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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-05
(45)【発行日】2022-08-16
(54)【発明の名称】帯状ヤスリの支持具
(51)【国際特許分類】
   B24B 21/18 20060101AFI20220808BHJP
【FI】
B24B21/18 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018197987
(22)【出願日】2018-10-19
(65)【公開番号】P2020066061
(43)【公開日】2020-04-30
【審査請求日】2021-06-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000231350
【氏名又は名称】ジヤトコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148301
【弁理士】
【氏名又は名称】竹原 尚彦
(74)【代理人】
【識別番号】100176991
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 由布子
(72)【発明者】
【氏名】黒中 正道
【審査官】奥隅 隆
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-038850(JP,A)
【文献】実開昭55-175055(JP,U)
【文献】特開2001-157916(JP,A)
【文献】特開平07-001315(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 21/00-21/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転するワークの研磨に用いられる帯状ヤスリの支持具であって、
固定側部材で支持される基部と、
前記基部で回動可能に支持されて、前記ワークの回転軸に平行な軸線回りに回動可能な棒状部材と、
前記棒状部材で長手方向に間隔をあけて配置された一対の巻掛部と、
前記棒状部材を前記軸線回りに回動させる操作力を、前記棒状部材に入力する操作部と、を有し、
前記一対の巻掛部は、支持部に相対回転不能に固定配置されていると共に、前記帯状ヤスリが、前記一対の巻掛部に跨がって巻き回されて支持されており、
前記棒状部材が前記軸線回りに回動する際の前記一対の巻掛部が設けられた領域の移動軌跡上に、前記回転するワークが位置するように、前記棒状部材における前記一対の巻掛部の位置が設定されていることを特徴とする帯状ヤスリの支持具。
【請求項2】
前記一対の巻掛部は、前記棒状部材に固定された固定側の巻掛部と、前記棒状部材で前記長手方向に移動可能に設けられた可動側の巻掛部と、から構成されており、
前記固定側の巻掛部と前記可動側の巻掛部は、前記棒状部材に沿う向きで配置された伸張可能な部材を介して互いに連結されていることを特徴とする請求項1に記載の帯状ヤスリの支持具。
【請求項3】
前記固定側の巻掛部と前記可動側の巻掛部とのうちの少なくとも一方には、
前記巻掛部の外周との間で前記帯状ヤスリを挟持する板状部材と、
前記板状部材を貫通して前記巻掛部の外周に螺入された固定用のネジと、が設けられて
おり、
前記固定用のネジにより、前記巻掛部の外周と前記板状部材との隙間が調節可能であることを特徴とする請求項2に記載の帯状ヤスリの支持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯状ヤスリの支持具に関する。
【背景技術】
【0002】
棒状ワークの外周面を研磨して仕上げる方法の一例として、帯状の紙ヤスリを、回転する棒状ワークの外周に押し当てた状態で回転軸方向に往復移動させて、棒状ワークの外周面を研磨する方法がある。
【0003】
この方法での仕上げを、作業者が手作業で行う場合には、帯状の紙ヤスリの長手方向の一端と他端を左右の手指で把持した状態で、帯状の紙ヤスリの長手方向の中央部を棒状ワークの外周に押し当てる必要がある。
【0004】
棒状ワークの外周面を適切に研磨するためには、帯状の紙ヤスリを、適切な押し当て力で棒状ワークの外周面に押し当てる必要がある。そのため、棒状ワークの外周面を紙ヤスリで研磨しているときには、作業者の手指には、帯状の紙ヤスリを棒状ワークの外周に押しつける方向の操作力が常に作用している。
【0005】
かかる状態の時に、手指による帯状の紙ヤスリの把持が外れた場合には、以下のようなことが起こる可能性がある。
(a)帯状の紙ヤスリの把持が外れた手指が、回転する棒状ワークに接触して、回転する棒状ワークに巻き込まれる。
(b)帯状の紙ヤスリが、回転する棒状ワークに巻き取られて、帯状の紙ヤスリを把持し続けている方の手指が、回転する棒状ワークに紙ヤスリと共に巻き込まれる。
また、研磨する際の摩擦力で帯状の紙ヤスリが摩耗して、帯状の紙ヤスリが研磨している途中で切れた場合には、
