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特許7118538バスバ保持構造、電気接続箱、および、ワイヤハーネス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-05
(45)【発行日】2022-08-16
(54)【発明の名称】バスバ保持構造、電気接続箱、および、ワイヤハーネス
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/16 20060101AFI20220808BHJP
   H05K 7/06 20060101ALI20220808BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20220808BHJP
   H01R 31/08 20060101ALI20220808BHJP
【FI】
H02G3/16
H05K7/06 C
B60R16/02 610A
H01R31/08 Q
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2018145211
(22)【出願日】2018-08-01
(65)【公開番号】P2020022290
(43)【公開日】2020-02-06
【審査請求日】2021-07-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】特許業務法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】江川 雅利
(72)【発明者】
【氏名】佐野 良則
【審査官】遠藤 尊志
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/150567(WO,A1)
【文献】特開2018-064366(JP,A)
【文献】特開2006-311754(JP,A)
【文献】特開2005-050577(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/08- 3/20
H05K 7/02- 7/10
B60R 16/00-17/02
H01R 27/00-31/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状の導電性材料から成り、かつ回路を構成するバスバ端子と、
前記バスバ端子の挿抜方向の両端に開口する開口部を介して外部と連通し、かつ対応する電子部品に電気的な接続が可能な連結端子および前記バスバ端子のいずれも収容可能な共用収容空間を有する端子収容部材と、を備え、
前記端子収容部材は、
前記共用収容空間を構成する内壁のうち、前記共用収容空間に前記バスバ端子が収容された収容状態において、前記バスバ端子に対して前記挿抜方向と直交する対向方向に対向する突起内壁と、
前記突起内壁に形成され、前記共用収容空間に前記連結端子または前記バスバ端子のいずれかが収容された状態において、前記連結端子または前記バスバ端子を係止し、前記挿抜方向の少なくとも一方の移動を規制する係止突起と、を有し、
前記バスバ端子は、
対応する前記電子部品に電気的な接続が可能な接続部と、
前記接続部の前記挿抜方向における挿入方向側の端部から前記挿抜方向における抜去方向側に延在する本体部と、
前記収容状態において、前記本体部から前記突起内壁側に向けて突出し前記係止突起に係止される被係止部と、を有し、
前記バスバ端子は、
前記挿抜方向および前記対向方向と直交する幅方向に複数配列され、隣り合う前記バスバ端子が前記本体部の前記抜去方向側の端部において互いに連結される、
ことを特徴とするバスバ保持構造。
【請求項2】
前記被係止部は、
前記本体部における前記挿抜方向および前記対向方向と直交する幅方向の一方の端部から他方の端部側に向けて形成された切り欠き部と、
前記切り欠き部を形成する内側面から突出し前記突起内壁側に向けて屈曲して形成された突出部と、
を有する請求項1に記載のバスバ保持構造。
【請求項3】
前記被係止部は、
前記本体部の途中から前記突起内壁側に向けて突出し前記突起内壁側から前記本体部側に折り返して形成される、
請求項1に記載のバスバ保持構造。
【請求項4】
板状の導電性材料から成り、かつ回路を構成するバスバ端子と、
前記バスバ端子の挿抜方向の両端に開口する開口部を介して外部と連通し、かつ対応する電子部品に電気的な接続が可能な連結端子および前記バスバ端子のいずれも収容可能な共用収容空間を有する端子収容部材と、を備え、
前記端子収容部材は、
前記共用収容空間を構成する内壁のうち、前記共用収容空間に前記バスバ端子が収容された収容状態において、前記バスバ端子に対して前記挿抜方向と直交する対向方向に対向する突起内壁と、
前記突起内壁に形成され、前記共用収容空間に前記連結端子または前記バスバ端子のいずれかが収容された状態において、前記連結端子または前記バスバ端子を係止し、前記挿抜方向の少なくとも一方の移動を規制する係止突起と、を有し、
前記バスバ端子は、
対応する前記電子部品に電気的な接続が可能な接続部と、
前記接続部の前記挿抜方向における挿入方向側の端部から前記挿抜方向における抜去方向側に延在する本体部と、
前記収容状態において、前記本体部から前記突起内壁側に向けて突出し前記係止突起に係止される被係止部と、を有し、
前記被係止部は、
前記本体部における前記挿抜方向および前記対向方向と直交する幅方向の一方の端部から他方の端部側に向けて形成された切り欠き部と、
