(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-05
(45)【発行日】2022-08-16
(54)【発明の名称】掃除機用捕獲器
(51)【国際特許分類】
A01M 3/00 20060101AFI20220808BHJP
【FI】
A01M3/00 G
(21)【出願番号】P 2022508977
(86)(22)【出願日】2021-06-30
(86)【国際出願番号】 JP2021024847
(87)【国際公開番号】W WO2022004821
(87)【国際公開日】2022-01-06
【審査請求日】2022-02-10
(31)【優先権主張番号】P 2020113892
(32)【優先日】2020-07-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2020182826
(32)【優先日】2020-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520240007
【氏名又は名称】株式会社バリアホーム
(74)【代理人】
【識別番号】100183461
【氏名又は名称】福島 芳隆
(72)【発明者】
【氏名】堀 保
【審査官】小島 洋志
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-033130(JP,A)
【文献】実開昭55-117278(JP,U)
【文献】特開2008-263875(JP,A)
【文献】登録実用新案第3057893(JP,U)
【文献】特開2010-022300(JP,A)
【文献】米国特許第08701338(US,B1)
【文献】国際公開第2018/176129(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01M 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
掃除機の吸引ホースに着脱可能に装着され、掃除機の吸引力を利用して捕獲物を捕獲する掃除機用捕獲器であって、
一端に捕獲物を吸い込む吸込口が形成され、他端に掃除機の吸引ホースに差し込まれる差込口が形成される略筒状の捕獲器本体と、
前記捕獲器本体の軸方向に直交する面を塞ぐように前記捕獲器本体に取り付けられ、少なくとも一部に前記吸込口から吸い込まれた空気を透過する網を有する網部と、を備え、
前記捕獲器本体は、軸方向中央部において、外面の周方向の少なくとも一部に外側に突出する突出部を有し、
前記捕獲器本体の内面の少なくとも一部には、粘着剤が設けられ
、
前記捕獲器本体の前記差込口付近には、
軸方向に延び、且つ、径方向に内側に凹んだ少なくとも一つの第1凹溝が形成されるか、
前記捕獲器本体の前記吸込口付近には、
周方向に延び、且つ、径方向に外側に膨らんだ少なくとも一つの液漏れ防止溝が形成されるか、又は
前記捕獲器本体の前記吸込口付近には、
軸方向に延び、且つ、径方向に内側に凹んだ少なくとも一つの第2凹溝を有する、掃除機用捕獲器。
【請求項2】
前記突出部は、前記捕獲器本体の内部空間と連通する内部空間を有する請求項1に記載の掃除機用捕獲器。
【請求項3】
前記粘着剤は、前記突出部の内部空間を形成する内面にも設けられる請求項2に記載の掃除機用捕獲器。
【請求項4】
前記捕獲器本体は、
前記吸込口を有する略筒状の筒胴部と、
前記筒胴部の前記吸込口とは反対側の端面と連接される段部、及び、前記差込口を有するテーパ部を有する略筒状の接続部と、を備え、
前記接続部の内径は、前記段部と前記テーパ部との連結部が一番大きく、前記段部の内径は、前記筒胴部と連接される端面から前記連結部に向かって次第に大きくなり、
前記テーパ部の外径は、前記連結部から前記差込口に向かって次第に小さくなる、請求項1から
3のいずれか一項に記載の掃除機用捕獲器。
【請求項5】
前記網部は、前記テーパ部において、前記段部の前記筒胴部と連接される側の端面の内径よりも内径の大きい部分に取り付けられ、
前記網は、前記段部の前記筒胴部と連接される側の端面の軸方向に直交する面の面積と略同等の面積を有する請求項
4に記載の掃除機用捕獲器。
【請求項6】
前記吸込口の少なくとも一部は、前記捕獲器本体の軸に対して鋭角の傾斜角度で傾斜して形成される請求項1から
5のいずれか一項に記載の掃除機用捕獲器。
【請求項7】
前記捕獲器本体の前記吸込口付近は、前記吸込口に向かって径が大きくなる請求項1から
6のいずれか一項に記載の掃除機用捕獲器。
【請求項8】
前記吸込口から挿入可能な弾性球を少なくとも一つ備え、
前記掃除機用捕獲器が備える前記弾性球の全てが前記吸込口から前記捕獲器本体の内部空間に吸い込まれることにより、前記捕獲器本体の軸方向に直交する面が塞がれる請求項1から
7のいずれか一項に記載の掃除機用捕獲器。
【請求項9】
前記突出部は、前記捕獲器本体の軸方向に沿って前記差込口に向かって延びる引っ掛け部を有し、
前記引っ掛け部は、前記捕獲器本体の外面との間に隙間を有する請求項1から
8のいずれか一項に記載の掃除機用捕獲器。
【請求項10】
前記捕獲器本体は、第一本体と第二本体とからなり、
前記第一本体及び前記第二本体は、前記捕獲器本体を軸方向に沿って二等分に分割した形状であり、
前記第一本体と前記第二本体とは、ヒンジ部によって開閉可能に接続され、
前記第一本体と前記第二本体とが閉じられることで、前記網部は、前記第一本体と前記第二本体とに挟まれて取り付けられ、
前記第一本体と前記第二本体とが開かれることで、前記網部が着脱可能である請求項1から
9のいずれか一項に記載の掃除機用捕獲器。
【請求項11】
前記ヒンジ部は、前記突出部に形成され、
前記第一本体と前記第二本体とが互いに接触する接触部が接合され、
前記接触部の少なくとも一部は、接合部材によって閉じられる請求項
10に記載の掃除機用捕獲器。
【請求項12】
前記第一本体は、周方向端面全体に、前記第二本体の周方向端部に覆いかぶさる被覆部を一体的に備える請求項
10又は
11に記載の掃除機用捕獲器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、掃除機の吸引ホースに着脱可能に装着され、掃除機の吸引力を利用して捕獲物を捕獲する掃除機用捕獲器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
以前より、ゴキブリ、ハエ等の様々な捕獲物を捕獲する方法として、電気掃除機の吸引力を利用する方法が提案されている。
例えば、特許文献1に記載の捕獲物捕獲用袋は、電気掃除機の吸引ホースの繋ぎ目から吸引ホース内に差し込んだ状態で使用するものである。該捕獲物捕獲用袋は、吸引ホースよりも大きな直径を有する入口部分と、底部分と、入口部分及び底部分の間の吸引ホース内部に挿通することのできる胴部分とを有し、胴部分の所定の内周範囲に沿って粘着材を付着してなるものである。そして、この捕獲物捕獲用袋は、使用後は吸引ホースの継ぎ目から取り外し、即座に始末できる使い捨て形式とすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の掃除機用捕獲器(捕獲物捕獲用袋)は、胴部分を吸引ホース内に挿入することによって吸引ホースに装着される。その際、胴部分を吸引ホースに圧接させるために、掃除機用捕獲器の使用者は、胴部分を吸引ホース内にある程度強く押し込む必要がある。また、掃除機用捕獲器は、捕獲物が捕獲された後に吸引ホースから取り外されて新しいものに交換される。しかしながら、胴部分が吸引ホースに圧接しているために、吸引ホースに負担がかかるだけでなく、掃除機用捕獲器を取り外しにくい。さらに、掃除機用捕獲器を取り外す際に、入口部分に直接触れる必要があり、捕獲した捕獲物に触れてしまう恐れがあった。すなわち、従来の掃除機用捕獲器は、吸引ホースに対して容易に取り外しができないという問題点があった。
