(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-05
(45)【発行日】2022-08-16
(54)【発明の名称】アンテナ装置
(51)【国際特許分類】
H01Q 21/28 20060101AFI20220808BHJP
H01Q 21/24 20060101ALI20220808BHJP
H01Q 9/30 20060101ALI20220808BHJP
H01Q 1/32 20060101ALN20220808BHJP
【FI】
H01Q21/28
H01Q21/24
H01Q9/30
H01Q1/32 Z
(21)【出願番号】P 2018245666
(22)【出願日】2018-12-27
【審査請求日】2021-08-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000101732
【氏名又は名称】アルパイン株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】318012780
【氏名又は名称】FCNT株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103171
【氏名又は名称】雨貝 正彦
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【氏名又は名称】橘 和之
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【氏名又は名称】片寄 恭三
(74)【代理人】
【識別番号】100099748
【氏名又は名称】佐藤 克志
(72)【発明者】
【氏名】宮野 隆彦
(72)【発明者】
【氏名】武田 秀一
(72)【発明者】
【氏名】殿岡 旅人
(72)【発明者】
【氏名】崎田 聡史
【審査官】白井 亮
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/271759(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/269400(US,A1)
【文献】特開2012-015852(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/322631(US,A1)
【文献】特開2008-193655(JP,A)
【文献】特開平03-166803(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 21/28
H01Q 21/24
H01Q 9/30
H01Q 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1領域と、前記第1領域の後側に位置する第2領域と、前記第2領域の右側に位置する第3領域と、前記第3領域の前側であって前記第1領域の右側に位置する第4領域とを有するアンテナ配置領域と、
前記第1領域において左右方向に延設されて電波を放射する第1アンテナと、
前記第2領域において前後方向に延設されて電波を放射する第2アンテナと、
前記第3領域において左右方向に延設されて電波を放射する第3アンテナと、
前記第4領域において前後方向に延設されて電波を放射する第4アンテナと、
第5アンテナおよび第6アンテナと、
を備え、前記第1~第4アンテナは、共通の第1動作周波数帯域を有し、
前記第5アンテナおよび前記第6アンテナは、前記第1動作周波数帯域とは異なる第2動作周波数帯域を有し、
前記第1アンテナは、前後方向に沿った前記第4アンテナの中心よりも、前後方向に沿って前側に配置され、
前記第2アンテナは、左右方向に沿った前記第1アンテナの中心よりも、左右方向に沿って左側に配置され、
前記第3アンテナは、前後方向に沿った前記第2アンテナの中心よりも、前後方向に沿って後側に配置され、
前記第4アンテナは、左右方向に沿った前記第3アンテナの中心よりも、左右方向に沿って右側に配置され
、
前記第5アンテナは、前記アンテナ配置領域の外周の第1の辺の一方端に配置され、
前記第6アンテナは、前記第1の辺の他方端に配置されていることを特徴とするアンテナ装置。
【請求項2】
前記第2
動作周波数帯域を有する第7アンテナをさらに備え、
前記第7アンテナは、前記アンテナ配置領域の外周であって前記第1の辺と対向する第2の辺に沿って配置されていることを特徴とする請求項