前記切り欠き部を形成する内側面から突出し前記突起内壁側に向けて屈曲して形成された突出部と、
を有することを特徴とするバスバ保持構造。
【請求項5】
板状の導電性材料から成り、かつ回路を構成するバスバ端子と、
前記バスバ端子の挿抜方向の両端に開口する開口部を介して外部と連通し、かつ対応する電子部品に電気的な接続が可能な連結端子および前記バスバ端子のいずれも収容可能な共用収容空間を有する端子収容部材と、を備え、
前記端子収容部材は、
前記共用収容空間を構成する内壁のうち、前記共用収容空間に前記バスバ端子が収容された収容状態において、前記バスバ端子に対して前記挿抜方向と直交する対向方向に対向する突起内壁と、
前記突起内壁に形成され、前記共用収容空間に前記連結端子または前記バスバ端子のいずれかが収容された状態において、前記連結端子または前記バスバ端子を係止し、前記挿抜方向の少なくとも一方の移動を規制する係止突起と、を有し、
前記バスバ端子は、
対応する前記電子部品に電気的な接続が可能な接続部と、
前記接続部の前記挿抜方向における挿入方向側の端部から前記挿抜方向における抜去方向側に延在する本体部と、
前記収容状態において、前記本体部から前記突起内壁側に向けて突出し前記係止突起に係止される被係止部と、を有し、
前記被係止部は、
ヘミング曲げ加工により、前記本体部の途中から前記突起内壁側に向けて突出し前記突起内壁側から前記本体部側に折り返して形成される、
ことを特徴とするバスバ保持構造。
【請求項6】
対応する電子部品と、
板状の導電性材料から成り、かつ回路を構成するバスバ端子と、前記バスバ端子の挿抜方向の両端に開口する開口部を介して外部と連通し、かつ対応する電子部品に電気的な接続が可能な連結端子および前記バスバ端子のいずれも収容可能な共用収容空間を有する端子収容部材とを有するバスバ保持構造と、
内部に前記バスバ保持構造を収容する筐体と、を備え、
前記端子収容部材は、
前記共用収容空間を構成する内壁のうち、前記共用収容空間に前記バスバ端子が収容された収容状態において、前記バスバ端子に対して前記挿抜方向と直交する対向方向に対向する突起内壁と、
前記突起内壁に形成され、前記共用収容空間に前記連結端子または前記バスバ端子のいずれかが収容された状態において、前記連結端子または前記バスバ端子を係止し、前記挿抜方向の少なくとも一方の移動を規制する係止突起と、を有し、
前記バスバ端子は、
対応する前記電子部品に電気的な接続が可能な接続部と、
前記接続部の前記挿抜方向における挿入方向側の端部から前記挿抜方向における抜去方向側に延在する本体部と、
前記収容状態において、前記本体部から前記突起内壁側に向けて突出し前記係止突起に係止される被係止部と、を有し、
前記バスバ端子は、
前記挿抜方向および前記対向方向と直交する幅方向に複数配列され、隣り合う前記バスバ端子が前記本体部の前記抜去方向側の端部において互いに連結される、
ことを特徴とする電気接続箱。
【請求項7】
対応する電子部品と、
板状の導電性材料から成り、かつ回路を構成するバスバ端子と、前記バスバ端子の挿抜方向の両端に開口する開口部を介して外部と連通し、かつ対応する電子部品に電気的な接続が可能な連結端子および前記バスバ端子のいずれも収容可能な共用収容空間を有する端子収容部材とを有するバスバ保持構造と、
内部に前記バスバ保持構造を収容する筐体と、を備え、
前記端子収容部材は、
前記共用収容空間を構成する内壁のうち、前記共用収容空間に前記バスバ端子が収容された収容状態において、前記バスバ端子に対して前記挿抜方向と直交する対向方向に対向する突起内壁と、
前記突起内壁に形成され、前記共用収容空間に前記連結端子または前記バスバ端子のいずれかが収容された状態において、前記連結端子または前記バスバ端子を係止し、前記挿抜方向の少なくとも一方の移動を規制する係止突起と、を有し、
前記バスバ端子は、
対応する前記電子部品に電気的な接続が可能な接続部と、
前記接続部の前記挿抜方向における挿入方向側の端部から前記挿抜方向における抜去方向側に延在する本体部と、
前記収容状態において、前記本体部から前記突起内壁側に向けて突出し前記係止突起に係止される被係止部と、を有し、
前記被係止部は、
前記本体部における前記挿抜方向および前記対向方向と直交する幅方向の一方の端部から他方の端部側に向けて形成された切り欠き部と、
前記切り欠き部を形成する内側面から突出し前記突起内壁側に向けて屈曲して形成された突出部と、
を有することを特徴とする電気接続箱。
【請求項8】
対応する電子部品と、
板状の導電性材料から成り、かつ回路を構成するバスバ端子と、前記バスバ端子の挿抜方向の両端に開口する開口部を介して外部と連通し、かつ対応する電子部品に電気的な接続が可能な連結端子および前記バスバ端子のいずれも収容可能な共用収容空間を有する端子収容部材とを有するバスバ保持構造と、
内部に前記バスバ保持構造を収容する筐体と、を備え、
前記端子収容部材は、
前記共用収容空間を構成する内壁のうち、前記共用収容空間に前記バスバ端子が収容された収容状態において、前記バスバ端子に対して前記挿抜方向と直交する対向方向に対向する突起内壁と、
前記突起内壁に形成され、前記共用収容空間に前記連結端子または前記バスバ端子のいずれかが収容された状態において、前記連結端子または前記バスバ端子を係止し、前記挿抜方向の少なくとも一方の移動を規制する係止突起と、を有し、
前記バスバ端子は、
対応する前記電子部品に電気的な接続が可能な接続部と、