【0005】
加えて、上記特許文献1に記載の掃除機用捕獲器は、使用後、入口部分が開いたままの状態で取り外す。該掃除機用捕獲器は、胴部分に設けられた粘着剤で捕獲物を捕獲しているが、吸引ホースから取り外しにくいため、力を入れて勢いよく取り外すと、入口部分から捕獲物が逃げる恐れがあるという問題点があった。
【0006】
そこで、本発明の目的は、掃除機によって捕獲物が吸引された後に、掃除機取付部から容易に取り外しができ、且つ、捕獲物が逃げ出すことを防止できる掃除機用捕獲器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、掃除機の吸引ホースに着脱可能に装着され、掃除機の吸引力を利用して捕獲物を捕獲する掃除機用捕獲器である。掃除機用捕獲器は、一端に捕獲物を吸い込む吸込口が形成され、他端に掃除機の吸引ホースに差し込まれる差込口が形成される略筒状の捕獲器本体と、捕獲器本体の軸方向に直交する面を塞ぐよう捕獲器本体に取り付けられ、少なくとも一部に吸込口から吸い込まれた空気を透過する網を有する網部とを備える。捕獲器本体は、軸方向中央部において、外面の周方向の少なくとも一部に外側に突出する突出部を有する。捕獲器本体の内面の少なくとも一部には、粘着剤が設けられる。
【0008】
これによれば、掃除機用捕獲器は、捕獲器本体の外面より突出する突出部が備えられている。よって、掃除機用捕獲器は、突出部に外力を加えることにより、掃除機の吸引ホースから容易に取り外すことができる。
【0009】
好ましい実施形態の掃除機用捕獲器では、突出部は、捕獲器本体の内部空間と連通する内部空間を有する。より好ましい実施形態の掃除機用捕獲器では、粘着剤は、突出部の内部空間にも設けられる。これにより、掃除機用捕獲器で捕獲された捕獲物は、突出部の内部空間に嵌まる。捕獲物が生きていた場合でも、この突出部の内部空間に脚が取られることで、捕獲物が掃除機用捕獲器から逃げ出し難くなる。特に、突出部の内部空間にも粘着剤が設けられることで、捕獲物は粘着剤にも絡めとられ、より掃除機用捕獲器から逃げ出し難くなる。
【0010】
好ましい実施形態の掃除機用捕獲器では、捕獲器本体の差込口付近には、軸方向に延び、且つ、径方向に内側に凹んだ少なくとも一つの第1凹溝が形成される。これにより、掃除機用捕獲器を掃除機の吸引ホースに取り付けるときに、第1凹溝の底面が凹んで第1凹溝の幅が狭くなり、差込口の外径が小さくなるため、吸引ホースへの掃除機用捕獲器の装着、及び、吸引ホースからの掃除機用捕獲器の取り外しが容易になる。
【0011】
好ましい実施形態の掃除機用捕獲器では、捕獲器本体の吸込口付近には、周方向に延び、且つ、径方向に外側に膨らんだ少なくとも一つの液漏れ防止溝が形成される。これにより、仮に掃除機用捕獲器を、軸方向を上下にして保管したとしても、捕獲器本体の内部に設けられた粘着剤が液漏れ防止溝より下には垂れず、保管時に粘着剤が捕獲器本体の外側に漏れることを防止することができる。
【0012】
好ましい実施形態の掃除機用捕獲器では、捕獲器本体の吸込口付近には、軸方向に延び、且つ、径方向に内側に凹んだ少なくとも一つの第2凹溝を有する。これにより、捕獲物を吸い込み、後述する弾性球で吸込口を塞いだ状態でさらに掃除機で吸引すると、捕獲器本体の内部の圧力が下がり、捕獲器本体の径が小さくなる。その結果、弾性球と捕獲器本体の内面との隙間がよりなくなり、捕獲した捕獲物がより逃げ出し難くなる。
【0013】
好ましい実施形態の掃除機用捕獲器では、捕獲器本体は、吸込口を有する略筒状の筒胴部と、筒胴部の吸込口とは反対側の端面と連接される段部、及び、差込口を有するテーパ部を有する略筒状の接続部とを備える。接続部の内径は、段部とテーパ部との連結部が一番大きい。段部の内径は、筒胴部と連接される端面から連結部に向かって次第に大きくなる。テーパ部の外径は、連結部から差込口に向かって次第に小さくなる。突出部は、筒胴部から段部にかけて設けられる。
【0014】
この場合、掃除機の吸引ホースは、接続部のテーパ部に接続できるので、吸引ホースの内径が異なる掃除機にも使用できる。
【0015】
より好ましい実施形態の掃除機用捕獲器では、網部は、テーパ部において、段部の筒胴部と連接される側の端面の内径よりも内径の大きい部分に取り付けられる。網は、段部の筒胴部と連接される側の端面の軸方向に直交する面の面積と略同等の面積を有する。
【0016】
この場合、網部は捕獲器本体の内部に取り付けられるので、使用者が掃除機の吸引ホースから掃除機用捕獲器を取り外すときに、網部に捕獲された捕獲物に触れることがない。また、網部はテーパ部において、筒胴部の内径よりも内径の大きい部分に取り付けられるので、より広範囲で捕獲物を捕獲することができる。さらに、網が筒胴部の軸方向に直交する面の面積と略同等の面積を有するため、網が吸込口から吸い込まれた空気を十分に通すことができる。これにより、網部によって、内部空間の内径を狭めて掃除機の吸引力を弱めることを抑制でき、掃除機の吸引効率を高めることができる。
【0017】
好ましい実施形態の掃除機用捕獲器では、吸込口の少なくとも一部は、捕獲器本体の軸に対して鋭角の傾斜角度で傾斜して形成される。この場合、吸込口が軸方向に対して直角に形成された場合に比べて、吸引口の長さが大きくなるので、大きなサイズの捕獲物を吸引できる。また、傾斜角度が傾いている吸込口は、床面だけでなく、例えば、壁面に、害虫が止まっている場合に、吸いやすくなる。
【0018】
好ましい実施形態の掃除機用捕獲器では、捕獲器本体の吸込口付近は、吸込口に向かって径が大きくなる。これにより、吸引口の長さがより大きくなり、動く捕獲物又は大きなサイズの捕獲物を吸引しやすくなる。
【0019】
好ましい実施形態の掃除機用捕獲器は、吸込口から挿入可能な弾性球を少なくとも一つ備える。掃除機用捕獲器が備える弾性球の全てが吸込口から捕獲器本体に吸い込まれることにより、捕獲器本体の軸方向に直交する面が塞がれる。
【0020】
この場合、弾性球が、差込口に装着された掃除機によって吸引され、弾性球が捕獲器本体の内部に保持されることで、捕獲物が外部に出るのを防ぐことができる。
【0021】
好ましい実施形態の掃除機用捕獲器では、突出部は、捕獲器本体の軸方向に沿って差込口に向かって延びる引っ掛け部を有する。引っ掛け部は、捕獲器本体の外面との間に隙間を有する。この場合、突出部の一部である引っ掛け部に外力を加えることにより、掃除機用捕獲器は、掃除機の吸引ホースからより容易に取り外すことができる。
【0022】
好ましい実施形態の掃除機用捕獲器では、捕獲器本体は、第一本体と第二本体とからなる。第一本体及び第二本体は、捕獲器本体を軸方向に沿って二等分に分割した形状である。第一本体と第二本体とは、ヒンジ部によって開閉可能に接続される。第一本体と第二本体とが閉じられることで、網部は、第一本体と第二本体とに挟まれて取り付けられ、第一本体と第二本体とが開かれることで、網部が着脱可能となる。