1に記載のアンテナ装置。
【請求項3】
前記第7アンテナは、前記第2の辺の中間位置に配置されていることを特徴とする請求項
2に記載のアンテナ装置。
【請求項4】
第7アンテナおよび第8アンテナをさらに備え、
前記第7アンテナは、前記アンテナ配置領域の外周であって前記第1の辺と対向する第2の辺の一方端に配置され、
前記第8アンテナは、前記第2の辺の他方端に配置されていることを特徴とする請求項
1に記載のアンテナ装置。
【請求項5】
前記アンテナ配置領域に対して垂直方向に延設され、前記アンテナ配置領域内であって前記第5アンテナと前記第6アンテナのそれぞれから等距離の位置に配置された第1モノポールアンテナをさらに備えることを特徴とする請求項
1~
4のいずれか一項に記載のアンテナ装置。
【請求項6】
前記アンテナ配置領域は、一対の長辺と一対の短辺からなる長方形形状を有し、
前記第1の辺は、前記一対の長辺の一方であることを特徴とする請求項
1~
5のいずれか一項に記載のアンテナ装置。
【請求項7】
前記アンテナ配置領域は、一対の長辺と一対の短辺からなる長方形形状を有し、
前記長辺あるいは短辺に沿って端部から時計回り方向に所定距離の位置に配置されて右旋円偏波信号を受信する第2モノポールアンテナをさらに備えることを特徴とする請求項
1~
5のいずれか一項に記載のアンテナ装置。
【請求項8】
前記第2モノポールアンテナは、前記長辺に沿って配置されていることを特徴とする請求項
7に記載のアンテナ装置。
【請求項9】
前記第1アンテナ、前記第2アンテナ、前記第3アンテナ、前記第4アンテナは、モノポールアンテナであることを特徴とする請求項1~
8のいずれか一項に記載のアンテナ装置。
【請求項10】
前記第1アンテナ、前記第2アンテナ、前記第3アンテナ、前記第4アンテナは、ワイヤレスWANの4×4MIMO方式のアンテナ素子として用いられることを特徴とする請求項1~
9のいずれか一項に記載のアンテナ装置。
【請求項11】
前記第1動作周波数帯域には、互いに周波数が異なる複数の周波数帯域グループが含まれており、それぞれの周波数帯域グループに別々のアンテナ素子が対応していることを特徴とする請求項1~
10のいずれか一項に記載のアンテナ装置。
【請求項12】
前記第5アンテナおよび前記第6アンテナは、ワイヤレスLANの2×2MIMO方式のアンテナ素子として用いられることを特徴とする請求項
1~
4のいずれか一項に記載のアンテナ装置。
【請求項13】
前記第7アンテナは、BLE(Bluetooth Low Energy)のアンテナ素子として用いられることを特徴とする請求項
2または
3に記載のアンテナ装置。
【請求項14】
前記第2モノポールアンテナは、GNSS(Global Navigation Satellite System)のアンテナ素子として用いられることを特徴とする請求項
5に記載のアンテナ装置。
【請求項15】
前記第1モノポールアンテナは、V2X(vehicle to X)用のアンテナ素子として用いられることを特徴とする請求項
7または
8に記載のアンテナ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のアンテナが備わったアンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、4×4MIMO(Multiple-Input Multiple-Output)方式で通信を行うために4つのアンテナ素子を一つの基板上に配置したモジュールが知られている(例えば、特許文献1参照。)。このモジュールには、4つの送信アンテナ素子4a~4dと4つの受信アンテナ素子5a~5dが備わっており、各送信アンテナ素子4a~4dにはダイポールアンテナが用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した特許文献1に開示されたモジュールでは、例えば3つの送信アンテナ素子4a~4cを構成する導体(エレメント)が互いに平行になるように基板の一辺に沿って配置されており、基板を小型化したり電波の送信出力を増加した場合に各アンテナ素子の電波干渉が生じて通信性能が低下するおそれがあるという問題があった。