前記接続部の前記挿抜方向における挿入方向側の端部から前記挿抜方向における抜去方向側に延在する本体部と、
前記収容状態において、前記本体部から前記突起内壁側に向けて突出し前記係止突起に係止される被係止部と、を有し、
前記被係止部は、
ヘミング曲げ加工により、前記本体部の途中から前記突起内壁側に向けて突出し前記突起内壁側から前記本体部側に折り返して形成される、
ことを特徴とする電気接続箱。
【請求項9】
導電性を有する配索材と、
前記配索材に電気的に接続される電気接続箱とを備え、
前記電気接続箱は、
対応する電子部品と、
板状の導電性材料から成り、かつ回路を構成するバスバ端子と、前記バスバ端子の挿抜方向の両端に開口する開口部を介して外部と連通し、かつ対応する電子部品に電気的な接続が可能な連結端子および前記バスバ端子のいずれも収容可能な共用収容空間を有する端子収容部材とを有するバスバ保持構造と、
内部に前記バスバ保持構造を収容する筐体と、を備え、
前記端子収容部材は、
前記共用収容空間を構成する内壁のうち、前記共用収容空間に前記バスバ端子が収容された収容状態において、前記バスバ端子に対して前記挿抜方向と直交する対向方向に対向する突起内壁と、
前記突起内壁に形成され、前記共用収容空間に前記連結端子または前記バスバ端子のいずれかが収容された状態において、前記連結端子または前記バスバ端子を係止し、前記挿抜方向の少なくとも一方の移動を規制する係止突起と、を有し、
前記バスバ端子は、
対応する前記電子部品に電気的な接続が可能な接続部と、
前記接続部の前記挿抜方向における挿入方向側の端部から前記挿抜方向における抜去方向側に延在する本体部と、
前記収容状態において、前記本体部から前記突起内壁側に向けて突出し前記係止突起に係止される被係止部と、を有し、
前記バスバ端子は、
前記挿抜方向および前記対向方向と直交する幅方向に複数配列され、隣り合う前記バスバ端子が前記本体部の前記抜去方向側の端部において互いに連結される、
ことを特徴とするワイヤハーネス。
【請求項10】
導電性を有する配索材と、
前記配索材に電気的に接続される電気接続箱とを備え、
前記電気接続箱は、
対応する電子部品と、
板状の導電性材料から成り、かつ回路を構成するバスバ端子と、前記バスバ端子の挿抜方向の両端に開口する開口部を介して外部と連通し、かつ対応する電子部品に電気的な接続が可能な連結端子および前記バスバ端子のいずれも収容可能な共用収容空間を有する端子収容部材とを有するバスバ保持構造と、
内部に前記バスバ保持構造を収容する筐体と、を備え、
前記端子収容部材は、
前記共用収容空間を構成する内壁のうち、前記共用収容空間に前記バスバ端子が収容された収容状態において、前記バスバ端子に対して前記挿抜方向と直交する対向方向に対向する突起内壁と、
前記突起内壁に形成され、前記共用収容空間に前記連結端子または前記バスバ端子のいずれかが収容された状態において、前記連結端子または前記バスバ端子を係止し、前記挿抜方向の少なくとも一方の移動を規制する係止突起と、を有し、
前記バスバ端子は、
対応する前記電子部品に電気的な接続が可能な接続部と、
前記接続部の前記挿抜方向における挿入方向側の端部から前記挿抜方向における抜去方向側に延在する本体部と、
前記収容状態において、前記本体部から前記突起内壁側に向けて突出し前記係止突起に係止される被係止部と、を有し、
前記被係止部は、
前記本体部における前記挿抜方向および前記対向方向と直交する幅方向の一方の端部から他方の端部側に向けて形成された切り欠き部と、
前記切り欠き部を形成する内側面から突出し前記突起内壁側に向けて屈曲して形成された突出部と、
を有することを特徴とするワイヤハーネス。
【請求項11】
導電性を有する配索材と、
前記配索材に電気的に接続される電気接続箱とを備え、
前記電気接続箱は、
対応する電子部品と、
板状の導電性材料から成り、かつ回路を構成するバスバ端子と、前記バスバ端子の挿抜方向の両端に開口する開口部を介して外部と連通し、かつ対応する電子部品に電気的な接続が可能な連結端子および前記バスバ端子のいずれも収容可能な共用収容空間を有する端子収容部材とを有するバスバ保持構造と、
内部に前記バスバ保持構造を収容する筐体と、を備え、
前記端子収容部材は、
前記共用収容空間を構成する内壁のうち、前記共用収容空間に前記バスバ端子が収容された収容状態において、前記バスバ端子に対して前記挿抜方向と直交する対向方向に対向する突起内壁と、
前記突起内壁に形成され、前記共用収容空間に前記連結端子または前記バスバ端子のいずれかが収容された状態において、前記連結端子または前記バスバ端子を係止し、前記挿抜方向の少なくとも一方の移動を規制する係止突起と、を有し、
前記バスバ端子は、
対応する前記電子部品に電気的な接続が可能な接続部と、
前記接続部の前記挿抜方向における挿入方向側の端部から前記挿抜方向における抜去方向側に延在する本体部と、
前記収容状態において、前記本体部から前記突起内壁側に向けて突出し前記係止突起に係止される被係止部と、を有し、
前記被係止部は、
ヘミング曲げ加工により、前記本体部の途中から前記突起内壁側に向けて突出し前記突起内壁側から前記本体部側に折り返して形成される、