【0023】
この場合、網部は第一本体と第二本体とに挟まれて取り付けられるので、取付が容易である。また、網部は、第一本体と第二本体とが開かれるとき着脱可能なので、取替が容易である。
【0024】
好ましい実施形態の掃除機用捕獲器では、ヒンジ部は、突出部に形成される。第一本体と第二本体とが互いに接触する接触部が接合され、接触部の少なくとも一部は、接合部材によって閉じられる。
【0025】
この場合、捕獲器本体は一連の部材で形成されるので部品コストが低減される。また、接触部の少なくとも一部は接合部材によって接触部が閉じられるので、吸引された捕獲物が外部に出ない。
【0026】
好ましい実施形態の掃除機用捕獲器では、第一本体は、周方向端面全体に、第二本体の周方向端部に覆いかぶさる被覆部を一体的に備える。これにより、掃除機用捕獲器と吸引ホースとの接続部分に凹凸ができるため、摩擦力がアップし、掃除機用捕獲器が吸引ホースから外れ難くなる。
【発明の効果】
【0027】
本発明の掃除機用捕獲器によれば、掃除機によって捕獲物が吸引された後に、掃除機取付部から容易に取り外しができ、且つ、捕獲物が逃げ出すことを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の実施形態1に係る掃除機用捕獲器を示す縦断面図である。
【
図3】
図1の掃除機用捕獲器の網部を示す斜視図であり、(a)は網部の分解図であり、(b)は網部を組み立てた図であり、(c)は掃除機用捕獲器に網部3が装着された状態を示す図である。
【
図4】
図1の掃除機用捕獲器の斜視図であり、
図2に対して180°回転した図である。
【
図5】
図1の掃除機用捕獲器を使用して捕獲物を捕獲する状態を示した図であり、(a)は断面図であり、(b)は(a)におけるB視図であり、(c)は(a)におけるC視図である。
【
図6】
図1の掃除機用捕獲器によって捕獲物を捕獲した後、弾性球を吸引して吸込口を塞いだ状態を示す断面図である。
【
図7】
図1の掃除機用捕獲器が、掃除機取付部から取り外される過程を示した図であり、(a)は掃除機用捕獲器を使用している状態を示し、(b)は掃除機取付部から掃除機用捕獲器を取り外すときに突出部に外力を加える状態を示し、(c)は掃除機取付部から掃除機用捕獲器が外されてゴミ箱(図示せず)等に落下する状態を示す。
【
図8】
図1の掃除機用捕獲器の接続部に対して、異なる径の掃除機取付部が装着可能であることを示した断面図であり、(a)は接続部に装着可能な最大径の掃除機取付部が装着された状態を示し、(b)は接続部に装着可能な最小径の掃除機取付部が装着された状態を示し、(c)は接続部に(a)と(b)との間の径の掃除機取付部が装着された状態を示す。
【
図9】
図1の掃除機用捕獲器の捕獲器本体を開いた図であり、(a)は平面図であり、(b)は側面図である。
【
図10】本発明の実施形態2に係る掃除機用捕獲器を示す斜視図である。
【
図11】
図10の掃除機用捕獲器の第一本体の右側面図である。
【
図12】
図10の掃除機用捕獲器に取り付けられる網部を示す図であり、(a)は網部の分解図であり、(b)は網部を組み立てた図である。
【
図13】本発明の実施形態3に係る掃除機用捕獲器を示す斜視図である。
【
図14】
図13の掃除機用捕獲器の第一本体の右側面図である。
【
図15】本発明の実施形態4に係る掃除機用捕獲器を示す斜視図である。
【
図16】
図15の掃除機用捕獲器の第一本体の右側面図である。
【
図17】本発明の実施形態3に係る掃除機用捕獲器を使用して捕獲物を捕獲した状態を示す図で、第二本体を省略して示す右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して説明する。本発明の掃除機用捕獲器で捕獲することができる捕獲物は、特に限定されず、例えば、ゴキブリ、ハエ、蚊、蜂、虻、蛾、蟻、シロアリ、クモ、ムカデ、カメムシ等の害虫が挙げられる。或いは、害虫に限らず、カブトムシ等の昆虫も対象である。
【0030】
[実施形態1]
まず、
図1~
図9を参照して、本発明の実施形態1に係る掃除機用捕獲器1について説明する。
【0031】
<掃除機用捕獲器1の構成>
まず、
図1、
図2及び
図4を参照して、掃除機用捕獲器1の全体構成を説明する。掃除機用捕獲器1は、掃除機20の吸引ホース20bに着脱可能に装着され、掃除機20の吸引力を利用して捕獲物30を捕獲するものである。
【0032】
掃除機用捕獲器1は、捕獲器本体2と、捕獲器本体2に取り付けられる網部3とを備える。
【0033】
捕獲器本体2は、所定の長さを有する略筒状に形成される。捕獲器本体2は、一端に捕獲物30を吸い込む吸込口4aが形成され、他端に掃除機20の吸引ホース20bに差し込まれる差込口5aが形成される。捕獲器本体2の軸方向に直交する断面は、円形状、楕円形状、多角形状等の任意の形状を有する。差込口5aは、使用する掃除機20の吸引ホース20bの先端の掃除機取付部20aの形状に合致した形状が好ましい。捕獲器本体2は、例えば、50~300mm、好ましくは80~250mmの長さを有する。
【0034】
以下では、吸込口4aと差込口5aとを結ぶ方向を前後方向(軸方向とも呼ぶ)とし、吸込口4aの側を前側、差込口5aの側を後側とする。また、
図1に示す状態において、
図1の上下方向を上下方向とする。さらに、上下方向及び前後方向に直交する方向を左右方向とする。
図1、
図5、
図6及び
図8は、掃除機用捕獲器1を前後方向に沿って切断したときの断面図である。
【0035】
具体的には、捕獲器本体2は、吸込口4aを有する略筒状の筒胴部4と、差込口5aを有する略筒状の接続部5とを備える。筒胴部4の吸込口4aと反対側の端面と接続部5の差込口5aと反対側の端面とは互いに連接される。
【0036】
図5(a)に示すように、筒胴部4の吸込口4aの端部4bの少なくとも一部は、捕獲器本体2の軸(前後方向)に対して鋭角の傾斜角度θで傾斜して形成される。
図5(b)に示すように、吸込口4aを、傾斜角度θ傾いた方向(B視図)から見たとき、開口長さは開口長14aである。
図5(c)に示すように、前後方向に直交する方向(C視図)から見たとき、開口長さは開口長14bである。開口長14aは開口長14bよりも大きい。
【0037】
図5(a)には、吸込口4aは、傾斜角度θが約45度になるように斜めに形成された例を示している。開口長14aと開口長14bとの差は、傾斜角度θが小さいほど大きくなる。筒胴部4の開口長14b(直径)は、捕獲物30を捕獲できれば特に限定されず、例えば、20~40mm、好ましくは30mmである。筒胴部4の開口長14aは、捕獲物30を捕獲できれば特に限定されず、例えば、30~60mm、好ましくは45mmである。
【0038】
接続部5は、筒胴部4の吸込口4aとは反対側の端面と連接される段部6と、差込口5aを有するテーパ部とを有する。接続部5の内径は、段部6とテーパ部との連結部が一番大きい。段部6の内径は、筒胴部4と連接される端面から連結部に向かって大きくなる。すなわち、段部6の内径の少なくとも一部は、筒胴部4の内径よりも大きい。接続部5の外径は、連結部から差込口5aに向かって小さくなる。すなわち、段部6において最も周長が長い第一外周長5bは、差込口5aにおける第二外周長5cよりも長い。差込口5aの外径は、一例として約29mmである。これは、市場に流通している掃除機20の掃除機取付部20aの寸法に合わせたものである。