(c)作業者の手指が、回転する棒状ワークに接触して巻き込まれる可能性がある。
【0006】
そのため、手指で把持した帯状の紙ヤスリを用いて、回転する棒状ワークの外周面を研磨する作業は、作業者にとって緊張を強いられる作業であると共に、リスク(危険度)の高い作業であり、作業者にとって負担の大きい作業である。
【0007】
特許文献1には、棒状のヤスリを用いて、チェーン鋸刃を目立てするための装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】実開平04-067926号公報
【0009】
特許文献1の装置では、棒状ヤスリの長手方向の一端と他端が、装置側の支持部材で支持されている。この装置では、チェーン鋸刃を目立てする際に、棒状ヤスリを、当該棒状ヤスリの長手方向に沿う軸線回りに回転させながら、軸線方向に変位させて、チェーン鋸刃における棒状ヤスリに接触する部位を目立てする仕様となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1の装置では、チェーン鋸刃の目立てを行う際に、作業者が棒状ヤスリを直接支持しないため、帯状ヤスリを作業者が手指で把持する場合のような負担が生じない。
そのため、回転する棒状ワークの外周を帯状のヤスリを用いて研磨する際に、作業者の負荷を低減できるようにすることが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のある態様は、
回転するワークの研磨に用いられる帯状ヤスリの支持具であって、
固定側部材で支持される被支持部と、
前記被支持部で回動可能に支持されて、前記ワークの回転軸に平行な軸線回りに回動可能な棒状部材と、
前記棒状部材で長手方向に間隔をあけて配置された一対の巻掛部と、
前記棒状部材を前記軸線回りに回動させる操作力を、前記棒状部材に入力する操作部と、を有し、
前記一対の巻掛部は、支持部に相対回転不能に固定配置されていると共に、前記帯状ヤスリが、前記一対の巻掛部に跨がって巻き回されて
支持されており、
前記棒状部材が前記軸線X回りに回動する際の前記一対の巻掛部が設けられた領域の移
動軌跡上に、前記回転するワークが位置するように、前記棒状部材における前記一対の巻
掛部の位置が設定されている構成の帯状ヤスリの支持具とした。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、一対の巻掛部で支持された帯状ヤスリが、操作部から棒状部材に入力される操作力に応じた圧力で、回転するワークの外周に圧接して、ワークの外周を研磨する。
これにより、回転するワークの外周面を研磨する際に、作業者が帯状ヤスリを直接手で持って作業をする必要がないので、回転するワークの外周を研磨する際の作業者の負荷を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態にかかる支持具を説明する図である。
図2】支持具を説明する図である。
図3】支持具を説明する図である。
図4】支持具の要部断面図である。
図5】支持具の要部断面図である。
図6】帯状の紙ヤスリの保持機構を説明する図である。
図7】支持具の使用態様を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
図1は、帯状の紙ヤスリ3(帯状ヤスリ)の支持具4を説明する図であり、図1の(a)は、支持具4を、ワーク2の加工装置1にセットした状態を示す斜視図であり、図1の(b)は、ワーク2を説明する斜視図である。
【0015】
支持具4は、棒状のワーク2の研磨に用いられる紙ヤスリ3を保持するものであり、ワーク2を支持して回転軸X1回りに回転させる加工装置1に設けられている。
【0016】
ワーク2は、鍛造や切削加工などにより作製される棒状の鋼材(棒状ワーク)であり、円柱状の軸部21と、軸部21の一端に設けられた大径部22と、を有している。
作製されたワーク2は、仕上げ加工において、少なくとも軸部21の外周面が研磨される。本実施形態では、支持具4で保持された帯状の紙ヤスリ3を、回転するワーク2(軸部21)の外周に押し当てた状態で回転軸方向に往復移動させて、ワーク2(軸部21)の外周面を研磨する。
【0017】
加工装置1は、ワーク2を支持する一対のチャック(第1チャック11、第2チャック12)を有している。
第1チャック11と第2チャック12は、回転軸X1上で対向配置されている。第1チャック11では、ワーク2の軸部21の先端が支持される。第2チャック12では、ワーク2の大径部22が支持される。
一対のチャック(第1チャック11、第2チャック12)でワーク2が支持されると、ワーク2は、当該ワーク2の中心軸を、回転軸X1に沿わせた向きで配置される。
【0018】
第1チャック11と第2チャック12は、ワーク2を支持した状態で、回転軸X1回りに回転可能である。第2チャック12には、駆動機構13が付設されている。