ことを特徴とするワイヤハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バスバ保持構造、電気接続箱、および、ワイヤハーネスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車等の車両に搭載され、ヒューズ、リレー等の電子部品や、電子部品に電気的に接続されるワイヤハーネスを集約して内部に収容する電気接続箱が知られている。このような電気接続箱は、ワイヤハーネスを構成する配索材(例えば電線等)の端部に圧着された金属製の連結端子を収容する端子収容室を備える。端子収容室には、電子部品に電気的に接続されるバスバ端子が収容可能に構成されたものがある(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2017/150567号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、端子収容室が連結端子およびバスバ端子のいずれも収容可能な場合、例えば連結端子を係止する突起を利用してバスバ端子を係止させるために、バスバ端子に貫通孔が形成されている。近年、バスバ端子の小型化に伴って、バスバ端子の横幅が短くなってバスバ端子の通電電流量が低下するおそれがある。
【0005】
本発明は、バスバ端子の通電電流量を低下させることなく、バスバ端子を容易に保持することができるバスバ保持構造、電気接続箱、および、ワイヤハーネスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係るバスバ保持構造は、板状の導電性材料から成り、かつ回路を構成するバスバ端子と、前記バスバ端子の挿抜方向の両端に開口する開口部を介して外部と連通し、かつ対応する電子部品に電気的な接続が可能な連結端子および前記バスバ端子のいずれも収容可能な共用収容空間を有する端子収容部材と、を備え、前記端子収容部材は、前記共用収容空間を構成する内壁のうち、前記共用収容空間に前記バスバ端子が収容された収容状態において、前記バスバ端子に対して前記挿抜方向と直交する対向方向に対向する突起内壁と、前記突起内壁に形成され、前記共用収容空間に前記連結端子または前記バスバ端子のいずれかが収容された状態において、前記連結端子または前記バスバ端子を係止し、前記挿抜方向の少なくとも一方の移動を規制する係止突起と、を有し、前記バスバ端子は、対応する前記電子部品に電気的な接続が可能な接続部と、前記接続部の前記挿抜方向における挿入方向側の端部から前記挿抜方向における抜去方向側に延在する本体部と、前記収容状態において、前記本体部から前記突起内壁側に向けて突出し前記係止突起に係止される被係止部と、を有し、前記バスバ端子は、前記挿抜方向および前記対向方向と直交する幅方向に複数配列され、隣り合う前記バスバ端子が前記本体部の前記抜去方向側の端部において互いに連結される、ことを特徴とする。
【0007】
また、上記バスバ保持構造において、前記被係止部は、前記本体部における前記挿抜方向および前記対向方向と直交する幅方向の一方の端部から他方の端部側に向けて形成された切り欠き部と、前記切り欠き部を形成する内側面から突出し前記突起内壁側に向けて屈曲して形成された突出部と、を有するものである。
【0008】
また、上記バスバ保持構造において、前記被係止部は、前記本体部の途中から前記突起内壁側に向けて突出し前記突起内壁側から前記本体部側に折り返して形成される、ものである。
【0010】
上記目的を達成するために、本発明に係る電気接続箱は、対応する電子部品と、板状の導電性材料から成り、かつ回路を構成するバスバ端子と、前記バスバ端子の挿抜方向の両端に開口する開口部を介して外部と連通し、かつ対応する電子部品に電気的な接続が可能な連結端子および前記バスバ端子のいずれも収容可能な共用収容空間を有する端子収容部材とを有するバスバ保持構造と、内部に前記バスバ保持構造を収容する筐体と、を備え、前記端子収容部材は、前記共用収容空間を構成する内壁のうち、前記共用収容空間に前記バスバ端子が収容された収容状態において、前記バスバ端子に対して前記挿抜方向と直交する対向方向に対向する突起内壁と、前記突起内壁に形成され、前記共用収容空間に前記連結端子または前記バスバ端子のいずれかが収容された状態において、前記連結端子または前記バスバ端子を係止し、前記挿抜方向の少なくとも一方の移動を規制する係止突起と、を有し、前記バスバ端子は、対応する前記電子部品に電気的な接続が可能な接続部と、前記接続部の前記挿抜方向における挿入方向側の端部から前記挿抜方向における抜去方向側に延在する本体部と、前記収容状態において、前記本体部から前記突起内壁側に向けて突出し前記係止突起に係止される被係止部と、を有し、前記バスバ端子は、前記挿抜方向および前記対向方向と直交する幅方向に複数配列され、隣り合う前記バスバ端子が前記本体部の前記抜去方向側の端部において互いに連結される、ことを特徴とする。
【0011】
上記目的を達成するために、本発明に係るワイヤハーネスは、導電性を有する配索材と、前記配索材に電気的に接続される電気接続箱とを備え、前記電気接続箱は、対応する電子部品と、板状の導電性材料から成り、かつ回路を構成するバスバ端子と、前記バスバ端子の挿抜方向の両端に開口する開口部を介して外部と連通し、かつ対応する電子部品に電気的な接続が可能な連結端子および前記バスバ端子のいずれも収容可能な共用収容空間を有する端子収容部材とを有するバスバ保持構造と、内部に前記バスバ保持構造を収容する筐体と、を備え、前記端子収容部材は、前記共用収容空間を構成する内壁のうち、前記共用収容空間に前記バスバ端子が収容された収容状態において、前記バスバ端子に対して前記挿抜方向と直交する対向方向に対向する突起内壁と、前記突起内壁に形成され、前記共用収容空間に前記連結端子または前記バスバ端子