【0039】
接続部5のテーパ部の外周面は、掃除機取付部20aが装着されるときに、簡単に外れないよう摩擦係数を高める処理がされていてもよい。例えば、接続部5のテーパ部表面にわずかな凹凸を設けてもよいし、摩擦係数が高い材料を接続部5のテーパ部の外周面に塗布してもよい。或いは接続部5全体をゴム等の摩擦係数が高い材質で形成してもよい。
【0040】
捕獲器本体2は、軸方向中央部において、外面の周方向の少なくとも一部に外側に突出する突出部7を有する。本実施形態1では、突出部7は、捕獲器本体2の段部6及び一部の筒胴部4の下側に位置する。なお、突出部7の位置は、特に制限はなく、例えば、突出部7は、捕獲器本体2の下側、上側、右側又は左側の任意の位置に設けることができる。また、突出部7は、捕獲器本体2の下側及び上側、右側及び左側、又は、外周全体に設けられてもよい。突出部7が捕獲器本体2の外周全体に設けられる場合は、鍔部7とも呼ぶ。
【0041】
突出部7は、使用者が手を触れることなく掃除機20から掃除機用捕獲器1を取り外すためのものである。突出部7は、一部が前後方向(軸方向)に沿って差込口5aに向かって延びる引っ掛け部7bを有する。引っ掛け部7bは、捕獲器本体2の外面との間に隙間7cを有する。
図1等に示すように、引っ掛け部7bは、突出部7の下側の端部より、前後方向の後側、すなわち差込口5aの側であって掃除機取付部20aの側に向かって延びる。
【0042】
図5等に示すように、隙間7cは、ここに掃除機取付部20aの一部が挿入可能にするために設けられており、さらにこの隙間7cにゴミ箱の端部、或いは外力を加えるための部材(例えば棒のような引っ掛け部材)を挿入するためのものである。さらに、
図4に示すように、引っ掛け部7bには、幅方向へ突出する引っ掛けリブ7dが左側及び右側に形成される。引っ掛けリブ7dは、引っ掛け部7bが形成されている前後方向の略全長にわたって形成される。
【0043】
捕獲器本体2の内部、すなわち筒胴部4及び接続部5の内部は、吸込口4aから差込口5aに至る内部空間8が形成される。突出部7の内部も空洞であり、突出部7の内部空間8は、捕獲器本体2の内部空間8、すなわち筒胴部4及び接続部5の内部空間8と連通する。内部空間8は、吸込口4aから吸入した捕獲物30を掃除機用捕獲器1の内部に保持するために形成された空間である。
【0044】
内部空間8を形成する内面(内周壁)8bの少なくとも一部には、粘着剤9が設けられる。粘着剤9は、内面8bの全面に設けられてもよいし、筒胴部4の一部に設けられる等、粘着剤9を配置する領域が限定されていてもよい。粘着剤9は、突出部7の内部空間8を形成する内面には設けられることが好ましい。
【0045】
粘着剤9は、内面8bに直接塗布されるタイプでもよいし、両面粘着テープ9bを貼り付けるタイプでもよい。粘着剤9の表面は、剥離部材(図示しない)によって覆われていてもよいし、露出していてもよい。粘着剤9の表面が剥離部材によって覆われている場合は、後述するように、製造工程中に剥がすか、使用する前に使用者が剥がす必要がある。粘着剤9の表面が剥離部材によって覆われていない場合は、乾燥して粘着力が低下する恐れがある。これに対して、粘着剤9は、乾燥してもある程度粘着力が維持されるものを選択する、または工場出荷時には掃除機用捕獲器1を密閉状態にし、使用者が使用時に開封する等の方法がある。
【0046】
捕獲器本体2は、内部空間8に、網部3を前側及び後側から挟み込んで係合する係合部8aを備える。網部3は、係合部8aに係合されて、捕獲器本体2の軸方向と直交する面を塞ぐ。
【0047】
図3に示すように、網部3は、少なくとも一部に吸込口4aから吸い込まれた空気を透過する網3aを有する。具体的には、網部3は、網3a、筒状の外枠3b、及び筒状の内枠3cから構成される。
【0048】
外枠3bは、網部3が取り付けられる位置の内部空間8の軸方向に直交する断面と略同等の外形を有する。内枠3cは、網3aを挟み込むギャップを有して外枠3bの内部にはまる外形を有する。外枠3b及び内枠3cは、前後方向の長さが係合部8aの間にはめ込まれる長さを有する。
【0049】
網3aは、金属、樹脂、不織布、その他の材質からなるシート状の部材で形成される。網3aの色は、種々の色を選択することができるが、黒色が好ましい。網3aの色を黒色にすることで、内部空間8の視認性が向上し、捕獲物30が捕獲されているかどうかが確認しやすくなる。捕獲物30は、接続部5の差込口5aの側から内部空間8に光を当てながらのぞき込むようにすると視認することができる。また、網3aの編み目の粗さは、対象とする捕獲物30のサイズに応じて大小の設定を行うことが可能である。
【0050】
網部3は、網3aの外縁を折り曲げ、内枠3cの外側に巻き付けるようにし、外枠3bの内側にはめ込むことで形成される。
図3(b)は網部3が組み付けられた状態を示し、
図3(c)は、網部3が捕獲器本体2に取り付けられた状態を示す(ここでは、網部3は仮想線で示している)。このとき、網3aは、筒胴部4と連接される端面の軸方向に直交する面の面積と略同等の面積を有することが好ましい。組み立てられた網部3は、
図1に示すように、接続部5において網3aが差込口5aの側である前後方向の後側になるように取り付けられる。
【0051】
なお、網部3は、外枠3b及び内枠3cを使用する構成に限られず、例えば、外枠3bに網3aが接着等で固定されている構成でもよい。
【0052】
図1に示すように、係合部8aは、段部6を含む接続部5に形成される。網部3が取り付けられる部分の接続部5の内径5dは、筒胴部4と接続部5とが連接される連接部の内径4dよりも大きい。すなわち、網部3は、接続部5において、段部6の筒胴部4と連接される側の端面の内径4dよりも大きい内径5dの部分に取り付けられる。よって、網部3は、筒胴部4の内径4dよりも広い範囲で捕獲器本体2の軸方向に直交する面を塞ぐことができる。
【0053】
図3(c)に示すように、前側の係合部8aは、角柱状に形成され、後側の係合部8aは円柱状に形成される。係合部8aの形状はこれらの形状に限定されるものではなく、網部3を挟み込める形状であれば任意の形状でもよい。例えば、内部空間8の内面8bに段差を形成して係合部8aを設けてもよい。また、内面8bに網部3がはまり込む凹部を形成して係合部8aを設けてもよい。係合部8aは、網部3の内枠3cと外枠3bに係合する凸部または段差を有し、特に前側の係合部8aは、網3aを塞がない突出量、又は段差であることが望ましい。掃除機20から吸引されるときに網部3を通して発生する負圧が、係合部8aによって低下するのを防ぐためである。
【0054】
網部3は、係合部8aに挟まれて固定されるため、前後方向において移動することなく安定的に固定される。なお、網部3は、係合部8aの間に圧入されて固定されてもよいし、外枠3bと内面8bとが接着されてもよい。
【0055】
図6に示すように、掃除機用捕獲器1は、吸込口4aから挿入可能な弾性球11を備えてもよい。弾性球11は、差込口5aに装着された掃除機20によって吸引されることで、内部空間8に保持される。具体的には、弾性球11は内部空間8のうち網部3よりも前側に保持される。弾性球の数に制限はなく、1個又は2個以上備えることができる。
【0056】
