IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社シグマの特許一覧

<>
  • 特許-レンズフード 図1
  • 特許-レンズフード 図2
  • 特許-レンズフード 図3
  • 特許-レンズフード 図4
  • 特許-レンズフード 図5
  • 特許-レンズフード 図6
  • 特許-レンズフード 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-05
(45)【発行日】2022-08-16
(54)【発明の名称】レンズフード
(51)【国際特許分類】
   G03B 11/04 20210101AFI20220808BHJP
【FI】
G03B11/04 C
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018168197
(22)【出願日】2018-09-07
(65)【公開番号】P2020042109
(43)【公開日】2020-03-19
【審査請求日】2021-06-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000131326
【氏名又は名称】株式会社シグマ
(72)【発明者】
【氏名】川崎 倫宏
(72)【発明者】
【氏名】岡嶋 文哉
(72)【発明者】
【氏名】大野 雅浩
【審査官】藏田 敦之
(56)【参考文献】
【文献】実開昭60-021728(JP,U)
【文献】特開2016-109944(JP,A)
【文献】実開昭56-093726(JP,U)
【文献】実開昭51-147040(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 11/04
G03B 17/14
H04N 5/222- 5/257
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズ鏡筒に着脱されるレンズフードであって、
複数のガイドを有する操作部材と、
前記ガイドが摺動可能に係合する複数のガイド部を有する固定側部材と、
前記操作部材と連動する規制部材と、
前記規制部材を付勢するコイルバネと、
前記操作部材を付勢するロックバネと、
を有し、
前記ロックバネは、前記固定側部材に保持されるとともに全ての前記ガイドと当接するように配置され、
前記操作部材が押し込まれることで前記規制部材が移動し、前記規制部材が前記コイルバネの付勢力により前記レンズ鏡筒に突き当たることで光軸周りの回転規制を行うことを特徴とするレンズフード。
【請求項2】
前記操作部材は長孔部を有し、前記規制部材は軸部を有し、前記軸部は前記長孔部に挿入されることを特徴とする請求項1に記載のレンズフード。
【請求項3】
前記ロックバネは前記操作部材を前記コイルバネと略反対方向に常に付勢することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のレンズフード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズ鏡筒に装着されるレンズフードに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、交換レンズに装着されるレンズフードには、ロック機構を備えたものが多く知られている。このような機構を備えることで、不意の脱落の防止や、装着部材のガタツキの抑制といった効果が発揮される。
【0003】
レンズフードのロック機構として、例えば特許文献1が挙げられる。特許文献1には、ロックレバー及びトーションバネによるロック機構が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-109944号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし特許文献1に記載の発明は、ロックレバーがロック用の爪と操作部を両端に持つシーソー構造となっており、操作時には操作部が支点を中心に回転しながら沈み込む。従って操作部はフードに対して傾きながら沈み込むこととなり、操作部を押す方向と操作部が沈み込む方向が同一ではないため、使用者に違和感を与えていた。
【0006】
また操作部は支点を中心に回転するため、操作部を押し込む際には操作部とフードとの隙間が操作部全体に対して均一とならない。従って、支点から遠い操作部とフードとの隙間から内部構造が見えてしまい、品位の悪い構成となっていた。
【0007】
上記課題から本発明は、ロック時の使用感に優れ、使用に係る外観の品位が良いロック機構を備えたレンズフードを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、レンズ鏡筒に着脱されるレンズフードであって、複数のガイドを有する操作部材と、前記ガイドが摺動可能に係合する複数のガイド部を有する固定側部材と、前記操作部材と連動する規制部材と、前記規制部材を付勢するコイルバネと、前記操作部材を付勢するロックバネと、を有し、前記ロックバネは、前記固定側部材に保持されるとともに全ての前記ガイドと当接するように配置され、前記操作部材が押し込まれることで前記規制部材が移動し、前記規制部材が前記コイルバネの付勢力により前記レンズ鏡筒に突き当たることで光軸周りの回転規制を行うことを特徴とするレンズフードである。
【0009】
請求項2に記載の発明は、前記操作部材は長孔部を有し、前記規制部材は軸部を有し、前記軸部は前記長孔部に挿入されることを特徴とする請求項1に記載のレンズフードである。
【0011】