のいずれかが収容された状態において、前記連結端子または前記バスバ端子を係止し、前記挿抜方向の少なくとも一方の移動を規制する係止突起と、を有し、前記バスバ端子は、対応する前記電子部品に電気的な接続が可能な接続部と、前記接続部の前記挿抜方向における挿入方向側の端部から前記挿抜方向における抜去方向側に延在する本体部と、前記収容状態において、前記本体部から前記突起内壁側に向けて突出し前記係止突起に係止される被係止部と、を有し、前記バスバ端子は、前記挿抜方向および前記対向方向と直交する幅方向に複数配列され、隣り合う前記バスバ端子が前記本体部の前記抜去方向側の端部において互いに連結される、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るバスバ保持構造、電気接続箱、および、ワイヤハーネスは、バスバ端子の通電電流量を低下させることなく、バスバ端子を容易に保持することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、実施形態に係るバスバ保持構造、電気接続箱、およびワイヤハーネスの概略構成を示す斜視図である。
図2図2は、実施形態に係るバスバ保持構造の概略構成を示す分解斜視図である。
図3図3は、実施形態に係るバスバの概略構成を示す斜視図である。
図4図4は、実施形態に係るバスバ保持構造の概略構成を示す縦断面図である。
図5図5は、実施形態の変形例に係るバスバの概略構成を示す斜視図である。
図6図6は、実施形態の変形例に係るバスバ保持構造の概略構成を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではない。下記の実施形態における構成要素には、いわゆる当業者が容易に想定できるもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。また、下記の実施形態における構成要素は、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。
【0015】
[実施形態]
本発明の一実施形態に係るバスバ保持構造、電気接続箱、およびワイヤハーネスについて図1図4を参照して説明する。図1は、実施形態に係るバスバ保持構造、電気接続箱、およびワイヤハーネスの概略構成を示す斜視図である。図2は、実施形態に係るバスバ保持構造の概略構成を示す分解斜視図である。図3は、実施形態に係るバスバの概略構成を示す斜視図である。図4は、実施形態に係るバスバ保持構造の概略構成を示す縦断面図である。なお、図1では、各部が相互に組付けられた状態の電気接続箱およびワイヤハーネスの一例を示す。図1図2では、バスバに接続される配索材等は省略されている。図4図6も同様)は、図1のA-A線における縦断面図であるが、後述する連結端子および配索材は省略されている。
【0016】
以下の説明では、特に記載しない限り、図1図4図5図6も同様)に示すX方向、Y方向、Z方向のうち、X方向をバスバ端子の「幅方向」と呼び、Y方向をバスバ端子の「板厚方向」と呼び、Z方向をバスバ端子の「挿抜方向」と呼ぶ。X、Y、Zの各方向は、相互に交差する。なお、バスバ端子の挿抜方向における一方を挿入方向、他方を抜去方向と呼ぶ。この挿抜方向は鉛直方向に限られない。
【0017】
本実施形態に係るバスバ保持構造3は、図1に示すように、電気接続箱1に収容され、電子部品2と配索材Wとの間に介在させた接続体(所謂ブロックの如きもの)として構成される。電気接続箱1は、自動車等の車両(不図示)に搭載され、ワイヤハーネスWHに組み込まれたものである。ワイヤハーネスWHは、例えば、車両に搭載される各機器間の電気的な接続のために、電源供給や信号通信に用いられる複数の配索材Wを束にして集合部品とし、コネクタ等で複数の配索材Wを各機器に接続するようにしたものである。ワイヤハーネスWHは、導電性を有する配索材Wと、配索材Wに電気的に接続される電気接続箱1とを備える。配索材Wは、例えば、金属棒、電線、電線束等によって構成される。金属棒は、導電性の棒状部材の外側を絶縁性の被覆部によって覆ったものである。電線は、複数の導電性の金属素線からなる導体部(芯線)の外側を絶縁性の被覆部によって覆ったものである。電線束は、当該電線を束ねたものである。ワイヤハーネスWHは、複数の配索材Wを束ねて集約すると共に、束ねられた配索材Wの端末に設けられたコネクタ等を介して電気接続箱1に電気的に接続される。ワイヤハーネスWHは、複数の配索材W、電気接続箱1の他に、グロメット、プロテクタ、固定具等を含んで構成されてもよい。
【0018】
電気接続箱1は、各種電子部品を集約して内部に収容するものである。電気接続箱1は、例えば、車両のエンジンルームや車両室内に設置される。電気接続箱1は、配索材W等を介して、バッテリ等の電源と、車両内に搭載される各種電子機器との間に接続されている。電気接続箱1は、電源から供給された電力を車両内の各種電子機器に分配する。電気接続箱1は、ジャンクションボックス、ヒューズボックス、リレーボックスなどとも呼ばれる場合があるが、本実施形態ではこれらを総称して電気接続箱と呼ぶ。具体的には、電気接続箱1は、電子部品2と、バスバ保持構造3と、筐体4とを含んで構成される。ここで筐体4は、絶縁性を有する樹脂材料によって形成される。筐体4は、複数の部材を組み合わせることによって中空箱状に形成される。筐体4は、中空状の内部に電子部品2、バスバ保持構造3等を含む各部を収容する。
【0019】