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、複数のアンテナ間の電波干渉を抑制することができ、通信性能を向上させることができるアンテナ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明のアンテナ装置は、第1領域と、第1領域の後側に位置する第2領域と、第2領域の右側に位置する第3領域と、第3領域の前側であって第1領域の右側に位置する第4領域とを有するアンテナ配置領域と、第1領域において左右方向に延設されて電波を放射する第1アンテナと、第2領域において前後方向に延設されて電波を放射する第2アンテナと、第3領域において左右方向に延設されて電波を放射する第3アンテナと、第4領域において前後方向に延設されて電波を放射する第4アンテナとを備えている。第1~第4アンテナは、共通の第1動作周波数帯域を有し、第1アンテナは、前後方向に沿った第4アンテナの中心よりも、前後方向に沿って前側に配置されている。第2アンテナは、左右方向に沿った第1アンテナの中心よりも、左右方向に沿って左側に配置されている。第3アンテナは、前後方向に沿った第2アンテナの中心よりも、前後方向に沿って後側に配置されている。第4アンテナは、左右方向に沿った第3アンテナの中心よりも、左右方向に沿って右側に配置されている。
【0007】
このように4つのアンテナを配置することにより、それぞれのアンテナの放射方向が他のアンテナに重ならないようにすることができるため、これら4つのアンテナ間の電波干渉を抑制して、これら4つのアンテナを用いて通信を行う場合の通信性能を向上させることが可能となる。
【0008】
また、上述した第1動作周波数帯域とは異なる第2動作周波数帯域を有する第5アンテナおよび第6アンテナをさらに備え、第5アンテナは、アンテナ配置領域の外周の第1の辺の一方端に配置され、第6アンテナは、第1の辺の他方端に配置されている。これにより、4つのアンテナ(第1アンテナ~第4アンテナ)に2つのアンテナ(第5アンテナ、第6アンテナ)を加える場合に、これら2つのアンテナを離して配置することができ、これら2つのアンテナ間の電波干渉を抑制して、これら2つのアンテナを用いて通信を行う場合の通信性能を向上させることが可能となる。
【0009】
また、上述した第2動作周波数帯域を有する第7アンテナをさらに備え、第7アンテナは、アンテナ配置領域の外周であって第1の辺と対向する第2の辺に沿って配置されていることが望ましい。これにより、2つのアンテナ(第5アンテナ、第6アンテナ)と第7アンテナを離して配置することができ、これらのアンテナ間の電波干渉を抑制して、これらのアンテナを用いて通信を行う場合の通信性能を向上させることが可能となる。
【0010】
また、上述した第7アンテナは、第2の辺の中間位置に配置されていることが望ましい。これにより、第7アンテナを第5アンテナ、第6アンテナの両方から離すことができ、第7アンテナと第5アンテナの間の電波干渉を抑制するとともに、第7アンテナと第6アンテナの間の電波干渉を抑制することが可能となる。
【0011】
また、第7アンテナおよび第8アンテナをさらに備え、第7アンテナは、アンテナ配置領域の外周であって第1の辺と対向する第2の辺の一方端に配置され、第8アンテナは、第2の辺の他方端に配置されていることが望ましい。これにより、2つのアンテナ(第5アンテナ、第6アンテナ)と第7アンテナ、第8アンテナを離して配置することができ、これらのアンテナ間の電波干渉を抑制して、これらのアンテナを用いて通信を行う場合の通信性能を向上させることが可能となる。
【0012】
また、上述したアンテナ配置領域に対して垂直方向に延設され、アンテナ配置領域内であって第5アンテナと第6アンテナのそれぞれから等距離の位置に配置された第1モノポールアンテナをさらに備えることが望ましい。このように第1モノポールアンテナを第5アンテナと第6アンテナの両方から離して配置することにより、第5アンテナおよび第6アンテナと第1モノポールアンテナとの間の電波干渉を抑制することができる。
【0013】
また、上述したアンテナ配置領域は、一対の長辺と一対の短辺からなる長方形形状を有し、第1の辺は、一対の長辺の一方であることが望ましい。このように第5アンテナと第6アンテナを長辺の両端に離して配置することにより、第5アンテナと第6アンテナとの間の電波干渉を抑制することができる。
【0014】
