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特許7118463熱的に脆弱な基板上ではんだペーストを硬化させるための方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-05
(45)【発行日】2022-08-16
(54)【発明の名称】熱的に脆弱な基板上ではんだペーストを硬化させるための方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/52 20060101AFI20220808BHJP
   B23K 1/00 20060101ALI20220808BHJP
   B23K 1/005 20060101ALI20220808BHJP
   B23K 1/19 20060101ALI20220808BHJP
   B23K 1/20 20060101ALI20220808BHJP
   H01L 21/60 20060101ALI20220808BHJP
   H05K 3/34 20060101ALI20220808BHJP
【FI】
H01L21/52 C
B23K1/00 330E
B23K1/005 C
B23K1/19 Z
B23K1/20 Z
H01L21/60 311Q
H05K3/34 507E
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2020560860
(86)(22)【出願日】2018-01-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-07-01
(86)【国際出願番号】 US2018014501
(87)【国際公開番号】W WO2019143358
(87)【国際公開日】2019-07-25
【審査請求日】2021-01-08
(73)【特許権者】
【識別番号】511009710
【氏名又は名称】エヌシーシー ナノ, エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】ヘンドリクス, ロブ ヤコブ
【審査官】安田 雅彦
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-109824(JP,A)
【文献】特開平09-051016(JP,A)
【文献】国際公開第2016/103800(WO,A1)
【文献】特開昭50-074773(JP,A)
【文献】特開2014-013867(JP,A)
【文献】国際公開第2016/175653(WO,A2)
【文献】特開2013-098338(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/60-21/607
H01L 21/52
B23K 1/00- 1/20
H05K 3/32- 3/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板上ではんだペーストを硬化させるための方法であって、前記方法は、
前記基板上に光反射層および光吸収層を印刷することであって、前記光反射層は、前記光吸収層の場所とは異なる場所において前記基板上に印刷される、ことと、
前記光反射層および前記光吸収層上に複数の伝導性トレースを選択的に堆積させることと、
はんだペーストを前記光吸収層上の前記複数の伝導性トレース上の場所に対応する選択的場所上に適用することと、
前記はんだペースト上に構成要素を設置することと、
前記板を均一なパルス光で片側から照射することであって、前記光吸収層は、前記パルス光を吸光し、加熱された状態になり、前記光吸収層の熱は、その後、熱伝導を介して前記はんだペーストおよび前記構成要素に伝達され、前記はんだペーストを融解させる、ことと
を含み、前記基板は、PEN、PET、ポリカーボネート、および紙のうちの1つである、方法。
【請求項2】
前記光吸収層の場所は、前記構成要素に接続するために利用される前記はんだペーストの場所に対応する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記板は、光透過性である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記板は、PENである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記板は、PETである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記板は、ポリカーボネートである