電子部品2は、筐体4の内部に収容され、種々の機能を発揮する素子である。電子部品2は、例えば、コンデンサ、リレー、抵抗、トランジスタ、ヒューズ、コネクタ、IPS(Intelligent Power Switch)、マイコンを含む電子制御ユニット等である。本実施形態の電子部品2は、低背ヒューズであり、電子部品本体211と、電子部品本体211に電気的に接続される一対の端子212とを備える。電子部品本体211は、内部に可溶体を有する。一対の端子212は、可溶体を挟んで互いに電気的に接続される。
【0020】
バスバ保持構造3は、電子部品2と、連結端子120およびバスバ10の一方または両方とを内部に収容および保持し、その内部において電子部品2と、連結端子120およびバスバ10の一方または両方とを電気的に接続させるものである。バスバ保持構造3は、連結端子120およびバスバ10のそれぞれに対して、直接的または間接的にかつ電気的に接続された配索材Wが外部に引き出されている。具体的には、バスバ保持構造3は、バスバ10と、端子収容部材20とを含んで構成される。
【0021】
ここで連結端子120は、配索材Wの端部に圧着若しくは溶着等で接続された金属端子であり、接続対象(相手側端子)の嵌合部と嵌合して当該接続対象と配索材Wとを電気的に接続するものである。例えば、連結端子120は、電子部品2の端子212と嵌合して当該電子部品2と配索材Wとを電気的に接続する。連結端子120は、例えば、導電性を有する板状の金属材料(例えば銅や銅合金等)を母材にして、接続対象の嵌合部との物理的な接続が可能な所定の形状に成形されている。
【0022】
バスバ10は、導電性を有する板状の金属材料(例えば銅や銅合金等)を母材にして、一部が接続対象の嵌合部と嵌合可能な形状に成形されており、他の一部が要求される回路に対応した形状に成形されている。バスバ10は、電源(不図示)に接続し、電子部品2の端子212と嵌合して当該電子部品2と電源とを電気的に接続することができる。また、バスバ10は、複数の電子部品2の各端子212と嵌合して、電源からの電力を複数の電子部品2に分配することができる。バスバ10は、板状の金属材料がプレス加工されることで要求される回路に対応した形状に成形される。バスバ10は、端子収容部材20に収容される。バスバ10は、図3に示すように、バスバ端子11Aと、連結部12と、延出部18とを含んで構成される。
【0023】
端子収容部材20は、絶縁性を有する合成樹脂等の樹脂材料で筐体状に成形される。端子収容部材20は、図2に示すように、開口部22,22A,22Bと、共用収容空間21Aと、単独収容空間21Bと、スリット25A,25Bとを含んで構成される。
【0024】
開口部22は、端子収容部材20の挿入方向の端部に設けられており、電子部品2が挿入される挿入口である。開口部22は、例えば、要求される回路に必要な電子部品2の数に応じて端子収容部材20に複数設けられる。開口部22A,22Bは、端子収容部材20の抜去方向の端部にあって、それぞれが開口部22と対向する位置に設けられている。開口部22A,22Bは、要求される回路に必要な連結端子120や後述するバスバ端子11Aの数に応じて端子収容部材20に複数設けられている。開口部22Aは、連結端子120およびバスバ端子11Aのいずれも挿入可能に形成され、連結端子120とバスバ端子11Aとで共用される共用収容空間21Aに連通する。開口部22Bは、連結端子120の挿入を可能とし、連結端子120が収容される単独収容空間21Bに連通する。
【0025】
共用収容空間21Aは、バスバ端子11Aの挿抜方向の両端に開口する開口部22,22Aを介して外部と連通し、対応する電子部品2に電気的な接続が可能な連結端子120およびバスバ端子11Aのいずれも収容可能な収容空間である。共用収容空間21Aは、開口部22Aを介して連結端子120とバスバ端子11Aとを入れ替えて収容することができる。共用収容空間21Aは、端子収容部材20内に1または複数形成される。複数の共用収容空間21Aは、複数のバスバ端子11Aが連結されたバスバ10を収容することが可能である。この場合、各共用収容空間21Aには、バスバ10を構成する各バスバ端子11Aが収容される。共用収容空間21Aは、図4に示すように、開口部22,22Aと、一対の内壁24a,24bとを含んで構成される。内壁24aは、共用収容空間21Aにバスバ端子11Aが収容されていない非収容状態において、内壁24bと対向する位置に形成されている。内壁24aは、共用収容空間21Aにバスバ端子11Aが収容された収容状態において、バスバ端子11Aと対向方向(板厚方向)に対向する位置に形成されている。内壁24aは、突起内壁であり、係止突起26が設けられている。
【0026】
係止突起26は、共用収容空間21Aに連結端子120またはバスバ端子11Aのいずれかが収容された状態において、連結端子120またはバスバ端子11Aを係止し、挿抜方向の少なくとも一方の移動を規制するものである。本実施形態の係止突起26は、上記収容状態において、バスバ端子11Aを係止し、抜去方向の移動を規制することができる。係止突起26は、上記収容状態において、挿入方向側の面がバスバ端子11Aの被係止部15Aに当接して、共用収容空間21A内のバスバ端子11Aの抜去方向の移動を規制する。係止突起26は、抜去方向側の面が挿入方向側から抜去方向側に向けて低くなるように傾斜している。
【0027】
