101と同種の図柄である「3」の候補図柄11Xが表示領域911の右側から中央に向かって移動するような表示がなされる。これに加え、本実施形態では、当該候補図柄11Xは、表示領域911の右側から中央に向かって移動するにつれて次第に大きくなるように変化する(
図4(a)~(c)参照)。
【0021】
このような中継状態を経て第二状態に推移する。第二状態は、表示領域911の中央に向かって移動した候補図柄11X(選択済識別図柄101と同種のもの)が、そのまま対象識別図柄102として示されるかどうかの「煽り」が発生する状態である。つまり、リーチ態様が成立するかどうかの最終的な結末が示される状態といえる。リーチ態様が成立する結末を成功結末と、リーチ態様が成立しない結末を失敗結末とすれば、成功結末は当否判定結果が大当たりとなる可能性が残るものであるから、失敗結末に比して遊技者にとって有利な結末であるといえる。第二状態においては、表示領域911の中央まで移動してきた選択済識別図柄101と同種の候補図柄11X(「3」の図柄)がそのまま選択されるのではないかというような「煽る」表示がなされる(
図5(a)参照)。成功結末となる場合には当該候補図柄11Xが選択される。すなわち当該候補図柄11Xが対象識別図柄102として示されてリーチ態様が成立することになる(
図5(b-1)参照)。一方、失敗結末となる場合には、当該候補図柄11X以外の図柄(「3」以外の数字を含む候補図柄11)が対象識別図柄102として示されてリーチ態様不成立となる(
図5(b-2)参照)。本実施形態では、失敗結末となる場合には、変動順で次の候補図柄11が対象識別図柄102として示される。変動順が「数字順」である場合には、「3」の次である「4」の候補図柄11が対象識別図柄102として示される。
【0022】
図柄演出が成功結末となった場合、すなわちリーチ態様が成立した場合には、当否判定結果が大当たりとなる可能性は残っているのであるから、その後のリーチ演出(例えば、いわゆるスーパーリーチ演出)(
図5(c-1)参照)が実行されて、最終的な当否判定結果が示される。すなわち、中識別図柄10Cが、リーチ態様を構成する左識別図柄10Lおよび右識別図柄10Rと同じ種類の図柄となるかどうかの演出が進行する。一方、本実施形態では、失敗結末となった場合には、当否判定結果がはずれであることが確定する。つまり、はずれを示す識別図柄10の組み合わせが表示される(
図5(c-2)参照)。なお、図柄演出後の演出の進行(展開)は、これに限られずどのようなものであってもよい。
【0023】
このように、本実施形態における図柄演出では、対象識別図柄102(右候補図柄群11gRから選択される図柄)がどのようなものとなるかが、(表示領域911の右側で示されるのではなく)表示領域911の中央(中央寄りの位置)で示されるため、リーチ態様が成立したかどうかが分かりやすい。
【0024】
また、本実施形態における図柄演出は、対象識別図柄102となりうる候補図柄11Xが、表示領域911の右側から表示領域911の中央に向かって移動するような映像が表示される状態(中継状態)を含む。上述した通り本実施形態では、第二状態にて対象識別図柄102がどのようなものとなるかが表示領域911の中央で示されることになるところ、このような状況は対象識別図柄102(対象識別図柄102となりうる候補図柄11X)が中識別図柄10Cではないか、または、対象識別図柄102が最後に選択される図柄であって最終的な当否を決める図柄(図柄演出が、最終的な当否を報知する演出(いわゆるスーパーリーチ演出))ではないかと遊技者が勘違いしてしまうおそれがある。そこで、本実施形態では、第一状態から第二状態の間に上記のような映像が表示される中継状態を介在させることで、表示領域911の中央で示される対象識別図柄102があくまで「右識別図柄10R」であり、図柄演出がリーチ態様の成立の有無を示す演出であることを明確にしている(上記のような勘違いがおきないようにしている)。
【0025】
以下、上記実施形態にかかる遊技機1を改良、変形、具体化等した具体例について説明する。なお、以下の具体例を用いて説明する技術的事項を複数組み合わせて適用した構成としてもよい。