第2チャック12は、駆動機構13備えるモータ(図示せず)の回転駆動力が入力されると、回転軸X1回りに回転する。第2チャック12が回転軸X1回りに回転すると、一対のチャック(第1チャック11、第2チャック12)で支持されたワーク2もまた、回転軸X1回りに回転する。
【0019】
加工装置1では、第1チャック11と駆動機構13との間の領域に、支持台14が設けられている。
支持台14の上面には、ワーク2の加工具を保持するためのバイトホルダ15が、設けられている。バイトホルダ15は、回転するワーク2との干渉を避けるために、回転軸X1の径方向外側に設けられている。
【0020】
バイトホルダ15は、支持台14の上面に固定された矩形形状の基部151と、基部151の上方に配置される把持板152と、把持板152を基部151側の下方に押圧するレバー153と、を有する。
レバー153は、把持板152を上下方向(図中、Z方向)に貫通したスタット軸154(図5の(a)参照)の上端に螺入されている。スタット軸154の下端は、基部151に固定されており、本実施形態では、レバー153を締付け方向に回転させると、レバー153が備える押圧部153a(図5の(a)参照)が、把持板152を基部151側の下方に押圧するようになっている。
基部151と把持板152との間には、後記する支持具4側の被支持部51が挿入されており、レバー153を締付け方向に回転させると、基部151と把持板152との間に被支持部51が把持されるようになっている。
【0021】
図1の(a)に示すように、把持板152では、回転軸X1に直交する方向(図中、Y方向)における一方の側縁部と他方の側縁部に、複数のボルトBが設けられている。一方の側縁部と他方の側縁部では、複数のボルトBが、回転軸X1に沿う方向(図中、X方向)に所定間隔で並んでいる。
ボルトBの各々は、把持板152を貫通しており、各ボルトBの先端は、基部151に螺入している。
【0022】
加工装置1では、基部151を支持する支持台14が、回転軸X1に沿うX方向と、回転軸X1に直交するY方向に変位可能に設けられている。
加工装置1には、支持台14のX方向の変位をガイドするガイドレール16、16と、支持台14のY方向の変位をガイドするガイドレール17、17とが設けられている。
【0023】
加工装置1は、支持台14をX方向とY方向のうちの少なくとも一方に変位させるための駆動機構(図示せず)を備えている。
本実施形態では、支持台14のX方向の変位とY方向の変位のうちの少なくとも一方を、加工装置1が備える制御装置(図示せず)が、予め規定されたプログラムに従って制御する。なお、制御装置(図示せず)は、一対のチャック(第1チャック11、第2チャック12)で支持されたワーク2の回転も、予め規定されたプログラムに従って制御する。
【0024】
本実施形態では、支持具4が、バイトホルダ15を介して支持台14(固定側部材)に支持されており、支持台14のX方向とY方向の変位に連動して、支持具4が、X方向とY方向に変位するようになっている。
【0025】
図2および図3は、支持具4を説明する図である。図2の(a)は、支持具4を第1チャック11側から見た平面図である。図2の(b)は、支持具4を第2チャック12側から見た平面図である。
図3の(a)は、支持具4を上方から見た平面図である。図3の(b)は、支持具4を第1チャック11側の上方から見た斜視図である。
【0026】
図4および図5は、支持具4の要部断面図である。図4の(a)は、支持具4を図2の(a)におけるA-A線に沿って切断した断面図である。図4の(b)は、支持具4を図2の(a)におけるB-B線に沿って切断した断面図である。図4の(c)は、支持具4を図2の(a)におけるC-C線に沿って切断した断面図である。図4の(d)は、図4の(c)におけるA-A線に沿って巻掛部65を切断した断面図である。図4の(e)は、図4の(c)におけるB-B線に沿って巻掛部65を切断した断面図である。
図5の(a)は、支持具4を図2の(a)におけるD-D線に沿って切断した断面図である。図5の(b)は、図5の(a)における領域Aの拡大図である。図5の(c)は、棒状部材40の取付部521を説明する図である。
【0027】
図2の(a)に示すように、支持具4は、棒状部材40を有している。図4の(a)に示すように、断面視において棒状部材40は、略矩形形状を成しており、高さ方向(Z方向)の上面と下面では、幅方向(X方向)の中央部に、凹状に窪んだガイド溝41が開口している。ガイド溝41は、棒状部材40の長手方向(図2の(a)における左右方向)の全長に亘って設けられている。
【0028】
図2の(a)、(b)に示すように、棒状部材40には、バイトホルダ15との連結部5と、紙ヤスリ3の一方の巻掛部65を支持する固定側部材6と、紙ヤスリ3の他方の巻掛部75を支持する可動側部材7と、操作レバー9と、が設けられている。
棒状部材40では、長手方向の他端40b側から一端40a側に向かって、連結部5と,固定側部材6と、可動側部材7と、操作レバー9と、がこの順番で設けられている。
【0029】
図3の(a)に示すように、連結部5は、バイトホルダ15に支持される被支持部51と、棒状部材40との連結部52と、を有している。