単独収容空間21Bは、開口部22,22Bを介して外部と連通し、開口部22Bを介して連結端子120を収容する収容空間である。単独収容空間21Bは、共用収容空間21Aと同様に、端子収容部材20内に1または複数形成される。本実施形態の共用収容空間21Aは、挿抜方向において単独収容空間21Bよりも長く延在して形成されている。なお、本実施形態の端子収容部材20は、共用収容空間21Aと単独収容空間21Bの2種類の収容空間を有するが、これに限定されず、全ての収容空間が共用収容空間21Aであってもよい。
【0028】
スリット25Aは、複数の共用収容空間21Aにおいて、隣接する共用収容空間21Aの間に介在する各内壁24a,24bの抜去方向側の端部に形成され、隣接する共用収容空間21Aと部分的に連通する。スリット25Aは、上記収容状態において、バスバ10の連結部12を板厚方向に挟持する。スリット25Bは、端子収容部材20の外壁27のうち、共用収容空間21Aに隣接する外壁27の抜去方向側の端部に形成され、隣接する共用収容空間21Aと外部とを連通する。スリット25Bは、上記収容状態において、バスバ10の延出部18を板厚方向に挟持する。
【0029】
バスバ端子11Aは、上述したように、板状の導電性材料から成り、かつ回路を構成する。バスバ端子11Aは、幅方向に複数配列され、隣り合うバスバ端子11Aが本体部14における接続部13と反対側の端部において互いに連結される。つまり、本実施形態のバスバ10は、幅方向に複数配列されたバスバ端子11Aにおいて、隣り合うバスバ端子11Aが相互に連結部12で接続されたものである。バスバ端子11Aは、接続部13と、本体部14と、被係止部15Aとを含んで構成される。
【0030】
接続部13は、本体部14の挿入方向の端部に形成され、接続対象の嵌合部に対して物理的に嵌合し、当該嵌合により電気的な接続を可能にする部分である。接続部13は、例えば、対応する電子部品2(の端子212)に対して物理的に嵌合可能な形状に成形されている。接続部13は、図3に示すように、例えば、打ち抜き加工等により先端が二股に別れた音叉形状に成形されている。
【0031】
本体部14は、接続部13の挿抜方向における挿入方向側の端部から挿抜方向における抜去方向側に延在する部分である。本体部14は、上記収容状態において、内壁24a,24bのそれぞれに対向して形成される。
【0032】
被係止部15Aは、上記収容状態において、本体部14から内壁24a側に向けて突出し、係止突起26に係止される部分である。被係止部15Aは、切り欠き部31と、突出部32とを有する。切り欠き部31は、本体部14における幅方向の一方の端部から他方の端部側に向けて形成される。突出部32は、切り欠き部31を形成する内側面から突出し内壁24a側に向けて屈曲して形成される。本実施形態の突出部32は、切り欠き部31を形成する内側面から突出し幅方向における一方側から他方側に折り返して形成される。突出部32の折り返し部は、バスバ端子11Aの挿抜方向に沿った端面から出ない位置に形成される。すなわち、被係止部15Aは、バスバ端子11Aの幅方向の範囲内に収まるように形成される。
【0033】
連結部12は、隣接するバスバ端子11Aの本体部14を連結する部分である。各連結部12は、上記収容状態において、各スリット25Aに挟持される。
【0034】
延出部18は、バスバ10の幅方向のいずれか一方の端部から突出して形成され、端子収容部材20に保持される。延出部18は、上記収容状態において、複数の共用収容空間21Aの配列方向(ここではX方向)のうちの一方の外壁27に形成されたスリット25Bに挿入挟持される。
【0035】
次に、本実施形態に係るバスバ保持構造3の組み立て手順について説明する。なお、バスバ保持構造3の組み立て手順としては、以下に説明するものに限らず、組み立て後においてバスバ保持構造3が構成されていればよいため、以下に示す各手順が適宜に前後してもよい。
【0036】
まず、作業員は、バスバ10を端子収容部材20に組み付ける。この場合は、作業員は、バスバ10を開口部22Aから挿入して共用収容空間21A内に押し込んでいき、バスバ端子11Aの連結部12をスリット25Aに挿入しつつ、バスバ10の延出部18をスリット25Bに挿入する。次に、作業員は、連結端子120を端子収容部材20に組付ける。この場合、作業員は、連結端子120を開口部22Bから挿入して単独収容空間21B内に押し込んでいく。なお、作業員は、必要に応じて連結端子120を共用収容空間21Aにも収容する。次に、作業員は、端子収容部材20の開口部22から、対応する電子部品2を収容する。この場合、電子部品2は、一方の端子212にバスバ端子11Aが電気的に接続され、他方の端子212には連結端子120が電気的に接続される。なお、バスバ保持構造3が筐体4に収容された電気接続箱1である場合、電子部品2は、当該電気接続箱1が組み上がる直前に組み付けてもよい。
【0037】