弾性球11は、スポンジ、ゴム、フェルト、その他の弾性を有する材料により形成される。弾性球11は、吸込口4aへ挿入可能であれば、大きさ、形状、硬さ(弾力性)等は特に制限はない。掃除機用捕獲器1が備える弾性球11の全てが吸込口4aから捕獲器本体2に吸い込まれたときに、捕獲器本体2の軸方向に直交する面が塞がれればよい。例えば、掃除機用捕獲器1が1個の弾性球11を備える場合は、1個の弾性球11の直径は、筒胴部4の内面8bの直径よりも大きく、吸込口4aから吸い込まれるとき、弾性変形して内面8bに保持されるサイズが好ましい。掃除機用捕獲器1が2個以上の弾性球11を備える場合は、1個の弾性球11の直径は、筒胴部4の内面8bの直径より小さくてもよく、複数個の弾性球11で内面8bの軸方向に直交する面を塞げればよい。
【0057】
<捕獲器本体2の構成>
次に、
図9を参照して、捕獲器本体2の構成の例をより具体的に説明する。捕獲器本体2は、第一本体2aと第二本体2bとからなる。第一本体2a及び第二本体2bは、捕獲器本体2を前後方向(軸方向)に沿って二等分に分割した形状である。すなわち、第一本体2aと第二本体2bとは対称の形状である。第一本体2aと第二本体2bとは、ヒンジ部7aによって開閉可能に接続される。
【0058】
ヒンジ部7aは、突出部7に形成される。第一本体2aと第二本体2bとは、ヒンジ部7aによって180°開く。第一本体2aと第二本体2bとが互いに接触する接触部10は、第一本体2aと第二本体2bとが180°開かれた状態で同一平面上に並ぶ。第一本体2aと第二本体2bとが閉じられたとき、接触部10が接合し、内部空間8が形成される。接触部10の少なくとも一部は、接合部材12によって閉じられる(
図2、
図4参照)。接触部10の全てが密閉状態で接合されれば、掃除機20による吸引効率が、より高まる。
【0059】
捕獲器本体2は、パルプモールド成形又は樹脂成形によって一体成形することができる。また、第一本体2a、第二本体2b及びヒンジ部7aを個別の部材とし、第一本体2aと第二本体2bとをヒンジ部7aで接続して一連の部材としてもよい。
【0060】
係合部8aは、第一本体2a及び第二本体2bのそれぞれに形成される。第一本体2aと第二本体2bとが閉じられることで、内部空間8が形成され、網部3は、第一本体2aと第二本体2bとに挟まれて取り付けられる。第一本体2aと第二本体2bとが開かれることで、網部3が着脱可能となる。
【0061】
引っ掛け部7bは、第一本体2a及び第二本体2bの双方にわたって繋がっており、ヒンジ部7aで折り曲げることで重ね合わされる。捕獲器本体2がパルプモールド成形又は樹脂成形によって製造される場合、引っ掛け部7bは均等の肉厚の板状に形成される。引っ掛け部7bは、ヒンジ部7aにて重ねられることにより板厚が2倍になり強度が高まる。
【0062】
この捕獲器本体2は、種々の材料を使って作製することができる。材料として、例えば、ボール紙等の厚紙、ダンボール、樹脂、木材、ゴム、金属等が用いられる。さらに、例えばパルプモールドによって成形する場合は、新聞紙或いは段ボールの古紙等の環境に優しい材料を用いることができる。そしてこれらの材料を適宜選択して使用することができる。網部3の外枠3bと内枠3cも、捕獲器本体2と同様に種々の材料を選択することができる。
【0063】
捕獲器本体2がパルプモールドによって形成される場合は、捕獲器本体2は軽量化が可能となり、部品コストの低減が図れるので、掃除機用捕獲器1を使い捨てタイプにすることができる。また、パルプモールドは材料として新聞紙、段ボール等の古紙を使用することができるので、環境に優しい。
【0064】
また、捕獲器本体2が樹脂成形によって形成される場合は、捕獲器本体2は、ヒンジ部7aにおいて開閉可能であるので、網部3を取り替えることで繰り返し使用可能である。また、粘着剤9は、内面(内周壁)8bに対して剥離可能な粘着テープを使用すれば、貼り替えが可能である。
【0065】
なお、掃除機用捕獲器1は、その他の材料によって形成される場合を含めて、1回限りの使い捨てタイプにするか、或いは繰り返し使用できるタイプにするかは適宜選択可能である。
【0066】
<掃除機用捕獲器1の製造方法>
次に、
図9を参照して、掃除機用捕獲器1の製造方法について説明する。まず、第一に、捕獲器本体2は、第一本体2aと第二本体2bとを開いた状態とする。第一本体2a及び第二本体2bの内面8bに粘着剤9を設ける。粘着剤9は、粘性材9aを内面(内周壁)8bに直接塗布して設けてもよいし、剥離部材(図示せず)でカバーされた両面粘着テープ9bを貼り付けて設けてもよい。両面粘着テープ9bを使用する場合は、内面8bに貼付した後、剥離部材を剥がす工程が追加される。なお、後述するように、捕獲器本体2を繰り返し使用する場合は、使用者が使用前に剥離部材を剥がしてもよい。
【0067】
第二に、網部3を第一本体2a又は第二本体2bのいずれか一方の係合部8aの間に取り付ける。網部3は、内面8bに接着剤等で接着して固定してもよいし、係合部8aの間に圧入して固定してもよい。網部3は、圧入方式によって内面8bに固定される場合、着脱可能である。この場合、網部3を交換することで、捕獲器本体2を繰り返し使用することができる。なお、網部3は、必ずしも固定する必要はない。網部3は、第一本体2aと第二本体2bとが閉じられると固定されるからである。
【0068】
第三に、第一本体2aと第二本体2bとを閉じ、接触部10を接合部材12によって接合する。
図2及び
図4に示すように、筒胴部4は、接触部10が接触した状態で、ハッチングを施した領域(外周)に粘着テープ12bを巻き付けて接合する。さらに、
図2に示すように、接触部10のうちの上側は、前後方向に沿った全域に粘着テープ12aを貼り付ける。
図2に示すように、粘着テープ12aを貼り付ける領域は、前後方向の全域に形成された湾曲していない平面部2cである。この平面部2cに粘着テープ12aを貼り付けることで、貼り付けた後の粘着テープ12aの浮き上がり等を防止することができる。掃除機用捕獲器1を使い捨てタイプとする場合には、粘着テープ12a、12bとして、粘着力が比較的強力で、剥離が困難なものを選択する。掃除機用捕獲器1を繰り返し使用する場合は、粘着テープ12a、12bとして再剥離タイプのものを使用する。
【0069】
さらに、
図4には図示しないが、突出部7及び接続部5の下側の接触部10にも粘着テープを貼り付けて接合してもよい。また、引っ掛け部7bは、第一本体2aと第二本体2bとが重ね合わされるときに接着されてもよい。なお、ここでは接合方法として粘着テープ12a、12bを使用する方法を説明したが、これに限られず、他の方法を用いてもよい。例えば、フック状の留め具を使用してもよいし、マグネットを使用して接合してもよいし、さらに他の接合方法を用いてもよい。
【0070】
<掃除機用捕獲器の使用方法>
次に、
図1~
図6及び
図8を参照して、掃除機用捕獲器1によって捕獲物30を捕獲する方法を説明する。まず、
図8(a)~(c)を参照して、接続部5が掃除機取付部20aに装着される状態を説明する。
図8(a)は、接続部5が装着可能な最大サイズの掃除機取付部20aに装着された状態を示す。この場合、接続部5は、掃除機取付部20aの端部が突出部7に接触する位置まで装着される。
図8(b)は、接続部5が装着可能な最小サイズの掃除機取付部20aに装着された状態を示す。この場合、接続部5はテーパ部の外周に掃除機取付部20aの端部が接触した状態で装着される。
図8(c)は、掃除機取付部20aが
図8(a)と
図8(b)との間のサイズの場合を示す。使用者は、保有する掃除機20の掃除機取付部20aのサイズに応じて、