上方から見て被支持部51は、矩形形状を成す金属製の部材であり、Y方向における被支持部51の両側には、把持板152を基部151に固定するためのボルトBが並んでいる。被支持部51の先端51aは、前記したスタット軸154(図5の(a)参照)の近傍まで及んでいる。
【0030】
図5の(a)に示すように、被支持部51の基端51bには、連結部52が、ボルトB51で連結されている。
ボルトB51は、連結部52を厚み方向(X方向)に貫通して、被支持部51に設けたボルト孔510に螺入している。この状態においてボルトB51と被支持部51は、相対回転不能である。
【0031】
ボルトB51は、X方向に沿う軸線X2に沿う向きで設けられており、被支持部51と連結部52との間には、ボルトB51の軸部に外挿されたワッシャWが位置している。
連結部52は、ボルトB51の軸部に外挿されたワッシャW、Wの間に位置している。この状態において連結部52は、前記した回転軸X1に平行な軸線X2回りに回転可能である。連結部52と被支持部51は、軸線X2回りの相対回転が許容された状態で、ボルトB51を介して互いに連結されている。
【0032】
連結部52は、被支持部51に対して直交する向きで配置された板状部材であり、連結部52の上部には、棒状部材40の取付部521が設けられている。
取付部521は、連結部52の上部における被支持部51とは反対側(図中、左側)の領域を切り欠いて形成した切欠部である。
具体的には、図5の(b)、(c)に示すように、取付部521は、連結部52の上部を、当該連結部52の上面52cと、被支持部51とは反対側の側面52aと、に跨がって切り欠いて形成されている。
そのため、連結部52の上部において取付部521は、被支持部51とは反対側の側面52aと上面52cとに開口している。
【0033】
取付部521の上面521aは、軸線X2に沿う平坦面であり、取付部521の側面521bは、軸線X2に直交する平坦面である。
上面521aのX方向の幅Laは、棒状部材40の幅W1よりも僅かに小さくなっている。側面521bのZ方向の高さhaは、棒状部材40の高さh1よりも僅かに大きくなっている。
【0034】
図2の(a)に示すように、連結部52の上部では、棒状部材40の長手方向に沿うY方向の全長に亘って取付部521が設けられている。
取付部521には、棒状部材40の他端40b側が、上面521aと側面521bとに接触した状態で設けられている(図5の(b)参照)。
棒状部材40は、当該棒状部材40をX方向に貫通するボルトB52、B52により、連結部52の上部(取付部521の側面521b)に固定されている。
【0035】
ボルトB52、B52は、棒状部材40の長手方向に沿うY方向に間隔をあけて設けられており、棒状部材40は、連結部52との相対回転が規制された状態で、ボルトB52、B52により連結部52に固定されている。
そのため、連結部52と被支持部51とが軸線X2回りに相対的に回転すると、棒状部材40が、連結部52と一体に軸線X2回りに回転して、棒状部材40の長手方向の一端40a側が、軸線X2周りの周方向に変位するようになっている。
【0036】
棒状部材40では、連結部52から一端40a側(図2の(a)において左側)に離れた位置に、固定側部材6が設けられている。
固定側部材6は、軸線X2に対して直交する向きで設けられた板状の連結部61と、巻掛部65を支持する支持部62と、を有している。
X方向から見て連結部61は、棒状部材40に沿う方向(Y方向)に長辺を沿わせた向きで設けられた長方形形状の部位である。
【0037】
図4の(c)に示すように、固定側部材6は、連結部61を厚み方向(X方向)に貫通するボルトB62、B62で、棒状部材40の側面に固定されている。ボルトB62、B62は、棒状部材40をX方向に貫通して設けられている(図4の(c)参照)
固定側部材6では、ボルトB62、B62が、Y方向に間隔をあけて設けられている(図2の(a)参照)。
【0038】
図2の(a)、(b)に示すように、巻掛部65を支持する支持部62は、連結部61における軸線X2側(図2の(a)では、連結部5が位置する右側)の下部から下方に延びている。
図4の(c)に示すように、支持部62における棒状部材40とは反対側の面には、巻掛部65がX方向から当接している。巻掛部65の中央部には、支持部62を厚み方向(X方向)に貫通したボルトB61が螺入しており、巻掛部65は、ボルトB61により支持部62に相対回転不能に固定されている。
ボルトB61は、軸線X2に対して平行な軸線Xaに沿って設けられており、ボルトB61で支持された巻掛部65は、軸線Xaに沿う向きで設けられている。
【0039】
巻掛部65は、帯状の紙ヤスリ3が外周に巻き掛けられる小径部651と、X方向における小径部651の両側に位置する大径部652、653と、を有している。
一方の大径部652のX方向の長さL2は、他方の大径部653のX方向の長さL3よりも短くなっており、本実施形態では、長さの短い大径部652がX方向から支持部62に当接している。
【0040】