以上説明したように、本実施形態に係るバスバ保持構造3は、以下の構成を有する。すなわち、端子収容部材20が、内壁24aに形成され、共用収容空間21Aに連結端子120またはバスバ端子11Aのいずれかが収容された状態で、連結端子120またはバスバ端子11Aを係止し、挿抜方向の移動を規制する係止突起26を有する。バスバ端子11Aは、共用収容空間21Aにバスバ端子11Aが収容された収容状態において、本体部14から内壁24a側に向けて突出し、係止突起26に係止される被係止部15Aを有する。上記構成により、バスバ端子11Aの本体部14に形成される貫通孔が不要になることから、バスバ端子11Aの挿抜方向に流れる通電電流量を増やすことが可能となる。この結果、バスバ端子の通電電流を低下させることなく、バスバ端子を容易に保持することができる。従来のバスバ端子では、本体部に貫通孔を設け、接続部と本体部との間をクランク状に折り曲げることで内壁24aの係止突起26に対して貫通孔を係止させてバスバ端子の移動を規制させている。本実施形態のバスバ端子11Aは、本体部の貫通孔に代えて被係止部15Aを設けたことで、バスバ端子11Aの通電電流量の低下を抑制することが可能になる。また、本実施形態のバスバ端子11Aは、接続部と本体部との間をクランク状に折り曲げることなく、接続部と本体部とが挿抜方向に直線状に形成されているので、折り曲げ加工の工程を減らすことができ、生産性を向上させることができる。
【0038】
また、バスバ保持構造3は、被係止部15Aが、本体部14の幅方向の一方の端部から他方の端部側に向けて形成された切り欠き部31と、切り欠き部31を形成する内側面から突出し内壁24a側に向けて屈曲して形成された突出部32とを有する。これにより、例えば打ち抜き加工の工程に曲げ加工の工程を加えるだけでバスバ端子11を成形することができるので、生産性の低下を抑制することが可能となる。
【0039】
また、バスバ保持構造3は、バスバ端子11Aが、幅方向に複数配列され、隣り合うバスバ端子11Aが本体部14の抜去方向側の端部において互いに連結される。これにより、バスバ10が端子収容部材20に組み付けられた場合、バスバ端子11Aの連結部12がスリット25Aに挟持されるので、バスバ端子11Aの板厚方向への移動を規制する。この結果、バスバ保持構造3のバスバ端子11Aの保持力を向上させることができる。
【0040】
[変形例]
上述したバスバ端子11Aには、図3に示すように、切り欠き部31と、突出部32とを有する被係止部15Aが形成されているが、これに限定されるものではない。図5は、実施形態の変形例に係るバスバの概略構成を示す斜視図である。図6は、実施形態の変形例に係るバスバ保持構造の概略構成を示す縦断面図である。変形例に係るバスバ保持構造3、電気接続箱1、およびワイヤハーネスWHは、バスバ端子11Bに形成された被係止部15Bの形状が異なる点で上記実施形態と異なる。変形例に係るバスバ端子11Bは、接続部13と、本体部14と、被係止部15Bとを含んで構成される。
【0041】
被係止部15Bは、バスバ端子11Bが共用収容空間21Aに収容された収容状態において、本体部14から内壁24a側に向けて突出し、係止突起26に係止される部分である。被係止部15Bは、図5に示すように、本体部14の途中から内壁24a側に向けて突出し内壁24a側から本体部14側に折り返して形成される。被係止部15Bは、バスバ端子11Bの幅方向から視た断面においてU字状またはV字状に形成されている。被係止部15Bは、例えばヘミング曲げ加工により形成される。被係止部15Bは、図6に示すように、上記収容状態において、板厚方向の端部(折り返し部)が内壁24aに当接し、かつ抜去方向の端部が係止突起26の挿入方向の端部に当接している。本実施形態の接続部13と本体部14とは、それらの間に被係止部15Bが形成されていても挿抜方向に直線状に形成される。
【0042】
変形例に係るバスバ保持構造3は、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。加えて、被係止部15Bは、本体部14の途中から内壁24a側に向けて突出し内壁24a側から本体部14側に折り返して形成される。これにより、バスバ端子11の幅方向の長さを維持することができ、バスバ端子11Bの通電電流を低下させることなく、バスバ端子を容易に保持することができる。
【0043】
なお、上記実施形態及び変形例では、係止突起26は、共用収容空間21Aにバスバ端子11A,11Bが収容された収容状態において、バスバ端子11A,11Bの抜去方向への移動を規定するように、バスバ端子11A,11Bの被係止部15A,15Bに対して内壁24aの抜去方向側に配置されているが、これに限定されるものではない。例えば、係止突起26に加えて、新たな係止突起を内壁24aに設けるようにしてもよい。すなわち、新たな係止突起は、共用収容空間21Aにバスバ端子11A,11Bが収容された収容状態において、バスバ端子11A,11Bの挿入方向への移動を規定するように、バスバ端子11A,11Bの被係止部15A,15Bに対して内壁24aの挿入方向側に配置される。
【0044】
また、上記実施形態及び変形例では、電気接続箱1は、バスバ保持構造3を備える構成であるが、これに限定されず、バスバ保持構造3自体で構成されていてもよい。すなわち、電気接続箱1は、電子部品2と、バスバ10と、端子収容部材20とを備える構成であってもよい。
【0045】
また、上記実施形態及び変形例では、連結端子120に接続される電子部品2と、バスバ端子11A,11Bに接続される電子部品2とが同種である場合について説明したが、これに限定されず、互いに異なる種類の電子部品であってもよい。
【符号の説明】
【0046】
1 電気接続箱
2 電子部品
3 バスバ保持構造
4 筐体
10 バスバ
11A,11B バスバ端子
12 連結部
13 接続部
14 本体部
15A,15B 被係止部
20 端子収容部材
21A 共用収容空間
21B 単独収容空間
22,22A,22B 開口部
24a,24b 内壁
25A,25B スリット
26 係止突起
27 外壁
120 連結端子
W 配索材
WH ワイヤハーネス
図1
図2
図3
図4
図5
図6