【0026】
○第一具体例
上記実施形態における図柄演出は、対象識別図柄102が右識別図柄10Rであり、選択済識別図柄101が左識別図柄10Lであることを説明したが、対象識別図柄102が左識別図柄10Lであり、選択済識別図柄101が右識別図柄10Rである構成としてもよい。つまり、図柄演出は、本来であれば表示領域911の左側や右側で表示されるべき図柄を中央で表示するというものであるから、対象識別図柄102は右識別図柄10Rであってもよいし、左識別図柄10Lであってもよい。つまり、左識別図柄10Lと右識別図柄10Rが同じ種類のものとなることがリーチ態様として設定されているものである場合、リーチ態様を構成する一方の図柄が対象識別図柄102であり、他方の図柄が選択済識別図柄101であればよい。
【0027】
○第一具体例
上記実施形態における図柄演出の中継状態では、選択済識別図柄101と同種の候補図柄11Xが表示領域911の右側から中央に向かって移動するような表示がなされることを説明した。つまり、仮に左識別図柄10Lとして「3」の図柄が示されたのであれば、右識別図柄10Rとなるかもしれない候補図柄11Xとして「3」の図柄が中央に向かって移動するような表示がなされることを説明したが、当該中央に向かって移動するような表示がなされる対象は「変動する図柄群」であってもよい。つまり、右候補図柄群11gRが変動表示(例えば、一回転する度にその種類が変化するような表示)されながら中央に向かって移動するような表示がなされてもよい(
図6(a)~(c)参照)。このように、本願発明における「対象識別図柄102となるかもしれない候補図柄」は、選択済識別図柄101と同じ一種類の図柄であってもよいし、選択済識別図柄101と同じ種類の図柄を含む図柄群であってもよい(選択済識別図柄101が左識別図柄10Lであるのであれば、「対象識別図柄102となるかもしれない候補図柄」は右候補図柄群11gRであってもよい)。
【0028】
このような構成とする場合、図柄演出の第二状態を、表示領域911の中央で右候補図柄群11gRに含まれる複数の図柄が切り替えられていくような表示がなされる演出とすることができる。例えば、右候補図柄群11gRに含まれる複数の図柄が順に送られていくような表示(
図6(d)(e)参照)を行い、最終的に選択済識別図柄101と同種の図柄が右識別図柄10Rとして選択されるかどうかの「煽り」(
図6(f)参照)が発生し、選択されることが成功結末と、選択されないことが失敗結末となる態様とすることができる。
【0029】
○第三具体例
図柄演出が成功結末となった場合、当否判定結果が大当たりとなることが確定するものとする。当否判定結果は、基本的には最終的に示される識別図柄10の組み合わせにより報知されるものであるが、図柄演出によりリーチ態様が構築された時点で、当否判定結果が大当たりとなることが確定するものとする。図柄演出の成功結末がいわゆるプレミア演出として設定されているともいえる。このような構成の場合、図柄演出の結末(リーチ態様が構築されるか否か)が遊技者にとって極めて重要なものとなるため、対象識別図柄102がどのようなものとなるかが、表示領域911の中央で示されるようにすることが好ましいといえる。
【0030】
リーチ態様を構築する左識別図柄10Lおよび右識別図柄10Rが所定の種類のものとなった場合に限り、リーチ態様の成立が大当たり確定となる設定としてもよい。例えば、左識別図柄10Lおよび右識別図柄10Rが「7」であるリーチ態様が成立した場合に大当たり確定となる設定とする。このような場合において、「7」のリーチ態様が成立するかどうかを示すために、図柄演出が発生しうるものとする。つまり、図柄演出は、リーチ態様を構築する左識別図柄10Lおよび右識別図柄10Rの種類が大当たり確定となるものである場合に限り発生するようにしてもよい。
【0031】