請求項に記載の発明は、前記ロックバネは前記操作部材を前記コイルバネと略反対方向に常に付勢することを特徴とする請求項1又は請求項のいずれかに記載のレンズフードである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ロック時の使用感に優れ、使用に係る外観の品位が良いロック機構を備えたレンズフードを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施例における交換レンズを示す斜視図である。
図2】本発明の一実施例におけるレンズフードを示す斜視図である。
図3】本発明の一実施例におけるレンズフードを示す分解斜視図である。
図4】本発明の一実施例におけるロック機構を示す斜視図である。
図5】本発明の一実施例におけるロックボタンを示す斜視図である。
図6】本発明の一実施例におけるロック状態の切替を示す断面図である。
図7】本発明の一実施例におけるロックボタンバネを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付の図面に従って、本発明を実施するための最良の形態について説明する。なお、この実施の形態により本発明が限定されるものではない。
【0015】
図1は本発明の一実施例における交換レンズ1を示す斜視図である。また、図2は本発明の一実施例におけるレンズフード2を示す斜視図である。また、図3は本発明の一実施例におけるレンズフード2を示す分解斜視図である。また、図4は本発明の一実施例におけるロック機構を示す斜視図である。以下、図1図2図3図4を使用してレンズフード2の部材について説明する。
【0016】
レンズ鏡筒10は撮像装置に対して交換装着可能であり、内部には中心に光軸を持つ光学素子を備える。また、先端部分にはレンズフード2を装着するための2つのバヨネット部11を備える。
【0017】
レンズフード2はレンズ鏡筒10に対して装着可能であり、フードベース20、フードカバー30、ロックレバー40、コイルバネ50、ロックボタン60、ロックボタンバネ70、締結ビス80から構成される。
【0018】
フードベース20はレンズ鏡筒10へ不要な光線が入射することを遮るための円筒状部材である。フードベース20は溝部を備え、溝部がレンズ鏡筒10のバヨネット部11と係合することでレンズフード2はレンズ鏡筒10に装着される。溝部は順方向に取り付ける際にバヨネット部11と係合する第1溝部21と、逆方向に取り付ける際にバヨネット部11と係合する第2溝部22とが備えられている。また、フードベース20にはロックボタン60のガイド61が係合する2つのガイド部23が光軸方向に向けて形成され、ロックレバー40の第1軸部41が嵌まる不図示の第1軸穴が備えられている。
【0019】
フードカバー30はレンズロック機構が組み込まれる部材である。フードベース20と嵌合し、5つの締結ビス80によって光軸と平行な方向から固定される。フードカバー30の内部にはロックレバー40、コイルバネ50、ロックボタン60、ロックボタンバネ70が組み込まれる。また、フードカバー30の内部にはロックレバー40の第2軸部42が嵌まる第2軸穴31が、外周部には貫通穴32が形成されている。また、ロックボタンバネ60を引掛けて保持するための2つの保持部33を備えている。
【0020】
ロックレバー40は、フードベース20に形成された第1軸穴に嵌る第1軸部41、フードカバー30に形成された第2軸穴31に嵌る第2軸部42、及びロックボタン60の係合穴62に挿入される第3軸部43を備え、フードベース20とフードカバー30に挟持されている。また、ロックレバー40は順方向用ロック爪44と逆方向用ロック爪54を有し、ロック爪はフードベース20及びフードカバー30から外部に露出している。また、ロックレバー40は当接部46においてロックボタン60と当接する。
【0021】
コイルバネ50は、ロックレバー40の第1軸部41に嵌り、ロックレバー40を付勢するよう取り付けられる。コイルバネ50による付勢力によりロックレバー40の順方向用ロック爪44あるいは逆方向用ロック爪45がレンズ鏡筒10に形成されたバヨネット部11に突き当たることでレンズフード2の光軸周りの回転の規制および回転方向のガタツキを抑制する。レンズフード2をレンズ鏡筒10に順方向に取り付けた際には順方向用ロック爪44が、逆方向に取り付けた際には逆方向用ロック爪45が突き当る。
【0022】
図5は本発明の一実施例におけるロックボタン60を示す斜視図である。ロックボタン60はレンズフード2のロック状態を解除するための部材である。ロックボタン60は2つのガイド61を有し、それぞれのガイド61はフードベース20のガイド部23に摺動可能に係合される。また、ロックボタン60にはロックレバー40の第3軸部43が挿入される長穴形状の係合穴62が形成されている。なお、本実施例においてはガイド61を円柱形状としているが、これに限られるものではない。ガイド部23に摺動するのであれば他の形状としても良い。
【0023】
ロックボタンバネ70はロックボタン60を押し込み方向に付勢するためのバネ部材である。ロックボタンバネ70はフードカバー30の2つの保持部33に保持されており、ロックボタン60の2つのガイド61に当接している。
【0024】
以上が本実施例におけるレンズフード2の部材の説明である。次に、本実施例におけるフードロック機構の説明を行う。レンズフード2の装着は、フードベース20に備えられた溝部の開口部25からレンズ鏡筒10のバヨネット部11を係合させ、摺動回転させることで行われる。摺動回転の結果バヨネット部11の一端が溝部の突き当て部26に当接すると、反対側の一端がロック爪によってロックされ、レンズフード2とレンズ鏡筒10とは固定される。
【0025】
図6は本発明の一実施例におけるロック状態の切替を示す断面図である。(a)はフードロック機構のロック状態を、(b)はフードロック機構のロック解除状態を示している。図6に示されるようにロックボタン60が押し込まれ、ロックボタン60と当接するロックレバー40が連動し、第1軸部41及び第2軸部42を中心として回転することでロック爪のバヨネット部11に対する突き当りが解除される。なお、ロックボタン60が押し込まれていない際の位置をロックボタン60の基準位置と呼称することとする。