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記板は、紙である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記光吸収層の面積は、前記構成要素の熱質量および前記はんだペーストの熱質量に正比例する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記はんだペーストは、Sn96.5/Ag3.0/Cu0.5合金またはSn96.5/Ag3.5合金である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記はんだペーストを処理するための前記パルス光のエネルギーは、3~30J/cmである、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
板上ではんだペーストを硬化させるための方法であって、前記方法は、
前記基板上に第1の光反射層および光吸収層を印刷することであって、前記第1の光反射層は、前記光吸収層の場所とは異なる場所において前記基板上に印刷される、ことと、
前記第1の光反射層および前記光吸収層上に複数の伝導性トレースを選択的に堆積させることと、
はんだペーストを前記光吸収層上の前記複数の伝導性トレース上の場所に対応する選択的場所上に適用することと、
前記伝導性トレースおよび前記第1の光反射層上に第2の光反射層を選択的に堆積させることと、
前記はんだペースト上に構成要素を設置することと、
前記基板を均一なパルス光で2つの側から照射することであって、前記光吸収層および前記構成要素は、前記パルス光を吸光し、加熱された状態となり、前記光吸収層の熱は、その後、熱伝導を介して前記はんだペーストに伝達され、前記はんだペーストを融解させる、ことと
を含み、前記基板は、PEN、PET、ポリカーボネート、および紙のうちの1つである、方法。
【請求項12】
前記光吸収層の場所は、前記構成要素に接続するために利用される前記はんだペーストの場所に対応する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記板は、光透過性である、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記板は、PENである、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記板は、PETである、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記板は、ポリカーボネートである、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記板は、紙である、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記光吸収層の面積は、前記構成要素の熱質量および前記はんだペーストの熱質量に正比例する、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記はんだペーストは、Sn96.5/Ag3.0/Cu0.5合金またはSn96.5/Ag3.5合金である、請求項11に記載の方法。
【請求項20】
前記はんだペーストを処理するための前記パルス光のエネルギーは、3~30J/cmである、請求項11に記載の方法。
【請求項21】
方法であって、
板上に光反射層および光吸収層を印刷することであって、前記光反射層は、前記光吸収層の場所とは異なる場所において前記基板上に印刷される、ことと、
前記光反射層および前記光吸収層上に複数の伝導性トレースを選択的に堆積させることと、
導電性エポキシを前記光吸収層上の前記複数の伝導性トレース上の場所に対応する選択的場所上に適用することと、
前記導電性エポキシ上に構成要素を設置することと、
前記板を均一なパルス光で片側から照射することであって、前記光吸収層は、前記パルス光を吸光し、加熱された状態となり、前記光吸収層の熱は、その後、熱伝導を介して前記導電性エポキシおよび前記構成要素に伝達され、前記導電性エポキシを融解させる、ことと
