(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-05
(45)【発行日】2022-08-16
(54)【発明の名称】160°以上の視野角を有するフレキシブル基板レーダーアンテナ装置
(51)【国際特許分類】
H01Q 21/29 20060101AFI20220808BHJP
H01Q 1/38 20060101ALI20220808BHJP
H01Q 13/08 20060101ALI20220808BHJP
H01Q 21/06 20060101ALN20220808BHJP
【FI】
H01Q21/29
H01Q1/38
H01Q13/08
H01Q21/06
(21)【出願番号】P 2020196238
(22)【出願日】2020-11-26
【審査請求日】2020-11-26
(32)【優先日】2020-10-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】520465909
【氏名又は名称】鼎天國際股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】蔡 銘▲ほん▼
【審査官】佐藤 当秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-029163(JP,A)
【文献】特開平03-096105(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/00- 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持台、2つのアンテナボード、及び基板を有し、
前記支持台は、取付面及び2つの傾斜面を有し、前記傾斜面と前記取付面とがなす角度が第1角度であり、前記傾斜面が上に延伸する交点の角度が第2角度であり、
前記アンテナボードは、フレキシブル基板であり、その裏面をそれぞれ前記支持台の前記傾斜面に貼り付け、その正面に、検出信号を送信するための送信アンテナ及び障害物からの反射信号を受信するための受信アンテナが設けられ、
前記基板は、前記2つのアンテナボードの接続端に電気接続され、前記支持台の前記取付面と同じ水平面にあって、前記検出信号を発信して前記反射信号を受信するように前記アンテナボードを制御
し、
前記2つのアンテナボードを前記接続端から上に曲げて、次に外に曲げることで、前記送信アンテナ及び前記受信アンテナが斜め上方且つ外側に向かうことを特徴とする、
160°以上の視野角を有するフレキシブル基板レーダーアンテナ装置。
【請求項2】
前記送信アンテナ及び前記受信アンテナは、パッチアンテナであることを特徴とする、
請求項1に記載の160°以上の視野角を有するフレキシブル基板レーダーアンテナ装置。
【請求項3】
前記第2角度は、30~50°であることを特徴とする、
請求項1に記載の160°以上の視野角を有するフレキシブル基板レーダーアンテナ装置。
【請求項4】
基台及び上蓋をさらに有し、
前記基板は、前記基台に設けられ、
前記上蓋は、前記基台と組み合わせて一体にすることを特徴とする、
請求項1に記載の160°以上の視野角を有するフレキシブル基板レーダーアンテナ装置。
【請求項5】
前記アンテナボードは、薄型プリント基板であり、前記基板に組み立てられ、
前記支持台の前記取付面は、前記基板に接続されることを特徴とする、
請求項1に記載の160°以上の視野角を有するフレキシブル基板レーダーアンテナ装置。
【請求項6】
前記基板は、プリント基板であり、
前記アンテナボードは、フレキシブルプリント基板であり、その上に前記送信アンテナ及び前記受信アンテナとしてパッチアンテナを設け、
前記基板及び前記アンテナボードは、一体成形されることを特徴とする、
請求項
4に記載の160°以上の視野角を有するフレキシブル基板レーダーアンテナ装置。
【請求項7】
前記アンテナボードは、前記基板の隣接する2つの辺に設けられ、
前記支持台の前記取付面は、前記基台に接続されることを特徴とする、
請求項
6に記載の160°以上の視野角を有するフレキシブル基板レーダーアンテナ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用レーダーに関し、特に160°以上の視野角を有するフレキシブル基板レーダーアンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