また、上述したアンテナ配置領域は、一対の長辺と一対の短辺からなる長方形形状を有し、長辺あるいは短辺に沿って端部から時計回り方向に所定距離の位置に配置されて右旋円偏波信号を受信する第2モノポールアンテナをさらに備えることが望ましい。このような配置とすることにより、第2モノポールアンテナによって効率よく右旋円偏波信号を受信することができる。
【0015】
また、上述した第2モノポールアンテナは、長辺に沿って配置されていることが望ましい。このように第2モノポールアンテナを長辺の端部から所定距離の位置に配置することにより、短辺に沿って配置する場合に比べて信号の受信効率をさらに上げることができる。
【0016】
また、上述した第1アンテナ、前記第2アンテナ、前記第3アンテナ、前記第4アンテナは、モノポールアンテナであることが望ましい。
【0017】
また、上述した第1アンテナ、第2アンテナ、第3アンテナ、第4アンテナは、ワイヤレスWANの4×4MIMO方式のアンテナ素子として用いられることが望ましい。
【0018】
また、上述した第1動作周波数帯域には、互いに周波数が異なる複数の周波数帯域グループが含まれており、それぞれの周波数帯域グループに別々のアンテナ素子が対応していることが望ましい。
【0019】
また、上述した第5アンテナおよび第6アンテナは、ワイヤレスLANの2×2MIMO方式のアンテナ素子として用いられることが望ましい。
【0020】
また、上述した第7アンテナは、BLE(Bluetooth Low Energy)のアンテナ素子として用いられることが望ましい。
【0021】
また、上述した第2モノポールアンテナは、GNSS(Global Navigation Satellite System)のアンテナ素子として用いられることが望ましい。
【0022】
また、上述した第1モノポールアンテナは、V2X(vehicle to X)用のアンテナ素子として用いられることが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】第1の実施形態の電子機器の概要を示す平面図である。
【
図2】第2の実施形態の電子機器の概要を示す平面図である。
【
図3】第3の実施形態の電子機器の概要を示す平面図である。
【
図4】変形例の電子機器の概要を示す平面図である。
【
図5】他の変形例の電子機器の概要を示す平面図である。
【
図6】他の変形例の電子機器の概要を示す平面図である。
【
図7】他の変形例の電子機器の概要を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明のアンテナ装置を適用した一実施形態の電子機器について、図面を参照しながら説明する。
【0025】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態の電子機器の概要を示す平面図である。この電子機器は、例えば、小型化されて車両に搭載されることを想定しているが、車両以外の屋内外で使用されるものであってもよい。この点は、他の実施形態についても同様である。
【0026】
本実施形態の電子機器100は、基板110と、4つのアンテナ120、122、124、126と、通信回路150とを備えている。
【0027】
基板110は、例えば長方形形状を有しており、誘電体層の表面あるいは内部に各部品間を接続する配線層やグランド層が形成されている。基板110は、横長の長方形形状を2行2列に4分割されたアンテナ配置領域112を有している。
図1に示すように、基板110の全体がアンテナ配置領域112に対応している。
【0028】
このアンテナ配置領域112には、左下の1/4(アンテナ配置領域112を上下に2等分する線をX軸、左右に2等分する線をY軸とした場合の第3象限)の第1領域112Aと、左上の1/4(第2象限)の第2領域112Bと、右上の1/4(第1象限)の第3領域112Cと、右下の1/4(第4象限)の第4領域112Dとが含まれている。
【0029】
4つのアンテナ120、122、124、126は、ワイヤレスWAN(Wide Area Network)で4×4MIMO(Multiple-Input Multiple-Output)方式で通信を行うためのアンテナ素子(エレメント)であり、共通の同一周波数帯域を動作周波数帯域(第1動作周波数帯域)として電波の送受信を行う。
【0030】
アンテナ120(第1アンテナ)は、第1領域112Aにおいて左右方向に沿って延設されたモノポールアンテナであり、延在方向に対して垂直な向きに電波を放射する。