を含み、前記基板は、PEN、PET、ポリカーボネート、および紙のうちの1つである、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、硬化プロセスに関し、より具体的には、パルス光を使用して熱的に脆弱な基板上ではんだペーストを硬化させるための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンテッドエレクトロニクスの分野では、最近の傾向は、セラミック、ガラス、またはエポキシ繊維ガラスベースの回路基板(FR4等)を基板材料として使用することから離れ、より低いコストおよびより可撓性の形状因子のための比較的に安価な基板に向かって進んでいる。しかしながら、(PEN、PET、ポリカーボネート、および紙等の)新しい基板材料は、それらの先行物より熱的に脆弱である傾向にある。これは、高い温度が、薄膜を処理する、または基板に離散した構成要素を付着させるために要求されるときに問題となり得る。例えば、熱的に脆弱な基板上に構成要素をはんだ付けするプロセスは、従来のはんだが、熱的に脆弱な基板が対処し得るものよりはるかに高い処理温度を要求するため、非常に困難になる。
【0003】
本開示は、熱的に脆弱な基板上ではんだペーストを硬化させるための改良された方法を提供する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
好ましい実施形態によると、光反射層および光吸収層が、熱的に脆弱な基板上に印刷される。複数の伝導性トレースが、光反射層および光吸収層上に選択的に堆積される。はんだペーストが、次いで、光吸収層の場所に対応している選択的場所上に適用される。構成要素が、はんだペースト上に設置された後、基板は、均一なパルス光で片側から照射される。光吸収層は、パルス光を吸光し、加熱された状態になり、熱は、その後、はんだペーストを加熱および融解させるために、熱伝導を介してはんだペーストおよび構成要素に伝達される。
【0005】
本発明の特徴および利点の全てが、以下の詳細に記述された説明において明白となるであろう。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
熱的に脆弱な基板上ではんだペーストを硬化させるための方法であって、前記方法は、
熱的に脆弱な基板上に光反射層および光吸収層を印刷することと、
前記光反射層および前記光吸収層上に複数の伝導性トレースを選択的に堆積させることと、
はんだペーストを前記光吸収層の場所に対応する選択的場所上に適用することと、
前記はんだペースト上に構成要素を設置することと、
前記熱的に脆弱な基板を均一なパルス光で片側から照射することであって、前記光吸収層は、前記パルス光を吸光し、加熱された状態になり、前記熱は、その後、熱伝導を介して前記はんだペーストおよび前記構成要素に伝達され、前記はんだペーストを融解させる、ことと
を含む、方法。
(項目2)
前記光吸収層の場所は、前記構成要素に接続するために利用される前記はんだペーストの場所に対応する、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記熱的に脆弱な基板は、光透過性である、項目1に記載の方法。
(項目4)
前記熱的に脆弱な基板は、PENである、項目1に記載の方法。
(項目5)
前記熱的に脆弱な基板は、PETである、項目1に記載の方法。
(項目6)
前記熱的に脆弱な基板は、ポリカーボネートである、項目1に記載の方法。
(項目7)
前記熱的に脆弱な基板は、紙である、項目1に記載の方法。
(項目8)
前記光吸収層の面積は、前記構成要素の熱質量および前記はんだペーストの熱質量に正比例する、項目1に記載の方法。
(項目9)
前記はんだペーストは、有害物質規制指令に準拠している、項目1に記載の方法。
(項目10)
前記はんだペーストを処理するための前記パルス光のエネルギーは、3~30J/cm である、項目1に記載の方法。
(項目11)
熱的に脆弱な基板上ではんだペーストを硬化させるための方法であって、前記方法は、
熱的に脆弱な基板上に第1の光反射層および光吸収層を印刷することと、
前記光反射層および前記光吸収層上に複数の伝導性トレースを選択的に堆積させることと、
はんだペーストを前記光吸収層の場所に対応する選択的場所上に適用することと、
前記伝導性トレースおよび前記第1の光吸収層上に第2の光反射層を選択的に堆積させることと、
前記はんだペースト上に構成要素を設置することと、
前記基板を均一なパルス光で2つの側から照射することであって、前記光吸収層および前記構成要素は、前記パルス光を吸光し、加熱された状態となり、前記熱は、その後、熱伝導を介して前記はんだペーストに伝達され、前記はんだペーストを融解させる、ことと
を含む、方法。
(項目12)
前記光吸収層の場所は、前記構成要素に接続するために利用される前記はんだペーストの場所に対応する、項目11に記載の方法。
(項目13)
前記熱的に脆弱な基板は、光透過性である、項目11に記載の方法。
(項目14)
前記熱的に脆弱な基板は、PENである、項目11に記載の方法。
(項目15)
前記熱的に脆弱な基板は、PETである、項目11に記載の方法。