特定の遊技状態にあるときにおいて、リーチ態様を構築する左識別図柄10Lおよび右識別図柄10Rが所定の種類のものとなった場合に限り、リーチ態様の成立が大当たり確定となる設定としてもよい。例えば、当否判定抽選の確率が相対的に低い低確率遊技状態(通常遊技状態)と、相対的に高い高確率遊技状態(確率変動状態)が設定されている遊技機において、確率変動状態においては左識別図柄10Lおよび右識別図柄10Rが「7」であるリーチ態様が成立した場合に確率変動大当たり確定となる(低確率遊技状態においては大当たり確定とはならない)設定とする。このような設定とすれば、遊技状態が高確率遊技状態であり、リーチ態様を構築するかもしれない識別図柄10が「7」の図柄であるときに限り、図柄演出により当該リーチ態様が構築されるかどうかが示される。
【0032】
○第四具体例
中継状態において表示領域911に表示される画像(映像)の態様が、図柄演出毎に変化しうるものとする。例えば、対象識別図柄102となりうる候補図柄11Xが表示領域911の右側から中央に向かう経路が異なる複数種の態様が設定されているものとする(
図7参照)。このような場合において、中継状態においていずれの態様の映像が表示されるかに応じて、図柄演出が成功結末となる(遊技者に有利な結末となる)蓋然性が異なるものとする。このように、対象識別図柄102が中識別図柄10Cであると遊技者が勘違いしてしまうことを防止するための中継状態にて表示される映像を、遊技者に有利な結末となることの示唆にも利用することが可能である。中継状態において表示される画像(映像)の態様を異ならせる手法は種々考えられる。対象識別図柄102となりうる候補図柄11Xが次第に大きくなる速度が異なる、といったように図柄を用いて態様を異ならせる手法だけでなく、図柄の背景として表示される画像の態様が異なる、といったように図柄以外の要素を用いて態様を異ならせる手法が考えられる。
【0033】
○第五具体例
図柄演出の第二状態においては、選択済識別図柄101と同種の候補図柄11Xがそのまま対象識別図柄102として選択されるのではないかというような「煽る」表示がなされる。このとき(「煽り」が発生しているとき)の候補図柄11Xの態様が、図柄演出毎に変化しうるものとする。例えば、第二状態にて表示される候補図柄11Xの大きさが相対的に大きい第一態様(
図8(a)参照)と相対的に小さい第二態様(
図8(b)参照)が設定されているものとする。第一態様と第二態様の一方である場合よりも、他方である場合の方が、図柄演出が成功結末となる(遊技者に有利な結末となる)蓋然性が高くなる設定とするとよい。候補図柄11Xの大きさが大きい方が小さいよりも当該図柄が選ばれやすいという印象を遊技者は受けるであろうから、
図8に示すように候補図柄11Xの大きさが大きいほど成功結末となる蓋然性が高くなるような設定とした方がより分かりやすい演出になるといえる。
【0034】
このような場合には、第二状態に至るまでの中継状態において表示される映像の態様を異ならせる。第一態様と第二態様とでは、対象識別図柄102となりうる候補図柄11Xの大きさが異なるのであるから、それに至るまでの映像を異ならせることにより、第一状態から中継状態を経て第二状態に至るまでの流れを自然なものとする。図示しないが、例えば、第一態様の第二状態に移行する場合には中継状態にて表示領域911の右側から中央に向かう候補図柄11Xの大きさが次第に大きくなり、第一態様の第二状態に移行する場合には中継状態にて表示領域911の右側から中央に向かう候補図柄11Xの大きさは変化しない(または第一態様の第二状態に移行する場合に比して変化量が小さい)ものとする。このように、第二状態の態様として複数種の態様が設定されている場合には、各態様に合わせた中継状態の態様(映像)を用意しておくことで、図柄演出の流れを自然なものとすることが可能である。
【0035】
○第六具体例
上記実施形態における図柄演出は、対象識別図柄102が選択済識別図柄101と同種のものとなるかどうか、すなわちリーチの成立の有無を示す演出であることを説明したが、左候補図柄群11gLまたは右候補図柄群11gRから選択される図柄が対象識別図柄102として設定されたものであれば、リーチの成立の有無を示す演出以外の演出に適用することも可能である。その一例としては次のような構成が考えられる。
【0036】