図1では、アンテナ120の電波の放射パターン120aが示されているが、実際にはこの放射パターン120aをアンテナ120の長手方向を回転軸にして回転させたドーナツ状に電波が放射される。
【0031】
なお、電波の送信動作と受信動作が共通のアンテナ素子を用いて行われる場合を想定しているが、送信用アンテナ素子と受信用アンテナ素子を接近して配置するようにしてもよい。また、各アンテナの動作周波数帯域には、以下に示す3つの周波数帯域LB、MB、HBが含まれている。
・LB:619~960MHz
・MB:1427.9~2690MHz
・HB:3300~5000MHz
これら3つの周波数帯域は広いため、アンテナ120を2つあるいは3つのアンテナ素子で構成するようにしてもよい。これにより、3つの周波数帯域毎に電波の送受信効率を向上させた形状のアンテナ素子を用いることが可能となる。これらの変形態様は、他のアンテナ122、124、126についても同様である。
【0032】
同様に、アンテナ122(第2アンテナ)は、第2領域112Bにおいて前後方向(
図1の上下方向)に沿って延設されたモノポールアンテナであり、延在方向に対して垂直な向きに電波を放射する。
図1では、アンテナ122の電波の放射パターン122aが示されているが、実際にはこの放射パターン122aをアンテナ122の長手方向を回転軸にして回転させたドーナツ状に電波が放射される。
【0033】
アンテナ124(第3アンテナ)は、第3領域112Cにおいて左右方向に沿って延設されたモノポールアンテナであり、延在方向に対して垂直な向きに電波を放射する。
図1では、アンテナ124の電波の放射パターン124aが示されているが、実際にはこの放射パターン124aをアンテナ124の長手方向を回転軸にして回転させたドーナツ状に電波が放射される。
【0034】
アンテナ126(第4アンテナ)は、第4領域112Dにおいて前後方向(
図1の上下方向)に沿って延設されたモノポールアンテナであり、延在方向に対して垂直な向きに電波を放射する。
図1では、アンテナ126の電波の放射パターン126aが示されているが、実際にはこの放射パターン126aをアンテナ126の長手方向を回転軸にして回転させたドーナツ状に電波が放射される。
【0035】
上述したアンテナ120は、アンテナ126の前後方向に沿った中心(この位置が中心線126bで示されている)よりも前側(
図1の下側)であって基板110の縁(長方形形状の下辺)に沿った位置に配置されている。
【0036】
また、アンテナ122は、アンテナ120の左右方向に沿った中心(この位置が中心線122bで示されている)よりも左側であって基板110の縁(長方形形状の左辺)に沿った位置に配置されている。
【0037】
アンテナ124は、アンテナ122の前後方向に沿った中心(この位置が中心線122bで示されている)よりも後側(
図1の上側)であって基板110の縁(長方形形状の上辺)に沿った位置に配置されている。
【0038】
アンテナ126は、アンテナ124の左右方向に沿った中心(この位置が中心線124bで示されている)よりも右側であって基板110の縁(長方形形状の右辺)に沿った位置に配置されている。
【0039】
また、通信回路150は、アンテナ120、122、124、126のそれぞれを介して信号の送信処理および受信処理を行う。なお、
図1では、基板110のほぼ中央に通信回路150を配置したが、これ以外の位置に通信回路150を配置するようにしてもよい。
【0040】
このように、本実施形態の電子機器100では、4つのアンテナ120、122、124、126を互いの位置が隣接するアンテナの放射パターンの中心線からずれるように配置することにより、それぞれのアンテナの放射方向が他のアンテナに重ならないようにすることができるため、これら4つのアンテナ120、122、124、126間の電波干渉を抑制して、これら4つのアンテナ120、122、124、126を用いて通信を行う場合の通信性能を向上させることが可能となる。
【0041】
(第2の実施形態)
図2は、第2の実施形態の電子機器の概要を示す平面図である。本実施形態の電子機器200は、
図1に示した電子機器100に対して、3つのアンテナ130、132、134を追加した点が異なっている。以下では、これらの追加したアンテナ130、132、134に着目して説明する。
【0042】