(項目16)
前記熱的に脆弱な基板は、ポリカーボネートである、項目11に記載の方法。
(項目17)
前記熱的に脆弱な基板は、紙である、項目11に記載の方法。
(項目18)
前記光吸収層の面積は、前記構成要素の熱質量および前記はんだペーストの熱質量に正比例する、項目11に記載の方法。
(項目19)
前記はんだペーストは、有害物質規制指令に準拠している、項目11に記載の方法。
(項目20)
前記はんだペーストを処理するための前記パルス光のエネルギーは、3~30J/cm である、項目11に記載の方法。
(項目21)
方法であって、
熱的に脆弱な基板上に光反射層および光吸収層を印刷することと、
前記光反射層および前記光吸収層上に複数の伝導性トレースを選択的に堆積させることと、
導電性エポキシを前記光吸収層の場所に対応する選択的場所上に適用することと、
前記導電性エポキシ上に構成要素を設置することと、
前記熱的に脆弱な基板を均一なパルス光で片側から照射することであって、前記光吸収層は、前記パルス光を吸光し、加熱された状態となり、前記熱は、その後、熱伝導を介して前記導電性エポキシおよび前記構成要素に伝達され、前記導電性エポキシを融解させる、ことと
を含む、方法。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本発明自体、およびその好ましい使用モード、さらなる目的、および利点は、例証的実施形態の以下の詳述される説明を付随の図面と併せて熟読しながら参照することによって、最も深く理解されるであろう。
【0007】
図1A図1A-1Dは、第1の実施形態による、パルス光を使用して熱的に脆弱な基板上ではんだペーストを硬化させるための方法を描写する。
図1B図1A-1Dは、第1の実施形態による、パルス光を使用して熱的に脆弱な基板上ではんだペーストを硬化させるための方法を描写する。
図1C図1A-1Dは、第1の実施形態による、パルス光を使用して熱的に脆弱な基板上ではんだペーストを硬化させるための方法を描写する。
図1D図1A-1Dは、第1の実施形態による、パルス光を使用して熱的に脆弱な基板上ではんだペーストを硬化させるための方法を描写する。
【0008】
図2A図2A-2Eは、第2の実施形態による、パルス光を使用して熱的に脆弱な基板上ではんだペーストを硬化させるための方法を描写する。
図2B図2A-2Eは、第2の実施形態による、パルス光を使用して熱的に脆弱な基板上ではんだペーストを硬化させるための方法を描写する。
図2C図2A-2Eは、第2の実施形態による、パルス光を使用して熱的に脆弱な基板上ではんだペーストを硬化させるための方法を描写する。
図2D図2A-2Eは、第2の実施形態による、パルス光を使用して熱的に脆弱な基板上ではんだペーストを硬化させるための方法を描写する。
図2E図2A-2Eは、第2の実施形態による、パルス光を使用して熱的に脆弱な基板上ではんだペーストを硬化させるための方法を描写する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
熱的に脆弱な基板を回路基板として使用するときに克服される必要がある1つの主要な障害は、チップの付着である。概して、熱的に脆弱な基板上にチップを付着させるために、2つの方法のみが、存在する。第1の方法は、低温はんだを使用し、構成要素を付着させることであり、第2の方法は、導電性エポキシを使用し、構成要素を付着させることである。第1の方法の問題は、低温はんだの性能が、より高温の従来のはんだのものより有意に非ロバストであり、熱循環が、低温はんだを亀裂させ得ることである。第2の方法は、従来のはんだを使用することより高価である。加えて、導電性エポキシは、機械的により脆弱であり、第2の方法において使用される伝導性接着剤の電気抵抗性は、低温はんだのものよりはるかに悪い。したがって、上記に言及される2つの方法のいずれも、低い性能および/または高いコストに起因して、好ましいものではない。
【0010】
一般的に言えば、Sn96.5/Ag3.0/Cu0.5またはSn96.5/Ag3.5合金等の、標準的な有害物質規制指令(RoHS)に準拠しているはんだを使用することが、好ましい。これらのはんだは、約219℃の液相温度を有する。典型的なオーブンリフローはんだ付けの温度条件は、5分間にわたる200℃を上回る温度である。残念ながら、オーブンリフローはんだ付け技法は、PEN(180℃の最大加工温度を有する)、PET(150℃の最大加工温度を有する)、ポリカーボネート(115~130℃の最大加工温度を有する)、または紙(150℃の最大加工温度を有する)等の熱的に脆弱な基板の使用を除外する。
【0011】