図8(a)~(c)のいずれかの形で掃除機用捕獲器1を掃除機20の掃除機取付部20aに装着する(
図1参照)。
【0071】
それから、
図5に示すように、使用者は掃除機20を作動させ、吸込口4aから捕獲物30を吸い込む。捕獲物30は網部3まで吸い込まれ、粘着剤9に貼り付くか或いは網部3に留まる。さらに、
図6に示すように、吸込口4aから弾性球11を吸い込むと、弾性球11が内面8bに保持される。捕獲物30は、仮に粘着剤9に貼り付いていなくても、弾性球11と網部3とに挟まれて、内部空間8から外部に出ることはない。
【0072】
次に、
図7を参照して掃除機20の掃除機取付部20aから掃除機用捕獲器1を取り外す方法を説明する。
図7(a)は掃除機用捕獲器1が掃除機取付部20aに装着された状態を示す。使用後に
図7(b)に示すように突出部7の引っ掛け部7bに矢印方向の外力を加えることで、掃除機用捕獲器1を掃除機取付部20aから取り外すことができる。
【0073】
例えば、使用者は、突出部7の引っ掛け部7bをゴミ箱の縁に引っ掛けて外力を加えることで、掃除機用捕獲器1に触れることなくゴミ箱に掃除機用捕獲器1を廃棄することができる。
図7(c)を参照(ゴミ箱は図示しない)。或いは、使用者は、突出部7或いは引っ掛け部7bに押し当て部材(例えば棒のような部材)を押し当てることにより、掃除機用捕獲器1を掃除機取付部20aから取り外すことができる。このようにすれば、使用者は、掃除機用捕獲器1に直接手に触れることなくゴミ箱等に掃除機用捕獲器1を廃棄することができる。
【0074】
また、使用者は、掃除機20の掃除機取付部20a付近をゴミ箱の縁に当てて掃除機用捕獲器1をゴミ箱内に落下させることで掃除機用捕獲器1を取り外すことができる。このとき、突出部7が下側に位置していることが好ましい。突出部7が設けられていることで、掃除機用捕獲器1の重心が下側に位置し、ゴミ箱の中に自然に落下する。
【0075】
[実施形態2]
次に、
図10~
図12を参照して、実施形態2に係る掃除機用捕獲器1について説明する。実施形態2について、実施形態1と同一の事項は、同一の符号を付すことで説明を省略する。
【0076】
図10及び
図11に示すように、第一本体2a及び第二本体2bは、別個独立に形成される。第一本体2aは、周方向端面全体に、第二本体2bの周方向端部に覆いかぶさる被覆部2dが一体的に形成される。被覆部2dは、第一本体2aの周方向端面から周方向に突出しつつ第二本体2bの厚み分だけ径方向外側に広がっている。第一本体2aと第二本体2bとは、被覆部2dの内周面と第二本体2bの周方向端部の外周面とを接着剤で接着する。これにより捕獲器本体2が形成される。
【0077】
捕獲器本体2の筒胴部4の吸込口4a付近は、吸込み口4aに向かって径が大きくなる。
【0078】
捕獲器本体2の差込口5a付近、つまり接続部5には、軸方向に延び、且つ、径方向に内側に凹んだ少なくとも一つの第1凹溝13が形成される。具体的には、第1凹溝13は、差込口5aから前後方向(軸方向)に延びて形成される。
図10の形態では、第一本体2aに1個(図示せず)、第二本体2bに1個の第1凹溝13を有する。第1凹溝13は、周方向に離間して複数個設けることもできる。
【0079】
第1凹溝13は、接続部5の径方向厚みより厚みが薄くなっていればよく、内側に膨らむ形状でもよい。また、第1凹溝13は、内部空間8まで貫通するスリットとして形成することもできる。
【0080】
突出部7は、捕獲器本体2の下側に突出する。実施形態1のような引っ掛け部7bは有さない。
【0081】
係合部8aは、周方向全体にわたって接続部5の外面を径方向内側に凹ませて形成される。係合部8aは、係合部8aの位置における捕獲器本体2の軸方向に直交する面の直径が、筒胴部4と接続部5とが連接される端面の内径と同等又は内径より大きいことが好ましい。前側の係合部8aと後側の係合部8aとは、網部3を隙間なく挟める距離だけ離間して配置される。なお、係合部8aは、周方向全体にわたって形成される必要はなく、周方向に所定間隔をあけて複数の係合部8aが形成されてもよい。また、係合部8aは、別部材として形成し、捕獲器本体2の内面8bに取り付ける構成でもよい。
【0082】
図12に示すように、網部3は、不織布からなる網3aと、網3aを固定する一対の平板リング状の枠体3dとから構成される。枠体3dの外径は、係合部8aと係合でき、且つ、接続部5における内部空間8に収納可能な大きさを有する。枠体3dの内径は、係合部8aの内径と同等又は係合部8aの内径よりも大きい大きさを有する。枠体3dは、例えばコートボール紙を用いることが好ましい。網3aを不織布で形成し、枠体3dをコートボール紙で形成し、捕獲器本体2をパルプモールドで形成することで、使用後の掃除機用捕獲器1の廃棄の際に分別等を気にする必要がなく、環境に優しい構成となる。
【0083】
[実施形態3]
次に、
図13及び
図14を参照して、実施形態3に係る掃除機用捕獲器1について説明する。実施形態3について、実施形態2と同一の事項は、同一の符号を付すことで説明を省略する。
【0084】
第一本体2a及び第二本体2bの内周面には、捕獲器本体2の吸込口4a付近、より具体的には筒胴部4の前後方向の中央付近に、径方向に外側に膨らんだ少なくとも一つの液漏れ防止溝15が形成される。液漏れ防止溝15は、第一本体2a及び第二本体2bの一方の周方向端面から他方の周方向端面まで周方向に延びて形成される。
図13及び
図14の形態では、液漏れ防止溝15は、前後方向に離間して2個設けられる。なお、液漏れ防止溝15の数は、2個に限定されるものではなく、任意の数(例えば、1個、3個以上等)とすることができる。
【0085】
粘着剤9は、液漏れ防止溝15より後側、且つ、網部3より前側、及び、突出部7の内部空間8を形成する内面に塗布される。
【0086】
[実施形態4]
次に、
図15及び
図16を参照して、実施形態4に係る掃除機用捕獲器1について説明する。実施形態4について、実施形態2及び実施形態3と同一の事項は、同一の符号を付すことで説明を省略する。
【0087】
捕獲器本体2の吸込口4a付近、つまり筒胴部4には、軸方向に延び、且つ、径方向に内側に凹んだ少なくとも一つの第2凹溝17が形成される。具体的には、第2凹溝17は、吸込口4aから筒胴部4の全体にわたって前後方向(軸方向)に延びて形成される。
図15の形態では、第一本体2aに2個(図示せず)、第二本体2bに2個の第2凹溝17を有する。なお、第2凹溝17は、第一本体2a及び第二本体2bにそれぞれ1個ずつ、又は3個以上等、任意の個数とすることができる。
【0088】
第2凹溝17は、筒胴部4の径方向厚みより厚みが薄くなっていればよく、内側に膨らむ形状でもよい。また、第2凹溝17は、内部空間8まで貫通するスリットとして形成することもできる。
【0089】
<掃除機用捕獲器の解決課題及びその効果>
以上説明した掃除機用捕獲器1は、種々の課題を解決し、効果を奏する。従来の掃除機用捕獲器は、掃除機の掃除機取付部に対して容易に取り外しできないという課題があった。また、掃除機用捕獲器を取り外す際に、入口部分に直接触れる必要があり、捕獲した捕獲物に触れてしまう恐れがあった。また、掃除機用捕獲器で捕獲した捕獲物を処分する際に、入口部分から捕獲物が逃げる恐れがあった。本発明による掃除機用捕獲器1は、この課題を解決するものである。
【0090】