2つのアンテナ130、132は、ワイヤレスLAN(Local Area Network)で2×2MIMO方式で通信を行うためのアンテナ素子(エレメント)であり、共通の同一周波数帯域を動作周波数帯域(第1動作周波数帯域と異なる第2動作周波数帯域)として電波の送受信を行う。この動作周波数帯域には、2400~2480MHzと5150~5850MHzの2つの周波数帯域が含まれている。
【0043】
また、アンテナ134は、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)の通信を行うためのアンテナ素子である。このBLEの動作周波数帯域は2400~2480MHzであって、上述したワイヤレスLANの2つの周波数帯域の一方と重複している。
【0044】
アンテナ130(第5アンテナ)は、長方形形状を有するアンテナ配置領域112の外周の上辺(第1の辺)の一方端(左端)に配置され、この上辺に沿って延設されたモノポールアンテナであり、延在方向に対して垂直な向きに電波を放射する。
図2では、アンテナ130の電波の放射パターン130aが示されているが、実際にはこの放射パターン130aをアンテナ130の長手方向を回転軸にして回転させたドーナツ状に電波が放射される。
【0045】
また、アンテナ132(第6アンテナ)は、長方形形状を有するアンテナ配置領域112の外周の上辺(第1の辺)の他方端(右端)に配置され、この上辺に沿って延設されたモノポールアンテナであり、延在方向に対して垂直な向きに電波を放射する。
図2では、アンテナ132の電波の放射パターン132aが示されているが、実際にはこの放射パターン132aをアンテナ132の長手方向を回転軸にして回転させたドーナツ状に電波が放射される。
【0046】
アンテナ134(第7アンテナ)は、長方形形状を有するアンテナ配置領域112の周辺であって上辺(第1の辺)に対向する下辺(第2の辺)の中間位置(中央位置が望ましいが、中央位置からずれてもよい)に配置され、この下辺に沿って延設されたモノポールアンテナであり、延在方向に対して垂直な向きに電波を放射する。
図2では、アンテナ134の電波の放射パターン134aが示されているが、実際にはこの放射パターン134aをアンテナ134の長手方向を回転軸にして回転させたドーナツ状に電波が放射される。
【0047】
なお、これらのアンテナ130、132、134のそれぞれを介した信号の送信処理や受信処理は、通信回路150によって行うようにしてもよいが、他の通信回路(図示せず)によって行うようしてもよい。
【0048】
このように、本実施形態の電子機器200では、ワイヤレスWAN用の4つのアンテナ120~126に加えてワイヤレスLAN用の2つのアンテナ130、132をアンテナ配置領域112の上辺(長辺)の両端に離して配置しており、これら2つのアンテナ130、132間の電波干渉を抑制して、これら2つのアンテナ130、132を用いて通信を行う場合の通信性能を向上させることが可能となる。
【0049】
また、これら2つのアンテナ130、132とともにBLE用のアンテナ134をアンテナ配置領域112の下辺に沿って配置することにより、互いに動作周波数帯域が重複するアンテナ130、132とアンテナ134との間の電波干渉を抑制して、これらのアンテナを用いて通信を行う場合の通信性能を向上させることが可能となる。特に、下辺の中間位置にアンテナ134を配置することで、アンテナ134をアンテナ130、132の両方から離すことができ、アンテナ134とアンテナ130の間の電波干渉を抑制するとともに、アンテナ134とアンテナ132の間の電波干渉を抑制することが可能となる。
【0050】
(第3の実施形態)
図3は、第3の実施形態の電子機器の概要を示す平面図である。本実施形態の電子機器300は、
図2に示した電子機器200に対して、2種類のモノポールアンテナ140、142を追加した点が異なっている。以下では、これらの追加したアンテナ140、142に着目して説明する。
【0051】
一方のモノポールアンテナ140(第1のモノポールアンテナ)は、V2X(vehicle to X)用のアンテナ素子である。このアンテナ140の動作周波数帯域は、5850~5950MHzであり、垂直偏波に対して最適な電波の送受信が可能となるように、アンテナ配置領域112の表面(あるいは裏面)に対して垂直方向に延設されている。
【0052】