運転の安全性を向上するために、運転者が見えない死角を検出する自動車用レーダーの技術がますます進歩している。例えば、駐車支援システム(Packing Assist System、PAS)、死角検出システム(Blind Spot Detection、BSD)、車線変更支援システム(Lane change Alert、LCA)、ドア開閉アラート(Door Open Warning、DOW)等が挙げられる。車両に搭載する支援機能は、警告距離を有し、障害物と車両との距離が警告距離と同じである、または警告距離より短くなった場合に、レーダーシステムが運転者に警告情報を報知する。
【0003】
一般的には、自動車用支援システム、例えば、駐車支援システム、死角検出システム、車線変更支援システム等は、上記自動車用レーダーを利用する。しかしながら、それらのシステムは、2つの独立したレーダーシステムを車のバンパーの両側に設け、それぞれ発信して検出信号を受信した後、車内システムに送信する。車内システムは、障害物との距離を計算し、警告を報知するかどうかを判断する。そのため、車内システムは、前記自動車用支援システムのソフトウェアをインストールしなければならない。車内システムが故障又は異常終了の場合に、自動車用支援システムの機能も作動せず、運転の安全性に影響を与える。
【0004】
上記問題を解決するため、本発明は、160°以上の視野角を有するフレキシブル基板レーダーアンテナ装置を提出する。本発明の装置は、レーダー装置にマザーボードを設け、アンテナボードを異なる方向の2つのアンテナボードに分け、更にフレキシブルアンテナボードを利用することでレーダー装置の形状を柔軟に変化できる。以下、その具体的な構成及び実施形態を詳しく説明する。
【発明の概要】
【0005】
本発明の主な目的は、160°以上の視野角を有するフレキシブル基板レーダーアンテナ装置を提供する。前記レーダーアンテナ装置は、アンテナボードとして柔らかいフレキシブル基板を利用することで、あらゆる形状のレーダー装置に貼り付けることができる。そのため、レーダー装置の形状の設計柔軟性を高める。
【0006】
本発明の他の目的は、160°以上の視野角を有するフレキシブル基板レーダーアンテナ装置を提供することである。前記レーダーアンテナ装置は、それぞれ異なる方向に向かう2つのアンテナボードを有する。そのため、1つのレーダーによって160°の以上の広角視野を達成できる。
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、160°以上の視野角を有するフレキシブル基板レーダーアンテナ装置を提供する。前記装置は、支持台、2つのアンテナボード、及び基板を有する。前記支持台は、取付面及び2つの傾斜面を有し、前記傾斜面と前記取付面とがなす角度が第1角度であり、前記傾斜面が上に延伸する交点の角度が第2角度である。前記アンテナボードは、フレキシブル基板であり、その裏面をそれぞれ前記支持台の前記傾斜面に貼り付け、その正面に、検出信号を送信するための送信アンテナ及び障害物からの反射信号を受信するための受信アンテナが設けられる。前記基板は、前記2つのアンテナボードの接続端に電気接続され、前記支持台の前記取付面と同じ水平面にあって、前記検出信号を発信して前記反射信号を受信するように前記アンテナボードを制御する。
【0008】
本発明の1つの実施例において、前記送信アンテナ及び前記受信アンテナは、パッチアンテナである。
【0009】
本発明の1つの実施例において、前記第2角度は、30~50°である。
【0010】
本発明の1つの実施例において、前記2つのアンテナボードを前記接続端から上に曲げて、次に外に曲げることで、前記送信アンテナ及び前記受信アンテナが斜め上方且つ外側に向かう。
【0011】
本発明の1つの実施例において、基台及び上蓋をさらに有する。前記基板は、前記基台に設けられる。前記上蓋は、前記基台と組み合わせて一体にする。
【0012】
本発明の1つの実施例において、前記アンテナボードは、薄型プリント基板であり、前記基板に組み立てられる。前記支持台の前記取付面は、前記基板に接続される。
【0013】
本発明の1つの実施例において、前記基板は、プリント基板である。前記アンテナボードは、フレキシブルプリント基板であり、その上に前記送信アンテナ及び前記受信アンテナとしてパッチアンテナを設ける。前記基板及び前記アンテナボードは、一体成形される。
【0014】