小径部651は、X方向から見て円形の外形を持つ円柱形状を成しており、大径部652、653は、X方向から見た軸線X2側(図4の(d)、(e)における右側)に、軸線X2に直交する仮想線Lmに沿う平坦面652a、653aを有している。この平坦面652a、653aは、ヒンジ63の可動側プレート632の当接面となっている。
【0041】
図6は、帯状の紙ヤスリ3の保持機構を説明する図である。
図6の(a)は、紙ヤスリ3の保持機構を説明する図であって、図2の(a)におけるE-E線に沿って、巻掛部65から巻掛部75までの範囲を切断した断面図である。
図6の(b)は、保持機構による紙ヤスリ3の「たるみ」の調整を説明する図である。図6の(c)は、保持機構による紙ヤスリ3の巻き掛け状態の変更を説明する図である。
【0042】
図6の(a)に示すように、ヒンジ63は、支持部62の側面にネジ留めされる固定側プレート631と、固定側プレート631に相対回転可能に連結された可動側プレート632と、から構成される。
可動側プレート632の先端632a側は、Z方向に沿う軸線Z1周りに回動可能である。可動側プレート632の先端632a側は、当該可動側プレート632を厚み方向に貫通する止めネジ64により、大径部653の平坦面653aに固定されている。
【0043】
本実施形態では、止めネジ64の締め付け量を調整することで、小径部651の外周と可動側プレート632との隙間CLを調整できるようになっている。
小径部651に、帯状の紙ヤスリ3を巻き掛けたのち、図6の(a)において矢印a方向に止めネジ64を締め付けることで、可動側プレート632が図中矢印a1方向に変位する。これにより、小径部651と可動側プレート632との間に紙ヤスリ3が把持されるようになっている。
【0044】
図2の(a)に示すように、紙ヤスリ3が巻き掛けられるもう一つの巻掛部75は、棒状部材40の長手方向に移動可能に設けられた可動側部材7に設けられている。
棒状部材40において可動側部材7は、固定側部材6から見て、棒状部材40の一端40a側に離れた位置に配置されている。
【0045】
図4の(b)に示すように、可動側部材7は、棒状部材40で長手方向に移動可能に設けられた取付部71と、巻掛部75を支持する支持部72と、を有している。
X方向から見て取付部71は、Z方向に高さhbを有する基部710と、基部710の上部および下部から、棒状部材40側に延びる腕部711、711とを有している。
【0046】
腕部711、711は、Z方向に高さhcだけ離間している、この高さhcは、棒状部材40の高さh1よりも僅かに大きい高さに設定されている。
一方の腕部711は、棒状部材40の上面に沿って、ガイド溝41の上方まで及んでおり、他方の腕部711は、棒状部材40の下面に沿って、ガイド溝41の下方まで及んでいる。
腕部711、711の先端側の対向部には、ガイド溝41に係合する係合突起711a、711aが設けられている。
【0047】
取付部71は、係合突起711a、711aを、棒状部材40のガイド溝41、41に係合させた状態で、棒状部材40に取り付けられている。取付部71を持つ可動側部材7は、棒状部材40からの脱落がガイド溝41に係合する係合突起711a、711aで阻止された状態で、棒状部材40の長手方向(Y方向)に変位可能に設けられている。
【0048】
取付部71では、基部710における棒状部材40とは反対側の面に、板状の支持部72がボルトB72、B72で固定されている。
図2の(a)に示すようにX方向から見て支持部72は、長辺をZ方向に沿わせた向きで設けられた長方形形状の部材である。
図4の(b)に示すように、支持部72は、当該支持部72を厚み方向(X方向)に貫通するボルトB72、B72で、取付部71の側面に固定されている。
【0049】
ボルトB72、B72は、Z方向に間隔をあけて設けられており、X方向から見て一方のボルトB72と他方のB72の延長上に、取付部71の腕部711、711が位置している。
【0050】
支持部72における棒状部材40とは反対側の面には、巻掛部75がX方向から当接している。巻掛部75の中央部には、支持部72を厚み方向(X方向)に貫通したボルトB71が螺入しており、巻掛部75は、ボルトB71により支持部72に相対回転不能に固定されている。
ボルトB71は、軸線X2および軸線Xaに対して平行な軸線Xbに沿って設けられており、ボルトB71で支持された巻掛部75は、軸線Xbに沿う向きで設けられている。
【0051】
図2の(a)に示すように、本実施形態では、棒状部材40から巻掛部75の中心を通る軸線Xbまでの距離と、棒状部材40から巻掛部65の中心を通る軸線Xaまでの距離が、同じ距離Lcとなるように、巻掛部75と巻掛部65の位置関係が設定されている。
【0052】
図4の(b)に示すように、巻掛部75は、帯状の紙ヤスリ3が外周に巻き掛けられる小径部751と、X方向における小径部751の両側に位置する大径部752、753と、を有している。
一方の大径部752と他方の大径部753は、それぞれ同じX方向の長さL2で形成されており、本実施形態では、大径部752がX方向から支持部72に当接している。