【0026】
ここで、前述したように従来のフードロック機構においては操作部の使用感に課題が存在していた。本発明においてはロックボタン60をロックレバー40から別体に独立させ、更にガイド61を備えることで、ロックボタン60がフードカバー30に対して均等に沈み込む構成とした。
【0027】
ロックボタン60をロックレバー40と別体として構成することで、ロックボタン60の移動はロックレバー40の回転移動から独立する。従って図6に示されるように、ロックボタン60は押し込まれる際にロックレバー40と異なる方向への移動が可能となる。また、係合穴62を長穴形状としたことで、長穴形状が規制する範囲内でロックボタン60とロックレバー40の位置関係が変化可能となっている。
【0028】
また、ロックボタン60のガイド61は、フードベース20に形成された2つのガイド部23によって移動方向が光軸方向に規制されている。ここで、ガイド部23及びガイド61が2つ備えられていることから、一方のガイド61はもう一方のガイド61によって移動が規制される。従って、ロックボタン60はフードカバー30に対して傾かず、ガイド部23に沿って光軸方向に沈み込むこととなる。
【0029】
以上から、本発明のレンズフード2はロックボタン60の均等な押し込みを実現したことで、操作感に優れた構成となっている。また、ロックボタン60が傾くことによる内部構造の露出を避けられた、使用に係る外観の品位が良い構成となっている。
【0030】
なお、本実施例においてはガイド61及びガイド部23の数を2つずつ配置したが、本発明はこれに限られるものではない。ガイド61及びガイド部23の数は、互いに移動を規制できるよう複数個ずつ存在すればよい。
【0031】
次に本発明におけるレンズフード2をレンズ鏡筒10に装着する際のロックボタン60について説明する。レンズフード2の装着は、フードベース20に備えられた溝部の開口部25からレンズ鏡筒10のバヨネット部11を係合させ、摺動回転させることで行われる。ここで、図2に示したように溝部の開口部25付近にはロック爪が設けられており、摺動回転に際してバヨネット部11と当接する。従って、レンズフード2が着脱されている最中にはバヨネット部11が常にロック爪を付勢することとなる。
【0032】
ロック爪が付勢されると、ロックレバー40は第1軸部41及び第2軸部42を中心として回転し、フードロック機構は図6(b)で示されるロック解除状態となる。また、ロックボタン60とロックレバー40は第3軸部43及び係合穴62によって係合しているため、ロックレバー40の回転に伴いロックボタン60は移動し、基準位置から押し込まれた状態となる。この際、コイルバネ50はロックボタン60に対して力量を加えないことから、レンズフード2を装着する最中のロックボタン60は係合穴62の規制する範囲で移動可能となり、ガタツキが発生してしまう。
【0033】
従って、本発明においてはロックボタンバネ70を設けることで、レンズフード2を着脱する最中のロックボタン60のガタツキを抑制した。図7は本発明の一実施例におけるロックボタンバネ60を示す断面図である。(a)はロック状態、(b)は着脱状態における位置関係を示している。また、図中に示した白矢印はロックボタンバネ70によるロックボタン60への付勢方向を、黒矢印はコイルバネ50によるロックボタン60への付勢方向を示している。
【0034】
ロックボタンバネ70はロックボタン60のガイド61に当接し、ロックボタン60を押し込み方向に付勢する。また、コイルバネ50はロックレバー40を介してロックボタンバネ70と略反対方向にロックボタン60を付勢する。ここで、コイルバネ50による付勢力はロックボタンバネ70による付勢力より大きく設定されている。従ってロック状態においてはロックボタンバネ70による付勢力でロックボタン60は基準位置で固定され、それに伴いロックボタンバネ70はフードカバー30の形状に沿って撓む。
【0035】
一方、着脱状態においてコイルバネ50はロックボタン60に対して付勢力を発生させず、ロックボタン60に作用する力はロックボタンバネ70による付勢力のみとなる。従ってロックボタン60はロックボタンバネ70から均一に付勢され、レンズフード2の着脱最中においてもロックボタン60のガタツキは発生しなくなる。なお、ロックボタンバネ70は変形していない状態において、押し込まれたロックボタン60のガイド61と当接するようにフードカバー30内に配置されている。
【0036】
以上から、本発明は別体としたロックボタン60をロックボタンバネ70で常に付勢することで、レンズフードロック時のみならず、レンズフード着脱最中におけるロックボタン60のガタツキを抑制可能な構成とした。
【0037】
なお、本発明にかかるレンズ鏡筒は、本発明が適用される撮像装置に応じて適宜変形、及び拡大縮小される。また、必要に応じて、装置の外寸法の変更による外観の変化、部材間の結合位置など、種々の変形や変更が可能であるが、いずれも本発明の均等の範囲内である。
【符号の説明】
【0038】
1 交換レンズ
2 レンズフード
10 レンズ鏡筒
11 バヨネット部
20 フードベース
21 第1溝部
22 第2溝部
23 ガイド部
25 開口部
26 付き当て部
30 フードカバー
31 第2軸穴
32 貫通穴
33 保持部
40 ロックレバー
41 第1軸部
42 第2軸部
43 第3軸部
44 順方向用ロック爪
45 逆方向用ロック爪
46 当接部
50 コイルバネ
60 ロックボタン
61 ガイド
62 係合穴
70 ロックボタンバネ
80 締結ビス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7