本発明の1つの実施例において、前記アンテナボードは、前記基板の隣接する2つの辺に設けられる。前記支持台の前記取付面は、前記基台に接続される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の160°以上の視野角を有するフレキシブル基板レーダーアンテナ装置の実施例を示す斜視図である。
【
図2】本発明の160°以上の視野角を有するフレキシブル基板レーダーアンテナ装置の実施例から上蓋を外した状態を示す斜視図である。
【
図3】本発明の160°以上の視野角を有するフレキシブル基板レーダーアンテナ装置の実施例を示す分解図である。
【
図4B】本発明の160°以上の視野角を有するフレキシブル基板レーダーアンテナ装置を示す正面図である。
【
図5】本発明の160°以上の視野角を有するフレキシブル基板レーダーアンテナ装置の他の実施例から上蓋を外した状態を示す斜視図である。
【
図6】本発明の160°以上の視野角を有するフレキシブル基板レーダーアンテナ装置の他の実施例を示す分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、160°以上の視野角を有するフレキシブル基板レーダーアンテナ装置を提供する。本発明の装置は、自動車用レーダーに用いられ、レーダー中にフレキシブルアンテナボードを設けることで、アンテナボードがあらゆる形状の支持フレームに貼り付けられ、あらゆる形状のレーダー装置に適用できる。
【0017】
図1、
図2、及び
図3を参照しながら説明する。
図1は、本発明の160°以上の視野角を有するフレキシブル基板レーダーアンテナ装置10を示す斜視図である。
図2は、上蓋を外した状態を示す斜視図である。
図3は、前記装置10を示す分解図である。
【0018】
本発明の160°以上の視野角を有するフレキシブル基板レーダーアンテナ装置10は、上蓋12、基台14、2つのアンテナボード16、支持台18、及び基板20を有する。そのうち、上蓋12と基台14を組み合わせことができる。支持台18は、2つの傾斜面182及び取付面184を有する。2つの傾斜面182と取付面184とがなす角度が第1角度であり、2つの傾斜面182が上に延伸する交点の角度が第2角度である。前記2つの傾斜面182は、対称または非対称であってもよい。アンテナボード16は、柔らかい特性を有するフレキシブル基板であり、2つのアンテナボード16の裏面をそれぞれ支持台18の2つの傾斜面182に貼り付ける。アンテナボード16の一端は接続端166であり、基板20に電気接続される。
図2、3の実施例において、アンテナボード16は、固定素子によって基板20に組み立てられる。アンテナボード16の正面に、検出信号を送信するための送信アンテナ162及び障害物からの反射信号を受信するための受信アンテナ164が設けられる。第2端がある角度で外に傾斜するため、送信アンテナ162及び受信アンテナ164は、外に向かって広い範囲に検出信号を送信し、反射してきた反射信号を受信できる。基板20は、プリント基板であり、基台14に設けられ、支持台18の取付面184と同じ水平面にある。基板20は、検出信号を発信して反射信号を受信するようにアンテナボード16を制御し、その後の計算、例えば障害物との距離、車と地面の角度等の計算を行う。
図2に示すように、支持台18の取付面184が基板20に接続され、傾斜面182がアンテナボード16に接続されることで、柔らかいアンテナボード16が支持台18の形状に沿って支持台18の上表面に貼り付ける。
【0019】
本発明において、送信アンテナ162及び受信アンテナ164は、パッチアンテナである。本発明の実施例において、アンテナボード16を接続端166から上に曲げて、次に中部の位置で外に曲げることで、送信アンテナ162及び受信アンテナ164が斜め上方に向かう。しかしながら、アンテナボード16の形状は、支持台18の形状によって変更することができる。留意すべきことは、送信アンテナ162及び受信アンテナ164のチップは、曲がらずに末部の平面領域に設けられる。
図4Aは、アンテナボードの俯瞰図である。
図4Aに示すように、曲げられるのは送信アンテナ162及び受信アンテナ164の送電線であるため、アンテナの検出効果に影響を与えない。
【0020】
図2、3の実施例において、アンテナボード16は、厚さが約0.2mmである薄型プリント基板である。薄型プリント基板は、硬い素材であるが、十分の薄さを有するために曲げることができ、その欠点が壊れやすいことにある。また、フレキシブル液晶ポリマー材料(Liquid-crystal polymer、LCP)を利用してもよく、その利点が曲げられ且つ壊れにくく、その欠点がコストが高いことにある。