小径部751と大径部752、753は、X方向から見て円形の外形を持つ円柱形状を成している。
【0053】
図6の(a)に示すように、巻掛部75の小径部751と、巻掛部65の小径部651は、回転軸X1に直交するY方向で間隔をあけて設けられている。
巻掛部75の小径部751と巻掛部65の小径部651との間には、テンションバー8が、回転軸X1に直交する軸線Y1に沿って設けられている。
【0054】
テンションバー8は、有底筒状の外筒部81と、有底筒状の内筒部82と、を有している。外筒部81は、開口を巻掛部65側(図中、右側)の小径部651に向けた状態で、巻掛部75側の小径部751で回転可能に支持されている。
内筒部82は、開口を巻掛部75側(図中、左側)の小径部751に向けた状態で、巻掛部65側の小径部651で回転不能に支持されている。
【0055】
内筒部82の先端側の外周にはネジ溝が設けられており、外筒部81の内周には、内筒部82側のネジ溝が噛合するネジ溝が設けられている。
テンションバー8では、内筒部82の先端側が、外筒部81の内側に螺入されており、外筒部81は、内筒部82に対して相対回転可能となっている。
【0056】
テンションバー8では、外筒部81を軸線Y1回りに回転させると、外筒部81が軸線Y1回りに回転しながら軸線Y1方向に変位するようになっている。
例えば、図6の(a)において矢印bで示す方向に外筒部81を回転させると、外筒部81が、当該外筒部81を支持する巻掛部75と共に、巻掛部65から離れる方向(図中、左方向)に変位するようになっている。
これは、巻掛部75を支持する可動側部材7が、棒状部材40でY方向に移動可能に支持されているからである。
【0057】
内筒部82の内部には、軸線Y1に沿う向きで配置されたスプリングSpが収容されており、スプリングSpの一端は、内筒部82の底壁部821に軸線Y1方向から当接している。スプリングSpの他端は、内筒部82から突出して、外筒部81の内部に挿入されており、スプリングSpの他端は、外筒部81の底壁部811に軸線Y1方向から当接している。
【0058】
スプリングSpは、軸線Y1方向に圧縮された状態で設けられており、内筒部82の外周のネジ溝と、外筒部81の内周のネジ溝との噛み合い部分でのガタツキが、スプリングSpの付勢力で抑制されるようになっている。
【0059】
ここで、紙ヤスリ3は、巻掛部75側の小径部751と、巻掛部65側の小径部651とに跨がって掛け渡された状態で、一対の巻掛部(巻掛部65、75)の外周に巻き掛けられている。この状態で、巻掛部65側では、紙ヤスリ3が二重に巻かれている。
【0060】
紙ヤスリ3は、止めネジ64を締め付けて、巻掛部65側の小径部651の部分で径方向に重なる紙ヤスリ3を、小径部651と可動側プレート632との間に把持することで、一対の巻掛部(巻掛部65、75)からの脱落が阻止される。
この状態で、図6の(b)に示すように紙ヤスリ3に「たるみ」が生じている場合には、外筒部81を、図6の(a)において矢印bで示す方向に回転させて、巻掛部75を巻掛部65から離れる方向(図中、矢印b1方向)に変位させる。
これにより、紙ヤスリ3に生じた「たるみ」を解消できるようになっている。
【0061】
さらに、本実施形態では、全長の長い帯状の紙ヤスリ3を用いている。そのため、ワーク2の研磨により、紙ヤスリ3の砥面が摩耗したときには、止めネジ64を緩めることで、巻掛部65、75における紙ヤスリ3の位置をずらすことができる。
これにより、図6の(c)に示すように、研磨に使用された領域(使用済み領域)の位置をずらして、紙ヤスリ3における新たな領域で、ワーク2の研磨を行うことができるようになっている。
【0062】
なお、図6の(c)では、紙ヤスリ3の長手方向の一端3aと他端3bが、図6の(b)に示す位置から変位して、ワーク2に対向する紙ヤスリ3の領域が変わっている状態が示されている。
【0063】
図2の(a)に示すように、棒状部材40では、可動側部材7から一端40a側(図2の(a)において左側)に離れた位置に、操作レバー9の板状のアーム91が固定されている。
図4の(a)に示すように、板状のアーム91の一端91a側は、棒状部材40の側面に当接している。この状態において、棒状部材40とアーム91とをX方向に貫通したボルトB91と、ボルトB1に螺合したナットNにより、アーム91が棒状部材40の側面に固定されている。
【0064】
図2の(a)に示すように、アーム91の長手方向における他端91b側には、グリップ92が、ボルトB92で固定されている。
図2の(b)に示すように、操作レバー9は、グリップ92を、棒状部材40の他端40b側(バイトホルダ15側)の上方に位置させた状態で、棒状部材40に連結されている。
【0065】
この状態で、操作レバー9のアーム91は、棒状部材40に対して所定角度θ傾いた位置で固定されている。本実施形態では、操作レバ-9と棒状部材40との位置関係を固定した状態で、支持具4が使用される。
【0066】
以下、本実施形態にかかる支持具4の使用例を説明する。図7は、支持具の使用態様を説明する図である。