図1等に示すように、本発明の掃除機用捕獲器1は、外面の周方向の少なくとも一部より突出する突出部(鍔部)7を備えている。よって、掃除機用捕獲器1は、突出部7に外力を加えることにより、掃除機取付部20aから容易に取り外すことができる。
図7に示すように、例えば、使用者は突出部7をゴミ箱等に引っ掛けて外力を加えることにより、掃除機用捕獲器1を掃除機取付部20aから容易に取り外すことができ、そのままゴミ箱等に廃棄できる。或いは、使用者は突出部7に直接手をかけることにより、掃除機取付部20aから掃除機用捕獲器1を容易に取り外すことができる。この場合も、使用者は突出部(鍔部)7に触れるのみで、掃除機用捕獲器1の内部空間8に捕獲された捕獲物30に触れることはない。
【0091】
網部3は、捕獲器本体2の内部空間8に設けられ、前後方向と直交する面を塞ぐ。これにより、吸込口4aから吸い込まれた捕獲物30は、内部空間8に留められる。よって、使用者が掃除機20の掃除機取付部20aから掃除機用捕獲器1を取り外すときに、網部3に捕獲された捕獲物30に触れることがない。
【0092】
また、掃除機用捕獲器1の突出部7は、掃除機取付部20aからより容易に取り外しができる形状が求められる。これに対して、実施形態1の突出部7は、捕獲器本体2の前後方向に沿って差込口5aに向かって延びる引っ掛け部7bが形成され、引っ掛け部7bと捕獲器本体2の外面との間には隙間7cが形成されている。よって、突出部(鍔部)7の一部である引っ掛け部7bに外力を加えることにより、掃除機用捕獲器1は、掃除機取付部20aからより容易に取り外すことができる。さらに、引っ掛け部7bには、幅方向へ突出する引っ掛けリブ7dが左側及び右側に形成されている。よって、引っ掛け部7bの剛性が高まり、引っ掛け部7bに外力を加えた場合の変形を抑えることができる。
【0093】
また、実施形態2~4の掃除機用捕獲器1では、接続部5に第1凹溝13又はスリットが形成される。これにより、掃除機取付部20aへの掃除機用捕獲器1の装着、及び、掃除機取付部20aからの掃除機用捕獲器1の取り外し時に、第1凹溝13の底が凹む又はスリットが狭まることで第1凹溝13又はスリットの幅が狭くなり、差込口5aの外径が小さくなるため、掃除機取付部20aへの掃除機用捕獲器1の装着、及び、掃除機取付部20aからの掃除機用捕獲器1の取り外しが容易になる。
【0094】
さらに、実施形態2~4の掃除機用捕獲器1では、第一本体2aは、周方向端面全体に、第二本体2bの周方向端部に覆いかぶさる被覆部2dを一体的に備える。これにより、掃除機用捕獲器1と掃除機取付部20aとの接続部分に凹凸ができて摩擦力がアップし、掃除機用捕獲器1を使用した時に掃除機用捕獲器1が掃除機取付部20aから外れ難くなる。
【0095】
掃除機用捕獲器1は、吸込口4aから吸引した捕獲物30を内部空間8内に留め、掃除機20の内部に吸引されないようにする課題がある。捕獲物30が掃除機20の内部に吸い込まれてしまうと、掃除機20の内部で捕獲物30が腐敗し、悪臭の発生及び菌の発生等の悪影響が考えられるからである。合わせて、捕獲した捕獲物30が差込口5aに移動して掃除機20へ移動しないように、内部空間8において網部3が移動することを防止する必要がある。本発明による掃除機用捕獲器1は、この課題を解決するものである。
【0096】
網部3は、係合部8aによって前側及び後側から挟み込まれており、内部空間8において移動することなく固定される。よって、吸込口4aから吸い込まれた捕獲物30は、網部3によって内部空間8内の移動が規制され、掃除機20の内部に吸い込まれることを防止できる。
【0097】
また、実施形態1の掃除機用捕獲器1では、網部3は、接続部5において網3aが差込口5aの側である前後方向の後側になるように取り付けられる。すると、吸込口4aから吸い込まれた捕獲物30は、網部3の内枠3cの内側に留まる。掃除機用捕獲器1を繰り返し使用する場合、網部3の交換と同時に捕獲物30を回収できる。例えば、網3aの表面に網用粘着剤(図示しない)が塗布されていると、捕獲物30が網部3に留まる可能性が高まる。
【0098】
網部3は、接続部5のテーパ部において、その内径が筒胴部4の内径よりも大きい部分に取り付けられる。よって、網部3は、筒胴部4の内径よりも広い範囲で内部空間8を塞ぐことができる。
【0099】
また、掃除機用捕獲器1に使用する掃除機20の掃除機取付部20aは、種々のサイズがあり、これに対応する必要があるという課題がある。本発明による掃除機用捕獲器1は、この課題を解決するものである。
【0100】
接続部5の外面は、段部6とテーパ部との連結部から差込口5aにわたって少なくとも一部がテーパ状に形成されている。よって、
図8(a)~(c)に示すように、掃除機用捕獲器1は、掃除機取付部20aのサイズが異なる場合であっても、
図8(a)に示す最大サイズから
図8(c)に示す最小サイズの間であれば使用できる。接続部5のうち、外面がテーパ状の部分(テーパ部)においては、外径が連結部から差込口5aにわたって変化するので、掃除機取付部20aのサイズが微妙に異なっても使用可能である。
【0101】
また、接続部5は安定した状態で掃除機取付部20aに装着させるという課題がある。この課題に対し、突出部7は段部6に隣接して形成されるので、接続部5の前後方向においてテーパが形成される領域が長くなり傾斜が緩やかになる。よって、掃除機取付部20aは、テーパ状の部分(テーパ部)においてより確実に装着することができる。さらに、突出部7は、接続部5の外面のうち外径が大きい部分に形成されるので、掃除機20の掃除機取付部20aから取り外すときに外力を加えやすい。
【0102】
また、掃除機用捕獲器1は、限られた領域の内部空間8において、効率的に捕獲物30を捕獲したいという課題がある。すなわち、内部空間8において、網部3はできるだけ広い範囲で内部空間8を塞ぐことで、捕獲物30を確実にキャッチしたいという課題がある。また、内部空間8は、吸込口4aに対して前後方向の途中で内径が狭くなることによって掃除機20の吸引効果を下げないようにするという課題がある。
【0103】
これらの課題に対して、網部3は、接続部5のテーパ部において接続部5の内径5dが筒胴部4の内径4dよりも大きい部分に取り付けられるので、より広範囲で捕獲物30を捕獲することができる。さらに、網3aが筒胴部4の軸方向に直交する面の面積と略同等の面積を有するため、網3aが吸込口から吸い込まれた空気を十分に通すことができる。これにより、網部3によって、内部空間8の内径を狭めて掃除機20の吸引力を弱めることを防止でき、掃除機20の吸引効率を高めることができる。
【0104】
また、掃除機用捕獲器1は、種々のサイズの捕獲物30を捕獲したいというニーズがある。特に、大きなサイズの捕獲物30を捕獲するために、吸込口4aのサイズを大きくすると、掃除機用捕獲器1全体のサイズが大きくなり、扱いにくくなるという課題がある。さらに、掃除機20に装着したときに、吸込口4aが捕獲物30を吸い込むときに操作しやすくしたいという課題がある。本発明による掃除機用捕獲器1は、この課題を解決するものである。
【0105】
吸込口4aの少なくとも一部は、筒胴部4の軸に対して鋭角の傾斜角度θで傾斜して形成されている。