【0021】
本発明において、基板20から障害物があるかどうかを検出するための検出信号をアンテナボード16の裏面の放射アンテナ(図示せず)に送信し、検出信号を信号結合の方法によって放射アンテナの真後ろ及びアンテナボード16の正面にある信号結合点(図示せず)に伝送する。信号結合点は、検出信号を送信アンテナ162に伝送し、送信アンテナ162によって検出信号を発信する。検出信号が障害物に当たって反射してきた場合に、受信アンテナ164がその反射信号を受信して信号結合点に伝送し、そして、その裏面の放射アンテナで結合し、基板20に送信する。基板20は、マザーボードであり、その上に演算処理能力を有するマイクロプロセッサー(図示せず)を有する。例えば、駐車支援システム(Packing Assist System、PAS)、死角検出システム(Blind Spot Detection、BSD)、車線変更支援システム(Lane change Alert、LCA)等の車両支援システムは、車内システムではなく、基板20にインストールしてもよい。
【0022】
図4Bは、160°以上の視野角を有するフレキシブル基板レーダーアンテナ装置10を示す正面図である。
図4Bに示すように、2つの傾斜面182が上に延伸する交点の夾角をθ1(第2角度)とし、2つの傾斜面182と取付面184とがなす角度をθ2、θ3(第1角度)とすると、2つの傾斜面182が互いに対称である場合に、θ2=θ3となる。アンテナボード16が柔らかく支持台18に貼り付けられるため、アンテナボード16の後半部の傾斜度と見なすことができる。第2角度θ1を30~50°とすると、アンテナボード16によって障害物を検出する視野が160°以上に広くすることができる。
【0023】
図5、6は、本発明の160°以上の視野角を有するフレキシブル基板レーダーアンテナ装置10の他の実施例を示す模式図である。
図5は、上蓋を外した状態を示す斜視図である。
図6は、その分解図である。
【0024】
本実施例の基板24がより小さい多角形であり、2つのアンテナボード22がそれぞれ基板24の隣接する2つの辺に設けられる。基板24がより小さいため、支持台18は、基板24ではなく、基台14に設けられる。本実施例と
図2、3の実施例の相違点としては、本実施例のアンテナボード22及び基板24は、一体成形されることにある。アンテナボード22は、フレキシブルプリント基板であり、それ自体が基板となり、同じく支持フレーム18に貼り付けられる。アンテナボード22上に送信アンテナ222及び受信アンテナ224としてパッチアンテナを設ける。基板24は、プリント基板である。プリント基板とフレキシブルプリント基板をボンディングして一体成形する技術が既に存在しているため、それを本発明に利用すると、アンテナボード22及び基板24を一体成形することができる。
【0025】
上記をまとめると、本発明の160°以上の視野角を有するフレキシブル基板レーダーアンテナ装置は、異なる方向に向かう2つのアンテナボードを有するため、視野の範囲を拡大することができる。車両の前又は後に1つのレーダーアンテナ装置を設置するだけで、車両の左右にある障害物を検出できる。また、本発明において、アンテナボードとして曲げ可能な素材を利用することで、適用できるレーダーの型番を広くすることができる。レーダーの形状に関わらず、レーダー形状に合うアンテナボードを作るではなく、アンテナボードをそのままレーダーの内部構造(例えば、支持フレーム)に貼り付ければよい。そのため、製造の工程及びコストを大幅に減少できる。また、本発明において、マザーボードがレーダーアンテナ装置に設けられるため、マザーボードが壊れた場合に、従来技術のように車内システムを交換する必要がなく、レーダーだけを交換すればよい。
【0026】
上記内容は、あくまで本発明の実施例に過ぎない。本発明は、上記内容に限定されない。本発明の特徴及びその精神に基づいてなされた均等的な変更又は改良は、いずれも本発明に含む。
【符号の説明】
【0027】
10 160°以上の視野角を有するフレキシブル基板レーダーアンテナ装置
12 上蓋
14 基台
16 アンテナボード
162 送信アンテナ
164 受信アンテナ
166 接続端
18 支持台
182 傾斜面
184 取付面
20 基板
22 フレキシブルプリント基板
222 送信アンテナ
224 受信アンテナ
24 基板