図7の(a)は、支持具4に保持された紙ヤスリ3でワーク2(軸部21)の外周を研磨する前の状態を示した図である。図7の(b)は、支持具4で保持された紙ヤスリ3でワーク2(軸部21)の外周を研磨している状態を示した図である。
【0067】
支持具4は、バイトホルダ15を介して、加工装置1の支持台14で支持されている。
この状態において、操作レバー9のグリップ92は、加工装置1のオペレータが位置する側(バイトホルダ15側)の上方に配置されている。そのため、オペレータが把持しやすい位置に、操作レバー9のグリップ92が位置している。
【0068】
さらに、支持具4の棒状部材40は、軸線X2回りに回動可能であり、固定側部材6の
巻掛部65と可動側部材7の巻掛部75が位置する一端40a側は、軸線X2回りの周方向に変位可能となっている。
そのため、操作レバー9のグリップ92を把持するオペレータが、操作レバー9を操作することで、巻掛部65と巻掛部75とに巻き掛けられた紙ヤスリ3の領域を、軸線X2周りに変位させることができるようになっている。
【0069】
図7の(a)に示すように、加工装置1では、紙ヤスリ3の領域の移動軌跡に沿う仮想円IM上に、ワーク2(軸部21)が位置している。
そのため、操作レバー9のグリップ92を把持するオペレータが、図中矢印で示す方向に操作レバー9を操作すると、棒状部材40が軸線X2回りに回動して、紙ヤスリ3をワーク2に近づける方向に変位させることができるようになっている。
【0070】
ワーク2の外周を研磨する際には、支持具4の棒状部材40を軸線X2回りに回動させて、巻掛部65と巻掛部75とに巻き掛けられた紙ヤスリ3を、ワークの回転軸X1から離間した位置に配置する(図7の(a)参照)。
この状態で、研磨する対象のワーク2を、一対のチャック(第1チャック11、第2チャック12:図1の(a)参照)で支持させたのち、ワーク2を回転軸X1回りに回転させる。
【0071】
そして、操作レバー9を操作して、支持具4の棒状部材40を軸線X2回りに回動させて、巻掛部65と巻掛部75とに巻き掛けられた紙ヤスリ3を、回転するワーク2に近づける方向に変位させる。
これにより、紙ヤスリ3が、操作レバー9に入力されるオペレータの操作力に応じた圧力Fで、回転するワーク2(軸部21)の外周に圧接して、回転するワーク2(軸部21)の外周が、紙ヤスリ3で研磨される。
【0072】
前記したように、支持具4は、バイトホルダ15を介して加工装置1の支持台14で支持されている。そして加工装置1が備える制御装置(図示せず)が、予め規定されたプログラムに従って、支持台14を、X方向とY方向に変位させる。
そのため、オペレータは、ワーク2(軸部21)の外周に紙ヤスリ3を圧接させる操作力を操作レバー9に入力し続けるだけで、ワーク2(軸部21)の外周の研磨を行えるようになっている。
【0073】
そのため、帯状の紙ヤスリの長手方向の一端と他端を左右の手指で把持した状態で、帯状の紙ヤスリの長手方向の中央部を棒状ワークの外周に押し当てて研磨する場合に比べて、ワーク2の外周の研磨を安全に行うことができる。
【0074】
さらに、操作レバー9の操作をオペレータが片手で行えるので、例えば、支持台14のX方向とY方向のうちの一方向の変位をハンドルなどを用いて手動で行う仕様である場合には、空いたほうの片手でハンドルを操作することができる。この場合には、ワーク2(軸部21)の外周の研磨を、ハンドルを操作しつつ微調整しながら行うことができるので、ワーク2(軸部21)の外周をより滑らかに仕上げることが可能になる。
【0075】
また、ワーク2(軸部21)の外周の研磨を、オペレータが片手で簡単に操作できるので、熟練者でなくても、ワーク2(軸部21)の外周を滑らかに仕上げることが可能になる。
【0076】
以上の通り、本実施形態に係る帯状の紙ヤスリ3(帯状ヤスリ)の支持具4は、以下の構成を有している。
(1)回転するワーク2の研磨に用いられる紙ヤスリ3(帯状ヤスリ)の支持具4は、
支持台14(固定側部材)で支持される被支持部51(基部)と、
被支持部51で回動可能に支持されて、ワーク2の回転軸X1に平行な軸線X2回りに回動可能な棒状部材40と、
棒状部材40で長手方向に間隔をあけて配置された一対の巻掛部65、75と、
棒状部材40を軸線X2回りに回動させる操作力を、棒状部材40に入力するグリップ92(操作部)と、を有する。
一対の巻掛部65、67では、紙ヤスリ3が、一対の巻掛部65、67の外周に跨がって巻き回されて支持されている。
棒状部材40が軸線X2回りに回動する際の一対の巻掛部65、75が設けられた領域(紙ヤスリ3が設けられた領域)の移動軌跡に沿う仮想円IM上に、回転するワーク2が位置するように、棒状部材40における一対の巻掛部65、75の位置が設定されている。
【0077】
このように構成すると、一対の巻掛部65、75で支持された紙ヤスリ3が、グリップ92から棒状部材40に入力される操作力に応じた圧力で、回転するワーク2(軸部21)の外周に圧接して、ワーク2(軸部21)の外周を研磨する。