左識別図柄10Lまたは右識別図柄10Rとして複数種の候補図柄11のうちのいずれかである特定図柄(例えば、「7」の図柄)が示されたときには遊技者に有利な事象が発生する設定とする。例えば、右識別図柄10Rとして「7」の図柄が示されたときには、遊技者に有利な事象として連続演出(公知の擬似連続演出や先読み連続演出が例示できる。これら連続演出自体は周知であるため説明を省略する)が発生し、いわゆる大当たり信頼度が高まったことが示唆されるものとする。このような場合において、右識別図柄10Rとして「7」の候補図柄11が選択されるかどうかが上記図柄演出を経て示されるものとする。
【0037】
また、左から「1・2・3」、「2・3・4」・・・というような順目で識別図柄10が並んだものがいわゆる「チャンス目」として設定されている構成において、当該チャンス目成立の可能性が発生するかどうかが図柄演出により示されるものとする。例えば、左識別図柄10L(選択済識別図柄101)として「3」が選択されたときには、右識別図柄10R(対象識別図柄102)として「5」が選択されるかどうかが図柄演出を経て示されるものとする。「5」が選択されるという結末(成功結末)に至った場合には、「3・4・5」のチャンス目成立の可能性があるため、遊技者に有利な事象の発生であるといえる。
【0038】
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【0039】
上記実施形態から得られる具体的手段(遊技機)を以下に列挙する。
【0040】
・手段1
表示領域を有する表示装置と、前記表示領域の左側に表示される左識別図柄、右側に表示される右識別図柄、および、当該左識別図柄と右識別図柄の間に表示される中識別図柄の組み合わせにより当否判定結果を報知する報知手段と、前記左識別図柄および右識別図柄の一方である対象識別図柄がどのようなものとなるかを、前記表示領域の中央にて示す図柄演出を実行する演出実行手段と、を備えることを特徴とする遊技機。
上記遊技機によれば、図柄演出は、対象識別図柄がどのようなものとなるかが、表示領域の左側や右側で示されるのではなく、表示領域の中央で示されるため、リーチ態様が成立したかどうかが分かりやすい。
【0041】
・手段2
前記図柄演出は、前記対象識別図柄となりうる候補図柄が前記表示領域の左側または右側に表示された状態から、前記表示領域の中央に向かって移動する態様を含むことを特徴とする手段1に記載の遊技機。
このように候補図柄が表示領域の左側から右側に移動する態様が表示されるようにすることで、対象識別図柄となりうる候補図柄が中識別図柄なのではないかと勘違いしてしまうおそれを低減することが可能である。
【0042】
・手段3
前記図柄演出は、前記中識別図柄がどのようなものとなるか示されていない状態において、前記左識別図柄および右識別図柄の一方である対象識別図柄が、前記左識別図柄および右識別図柄の他方として既に示された状態にある選択済識別図柄と同じ種類の図柄となるリーチ態様が構築されるかどうかを示す演出であることを特徴とする手段1または手段2に記載の遊技機。
このように、リーチ態様が構築されるかどうかの演出効果を高める「煽り」として、図柄演出を利用することが可能である。
【0043】
・手段4
前記図柄演出は、前記リーチ態様を構築する前記対象識別図柄と前記選択済識別図柄が所定の種類のものとなるかどうかを示す演出であって、当該リーチ態様が構築されたときには当否判定結果が当たりとなることが確定することを特徴とする手段3に記載の遊技機。
リーチ態様が構築されたときに当たり確定となるケースはリーチ態様が構築されるかどうかがカギとなるから、図柄演出を発生させることで、リーチ態様が構築されるかどうかの「煽り」が表示領域の中央で行われるとよい。
【符号の説明】
【0044】
1 遊技機
10 識別図柄
10L 左識別図柄
10R 右識別図柄
10C 中識別図柄
101 選択済識別図柄
102 対象識別図柄
11 候補図柄
11g 候補図柄群
11gL 左候補図柄群
11gR 右候補図柄群
11gC 中候補図柄群
11X 対象識別図柄となりうる候補図柄
91 表示装置
911 表示領域