これまで、光硬化技法は、熱的に脆弱な基板上で薄膜を処理するために利用されている。基本的には、短い光のパルスからのより高い温度とより低い熱予算との組み合わせが、利用され、熱的に脆弱な基板を損傷させることなく薄膜を処理することができる。現在、光硬化技法は、熱的に脆弱な基板上ではんだペーストを熱的に処理する問題を緩和させる可能性を有する。理論上、はんだは、熱的に脆弱な基板が、その最大加工温度を超えても加熱され得るほど短い時間尺度において加熱されることができる。しかしながら、実践では、これは、光硬化が、概して、比較的に厚い基板上での薄膜の処理に適用されるため、上記に言及される問題を解決しない。光硬化技法では、熱的に脆弱な基板上の薄膜が、閃光灯からのパルス光によって、熱的に脆弱な基板が、損傷されることなく通常とり得るものを超える温度まで非常に急速に加熱される。パルス光による加熱の後、薄膜は、薄膜による熱的に脆弱な基板への熱伝導を介して急速に冷却される。これは、熱的に脆弱な基板が、薄膜よりはるかに厚く、薄膜のものより大きい熱質量を有するため、可能である。熱的に脆弱な基板のより大きい熱質量と、薄膜から熱的に脆弱な基板への熱の熱伝導との組み合わせは、ピーク温度が、多くの場合、熱的に脆弱な基板の公開最大加工温度より高いにもかかわらず、昇温状態で費やされる時間を最小限にさせることによって、熱的に脆弱な基板への損傷を被ることを防止することに役立つ。
【0012】
しかしながら、構成要素付着の場合では、構成要素およびはんだペーストは、多くの場合、熱的に脆弱な基板より厚い。したがって、光のパルスで構成要素をはんだ付けするために要求されるエネルギー量はまた、プロセスにおいて熱的に脆弱な基板を歪ませるであろう。例えば、はんだペーストを処理するために必要とされる放射露光量は、3~30J/cmである。本エネルギー量は、多くの場合、電気トレースが、閃光灯からのパルス光の一部を吸光するため、熱的に脆弱な基板上に蓄積され得る大部分の電気トレースの損傷閾値より高い。これが、生じると、電気トレースは、熱くなった状態になり得、電気トレースの真下またはそれに隣接する熱的に脆弱な基板をアブレートする、または局所的に歪ませ得る。加えて、急速な加熱は、はんだペースト中の揮発性物質を放出させ、これは、はんだペースト上に凝集破壊を引き起こし得る。言い換えると、急速な加熱からのガス発生が、はんだペーストを炸裂させ、良好なはんだ接続を行ういかなる希望も破壊する。
【0013】
閃光灯からのパルス光を使用し、はんだペーストを加熱することの別の問題は、異なる面積および厚さの構成要素が、異なる放射露光を要求することである。半導体構成要素は、熱伝導性であるため、それらの熱伝導性が、基板のものよりはるかに上回ることから、はんだペーストが加熱される必要がある同一温度まで加熱される必要がある。これは、異なる厚さまたは面積の構成要素が、それらの熱質量が、異なるため、異なる放射露光量を要求することを意味する。異なるサイズの構成要素が全て、同一の基板上に位置するとき、一部のものを過剰に硬化させながら他のものを過小に硬化させずに全てのはんだ接続を同時に硬化させることは、不可能である。
【0014】
光硬化技法と関連付けられる上記に言及される問題に対処するために、本発明は、熱的に脆弱な基板上に電気構成要素をはんだ付けするための改良された方法を提供する。
【0015】
ここで図面、特に、図1A-1Dを参照すると、第1の実施形態による、パルス光を使用して熱的に脆弱な基板上ではんだペーストを硬化させるための方法が、図示される。最初に、光反射層11および光吸収層12が、図1Aに示されるように、熱的に脆弱な基板10上に選択的に印刷される。光吸収層12の場所は、構成要素に接続するために利用されるべきはんだペーストの将来の場所に対応するべきである。好ましくは、光透過性である、熱的に脆弱な基板10は、PEN、PET、ポリカーボネート、または紙であり得る。
【0016】
次いで、複数の伝導性トレース15が、図1Bに描写されるように、光反射層11および光吸収層12上に選択的に堆積される。はんだペースト16a-16dが、次いで、図1Cに示されるように、光吸収層12の場所に対応する場所に適用される。例えば、はんだペースト16aは、光吸収層12aの上方に位置し、はんだペースト16bは、光吸収層12bの上方に位置し、はんだペースト16cは、光吸収層12cの上方に位置し、はんだペースト16dは、光吸収層12dの上方に位置する。
【0017】