これにより、回転するワーク2(軸部21)の外周面を研磨する際に、作業者が帯状の紙ヤスリを直接手で持って作業をする必要がないので、回転するワーク2の外周を研磨する際の作業者の負荷を低減できる。
【0078】
また、回転するワーク2に対する紙ヤスリ3の接離と、回転するワーク2に対する紙ヤスリ3の圧接力の調整を、グリップ92の操作で行うことができる。
これにより、回転するワーク2の外周面の研磨を、作業者が片手でを操作して行うことができる。
よって、帯状の紙ヤスリを両手の手指で把持する場合に比べて、作業者に対する負荷が低減される。
【0079】
さらに、帯状の紙ヤスリ3が支持具4側で支持されており、紙ヤスリ3を両手の手指で把持する必要がないので、ワーク2(軸部21)の外周を研磨する際のワーク2の回転速度を高くすることができる。これにより、研磨したワーク2(軸部21)の外周を、より滑らかに仕上げることができる。
【0080】
本実施形態に係る帯状の紙ヤスリ3(帯状ヤスリ)の支持具4は、以下の構成を有している。
(2)一対の巻掛部65、75は、棒状部材40に固定された固定側の巻掛部65と、棒状部材40で長手方向に移動可能に設けられた可動側の巻掛部75と、から構成されている。
固定側の巻掛部65と可動側の巻掛部75は棒状部材40に沿う向きで配置された伸張可能な部材であるテンションバー8を介して互いに連結されている。
【0081】
このように構成すると、テンションバー8(伸張可能な部材)により、棒状部材40の長手方向における固定側の巻掛部65と可動側の巻掛部75との離間距離を調整できる。これにより、固定側の巻掛部65と可動側の巻掛部75とに跨がって巻き回された帯状の紙ヤスリ3の張力を調整できる。よって、回転するワーク2の外周に対する紙ヤスリ3の接触面積を適切な面積で保持できる。
これにより、ワーク2の外周が紙ヤスリ3により適切に研磨されて、研磨後のワーク2の外周面を、荒れの少ない、より均一な表面に仕上げることができる。
【0082】
本実施形態に係る帯状の紙ヤスリ3(帯状ヤスリ)の支持具4は、以下の構成を有している。
(3)固定側の巻掛部65と可動側の巻掛部75とのうちの固定側の巻掛部65には、巻掛部65の外周との間で紙ヤスリ3を挟持する可動側プレート632(板状部材)と、
可動側プレート632を貫通して巻掛部65の外周に螺入された止めネジ64(固定用のネジ)と、が設けられている。
止めネジ64により、固定側の巻掛部65の外周と可動側プレート632との隙間CLが調節可能である。
【0083】
このように構成すると、固定側の巻掛部65と可動側の巻掛部75との離間距離の変更に合わせて、固定側の巻掛部65と可動側の巻掛部75との間の領域での紙ヤスリ3の長さを調整できる。
これにより、固定側の巻掛部65と可動側の巻掛部75との離間距離を変更した際に、紙ヤスリ3を、長さの異なる他の紙ヤスリ3に交換することなく、そのまま使うことができる。
また、固定側の巻掛部65と可動側の巻掛部75との離間距離を縮めた場合には、紙ヤスリ3を、固定側の巻掛部65と可動側の巻掛部75とに巻き掛け直して紙ヤスリ3のたるみを取ることができる。
【0084】
さらに、紙ヤスリ3におけるワーク2の外周に接触する領域の位置をずらして、紙ヤスリ3を使うことができる。
これにより、帯状の紙ヤスリの長手方向の一端と他端を左右の手指で把持した状態で、帯状の紙ヤスリの長手方向の中央部を棒状ワークの外周に押し当てて研磨する場合に比べて、ワーク2の研磨に用いることができる紙ヤスリ3の面積(使用面積)が広くなる。これにより、紙ヤスリ3の使用量が低減されるので、ランニングコストの低減が期待できる。
【0085】
以上、本願発明の実施形態を説明したが、本願発明は、これら実施形態に示した態様のみに限定されるものではない。発明の技術的な思想の範囲内で、適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0086】
1 :加工装置
11 :第1チャック
12 :第2チャック
13 :駆動機構
14 :支持台
15 :バイトホルダ
16、17 :ガイドレール
2 :ワーク
21 :軸部
22 :大径部
3 :紙ヤスリ
4 :支持具
40 :棒状部材
41 :ガイド溝
5 :連結部
51 :被支持部
52 :連結部
521 :取付部
6 :固定側部材
61 :連結部
62 :支持部
63 :ヒンジ
631 :固定側プレート
632 :可動側プレート
64 :止めネジ
65 :巻掛部
651 :小径部
652、653 :大径部
652a、653a :平坦面
7 :可動側部材
71 :取付部
710 :基部
711 :腕部
711a :係合突起
751 :小径部
752 :大径部
753 :大径部
72 :支持部
75 :巻掛部
8 :テンションバー
81 :外筒部
82 :内筒部
9 :操作レバー
91 :アーム
92 :グリップ
N :ナット
Sp :スプリング
X1 :回転軸
X2、Xa、Xb、Y1、Z1 :軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7