また、このモノポールアンテナ140は、例えばワイヤレスLAN用のアンテナ130、132との干渉を避けるために、アンテナ配置領域112内であってこれらのアンテナ130、132から等距離の位置に配置されている。
【0053】
このように、モノポールアンテナ140をアンテナ130、132のそれぞれから等距離の位置に離して配置することにより、動作周波数帯域の一部が接近しているアンテナ130、132とモノポールアンテナ140との間の電波干渉を抑制することができる。
【0054】
また、他方のモノポールアンテナ142(第2のモノポールアンテナ)は、GNSS(Global Navigation Satellite System)のアンテナ素子である。GNSSでは右旋円偏波の信号が用いられており、この信号を効率よく受信するために、長方形形状を有するアンテナ配置領域112の一方の長辺である上辺に沿って端部(左端)から時計回り方向に所定距離の位置に配置されている。この所定距離は、受信する電波の周波数に対応して決定される。例えば、1559~1610MHzの電波を受信することを想定しており、この場合にはこの所定距離は、左端から28~30mm程度に設定される。なお、製品形状や寸法、周辺部品の配置状況等によって、受信性能が最適な位置へスライドすることも可能である。
【0055】
若干受信効率は低下するが、アンテナ配置領域112の外周の短辺に沿ってその端部から時計回り方向に所定距離の位置にアンテナ142を配置してもよい。
【0056】
また、これらのモノポールアンテナ140、142のそれぞれを介した信号の送信処理や受信処理は、通信回路150によって行うようにしてもよいが、他の通信回路(図示せず)によって行うようしてもよい。
【0057】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。例えば、上述した第2の実施形態では、ワイヤレスLAN用のアンテナ130、132とBLE用のアンテナ134の両方を備える電子機器200について説明したが、ワイヤレスLAN用のアンテナ130、132のみが備わっている場合や、BLE用のアンテナ134のみが備わっている場合にも本発明を適用することができる。
【0058】
また、上述した第3の実施形態では、ワイヤレスLAN用のアンテナ130、132とBLE用のアンテナ134とV2X用のモノポールアンテナ140とGNSS用のモノポールアンテナ142が備わっている電子機器300について説明したが、これらのアンテナの一部を備える場合にも本発明を適用することができる。
【0059】
また、上述した第2の実施形態では、BLE用のアンテナ134をアンテナ配置領域112の下辺の中間位置に配置したが、
図4に示すように、下辺の端部に配置するようにしてもよい。また、上述した第2の実施形態では、ワイヤレスLAN用のアンテナ130、132の延在方向を上辺に沿った向きとしたが、上辺に沿った向きからずらすようにしてもよい。
図5に示す例では、電波の放射パターンの中心線がアンテナ配置領域112の中心位置近傍に向かうようにアンテナ130、132が延在する向きが設定されている。これらの変形例については、第3の実施形態についても同様である。
【0060】
また、上述した第2の実施形態では、ワイヤレスLAN用の2つのアンテナ130、132とBLE用の1つのアンテナ134を
図1に示した構成に追加する場合を説明したが、これら3つのアンテナ130、132、134にさらに1つのアンテナ136を追加するようにしてもい。この場合には、
図6に示すように、アンテナ134とアンテナ136をアンテナ配置領域112の下辺の両端に配置したり、
図7に示すように、さらにこれら4つのアンテナ130、132、134、136が延在する向きを変更する変形例などが考えられる。これらの変形例については、第3の実施形態についても同様である。
【産業上の利用可能性】
【0061】
上述したように、本発明によれば、アンテナ配置領域の4つの領域の所定位置に4つのアンテナを配置することにより、それぞれのアンテナの放射方向が他のアンテナに重ならないようにすることができるため、これら4つのアンテナ間の電波干渉を抑制して、これら4つのアンテナを用いて通信を行う場合の通信性能を向上させることが可能となる。
【符号の説明】
【0062】
100、200、300 電子機器
110 基板
112 アンテナ配置領域
120、122、124、126、130、132、134 アンテナ
140、142 モノポールアンテナ
150 通信回路