構成要素18aが、はんだペースト16a、16b上に設置され、構成要素18bが、はんだペースト16c、16d上に設置された後、構造全体が、図1Dに描写されるように、均一なパルス光で熱的に脆弱な基板10の底部(非構成要素側)から照射される。光反射層11が、パルス光を反射する一方、光吸収層12は、パルス光を吸光し、加熱された状態になる。本熱は、その後、熱伝導を介してはんだペースト16a-16dおよび構成要素18a、18bに伝達され、はんだペースト16a-16dを加熱し、それによって、はんだペースト16a-16dを融解させる。
【0018】
構成要素18aおよび18bは、異なるサイズであり、異なる量のエネルギーを要求するにもかかわらず、精密な量のエネルギーが、はんだペースト16a-16dのそれぞれに送達されることができる。これは、はんだペースト16a-16dのそれぞれの下の光吸収層12の種々のサイズによって制御される。加えて、通常、それらの温度が基板10を歪ませるであろうほどまでアブレートまたは加熱されるであろう、電気トレース15が、光反射層11によって保護される。
【0019】
ここで図2A-2Eを参照すると、第2の実施形態による、パルス光を使用して熱的に脆弱な基板上ではんだペーストを硬化させるための方法が、図示される。第1の実施形態と同様に、光反射層21および光吸収層22が、図2Aに示されるように、熱的に脆弱な基板20上に選択的に印刷される。光吸収層22の場所は、構成要素に接続するために利用されるべきはんだペーストの将来の場所に対応するべきである。好ましくは、光透過性である、熱的に脆弱な基板20は、PEN、PET、ポリカーボネート、または紙であり得る。
【0020】
次いで、複数の伝導性トレース25が、図2Bに描写されるように、光反射層21および光吸収層22上に選択的に堆積される。はんだペースト26a-26dが、次いで、図2Cに示されるように、光吸収層22の場所に対応する場所に適用される。第2の光反射層23が、次いで、図2Dに描写されるように、暴露された(はんだペーストによって被覆されていない)伝導性トレース25および暴露された(はんだペーストによって被覆されていない)光反射層21上に堆積される。
【0021】
構成要素28aが、はんだペースト26a、26b上に設置され、構成要素28bが、はんだペースト26c、26d上に設置された後、構造全体は、図2Eに示されるように、均一なパルス光で上部および底部から照射される。光反射層21および23が、パルス光を反射する一方、光吸収層22は、パルス光を吸光し、加熱された状態になる。本熱は、その後、熱伝導を介してはんだペースト26a-26dおよび構成要素28a、28bに伝達され、はんだペースト26a-26dを加熱し、それによって、はんだペースト26a-26dを融解させる。
【0022】
図1A-1Dに示される第1の実施形態では、光反射層11が、選択的に適用される必要はない。これは、単に、基板10および光吸収層12にわたってコーティングされ得る。光吸収層12が、パルス光で加熱されると、光吸収層12からの熱は、伝導を介して光反射層11を通して伝達され、はんだペースト15を加熱する。これは、同様に、図2A-2Eに示される第2の実施形態における、光反射層11に面する基板10上でも可能である。第2の実施形態では、構成要素28A-28Bは、はんだペースト26a-26dを加熱するためのスタックの上部対向側の吸収体としての役割を果たす。
【0023】
説明されているように、本発明は、熱的に脆弱な基板に1つ以上の印刷されたマスクを適用し、閃光灯からのパルス光の選択的な吸光を可能にし、それによって、閃光灯からの放射露光を空間的に調整し、隣接する構造または熱的に脆弱な基板への損傷を引き起こすことなくはんだペーストを選択的に加熱することによって、熱的に脆弱な基板上に電気構成要素をはんだ付けするための改良された方法を提供する。異なるサイズおよび厚さの構成要素が、同一のパルス光で熱的に脆弱な基板に付着されることができる。プロセス全体は、1秒未満で実施されることができる。はんだペーストを硬化させるステップに加えて、本発明の方法は、導電性エポキシ、接着剤、または他の材料等の種々の材料を熱硬化させるために利用されることができる。
【0024】
本発明の方法の1つの利点は、標準的なRoHS準拠はんだが、熱的に脆弱な基板と併用され得ることである。本発明の方法の別の利点は、光硬化源の位置合わせが、要求されないことである。位置合わせは、印刷されたマスクによって提供される。
【0025】
本発明は、特に、好ましい実施形態を参照して示され、説明されているが、種々の形態および詳細の変更が、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、その中に成され得ることが、当業者によって理解されるであろう。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E