図5(b)、及び(c)に示すように、開口長14aは開口長14bよりも大きい。よって、吸込口4aが前後方向に対して直角に形成された場合に比べて、開口の長さが大きくなるので、大きなサイズの捕獲物30を吸引できる。また、吸込口4aは先端の少なくとも一部が鋭角に傾いているので、掃除機20に取り付けたときに床面に沿うようになり、捕獲物30を吸い込みやすい。特に実施形態2~4の掃除機用捕獲器1では、吸込口4a付近が吸込口4aに向かって径が大きくなる。これにより、吸込口4aの開口の長さがより大きくなり、大きなサイズの捕獲物30もよい容易に吸引できる。さらに、突出部7を捕獲器本体2の下側等の周方向の一部に位置させることで、家具等の隙間に掃除機用捕獲器1を差し込むことができ、家具等の隙間にいる捕獲物30も吸い込みやすくなる。
【0106】
また、掃除機用捕獲器1は、筒胴部4の内部空間8に捕獲物30を吸引した後に、捕獲物30が吸込口4aから出ないようにする課題がある。例えば、捕獲物30はサイズが小さく、網部3に衝突した後に粘着剤9に粘着せずに飛び出す場合が考えられる。本発明による掃除機用捕獲器1は、この課題を解決するものである。
【0107】
突出部7は、内部空間8を有し、突出部7の内部空間8にも粘着剤9が設けられる。これにより、
図17に示すように、掃除機用捕獲器1で捕獲された捕獲物30は、突出部7の内部空間8に嵌まる。捕獲物30が生きていた場合でも、この突出部7の内部空間8に脚が取られることで、捕獲物30が掃除機用捕獲器1から逃げ出し難くなる。特に、突出部7の内部空間8に粘着剤9が設けられることで、捕獲物30は粘着剤9にも絡めとられ、より掃除機用捕獲器から逃げ出し難くなる。なお、
図17は、実施形態3の掃除機用捕獲器1を用いて示しているが、実施形態2及び実施形態4の掃除機用捕獲器1でも同様である。
【0108】
また、掃除機用捕獲器1は、吸込口4aから挿入可能な弾性球11を備える。弾性球11が掃除機20によって吸込口4aから吸引されることで、弾性球11が内面8bに保持される。よって、捕獲物30は、網部3に衝突した後に粘着剤9に粘着しなかったとしても、弾性球11によって外部に出ない。また、仮に捕獲物30が吸込口4a付近に留まっていたとしても、弾性球11を吸い込むことで捕獲物30を内部空間8へ押し込むことができる。
【0109】
また、実施形態2~4の掃除機用捕獲器1では、吸込口4a付近が吸込口4aに向かって径が大きくなる。これにより、捕獲物30を吸い込んだ後に吸い込む弾性球11を吸い込みやすくすることができる。
【0110】
さらに、実施形態2~4の掃除機用捕獲器1では、筒胴部4に第2凹溝17又はスリットが形成される。これにより、捕獲物30を吸い込み、弾性球11で吸込口4aを塞いだ状態でさらに掃除機20で吸引すると、捕獲器本体2の内部の圧力が下がり、捕獲器本体2の径が小さくなる。その結果、弾性球11と捕獲器本体2の内面との隙間がよりなくなり、捕獲した捕獲物30がより逃げ出し難くなる。
【0111】
また、掃除機用捕獲器1は、網部3を内部空間8に取り付ける必要があるため、組み付け上の困難性を克服するという課題がある。この課題は、掃除機用捕獲器1の捕獲器本体2を第一本体2aと第二本体2bとで構成することによって解決される。よって、網部3は第一本体2aと第二本体2bとに挟まれて取り付けられるので、取付が容易である。
【0112】
また、実施形態1の掃除機用捕獲器1では、網部3は、第一本体2aと第二本体2bとが開かれるときに着脱可能なので、取替が容易である。さらに、係合部8aが第一本体2aと第二本体2bのそれぞれに形成されているので、網部3はいずれに対しても取り付け可能である。
【0113】
また、掃除機用捕獲器1は、特に使い捨てタイプの場合に部品コストを低くするという課題がある。この課題に対し、実施形態1の掃除機用捕獲器1では、捕獲器本体2は一連の部材で形成されているので、一体で成形することが可能である。例えばパルプモールド成形又は樹脂成形によって一体成形が可能である。よって、捕獲器本体2の部品コストを低くすることができる。
【0114】
また、掃除機20による吸引効率を高めるために、内部空間8の密閉度を高めるという課題がある。第一本体2aと第二本体2bとが互いに接触する接触部10は接合され、筒胴部4の少なくとも一部は接合部材12によって接触部10が閉じられている。よって、内部空間8の密閉度を高めることができる。なお、接合部材12は、密閉度を高める必要がある部分に使用すればよく、必ずしも全ての接触部10に使用する必要はない。
【0115】
また、実施形態2~4の掃除機用捕獲器1では、被覆部2dが形成されることで、第一本体2aと第二本体2bとの接続部分が被覆部2dの内側に位置し、第一本体2aと第二本体2bとを接着する接着剤が捕獲器本体2からはみ出すことがない。これにより、捕獲器本体2の見栄えをよくすることができる。
【0116】
一般に、掃除機用捕獲器1を販売する際には、販売棚に小スペースで陳列される場合が多い。そのため、掃除機用捕獲器1の前後方向を上下にして陳列することが好まれる。この場合、粘着剤9として、虫捕獲用粘着剤として一般によく知られている水溶性の粘着剤を使用すると、重力の影響で粘着剤9が下方向に垂れる恐れがある。掃除機用捕獲器1は、差込口5a側を下にすると網部3に粘着剤9が垂れて網部3が空気を透過させる機能を損なうため、吸込口4a側を下にして陳列することが多い。そうすると、粘着剤9は、吸込口4aから捕獲器本体2の外側に漏れることになる。しかしながら、実施形態3及び4の掃除機用捕獲器1では、第一本体2a及び第二本体2bの内面に液漏れ防止溝15を設けることにより、粘着剤9が液漏れ防止溝15内に入ることで、そこから下に落ちるのを防ぎ、よって捕獲器本体2の外側に粘着剤9が漏れることを防止することができる。
【0117】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。また、上記の各実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって、種々の発明の形成が可能である。
【0118】
上記実施形態では、捕獲器本体2は、第一本体及び第二本体から構成されているが、本発明はこの構成に限られない。捕獲器本体2は、二物品に分けられず、パルプモールド成形により一物品で形成されてもよい。このとき、捕獲器本体の外面に内部と連通する開口を設け、当該開口から網部3を取り付ける構成としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0119】
本発明の掃除機用捕獲器1は、掃除機の吸引ホースに装着することにより捕獲物を捕獲し、捕獲物を捕獲した状態で廃棄するための用途に使用できる。
【符号の説明】
【0120】
1 掃除機用捕獲器
2 捕獲器本体
2a 第一本体
2b 第二本体
2c 前後方向の全域に湾曲していない平面部
3 網部
3a 網
3b リング状の外枠
3c リング状の内枠
3d 枠体
4 筒胴部
4a 吸込口
4b 端部
4d 筒胴部内径
5 接続部
5a 差込口
5b 第一外周長
5c 第二外周長
5d 接続部内径
6 段部
7 突出部(鍔部)
7a ヒンジ部
7b 引っ掛け部
7c 隙間
7d 引っ掛けリブ
8 内部空間
8a 係合部
8b 内面(内周壁)
9 粘着剤
10 接触部
11 弾性球
12 接合部材
12a, 12b 粘着テープ
13 第1凹溝
14a, 14b 開口長
15 液漏れ防止溝
17 第2凹溝
20 掃除機
20a 掃除機取付部
20b 掃除機ホース
30 捕獲物
θ 傾斜角度